説明

加熱硬化型シリコーンゴム組成物及びその硬化方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は硬化して圧縮永久歪の小さいシリコーンゴムを与える加熱硬化性シリコーンゴム組成物及びその硬化方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来より、ビニル基含有オルガノポリシロキサンと珪素原子結合水素原子含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金系触媒と無機質充填剤とからなり、ビニル基と珪素原子結合水素原子との付加反応により硬化するシリコーンゴム組成物は、成形性に優れ、成形後は、耐熱性、電気絶縁性等に優れた特性を有するシリコーンゴム成形品となるので、これらの特性を要求される分野で多量に使用されている。
【0003】しかしながら、この種のシリコーンゴム成形品は、そのままでは圧縮に対する抵抗が低く、長時間圧縮変形を受ける成形品、例えばロール部材、自動車部品のコネクタ材料等として使用することは困難である。この点を改善するため、従来、プレス成形、射出成形、トランスファー成形等により得た成形品を更に150〜250℃といった高温度条件下で加熱処理(2次加硫)することにより、その圧縮抵抗性を向上することが行われていた。
【0004】この方法は、シリコーンゴム成形品中に残存する未反応の官能基量を減少させ、シリコーンゴム成形品の圧縮抵抗性を向上させるという考えに基づいて行われているものであるが、一旦成形してシリコーンゴム成形品を高温度のオーブンの中に入れ、長時間加熱するという工程が必要であるため、作業効率が低く、得られる最終成形品についてはコスト的に不利であった。そこで、かかる問題のない圧縮抵抗性の高いシリコーンゴム組成物、即ち、2次加硫の必要のない圧縮抵抗性の高いシリコーンゴム組成物の出現が望まれていた。
【0005】なお従来、特開平5−9388号公報(CA2071787A)には、NC−(CH2n−CNで示される有機化合物の添加によりシリコーンゴムの低圧縮永久歪を達成することが開示されているが、上記化合物が有害であるため、これを添加することによってシリコーンゴムの用途が限られるという問題がある。また、特開平4−139258号公報(CA2052410A、EP477984A)には、側鎖にアルケニル基を持つオルガノポリシロキサンと両末端にSiH結合を持つオルガノポリシロキサンによる架橋で低圧縮永久歪を達成することが記載されているが、この組成物は十分な硬化性、ゴム物性が得られない場合が多い。
【0006】本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、硬化後に2次加硫しなくても高い圧縮抵抗性を有するシリコーンゴム成形品となり得る高圧縮抵抗性シリコーンゴム組成物及びその硬化方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、(a)分子中に珪素原子と結合するアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、(b)分子中に珪素原子と結合する水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(c)白金系触媒を含有する加熱硬化型シリコーンゴム組成物に、更に(d)アンモニア又は熱分解もしくは化学反応によりアンモニアを発生する物質を含有させ、このシリコーンゴム組成物を硬化する時にアンモニアを上記(a),(b),(c)成分の合計量100万重量部に対して窒素として10〜500重量部存在させることにより、1次硬化のみでその硬化物(シリコーンゴム)の圧縮永久歪を十分小さくすることができ、硬化後に2次加硫を行わなくとも圧縮抵抗性が高いものとし得ることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】従って、本発明は、(a)分子中に珪素原子と結合するアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、(b)分子中に珪素原子と結合する水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(c)白金系触媒を含有する加熱硬化型シリコーンゴム組成物に、更に(d)アンモニア又は熱分解もしくは化学反応によりアンモニアを発生する物質をアンモニアが組成物の硬化物中に上記(a),(b),(c)成分の合計量100万重量部に対して窒素として10〜500重量部存在するように含有させてなることを特徴とする加熱硬化型シリコーンゴム組成物、及び、(a)分子中に珪素原子と結合するアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、(b)分子中に珪素原子と結合する水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(c)白金系触媒を含有する加熱硬化型シリコーンゴム組成物を加硫させるに際し、この加硫時に、アンモニアを上記組成物の硬化物中に上記(a),(b),(c)成分の合計量100万重量部に対して窒素として10〜500重量部存在させることを特徴とする加熱硬化型シリコーンゴム組成物の硬化方法を提供する。
