加湿機用給水タンク及び加湿機
【課題】加湿機用給水タンクを、給水口と反対側の端部を下にして水平面に対して斜めに自立させる。
【解決手段】加湿機用給水タンク2は、加湿機本体5に設けられた給水部81aに対して取り付けられる給水口31を有しており、加湿機本体5から取り外して給水口31と反対側端部を下にして水平面Hに置いたときに、水平面Hに対して傾斜した状態で自立する。
【解決手段】加湿機用給水タンク2は、加湿機本体5に設けられた給水部81aに対して取り付けられる給水口31を有しており、加湿機本体5から取り外して給水口31と反対側端部を下にして水平面Hに置いたときに、水平面Hに対して傾斜した状態で自立する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿機用給水タンクとこれを備えた加湿機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から加湿機として、着脱可能な給水タンクを備えたものがある。給水タンクは、加湿機本体に取り付けられた状態における下端部に、給水口を有している。例えば特許文献1の加湿機では、給水タンクの上端部を下端部に対して加湿機の外側に回転させることにより、給水タンクは加湿機本体から取り外される。また、給水タンクを鉛直上方に持ち上げることで、給水タンクが加湿機本体から取り外されるように構成された加湿機もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−30940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加湿機から取り外された給水タンクへの給水作業は、給水口を上に向けて行われるが、従来の給水タンクには、給水口と反対側の端部を下にして水平面に置いたとき斜めに自立できるものがなかった。そのため、自立できない給水タンクの場合、給水作業時に給水タンクを常に支えておく必要があった。また、たとえ自立できても鉛直に自立する場合、給水タンクの高さによっては、シンクの底面と蛇口との間に給水タンクを自立した状態で配置することができず、給水タンクを傾けた状態で支えながら給水作業を行わなければならなかった。
【0005】
そこで、本発明は、給水口と反対側の端部を下にして水平面に対して斜めに自立させることのできる加湿機用給水タンクおよびこれを備えた加湿機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る加湿機用給水タンクは、加湿機本体に設けられた給水部に対して取り付けられる給水口を有する加湿機用給水タンクであって、加湿機本体から取り外して前記給水口と反対側端部を下にして水平面に置いたときに、水平面に対して傾斜した状態で自立することを特徴とする。
【0007】
この加湿機用給水タンクでは、給水口と反対側の端部を下にして自立させることができるため、給水タンクへの給水作業が容易になる。また、この加湿機用給水タンクは、傾斜した状態で自立するため、自立時の高さが低く抑えられ、給水タンクへの給水作業がより容易になる。
【0008】
第2の発明に係る加湿機用給水タンクは、第1の発明において、前記加湿機本体に取り付けられた状態から、前記反対側端部を前記給水口に対して加湿機の外側に回転させることにより前記加湿機本体から取り外し可能であることを特徴とする。
【0009】
この加湿機用給水タンクは、外側に回転させるだけで加湿機本体から取り外せるため、給水タンクを上に引き上げて取り外す構成に比べて、取り外し作業が容易である。
また、給水タンクを上に引き上げて取り外す構成の加湿機では、上面に本体とタンクもしくはタンク取り出し用の扉との境界ができるのに対して、本発明の加湿機給水タンクを用いた加湿機では上面に境界ができないため、デザイン上の制約が減る。
【0010】
第3の発明に係る加湿機用給水タンクは、第2の発明において、前記反対側端部に設けられ、前記加湿機本体に取り付けられた状態で加湿機の内側に向かうにつれて前記給水口側端部に近付くように傾斜した傾斜面を有しており、前記傾斜面が水平面に当接することによって水平面に対して傾斜した状態で自立することを特徴とする。
【0011】
この加湿機用給水タンクでは、給水口と反対側の端部が、加湿機の内側に向かうにつれて給水口側端部に近付くように傾斜しているため、給水タンクを回転させて加湿機本体から取り外すときに、給水口と反対側の端部が加湿機本体と衝突するのを防止できる。
【0012】
第4の発明に係る加湿機用給水タンクは、第3の発明において、前記傾斜面が、前記加湿機用給水タンクの取り外し方向に平行で且つ離間して配置される2つの平面を含むことを特徴とする。
【0013】
この加湿機用給水タンクでは、給水タンクを加湿機本体に取り付けた状態において、2つの平面の間に加湿機本体側の部品を配置しても、給水タンクの取り外し時にこの部品が邪魔になることがなく、加湿機内のスペースを有効に活用できる。
【0014】
第5の発明に係る加湿機用給水タンクは、第1〜第4のいずれかの発明において、加湿機の外郭の一部を構成するパネルを有することを特徴とする。
【0015】
この加湿機用給水タンクでは、給水タンクのタンク本体がパネルで覆われるため、加湿機の見栄えが良い。
【0016】
第6の発明に係る加湿機用給水タンクは、第5の発明で、水平面に対して傾斜した状態で自立した状態において、前記パネルの下端部の少なくとも一部が、水平面に接触しないことを特徴とする。
【0017】
この加湿機用給水タンクでは、パネルの破損を防止できる。
【0018】
第7の発明に係る加湿機は、第1〜第6のいずれかの発明の加湿機用給水タンクを備えていることを特徴とする。
【0019】
この加湿機では、第1〜第6のいずれかの発明と同じ効果が得られる。
【発明の効果】
【0020】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0021】
第1の発明では、給水口と反対側の端部を下にして自立させることができるため、給水タンクへの給水作業が容易になる。また、この加湿機用給水タンクは、傾斜した状態で自立するため、自立時の高さが低く抑えられ、給水タンクへの給水作業がより容易になる。
【0022】
第2の発明では、外側に回転させるだけで加湿機本体から取り外せるため、給水タンクを上に引き上げて取り外す構成に比べて、取り外し作業が容易である。
