説明

加熱されたオニオンからなる調味料の製造方法

【課題】加熱されたオニオンからなる調味料を工業的に得るのに適した製造方法を提供する。
【解決手段】オニオンの搾汁を得る工程、および、上記搾汁を、搾汁原液(この搾汁原液はオニオンを絞って得た液に一切の水が加えられていない液に相当する。)の480nmにおける吸光度を1.0として、加熱された搾汁の480nmにおける吸光度が3.0から2.1×10の範囲になるまで加熱する工程を含む、加熱されたオニオンからなる調味料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加熱されたオニオン(すなわち、玉葱)からなる調味料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱されたオニオンからなる調味料として、ソテーオニオンまたはオニオンソテー(以下総称して「オニオンソテー」と称する。)が知られている。オニオンソテーは、みじん切りしたオニオンを、植物油等を敷いたフライパンにて、みじん切りしたオニオンが、透明感がある、きつね色になるまでじっくり炒めて調製されている。このような、オニオンソテーの調製方法は、しかし、20分間以上の、ときには1.5時間に及ぶ炒め時間を必要とし、炒めの間、調理人は火から離れることができない。したがって、従来のオニオンソテーの調製方法は、工業的に行うには適していない。
【0003】
また、工業的に行われているオニオンソテーの製造方法として、みじん切りにしたオニオンをニーダーのような加熱釜で加熱して製造することが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。これらの知られている方法は、いずれも、加熱されたオニオンの水分含量が一定以下に低下すると、温度管理を厳密に行っても、かき混ぜの仕方次第では加熱釜中で、オニオンが容易に焦げ付き、工業的に管理が難しい。さらにこの焦げ付きを防止するために、急な熱をかけないよう、長い時間をかけて加熱される。その長い時間、厳密に管理された温度の維持と同じく厳密に管理されたかき混ぜが必要である。予めマイクロ波加熱したり、あるいはアルコールを加えたりして加熱釜中での焦げ付きを防ぐ工夫がなされているが、満足できる程の十分な改善がなされているとは言えない。したがって、知られている工業的なオニオンソテーの調製方法もまた、工業的に行うには未だ問題を有している。
【0004】
特許文献3には、みじん切りした玉葱を熱水で抽出して、抽出水溶液を得、この抽出水溶液を糖度60ブリックス値以上に濃縮し、この濃縮された抽出液を玉葱固形分と合わせ、濃縮された抽出液と玉葱固形分の合わされたものをソテーして、オニオンソテーを調製することが記載されている。この特許文献3に記載されている方法によって、濃縮された抽出液と玉葱固形分の合わされたものの加熱時間が短縮され、その分、厳密な温度管理とかき混ぜ管理に要する時間が短縮されたが、依然、長時間の厳密な温度管理とかき混ぜ管理が必要である。
【0005】
【特許文献1】特開2000−093109
【特許文献2】特開昭63−157952
【特許文献3】特開2006−333836
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、加熱されたオニオンからなる調味料を工業的に得るのに適した製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上の発明の課題は、
オニオンの搾汁を得る工程、および、上記搾汁を、搾汁原液(この搾汁原液はオニオンを絞って得た液に一切の水が加えられていない液に相当する。)の480nmにおける吸光度を1.0として、480nmの吸光度が3.0から2.1×10の範囲になるまで加熱する工程を含む、加熱されたオニオンからなる調味料の製造方法
を提供することにより解決された。
【0008】
