割りピン取付工具
【課題】割りピンを構成する第1ピン部および第2ピン部をまとめて曲げることができ、割りピンを螺子部材に容易に取り付ける割りピン取付工具を提供する。
【解決手段】割りピン取付工具1は第1クランプ部4および第2クランプ部5を備える。第1クランプ部4は対象物7の貫通孔73の入口74に対向可能に設けられ、対象物7の貫通孔73の出口75に係合する割りピン8の頭部80に当接して頭部80を支える第1挟持面40を有する。第2クランプ部5は対象物7の貫通孔73の出口75に対向可能に設けられ、第1ピン部81のうち対象物7の貫通孔73の出口75から露出する先端部81eと、第2ピン部82のうち対象物7の貫通孔73の出口75から露出する先端部82eとの双方に当接し、先端部81e,82eを同時にまたはほぼ同時に曲成可能な第2挟持面50を有する。
【解決手段】割りピン取付工具1は第1クランプ部4および第2クランプ部5を備える。第1クランプ部4は対象物7の貫通孔73の入口74に対向可能に設けられ、対象物7の貫通孔73の出口75に係合する割りピン8の頭部80に当接して頭部80を支える第1挟持面40を有する。第2クランプ部5は対象物7の貫通孔73の出口75に対向可能に設けられ、第1ピン部81のうち対象物7の貫通孔73の出口75から露出する先端部81eと、第2ピン部82のうち対象物7の貫通孔73の出口75から露出する先端部82eとの双方に当接し、先端部81e,82eを同時にまたはほぼ同時に曲成可能な第2挟持面50を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は割りピンを対象物に取り付ける割りピン取付工具に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界では、対象物の貫通孔に挿通される割りピンが広く使用されている。割りピンは、頭部と、頭部から一方向に沿って並設された第1ピン部および第2ピン部とを備える。割りピンを対象物の貫通孔に取り付けるにあたっては、まず、割りピンの第1ピン部および第2ピン部を対象物の貫通孔に入口から挿入させると共に、第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部を貫通孔の出口から露出させる。次に、貫通孔の出口から露出した第1ピン部の先端部をラジオペンチで摘んで外方に曲げると共に、貫通孔の出口から露出した第2ピン部の先端部をラジオペンチで摘んで外方に曲げる。
【0003】
しかしながら第1ピン部の先端部、第2ピン部の先端部を別々に曲げるため、作業時間を必要とする。更に第1ピン部の先端部の曲げ量、第2ピン部の先端部の曲げ量はかなり大きいため、作業精度を高めるには熟練を要する。また、曲げは手作業で行なわれるため、作業者毎の曲げ量、曲げ角度のバラツキが大きくなることがある。更にまた、作業の際に、割りピンの第1ピン部または第2ピン部を掴んでいるラジオペンチの先端が滑り、作業者が指を挟むといった不具合が生じるおそれがある。
【0004】
そこで、割りピンを対象物に容易に取り付け得る割りピン取付工具が開示されている(特許文献1)。この割りピン取付工具は、第1開閉部材および第2開閉部材を揺動可能に且つXの字形状に枢支し、第1開閉部材の先端部には小軸状をなす第1係止部を形成すると共に、第2開閉部材の先端部には小軸状をなす第2係止部を形成している。小軸状をなす第1係止部は、割りピンのリング状の頭部に挿入可能とされている。小軸状をなす第2係止部は、割りピンの第1ピン部および第2ピン部に係止しこれを曲げ得る。
【特許文献1】特開平9−155750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る割りピン取付工具によれば、割りピンを対象物の貫通孔に取り付けることができるものの、割りピンを構成する第1ピン部および第2ピン部を同時に曲げるものではなく、第1ピン部および第2ピン部を別々に曲げるものであり、作業工数が増加する。
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、割りピンを構成する第1ピン部および第2ピン部をまとめて曲げることができ、割りピンを対象物に容易に取り付ける割りピン取付工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る割りピン取付工具は、頭部と頭部から一方向に沿って並設された第1ピン部および第2ピン部とを備える割りピンを用い、割りピンの第1ピン部および第2ピン部を対象物の貫通孔に入口から挿入させて貫通孔の出口から露出させると共に頭部を貫通孔の入口の周縁に係合させた状態に割りピンを対象物に取り付ける割りピン取付工具であり、
対象物を挟むように設けられ互いに接近可能および離間可能な第1クランプ部および第2クランプ部とを備えており、第1クランプ部は、対象物の貫通孔の入口に対向可能に設けられ、対象物の貫通孔の入口に係合する割りピンの頭部に当接して頭部を支える第1挟持面を有しており、第2クランプ部は、対象物の貫通孔の出口に対向可能に設けられ、第1ピン部のうち対象物の貫通孔の出口から露出する先端部と第2ピン部のうち対象物の貫通孔の出口から露出する先端部との双方に当接し、双方の先端部を同時にまたはほぼ同時に外方に向けて曲成可能な第2挟持面を有することを特徴とするものである。
【0008】
割りピンは、頭部と、頭部から一方向に沿って並設された第1ピン部および第2ピン部とを備える。割りピンの頭部とは、対象物の貫通孔の入口に係合するものをいう。第1ピン部および第2ピン部とは頭部から一方向に沿って並設されているものをいう。
【0009】
割りピンを対象物に取り付けるにあたっては、割りピンの第1ピン部および第2ピン部を対象物の貫通孔に入口から挿入させて出口から露出させると共に、割りピンの頭部を貫通孔の入口の周縁に係合させた状態とする。この状態において、対象物を挟むように第1クランプ部および第2クランプ部を配置させる。ここで、第1クランプ部の第1挟持面は、対象物の貫通孔の入口に対向しており、対象物の貫通孔の入口に係合する割りピンの頭部に当接して頭部を支える。
【0010】
第2クランプ部の第2挟持面は、対象物の貫通孔の出口に対向しており、第1ピン部のうち対象物の貫通孔の出口から露出する先端部と、第2ピン部のうち対象物の貫通孔の出口から露出する先端部との双方に対向している。この状態において、第1クランプ部および第2クランプ部を互いに接近させる方向に相対移動させる。相対移動とは、第1クランプ部および第2クランプ部のうちの少なくとも一方が他方に対して移動することをいう。
【0011】
上記した相対移動の結果、第2クランプ部の第2挟持面は、第1ピンの先端部および第2ピンの双方の先端部を同時にまたはほぼ同時に外方に向けて曲げる。このように第2クランプ部の第2挟持面は、第1ピンの先端部および第2ピンの双方の先端部をまとめて曲げることができる。この結果、割りピンは対象物に取り付けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、対象物の貫通孔から露出した割りピンの第1ピンの先端部および第2ピンの双方の先端部をまとめて曲げることができる。この結果、割りピンは対象物に短時間のうちに簡便な操作で取り付けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好ましい形態によれば、第2クランプ部の第2挟持面は、対象物のうち貫通孔の出口側の表面部分の形状に沿った形状を有する。この場合、割りピンを構成する第1ピン部の先端部と第2ピン部の先端部を、対象物のうち貫通孔の出口側の表面部分の形状に沿った形状に曲げることができ、第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部により係止力を高めるのに有利となる。また本発明の好ましい形態によれば、第2クランプ部の第2挟持面は円弧凹状面を有する。
