剛体電車線の接続構造及び接続方法
【課題】 剛体電車線の本体同士を位置合わせ容易にし、高い施工精度で接続する。
【解決手段】 断面略Π 字形の剛体電車線本体1の接続部において、フランジ1a上には継目1g中心に延長方向対称に導電性の上部継目板2を、脚片1bの内側面には継目1g中心に延長方向対称に導電性の内側継目板3を、脚片1bの外側面とフランジ1aの下面には継目1g中心に延長方向対称に導電性の外側継目板4をボルト5,6,7で止める。一方の剛体電車線本体1に、継目板2,3、4をそれぞれ組み付けてから、継目板2,3,4間に他方の剛体電車線本体1の端部を挿入し、まず上部継目板2と外側継目板4を他方の剛体電車線本体1のフランジ1aにボルト5で締結し、次いで内側継目板3の上部と外側継目板4とを他方の剛体電車線本体1の脚片1bにボルト6で締結し、さらに内側継目板3の下部を他方の剛体電車線本体1の脚片1bにボルト7で締結する。
【解決手段】 断面略Π 字形の剛体電車線本体1の接続部において、フランジ1a上には継目1g中心に延長方向対称に導電性の上部継目板2を、脚片1bの内側面には継目1g中心に延長方向対称に導電性の内側継目板3を、脚片1bの外側面とフランジ1aの下面には継目1g中心に延長方向対称に導電性の外側継目板4をボルト5,6,7で止める。一方の剛体電車線本体1に、継目板2,3、4をそれぞれ組み付けてから、継目板2,3,4間に他方の剛体電車線本体1の端部を挿入し、まず上部継目板2と外側継目板4を他方の剛体電車線本体1のフランジ1aにボルト5で締結し、次いで内側継目板3の上部と外側継目板4とを他方の剛体電車線本体1の脚片1bにボルト6で締結し、さらに内側継目板3の下部を他方の剛体電車線本体1の脚片1bにボルト7で締結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、剛体電車線の接続構造と接続方法の改良に関し、現場での接続工事を簡易化しつつ、施工精度を向上させるものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、Π型剛体電車線と称される剛体電車線が記載されている。これを図11に示す。この剛体電車線の本体31は、上辺31aと、2本の脚辺31bと、下端のイヤ辺31cとから構成される。上辺31aの中央には可撓性薄肉部31dが設けられ、両脚辺31bは外開きに作られ、トロリ線Tを挿入後、ボルト32で締込可能である。本体31同士の接続部では、継目板33,34が両本体31,31にまたがって脚辺31bの内外側面にあてがわれ、ボルト35で各対応脚辺31bへ固着される。継目板33,34は短冊状で、本体31の上辺下面とイヤ辺上面との間の方形空間(溝)31eへはまり合う幅と、継目中心で左右対称の適当な長さを持ち、脚辺31bを挟んで、ボルト35で締付けられる。継目板33,34の上縁には、中央から長手方向左右に下がるテーパ33a,34aが設けられており、最大幅となる中央部で本体1の溝31eの幅と同じになるように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−9896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の剛体電車線においては、継目板33,34の最大幅と本体31の溝31eの幅に加工差があり、継目板33,34の最大幅の方が大きいときは、位置合わせを行うときに継目板の中央部をヤスリで削り、調整する必要がある。ヤスリによる削り代を余計に取ると、接続部に目違い(上下段差)や角折れ(上下屈折)が生じるおそれがある。継目板33,34の最大幅の方が小さいときも同様の現象が生じる。また無理矢理挿入すると、変形が生じて位置合わせができない。