また、給水タンクを上に引き上げて取り外す構成の加湿機では、上面に本体とタンクもしくはタンク取り出し用の扉との境界ができるのに対して、本発明の加湿機給水タンクを用いた加湿機では上面に境界ができないため、デザイン上の制約が減る。
【0023】
第3の発明では、給水口と反対側の端部が、加湿機の内側に向かうにつれて給水口側端部に近付くように傾斜しているため、給水タンクを回転させて加湿機本体から取り外すときに、給水口と反対側の端部が加湿機本体と衝突するのを防止できる。
【0024】
第4の発明では、給水タンクを加湿機本体に取り付けた状態において、2つの平面の間に加湿機本体側の部品を配置しても、給水タンクの取り外し時にこの部品が邪魔になることがなく、加湿機内のスペースを有効に活用できる。
【0025】
第5の発明では、給水タンクのタンク本体がパネルで覆われるため、加湿機の見栄えが良い。
【0026】
第6の発明では、パネルの破損を防止できる。
【0027】
第7の発明では、第1〜第6のいずれかの発明と同じ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る加湿機の斜視図である。
【図2】図1の加湿機から給水タンクを取り外している途中の状態を示す斜視図である。
【図3】図2の背面図である。
【図4】図1の加湿機本体から前面パネルを取り外したときの斜視図である。
【図5】図4の状態から空気清浄フィルタユニットを取り外したときの斜視図である。
【図6】図5の状態から加湿ロータとトレーを取り外したときの斜視図である。
【図7】給水タンクの給水口と加湿機本体の給水部の部分拡大図である。
【図8】給水タンクの斜視図である。
【図9】傾斜面を下にして給水タンクを自立させた状態の図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る加湿機用給水タンクを模式的に示した断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る加湿機用給水タンクを模式的に示した断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る加湿機用給水タンクを模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態の加湿機1について説明する。
図1〜図3に示すように、加湿機1は、加湿機用給水タンク2(以下、単に給水タンク2という)と、給水タンク2が着脱可能に取り付けられる本体(加湿機本体)5とで構成されている。本体5は、空気清浄フィルタユニット6(図4参照)、加湿ロータ7(図5参照)、トレー8(図5参照)、および送風機9(図6参照)を備えている。本実施形態の加湿機1は、加湿運転時に、加湿ロータ7と送風機9を回転させる。なお、以下の説明における上下、左右および前後方向は、図1中の上下、左右および前後方向である。
【0030】
図1に示すように、本体5の左右側面には吸込口5aが形成されており、本体5の天面の後側部分には、開閉式の蓋が設けられた吹出口5bが形成されている。本体5の内部には、送風機9によって発生する空気流を吸込口5aから吹出口5bに導くための流路が形成されている。この流路に上流側から順に、空気清浄フィルタユニット6、加湿ロータ7、送風機9が配置されている。
【0031】
送風機9を駆動することにより、吸込口5aから空気が吸い込まれて、この吸い込まれた空気は、空気清浄フィルタユニット6を通過して清浄化された後、加湿ロータ7の加湿フィルタ71を通過して加湿され、その後、吹出口5bから排出される。なお、加湿フィルタ71には、空気清浄フィルタユニット6を通過した空気が全て通過するわけではなく、空気清浄フィルタユニット6を通過した空気の一部だけが加湿フィルタ71を通過する。
【0032】
図4に示すように空気清浄フィルタユニット6は、本体5の前側部分に配置されている。空気清浄フィルタユニット6は、これを通過する空気中の塵埃や臭気成分を除去する。
【0033】
図5に示すように、トレー8は本体5の下側部分に配置されている。トレー8の右側面と後面の一部は、加湿機1の外郭の一部を構成する。トレー8は、仕切り壁83によって仕切られたタンク受け容器81と貯水容器82とを有する。仕切り壁83には、貯水容器82とタンク受け容器81とを連通させる連通孔(図示省略)が形成されている。また、仕切り壁83の上部には、加湿ロータ7の外周面に沿った略円弧状の壁部84が設けられている。
【0034】
図1に示すように、タンク受け容器81には、給水タンク2が配置され、給水タンク2から供給された水が貯留される。図7に示すように、タンク受け容器81の底面には、給水タンク2の給水口31が取り付けられる給水部81aが設けられている。給水部81aは、給水口31に設けられた給水弁(図示省略)を押し上げて開弁するための押し込みピンを有する。給水タンク2内に水がある限り、タンク受け容器81内の水面は所定の満水レベルに保たれるようになっている。
【0035】
貯水容器82には、タンク受け容器81から連通孔(図示省略)を介して供給された水が貯留される。この貯水容器82内の水が、後述する水汲み部72bによって汲み上げられて加湿ロータ7の加湿フィルタ71に供給される。
【0036】
図5に示すように、加湿ロータ7は、貯水容器82の上方に配置されて、貯水容器82の上縁に設けられた支持柱85に回転自在に支持されている。加湿ロータ7は、水を吸水して気化させる加湿フィルタ71と、加湿フィルタ71を両側から保持する枠部材72とを備えている。
【0037】
枠部材72の外周面には、加湿ロータ7の左上方に配置された歯車73と噛合する複数の歯部72aが形成されている。歯車73がモータにより回転することで、加湿ロータ7は回転駆動される。
【0038】
また、枠部材72の前面には、複数の水汲み部72bが周方向に並んで設けられている。加湿ロータ7が回転することにより、複数の水汲み部72bは順次貯水トレー8内に浸水して、浸水した状態から上昇していく際に貯水容器82内の水を汲み上げる。そして、水汲み部72bが最上位置に近付くにしたがって、水汲み部72b内の水が加湿フィルタ71に掛けられる。
【0039】