【0014】
対象物としては、割りピンを取り付けるものであれば特に限定されない。割りピンのうち対象物の貫通孔から露出する第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部の長さは、同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0015】
本発明の好ましい形態によれば割りピンの頭部の高さH(図1参照)を100%とするとき、第1クランプ部の第1挟持面が割りピンの頭部に当接するとき、第1クランプ部の第1挟持面が頭部の高さHのうち、上限として90%以下、80%以下、70%以下、下限として10%以上、20%以上、30%以上を覆うように設定されている。この場合、第1クランプ部と対象物との衝突、干渉を避けるのに有利である。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1について図1〜図9を参照して説明する。本実施例は、図3に示すように、車椅子の走行車輪の車軸に形成された軸芯P1を有する雄螺子部70を有する断面円形状の螺子部材7(対象物)にナット部材71を螺合させた状態で、螺子部材7の貫通孔73に割りピン8を取り付けるものである。割りピン8は、車軸の螺子部材7からナット部材71が離脱しないようにするストッパ機能を果たすものである。割りピン8は一般的には塑性変形可能な金属で形成されている。貫通孔73は螺子部材7の軸直角方向に沿って形成されている。
【0017】
図1に示すように、本実施例に係る割りピン取付工具1は、作業者の手指で操作する第1握り部20を端部に有する第1部材2と、手指で操作する第2握り部30を端部に有する第2部材3と、第1部材2の中間部および第2部材3の中間部を揺動可能に枢支する枢支軸部10とを備えている。図1に示すように、第1部材2の先端部2aおよび第2部材3の先端部3aがやや開いた状態では、第1部材2および第2部材3はXの字形状に配置されている。第1部材2の先端部2aには第1クランプ部4が一体的に設けられている。第2部材3の先端部3aには第2クランプ部5が一体的に設けられている。第1クランプ部4および第2クランプ部5は硬い金属またはセラミックスで形成されている。
【0018】
第1クランプ部4および第2クランプ部5は、螺子部材7をこれの軸直角方向に沿って挟み得るように設けられ、互いに接近可能および離間可能とされている。即ち、第1部材2の第1握り部20および第2部材3の第2握り部30を矢印K1方向に互いに接近させる方向に作動させれば、第1部材2および第2部材3は枢支軸部10を中心として揺動するため、第1クランプ部4および第2クランプ部5は、矢印K2方向に沿って移動して互いに接近し、螺子部材7をこれの軸直角方向にそって挟むことができる。また第1部材2の第1握り部20および第2部材3の第2握り部30を互いに遠ざける方向に矢印K3方向に作動させれば、第1クランプ部4および第2クランプ部5は螺子部材7から離れるように、矢印K4方向に移動して互いに遠ざかる。
【0019】
図4に示すように、割りピン8は金属で形成されており、穴80cを有するリング形状の頭部80と、頭部80から一方向に沿って並設された第1ピン部81および第2ピン部82とを備える。
【0020】
図6は本実施例に係る主要部を示す。図6に示すように、第1部材2の第1クランプ部4は、螺子部材7の貫通孔73の入口74に対向可能に設けられており、第1挟持面40と、第1挟持面40に連接された主面44とを有する。第1挟持面40は主面44よりも凹んでおり、割りピン8の頭部80の形状に沿った形状となるように断面で円弧凹形状に曲成されている。従って、第1挟持面40は、螺子部材7の貫通孔73の入口74の周縁に係合する位置する割りピン8の頭部80に当接し、頭部80を支えることができる。なお、第1挟持面40の割りピン8の頭部80との間には隙間42が生成されるように形成されている。隙間42が形成されているため、頭部80の径サイズが変更されても、第1クランプ部4は第1挟持面40は割りピン8の頭部80を良好に支持することができる。
【0021】
図8および図9に示すように、螺子部材7では、貫通孔73の入口74には円錐面形状をなす面取面77が形成されていない場合、面取面77が形成されている場合がある。面取面77の存在の有無により、割りピン8の頭部80が螺子部材7の外縁7fから沈む量が相違することがある。この点本実施例によれば、図8および図9に示すように、第1クランプ部4の第1挟持面40が割りピン8の頭部80の先端80tに部分的に当接するとき、第1挟持面40が割りピン8の頭部80のうち約半分程度を包囲できるように、第1挟持面40の曲率および深さは設定されている。
【0022】
換言すると、図8及び図9に示すように、第1クランプ部4の主面44を繋ぐ仮想線M1は割りピン8の頭部80の中心W1と合致するか、あるいは、中心W1近傍に位置している。つまり、割りピン8の頭部80の高さH(図1参照)を100%とするとき、第1クランプ部4の第1挟持面40が割りピン8の頭部80の先端80tに部分的に当接するとき、第1クランプ部4の第1挟持面40が頭部80の高さH(図1参照)のうちの70%以下または60%以下を覆うように設定されている。この結果、図8に示すように貫通孔73の入口74に面取面77が形成されていない場合においても、図9に示すように貫通孔73の入口74に面取面77が形成されている場合においても、第1クランプ部4の主面44が螺子部材7の外縁7fに衝突、干渉することを防止することができる。従って、第1クランプ部4および第2クランプ部5によるクランプ作用を良好に達成できる。
【0023】
図2および図6に示すように、第2部材3の第2クランプ部5は、第1挟持面40に対向可能な第2挟持面50を有する。図6に示すように、第2クランプ部5の第2挟持面50は、螺子部材7の貫通孔73の出口75に対向可能に設けられ、螺子部材7のうち貫通孔73の出口75側の表面部分75uの断面形状(円弧凸形状)に沿った断面形状を有する。具体的には、図6に示すように、貫通孔73の出口75側の表面部分75uの断面形状は円弧凸状面78で形成されているため、第2クランプ部5の第2挟持面50は、円弧凸状面78を覆うような円弧凹状面をなしている。
【0024】
ここで、図6に示すように、貫通孔73の出口75側の表面部分75uの断面形状が円形状をなす円弧凸状面78で形成されており、その円弧凸状面78の曲率半径がRAであり、割りピン8の第1ピン部81の先端部81eまたは第2ピン部82の先端部82eの肉厚がT1である場合には、第2挟持面50を構成する円弧凹状面の曲率半径RBは、RAおよびT1の和と同じかそれ以上の寸法に設定されている(RB≧RA+T1)ことが好ましい。
【0025】
本実施例によれば、図6に示すように、第2クランプ部5の幅D2は第1クランプ部4の幅D1よりも大きく設定されている。ここで、第1クランプ部4の幅D1は割りピン8の頭部80の幅M1よりも大きく設定されている(M1<D1<D2)。これにより第1クランプ部4が割りピン8の頭部80を支持する支持性を高めるのに有利である。また、螺子部材7の貫通孔73に挿入された第1ピン部81のうち貫通孔73の出口75から露出した露出長さをL1とし、螺子部材7の貫通孔73に挿入された第2ピン部82のうち貫通孔73の出口75から露出した露出長さをL2とすると、第2クランプ部5の幅D2はL1とL2の和よりも大きく設定されている(D2>L1+L2)。これにより第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eを効果的に曲げるのに有利である。
