説明

削減量算出装置及びそのセンサ異常検出方法

【課題】流量センサの異常を検出することが可能な削減量算出装置、及びそのセンサ異常検出方法を提供する。
【解決手段】削減量算出装置5は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器2と、太陽熱温水器2から供給される予熱温水を加熱する給湯器4と、を有する太陽熱給湯システム1に用いられ、太陽熱温水器2の加熱によって給湯器4における予熱温水の加熱の際に削減できた削減量を算出するものである。この削減値算出装置5は、第1温度センサ51と、第2温度センサ52と、流量センサ53と、これらセンサ51〜53からの信号値に基づいて、上記削減量を算出する。また、削減値算出装置5は、第2温度センサ52により温度上昇が検出された場合に、流量センサ53の流量値が増加したか否かに基づいて、流量センサ53の異常を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削減量算出装置及びそのセンサ異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の影響から二酸化炭素の排出量削減が求められている。特に、住宅におけるエネルギー消費量は増加の傾向にあり、住宅から排出される二酸化炭素量の削減が急務の課題となっている。
【0003】
そこで、太陽熱温水器を利用した太陽熱給湯システムが提案されている。太陽熱温水器は、太陽熱の利用により湯水を加熱するものであり、これにより化石燃料等の消費量を抑えて二酸化炭素排出量の削減を図っている。
【0004】
また、太陽熱給湯システムの利用により削減された二酸化炭素量や燃料費等を算出して表示する削減量算出装置が提案されている。この装置によれば、削減された二酸化炭素量や燃料費等を算出して積算表示するため、ユーザに削減目標を達成できたなどを提示できることとなり、二酸化炭素量の削減に励むように仕向けることができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−279144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1に記載の装置では、削減された二酸化炭素量や燃料費等の削減量を算出するために、温度センサや流量センサを備えている。流量センサとしては一般に羽根車式が用いられるが、二酸化炭素量や燃料費等の算出部と流量センサとを接続する信号線に断線が生じた場合など、特許文献1に記載の装置では、流量センサからの信号を得られず、削減量を積算できなくなる可能性がある。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、流量センサの異常を検出することが可能な削減量算出装置、及びそのセンサ異常検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の削減量算出装置は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、太陽熱温水器の加熱によって給湯器における加熱の際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置であって、太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサと、第1温度センサ、第2温度センサ及び流量センサからの信号値に基づいて、削減量を算出する削減量算出手段と、第2温度センサにより温度上昇が検出された場合に、流量センサの流量値が増加したか否かに基づいて、流量センサの異常を検出する異常検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この削減量算出装置によれば、第2温度センサにより温度上昇が検出された場合に、流量センサの流量値が増加したか否かに基づいて、流量センサの異常を検出する。ここで、第2温度センサにより温度上昇が検出された場合とは、太陽熱温水器により加熱された予熱温水が需要者側に向けて流れ始めたことを示し、この際に流量センサによる流量値が増加しない場合には、流量センサの異常と判断できる。従って、流量センサの異常を検出することができる。
【0010】
また、本発明の削減量算出装置は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、太陽熱温水器の加熱によって給湯器における加熱の際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置であって、太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサと、第1温度センサ、第2温度センサ及び流量センサからの信号値に基づいて、削減量を算出する削減量算出手段と、流量センサを通過した予熱温水の流量積算値が所定値以上となった場合、及び、流量センサの累積使用時間が所定時間以上となった場合の少なくとも一方の場合に、流量センサに異常が発生したと判断する異常検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この削減量算出装置によれば、流量センサを通過した予熱温水の流量積算値が所定値以上となった場合、及び、流量センサの累積使用時間が所定時間以上となった場合の少なくとも一方の場合に、流量センサに異常が発生したと判断するため、流量センサが長期に使用された場合など、精度劣化が生じる場合に異常と判断することができる。従って、流量センサの異常を検出することができる。