したがって、この出願に係る発明は、剛体電車線の本体同士を接続する際の位置合わせが容易で、高い施工精度を確保することができ、また必要な電流容量と剛性を確保しつつ、可及的な軽量化が図れる剛体電車線の接続構造と接続方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するため、この出願に係る発明の接続構造は、上部の水平フランジ1aと、このフランジ1aから下方へ垂直に互いに平行に延出する一対の脚片1b,1bと、この脚片1bの下縁部に設けられ相互間にトロリ線Tを挟持する一対のイヤ片1c,1cとを具備する断面略Π 字形のアルミ製長尺型材からなる剛体電車線本体1の延長方向端同士を突き合わせた継目部分1gの接続構造である。本体1のフランジ1aは、端部付近に、延長方向に並んだ左右2列の複数のボルト孔1dを有する。本体1の脚片1bは、端部付近に、延長方向に並んだ上下2列の複数のボルト孔1eを有する。フランジ1a上に、継目1g中心に延長方向対称に導電性の上部継目板2がボルト止めされる。脚片1bの内側面に、継目1g中心に延長方向対称に導電性の内側継目板3がボルト止めされる。脚片1bの外側面とフランジ1aの下面に当接し、継目1g中心に延長方向対称に導電性の外側継目板4がボルト止めされる。上部継目板2は、フランジ1aの上面に重なる平滑な接合面2bを有する接合板2aと、この接合板2aの上面から垂直に起立して延長方向に延びるリブ2cとを具備する。接合板2aは、フランジ1aのボルト孔1dに対応するようにリブ2cの両側に沿って延長方向2列に並ぶ複数のボルト孔2dを有する。内側継目板3は、上縁がフランジ1aの下面に当接し、下縁がイヤ片1cの上面に当接する平板状で、脚片1bのボルト孔1e,1fに対応する上下2列のねじ孔3a,3bを有する。外側継目板4は、フランジ1aの下面に当接する水平片4aとこの水平片4aに直角に接合し脚片1bの外側面に当接する垂直片4bとを有し、水平片4aはフランジ1aの一方の列のボルト孔1dに対応する複数のねじ孔4cを有し、垂直片4bは脚片1bの上列のボルト孔1eに対応する複数のボルト孔4dを有する。上部継目板2と外側継目板4の水平片4aとは、上部継目板2のボルト孔2dとフランジ1aのボルト孔1dとを貫通して水平片4aのねじ孔4cに螺合される複数のボルト5によりフランジ1aを挟んで締め付けられる。外側継目板4の垂直片4bと内側継目板3とは、垂直片4bのボルト孔4dと脚片1bの上列のボルト孔1eとを貫通して内側継目板3の上列のねじ孔3aに螺合される複数のボルト6により脚片1bを挟んで締め付けられる。内側継目板3はさらに、脚片1bの下列のボルト孔1fを貫通して内側継目板3の下列のねじ孔3bに螺合される複数のボルト7により脚片1bの内側に締め付けられる。
剛体電車線本体1,1の接続作業は以下のように行われる。一方の剛体電車線本体1に、上部継目板2、一対の内側継目板3、一対の外側継目板4をあらかじめ組み付けて、それぞれボルト5,6,7で締結する。次いで、継目板2,3,4間に他方の剛体電車線本体1の端部を挿入して、一方の剛体電車線本体1の端に接合する。次いで、上部継目板2と外側継目板4を他方の剛体電車線本体1のフランジ1aにボルト5にて締結する。次いで、内側継目板3の上部と外側継目板4とを他方の剛体電車線本体1の脚片1bにボルト6にて締結し、さらに内側継目板3の下部を他方の剛体電車線本体1の脚片1bにボルト7にて締結する。
【発明の効果】
【0006】
この出願に係る発明の接続構造によれば、剛体電車線の本体同士を接続する際の位置合わせが容易で、高い施工精度を確保することができ、また必要な電流容量と剛性を確保しつつ、可及的な軽量化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】剛体電車線の接続部の斜視図である。
【図2】剛体電車線の接続部の断面図である。
【図3】剛体電車線の接続部の正面図である。
【図4】剛体電車線の接続部の平面図である。
【図5】内側継目板の正面図である。