【0026】
さて、貫通孔73を有する螺子部材7(対象物)を用い、割りピン8を螺子部材7の貫通孔73に取り付ける作業について説明する。この場合、図4に示すように、指先等で割りピン8の第1ピン部81および第2ピン部82を螺子部材7の貫通孔73の入口74から貫通孔73内に挿入させる。この状態では、図4に示すように、割りピン8の頭部80は螺子部材7の貫通孔73の入口74の内径よりも大きいため、螺子部材7の貫通孔73内に挿入されず、貫通孔73の入口74の周縁に係合する。また、図4に示すように、第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eの双方は、螺子部材7の貫通孔73の出口75から露出している。なお、貫通孔73の出口75から露出する先端部82eおよび先端部81eを比較すると、先端部82eは先端部81eよりも短くされているが、これに限定されるものではなく、同じ長さとしても良い。そして図5に示すように、第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eを外方(矢印B1方向)に向けて予めV字形状に若干曲げておく。この場合、本実施例に係る割りピン取付工具を用いても良いし、別の工具あるいは指先を用いても良い。
【0027】
次に、第1部材2の第1握り部20および第2部材3の第2握り部30を手指で掴んだ状態で作動させ、図6に示すように、第1クランプ部4および第2クランプ部5で螺子部材7をこれの軸直角方向において挟むように、第1クランプ部4および第2クランプ部5を互いに接近させる方向(矢印A1方向)に割りピン取付工具1を作動させる。
【0028】
この結果、図6および図7から理解できるように、第1クランプ部4の円弧凹形状の第1挟持面40が割りピン8の頭部80を支えると共に、割りピン8の第1ピン部81のうち螺子部材7の貫通孔73の出口75から露出する先端部81eと、第2ピン部82のうち螺子部材7の貫通孔73の出口75から露出する先端部82eとの双方に、第2クランプ部5の第2挟持面50が当接する。
【0029】
更に、第1クランプ部4および第2クランプ部5が互いに接近するように矢印A1方向に操作されると、第2クランプ部5の第2挟持面50が双方の先端部81e,82eをほぼ同時にまたはほぼ同時に外方に向けてLの字形状に更に曲げる。この結果、第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eをまとめて曲げることができるので、先端部81eおよび先端部82eを螺子部材7の貫通孔73の出口75の周縁にLの字形状に同時にまたはほぼ同時に係合させることができる。このように先端部81eおよび先端部82eの双方をまとめて曲げることができるため、割りピン8を螺子部材7に短時間のうちに簡便に取り付けることができる。このため車軸に形成された雄螺子部70の螺子部分の損傷が抑制される。なお、第1ピン部81の先端部81eは第2ピン部82の先端部82eよりも長いため、第2クランプ部5の第2挟持面50により第1ピン部81の先端部81eが曲げられた後に、第2ピン部82の先端部82eが曲げられる。
【0030】
上記したように本実施例によれば、割りピン8の第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eをまとめて曲げて、つまり、同時にまたはほぼ同時に曲げて、貫通孔73の出口75の周縁に係合させることができるため、作業が簡便であり、作業時間を短縮させ得る。更に、第1クランプ部4および第2クランプ部5を互いに接近されるだけの簡便な作業操作で良いため、かしめ操作に不慣れな作業者であっても、ラジオペンチ等の工具で誤って作業者の指を挟むといった不具合を抑制できる。
【0031】
第1挟持面40は円弧凹形状をなしているため、第1クランプ部4が割りピン8の頭部80を加圧する力が大きい場合であっても、割りピン8の頭部80に対する支持性を高めることができ、頭部80が第1挟持面40から外れることを避けることができ、従って第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eを良好に曲げることができる。
【0032】
また本実施例によれば、第2クランプ部5の第2挟持面50は、螺子部材7のうち貫通孔73の出口75側の表面部分75uの形状(円弧凸形状面78)に沿った形状を有する。即ち、第2クランプ部5の第2挟持面50の断面は、螺子部材7のうち貫通孔73の出口75側の表面部分75uの断面形状(円弧凸形状面78)に嵌まるように、円弧凹状面をなしている(図6参照)。このため、割りピン8を構成する第1ピン部81の先端部81eと第2ピン部82の先端部82eを、螺子部材7の貫通孔73の出口75側の表面部分75uの形状に沿った形状に効果的に曲げることができる。このため、第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eを、螺子部材7の貫通孔73の出口75側の表面部分75uに密着させ、第1ピン部81および第2ピン部82による係止力を高めるのに有利となる。
【0033】
即ち、螺子部材7のうち貫通孔73の出口75側の表面部分75uと割りピン8の第1ピン部81の先端部81eとの間における隙間を消失させることができる。また、螺子部材7のうち貫通孔73の出口75側の表面部分75uと割りピン8の第2ピン部82の先端部82eとの間における隙間を消失させることができる。この結果、螺子部材7の貫通孔73に取り付けた割りピン8のがたつきを抑制することができ、割りピン8による係止力を高めることができる。
【0034】
本実施例によれば、前述したように、第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eを螺子部材7の貫通孔73の出口75の周縁に短時間のうちに簡便に係止させることができるため、割りピン8や螺子部材7の損傷を抑えることができる。従って、割りピン8や螺子部材7にメッキ膜や塗装膜等の被膜が施されているときであっても、被膜の損傷を抑制することができる。
【実施例2】
【0035】
本発明の実施例2について図10を参照して説明する。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。図10に示すように、本実施例に係る割りピン取付工具1は、手指で操作する第1握り部20を有する第1部材2と、手指で操作する第2握り部30を有する第2部材3と、第1部材2の中間部および第2部材3の中間部を揺動可能に枢支する枢支軸部10とを備えている。第1部材2の先端部2aには第1クランプ部4が着脱可能に第1取付具2mにより設けられている。第2部材3の先端部3aには第2クランプ部5が着脱可能に第2取付具3mにより設けられている。第1クランプ部4および第2クランプ部5は、割りピン8のサイズに応じて複数のサイズが用意されている。そして、割りピン8のサイズの変更に応じて、第1クランプ部4を第1部材2に対して交換すると共に、第2クランプ部5を第2部材3に対して交換することができる。
【実施例3】
【0036】
本発明の実施例3について図11を参照して説明する。本実施例は実施例1または実施例2と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、実施例1,2と相違する部分を中心として説明する。対象物7Aは、貫通孔73と、貫通孔73の入口74側の平坦状の第1面74xと、貫通孔73の出口75側の平坦状の第2面75xとを備えている。第2部材3の第2クランプ部5に形成されている第2挟持面50は、平坦状の第2面75xに対応するように平坦状とされている。つまり、第2クランプ部5の第2挟持面50Aは、貫通孔73の出口75側の表面部分75uの形状に沿った形状とされており、この結果、第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eを螺子部材7の貫通孔73の出口75の周縁にほぼ90度にLの字形状に曲げて係止させる。
