説明

前スリット部の開閉が容易なズボン

【課題】 本考案は、病気や怪我等で手の指を自由に動かせなくても容易に前スリット部を開閉できる前スリット部の開閉が容易なズボンを提供するものである。
【解決手段】 前スリット部16を挟んでウエスト部14の一方14Aには舌片部18が形成され、舌片部18には第1指挿入ループ部20が形成されている。この舌片部18の裏面18Aにはベルクロ(登録商標)の雄部22が取り付けられている。また、ウエスト部14の他方14Bにはベルクロ(登録商標)の雌部24が取り付けられている。前記スリット部16にはファスナー26が設けられ、ファスナー26のスライダー28には第2指挿入ループ部30が取り付けられている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案はズボンの前部に形成された前スリット部を容易に開閉することができる前スリット部の開閉が容易なズボンに関する。
【0002】
【従来の技術】
大部分のズボンの前部には上下方向に沿って前スリット部が設けられ、ズボンをはいたり脱いだりする場合に前記前スリット部を開くことによりズボンを容易にはいたり脱いだりできるようになっている。
ところで、従来、この前スリット部の多くにはファスナーが取り付けられて、前記前スリット部を開閉できるようになっている。
しかし、病気や怪我等が原因で手の指を自由に動かせない者は前記ファスナーのスライダーを指で掴むことが難しいため前スリット部の開閉が困難であるという不具合がある。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は上記事実に鑑みなされたものであり病気や怪我等で手の指を自由に動かせなくても容易に前スリット部を開閉することができる前スリット部の開閉が容易なズボンを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1の考案は、ズボンのウエスト部前部に上下方向に形成された前スリット部と、この前スリット部を挟んで前記ウエスト部の一方に突出状態で設けられると共に指を挿入できる第1指挿入ループ部が形成された舌片部と、この舌片部の裏面に設けられた係止体と、前記前スリット部を挟んで前記ウエスト部の他方に形成されて前記係止体と係止する被係止体と、前記前スリットに沿って設けられたファスナーと、このファスナーのスライダーに取り付けられた第2指挿入ループ部と、を有してなることを特徴としている。
請求項2の考案は、ズボンのウエスト部前部に上下方向に形成された前スリット部と、この前スリット部を挟んで前記ウエスト部の一方に突出状態で設けられると共に指を挿入できる第1指挿入ループ部が形成された舌片部と、この舌片部の裏面に設けられた係止体と、前記前スリット部を挟んで前記ウエスト部の他方に形成されて前記係止体と係止する被係止体と、前記前スリットに沿って設けられたファスナーと、このファスナーのスライダーに取り付けられた第2指挿入ループ部と、前記ウエスト部に設けられた飾りベルトと、を有してなることを特徴としている。
【0005】
【考案の実施の形態】
図1乃至図3には本考案に係る前スリット部の開閉が容易なズボンの第1実施例が示されている。
図1及び図2に示されるように、この前スリット部の開閉が容易なズボン10のズボン本体12のウエスト部14の前部には上下方向に沿って前スリット部16が形成されている。
図2に示されるように、この前スリット部16を挟んで前記ウエスト部14の一方14Aには舌片部18が突出状態で一体形成されている。この舌片部18はループ状に形成され指等を挿入できる第1指挿入ループ部20が形成されている。
図1及び図3に示されるように、前記舌片部18の裏面18Aには係止体としてのベルクロ(登録商標)の雄部22が取り付けられている。また、前記前スリット部16を挟んで前記ウエスト部14の他方14Bの表面には被係止体としてのベルクロ(登録商標)の雌部24が取り付けられている。前記ベルクロの雄部22は多数の鉤部から形成され、前記ベルクロの雌部24は多数のループ部から形成されている。これによりベルクロの雄部22と前記ベルクロの雌部24を押し付けるとベルクロの雄部22と前記ベルクロの雌部24は係止状態となり、ベルクロの雄部22と前記ベルクロの雌部24を離間方向に引っ張るとベルクロの雄部22と前記ベルクロの雌部24は係止解除となる。
図3に示されるように、前記前スリット部16には前スリット部16に沿って公知のファスナー26が設けられている。このファスナー26のスライダー28には指等を挿入することができる第2指挿入ループ部30が取り付けられている。
【0006】
次に、第1実施例の前スリット部の開閉が容易なズボン10の作用について説明する。
前記前スリット部16を開ける場合は、最初に指を舌片部18の第1指挿入ループ部20に挿入して舌片部18をベルクロの雌部24と離間方向に引っ張る。
すると、図3に示されるように、前記ベルクロの雄部22とベルクロの雌部24の係止が解除される。
そして、前記指挿入部20から指を抜いて、ファスナー26の第2指挿入ループ部30に指を挿入して指を下に下げるとスライダー28も下がるのでファスナー26が開くことにより前記前スリット部16を開くことができる。
前記前スリット部16を閉じる場合は、最初にファスナー26の第2指挿入ループ部30に指を挿入して指を上に上げるとスライダー28も上がるのでファスナー26を閉じることにより前記前スリット部16を閉じることができる。そして、指を第2指挿入ループ部30から抜いて、指を舌片部18の第1指挿入ループ部20に挿入して舌片部18をベルクロの雌部24と接近方向に引っ張る。すると、前記ベルクロファスナーの雄部22とベルクロファスナーの雌部24は係止される。
従って、この前スリット部の開閉が容易なズボン10においては前記第1指挿入ループ部20及び第2指挿入ループ部30に指を挿入すれば前記前スリット部16を開閉することができるので、病気や怪我等で手の指を自由に動かすことができない人でも容易に前スリット部16を開閉することができる。
【0007】
図4には本考案に係る前スリット部の開閉が容易なズボンの第2実施例が示されている。なお、第1実施例と同一の構成は同一の符号を用いてその説明を省略する。
第2実施例の前スリット部の開閉が容易なズボン40のズボン本体12のウエスト部14には閉めたり緩めたりしない飾りベルト42が設けられている。
従って、飾りベルト42を設けることにより、前スリット部の開閉が容易なズボン40を着用していても第三者には外観上通常のズボンを着用しているように見える。
なお、他の構成及び作用は第1実施例と同一であるのでその説明は省略する。
【0008】
なお、実施例では舌片部18をループ状に形成することにより第1指挿入ループ部20を一体形成したが、これに限定されるものではなく第1指挿入ループ部20を別途に形成して前記舌片部18に取り付けるようにしてもよいことは勿論である。
【0009】
【考案の効果】
請求項1の前スリット部の開閉が容易なズボンは、ウエスト部の舌片部に設けられた第1指挿入ループ部に指を入れて係止体と被係止体を係止、係止解除すると共にファスナーに設けられている第2指挿入ループ部に指を入れてファスナーのスライダーを上下移動させるだけでファスナーを開閉できるので病気や怪我等で手の指を自由に動かすことが困難な人でも容易にズボンの前スリット部を開閉できるという優れた効果を有する。
請求項2の前スリット部の開閉が容易なズボンは、上記効果の他に外観上通常のズボンと同じズボンを着用している印象を第三者に与えることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の前スリット部の開閉が容易なズボンの一部斜視図である。
【図2】第1実施例の前スリット部の開閉が容易なズボンの一部斜視図である。
【図3】第1実施例の前スリット部の開閉が容易なズボンの作用説明図である。
【図4】第2実施例の前スリット部の開閉が容易なズボンの一部斜視図である。
【符号の説明】
10 前スリット部の開閉が容易なズボン
12 ズボン本体
14 ウエスト部
16 前スリット部
18 舌片部
20 第1指挿入ループ部
22 ベルクロの雄部
24 ベルクロの雌部
26 ファスナー
30 第2指挿入ループ部
40 前スリット部の開閉が容易なズボン
42 飾りベルト