【図6】剛体電車線の接続工程を示す斜視図である。
【図7】剛体電車線の接続工程を示す斜視図である。
【図8】剛体電車線の接続工程を示す斜視図である。
【図9】剛体電車線の接続工程を示す斜視図である。
【図10】剛体電車線の接続工程を示す斜視図である。
【図11】従来の剛体電車線の接続構造を示すもので、(A)は断面図、(B)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図4において、剛体電車線の本体1は、断面略Π字形のアルミ製長尺型材からなり、上部の水平フランジ1aと、このフランジ1aから下方へ垂直に互いに平行に延出する一対の脚片1bと、この脚片1bの下縁部に設けられ相互間にトロリ線Tを挟持する一対のイヤ片1c,1cとを具備する。剛体電車線の本体1は、延長方向端同士を突き合わせて接続される。図2に示すように、フランジ1aは、端部付近に、延長方向に並んだ左右2列の複数のボルト孔1dを有する。脚片1bは、端部付近に、延長方向に並んだ上下2列の複数のボルト孔1e,1fを有する。
本体1の端部同士を接続するために、上部継目板2、内側継目板3、外側継目板4の3種、5枚の継目板がボルト5,6,7で本体1に固着される。
上部継目板2は、アルミ製で、2つの本体の継目1g中心で延長方向対称の適当な長さを持ち、フランジ1a上にボルト5で締結される。上部継目板2は、フランジ1aの上面に重なる平滑な接合面2bを有する接合板2aと、この接合板2aの上面から垂直に起立して延長方向に延びるリブ2cとを具備する。リブ2cにより、高い剛性と共に、電流容量が確保される。接合板2aはフランジ1aのボルト孔1dに対応するようにリブ2cの両側に沿って延長方向2列に並ぶ複数のボルト孔2dを有する。
内側継目板3は、アルミ製で、矩形平板の下隅を斜めに切り欠いた形状(図5)であり、継目1g中心に延長方向対称の適当な長さを持つ。内側継目板3は、脚片1bのボルト孔1e,1fに対応する上下2列のねじ孔3a,3b(上列4個、下列2個)を有し、上縁がフランジ1aの下面に当接し、下縁がイヤ片1cの上面に当接した状態で、脚片1bの内側面にボルト6,7で締結される。
外側継目板4は、アルミ製で、互いに直角に接合する水平片4aと垂直片4bとを有する直角屈折板で構成され、継目1g中心に延長方向対称の適当な長さを持つ。水平片4aは、フランジ1aの一方の列のボルト孔1dに対応する複数のねじ孔4cを有し、平滑な上面がフランジ1aの下面に接合される。垂直片4bは、脚片1bの上列のボルト孔1eに対応する複数のボルト孔4dを有し、平滑な外面が脚片1bの外側面に接合される。なお、垂直片4bは、軽量化のため、上下幅を、全体に脚片1bの上下幅より小さくし、かつ両側に段部を設けて、両端部がより小幅となるようにしてある。外側継目板4は、直角屈折板で構成されるため、従来の平板状のものに比して高い強度を有するため、相対的に小型軽量化が可能である。上部継目板2と水平片4aとは、上部継目板2のボルト孔2dとフランジ1aのボルト孔1dとを貫通して水平片4aのねじ孔4cに螺合される複数のボルト5によりフランジ1aを挟んで締め付けられる。垂直片4bと内側継目板3とは、垂直片4bのボルト孔4dと脚片1bの上列のボルト孔1eとを貫通して内側継目板3の上列のねじ孔3aに螺合される複数のボルト6により、脚片1bを挟んで締め付けられる。内側継目板3は、さらに、脚片1bの下列のボルト孔1fを貫通して内側継目板3の下列のねじ孔3bに螺合される複数のボルト7により脚片1bの内側に締め付けられる。
5枚の継目板2,3,4により、十分な電流容量と、高い剛性が確保され、接続部に上下方向の折れや段差が生じることがない。
ボルト8,ナット9は、一対の脚片1b,1b間を締め付けるためのもので、脚片1b,1b間を閉じてイヤ片1c,1cでトロリ線Tを挟持する。
