説明

加湿フェイス・マスク

マスクをユーザ(4)の作動位置に支持することができる位置決め手段(6)を有する自給式再加湿マスク(1)を提供する。
再加湿マスクは、鼻から顎にかけてユーザの顔を覆うように成形ドーム型マスクとして形成された壁(2)を有する。無端の周囲縁が、ユーザの顔と共にエアポケット(24)を画定するよう、ユーザの顔の輪郭を全体的に解剖学的に追従するように形成され構成される。マスクは、使用時における、ユーザの口位置に概ね向かい合って位置するひとつの出入口開口(8)と、開口をほぼ満たすように出入口開口内に位置する少なくとも1つの再加湿部(9)とを有する。再加湿部は、出入口開口を流通する流体の流れ方向に延在するコイル軸を有する波形吸湿紙のコイル(17)を含む。再加湿マスクは、ドーム型形状にプレス形成され、熱処理された不織布合成繊維シートから形成された壁を有することが好ましい。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自給式加湿フェイス・マスクにおける改良に関する。より詳細には、本発明は、あらゆる人工呼吸器から独立して作動する自給式再加湿フェイス・マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
鼻手術または鼻や口、喉への挿管および、他の外傷を必要とする手術後の回復期における苦痛を伴う症状は、エアコンの効いた部屋などの、乾燥し、かつ、低温の空気環境で呼吸することにより、さらに苦痛なものとなる。
【0003】
さらに、航空機など、乾燥し、かつ、低温の空気環境での旅行は、鼻および喉の苦痛を伴う症状を発症しやすくし、既存の症状をさらに悪化させることがある。全体的に詰まった鼻からの呼吸の困難さはまた、乾燥し、かつ、低温の空気にさらされることにより悪化し、乾燥した空気環境は、鼻および喉の内部通路の感染の可能性を増大させることが知られている。したがって、長時間にわたって乾燥した空気環境にさらされると、患者の鼻および口への手術外傷の疼痛に悪影響が及ぼされ、それ自体の治癒が阻害されるだけでなく、旅行者の健康な鼻や喉の感染もまた増強される。同様の見解は、風邪および流感に罹っている患者、またはそれからの回復期にある患者に対して、特に口からの呼吸が特に睡眠中不可避である場合にあてはまる。
【0004】
さらに、医療従事者および工場従事者は、自身が、患者、食品、および/または医療装置を汚染させることを防ぐのみならず、従事者を空気伝染疾患から保護するためにマスクを着用することがますます必要とされている。したがって医療従事者および工場従事者は、しばしばエアコンが効いた、または、別の形態の乾燥した空気環境内での作業の間、長時間にわたり保護用フェイス・マスクを着用することが必要とされている。現在、従事者により使用されている多くのマスクは、低流量の細菌および/またはウイルス用フィルタを内蔵しているが、このフィルタは、病原菌がフィルタを通過することを防止する一方、ユーザがフィルタを通して呼吸することは困難で、心地良いものではない。さらに、時間の経過および、ユーザの息からの湿度の上昇に伴い、フィルタの完全性、つまり濾過効率は損なわれ、信頼性が失われていく。
【0005】
空気呼吸環境の加湿を特に企図するフェイス・マスクの1つのタイプは、通常、使用前に水飽和させた保湿パッドを含めて用いるため、使用時には、パッドに触れる空気が加湿されて、フェイス・マスクを通して吸気に加湿効果を与える。このタイプのフェイス・マスクは、米国特許第4941467号および米国特許第6375724号で説明されており、フェイス・マスクの使用の前に、好ましくは滅菌水の外部供給源によりパッドが飽和され、または充填される必要がある。長時間にわたってユーザの顔の付近で、外部供給源からの水分を保持すると、呼吸の間中、パッドが継続して湿ったままであるため、水分パッドが汚染される恐れがある。このタイプのフェイス・マスクを使用することに伴うさらなる問題としては、しばしば、使用中に水分パッドが除々に冷却されることにより、吸気が加湿されているにもかかわらず、周囲空気、特に相対的に低温の空気環境よりも十分に温かくないことが挙げられる。
【0006】