【0009】以下、本発明につき更に詳しく説明すると、本発明の加熱硬化型シリコーンゴム組成物は、(a)分子中に珪素原子と結合するアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、(b)分子中に珪素原子と結合する水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(c)白金系触媒を主成分とするもので、上記(a),(b),(c)成分としては公知のものが使用できる。
【0010】これを説明すると、(a)成分のオルガノポリシロキサンは硬化性シリコーンゴム組成物の主成分であり、この(a)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中に少なくとも2個の珪素原子結合アルケニル基を有することが必要である。
【0011】このオルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(1)で示されるものを用いることができる。
【0012】
1aSiO(4-a)/2 …(1)
【0013】式中、R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5の範囲の正数である。
【0014】ここで、上記R1で示されるケイ素原子に結合した非置換又は置換の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
【0015】この場合、R1のうち少なくとも2個はアルキル基(炭素数2〜8のものが好ましく、更に好ましくは2〜6である)であることが必要である。なお、アルケニル基の含有量は、全有機基中1.0×10-5〜20モル%、特に1.0×10-4〜10モル%とすることが好ましい。このアルケニル基は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、分子鎖途中のケイ素原子に結合していても、両者に結合していてもよいが、組成物の硬化速度、硬化物の物性等の点から、本発明で用いるオルガノポリシロキサンは、少なくとも分子鎖末端のケイ素原子に結合した脂肪族不飽和結合を含んだものであることが好ましい。
【0016】(a)成分のオルガノポリシロキサンは、通常、基本的にR12SiO2/2で示されるジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖末端がR13SiO1/2で示されるトリオルガノシロキシ単位で封鎖された直鎖状構造を有するが、部分的には分岐状の構造、即ちR1SiO3/2で示されるモノオルガノシロキサン単位を含有するものであってもよく、また環状構造のものであってもよい。また、(a)成分のオルガノポリシロキサンの分子量は特に限定はなく、粘度の低い液状のものから、粘度の高い生ゴム状のものまで使用できるが、硬化してゴム状弾性体になるためには25℃での粘度が100センチポイズ以上であり、通常100〜1,000,000、特に1,000〜100,000であることが好ましい。
【0017】(b)成分のオルガノポリシロキサンは本発明の硬化性シリコーンゴム組成物の架橋剤であり、(c)成分の白金系触媒の存在下、(b)成分の珪素原子結合水素原子(SiH基)が(a)成分の珪素原子結合アルケニル基に付加反応し、その結果架橋し、硬化に至るものである。
【0018】(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは1分子中に少なくとも2個、好ましくは2〜100個、より好ましくは3〜50個の珪素原子結合水素原子を有することが必要であり、下記平均組成式(2)で示されるものを用いることができる。
【0019】
2b(HCSiO(4-b-c)/2 …(2)
【0020】式中、R2は同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換一価炭化水素基であり、好ましくは脂肪族不飽和結合を有さないものがよい。bは1.5≦b≦2.8、好ましくは1.6≦b≦2.5の正数、cは0.003≦c≦1.0、好ましくは0.02≦c≦1.0の正数であり、1.5<b+c≦3.0、好ましくは1.6≦b+c≦2.8である。
【0021】ここで、上記R2で示されるケイ素原子に結合した非置換又は置換の一価炭化水素基としては、上記R1と同様のものを例示することができ、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
【0022】このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば基本的に2官能性シロキサン単位(=SiO2/2)の繰り返しからなり、単官能性シロキシ単位(≡SiO1/2)で封鎖された直鎖構造のものを用いることができ、また、分岐状、環状、あるいは三次元網状構造を有するものを使用することもできる。