従来のオニオンソテーの調製は、いずれもオニオン汁分とオニオン固形分とが分離されていない状態で(例えば特許文献1および2)、また特許文献3においては一旦分離されたオニオン汁分と固形分が合わされて、加熱されていた。これは、従来、アロマ、フレーバー、テーストなどにおいて最適なオニオンソテーを得るためには、オニオン汁分とオニオン固形分を一緒にして加熱しなければならないと信じられていたためである。従来の方法においては、加熱は長時間必要であり、オニオン汁分と固形分とが一緒に長時間加熱されるために、特に焦げ付きを防止するための長時間の厳密な温度管理とかき混ぜ管理が必須であった。本発明者は、驚くべきことに、従来信じられていたオニオン汁分と固形分を一緒に加熱しなくとも、すなわち、オニオン汁分だけを加熱しても、従来のオニオンソテーに勝るとも劣らない加熱されたオニオンからなる調味料が得られることを見出した。オニオン汁分だけを加熱することにより、焦げ付き防止のために従来必須であった長時間の加熱ならびに加熱の間の厳密な温度管理およびかき混ぜ管理が必要ないことを見出したことも驚くべきことである。そして、加熱時間が短縮されたことならびに厳密な温度管理およびかき混ぜ管理が必要でなくなったことは、加熱されたオニオンからなる調味料を工業的に調製する上で、顕著な利益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
オニオンは、圧搾され、オニオンより搾汁が得られる。
【0010】
搾汁の前に、オニオンは、必要ならば、剥皮、水洗、根などの切り取りなどの前処理が行われる。次いで、オニオンを、スライス、輪切り、みじん切りなど適度に切って、または切ることなく(すなわち、全部を)搾汁工程に移される。
【0011】
オニオンをみじん切りにする方法は、いかなる方法でも良く、例えば、ミキサー、ジューサー、スライサー、チョッパー、ダイサー、粉砕機および磨砕機など並びに圧搾を兼ねた圧延ローラー、ベルト圧搾機、スクリュー圧搾機、エクストゥルーダー、ロールクラッシャーなどが用いられる。
【0012】
圧搾もまた知られているいかなる方法(例えばプレス圧搾、重力(遠心重力)による圧搾など)も使用できる。圧搾は、通常、圧搾と固液分離とが同時に、例えば、フィルタープレス、圧搾濾過機、遠心脱水機、超高速遠心分離機などを用いて、行われる。
【0013】
ここで述べる「搾汁」は、
(1)オニオンの搾汁残差(オニオン固形分)を水洗して得られた搾汁残差の水洗液が加えられていない「搾汁原液」であるもの、および
(2)前記搾汁原液に前記搾汁残差の水洗液が加えられたもの
の両方を含む。
【0014】
加熱温度および加熱時間は、搾汁原液の480nmにおける吸光度を1.0として、加熱された搾汁の480nmの吸光度が3.0から2.1×10の範囲になるように調節される。当然、より低い温度で加熱すればより長時間の加熱を要する。ここで言う「加熱時間」は、予め定められた温度に達した後、その所定温度が保たれている時間である。
【0015】
より具体的に、加熱温度は、通常80℃から120℃の範囲で行われ、好ましくは90℃から100℃の範囲、最も好ましくは95℃から100℃の範囲で行われる。
【0016】
加熱は、通常常圧下で行われる。しかし、加圧釜やオートクレーブを用いるなどの加圧下で行ってよく、または減圧下で行ってもよい。
【0017】
加熱の方法もまた、知られているどのような方法でもよい。例えば、加熱釜中での加熱、電磁波加熱、加圧下加熱、減圧下加熱、高圧水蒸気を用いる熱交換機による加熱などにて行いうる。より具体的に、加熱は、釜鍋、回転釜、減圧濃縮缶、抜き取り式濃縮装置、ロータリーコイル濃縮機、ディスク式濃縮装置、ドラムドライヤー、圧力釜、回転ドラム乾燥機、ジャケット式加熱タンク、各種熱交換機、電磁波加熱装置などを用いて行うことができる。
【0018】
加熱の間、必要により緩やかに撹拌しても良いが、本発明による加熱は、従来の方法によるような、厳密に管理されたかき混ぜを必要としない。また、撹拌をしなくとも焦げ付きなどの問題は普通生じない。さらに、焦げ付きを防ぐために、搾汁にアルコールを添加することまたは食用油を添加することなども必要としないが、本発明においては、焦げ付き防止以外の目的で、例えば調味料としての用途によって、搾汁の加熱時に搾汁にアルコールや食用油を添加しても良い。また、加熱の温度管理も、従来の方法のような厳密な管理を要しない。
【0019】