【0012】
また、本発明の削減量算出装置のセンサ異常検出方法は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、太陽熱温水器からから需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサとの信号値に基づいて、太陽熱温水器の加熱により給湯器によって予熱温水を加熱する際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置のセンサ異常検出方法であって、第2温度センサにより温度上昇が検出された場合に、流量センサの流量値が増加したか否かに基づいて、流量センサの異常を検出する異常検出工程を備えることを特徴とする。
【0013】
この削減量算出装置のセンサ異常検出方法によれば、第2温度センサにより温度上昇が検出された場合に、流量センサの流量値が増加したか否かに基づいて、流量センサの異常を検出する。ここで、第2温度センサにより温度上昇が検出された場合とは、太陽熱温水器により加熱された予熱温水が需要者側に向けて流れ始めたことを示し、この際に流量センサによる流量値が増加しない場合には、流量センサの異常と判断できる。従って、流量センサの異常を検出することができる。
【0014】
また、本発明の削減量算出装置のセンサ異常検出方法は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、太陽熱温水器からから需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサとの信号値に基づいて、太陽熱温水器の加熱により給湯器によって予熱温水を加熱する際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置のセンサ異常検出方法であって、流量センサを通過した予熱温水の流量積算値が所定値以上となった場合、及び、流量センサの累積使用時間が所定時間以上となった場合の少なくとも一方の場合に、流量センサに異常が発生したと判断する異常検出工程を備えることを特徴とする。
【0015】
この削減量算出装置のセンサ異常検出方法によれば、流量センサを通過した予熱温水の流量積算値が所定値以上となった場合、及び、流量センサの累積使用時間が所定時間以上となった場合の少なくとも一方の場合に、流量センサに異常が発生したと判断するため、流量センサが長期に使用された場合など、精度劣化が生じる場合に異常と判断することができる。従って、流量センサの異常を検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、流量センサの異常を検出することが可能な削減量算出装置、及びそのセンサ異常検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る削減量算出装置を含む太陽熱給湯システムの構成図である。
【図2】本実施形態に係る表示演算部を示す構成図である。
【図3】図1に示した貯湯槽から予熱温水が流れる前と流れた後の状態を示す図であり、(a)は予熱温水が流れる前の状態を示し、(b)は予熱温水が流れた後の状態を示している。
【図4】図1に示した流量センサの正常時における流量と温度との関係を示したグラフである。
【図5】図1に示した流量センサの異常時における流量と温度との関係を示したグラフである。
【図6】本実施形態に係る削減量算出装置のセンサ異常検出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本実施形態に係る削減量算出装置を説明するのに先立って、太陽熱給湯システム1を説明する。図1は、本実施形態に係る削減量算出装置を含む太陽熱給湯システムの構成図である。太陽熱給湯システム1は、水道管11と、冷水管12と、温水管13と、混合水管14と、加熱水管15とを備えている。さらに、太陽熱給湯システム1は、太陽熱温水器2と、混合弁3と、給湯器4とを備えている。
【0019】
水道管11は、台所、洗面所、風呂、トイレ等の住宅用水道器具の各々に水を供給するものである。また、水道管11は、分岐されており、分岐箇所に冷水管12が接続されている。冷水管12は、水道管11を介して流れてくる冷水を太陽熱温水器2まで導くものである。
【0020】