【0023】なお、ケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)は分子鎖末端に位置するものであっても、分子鎖の途中に位置するものであってもよい。
【0024】また、(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子量に特に限定はないが、25℃での粘度が1〜10000センチポイズ、特に3〜1000センチポイズの範囲であることが好ましい。
【0025】(b)成分の本組成物中の配合量は、本組成物中の珪素原子結合水素原子のモル数と珪素原子結合アルケニル基のモル数の比が0.5:1〜20:1となるような量であり、好ましくは1:1〜3:1となるような量である。これは本組成物中の珪素原子結合アルケニル基のモル数1に対して本組成物中の珪素原子結合水素原子のモル数が0.5より小さい硬化性オルガノポリシロキサン組成物が十分に硬化することができず、20より大きいと発泡することがあるからである。
【0026】(c)成分の白金系触媒は硬化性シリコーンゴム組成物を硬化させるための触媒である。(c)成分の白金系触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィン類との錯化合物、白金黒、白金を担持させたものなどが挙げられる。(c)成分の添加量は(a)成分と(b)成分の合計量100万重量部に対して白金金属として0.1〜500重量部であり、好ましくは1〜50重量部である。これは0.1重量部未満では硬化が十分には進行せず、500重量部を超えると不経済だからである。
【0027】本発明は上記(a),(b),(c)成分を含むシリコーンゴム組成物に対し、更に(d)アンモニア又は熱分解もしくは化学反応によるアンモニアを発生する物質を配合するものである。この場合、(d)成分の配合量はシリコーンゴム組成物の硬化物中に含有される割合が上記(a),(b),(c)成分の合計量100万重量部に対し窒素として10〜500重量部、好ましくは20〜200重量部となる量であり、アンモニア又はアンモニア発生物質を上記量含有する場合、通常付加反応の触媒毒であるNH3が硬化性に全く影響を与えずに圧縮永久歪を小さくすることができるものである。
【0028】ここで、上記アンモニア発生物質としては、熱分解もしくは系内での化学反応によりアンモニアを生成し得るものであればいずれのものでもよく、例えば酢酸アンモニウム、アンモニウムクロライド、アンモニウムハイドロオキサイド、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウムなどの無機アンモニウム塩、尿素等の有機窒素化合物、ヘキサメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルシラザンなどのオルガノジシラザン、その他の有機シラザン化合物が挙げられる。
【0029】本発明のシリコーン組成物には、上記必須成分に加え、その他の任意成分を配合することができる。例えば組成物に強度を付与することが必要な場合には、石英粉末、珪藻土、炭酸カルシウム、アルミナ、カーボンブラック等の準補強性の充填剤、微粉状シリカ等の補強性充填剤を添加することが有効である。このような補強性充填剤として具体的には、親水性のシリカとしてAerosil 130,200,300(日本アエロジル社製、Degussa社製)、Cabosil MS−5,MS−7(Cabot社製)、Rheorosil QS−102,103(徳山曹達社製)、Nipsil LP(日本シリカ社製)等が例示され、疎水性シリカとしてAerosil R−812,R−812S,R−972,R−974(Degussa社製)、Rheorosil MT−10(徳山曹達社製)、Nipsil SSシリーズ(日本シリカ社製)等が例示される。なお、これらの充填剤の配合量は(a),(b),(c)成分の合計100重量部に対して10〜150部の範囲が好ましい。
【0030】更に、これらの材料を実用に供するため、硬化時間の調整を行う必要がある場合には、制御剤としてビニルシクロテトラシロキサン等のビニル基含有オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌネート、アルキルマレエート、エチニルシクロヘキサン等のアセチレンアルコール類及びそのシラン、シロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール及びそれらの混合物からなる群から選ばれる化合物などを使用しても差し支えない。
【0031】また、コバルトブルー等の無機顔料、有機染料などの着色剤、酸化セリウム、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、ベンガラ、酸化チタン、カーボンブラック等の耐熱性、難燃性向上剤等の添加も可能である。
【0032】また、本発明のシリコーンゴム組成物の製造は常法によって行うことができる。この場合、アンモニア又はアンモニア発生物質の添加はいずれの段階で行ってもよい。
