説明

加熱冷却装置

【課題】 熱交換面が水平状であっても、効率良く加熱冷却を行うことのできる加熱冷却装置を得ること。
【解決手段】 熱交換容器1に自動弁12を介して冷却水供給管5を接続する。熱交換容器1内に多孔質部材19を取り付ける。熱交換容器1の上面に熱交換面2を配置する。多孔質部材19の上側部分22を、管路8を介して吸引手段6の吸引室10と接続する。吸引手段6を、液体エゼクタ13と冷却水タンク14と循環ポンプ15とで構成する。
多孔質部材19を通って蒸気が熱交換面2の下面全体に供給されることで、加熱ムラを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換容器の内部を減圧状態にして、被熱交換物を加熱又は冷却する加熱冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱冷却装置は、冷却水注入ノズルに電動モータを接続して、この電動モータにより冷却水注入ノズル回転させることによって、数少ない冷却水注入ノズルでもって、より広い面積の被冷却物に冷却水を注入することができるものである。
【0003】
上記従来の加熱冷却装置では、熱交換容器の熱交換面が水平状である場合に、供給した冷却水が熱交換面から瞬時に滴下してしまい、気化冷却を効率良く実施することができない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−208847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、熱交換容器の熱交換面が水平状の場合であっても、効率良く加熱冷却を行うことのできる加熱冷却装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、熱交換容器へ弁を介して加熱又は冷却用の流体を供給すると共に、熱交換容器の内部を減圧状態に維持する吸引手段を接続して、熱交換容器の被熱交換物を加熱又は冷却するものにおいて、熱交換容器に多孔質部材を介在して加熱又は冷却用の流体供給部を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、熱交換容器に多孔質部材を介在して加熱又は冷却用の流体供給部を設けたことにより、熱交換面の全面に微細な加熱又は冷却用流体を供給することができ、水平状の熱交換面でも全体を均一に加熱又は冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る加熱冷却装置の実施例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、熱交換容器に多孔質部材を介在して加熱又は冷却用の流体供給部を設けるものであるが、多孔質部材としては、パンチングプレート等で製作して、多孔質部材の一端面から他端面へ加熱又は冷却用流体を貫通通過させることができるものを用いることができる。
【実施例】
【0010】
図1において、円筒状で平板状の熱交換容器1と、この熱交換容器1の上端面に水平状に形成した熱交換面2と、熱交換容器1の内部を区画する多孔質部材19、及び、熱交換容器1の下方に連通した吸引手段6とで加熱冷却装置を構成する。また、加熱用の蒸気を蒸気供給管3から熱交換容器1へ供給することで、熱交換面2を加熱することができるものである。
【0011】
蒸気供給管3には、熱交換容器1へ供給する蒸気の量を制御するための制御弁7を取り付ける。
【0012】
熱交換容器1に冷却水を供給する冷却水供給管5を接続する。冷却水供給管5の下端は吸引手段6の一部と接続する。冷却水供給管5には、水エゼクタ11と自動弁12を介在して、熱交換容器1の冷却水ノズル20と接続する。自動弁12が開弁することにより、冷却水ノズル20へ冷却水が供給されるものである。
【0013】
熱交換容器1内で、熱交換面2側に、上下を区画する多孔質部材19を取り付ける。多孔質部材19の上側部分22は、後述するように吸引手段6の液体エゼクタ13と接続しているために低圧状態となっており、冷却水ノズル20から供給される冷却水が、熱交換面2の下面に供給されるものである。
【0014】
冷却水供給管5に取り付けた水エゼクタ11の吸込室には蒸気供給管16を接続する。水エゼクタ11内を流下する冷却水に、蒸気供給管16から加熱用の蒸気を供給することで、熱交換容器1へ供給する冷却水の温度を調節することができるものである。
【0015】
冷却水供給管5に取り付けた自動弁12と並列に、冷却水循環弁18を取り付ける。冷却水循環弁18は、常時、微少開弁しておき、自動弁12が閉弁しても、少しの冷却水を熱交換容器1内へ供給して、冷却水の一部を絶えず循環するものである。
【0016】
熱交換容器1の多孔質部材19の上側部分22から管路8によりスチームトラップ4の入口側と接続する。スチームトラップ4と並列に開閉弁9を取り付ける。スチームトラップ4と開閉弁9の出口側は、吸引手段6を構成する液体エゼクタ13の吸込室10と接続する。また、管路8を分岐した分岐管23により、熱交換容器1の下端と管路8を接続する。
【0017】
吸引手段6を、液体エゼクタ13と冷却水タンク14と循環ポンプ15とで構成する。循環ポンプ15の駆動によって、冷却水タンク14内の冷却水を液体エゼクタ13へ供給して吸込室10で所定の吸引力を発生すると共に、冷却水供給管5から熱交換容器1へ冷却水を供給するものである。
【0018】
冷却水タンク14の上部に、冷却水補給管30を接続すると共に、循環ポンプ15の吐出側の管路を分岐して余剰水排出管17を接続する。
【0019】
熱交換面2を加熱する場合は、蒸気供給管3と制御弁7から熱交換容器1内へ所定量の蒸気を供給することによって、蒸気によって加熱される。この場合、蒸気は多孔質部材19を通過することによって、熱交換面2の下面の全体に均一に供給され、熱交換面2での加熱ムラを防止することができる。加熱により蒸気の凝縮した復水は、熱交換容器1下端の分岐管23からスチームトラップ4を通り、更に、液体エゼクタ13から冷却水タンク14へと至る。
【0020】
熱交換面2を冷却する場合は、冷却水供給管5の自動弁27を開弁して冷却水ノズル20へ冷却水を供給することによって、熱交換面2の熱により冷却水が蒸発気化して、その蒸発線熱でもって冷却することで、冷却効率を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
間接的な加熱と冷却を行うさまざまな加熱冷却装置として適用できる。
【符号の説明】
【0022】
1 熱交換容器
2 熱交換面
5 冷却水供給管
6 吸引手段
10 吸込室
11 水エゼクタ
12 自動弁
13 液体エゼクタ
14 冷却水タンク
15 循環ポンプ
18 冷却水循環弁
19 多孔質部材
20 冷却水ノズル
23 分岐管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換容器へ弁を介して加熱又は冷却用の流体を供給すると共に、熱交換容器の内部を減圧状態に維持する吸引手段を接続して、熱交換容器の被熱交換物を加熱又は冷却するものにおいて、熱交換容器に多孔質部材を介在して加熱又は冷却用の流体供給部を設けたことを特徴とする加熱冷却装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−226662(P2011−226662A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94167(P2010−94167)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)