太陽熱温水器2は、集熱器21と熱媒配管22と貯湯槽23とを有している。集熱器21は、日当たりの良い住宅等の屋根などに設置され太陽熱を取り込んで熱媒を温めるものである。また、熱媒配管22は、集熱器21と貯湯槽23とを接続するものであり内部に熱媒が流れる構成となっている。熱媒は熱媒配管22を介して集熱器21と貯湯槽23とを循環する。貯湯槽23は、冷水管12からの冷水を導入すると共に、熱媒配管22を通じて流れてくる暖められた熱媒により冷水を加熱して予熱温水とし、貯湯しておくものである。
【0021】
温水管13は、貯湯槽23からの予熱温水を給湯器4側に供給するための配管である。この温水管13の終端には混合弁3が設置されており、温水管13からの予熱温水は混合弁3の温水流入口31から混合弁3に供給される。また、冷水管12は接続点Aにて分岐しており、冷水管12からの冷水は混合弁3の冷水流入口32を介して混合弁3に供給可能となっている。混合弁3は、上記の如く流入する予熱温水と冷水とを混ぜて混合水とするものである。
【0022】
混合水管14は、混合弁3の混合水流出口33と給湯器4とを接続する配管であり、混合水はこの配管14を介して混合弁3から給湯器4に供給される。なお、本実施形態において混合弁3は、混合水の温度が所定の温度となるように、温水と冷水との混合割合を自動的に調整する自動温度調節機能付湯水混合弁であるが、混合弁3の構成はこれに限られるものではない。
【0023】
給湯器4は、例えば、ガスバーナと熱交換器とを備えており、利用者等によって定められた温度の加熱水(即ち、湯)を生成するものである。この給湯器4は、住宅に設けられた給湯器用リモコン等と接続されており、給湯器用リモコン等から受信する制御信号に基づいて、例えば、電源オン、電源オフ、及び、生成する湯の温度が設定される。
【0024】
加熱水管15は、給湯器4と給湯側であるシャワー口等とを接続する配管である。給湯器4にて暖められた加熱水は、この加熱水管15を介して利用者等に供給されることとなる。
【0025】
以上の構成により、太陽熱給湯システム1は、水道管11からの冷水を太陽熱を利用した太陽熱温水器2によって予熱温水とし、これを給湯器4に供給するので給湯器4にて使用される燃料費や排出される二酸化炭素量等を削減することができる。
【0026】
次に、本実施形態に係る削減量算出装置について説明する。削減量算出装置5は、太陽熱温水器2の利用によって削減されたガス料金や二酸化炭素排出量を積算表示するものであって、第1温度センサ51と、第2温度センサ52と、流量センサ53と、演算表示部54とを備えている。
【0027】
第1温度センサ51は、冷水管12に配置され、太陽熱温水器2により加熱される前の水温、すなわち冷水の温度を検出するものである。第2温度センサ52は、温水管13に配置され、太陽熱温水器2により加熱されてから給湯器4に供給されるまでの配管内(すなわち温水管13内)の予熱温水の温度を検出するものである。流量センサ53は、温水管13に配置され、太陽熱温水器2から給湯器4に供給された予熱温水の流量を検出するものである。
【0028】
表示演算部54は、各種演算処理及び表示処理を行うものであって、詳細には図2に示す構成となっている。図2は、本実施形態に係る表示演算部54を示す構成図である。
【0029】
図2に示すように、表示演算部54は、マイクロプロセッサ(MPU)54aを備えている。MPU54aは、予め定められたプログラムに従って動作するものであり、CPU54a1と、ROM54a2と、RAM54a3とを備えている。
【0030】
CPU54a1は、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを実行するものである。ROM54a2は、CPU51aにて実行するプログラム等を格納した読み出し専用のメモリである。RAM54a3は、各種のデータを格納すると共にCPU51aの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリである。
【0031】
また、本実施形態においてROM51a2には、太陽熱温水器2の利用により削減された燃料費や二酸化炭素量を算出するためのプログラムが格納されている。このため、このプログラムを実行するCPU54a1は、削減された燃料費や二酸化炭素量を算出する削減量算出手段として機能することとなる。
【0032】
さらに、削減量算出装置5は、メモリ部54bと、表示部54cと、インタフェース部54dとを備えている。
【0033】
メモリ部54bは、電力供給が断たれた場合でも、格納された各種データの保持が可能な記録媒体であり、CPU54a1の処理作業に必要な各種格納エリアを有する電気的消去/書き換え可能なメモリ(EEPROM)等が用いられる。
【0034】
表示部54cは、LCD、LED等が用いられ、例えば、削減量算出装置5の本体部に利用者等が目視可能に設けられている。この表示部54cは、削減量算出手段により算出された削減熱量、削減二酸化炭素量、及び削減燃料費等の各種表示を行う。なお、本実施形態において表示部54cは、野外に設置された削減量算出装置5の本体部に設けられているが、これに限らず、宅内に設けられてもよい。