剛体電車線本体1の接続作業は以下手順で行われる。まず、図6に示すように、一方の剛体電車線本体1に、上部継目板2、一対の内側継目板3、一対の外側継目板4をあらかじめ組み付けて、それぞれボルト5,6,7で締結する。
次いで、図7に示すように、他方の剛体電車線本体1の端を、一方の剛体電車線本体1に取り付けた継ぎ目板2,3,4間に挿入するようにして、一方の剛体電車線本体1の端に接合する。
次いで、図8に示すように、上部継目板2の接合板2aと外側継目板4の水平片4aに挟まれた他方の剛体電車線本体1のフランジ1aをボルト5にて締め付ける。ここで、まず、本体1のフランジ1aを、上部継目板2の接合板2cに締め付けて、上下方向の確実な位置決めが行われることになる。
次いで、図9に示すように、内側継目板3の上部と外側継目板4とを、他方の剛体電車線本体1の脚片1bに、ボルト6にて締結し、さらに図10に示すように、内側継目板4の下部を残る1本のボルト7にて他方の剛体電車線本体の脚片1bに締結する。
【符号の説明】
【0009】
1 剛体電車線本体
1a 水平フランジ
1b 脚片
1c イヤ片
1d ボルト孔
1e ボルト孔
1f ボルト孔
1g 継目
2 上部継目板
2a 接合板
2b 接合面
2c リブ
2d ボルト孔
3 内側継目板
3a ねじ孔
3b ねじ孔
4 外側継目板
4a 水平片
4b 垂直片
4c ねじ孔
4d ボルト孔
5 ボルト
6 ボルト
7 ボルト
T トロリ線
【技術分野】
【0001】
この発明は、剛体電車線の接続構造と接続方法の改良に関し、現場での接続工事を簡易化しつつ、施工精度を向上させるものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、Π型剛体電車線と称される剛体電車線が記載されている。これを図11に示す。この剛体電車線の本体31は、上辺31aと、2本の脚辺31bと、下端のイヤ辺31cとから構成される。上辺31aの中央には可撓性薄肉部31dが設けられ、両脚辺31bは外開きに作られ、トロリ線Tを挿入後、ボルト32で締込可能である。本体31同士の接続部では、継目板33,34が両本体31,31にまたがって脚辺31bの内外側面にあてがわれ、ボルト35で各対応脚辺31bへ固着される。継目板33,34は短冊状で、本体31の上辺下面とイヤ辺上面との間の方形空間(溝)31eへはまり合う幅と、継目中心で左右対称の適当な長さを持ち、脚辺31bを挟んで、ボルト35で締付けられる。継目板33,34の上縁には、中央から長手方向左右に下がるテーパ33a,34aが設けられており、最大幅となる中央部で本体1の溝31eの幅と同じになるように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−9896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の剛体電車線においては、継目板33,34の最大幅と本体31の溝31eの幅に加工差があり、継目板33,34の最大幅の方が大きいときは、位置合わせを行うときに継目板の中央部をヤスリで削り、調整する必要がある。ヤスリによる削り代を余計に取ると、接続部に目違い(上下段差)や角折れ(上下屈折)が生じるおそれがある。継目板33,34の最大幅の方が小さいときも同様の現象が生じる。また無理矢理挿入すると、変形が生じて位置合わせができない。
したがって、この出願に係る発明は、剛体電車線の本体同士を接続する際の位置合わせが容易で、高い施工精度を確保することができ、また必要な電流容量と剛性を確保しつつ、可及的な軽量化が図れる剛体電車線の接続構造と接続方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するため、この出願に係る発明の接続構造は、上部の水平フランジ1aと、このフランジ1aから下方へ垂直に互いに平行に延出する一対の脚片1b,1bと、この脚片1bの下縁部に設けられ相互間にトロリ線Tを挟持する一対のイヤ片1c,1cとを具備する断面略Π 字形のアルミ製長尺型材からなる剛体電車線本体1の延長方向端同士を突き合わせた継目部分1gの接続構造である。