【実施例4】
【0037】
本発明の実施例4について図12を参照して説明する。本実施例は実施例1または実施例2と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、実施例1,2と相違する部分を中心として説明する。第2部材3の第2クランプ部5は、第1挟持面40に対向可能な第2挟持面50Bを有する。図12に示すように、第2クランプ部5の第2挟持面50Bは、螺子部材7の貫通孔73の出口75に対向可能に設けられており、第2クランプ部5の中央に位置する平坦状をなす中央領域面501と、第2クランプ部5の端に位置する傾斜状の端領域面502とを備えている。
【実施例5】
【0038】
本発明の実施例5について図13を参照して説明する。本実施例は実施例1または実施例2と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、実施例1,2と相違する部分を中心として説明する。第2部材3の第2クランプ部5は、第1挟持面40に対向可能な第2挟持面50を有する。図13に示すように、第2クランプ部5の第2挟持面50は、螺子部材7のうち貫通孔73の出口75側の表面部分75uの断面形状(円弧凸形状)に沿った断面形状を有する。具体的には、図13に示すように、貫通孔73の出口75側の表面部分75uの断面形状は円弧凸状面78で形成されているため、第2クランプ部5の第2挟持面50は、円弧凸状面78を覆うような円弧凹状面をなしている。
【0039】
更に、第2挟持面50は、退避空間520と、退避空間520にバネなどの付勢部材522で保持された断面円形状の係合体524とを有する。退避空間520は係合体524を収容できる容積とされている。係合体524は断面円弧凸形状をなす外壁面526を有する。そして、第1クランプ部4および第2クランプ部5をクランプする前では、係合体524は第2挟持面50よりも僅かに突出しているため、係合体524の外壁面526は、第1ピン部81の先端部81eと第2ピン部82の先端部82eとを拡開方向に押し広げる作用を有する。また、第1クランプ部4および第2クランプ部5がクランプされると、係合体524は退避空間520内に自動的に退避する。故に、実施例1の場合と同様に、第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eを、螺子部材7の貫通孔73の出口75側の表面部分75uに密着させることができ、第1ピン部81および第2ピン部82による係止力を高めるのに有利となる。
【0040】
(適用例)
図14は車椅子に適用した適用例を示す。車椅子は、着座部100および背もたれ部101を有するフレーム102と、アームレスト103と、スポーク104およびタイヤ105を有する走行車輪106と、前輪107と、フットレスト108、操作部109とを備えている。走行車輪106の車軸に形成された軸芯P1を有する雄螺子部70を有する螺子部材7(対象物)にナット部材71を螺合させた状態で、螺子部材7の貫通孔73に割りピン8を取り付けるものである。割りピン8は、走行車輪106が回転するときにおいても、車軸の螺子部材7からナット部材71が離脱しないようにするストッパ機能を果たすものである。
【0041】
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した実施例および適用例のみに限定されるものではなく、対象物としては、割りピンを取り付けるものであれば何でも良く、車椅子以外の車軸以外の用途、産業機械、車両機器、家庭用機器等においても適用できる等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は割りピンを対象物に取り付ける割りピン取付工具に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1に係り、割りピン取付工具を示す側面図である。
【図2】第1クランプ部および第2クランプ部を示す断面図である。
【図3】螺子部材に割りピンが取り付けられている状態を示す断面図である。
【図4】螺子部材の貫通孔に割りピンを挿入している状態を示す断面図である。
【図5】螺子部材の貫通孔に挿入した割りピンの第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部を予め僅かに曲げている状態を示す断面図である。
【図6】螺子部材の貫通孔に挿入した割りピンの第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部を第1クランプ部および第2クランプ部により曲げる状態を示す断面図である。
【図7】螺子部材の貫通孔に挿入した割りピンの第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部を第1クランプ部および第2クランプ部により曲げた状態を示す断面図である。
【図8】面取面を有しない貫通孔に挿入した割りピンの頭部に第1クランプ部の第1挟持面を当てている状態を示す断面図である。
【図9】面取面を有する貫通孔に挿入した割りピンの頭部に第1クランプ部の第1挟持面を当てている状態を示す断面図である。
【図10】実施例2に係り、割りピン取付工具を示す側面図である。
【図11】実施例3に係り、螺子部材の貫通孔に挿入した割りピンの第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部を第1クランプ部および第2クランプ部により曲げる状態を示す断面図である。
【図12】実施例4に係り、螺子部材の貫通孔に挿入した割りピンの第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部を第1クランプ部および第2クランプ部により曲げる状態を示す断面図である。
【図13】実施例5に係り、螺子部材の貫通孔に挿入した割りピンの第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部を第1クランプ部および第2クランプ部により曲げる状態を示す断面図である。
【図14】適用例に係り、車椅子の側面図である。
【符号の説明】
【0044】
図中、1は割りピン取付工具、2は第1部材、3は第2部材、4は第1クランプ部、40は第1挟持面、5は第2クランプ部、50は第2挟持面、7は螺子部材(対象物)、73は貫通孔、8は割りピン、80は頭部、81は第1ピン部、82は第2ピン部を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は割りピンを対象物に取り付ける割りピン取付工具に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界では、対象物の貫通孔に挿通される割りピンが広く使用されている。割りピンは、頭部と、頭部から一方向に沿って並設された第1ピン部および第2ピン部とを備える。割りピンを対象物の貫通孔に取り付けるにあたっては、まず、割りピンの第1ピン部および第2ピン部を対象物の貫通孔に入口から挿入させると共に、第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部を貫通孔の出口から露出させる。次に、貫通孔の出口から露出した第1ピン部の先端部をラジオペンチで摘んで外方に曲げると共に、貫通孔の出口から露出した第2ピン部の先端部をラジオペンチで摘んで外方に曲げる。
【0003】