この発明で述べる「加熱時間」には、特に、搾汁原液の480nmにおける吸光度を1.0として、480nmの吸光度が20より小さい加熱されたオニオン搾汁からなる製品を使用してカレーを調理するなど、加熱された搾汁をさらに加熱する場合、このさらなる加熱時間も、温度80℃から120℃の範囲の加熱であれば、本発明の加熱時間として含めてよい。しかし、特に、搾汁原液の480nmにおける吸光度を1.0として、480nmにおける吸光度が20以上にまで加熱された製品の場合、調理におけるさらなる加熱時間を、この加熱時間に含めなくともよい。
【0020】
加熱について、加熱を後に述べる搾汁の蒸発濃縮と共に加熱釜にて行う場合、搾汁の水が過度に蒸発して、液体の対流性が失われたり、沸騰により保たれていた100℃に保たれなくなり、搾汁が部分的に極めて高い温度になってしまう。このような場合、加熱された搾汁が所定の480nmにおける吸光度に達していなければ、水を加熱中の搾汁に足してさらに加熱する。または、加熱された搾汁が所定の480nmにおける吸光度に既に達しているのであれば(実施例1の試料番号6を参照)、直ちに加熱を止めなければならない。
【0021】
ここで用いる用語「搾汁原液の480nmにおける吸光度」(A)は、搾汁が、搾汁原液にオニオンの搾汁残差を水洗して得られた搾汁残差の水洗液が加えられて希釈されているとき、搾汁原液の希釈率(m)を、搾汁の480nmにおける吸光度(D)に乗じて得られるものである。ここで、希釈率mは、以下のように算出される。
[搾汁(搾汁原液+オニオン残差水洗液)]÷[搾汁原液]
【0022】
【数1】

【0023】
ここで用いる用語「加熱された搾汁の480nmにおける吸光度」(B)は、加熱された搾汁が濃縮されているとき、加熱された搾汁の480nmにおける吸光度(D)を搾汁原液の濃縮率(n)で除したものである。ここで濃縮率nは以下のように算出される。
[加熱後の搾汁の容量]÷[加熱前の搾汁の容量]
【0024】
【数2】

【0025】
「搾汁原液の480nmにおける吸光度を1.0として、加熱された搾汁の480nmにおける吸光度が3.0から2.1×10の範囲」(X)は、以下の数式により求めることができる。
【0026】
【数3】

【0027】
搾汁または加熱された搾汁は、水分が蒸発により除かれて濃縮されていることが好ましい。蒸発濃縮は、搾汁の加熱の間に並行して行われるのがエネルギー効率の点から好ましい。しかし、蒸発濃縮は、搾汁の加熱の前に、特に減圧下で行ってもよく、搾汁の加熱の後に行ってもよい。
【0028】
蒸発濃縮は、一般に、搾汁原液の容量の50%から99.9%の水分が蒸発さるまで行われる。濃縮程度は、製品として望まれる水分量とし、水分量が少ないほど望ましい。腐敗を防止するためには、活性水分が12%以下に濃縮することが極めて好ましい。本発明の加熱されたオニオンからなる調味料は、通常ペースト状にて販売され、したがって、濃縮は製品がペースト状になるまで行われる。しかし、本発明の加熱されたオニオンからなる調味料が、粉末、造粒などの形態である場合、適切な乾燥手段および/または造粒などによって粉末または造粒の形態にできるような水分含量まで濃縮/乾燥される。
【0029】
蒸発濃縮は、加熱前に行ってもよく、加熱と並行して行ってもよく、もしくは加熱の後行ってもよく、またはこれらの蒸発濃縮の2つ以上を組み合わせて行ってもよい。すなわち、蒸発濃縮は、加熱の前、加熱の間および加熱の後の2回以上行ってもよい。
【0030】
好ましい蒸発濃縮は、エネルギーを最小限にするために、開放型加熱釜を用いて、常圧下に沸騰加熱して行う。しかし、開放型加熱釜にて蒸発濃縮を行う場合にも過度の水分の蒸発を防ぐために、釜に蓋をすることもありまたは水が蒸発する孔を小さくすることもある。
【0031】
濃縮された搾汁をさらに乾燥する場合は、知られている種々の乾燥機、例えば、流動式熱風乾燥機、焙煎機、コニカルドライヤー、回転ドラム乾燥機、棚段乾燥機などを用いることができる。造粒、成形などの方法もまた通常の方法でよい。
【0032】
搾汁を得た後のオニオン搾汁残差(オニオンの固形分)は、廃棄される。または、適度に加熱して、加熱された搾汁と混合される。搾汁残差を加熱された搾汁と混合する場合、搾汁残差はその全量を使用しても良いが、その一部だけであってもよい。
【0033】
搾汁残差を搾汁と混合する場合、搾汁残差の加熱度合は、適宜選択でき、特別の制限はない。弱い加熱であっても、水洗された搾汁残差はオニオンの特有の匂いはなく、あるいは少々あっても、調理により加熱により消失する。あまり強い加熱であると、焦げ臭が製品に移り好ましくない。