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】ズボンのウエスト部前部に上下方向に形成された前スリット部と、この前スリット部を挟んで前記ウエスト部の一方に突出状態で設けられると共に指を挿入できる第1指挿入ループ部が形成された舌片部と、この舌片部の裏面に設けられた係止体と、前記前スリット部を挟んで前記ウエスト部の他方に形成されて前記係止体と係止する被係止体と、前記前スリットに沿って設けられたファスナーと、このファスナーのスライダーに取り付けられた第2指挿入ループ部と 、を有してなることを特徴とする前スリット部の開閉が容易なズボン。
【請求項2】 ズボンのウエスト部前部に上下方向に形成された前スリット部と、この前スリット部を挟んで前記ウエスト部の一方に突出状態で設けられると共に指を挿入できる第1指挿入ループ部が形成された舌片部と、この舌片部の裏面に設けられた係止体と、前記前スリット部を挟んで前記ウエスト部の他方に形成されて前記係止体と係止する被係止体と、前記前スリットに沿って設けられたファスナーと、このファスナーのスライダーに取り付けられた第2指挿入ループ部と、前記ウエスト部に設けられた飾りベルトと、を有してなることを特徴とする前スリット部の開閉が容易なズボン。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【登録番号】第3062870号
【登録日】平成11年(1999)7月28日
【発行日】平成11年(1999)10月15日
【考案の名称】前スリット部の開閉が容易なズボン
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平11−2227
【出願日】平成11年(1999)4月7日
【出願人】(599047686)