しかしながら第1ピン部の先端部、第2ピン部の先端部を別々に曲げるため、作業時間を必要とする。更に第1ピン部の先端部の曲げ量、第2ピン部の先端部の曲げ量はかなり大きいため、作業精度を高めるには熟練を要する。また、曲げは手作業で行なわれるため、作業者毎の曲げ量、曲げ角度のバラツキが大きくなることがある。更にまた、作業の際に、割りピンの第1ピン部または第2ピン部を掴んでいるラジオペンチの先端が滑り、作業者が指を挟むといった不具合が生じるおそれがある。
【0004】
そこで、割りピンを対象物に容易に取り付け得る割りピン取付工具が開示されている(特許文献1)。この割りピン取付工具は、第1開閉部材および第2開閉部材を揺動可能に且つXの字形状に枢支し、第1開閉部材の先端部には小軸状をなす第1係止部を形成すると共に、第2開閉部材の先端部には小軸状をなす第2係止部を形成している。小軸状をなす第1係止部は、割りピンのリング状の頭部に挿入可能とされている。小軸状をなす第2係止部は、割りピンの第1ピン部および第2ピン部に係止しこれを曲げ得る。
【特許文献1】特開平9−155750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る割りピン取付工具によれば、割りピンを対象物の貫通孔に取り付けることができるものの、割りピンを構成する第1ピン部および第2ピン部を同時に曲げるものではなく、第1ピン部および第2ピン部を別々に曲げるものであり、作業工数が増加する。
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、割りピンを構成する第1ピン部および第2ピン部をまとめて曲げることができ、割りピンを対象物に容易に取り付ける割りピン取付工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る割りピン取付工具は、頭部と頭部から一方向に沿って並設された第1ピン部および第2ピン部とを備える割りピンを用い、割りピンの第1ピン部および第2ピン部を対象物の貫通孔に入口から挿入させて貫通孔の出口から露出させると共に頭部を貫通孔の入口の周縁に係合させた状態に割りピンを対象物に取り付ける割りピン取付工具であり、
対象物を挟むように設けられ互いに接近可能および離間可能な第1クランプ部および第2クランプ部とを備えており、第1クランプ部は、対象物の貫通孔の入口に対向可能に設けられ、対象物の貫通孔の入口に係合する割りピンの頭部に当接して頭部を支える第1挟持面を有しており、第2クランプ部は、対象物の貫通孔の出口に対向可能に設けられ、第1ピン部のうち対象物の貫通孔の出口から露出する先端部と第2ピン部のうち対象物の貫通孔の出口から露出する先端部との双方に当接し、双方の先端部を同時にまたはほぼ同時に外方に向けて曲成可能な第2挟持面を有することを特徴とするものである。
【0008】
割りピンは、頭部と、頭部から一方向に沿って並設された第1ピン部および第2ピン部とを備える。割りピンの頭部とは、対象物の貫通孔の入口に係合するものをいう。第1ピン部および第2ピン部とは頭部から一方向に沿って並設されているものをいう。
【0009】
割りピンを対象物に取り付けるにあたっては、割りピンの第1ピン部および第2ピン部を対象物の貫通孔に入口から挿入させて出口から露出させると共に、割りピンの頭部を貫通孔の入口の周縁に係合させた状態とする。この状態において、対象物を挟むように第1クランプ部および第2クランプ部を配置させる。ここで、第1クランプ部の第1挟持面は、対象物の貫通孔の入口に対向しており、対象物の貫通孔の入口に係合する割りピンの頭部に当接して頭部を支える。
【0010】
第2クランプ部の第2挟持面は、対象物の貫通孔の出口に対向しており、第1ピン部のうち対象物の貫通孔の出口から露出する先端部と、第2ピン部のうち対象物の貫通孔の出口から露出する先端部との双方に対向している。この状態において、第1クランプ部および第2クランプ部を互いに接近させる方向に相対移動させる。相対移動とは、第1クランプ部および第2クランプ部のうちの少なくとも一方が他方に対して移動することをいう。
【0011】
上記した相対移動の結果、第2クランプ部の第2挟持面は、第1ピンの先端部および第2ピンの双方の先端部を同時にまたはほぼ同時に外方に向けて曲げる。このように第2クランプ部の第2挟持面は、第1ピンの先端部および第2ピンの双方の先端部をまとめて曲げることができる。この結果、割りピンは対象物に取り付けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、対象物の貫通孔から露出した割りピンの第1ピンの先端部および第2ピンの双方の先端部をまとめて曲げることができる。この結果、割りピンは対象物に短時間のうちに簡便な操作で取り付けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好ましい形態によれば、第2クランプ部の第2挟持面は、対象物のうち貫通孔の出口側の表面部分の形状に沿った形状を有する。この場合、割りピンを構成する第1ピン部の先端部と第2ピン部の先端部を、対象物のうち貫通孔の出口側の表面部分の形状に沿った形状に曲げることができ、第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部により係止力を高めるのに有利となる。また本発明の好ましい形態によれば、第2クランプ部の第2挟持面は円弧凹状面を有する。
【0014】
対象物としては、割りピンを取り付けるものであれば特に限定されない。割りピンのうち対象物の貫通孔から露出する第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部の長さは、同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0015】
本発明の好ましい形態によれば割りピンの頭部の高さH(図1参照)を100%とするとき、第1クランプ部の第1挟持面が割りピンの頭部に当接するとき、第1クランプ部の第1挟持面が頭部の高さHのうち、上限として90%以下、80%以下、70%以下、下限として10%以上、20%以上、30%以上を覆うように設定されている。この場合、第1クランプ部と対象物との衝突、干渉を避けるのに有利である。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1について図1〜図9を参照して説明する。本実施例は、図3に示すように、車椅子の走行車輪の車軸に形成された軸芯P1を有する雄螺子部70を有する断面円形状の螺子部材7(対象物)にナット部材71を螺合させた状態で、螺子部材7の貫通孔73に割りピン8を取り付けるものである。割りピン8は、車軸の螺子部材7からナット部材71が離脱しないようにするストッパ機能を果たすものである。割りピン8は一般的には塑性変形可能な金属で形成されている。貫通孔73は螺子部材7の軸直角方向に沿って形成されている。
【0017】
図1に示すように、本実施例に係る割りピン取付工具1は、作業者の手指で操作する第1握り部20を端部に有する第1部材2と、手指で操作する第2握り部30を端部に有する第2部材3と、第1部材2の中間部および第2部材3の中間部を揺動可能に枢支する枢支軸部10とを備えている。図1に示すように、第1部材2の先端部2aおよび第2部材3の先端部3aがやや開いた状態では、第1部材2および第2部材3はXの字形状に配置されている。第1部材2の先端部2aには第1クランプ部4が一体的に設けられている。第2部材3の先端部3aには第2クランプ部5が一体的に設けられている。第1クランプ部4および第2クランプ部5は硬い金属またはセラミックスで形成されている。
【0018】