【0034】
オニオン搾汁残差の加熱は、搾汁残差が水洗されている場合、加熱により焦げる問題は生じない。したがって、搾汁残差を加熱された搾汁と混合する場合、搾汁残差は水洗されていることが好ましい。
【0035】
最終製品には、通常香辛料、他の調味料、食用油、甘味料などを加えないが、例えばカレールーとして販売されるときのように、種々の香辛料などが加えられる場合もある。
【0036】
加熱された搾汁の480nmにおける吸光度が、搾汁原液の480nmにおける吸光度を1.0として、20より小さい場合、最終製品は、調理の間にまたは包装の際の加熱殺菌時に、80℃から120℃の範囲にて加熱されるのが好ましい。
【0037】
製品は、通常、ペースト状態、時には粉末または造粒形態にて包装される。ペースト形態であるときは、レトルトパウチ、チューブ、瓶などに入れられる。
【0038】
製品の包装時、オニオン搾汁の加熱後無菌的に包装するか、そうでなければ、レトルトパウチの場合などのように、包装後加熱殺菌される。包装後加熱殺菌される場合、オニオン搾汁の加熱条件を、加熱殺菌の加熱を考慮に入れて定めてよいが、加熱殺菌の加熱を考慮に入れなく定めてもよい。
【0039】
本発明の加熱されたオニオンからなる調味料は、カレーなどの煮込み料理、肉炒めなどの炒め料理などの調理の際に調味料として使用される。またはパスタなどのソースなどおよびホワイトソースの材料としても使用できる。さらに、ウスターソース、焼き肉のたれ、お好み焼きソースなどおよびドレッシングなどの、卓上ソースなどの調製の際の材料としても好ましく使用できる。加えて、スープの調理の際の材料としても使用できる。
【0040】
(発明の効果)
この発明の方法により、加熱されたオニオンからなる調味料の製造の際に、短時間で大量のオニオンを処理することができ、また調理人を火の前に固定する必要もない。また、加熱釜を用いるオニオンソテーの調製方法に必要なような、長時間の厳密な温度管理および厳密なかき混ぜ管理を必要としない。さらに、この製造方法により得られた加熱されたオニオンからなる調味料は、調味料として、従来のオニオンソテーと比べてより勝れた品質の、少なくとも遜色のない品質の加熱されたオニオン調味料が得られる。すなわち、工業的に実施するのに最も適した、加熱されたオニオンからなる調味料の製造方法が提供された。
【0041】
以下の実施例により、本発明をより具体的に説明する。以下の説明は、より具体的に説明するための、本発明の具体的態様の例示であって、本発明がこの具体的例示によって、これらの例示に限定しようとする意図のものではない。
【0042】
この明細書および特許請求の範囲に示されたいかなる数値も、その測定上の誤差、オニオンの品質などの変動および工程の環境(外気温度など)の変動などによって、前後少なくとも5%程度の変動は避けることができず、これらの変動の範囲は本発明の数値の範囲に含まれるべきである。
【実施例】
【0043】
むき玉葱16個(1,706グラム)をスライス切りにし、家庭用ミキサーにて、粉砕し、ジュースを得た。このジュースを炉布にて濾し、搾汁原液1,278mLを得た。
【0044】
炉布上に残った搾汁残差を1,270mLの水で洗浄し、洗浄液を上の搾汁原液に合わせ、搾汁2,614mLを得た(m=2.05)。この搾汁の480nmにおける吸光度(D)は0.0005であった。したがって、A(D×m)は0.01であった。分光光度計は株式会社島津製作所マルチパーパスMPS−2450を使用した。
【0045】
上記搾汁の内、2,581mLを蓋付き鍋に入れ、ガスコンロ上に最初蓋をして強火で沸騰するまで加熱し、沸騰したら蓋をとり、弱火にして加熱を続けた。加熱の間、沸騰する直前の温度に保たれるよう、火を加減した。強度に濃縮されたら、緩くかき混ぜた。沸騰後の加熱時間を加熱時間として記録した。加熱温度は多少変動し、95℃から100℃であった。
【0046】
所定の加熱時間経過後、加熱された搾汁をスポイトで少量吸い取り、試料とし、その480nmにおける吸光度(D)を測定した。試料採取の際、加熱された搾汁の液量を、鍋の重量を測定することにより測定し、濃縮度nを算出した。代表的な試料について、n、DおよびBを以下の表1に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