たとえば米国再発行特許第36165EE1号で説明された、別のタイプのフェイス・マスクでは、寒冷気候において、吐き出された呼気をマスク内に配設された非常に効率のよい熱交換器を通過させることにより、吸気を加熱および加湿するのに有用であるように意図されている。この熱交換器は、金属メッシュの多数の層から構成され、この金属メッシュを高温の呼気が通過してメッシュを加熱し、次いで、メッシュが、吸入される前に吸入空気を加熱する。吐き出された空気中の水分は、次いで、相対的に低温な熱交換金属メッシュ上で凝縮し、吸入される空気を加湿する。しかし、この装置は、繰り返し使用されるように設計されており、この装置の目的は、食洗機内であっても安全に洗浄または殺菌することができる加湿装置を提供することである。
【0007】
米国特許第595173号は、容器の断面により画定された空間を全体的に満たすようにらせん状に巻かれたフィルタ紙の連続ストリップを有する容器を含む再加湿装置について説明している。しかし、この再加湿装置は、加圧された呼吸流体をユーザに送出する航空用マスクに合うように適合しているため、加圧された呼吸流体にさまざまな導管を介して連結されている。
【0008】
上述のいくつかのフェイス・マスクの使用は、鼻手術を受けた患者には適していない。これらのマスクは苦痛をもたらし、睡眠中にユーザが快適に装着することが困難であるだけでなく、長期間の装着後には、不快なほど高温になり、睡眠中に、ユーザの顔との十分な装着状態を維持できないことがある。これらのマスクはまた、かさばり、旅行中携帯するには不便であるため、旅が多い旅行者による使用にも適していない。そのようなマスクは、ディスポーザブル用途として大量に製造するにはコスト高であるだけでなく、警備者が、旅行者がワイヤまたは金属メッシュを内蔵したマスクの使用を禁じることもある。
定義
【0009】
本明細書の文脈において、「再加湿マスク」との用語は、呼気から水分を抽出し、吸気中で蒸発させることにより、水分の少なくとも一部を放出するマスクを意味する。
【0010】
「自給式」との用語は、マスクが、別個の水分供給が無い状態で、吸気の加湿が、再加湿により起こるように作動することを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4941467号明細書
【特許文献2】米国特許第6375724号明細書
【特許文献3】米国再発行特許第36165EE1号明細書
【特許文献4】米国特許第595173号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、現在入手可能であるものよりも効率的に作動し、上述した問題の1つまたは複数を少なくとも部分的に軽減する、代替する加湿フェイス・マスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、ユーザの作動位置に支持することができる位置決め手段を有する自給式再加湿マスクを提供する。再加湿マスクは、鼻から顎にかけてユーザの顔を覆うように成形ドーム型マスクとして形成された壁と、使用時、マスクのドーム型形状が、ユーザの顔とエアポケットを画定するよう、ユーザの顔の輪郭を全体的に解剖学的に追従するように形成され構成された無端の周囲縁と、使用時における、ユーザの口位置の概ね向かい側に位置するひとつの出入口開口と、開口をほぼ満たし、ユーザの口および鼻と開放連通し、大気とエアポケットの間に流体流路を画定するように出入口開口内に位置する少なくとも1つの再加湿部とを有し、再加湿部は、出入口開口を流通する流体の流れ方向に延在するコイル軸を有する波形吸湿紙のコイルを備える。
【0014】
本発明の他の特徴は、出入口開口が、内側スリーブおよび外側スリーブから構成されたスクワット型管状ホルダによって画定され、各スリーブは、その一方の端部に外方向に向けられたフランジを有し、マスク壁内に開けられた穴の周囲が、管状ホルダをマスク内で支持するよう2つのフランジ間に延在し、内側スリーブおよび外側スリーブが、再加湿部を保持し、管状ホルダ内に拘束する構造体を有する。
【0015】