給水タンク2は、加湿機1の右側部に配置されている。図2および図3に示すように、給水タンク2は、その上端部を下端部に対して加湿機1の外側(右方)に回転させることで本体5から取り外される。したがって、給水タンク2の取り外し方向(図3中の矢印方向)は、前後方向の軸を中心とした周方向である。また、給水タンク2を本体5に取り付ける場合には、給水タンク2をタンク受け容器81内に斜めに挿入して、給水タンク2を回転させる。
【0040】
図8に示すように、給水タンク2は、タンク本体3と、加湿機1の外郭の一部を構成するパネル4とを備えている。パネル4は、加湿機1の右側面の一部を構成する側面部41と、加湿機1の背面の一部を構成する背面部42とからなる。また、給水タンク2は、側面部41の裏面の図1中左端に接続された補強板47を有する。
【0041】
側面部41と背面部42との連結部分は、円弧状に湾曲している。給水タンク2が本体5に取り付けられた状態において、側面部41の上端41aはほぼ水平であって、背面部42の上端42aは、側面部41から離れるほど低くなるように形成されている。また、補強板47の上端は、ほぼ水平であって、側面部41の上端41aより若干低い位置に形成されている。
【0042】
側面部41は、給水タンク2の取り外し方向(図3の矢印方向)に垂直な面である。側面部41には、給水タンク2の残水量を確認するために給水タンク2の一部を露出させる窓部41bと、給水タンク2を着脱する際に指を引っ掛けるための凹部41cとが形成されている。また、側面部41には、係止解除ボタン44が設けられており、この係止解除ボタン44は、側面部41の裏側に配置された爪部45(図2参照)に接続されている。爪部45は、給水タンク2を本体5に取り付けたときに、本体5に設けられた係止部46(図2参照)に係止される。係止解除ボタン44は、係止部46と爪部45との係止状態を解除するためのものである。給水タンク2を本体5から取り外す際には、係止解除ボタン44の操作により係止部46と爪部45との係止状態を解除した後で、給水タンク2を回転させる。
【0043】
図7に示すように、タンク本体3は、給水タンク2が本体5に取り付けられた状態における下端部に、給水口31を有する。給水口31は、着脱可能な給水キャップで構成されている。給水キャップの内部には、押し込みピン(給水部)81aによって開弁する給水弁(図示省略)が設けられている。
【0044】
タンク本体3は、パネル4にネジなどで固定されている。タンク本体3の図1中の左側面は、略円弧状に形成されており、トレー8の略円弧状の壁部84(図5参照)と、送風機9の右側に配置された略円弧状の壁部91(図5および図6参照)に対向して配置される。
【0045】
タンク本体3の給水口31と反対側の端部には、図1中の前後方向に離間した2つの凸部32A、32Bが形成されている。給水タンク2が本体5に取り付けられた状態では、2つの凸部32A、32Bの間には、係止部46と爪部45が配置される。
【0046】
凸部32Aの先端面は、左右方向に並んだ傾きの異なる2つの平面33A、34Aで構成されている。また、凸部32Bの先端面も、左右方向に並んだ傾きの異なる2つの平面33B、34Bで構成されている。
【0047】
平面33Aと平面33Bは、同一平面上に形成されている。平面33A、33Bは、側面給水タンク2が本体5に取り付けられた状態において、タンク本体3の最上端にあり、ほぼ水平である。平面33Aと平面33Bは、パネル40の側面部41に隣接しており、給水タンク2が本体5に取り付けられた状態では、側面部41の上端41aよりも低い位置に形成されている。
【0048】
また、平面34Aと平面34Bは、同一平面上に形成されている。平面34A、34Bは、左右方向(即ち、加湿機1を上方から見たときの給水タンク2の取り外し方向(図3の矢印方向))に略平行に形成されている。給水タンク2が本体5に取り付けられた状態では、平面34A、34Bは、加湿機1の内側に向かうにつれて給水口31に近付くように傾斜している。2つの平面34A、34Bを合わせて傾斜面34とする。
【0049】
図9(a)に示すように、水が入っていない状態の給水タンク2は、傾斜面34が水平面Hに当接するように配置したときの重心位置Gが、上下方向から見て、傾斜面34の最外郭で囲まれた領域(2つの平面34A、34Bの間の部分を含む)内に位置するように構成されている。そのため、水が入っていない状態の給水タンク2は、傾斜面34が水平面Hに当接するように置いたときに、水平面に対して傾斜した状態で自立する。また、給水タンク2は、内部に水が入った状態でも自立する。なお、給水タンク2が水平面に対して傾斜しているとは、本体5に取り付けられている状態で水平な平面(例えば平面33A)が、自立時に傾いている状態をいう。本実施形態では、パネル4の側面部41が水平面Hに対して傾斜している。
【0050】
この自立時、パネル4の側面部41の端部41aと、背面部42の端部42aは、水平面Hに接触しない。また、本実施形態では、補強板47の端部は水平面Hに接触しているが、接触しないように構成されていてもよい。
【0051】
本実施形態では、給水口31と反対側にある傾斜面34を下にして給水タンク2を自立させることができるため、給水タンク2への給水作業が容易になる。
また、通常、給水作業は、給水タンク2をシンク内に配置して、蛇口から直接給水タンク2内に水を入れるが、本実施形態の給水タンク2は、水平面Hに対して傾斜した状態で自立するため、自立時の高さが低く抑えられ、シンクの底面と蛇口との間に給水タンク2を配置しやすい。そのため、給水タンク2への給水作業がより容易になる。
【0052】
また、本実施形態の給水タンク2は、給水口31と反対側の端部が、加湿機1の内側に向かうにつれて給水口31側端部に近付くように傾斜しているため、給水タンク2を回転させて本体5から取り外すときに、給水口31と反対側端部が本体5と衝突するのを防止できる。
【0053】
また、本実施形態の給水タンク2は、2つの平面34A、34Bが、給水タンク2の取り外し方向に平行で且つ離間しているため、給水タンク2を本体5に取り付けた状態において、2つの平面34A、34Bの間に係止部46を配置しても、給水タンク2の取り外し時に係止部46が邪魔になることがなく、加湿機1内のスペースを有効に活用できる。
【0054】
また、本実施形態では、傾斜面34を水平面Hに当接させて給水タンク2を自立させたとき、側面部41および背面部42の端部41a、42aが水平面Hに接触しないため、パネル40の破損を防止できる。
【0055】