【0033】更に詳述すると、シリコーンゴム組成物は、通常まず(a)成分のオルガノポリシロキサンと充填剤とを室温(通常10〜30℃)〜280℃、好ましくは80〜200℃で10分〜8時間混合し、次いでこの混合物に(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンと(c)成分の白金系触媒を室温で添加することによって得ることができるが、この場合、アンモニア又はアンモニア発生物質は(a)成分のオルガノポリシロキサン及び充填剤と一緒にして加えてもよく、(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン及び(c)成分の白金系触媒と一緒にして加えてもよい。前者の場合、アンモニア又はアンモニア発生物質は、(a),(b),(c)成分の合計量に対し窒素として10〜500ppmを越えた大量を加えることができる。これは、アンモニアが上記室温〜280℃、特に80〜200℃で10分〜8時間混合する工程で蒸発されてしまうためである。更に、組成物の調製後、硬化前にアンモニア又はアンモニア発生物質を加えることも可能である。
【0034】アンモニアは、硬化段階において組成物中に(a),(b),(c)成分の合計量に対し窒素として10〜500ppm存在していることが必要であり、これにより2次加硫をしなくとも圧縮永久歪の少ない硬化物(シリコーンゴム)を得ることができる。アンモニアが上記量より多いと硬化性に悪影響が生じ、逆にアンモニアが上記量より少ないと本発明の目的が達成されない。
【0035】このシリコーンゴム組成物は、通常室温(例えば10〜30℃)〜250℃で十数秒〜120分の条件で硬化するが、ここで得られた硬化物は2次加硫を行わなくとも圧縮永久歪が小さいので、硬化後、更に2次加硫することは特に必要としない。従って、本発明において加硫は、上記条件下の1次加硫のみとすることができる。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、2次加硫をしなくとも圧縮永久歪の小さいシリコーンゴム成形品を与えることができ、ロール部材、自動車部材のコネクタ材料、電子レンジ、電子ジャーなどのパッキンキーボード、時計部品、カメラ部品、各種Oリング等に好適に用いられる。
【0037】
【実施例】以下、実施例と比較例とを示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0038】〔実施例1〕粘度10000cs(25℃)の両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(A)100部に、湿式シリカ(日本シリカ工業社製,ニプシルLP)40部、ヘキサメチルジシラザン3部、水1部をニーダーミキサーに入れ、1時間室温(25℃)で撹拌を続けた後、内部温度が150℃になるまで加熱し、更に撹拌を3時間続け、液状シリコーンゴムベースを得た。
【0039】この液状シリコーンゴムベース100部に、先のジメチルポリシロキサン(A)30部、架橋剤として下記式で示される粘度15cs(25℃)のジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体からなるメチルハイドロジェンポリシロキサン(B)1.1部と塩化白金酸の1%イソプロピルアルコール溶液を0.1部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を添加し、均一に混合した。
【0040】
【化1】


【0041】次に、この硬化物につきレオメーターにより150℃における硬化特性を測定した。結果を表1に示す。ここで表1中T10は2分経過時のトルクを100%としたときトルクが10%になるまでの時間、T90は90%になるまでの時間である。また、120℃で10分間プレス成形し、厚さ2mmのゴムシートを得、この時の残存N原子量及び一般物性を測定した。更にJISK−6301に準拠して150℃で22時間圧縮永久歪試験を行った。結果を表1に併記する。
【0042】〔実施例2〕粘度10000cs(25℃)の両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部に、湿式シリカ(日本シリカ工業社製,ニプシルLP)40部、29%アンモニア水3部をニーダーミキサーに入れ、1時間室温(25℃)撹拌を続けた後、内部温度が150℃になるまで加熱し、更に撹拌を3時間続けた。得られたベース100部に実施例1のジメチルポリシロキサン(A)30部、メチルハイドロジェンポリシロキサン(B)1.1部、塩化白金酸の1%イソプロピルアルコール溶液を0.1部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を配合して付加型シリコーンゴム組成物を得た。
【0043】この組成物につき実施例1と同様に各種の物性を測定した。結果を表1に示した。
【0044】〔実施例3〕粘度10000cs(25℃)の両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部に、湿式シリカ(日本シリカ工業社製,ニプシルLP)40部、ジメトキシジメチルシラン3部、水1部を加え、実施例1と同様にニーダーミキサーで液状ゴムベースを製造した。このベース100部に実施例1のジメチルポリシロキサン(A)30部、メチルハイドロジェンポリシロキサン(B)1.1部、塩化白金酸の1%イソプロピルアルコール溶液を0.1部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を配合した後、29%アンモニア水0.0045部を加えて付加型シリコーンゴム組成物を調製した。