【0035】
インタフェース部54dは、第1及び第2温度センサ51,52や流量センサ53と電気的に接続されており、各種センサ51〜53とMPU54aとの交信を可能としたものである。
【0036】
加えて、本実施形態においてROM51a2には、流量センサ53に異常が発生したかを検出するためのプログラムが格納されている。このため、このプログラムを実行するCPU54a1は、流量センサ53の異常を検出する異常検出手段として機能することとなる。
【0037】
次に、異常検出手段の異常検出の原理について詳細に説明する。図3は、図1に示した貯湯槽23から予熱温水が流れる前と流れた後の状態を示す図であり、(a)は予熱温水が流れる前の状態を示し、(b)は予熱温水が流れた後の状態を示している。
【0038】
まず、図3(a)に示すように、夜間などある程度の時間予熱温水が利用されなかった場合、温水管13に留まった予熱温水は冷却されることとなる。このため、第2温度センサ52により検出される予熱温水の温度は低い値を示す。また、予熱温水が利用されていないことから、流量センサ53により検出される流量値はゼロを示す。
【0039】
ところが、図3(b)に示すように、上記状態から予熱温水が利用されると、貯湯槽23にて暖められている予熱温水が温水管13を流れることとなる。このため、第2温度センサ52の検出値は上昇すると共に、流量センサ53の検出値についても上昇することとなる。
【0040】
図4は、図1に示した流量センサ53の正常時における流量と温度との関係を示したグラフであり、図5は、図1に示した流量センサ53の異常時における流量と温度との関係を示したグラフである。なお、図4及び図5において実線は温度を示し、破線は流量を示している。
【0041】
また、図4及び図5においては、異常の1つとして流量センサ53と削減量算出装置5の演算処理部54とを接続する信号線の断線を例に説明するが、これに限らず、流量センサ54が羽根車式の場合には羽根車への異物混入により回転しなくなった場合など、他の異常にも適用可能である。
【0042】
図4に示すように、例えば時刻0においては図3(a)の状態であるとする。すなわち、夜間などある程度の時間予熱温水が利用されておらず、温水管13に留まっていた予熱温水が冷却されているとする。この場合、第2温度センサ52の検出値は、低い値T1を示す。また、予熱温水が利用されていないことから、流量センサ53により検出される流量値はゼロを示す。
【0043】
そして、時刻t1において予熱温水の利用が開始されたとする。このとき、貯湯槽23にて暖められている予熱温水が温水管13を流れることとなり、第2温度センサ52の検出値は時刻t2においてT2まで上昇する。さらに、流量センサ53の検出値についてもR1まで上昇する。
【0044】
これに対して、図5に示すように、流量センサ53の信号線が断線していたり羽根車が回らなかったりする異常が発生していた場合、時刻t1において予熱温水の利用が開始されると、第2温度センサ52の検出値は時刻t2においてT2まで上昇するが、流量センサ53の検出値はゼロを維持する。
【0045】
このように、異常検出手段は、第2温度センサ52により温度上昇が検出された場合に、流量センサ53の流量値が増加したか否かに基づいて、流量センサ53の異常を検出する。なお、温水管13内の予熱温水は、日光の影響などにより温められる可能性がある。このため、異常検出手段は、規定時間以内に所定温度以上の温度上昇が検出された場合に、流量センサ53の流量値が増加したかを判断して、流量センサ53の異常を検出することが望ましい。
【0046】
図6は、本実施形態に係る削減量算出装置5のセンサ異常検出方法を示すフローチャートである。図6に示すように、まずCPU54a1、すなわち異常検出手段は、削減量算出装置5(流量センサ53)の使用が開始されてから所定時間経過したか否かを判断する(S1)。ここで、所定時間とは例えば15年である。
【0047】
削減量算出装置5の使用が開始されてから所定時間経過したと判断した場合(S1:YES)、異常検出手段は、流量センサ53に異常が発生したと検出する(S2)。すなわち異常検出手段は、長期の使用により動作に不具合が発生する可能性があることから、このような状態をセンサ異常と判断することとなる。このように、異常検出手段は、図3〜図5を参照して説明した異常検出の他に、長期使用時にも異常と判断して、長期使用による動作不良により削減値を算出できなくなってしまう事態を防止している。その後、CPU54a1は、表示部54cに警告表示を行い(S3)、図6に示す処理は終了する。
【0048】
一方、削減量算出装置5の使用が開始されてから所定時間経過していないと判断した場合(S1:NO)、異常検出手段は、削減量算出装置5の使用が開始されてからの流量積算値が所定値以上となったか否かを判断する(S4)。ここで、所定値とは例えば3000mである。
【0049】