第1クランプ部4および第2クランプ部5は、螺子部材7をこれの軸直角方向に沿って挟み得るように設けられ、互いに接近可能および離間可能とされている。即ち、第1部材2の第1握り部20および第2部材3の第2握り部30を矢印K1方向に互いに接近させる方向に作動させれば、第1部材2および第2部材3は枢支軸部10を中心として揺動するため、第1クランプ部4および第2クランプ部5は、矢印K2方向に沿って移動して互いに接近し、螺子部材7をこれの軸直角方向にそって挟むことができる。また第1部材2の第1握り部20および第2部材3の第2握り部30を互いに遠ざける方向に矢印K3方向に作動させれば、第1クランプ部4および第2クランプ部5は螺子部材7から離れるように、矢印K4方向に移動して互いに遠ざかる。
【0019】
図4に示すように、割りピン8は金属で形成されており、穴80cを有するリング形状の頭部80と、頭部80から一方向に沿って並設された第1ピン部81および第2ピン部82とを備える。
【0020】
図6は本実施例に係る主要部を示す。図6に示すように、第1部材2の第1クランプ部4は、螺子部材7の貫通孔73の入口74に対向可能に設けられており、第1挟持面40と、第1挟持面40に連接された主面44とを有する。第1挟持面40は主面44よりも凹んでおり、割りピン8の頭部80の形状に沿った形状となるように断面で円弧凹形状に曲成されている。従って、第1挟持面40は、螺子部材7の貫通孔73の入口74の周縁に係合する位置する割りピン8の頭部80に当接し、頭部80を支えることができる。なお、第1挟持面40の割りピン8の頭部80との間には隙間42が生成されるように形成されている。隙間42が形成されているため、頭部80の径サイズが変更されても、第1クランプ部4は第1挟持面40は割りピン8の頭部80を良好に支持することができる。
【0021】
図8および図9に示すように、螺子部材7では、貫通孔73の入口74には円錐面形状をなす面取面77が形成されていない場合、面取面77が形成されている場合がある。面取面77の存在の有無により、割りピン8の頭部80が螺子部材7の外縁7fから沈む量が相違することがある。この点本実施例によれば、図8および図9に示すように、第1クランプ部4の第1挟持面40が割りピン8の頭部80の先端80tに部分的に当接するとき、第1挟持面40が割りピン8の頭部80のうち約半分程度を包囲できるように、第1挟持面40の曲率および深さは設定されている。
【0022】
換言すると、図8及び図9に示すように、第1クランプ部4の主面44を繋ぐ仮想線M1は割りピン8の頭部80の中心W1と合致するか、あるいは、中心W1近傍に位置している。つまり、割りピン8の頭部80の高さH(図1参照)を100%とするとき、第1クランプ部4の第1挟持面40が割りピン8の頭部80の先端80tに部分的に当接するとき、第1クランプ部4の第1挟持面40が頭部80の高さH(図1参照)のうちの70%以下または60%以下を覆うように設定されている。この結果、図8に示すように貫通孔73の入口74に面取面77が形成されていない場合においても、図9に示すように貫通孔73の入口74に面取面77が形成されている場合においても、第1クランプ部4の主面44が螺子部材7の外縁7fに衝突、干渉することを防止することができる。従って、第1クランプ部4および第2クランプ部5によるクランプ作用を良好に達成できる。
【0023】
図2および図6に示すように、第2部材3の第2クランプ部5は、第1挟持面40に対向可能な第2挟持面50を有する。図6に示すように、第2クランプ部5の第2挟持面50は、螺子部材7の貫通孔73の出口75に対向可能に設けられ、螺子部材7のうち貫通孔73の出口75側の表面部分75uの断面形状(円弧凸形状)に沿った断面形状を有する。具体的には、図6に示すように、貫通孔73の出口75側の表面部分75uの断面形状は円弧凸状面78で形成されているため、第2クランプ部5の第2挟持面50は、円弧凸状面78を覆うような円弧凹状面をなしている。
【0024】
ここで、図6に示すように、貫通孔73の出口75側の表面部分75uの断面形状が円形状をなす円弧凸状面78で形成されており、その円弧凸状面78の曲率半径がRAであり、割りピン8の第1ピン部81の先端部81eまたは第2ピン部82の先端部82eの肉厚がT1である場合には、第2挟持面50を構成する円弧凹状面の曲率半径RBは、RAおよびT1の和と同じかそれ以上の寸法に設定されている(RB≧RA+T1)ことが好ましい。
【0025】
本実施例によれば、図6に示すように、第2クランプ部5の幅D2は第1クランプ部4の幅D1よりも大きく設定されている。ここで、第1クランプ部4の幅D1は割りピン8の頭部80の幅M1よりも大きく設定されている(M1<D1<D2)。これにより第1クランプ部4が割りピン8の頭部80を支持する支持性を高めるのに有利である。また、螺子部材7の貫通孔73に挿入された第1ピン部81のうち貫通孔73の出口75から露出した露出長さをL1とし、螺子部材7の貫通孔73に挿入された第2ピン部82のうち貫通孔73の出口75から露出した露出長さをL2とすると、第2クランプ部5の幅D2はL1とL2の和よりも大きく設定されている(D2>L1+L2)。これにより第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eを効果的に曲げるのに有利である。
【0026】
さて、貫通孔73を有する螺子部材7(対象物)を用い、割りピン8を螺子部材7の貫通孔73に取り付ける作業について説明する。この場合、図4に示すように、指先等で割りピン8の第1ピン部81および第2ピン部82を螺子部材7の貫通孔73の入口74から貫通孔73内に挿入させる。この状態では、図4に示すように、割りピン8の頭部80は螺子部材7の貫通孔73の入口74の内径よりも大きいため、螺子部材7の貫通孔73内に挿入されず、貫通孔73の入口74の周縁に係合する。また、図4に示すように、第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eの双方は、螺子部材7の貫通孔73の出口75から露出している。なお、貫通孔73の出口75から露出する先端部82eおよび先端部81eを比較すると、先端部82eは先端部81eよりも短くされているが、これに限定されるものではなく、同じ長さとしても良い。そして図5に示すように、第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eを外方(矢印B1方向)に向けて予めV字形状に若干曲げておく。この場合、本実施例に係る割りピン取付工具を用いても良いし、別の工具あるいは指先を用いても良い。
【0027】
次に、第1部材2の第1握り部20および第2部材3の第2握り部30を手指で掴んだ状態で作動させ、図6に示すように、第1クランプ部4および第2クランプ部5で螺子部材7をこれの軸直角方向において挟むように、第1クランプ部4および第2クランプ部5を互いに接近させる方向(矢印A1方向)に割りピン取付工具1を作動させる。
【0028】
この結果、図6および図7から理解できるように、第1クランプ部4の円弧凹形状の第1挟持面40が割りピン8の頭部80を支えると共に、割りピン8の第1ピン部81のうち螺子部材7の貫通孔73の出口75から露出する先端部81eと、第2ピン部82のうち螺子部材7の貫通孔73の出口75から露出する先端部82eとの双方に、第2クランプ部5の第2挟持面50が当接する。
【0029】