【0045】この組成物につき実施例1と同様に各種の物性を測定した。結果を表1に示した。
【0046】〔実施例4〕粘度10000cs(25℃)の両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部に、湿式シリカ(日本シリカ工業社製,ニプシルLP)40部、ジメトキシジメチルシラン3部、水1部、炭酸アンモニウム5部を加え、実施例1と同様にニーダーミキサーで液状ゴムベースを製造した。このベース100部に実施例1のジメチルポリシロキサン(A)30部、メチルハイドロジェンポリシロキサン(B)1.1部、塩化白金酸の1%イソプロピルアルコール溶液を0.1部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を配合して、付加型シリコーンゴム組成物を調製した。
【0047】この組成物につき実施例1と同様に各種の物性を測定した。結果を表1に示した。
【0048】〔実施例5〕粘度10000cs(25℃)の両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部に、比表面積が200m2/gの煙霧質シリカ40部、ヘキサメチルジシラザン6部、水2部をニーダーミキサーに入れ、室温(25℃)で1時間撹拌後、150℃に加熱し、3時間撹拌を続けた。ここでアンモニア水2部を加え、撹拌を続けながら、室温まで冷却した。得られた液状ゴムコンパウンドベース100部に実施例1のジメチルポリシロキサン(A)30部、メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体(B)1.1部、塩化白金酸の1%イソプロピルアルコール溶液を0.1部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を配合して、付加型シリコーンゴム組成物を得た。
【0049】この組成物につき実施例1と同様に各種の物性を測定した。結果を表1に示した。
【0050】〔実施例6〕粘度10000csの両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部に、湿式シリカ(日本シリカ工業社製,ニプシルLP)40部、ヘキサメチルジシラザン1.5部、水0.5部をヘンシェルミキサーで10分間混合したものを2軸連続混練押出機に供給し、内温200℃、滞留時間80〜100秒で液状ゴムコンパウンドベースを得た。これに実施例1と同様に架橋剤、触媒、制御剤を加えて付加型シリコーンゴム組成物を調製し、各種測定を行い、その結果を表1に示した。
【0051】〔比較例1〕粘度10000cs(25℃)の両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部に、湿式シリカ(日本シリカ工業社製,ニプシルLP)40部、ジメトキシジメチルシラン3部、水1部をニーダーミキサーに入れ、室温(25℃)で1時間撹拌後、150℃に加熱し、3時間撹拌を続けた。得られたゴムコンパウンド100部に実施例1のジメチルポリシロキサン(A)30部、メチルハイドロジェンポリシロキサン(B)1.1部、塩化白金酸の1%イソプロピルアルコール溶液を0.1部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を配合して、付加型シリコーンゴム組成物を調製した。
【0052】この組成物につき実施例1と同様に各種の物性を測定した。結果を表2に示した。
【0053】〔比較例2〕粘度10000cs(25℃)の両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部に、湿式シリカ(日本シリカ工業社製,ニプシルLP)40部、ヘキサメチルジシラザン3部、水1部をニーダーミキサーに入れ、1時間室温(25℃)で撹拌を続けた後、内部温度が110℃になるまで加熱し、100℃で更に1時間撹拌を続けた。
【0054】得られた液状ゴムコンパウンドベース100部に実施例1のジメチルポリシロキサン(A)30部、メチルハイドロジェンポリシロキサン(B)1.1部、塩化白金酸の1%イソプロピルアルコール溶液を0.1部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を配合して付加型シリコーンゴム組成物を得た。
【0055】この組成物につき実施例1と同様に各種の物性を測定した。結果を表2に示した。
【0056】〔比較例3〕粘度10000cs(25℃)の両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部に、湿式シリカ(日本シリカ工業社製,ニプシルLP)40部、ヘキサメチルジシラザン3部、水1部をニーダーミキサーに入れ、1時間室温(25℃)で撹拌を続けた後、内部温度が150℃になるまで加熱し、更に撹拌を18時間続けた。