また、本実施形態の給水タンク2では、傾斜面34(平面34A、34B)とパネル4の側面部41との間に、傾斜面34と傾きの異なる平面33A、33Bを設けているため、傾斜面34を水平面Hに当接させて給水タンク2を自立させたときに、側面部41の端部41aと水平面Hとの距離を十分に確保できる。したがって、側面部41が破損するのをより確実に防止できる。
【0056】
また、給水タンクを上に引き上げて取り外す構成の加湿機では、タンクの高さ分だけ加湿機本体から引き出す必要があるのに対して、本実施形態では、給水タンク2を外側に回転させるだけで取り外すことができるため、取り外し作業が容易である。
また、給水タンクを上に引き上げて取り外す構成の加湿機では、上面に本体とタンクもしくはタンク取り出し用の扉との境界ができるのに対して、本発明の加湿機給水タンクを用いた加湿機では上面に境界ができないため、デザイン上の制約が減る。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0058】
上記実施形態の給水タンク2は、傾斜面34を水平面Hに当接させて自立させたときに、パネル4の側面部41の端部41aと背面部42の端部42aは両方とも、水平面Hに接触しないようになっているが、一方または両方が水平面Hに接触してもよい。
【0059】
給水タンク2は、パネル4を有していなくてもよい。この場合、タンク本体3が外部に露出するようになっていてもよく、給水タンクを本体5に取り付けた後で、給水タンクとは別体のパネルを取り付けるようになっていてもよい。
【0060】
上記実施形態では、給水口31を上に向けて給水タンク2を自立させる時の設置面が、2つの平面34A、34Bで構成されているが、この構成に限定されない。
例えば、設置面は、1つの平面で構成されていてもよく、3つ以上の平面で構成されていてもよく、複数の突起の先端面で構成されていてもよい。
【0061】
上記実施形態では、給水口31を上に向けて給水タンク2を自立させる時の設置面が、タンク本体3の面のみで構成されているが、この構成に限定されない。
例えば図10および図11に示すように、タンク本体3とは別体の部材148、248の面を設置面として自立可能であってもよい。図11に示す部材248は、折り畳み可能に構成されており、本体5に取り付けるときには折り畳まれる。また、例えば図12に示すように、タンク本体3とは別体の部材348の面と、タンク本体3の面の両方を設置面として自立可能であってもよい。また、部材148、248、348は、パネル4またはタンク本体3に対して固定されていてもよく、着脱可能に構成されていてもよい。なお、タンク本体3は中空の容器であるが、図10〜図12ではタンク本体3の内部を全てハッチングで表示している。
【0062】
上記実施形態の給水タンク2は、内部に水が入っていても入っていなくても、傾斜面34を下にして常に自立可能であるが、水が所定量以上の場合に自立可能で、水が所定量未満の場合(水が入っていない場合を含む)に自立できないようになっていてもよい。また、逆に、水が所定量未満の場合に自立可能で、水が所定量以上の場合に自立できないようになっていてもよい。
【0063】
上記実施形態では、給水タンク2は、本体5の右側部に配置されており、給水タンク2の上端部を右方に傾けることで本体5から取り外されるようになっているが、給水タンク2の配置位置および取り外し方向はこれに限定されない。給水タンクが本体5の左面部に配置され、給水タンクの上端部を左方に傾けることで本体5から取り外されるようになっていてもよい。また、給水タンクが本体5の背面部に配置され、給水タンクの上端部を後方に傾けることで本体5から取り外されるようになっていてもよい。また、給水タンクが本体5の前面部に配置され、給水タンクの上端部を前方に傾けることで本体5から取り外されるようになっていてもよい。
【0064】
上記実施形態では、給水タンク2は、本体5に取り付けられた状態から上端部を回転させることで本体5から取り外されるようになっているが、給水タンク2の本体5に対する着脱構造はこれに限定されない。例えば、給水タンクを鉛直上方に持ち上げることで、本体5から給水タンクが取り外されるようになっていてもよい。この場合、給水タンクは、給水口と反対側の端部を下にして水平面に置いたときに、水平面に対して傾斜した状態で自立する。自立時の傾斜方向はどの方向であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明を利用すれば、加湿機用給水タンクを、給水口と反対側の端部を下にして水平面に対して斜めに自立させることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 加湿機
2 加湿機用給水タンク
3 タンク本体
4 パネル
5 本体(加湿機本体)
31 給水口
34 傾斜面
34A、34B 平面
81a 給水部
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿機用給水タンクとこれを備えた加湿機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から加湿機として、着脱可能な給水タンクを備えたものがある。給水タンクは、加湿機本体に取り付けられた状態における下端部に、給水口を有している。例えば特許文献1の加湿機では、給水タンクの上端部を下端部に対して加湿機の外側に回転させることにより、給水タンクは加湿機本体から取り外される。また、給水タンクを鉛直上方に持ち上げることで、給水タンクが加湿機本体から取り外されるように構成された加湿機もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−30940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加湿機から取り外された給水タンクへの給水作業は、給水口を上に向けて行われるが、従来の給水タンクには、給水口と反対側の端部を下にして水平面に置いたとき斜めに自立できるものがなかった。そのため、自立できない給水タンクの場合、給水作業時に給水タンクを常に支えておく必要があった。また、たとえ自立できても鉛直に自立する場合、給水タンクの高さによっては、シンクの底面と蛇口との間に給水タンクを自立した状態で配置することができず、給水タンクを傾けた状態で支えながら給水作業を行わなければならなかった。
【0005】