本発明のさらに他の特徴は、マスク壁が、ドーム形状にプレス成形され、熱処理された不織布合成繊維シートから形成され、出入口開口が、マスク壁から開けられた穴内に位置し、
不織布合成繊維シートが、相対的に低温溶融繊維および高温溶融繊維を含み、プレス成形は、壁の最終形状において、低温溶融繊維が高温溶融繊維を捕獲するように選択された温度で実施され、最終壁は、少なくとも限定的にガス透過性であり、
ドーム型マスクが、100から150g/mの重量を有する合成繊維の不織布シートから成形され、プレス成形が、0.5から3.0mm、好ましくは約1.0mmの範囲内の壁厚となるよう実施される。
【0016】
マスクは、好ましくは、概ね非平面であり、ユーザの顔にしなやかに装着するよう構成された無端の輪郭周囲縁を有し、マスクは、適切な追従特性をもたらすように、適度な曲げ剛性や柔軟性を有するものである。また、マスクの周囲縁が、ユーザの顔に装着するため、軟質で全体的に弾性があり、無端のガスケット構造体を有することが好ましい。ガスケット構造体は、典型的には、適切なポリウレタンフォーム等のような、連続気孔材料、または独立気孔材料である。
【0017】
再加湿部の直径は、通常、10から80mmの範囲内にあり、好ましくは25から45mmの範囲内にある。波形吸湿紙のひだの高さは、好ましくは0.1から2.5mmの範囲内にあり、好ましくは約0.5mmである。再加湿部は、8から25mm、好ましくは約12mmの範囲内の軸寸法を有することとしてもよい。
【0018】
本発明の1つの変形例では、再加湿部は、細菌および/またはウイルスの濾過に適した静電材料を含む粒子フィルタを含むこととしてもよい。粒子フィルタは、N95、EN149、またはFFP3規格またはそれ以下などの必要とされる任意の規格に準拠した病原菌の濾過に適するように作製される。粒子フィルタには、硝酸銀などの抗菌性および抗ウイルス性の薬剤を含浸させることができる。
【0019】
本発明の別の変形例では、再加湿部は、薬剤を含浸させたパッドを含むことができる。薬剤は、メントール油などの少なくとも1つの精油でよく、その容器は、ユーザが薬剤をマスクに含浸しやすいよう折れやすくしてもよい。薬剤を含有する容器は、再加湿マスク上にクリップ留めまたはねじ込みすることができる付属品でよい。再加湿マスクは、マスクのパッドを含浸する際に使用する薬剤を含有する容器と同梱されることとしてもよい。
【0020】
再加湿部は、Humid−Vent Filter Light HMEFとして販売されているものなどの吸湿紙、セルロース紙、または同様のものを含むこととしてもよい。
【0021】
本発明をより完全に理解できるように、次に、1つの実施形態およびその一部の変形形態を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ゴースト線で示したユーザの頭部と関連して示した本発明による再加湿マスクの1つの実施形態の斜視図である。
【図2】成形され、図1に示した再加湿マスクを形成するために再加湿部を受け入れるブランクマスク壁の斜視図である。
【図3】図1に示した本発明の実施形態の再加湿部の分解図である。
【図4】図1に示した再加湿マスクの側面図である。
【図5】使用時における、図1に示した再加湿マスクの側部断面図である。
【図6】再加湿マスクの内側を示す後面図である。
【図7】再加湿マスクの上部からの図である。
【図8】再加湿マスクの底部からの図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面に示す本発明の実施形態では、符号番号(1)で全体を示したディスポーザブルの自給式再加湿マスクは、ユーザ(4)の鼻および口を覆って装着され、鼻から顎にかけて延在するように構成されたタイプの、成形されたドーム型のガス透過性マスク壁(2)を有する。マスクは、好ましくはユーザの耳周りに引っ掛けるストラップ(6)によって所定位置に保たれるものとする。当然ながら、ストラップはまた、頭の後部周りにも延在させることができるが、その正確な形状は、本発明とは無関係である。ストラップは、任意の適切な材料から作製されることとしてよく、ライクラまたは他の低刺激性材料であってもよい。
【0024】