【0057】得られた液状ゴムコンパウンドベース100部に実施例1のジメチルポリシロキサン(A)30部、メチルハイドロジェンポリシロキサン(B)1.1部、塩化白金酸の1%イソプロピルアルコール溶液を0.1部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を配合して付加型シリコーンゴム組成物を得た。
【0058】この組成物につき実施例1と同様に各種の物性を測定した。結果を表2に示した。
【0059】〔比較例4〕粘度10000cs(25℃)の両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部に、比表面積が200m2/gの煙霧質シリカ40部、ヘキサメチルジシラザン6部、水2部を加え、室温(25℃)で1時間撹拌後、150℃に加熱し、3時間撹拌を続けた。
【0060】得られた液状ゴムコンパウンドベース100部に実施例1のジメチルポリシロキサン(A)30部、メチルハイドロジェンポリシロキサン(B)1.1部、塩化白金酸の1%イソプロピルアルコール溶液を0.1部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を配合して付加型シリコーンゴム組成物を得た。
【0061】この組成物につき実施例1と同様に各種の物性を測定した。結果を表2に示した。
【0062】〔比較例5〕粘度10000cs(25℃)の両末端がトリビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン80部に、粘度10000cs(25℃)の両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン20部、湿式シリカ(日本シリカ工業社製,ニプシルLP)40部、ヘキサメチルジシラザン3部、水1部をニーダーミキサーに入れ、室温(25℃)で1時間撹拌後、150℃に加熱し、3時間撹拌を続けた。得られたゴムコンパウンド100部に実施例1のジメチルポリシロキサン(A)30部、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.6部を配合して過酸化物硬化型シリコーンゴム組成物を調製した。
【0063】この組成物につき実施例1と同様に各種の物性を測定した。結果を表2に示した。
【0064】〔比較例6〕ヘキサメチルジシラザンの代りにジメトキシジメチルシランを用いた以外は比較例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製した。この組成物につき実施例1と同様に各種の物性を測定した。結果を表2に示した。
【0065】
【表1】


【0066】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)分子中に珪素原子と結合するアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、(b)分子中に珪素原子と結合する水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(c)白金系触媒を含有する加熱硬化型シリコーンゴム組成物に、更に(d)アンモニア又は熱分解もしくは化学反応によりアンモニアを発生する物質をアンモニアが組成物の硬化物中に上記(a),(b),(c)成分の合計量100万重量部に対して窒素として10〜500重量部存在するように含有させてなることを特徴とする加熱硬化型シリコーンゴム組成物。
【請求項2】 (a)分子中に珪素原子と結合するアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、(b)分子中に珪素原子と結合する水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(c)白金系触媒を含有する加熱硬化型シリコーンゴム組成物を加硫させるに際し、この加硫時に、アンモニアを上記組成物の硬化物中に上記(a),(b),(c)成分の合計量100万重量部に対して窒素として10〜500重量部存在させることを特徴とする加熱硬化型シリコーンゴム組成物の硬化方法。
【請求項3】 硬化を室温〜250℃で十数秒〜120分の条件の1次硬化のみによって行う請求項2記載の硬化方法。

【特許番号】特許第3189601号(P3189601)
【登録日】平成13年5月18日(2001.5.18)
【発行日】平成13年7月16日(2001.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−276988
【出願日】平成6年10月17日(1994.10.17)
【公開番号】特開平7−166069
【公開日】平成7年6月27日(1995.6.27)
【審査請求日】平成9年10月23日(1997.10.23)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【参考文献】
【文献】特開 平4−293963(JP,A)
【文献】特開 平3−149260(JP,A)
【文献】特開 平2−70755(JP,A)