流量積算値が所定値以上となったと判断した場合(S4:YES)、処理はステップS2に移行し、ステップS2,S3を経て図6に示す処理は終了する。
【0050】
流量積算値が所定値以上となっていないと判断した場合(S4:NO)、異常検出手段は、前回温度検出時から規定時間経過したか否かを判断する(S5)。規定時間経過していないと判断した場合(S5:NO)、処理はステップS1に移行する。
【0051】
規定時間経過したと判断した場合(S5:YES)、異常検出手段は、前回温度検出時から所定温度以上上昇したか否かを判断する(S6)。前回温度検出時から所定温度以上上昇していないと判断した場合(S6:NO)、処理はステップS1に移行する。
【0052】
前回温度検出時から所定温度以上上昇したと判断した場合(S6:YES)、異常検出手段は、流量値が上昇したか否かを判断する(S7)。流量値が上昇したと判断した場合(S7:YES)、異常検出手段は、流量センサ53が正常であると判断する(S8)。その後、図6に示す処理は終了する。
【0053】
一方、流量値が上昇していないと判断した場合(S7:NO)、処理はステップS2に移行し、ステップS2,S3を経て図6に示す処理は終了する。
【0054】
このようにして、本実施形態に係る削減量算出装置5及びそのセンサ異常検出方法によれば、第2温度センサ52により温度上昇が検出された場合に、流量センサ53の流量値が増加したか否かに基づいて、流量センサ53の異常を検出する。ここで、第2温度センサ52により温度上昇が検出された場合とは、太陽熱温水器2により加熱された予熱温水が給湯器4に向けて流れ始めたことを示し、この際に流量センサ53による流量値が増加しない場合には、流量センサ53の異常と判断できる。従って、流量センサ53の異常を検出することができる。
【0055】
また、流量センサ53を通過した予熱温水の流量積算値が所定値以上となった場合、及び、流量センサ53の累積使用時間が所定時間以上となった場合の少なくとも一方の場合に、流量センサ53に異常が発生したと判断するため、流量センサ53が長期に使用された場合など、精度劣化が生じる場合に異常と判断することで、正確な削減値の算出に寄与することができる。
【0056】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0057】
例えば、本実施形態において太陽熱温水器2は、貯湯槽23に蓄えられた冷水を熱媒により加熱するものであるが、これに限らず、水道管11からの冷水を集熱器21まで導いて冷水を加熱するものであってもよい。また、太陽熱温水器2は、集熱器21と貯湯槽23とを備えるものに限らず、貯湯槽23を備えない一体型の太陽熱温水器2であってもよい。
【0058】
また、本実施形態において異常検出手段は、流量センサ53の信号線の断線や羽根車が回転しなくなる異常を例に説明したが、これに限らず、異常発生時に流量センサ53からの信号値が略ゼロとなる異常については検出可能である。
【0059】
さらに、本実施形態に係る削減値算出装置5はセンサ異常時に表示部54cに警告表示を行う構成であるが、これに限らず、音声警告を行ってもよいし、ガス管理センター等に通信により通知する構成であってもよい。
【0060】
また、本実施形態では太陽熱温水器2により加熱された予熱温水が給湯器4に供給される太陽熱給湯システム1を例に説明したが、これに限らず、太陽熱温水器2から給湯器4を介することなく直接需要者側に供給される太陽熱給湯システムに適用されてもよい。さらには、太陽熱温水器2により加熱された予熱温水を給湯器4を介して供給すると共に、直接需要者側に供給する双方の機能を備えた太陽熱給湯システムに適用されてもよい。
【0061】
加えて、本実施形態に係る太陽熱給湯システム1においては、混合弁3を1つ備えているが、弁はこれに限らず複数備えていてもよい。さらには、混合弁3以外の弁を備えていてもよい。また、給湯器4は、追炊き機能を備えるものなど、上記に示したものに限られるものではない。
【符号の説明】
【0062】
1 太陽熱給湯システム
11 水道管
12 冷水管
13 温水管
14 混合水管
15 加熱水管
2 太陽熱温水器
21 集熱器
22 熱媒配管
23 貯湯槽
3 混合弁
31 温水流入口
32 冷水流入口
33 混合水流出口
4 給湯器
5 削減値算出装置
51 第1温度センサ
52 第2温度センサ
53 流量センサ
54 表示演算部
54a MPU
54a1 CPU
54a2 ROM
54a3 RAM
54b メモリ部
54c 表示部
54d インタフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び前記太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、前記太陽熱温水器の加熱によって前記給湯器における加熱の際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置であって、