そこで、本発明は、給水口と反対側の端部を下にして水平面に対して斜めに自立させることのできる加湿機用給水タンクおよびこれを備えた加湿機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る加湿機用給水タンクは、加湿機本体に設けられた給水部に対して取り付けられる給水口を有する加湿機用給水タンクであって、加湿機本体から取り外して前記給水口と反対側端部を下にして水平面に置いたときに、水平面に対して傾斜した状態で自立することを特徴とする。
【0007】
この加湿機用給水タンクでは、給水口と反対側の端部を下にして自立させることができるため、給水タンクへの給水作業が容易になる。また、この加湿機用給水タンクは、傾斜した状態で自立するため、自立時の高さが低く抑えられ、給水タンクへの給水作業がより容易になる。
【0008】
第2の発明に係る加湿機用給水タンクは、第1の発明において、前記加湿機本体に取り付けられた状態から、前記反対側端部を前記給水口に対して加湿機の外側に回転させることにより前記加湿機本体から取り外し可能であることを特徴とする。
【0009】
この加湿機用給水タンクは、外側に回転させるだけで加湿機本体から取り外せるため、給水タンクを上に引き上げて取り外す構成に比べて、取り外し作業が容易である。
また、給水タンクを上に引き上げて取り外す構成の加湿機では、上面に本体とタンクもしくはタンク取り出し用の扉との境界ができるのに対して、本発明の加湿機給水タンクを用いた加湿機では上面に境界ができないため、デザイン上の制約が減る。
【0010】
第3の発明に係る加湿機用給水タンクは、第2の発明において、前記反対側端部に設けられ、前記加湿機本体に取り付けられた状態で加湿機の内側に向かうにつれて前記給水口側端部に近付くように傾斜した傾斜面を有しており、前記傾斜面が水平面に当接することによって水平面に対して傾斜した状態で自立することを特徴とする。
【0011】
この加湿機用給水タンクでは、給水口と反対側の端部が、加湿機の内側に向かうにつれて給水口側端部に近付くように傾斜しているため、給水タンクを回転させて加湿機本体から取り外すときに、給水口と反対側の端部が加湿機本体と衝突するのを防止できる。
【0012】
第4の発明に係る加湿機用給水タンクは、第3の発明において、前記傾斜面が、前記加湿機用給水タンクの取り外し方向に平行で且つ離間して配置される2つの平面を含むことを特徴とする。
【0013】
この加湿機用給水タンクでは、給水タンクを加湿機本体に取り付けた状態において、2つの平面の間に加湿機本体側の部品を配置しても、給水タンクの取り外し時にこの部品が邪魔になることがなく、加湿機内のスペースを有効に活用できる。
【0014】
第5の発明に係る加湿機用給水タンクは、第1〜第4のいずれかの発明において、加湿機の外郭の一部を構成するパネルを有することを特徴とする。
【0015】
この加湿機用給水タンクでは、給水タンクのタンク本体がパネルで覆われるため、加湿機の見栄えが良い。
【0016】
第6の発明に係る加湿機用給水タンクは、第5の発明で、水平面に対して傾斜した状態で自立した状態において、前記パネルの下端部の少なくとも一部が、水平面に接触しないことを特徴とする。
【0017】
この加湿機用給水タンクでは、パネルの破損を防止できる。
【0018】
第7の発明に係る加湿機は、第1〜第6のいずれかの発明の加湿機用給水タンクを備えていることを特徴とする。
【0019】
この加湿機では、第1〜第6のいずれかの発明と同じ効果が得られる。
【発明の効果】
【0020】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0021】
第1の発明では、給水口と反対側の端部を下にして自立させることができるため、給水タンクへの給水作業が容易になる。また、この加湿機用給水タンクは、傾斜した状態で自立するため、自立時の高さが低く抑えられ、給水タンクへの給水作業がより容易になる。
【0022】
第2の発明では、外側に回転させるだけで加湿機本体から取り外せるため、給水タンクを上に引き上げて取り外す構成に比べて、取り外し作業が容易である。
また、給水タンクを上に引き上げて取り外す構成の加湿機では、上面に本体とタンクもしくはタンク取り出し用の扉との境界ができるのに対して、本発明の加湿機給水タンクを用いた加湿機では上面に境界ができないため、デザイン上の制約が減る。
【0023】
第3の発明では、給水口と反対側の端部が、加湿機の内側に向かうにつれて給水口側端部に近付くように傾斜しているため、給水タンクを回転させて加湿機本体から取り外すときに、給水口と反対側の端部が加湿機本体と衝突するのを防止できる。
【0024】
第4の発明では、給水タンクを加湿機本体に取り付けた状態において、2つの平面の間に加湿機本体側の部品を配置しても、給水タンクの取り外し時にこの部品が邪魔になることがなく、加湿機内のスペースを有効に活用できる。
【0025】
第5の発明では、給水タンクのタンク本体がパネルで覆われるため、加湿機の見栄えが良い。
【0026】
第6の発明では、パネルの破損を防止できる。
【0027】
第7の発明では、第1〜第6のいずれかの発明と同じ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る加湿機の斜視図である。
【図2】図1の加湿機から給水タンクを取り外している途中の状態を示す斜視図である。
【図3】図2の背面図である。
【図4】図1の加湿機本体から前面パネルを取り外したときの斜視図である。
【図5】図4の状態から空気清浄フィルタユニットを取り外したときの斜視図である。
【図6】図5の状態から加湿ロータとトレーを取り外したときの斜視図である。
【図7】給水タンクの給水口と加湿機本体の給水部の部分拡大図である。
【図8】給水タンクの斜視図である。
【図9】傾斜面を下にして給水タンクを自立させた状態の図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る加湿機用給水タンクを模式的に示した断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る加湿機用給水タンクを模式的に示した断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る加湿機用給水タンクを模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態の加湿機1について説明する。