マスク壁(2)は、強化されているが、曲げ剛性または柔軟性を有し、適度に曲げることが可能であるものがよい。約1.0mmの壁厚さを有するガス透過性壁を形成するようにプレス成形されることが好ましい。マスク壁(2)がプレス成形される合成繊維シート材料は、異なる溶融温度を有する混合繊維を有する。第1の熱可塑性繊維は、第2の熱可塑性繊維より高い溶融温度を有し、マスク壁(2)は、複合不織布繊維を型内でプレスし、構成する熱可塑性繊維の2つの溶融温度間のある温度まで加熱することにより成形される。
【0025】
したがって、より低温の溶融繊維は、溶融して第1の熱可塑性繊維と結合し、冷却されると、シートは、ガス透過性を残しながらマスク(2)の所望の形状に処理される。繊維は、ポリエーテルスルホン(PES)繊維を含むことができ、シートは、約120g/m重量および、成形前において、厚さ2.4から3.2mmの範囲内とすることができる。通常、複数のマスクが単一のシートから一度に成形され、マスク壁は、加工されたシートから切断される。
【0026】
マスク壁をシートから切断する際、符号番号(9)により全体が示される再加湿部を受け入れる穴(8)が、マスク壁内に同時に開けられる。
【0027】
穴は、内側スリーブ(11)および外側スリーブ(12)から構成されたスクワット型管状ホルダ(10)を受け入れ、各スリーブは、その一方の端部に外側端部に外方向に向けられたフランジ(13、14)を有している。マスク壁内に開けられた穴の周囲は、2つのフランジの間に延在し、それらの間に固定される。内側スリーブおよび外側スリーブは、互いに摩擦により係合してそれらの作動位置に留まることができる。これらは、共働位置にクリップ留めされることとしてもよく、あるいは接着式に互いに固定されることとしてもよい。この配置により、マスク壁の縁が管状ホルダをマスク内で支持する。
【0028】
内側スリーブおよび外側スリーブはまた、管状ホルダの向かい合う端部に、再加湿部の波形吸湿紙のコイル(17)を管状ホルダ内に拘束する内方向に向けられたフランジ(15、16)形態の構造体を有する。内側スリーブおよび外側スリーブの各々は、コイルの中心に、本質的に形成された軸方向の穴を作動的に覆い隠す中央装着部(19)によりコイルを作動位置に保持する直径方向に延在する保持具(18)を有する。
前記内側スリーブおよび外側スリーブは、前記再加湿部を保持し、前記管状ホルダ内に拘束する構造体(15、16、18)を有する、請求項1に記載の再加湿マスク。

【0029】
吸湿紙は、この場合、再構成吸湿紙製品を含む。加湿部(9)は、Humid−Vent Filter Light HMEF(スウェーデン国、Upplands Vaesby、Gibeck)または同様のものでよい。この場合、加湿部の作動直径は35mm、ひだの高さは0.5mm、加湿部の軸方向寸法は10から12mmである。当然ながら、加湿部は、通常は低い呼吸抵抗を有する。明確には、コイルの軸は、出入口開口を流通する流体の流れ方向に延在する。
【0030】
マスクは、全体的に非平面であり、ユーザの顔にしなやかに装着するように構成された無端の輪郭周囲縁を有し、マスクは、適切な追従特性をもたらすよう、適度な曲げ剛性を有する。マスクの周囲縁は、軟質で、全体的に弾性な、無端のガスケット(20)を有する。通常、ガスケットは、ユーザの顔との装着性に適したポリウレタンフォームなどの連続気孔材料または、独立気孔材料である。
【0031】
鼻柱を収容して着用者の鼻を包み込む、径方向に外向きに延びるくぼみ(21)が、マスク(2)の作動的に上側の、無端の周囲縁内に成形されて交差している。
【0032】
加湿部(9)は、使用時において、ユーザ(4)の口に対向して位置し、開放連通状態となるよう配置されている。したがって、加湿部(9)は、マスク(2)の円形ドームのほぼ中心に配置される。
【0033】
使用時には、マスク(2)は、ユーザ(4)の口および鼻柱、頬の一部および顎の一部をマスク内に包み込むことにより口および鼻を覆ってユーザ(4)の顔に配置される。マスク(2)は、顔としなやかに装着するように促され、ユーザの顔とマスク(2)の間にエアポケット(24)を画定するように離間している。ドーム型マスク(2)は、使用時には、ユーザ(4)の唇(22)が加湿部(9)と接触しないように成形されている。