更に、第1クランプ部4および第2クランプ部5が互いに接近するように矢印A1方向に操作されると、第2クランプ部5の第2挟持面50が双方の先端部81e,82eをほぼ同時にまたはほぼ同時に外方に向けてLの字形状に更に曲げる。この結果、第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eをまとめて曲げることができるので、先端部81eおよび先端部82eを螺子部材7の貫通孔73の出口75の周縁にLの字形状に同時にまたはほぼ同時に係合させることができる。このように先端部81eおよび先端部82eの双方をまとめて曲げることができるため、割りピン8を螺子部材7に短時間のうちに簡便に取り付けることができる。このため車軸に形成された雄螺子部70の螺子部分の損傷が抑制される。なお、第1ピン部81の先端部81eは第2ピン部82の先端部82eよりも長いため、第2クランプ部5の第2挟持面50により第1ピン部81の先端部81eが曲げられた後に、第2ピン部82の先端部82eが曲げられる。
【0030】
上記したように本実施例によれば、割りピン8の第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eをまとめて曲げて、つまり、同時にまたはほぼ同時に曲げて、貫通孔73の出口75の周縁に係合させることができるため、作業が簡便であり、作業時間を短縮させ得る。更に、第1クランプ部4および第2クランプ部5を互いに接近されるだけの簡便な作業操作で良いため、かしめ操作に不慣れな作業者であっても、ラジオペンチ等の工具で誤って作業者の指を挟むといった不具合を抑制できる。
【0031】
第1挟持面40は円弧凹形状をなしているため、第1クランプ部4が割りピン8の頭部80を加圧する力が大きい場合であっても、割りピン8の頭部80に対する支持性を高めることができ、頭部80が第1挟持面40から外れることを避けることができ、従って第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eを良好に曲げることができる。
【0032】
また本実施例によれば、第2クランプ部5の第2挟持面50は、螺子部材7のうち貫通孔73の出口75側の表面部分75uの形状(円弧凸形状面78)に沿った形状を有する。即ち、第2クランプ部5の第2挟持面50の断面は、螺子部材7のうち貫通孔73の出口75側の表面部分75uの断面形状(円弧凸形状面78)に嵌まるように、円弧凹状面をなしている(図6参照)。このため、割りピン8を構成する第1ピン部81の先端部81eと第2ピン部82の先端部82eを、螺子部材7の貫通孔73の出口75側の表面部分75uの形状に沿った形状に効果的に曲げることができる。このため、第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eを、螺子部材7の貫通孔73の出口75側の表面部分75uに密着させ、第1ピン部81および第2ピン部82による係止力を高めるのに有利となる。
【0033】
即ち、螺子部材7のうち貫通孔73の出口75側の表面部分75uと割りピン8の第1ピン部81の先端部81eとの間における隙間を消失させることができる。また、螺子部材7のうち貫通孔73の出口75側の表面部分75uと割りピン8の第2ピン部82の先端部82eとの間における隙間を消失させることができる。この結果、螺子部材7の貫通孔73に取り付けた割りピン8のがたつきを抑制することができ、割りピン8による係止力を高めることができる。
【0034】
本実施例によれば、前述したように、第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eを螺子部材7の貫通孔73の出口75の周縁に短時間のうちに簡便に係止させることができるため、割りピン8や螺子部材7の損傷を抑えることができる。従って、割りピン8や螺子部材7にメッキ膜や塗装膜等の被膜が施されているときであっても、被膜の損傷を抑制することができる。
【実施例2】
【0035】
本発明の実施例2について図10を参照して説明する。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成、作用効果を有する。図10に示すように、本実施例に係る割りピン取付工具1は、手指で操作する第1握り部20を有する第1部材2と、手指で操作する第2握り部30を有する第2部材3と、第1部材2の中間部および第2部材3の中間部を揺動可能に枢支する枢支軸部10とを備えている。第1部材2の先端部2aには第1クランプ部4が着脱可能に第1取付具2mにより設けられている。第2部材3の先端部3aには第2クランプ部5が着脱可能に第2取付具3mにより設けられている。第1クランプ部4および第2クランプ部5は、割りピン8のサイズに応じて複数のサイズが用意されている。そして、割りピン8のサイズの変更に応じて、第1クランプ部4を第1部材2に対して交換すると共に、第2クランプ部5を第2部材3に対して交換することができる。
【実施例3】
【0036】
本発明の実施例3について図11を参照して説明する。本実施例は実施例1または実施例2と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、実施例1,2と相違する部分を中心として説明する。対象物7Aは、貫通孔73と、貫通孔73の入口74側の平坦状の第1面74xと、貫通孔73の出口75側の平坦状の第2面75xとを備えている。第2部材3の第2クランプ部5に形成されている第2挟持面50は、平坦状の第2面75xに対応するように平坦状とされている。つまり、第2クランプ部5の第2挟持面50Aは、貫通孔73の出口75側の表面部分75uの形状に沿った形状とされており、この結果、第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eを螺子部材7の貫通孔73の出口75の周縁にほぼ90度にLの字形状に曲げて係止させる。
【実施例4】
【0037】
本発明の実施例4について図12を参照して説明する。本実施例は実施例1または実施例2と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、実施例1,2と相違する部分を中心として説明する。第2部材3の第2クランプ部5は、第1挟持面40に対向可能な第2挟持面50Bを有する。図12に示すように、第2クランプ部5の第2挟持面50Bは、螺子部材7の貫通孔73の出口75に対向可能に設けられており、第2クランプ部5の中央に位置する平坦状をなす中央領域面501と、第2クランプ部5の端に位置する傾斜状の端領域面502とを備えている。
【実施例5】
【0038】
本発明の実施例5について図13を参照して説明する。本実施例は実施例1または実施例2と基本的には同様の構成、作用効果を有する。以下、実施例1,2と相違する部分を中心として説明する。第2部材3の第2クランプ部5は、第1挟持面40に対向可能な第2挟持面50を有する。図13に示すように、第2クランプ部5の第2挟持面50は、螺子部材7のうち貫通孔73の出口75側の表面部分75uの断面形状(円弧凸形状)に沿った断面形状を有する。具体的には、図13に示すように、貫通孔73の出口75側の表面部分75uの断面形状は円弧凸状面78で形成されているため、第2クランプ部5の第2挟持面50は、円弧凸状面78を覆うような円弧凹状面をなしている。
【0039】
更に、第2挟持面50は、退避空間520と、退避空間520にバネなどの付勢部材522で保持された断面円形状の係合体524とを有する。退避空間520は係合体524を収容できる容積とされている。係合体524は断面円弧凸形状をなす外壁面526を有する。そして、第1クランプ部4および第2クランプ部5をクランプする前では、係合体524は第2挟持面50よりも僅かに突出しているため、係合体524の外壁面526は、第1ピン部81の先端部81eと第2ピン部82の先端部82eとを拡開方向に押し広げる作用を有する。また、第1クランプ部4および第2クランプ部5がクランプされると、係合体524は退避空間520内に自動的に退避する。故に、実施例1の場合と同様に、第1ピン部81の先端部81eおよび第2ピン部82の先端部82eを、螺子部材7の貫通孔73の出口75側の表面部分75uに密着させることができ、第1ピン部81および第2ピン部82による係止力を高めるのに有利となる。