図1〜図3に示すように、加湿機1は、加湿機用給水タンク2(以下、単に給水タンク2という)と、給水タンク2が着脱可能に取り付けられる本体(加湿機本体)5とで構成されている。本体5は、空気清浄フィルタユニット6(図4参照)、加湿ロータ7(図5参照)、トレー8(図5参照)、および送風機9(図6参照)を備えている。本実施形態の加湿機1は、加湿運転時に、加湿ロータ7と送風機9を回転させる。なお、以下の説明における上下、左右および前後方向は、図1中の上下、左右および前後方向である。
【0030】
図1に示すように、本体5の左右側面には吸込口5aが形成されており、本体5の天面の後側部分には、開閉式の蓋が設けられた吹出口5bが形成されている。本体5の内部には、送風機9によって発生する空気流を吸込口5aから吹出口5bに導くための流路が形成されている。この流路に上流側から順に、空気清浄フィルタユニット6、加湿ロータ7、送風機9が配置されている。
【0031】
送風機9を駆動することにより、吸込口5aから空気が吸い込まれて、この吸い込まれた空気は、空気清浄フィルタユニット6を通過して清浄化された後、加湿ロータ7の加湿フィルタ71を通過して加湿され、その後、吹出口5bから排出される。なお、加湿フィルタ71には、空気清浄フィルタユニット6を通過した空気が全て通過するわけではなく、空気清浄フィルタユニット6を通過した空気の一部だけが加湿フィルタ71を通過する。
【0032】
図4に示すように空気清浄フィルタユニット6は、本体5の前側部分に配置されている。空気清浄フィルタユニット6は、これを通過する空気中の塵埃や臭気成分を除去する。
【0033】
図5に示すように、トレー8は本体5の下側部分に配置されている。トレー8の右側面と後面の一部は、加湿機1の外郭の一部を構成する。トレー8は、仕切り壁83によって仕切られたタンク受け容器81と貯水容器82とを有する。仕切り壁83には、貯水容器82とタンク受け容器81とを連通させる連通孔(図示省略)が形成されている。また、仕切り壁83の上部には、加湿ロータ7の外周面に沿った略円弧状の壁部84が設けられている。
【0034】
図1に示すように、タンク受け容器81には、給水タンク2が配置され、給水タンク2から供給された水が貯留される。図7に示すように、タンク受け容器81の底面には、給水タンク2の給水口31が取り付けられる給水部81aが設けられている。給水部81aは、給水口31に設けられた給水弁(図示省略)を押し上げて開弁するための押し込みピンを有する。給水タンク2内に水がある限り、タンク受け容器81内の水面は所定の満水レベルに保たれるようになっている。
【0035】
貯水容器82には、タンク受け容器81から連通孔(図示省略)を介して供給された水が貯留される。この貯水容器82内の水が、後述する水汲み部72bによって汲み上げられて加湿ロータ7の加湿フィルタ71に供給される。
【0036】
図5に示すように、加湿ロータ7は、貯水容器82の上方に配置されて、貯水容器82の上縁に設けられた支持柱85に回転自在に支持されている。加湿ロータ7は、水を吸水して気化させる加湿フィルタ71と、加湿フィルタ71を両側から保持する枠部材72とを備えている。
【0037】
枠部材72の外周面には、加湿ロータ7の左上方に配置された歯車73と噛合する複数の歯部72aが形成されている。歯車73がモータにより回転することで、加湿ロータ7は回転駆動される。
【0038】
また、枠部材72の前面には、複数の水汲み部72bが周方向に並んで設けられている。加湿ロータ7が回転することにより、複数の水汲み部72bは順次貯水トレー8内に浸水して、浸水した状態から上昇していく際に貯水容器82内の水を汲み上げる。そして、水汲み部72bが最上位置に近付くにしたがって、水汲み部72b内の水が加湿フィルタ71に掛けられる。
【0039】
給水タンク2は、加湿機1の右側部に配置されている。図2および図3に示すように、給水タンク2は、その上端部を下端部に対して加湿機1の外側(右方)に回転させることで本体5から取り外される。したがって、給水タンク2の取り外し方向(図3中の矢印方向)は、前後方向の軸を中心とした周方向である。また、給水タンク2を本体5に取り付ける場合には、給水タンク2をタンク受け容器81内に斜めに挿入して、給水タンク2を回転させる。
【0040】
図8に示すように、給水タンク2は、タンク本体3と、加湿機1の外郭の一部を構成するパネル4とを備えている。パネル4は、加湿機1の右側面の一部を構成する側面部41と、加湿機1の背面の一部を構成する背面部42とからなる。また、給水タンク2は、側面部41の裏面の図1中左端に接続された補強板47を有する。
【0041】
側面部41と背面部42との連結部分は、円弧状に湾曲している。給水タンク2が本体5に取り付けられた状態において、側面部41の上端41aはほぼ水平であって、背面部42の上端42aは、側面部41から離れるほど低くなるように形成されている。また、補強板47の上端は、ほぼ水平であって、側面部41の上端41aより若干低い位置に形成されている。
【0042】
側面部41は、給水タンク2の取り外し方向(図3の矢印方向)に垂直な面である。側面部41には、給水タンク2の残水量を確認するために給水タンク2の一部を露出させる窓部41bと、給水タンク2を着脱する際に指を引っ掛けるための凹部41cとが形成されている。また、側面部41には、係止解除ボタン44が設けられており、この係止解除ボタン44は、側面部41の裏側に配置された爪部45(図2参照)に接続されている。爪部45は、給水タンク2を本体5に取り付けたときに、本体5に設けられた係止部46(図2参照)に係止される。係止解除ボタン44は、係止部46と爪部45との係止状態を解除するためのものである。給水タンク2を本体5から取り外す際には、係止解除ボタン44の操作により係止部46と爪部45との係止状態を解除した後で、給水タンク2を回転させる。
【0043】
図7に示すように、タンク本体3は、給水タンク2が本体5に取り付けられた状態における下端部に、給水口31を有する。給水口31は、着脱可能な給水キャップで構成されている。給水キャップの内部には、押し込みピン(給水部)81aによって開弁する給水弁(図示省略)が設けられている。
【0044】