本体1のフランジ1aは、端部付近に、延長方向に並んだ左右2列の複数のボルト孔1dを有する。本体1の脚片1bは、端部付近に、延長方向に並んだ上下2列の複数のボルト孔1eを有する。フランジ1a上に、継目1g中心に延長方向対称に導電性の上部継目板2がボルト止めされる。脚片1bの内側面に、継目1g中心に延長方向対称に導電性の内側継目板3がボルト止めされる。脚片1bの外側面とフランジ1aの下面に当接し、継目1g中心に延長方向対称に導電性の外側継目板4がボルト止めされる。上部継目板2は、フランジ1aの上面に重なる平滑な接合面2bを有する接合板2aと、この接合板2aの上面から垂直に起立して延長方向に延びるリブ2cとを具備する。接合板2aは、フランジ1aのボルト孔1dに対応するようにリブ2cの両側に沿って延長方向2列に並ぶ複数のボルト孔2dを有する。内側継目板3は、上縁がフランジ1aの下面に当接し、下縁がイヤ片1cの上面に当接する平板状で、脚片1bのボルト孔1e,1fに対応する上下2列のねじ孔3a,3bを有する。外側継目板4は、フランジ1aの下面に当接する水平片4aとこの水平片4aに直角に接合し脚片1bの外側面に当接する垂直片4bとを有し、水平片4aはフランジ1aの一方の列のボルト孔1dに対応する複数のねじ孔4cを有し、垂直片4bは脚片1bの上列のボルト孔1eに対応する複数のボルト孔4dを有する。上部継目板2と外側継目板4の水平片4aとは、上部継目板2のボルト孔2dとフランジ1aのボルト孔1dとを貫通して水平片4aのねじ孔4cに螺合される複数のボルト5によりフランジ1aを挟んで締め付けられる。外側継目板4の垂直片4bと内側継目板3とは、垂直片4bのボルト孔4dと脚片1bの上列のボルト孔1eとを貫通して内側継目板3の上列のねじ孔3aに螺合される複数のボルト6により脚片1bを挟んで締め付けられる。内側継目板3はさらに、脚片1bの下列のボルト孔1fを貫通して内側継目板3の下列のねじ孔3bに螺合される複数のボルト7により脚片1bの内側に締め付けられる。
剛体電車線本体1,1の接続作業は以下のように行われる。一方の剛体電車線本体1に、上部継目板2、一対の内側継目板3、一対の外側継目板4をあらかじめ組み付けて、それぞれボルト5,6,7で締結する。次いで、継目板2,3,4間に他方の剛体電車線本体1の端部を挿入して、一方の剛体電車線本体1の端に接合する。次いで、上部継目板2と外側継目板4を他方の剛体電車線本体1のフランジ1aにボルト5にて締結する。次いで、内側継目板3の上部と外側継目板4とを他方の剛体電車線本体1の脚片1bにボルト6にて締結し、さらに内側継目板3の下部を他方の剛体電車線本体1の脚片1bにボルト7にて締結する。
【発明の効果】
【0006】
この出願に係る発明の接続構造によれば、剛体電車線の本体同士を接続する際の位置合わせが容易で、高い施工精度を確保することができ、また必要な電流容量と剛性を確保しつつ、可及的な軽量化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】剛体電車線の接続部の斜視図である。
【図2】剛体電車線の接続部の断面図である。
【図3】剛体電車線の接続部の正面図である。
【図4】剛体電車線の接続部の平面図である。
【図5】内側継目板の正面図である。
【図6】剛体電車線の接続工程を示す斜視図である。
【図7】剛体電車線の接続工程を示す斜視図である。
【図8】剛体電車線の接続工程を示す斜視図である。
【図9】剛体電車線の接続工程を示す斜視図である。
【図10】剛体電車線の接続工程を示す斜視図である。