【0034】
使用時には、呼気が再加湿部を通過する際には、熱および水分が、吸収性の極めて高い再加湿部に放出される。一方で、吸気は、再加湿部がいったん吸収された熱および水分により幾分温められ、加湿される。
【0035】
上記で示したように、再加湿部は、さらに、平面の粒子フィルタ(25)を含むことができ、このフィルタは、静電材料を含み、選択された粒子、特に細菌およびウイルスなどの病原菌の、N95、EN149、および/またはFFP3規制基準に準拠した濾過に適するものが選択される。この粒子フィルタは、再加湿部(9)内で波形吸湿紙(17)のコイルに隣接して位置することができる。
【0036】
図4に示すように、ドーム型マスクは、多層状としてもよく、細菌およびウイルスなどの病原菌の濾過に適した静電材料の外側層(26)を含むことができる。静電材料層がユーザの息の湿度から保護されるように、疎水性材料の層(27)を、ガス透過性材料層を覆ってマスクの内面に重ねることができる。あるいは、疎水性層を、外側の静電気層と内側のガス透過性層の間に配置することができる。美的目的または販売促進目的で、印刷可能な材料の別の層(28)をマスクの外側に付加することができる。
【0037】
多くの追加の特徴が、本発明の再加湿マスク(1)に付加され得る。そのような特徴としては、メントール油などの薬剤を含浸させ、再加湿装置(1)の内部の加湿部(12)内に、またはその周りに配置できるパッド(30)を使用することが挙げられる。本発明の自給式再加湿装置、薬剤を含有する折れやすい容器、およびパッドを含むキットが、提供されることとしてもよい。薬剤含浸パッドは、マスク上に挿入され、またはクリップ留めされることとしてもよい。
【0038】
本発明の再加湿マスクのドームは、マスクとユーザの顔の間に、現存する競合製品に設けられるものより相対的に大きいエアポケットを画定する。したがって、本発明の装置の加湿部は、現在利用可能な競合製品の加湿部より、ユーザの口および鼻から相対的に離間している。
【0039】
本発明の再加湿マスクは、睡眠中、快適に着用され得る。非弾性のストラップと組み合わせた、軟質でさらに柔軟性のマスクおよび軟質の弾性ガスケット材料が、最高に心地よい体験を生み出すことは特に注目すべきことである。マスクは、不快感または負傷の原因となる突出部を有さない。
【0040】
さらに、現在利用可能なマスクとは異なり、本発明のマスクは、加圧空気や、水分の外部供給源、およびそれらに関連する導管を必要とすることなく、ディスポーザブルおよび自給式となるように作製される。これは、最近の傾向に同調して生分解可能であるように作製可能である。本発明のマスクの自給式性質は、使用における容易さおよび適用性がより大きくなることを可能にする。本発明はまた、現在利用可能である再加湿マスク相対的により安価に生産できる。
【0041】
重要なことに、現在利用可能なマスクと比べて、本発明の再加湿マスクは、高流量を有しており、ユーザが着用中に呼吸することをより容易にする。したがって、本発明によるマスクは、ユーザが外科的処置から回復することを助け、あるいは航空機での旅行の間、または、鼻づまりや、結果として生じる口からの呼吸を伴うあらゆる軽度の疾患からの回復期の間、長時間着用することができる。
【0042】
さらに、本発明のマスク内の紙の波形コイルの吸湿性質は、乾燥剤として機能し、マスク内に含有されたあらゆる細菌および/または、ウイルスフィルタに蓄積した水分を逃がすことができるため、細菌および/または、ウイルス用フィルタの濾過効率および寿命が拡張される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ(4)の作動位置に支持することができる位置決め手段(6)と、
鼻から顎にかけてユーザの顔を覆うように成形ドーム型マスクとして形成された壁(2)と、
使用時、前記マスクの前記ドーム型形状が、前記ユーザの顔とエアポケット(24)を画定するよう、前記ユーザの顔の輪郭を全体的に解剖学的に追従するように形成され構成された無端の周囲縁と、
使用時における、前記ユーザの口位置の概ね向かい側に位置するひとつの出入口開口(8)と、