前記太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、
前記太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、
前記太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサと、
前記第1温度センサ、前記第2温度センサ及び前記流量センサからの信号値に基づいて、前記削減量を算出する削減量算出手段と、
前記第2温度センサにより温度上昇が検出された場合に、前記流量センサの流量値が増加したか否かに基づいて、前記流量センサの異常を検出する異常検出手段と、
を備えることを特徴とする削減量算出装置。
【請求項2】
供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び前記太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、前記太陽熱温水器の加熱によって前記給湯器における加熱の際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置であって、
前記太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、
前記太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、
前記太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサと、
前記第1温度センサ、前記第2温度センサ及び前記流量センサからの信号値に基づいて、前記削減量を算出する削減量算出手段と、
前記流量センサを通過した予熱温水の流量積算値が所定値以上となった場合、及び、前記流量センサの累積使用時間が所定時間以上となった場合の少なくとも一方の場合に、前記流量センサに異常が発生したと判断する異常検出手段と、
を備えることを特徴とする削減量算出装置。
【請求項3】
供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び前記太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、前記太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、前記太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、前記太陽熱温水器からから需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサとの信号値に基づいて、前記太陽熱温水器の加熱により前記給湯器によって前記予熱温水を加熱する際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置のセンサ異常検出方法であって、
前記第2温度センサにより温度上昇が検出された場合に、前記流量センサの流量値が増加したか否かに基づいて、前記流量センサの異常を検出する異常検出工程を備える
ことを特徴とする削減量算出装置のセンサ異常検出方法。
【請求項4】
供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び前記太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、前記太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、前記太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、前記太陽熱温水器からから需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサとの信号値に基づいて、前記太陽熱温水器の加熱により前記給湯器によって前記予熱温水を加熱する際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置のセンサ異常検出方法であって、
前記流量センサを通過した予熱温水の流量積算値が所定値以上となった場合、及び、前記流量センサの累積使用時間が所定時間以上となった場合の少なくとも一方の場合に、前記流量センサに異常が発生したと判断する異常検出工程を備える
ことを特徴とする削減量算出装置のセンサ異常検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−251726(P2012−251726A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124897(P2011−124897)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(501418498)矢崎エナジーシステム株式会社 (79)