【図11】従来の剛体電車線の接続構造を示すもので、(A)は断面図、(B)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図4において、剛体電車線の本体1は、断面略Π字形のアルミ製長尺型材からなり、上部の水平フランジ1aと、このフランジ1aから下方へ垂直に互いに平行に延出する一対の脚片1bと、この脚片1bの下縁部に設けられ相互間にトロリ線Tを挟持する一対のイヤ片1c,1cとを具備する。剛体電車線の本体1は、延長方向端同士を突き合わせて接続される。図2に示すように、フランジ1aは、端部付近に、延長方向に並んだ左右2列の複数のボルト孔1dを有する。脚片1bは、端部付近に、延長方向に並んだ上下2列の複数のボルト孔1e,1fを有する。
本体1の端部同士を接続するために、上部継目板2、内側継目板3、外側継目板4の3種、5枚の継目板がボルト5,6,7で本体1に固着される。
上部継目板2は、アルミ製で、2つの本体の継目1g中心で延長方向対称の適当な長さを持ち、フランジ1a上にボルト5で締結される。上部継目板2は、フランジ1aの上面に重なる平滑な接合面2bを有する接合板2aと、この接合板2aの上面から垂直に起立して延長方向に延びるリブ2cとを具備する。リブ2cにより、高い剛性と共に、電流容量が確保される。接合板2aはフランジ1aのボルト孔1dに対応するようにリブ2cの両側に沿って延長方向2列に並ぶ複数のボルト孔2dを有する。
内側継目板3は、アルミ製で、矩形平板の下隅を斜めに切り欠いた形状(図5)であり、継目1g中心に延長方向対称の適当な長さを持つ。内側継目板3は、脚片1bのボルト孔1e,1fに対応する上下2列のねじ孔3a,3b(上列4個、下列2個)を有し、上縁がフランジ1aの下面に当接し、下縁がイヤ片1cの上面に当接した状態で、脚片1bの内側面にボルト6,7で締結される。
外側継目板4は、アルミ製で、互いに直角に接合する水平片4aと垂直片4bとを有する直角屈折板で構成され、継目1g中心に延長方向対称の適当な長さを持つ。水平片4aは、フランジ1aの一方の列のボルト孔1dに対応する複数のねじ孔4cを有し、平滑な上面がフランジ1aの下面に接合される。垂直片4bは、脚片1bの上列のボルト孔1eに対応する複数のボルト孔4dを有し、平滑な外面が脚片1bの外側面に接合される。なお、垂直片4bは、軽量化のため、上下幅を、全体に脚片1bの上下幅より小さくし、かつ両側に段部を設けて、両端部がより小幅となるようにしてある。外側継目板4は、直角屈折板で構成されるため、従来の平板状のものに比して高い強度を有するため、相対的に小型軽量化が可能である。上部継目板2と水平片4aとは、上部継目板2のボルト孔2dとフランジ1aのボルト孔1dとを貫通して水平片4aのねじ孔4cに螺合される複数のボルト5によりフランジ1aを挟んで締め付けられる。垂直片4bと内側継目板3とは、垂直片4bのボルト孔4dと脚片1bの上列のボルト孔1eとを貫通して内側継目板3の上列のねじ孔3aに螺合される複数のボルト6により、脚片1bを挟んで締め付けられる。内側継目板3は、さらに、脚片1bの下列のボルト孔1fを貫通して内側継目板3の下列のねじ孔3bに螺合される複数のボルト7により脚片1bの内側に締め付けられる。
5枚の継目板2,3,4により、十分な電流容量と、高い剛性が確保され、接続部に上下方向の折れや段差が生じることがない。
ボルト8,ナット9は、一対の脚片1b,1b間を締め付けるためのもので、脚片1b,1b間を閉じてイヤ片1c,1cでトロリ線Tを挟持する。
剛体電車線本体1の接続作業は以下手順で行われる。まず、図6に示すように、一方の剛体電車線本体1に、上部継目板2、一対の内側継目板3、一対の外側継目板4をあらかじめ組み付けて、それぞれボルト5,6,7で締結する。
次いで、図7に示すように、他方の剛体電車線本体1の端を、一方の剛体電車線本体1に取り付けた継ぎ目板2,3,4間に挿入するようにして、一方の剛体電車線本体1の端に接合する。