【0040】
(適用例)
図14は車椅子に適用した適用例を示す。車椅子は、着座部100および背もたれ部101を有するフレーム102と、アームレスト103と、スポーク104およびタイヤ105を有する走行車輪106と、前輪107と、フットレスト108、操作部109とを備えている。走行車輪106の車軸に形成された軸芯P1を有する雄螺子部70を有する螺子部材7(対象物)にナット部材71を螺合させた状態で、螺子部材7の貫通孔73に割りピン8を取り付けるものである。割りピン8は、走行車輪106が回転するときにおいても、車軸の螺子部材7からナット部材71が離脱しないようにするストッパ機能を果たすものである。
【0041】
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した実施例および適用例のみに限定されるものではなく、対象物としては、割りピンを取り付けるものであれば何でも良く、車椅子以外の車軸以外の用途、産業機械、車両機器、家庭用機器等においても適用できる等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は割りピンを対象物に取り付ける割りピン取付工具に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1に係り、割りピン取付工具を示す側面図である。
【図2】第1クランプ部および第2クランプ部を示す断面図である。
【図3】螺子部材に割りピンが取り付けられている状態を示す断面図である。
【図4】螺子部材の貫通孔に割りピンを挿入している状態を示す断面図である。
【図5】螺子部材の貫通孔に挿入した割りピンの第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部を予め僅かに曲げている状態を示す断面図である。
【図6】螺子部材の貫通孔に挿入した割りピンの第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部を第1クランプ部および第2クランプ部により曲げる状態を示す断面図である。
【図7】螺子部材の貫通孔に挿入した割りピンの第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部を第1クランプ部および第2クランプ部により曲げた状態を示す断面図である。
【図8】面取面を有しない貫通孔に挿入した割りピンの頭部に第1クランプ部の第1挟持面を当てている状態を示す断面図である。
【図9】面取面を有する貫通孔に挿入した割りピンの頭部に第1クランプ部の第1挟持面を当てている状態を示す断面図である。
【図10】実施例2に係り、割りピン取付工具を示す側面図である。
【図11】実施例3に係り、螺子部材の貫通孔に挿入した割りピンの第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部を第1クランプ部および第2クランプ部により曲げる状態を示す断面図である。
【図12】実施例4に係り、螺子部材の貫通孔に挿入した割りピンの第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部を第1クランプ部および第2クランプ部により曲げる状態を示す断面図である。
【図13】実施例5に係り、螺子部材の貫通孔に挿入した割りピンの第1ピン部の先端部および第2ピン部の先端部を第1クランプ部および第2クランプ部により曲げる状態を示す断面図である。
【図14】適用例に係り、車椅子の側面図である。
【符号の説明】
【0044】
図中、1は割りピン取付工具、2は第1部材、3は第2部材、4は第1クランプ部、40は第1挟持面、5は第2クランプ部、50は第2挟持面、7は螺子部材(対象物)、73は貫通孔、8は割りピン、80は頭部、81は第1ピン部、82は第2ピン部を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部と前記頭部から一方向に沿って並設された第1ピン部および第2ピン部とを備える割りピンを用い、前記割りピンの前記第1ピン部および前記第2ピン部を対象物の貫通孔に入口から挿入させて前記貫通孔の出口から露出させると共に前記頭部を前記貫通孔の前記入口の周縁に係合させた状態に前記割りピンを前記対象物に取り付ける割りピン取付工具であり、
前記対象物を挟むように設けられ互いに接近可能および離間可能な第1クランプ部および第2クランプ部とを備えており、
前記第1クランプ部は、前記対象物の前記貫通孔の前記入口に対向可能に設けられ、前記対象物の前記貫通孔の前記入口に係合する前記割りピンの前記頭部に当接して前記頭部を支える第1挟持面を有しており、
前記第2クランプ部は、前記対象物の前記貫通孔の前記出口に対向可能に設けられ、前記第1ピン部のうち前記対象物の前記貫通孔の前記出口から露出する先端部と前記第2ピン部のうち前記対象物の前記貫通孔の前記出口から露出する先端部との双方に当接し、双方の前記先端部を同時にまたはほぼ同時に外方に向けて曲成可能な第2挟持面を有することを特徴とする割りピン取付工具。
【請求項2】
請求項1において、前記第2クランプ部の前記第2挟持面は、前記対象物のうち前記貫通孔の前記出口側の表面部分の形状に沿った形状を有することを特徴とする割りピン取付工具。
【請求項3】
請求項1または2において、前記第2クランプ部の前記第2挟持面は円弧凹状面を有することを特徴とする割りピン取付工具。
【請求項1】
頭部と前記頭部から一方向に沿って並設された第1ピン部および第2ピン部とを備える割りピンを用い、前記割りピンの前記第1ピン部および前記第2ピン部を対象物の貫通孔に入口から挿入させて前記貫通孔の出口から露出させると共に前記頭部を前記貫通孔の前記入口の周縁に係合させた状態に前記割りピンを前記対象物に取り付ける割りピン取付工具であり、
前記対象物を挟むように設けられ互いに接近可能および離間可能な第1クランプ部および第2クランプ部とを備えており、
前記第1クランプ部は、前記対象物の前記貫通孔の前記入口に対向可能に設けられ、前記対象物の前記貫通孔の前記入口に係合する前記割りピンの前記頭部に当接して前記頭部を支える第1挟持面を有しており、
前記第2クランプ部は、前記対象物の前記貫通孔の前記出口に対向可能に設けられ、前記第1ピン部のうち前記対象物の前記貫通孔の前記出口から露出する先端部と前記第2ピン部のうち前記対象物の前記貫通孔の前記出口から露出する先端部との双方に当接し、双方の前記先端部を同時にまたはほぼ同時に外方に向けて曲成可能な第2挟持面を有することを特徴とする割りピン取付工具。
【請求項2】
請求項1において、前記第2クランプ部の前記第2挟持面は、前記対象物のうち前記貫通孔の前記出口側の表面部分の形状に沿った形状を有することを特徴とする割りピン取付工具。
【請求項3】
請求項1または2において、前記第2クランプ部の前記第2挟持面は円弧凹状面を有することを特徴とする割りピン取付工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−320988(P2006−320988A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−145008(P2005−145008)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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