タンク本体3は、パネル4にネジなどで固定されている。タンク本体3の図1中の左側面は、略円弧状に形成されており、トレー8の略円弧状の壁部84(図5参照)と、送風機9の右側に配置された略円弧状の壁部91(図5および図6参照)に対向して配置される。
【0045】
タンク本体3の給水口31と反対側の端部には、図1中の前後方向に離間した2つの凸部32A、32Bが形成されている。給水タンク2が本体5に取り付けられた状態では、2つの凸部32A、32Bの間には、係止部46と爪部45が配置される。
【0046】
凸部32Aの先端面は、左右方向に並んだ傾きの異なる2つの平面33A、34Aで構成されている。また、凸部32Bの先端面も、左右方向に並んだ傾きの異なる2つの平面33B、34Bで構成されている。
【0047】
平面33Aと平面33Bは、同一平面上に形成されている。平面33A、33Bは、側面給水タンク2が本体5に取り付けられた状態において、タンク本体3の最上端にあり、ほぼ水平である。平面33Aと平面33Bは、パネル40の側面部41に隣接しており、給水タンク2が本体5に取り付けられた状態では、側面部41の上端41aよりも低い位置に形成されている。
【0048】
また、平面34Aと平面34Bは、同一平面上に形成されている。平面34A、34Bは、左右方向(即ち、加湿機1を上方から見たときの給水タンク2の取り外し方向(図3の矢印方向))に略平行に形成されている。給水タンク2が本体5に取り付けられた状態では、平面34A、34Bは、加湿機1の内側に向かうにつれて給水口31に近付くように傾斜している。2つの平面34A、34Bを合わせて傾斜面34とする。
【0049】
図9(a)に示すように、水が入っていない状態の給水タンク2は、傾斜面34が水平面Hに当接するように配置したときの重心位置Gが、上下方向から見て、傾斜面34の最外郭で囲まれた領域(2つの平面34A、34Bの間の部分を含む)内に位置するように構成されている。そのため、水が入っていない状態の給水タンク2は、傾斜面34が水平面Hに当接するように置いたときに、水平面に対して傾斜した状態で自立する。また、給水タンク2は、内部に水が入った状態でも自立する。なお、給水タンク2が水平面に対して傾斜しているとは、本体5に取り付けられている状態で水平な平面(例えば平面33A)が、自立時に傾いている状態をいう。本実施形態では、パネル4の側面部41が水平面Hに対して傾斜している。
【0050】
この自立時、パネル4の側面部41の端部41aと、背面部42の端部42aは、水平面Hに接触しない。また、本実施形態では、補強板47の端部は水平面Hに接触しているが、接触しないように構成されていてもよい。
【0051】
本実施形態では、給水口31と反対側にある傾斜面34を下にして給水タンク2を自立させることができるため、給水タンク2への給水作業が容易になる。
また、通常、給水作業は、給水タンク2をシンク内に配置して、蛇口から直接給水タンク2内に水を入れるが、本実施形態の給水タンク2は、水平面Hに対して傾斜した状態で自立するため、自立時の高さが低く抑えられ、シンクの底面と蛇口との間に給水タンク2を配置しやすい。そのため、給水タンク2への給水作業がより容易になる。
【0052】
また、本実施形態の給水タンク2は、給水口31と反対側の端部が、加湿機1の内側に向かうにつれて給水口31側端部に近付くように傾斜しているため、給水タンク2を回転させて本体5から取り外すときに、給水口31と反対側端部が本体5と衝突するのを防止できる。
【0053】
また、本実施形態の給水タンク2は、2つの平面34A、34Bが、給水タンク2の取り外し方向に平行で且つ離間しているため、給水タンク2を本体5に取り付けた状態において、2つの平面34A、34Bの間に係止部46を配置しても、給水タンク2の取り外し時に係止部46が邪魔になることがなく、加湿機1内のスペースを有効に活用できる。
【0054】
また、本実施形態では、傾斜面34を水平面Hに当接させて給水タンク2を自立させたとき、側面部41および背面部42の端部41a、42aが水平面Hに接触しないため、パネル40の破損を防止できる。
【0055】
また、本実施形態の給水タンク2では、傾斜面34(平面34A、34B)とパネル4の側面部41との間に、傾斜面34と傾きの異なる平面33A、33Bを設けているため、傾斜面34を水平面Hに当接させて給水タンク2を自立させたときに、側面部41の端部41aと水平面Hとの距離を十分に確保できる。したがって、側面部41が破損するのをより確実に防止できる。
【0056】
また、給水タンクを上に引き上げて取り外す構成の加湿機では、タンクの高さ分だけ加湿機本体から引き出す必要があるのに対して、本実施形態では、給水タンク2を外側に回転させるだけで取り外すことができるため、取り外し作業が容易である。
また、給水タンクを上に引き上げて取り外す構成の加湿機では、上面に本体とタンクもしくはタンク取り出し用の扉との境界ができるのに対して、本発明の加湿機給水タンクを用いた加湿機では上面に境界ができないため、デザイン上の制約が減る。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0058】
上記実施形態の給水タンク2は、傾斜面34を水平面Hに当接させて自立させたときに、パネル4の側面部41の端部41aと背面部42の端部42aは両方とも、水平面Hに接触しないようになっているが、一方または両方が水平面Hに接触してもよい。
【0059】
給水タンク2は、パネル4を有していなくてもよい。この場合、タンク本体3が外部に露出するようになっていてもよく、給水タンクを本体5に取り付けた後で、給水タンクとは別体のパネルを取り付けるようになっていてもよい。
【0060】
上記実施形態では、給水口31を上に向けて給水タンク2を自立させる時の設置面が、2つの平面34A、34Bで構成されているが、この構成に限定されない。
例えば、設置面は、1つの平面で構成されていてもよく、3つ以上の平面で構成されていてもよく、複数の突起の先端面で構成されていてもよい。
【0061】
上記実施形態では、給水口31を上に向けて給水タンク2を自立させる時の設置面が、タンク本体3の面のみで構成されているが、この構成に限定されない。