次いで、図8に示すように、上部継目板2の接合板2aと外側継目板4の水平片4aに挟まれた他方の剛体電車線本体1のフランジ1aをボルト5にて締め付ける。ここで、まず、本体1のフランジ1aを、上部継目板2の接合板2cに締め付けて、上下方向の確実な位置決めが行われることになる。
次いで、図9に示すように、内側継目板3の上部と外側継目板4とを、他方の剛体電車線本体1の脚片1bに、ボルト6にて締結し、さらに図10に示すように、内側継目板4の下部を残る1本のボルト7にて他方の剛体電車線本体の脚片1bに締結する。
【符号の説明】
【0009】
1 剛体電車線本体
1a 水平フランジ
1b 脚片
1c イヤ片
1d ボルト孔
1e ボルト孔
1f ボルト孔
1g 継目
2 上部継目板
2a 接合板
2b 接合面
2c リブ
2d ボルト孔
3 内側継目板
3a ねじ孔
3b ねじ孔
4 外側継目板
4a 水平片
4b 垂直片
4c ねじ孔
4d ボルト孔
5 ボルト
6 ボルト
7 ボルト
T トロリ線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部の水平フランジと、このフランジから下方へ垂直に互いに平行に延出する一対の脚片と、この脚片の下縁部に設けられ相互間にトロリ線を挟持する一対のイヤ片とを具備する断面略Π字形のアルミ製長尺型材からなる剛体電車線本体の延長方向端同士を突き合わせた継目部分を接続する構造であって、
前記本体のフランジは、端部付近に、延長方向に並んだ左右2列の複数のボルト孔を有し、
前記本体の脚片は、端部付近に、延長方向に並んだ上下2列の複数のボルト孔を有し、
前記フランジ上に、前記継目中心に延長方向対称にボルト止めされる導電性の上部継目板と、
前記脚片の内側面に、前記継目中心に延長方向対称にボルト止めされる導電性の内側継目板と、
前記脚片の外側面と前記フランジの下面とに、前記継目中心に延長方向対称にボルト止めされる導電性の外側継目板とを具備し、
前記上部継目板は、前記フランジの上面に重なる平滑な接合面を有する接合板と、この接合板の上面から垂直に起立して延長方向に延びるリブとを具備し、接合板は、前記フランジのボルト孔に対応するようにリブの両側に沿って延長方向2列に並ぶ複数のボルト孔をさらに有し、
前記内側継目板は、上縁が前記フランジの下面に当接し下縁が前記イヤ片の上面に当接する平板状で、前記脚片のボルト孔に対応する上下2列のねじ孔を有し、
前記外側継目板は、フランジの下面に当接する水平片と、この水平片と互いに直角に接合し脚片の外側面に当接する垂直片とを具備し、水平片は前記フランジの一方の列のボルト孔に対応する複数のねじ孔を有し、垂直片は前記脚片の上列のボルト孔に対応する複数のボルト孔を有し、
前記上部継目板と前記外側継目板の水平片とは、上部継目板のボルト孔と前記フランジのボルト孔とを貫通して水平片のねじ孔に螺合される複数のボルトによりフランジを挟んで締め付けられ、
前記外側継目板の垂直片と前記内側継目板とは、垂直片のボルト孔と前記脚片の上列のボルト孔とを貫通して内側継目板の上列のねじ孔に螺合される複数のボルトにより脚片を挟んで締め付けられ、
前記内側継目板はさらに、前記脚片の下列のボルト孔を貫通して内側継目板の下列のねじ孔に螺合される複数のボルトにより脚片の内側に締め付けられることを特徴とする剛体電車線の接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の接続構造を得るための剛体電車線の接続方法であって、
一方の剛体電車線本体に、上部継目板、一対の内側継目板、一対の外側継目板をあらかじめ組み付けて、それぞれボルトで締結するステップと、
他方の剛体電車線本体の端を前記一方の剛体電車線本体の端に接合するステップと、
上部継目板と外側継目板を他方の剛体電車線本体のフランジにボルトにて締結するステップと、
内側継目板の上部と外側継目板とを他方の剛体電車線本体の脚片にボルトにて締結するステップと、