前記出入口開口をほぼ満たし、前記ユーザの口および鼻と開放連通し、大気と前記エアポケットとの間に流体流路を画定するよう前記出入口開口内に位置する少なくとも1つの再加湿部(9)とを有し、
前記再加湿部が、前記出入口開口を流通する流体の流れ方向に延在するコイル軸を有する波形吸湿紙のコイル(17)を備える、自給式再加湿マスク(1)。
【請求項2】
前記出入口開口が、内側スリーブ(11)および外側スリーブ(12)から構成されるスクワット型管状ホルダ(10)によって画定され、
各前記スリーブは、その一方の端部に外方向に向けられたフランジ(13、14)を有し、
前記マスク壁内に開けられた穴(8)の周囲が、前記管状ホルダをマスク内で支持するよう前記2つのフランジ間に延在し、
前記内側スリーブおよび前記外側スリーブが、前記再加湿部を保持し、前記管状ホルダ内に拘束する構造体(15、16、18)を有する、請求項1に記載の再加湿マスク。
【請求項3】
前記マスク壁が、前記ドーム形状にプレス形成され、熱処理された不織布合成繊維シートから形成され、
前記出入口開口は、前記マスク壁から開けられた前記穴内に位置する、請求項1または2に記載の再加湿マスク。
【請求項4】
前記不織布合成繊維シートが、相対的に低温溶融繊維および高温溶融繊維を含み、
前記プレス成形が、前記壁の最終形状において、前記低温溶融繊維が前記高温溶融繊維を捕獲するように選択された温度で実施され、
前記最終壁は、少なくとも限定的にガス透過性である、請求項3に記載の再加湿マスク。
【請求項5】
前記ドーム型マスクが、100から150g/m重量を有する合成繊維の不織布シートから成形され、
前記プレス成形が、0.5から3.0mmの範囲内の壁厚となるよう実施される、請求項3または4に記載の再加湿マスク。
【請求項6】
マスクが、前記ユーザの顔としなやかに装着するよう構成された無端の輪郭周囲縁を有し、
前記マスクは、適度な追従特性をもたらすよう、適度な曲げ剛性を有する、請求項1から5のいずれかに記載の再加湿マスク。
【請求項7】
マスクの前記周囲縁が、前記ユーザの顔に装着するため、軟質で、全体的に弾性があり、無端のガスケット構造体(20)を有する、請求項1から6のいずれかに記載の再加湿マスク。
【請求項8】
前記再加湿部の作動直径が、10から80mmの範囲内にある、請求項1から7のいずれかに記載の再加湿マスク。
【請求項9】
前記波形吸湿紙のひだの高さが、0.1から2.5mmの範囲内にある、請求項1から8のいずれかに記載の再加湿マスク。
【請求項10】
前記再加湿部が、8から25mmの範囲内の軸寸法を有する、請求項1から9のいずれかに記載の再加湿マスク。
【請求項11】
前記再加湿部が、静電材料を含む粒子フィルタ(25)を含む、請求項1から10のいずれかに記載の再加湿マスク。
【請求項12】
前記粒子フィルタが、細菌および/またはウイルスの濾過に適している、請求項11に記載の再加湿マスク。
【請求項13】
前記再加湿部が、薬剤を含浸させたパッド(30)を含む、請求項1から12のいずれかに記載の再加湿マスク。
【請求項14】
パッケージ化されるときは常に、マスクの前記パッドを含浸する際に使用する薬剤を含有する容器を同梱する、請求項13に記載の再加湿マスク。
【請求項15】
前記再加湿マスクが、ディスポーザブル製品として作製される、請求項1から14のいずれかに記載の再加湿マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−514512(P2012−514512A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544928(P2011−544928)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【国際出願番号】PCT/IB2009/007695
【国際公開番号】WO2010/079380
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511165474)ヒューミッド メッド テクノロジー (ピーティーワイ) リミテッド (1)