例えば図10および図11に示すように、タンク本体3とは別体の部材148、248の面を設置面として自立可能であってもよい。図11に示す部材248は、折り畳み可能に構成されており、本体5に取り付けるときには折り畳まれる。また、例えば図12に示すように、タンク本体3とは別体の部材348の面と、タンク本体3の面の両方を設置面として自立可能であってもよい。また、部材148、248、348は、パネル4またはタンク本体3に対して固定されていてもよく、着脱可能に構成されていてもよい。なお、タンク本体3は中空の容器であるが、図10〜図12ではタンク本体3の内部を全てハッチングで表示している。
【0062】
上記実施形態の給水タンク2は、内部に水が入っていても入っていなくても、傾斜面34を下にして常に自立可能であるが、水が所定量以上の場合に自立可能で、水が所定量未満の場合(水が入っていない場合を含む)に自立できないようになっていてもよい。また、逆に、水が所定量未満の場合に自立可能で、水が所定量以上の場合に自立できないようになっていてもよい。
【0063】
上記実施形態では、給水タンク2は、本体5の右側部に配置されており、給水タンク2の上端部を右方に傾けることで本体5から取り外されるようになっているが、給水タンク2の配置位置および取り外し方向はこれに限定されない。給水タンクが本体5の左面部に配置され、給水タンクの上端部を左方に傾けることで本体5から取り外されるようになっていてもよい。また、給水タンクが本体5の背面部に配置され、給水タンクの上端部を後方に傾けることで本体5から取り外されるようになっていてもよい。また、給水タンクが本体5の前面部に配置され、給水タンクの上端部を前方に傾けることで本体5から取り外されるようになっていてもよい。
【0064】
上記実施形態では、給水タンク2は、本体5に取り付けられた状態から上端部を回転させることで本体5から取り外されるようになっているが、給水タンク2の本体5に対する着脱構造はこれに限定されない。例えば、給水タンクを鉛直上方に持ち上げることで、本体5から給水タンクが取り外されるようになっていてもよい。この場合、給水タンクは、給水口と反対側の端部を下にして水平面に置いたときに、水平面に対して傾斜した状態で自立する。自立時の傾斜方向はどの方向であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明を利用すれば、加湿機用給水タンクを、給水口と反対側の端部を下にして水平面に対して斜めに自立させることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 加湿機
2 加湿機用給水タンク
3 タンク本体
4 パネル
5 本体(加湿機本体)
31 給水口
34 傾斜面
34A、34B 平面
81a 給水部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿機本体に設けられた給水部に対して取り付けられる給水口を有する加湿機用給水タンクであって、
前記加湿機本体から取り外して前記給水口と反対側端部を下にして水平面に置いたときに、水平面に対して傾斜した状態で自立することを特徴とする加湿機用給水タンク。
【請求項2】
前記加湿機本体に取り付けられた状態から、前記反対側端部を前記給水口に対して加湿機の外側に回転させることにより前記加湿機本体から取り外し可能であることを特徴とする請求項1に記載の加湿機用給水タンク。
【請求項3】
前記反対側端部に設けられ、前記加湿機本体に取り付けられた状態で加湿機の内側に向かうにつれて前記給水口側端部に近付くように傾斜した傾斜面を有しており、
前記傾斜面が水平面に当接することによって水平面に対して傾斜した状態で自立することを特徴とする請求項2に記載の加湿機用給水タンク。
【請求項4】
前記傾斜面が、前記加湿機用給水タンクの取り外し方向に平行で且つ離間して配置される2つの平面を含むことを特徴とする請求項3に記載の加湿機用給水タンク。
【請求項5】
加湿機の外郭の一部を構成するパネルを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加湿機用給水タンク。
【請求項6】
水平面に対して傾斜した状態で自立した状態において、前記パネルの下端部の少なくとも一部が、水平面に接触しないことを特徴とする請求項5に記載の加湿機用給水タンク。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の加湿機用給水タンクを備えた加湿機。
【請求項1】
加湿機本体に設けられた給水部に対して取り付けられる給水口を有する加湿機用給水タンクであって、
前記加湿機本体から取り外して前記給水口と反対側端部を下にして水平面に置いたときに、水平面に対して傾斜した状態で自立することを特徴とする加湿機用給水タンク。
【請求項2】
前記加湿機本体に取り付けられた状態から、前記反対側端部を前記給水口に対して加湿機の外側に回転させることにより前記加湿機本体から取り外し可能であることを特徴とする請求項1に記載の加湿機用給水タンク。
【請求項3】
前記反対側端部に設けられ、前記加湿機本体に取り付けられた状態で加湿機の内側に向かうにつれて前記給水口側端部に近付くように傾斜した傾斜面を有しており、
前記傾斜面が水平面に当接することによって水平面に対して傾斜した状態で自立することを特徴とする請求項2に記載の加湿機用給水タンク。
【請求項4】
前記傾斜面が、前記加湿機用給水タンクの取り外し方向に平行で且つ離間して配置される2つの平面を含むことを特徴とする請求項3に記載の加湿機用給水タンク。
【請求項5】
加湿機の外郭の一部を構成するパネルを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加湿機用給水タンク。
【請求項6】
水平面に対して傾斜した状態で自立した状態において、前記パネルの下端部の少なくとも一部が、水平面に接触しないことを特徴とする請求項5に記載の加湿機用給水タンク。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の加湿機用給水タンクを備えた加湿機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−7509(P2013−7509A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139304(P2011−139304)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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