内側継目板の下部を他方の剛体電車線本体の脚片にボルトにて締結するステップとを含むことを特徴とする剛体電車線の接続方法。
【請求項1】
上部の水平フランジと、このフランジから下方へ垂直に互いに平行に延出する一対の脚片と、この脚片の下縁部に設けられ相互間にトロリ線を挟持する一対のイヤ片とを具備する断面略Π字形のアルミ製長尺型材からなる剛体電車線本体の延長方向端同士を突き合わせた継目部分を接続する構造であって、
前記本体のフランジは、端部付近に、延長方向に並んだ左右2列の複数のボルト孔を有し、
前記本体の脚片は、端部付近に、延長方向に並んだ上下2列の複数のボルト孔を有し、
前記フランジ上に、前記継目中心に延長方向対称にボルト止めされる導電性の上部継目板と、
前記脚片の内側面に、前記継目中心に延長方向対称にボルト止めされる導電性の内側継目板と、
前記脚片の外側面と前記フランジの下面とに、前記継目中心に延長方向対称にボルト止めされる導電性の外側継目板とを具備し、
前記上部継目板は、前記フランジの上面に重なる平滑な接合面を有する接合板と、この接合板の上面から垂直に起立して延長方向に延びるリブとを具備し、接合板は、前記フランジのボルト孔に対応するようにリブの両側に沿って延長方向2列に並ぶ複数のボルト孔をさらに有し、
前記内側継目板は、上縁が前記フランジの下面に当接し下縁が前記イヤ片の上面に当接する平板状で、前記脚片のボルト孔に対応する上下2列のねじ孔を有し、
前記外側継目板は、フランジの下面に当接する水平片と、この水平片と互いに直角に接合し脚片の外側面に当接する垂直片とを具備し、水平片は前記フランジの一方の列のボルト孔に対応する複数のねじ孔を有し、垂直片は前記脚片の上列のボルト孔に対応する複数のボルト孔を有し、
前記上部継目板と前記外側継目板の水平片とは、上部継目板のボルト孔と前記フランジのボルト孔とを貫通して水平片のねじ孔に螺合される複数のボルトによりフランジを挟んで締め付けられ、
前記外側継目板の垂直片と前記内側継目板とは、垂直片のボルト孔と前記脚片の上列のボルト孔とを貫通して内側継目板の上列のねじ孔に螺合される複数のボルトにより脚片を挟んで締め付けられ、
前記内側継目板はさらに、前記脚片の下列のボルト孔を貫通して内側継目板の下列のねじ孔に螺合される複数のボルトにより脚片の内側に締め付けられることを特徴とする剛体電車線の接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の接続構造を得るための剛体電車線の接続方法であって、
一方の剛体電車線本体に、上部継目板、一対の内側継目板、一対の外側継目板をあらかじめ組み付けて、それぞれボルトで締結するステップと、
他方の剛体電車線本体の端を前記一方の剛体電車線本体の端に接合するステップと、
上部継目板と外側継目板を他方の剛体電車線本体のフランジにボルトにて締結するステップと、
内側継目板の上部と外側継目板とを他方の剛体電車線本体の脚片にボルトにて締結するステップと、
内側継目板の下部を他方の剛体電車線本体の脚片にボルトにて締結するステップとを含むことを特徴とする剛体電車線の接続方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−240830(P2011−240830A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115085(P2010−115085)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(000001890)三和テッキ株式会社 (134)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(000001890)三和テッキ株式会社 (134)
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