試料番号7の加熱されたオニオンからなる調味料は、対照としての従来のオニオンソテーであり、株式会社サイゼリア勤務のコック(日本エスコフィエ協会会員)が以下のようにして調製したものである。すなわち、剥き玉葱200グラムを約2mmにスライス切りにし、オリーブ油30gと共に、フライパンにてかき混ぜながら加熱した。火力を始め強く、次第に弱め、さらにフライパンをコンロから遠ざけたり近づけたりして、90分間加熱した。42グラムのオニオンソテーが得られた。
【0049】
試料番号1から7のそれぞれの試料を以下のようにして官能検査した。官能検査パネルは株式会社サイゼリア食品開発担当者4名およびコック2名からなる。試料1から7の加熱されたオニオン搾汁を剥き玉葱100グラム相当分をとりわけ、食塩1%を含有する水180mLに入れスープとした。官能検査時のスープの温度を65℃とした。官能検査項目は、アロマ、フレーバーおよびテーストとし、最高5点最低1点の5点法で評価した。総合評価は、上記官能検査3項目の評点の平均点とし、この総合評価の評点は以下の意味を有する。5:極めて好ましい。4:好ましい。3:普通、2:劣る、1:極めて劣る。
【0050】
官能検査の結果は、要約すると、試料番号番号1は、こく味がなく、生臭いものであった。試料番号2は、こく味があるが、生臭さおよびエグ味が残っていた。試料番号6は、こく味があるが、苦味があった(試料番号6の苦味は、搾汁の水分が過度に蒸発し、そのために部分的に焦げたことによる。)。他の試料は全て、こく味のある好ましいものであった。
【0051】
官能検査の総合評価の評点を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
表2に示すように、オニオンの搾汁原液の480nmにおける吸光度を1.0として、加熱された搾汁の480nmにおける吸光度が3.0から2.1×10の範囲になるまで加熱されたオニオン搾汁は、加熱されたオニオンからなる調味料として、いずれも好ましいものであった。試料番号2の加熱されたオニオン搾汁は生臭さとえぐ味があるが、このオニオン搾汁を使用する調理またはこのオニオン搾汁の包装の際の更なる加熱により、この生臭さなどは容易に取り除かれる(カレーを調理した際のデータ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オニオンの搾汁を得る工程、および
上記搾汁を、搾汁原液(この搾汁原液はオニオンを絞って得た液に一切の水が加えられていない液に相当する。)の480nmにおける吸光度を1.0として、加熱された搾汁の480nmにおける吸光度が3.0から2.1×10の範囲になるまで加熱する工程
を含む、加熱されたオニオンからなる調味料の製造方法。
【請求項2】
搾汁が、搾汁原液に搾汁残差の水洗液が加えられたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加熱が蒸発濃縮と共に行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
加熱が開放釜にて行われる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
加熱が95℃から100℃の範囲の温度にて行われる請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
加熱が、搾汁原液の480nmにおける吸光度を1.0として、加熱された搾汁の480nmにおける吸光度が1.8×10から2.1×10の範囲になるまで行われる請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。

【公開番号】特開2010−36(P2010−36A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161376(P2008−161376)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(501176107)株式会社サイゼリヤ (1)
【Fターム(参考)】