説明

動力伝達装置

【課題】非接触で動力を伝達することができ、駆動側回転体及び従動側回転体の配置構成の自由度を向上させることができる動力伝達装置を提供する。
【解決手段】中間回転体12が、駆動側回転体11及び従動側回転体13に対してそれぞれ隙間を介して配置される。駆動側回転体11及び従動側回転体13には、異なる極が交互に並ぶように配置される複数の磁石(16、21)が備えられる。中間回転体12には、非磁性伝導体18が備えられる。駆動側回転体11が回転することで、非磁性伝導体18に発生した渦電流の作用により、中間回転体12の回転を介して、従動側回転体13が駆動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で動力を伝達する動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動側回転体から従動側回転体に対して駆動力を伝達する動力伝達装置として、ベルト、又はチェーン、或いは歯車を介して動力を伝達する機構が一般的に用いられている。これらの動力伝達装置の場合、ベルトとプーリとの摩擦、又はチェーンとスプロケットとの噛み合い、或いは歯車同士の噛み合いを介して動力が伝達される。このため、摩擦や噛み合いといった機械要素の接触が介在するため、この接触に伴って、音の発生及び機械要素の磨耗や摩滅といった問題が生じることになる。また、チェーンや歯車を用いた機構の場合、機械要素同士の接触部分に潤滑油を供給するための給油機構又は給油作業も必要となる。そこで、機械要素の接触に伴う上述した問題を解消する観点から、非接触で動力を伝達する動力伝達装置が提案されている(特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1においては、駆動側回転体及び従動側回転体の端面や外周面を磁化し、駆動側回転体と従動側回転体との間における磁力による反発力を利用して非接触で動力を伝達する動力伝達装置が開示されている。また、特許文献2においては、軸心同士がねじれの位置にある駆動側回転体及び従動側回転体の外周部に複数の磁石を配置し、駆動側回転体と従動側回転体との間における磁力を利用して非接触で動力を伝達する動力伝達装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭64−74076号公報
【特許文献2】特開平11−55932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に開示された動力伝達装置は、いずれも駆動側回転体と従動側回転体とにおいて磁石が設けられ、駆動側回転体と従動側回転体との間における磁力を利用して非接触で動力を伝達するように構成されている。しかしながら、動力の伝達を可能にするためには、駆動側回転体と従動側回転体とが、それぞれに設けられた磁石による磁力が作用する領域において接近して配置される必要がある。このため、駆動側回転体に対する従動側回転体の距離や位置に関し、大幅に制約が生じることになる。また、駆動側回転体の駆動力を複数の従動側回転体を介して伝達する機構を構成する場合にも、設計において大きな制約が生じることになる。従って、特許文献1及び特許文献2に開示された動力伝達装置においては、駆動側回転体及び従動側回転体の配置構成の自由度が大幅に損なわれてしまうことになる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、非接触で動力を伝達することができ、駆動側回転体及び従動側回転体の配置構成の自由度を向上させることができる動力伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための第1発明に係る動力伝達装置は、回転自在に支持されて、駆動力を伝達する駆動側回転体と、回転自在に支持されて、駆動力が伝達される従動側回転体と、回転自在に支持されるとともに、前記駆動側回転体及び前記従動側回転体に対してそれぞれ隙間を介して配置される中間回転体と、を備え、前記駆動側回転体及び前記従動側回転体には、異なる極が交互に並ぶように配置される複数の磁石と、非磁性伝導体とのうちの一方が備えられ、前記中間回転体には、複数の前記磁石と、前記非磁性伝導体とのうちの他方が備えられ、前記駆動側回転体が回転することで、前記非磁性伝導体に発生した渦電流の作用により、前記中間回転体の回転を介して、前記従動側回転体が駆動されることを特徴とする。
【0008】
この発明によると、駆動側回転体と中間回転体と従動側回転体とが隙間を介して全て非接触の状態で配置され、駆動側回転体及び従動側回転体に異極が交互に並ぶ複数の磁石と非磁性伝導体(非磁性の電気伝導体)とのうちの一方が、中間回転体に前述の複数の磁石と非磁性伝導体とのうちの他方が備えられる。このため、駆動側回転体が回転すると、駆動側回転体及び中間回転体の一方に設けられた異極が交互に並ぶ複数の磁石と、駆動側回転体及び中間回転体の他方に設けられた非磁性伝導体との間で相対的な回転変位が生じることになる。これにより、磁界の時間変化を伴う回転磁界中に非磁性伝導体が存在することと実質的に同じ状態となり、非磁性伝導体に渦電流が発生することになる。そして、この渦電流により生じる磁界と上記の回転磁界との相互作用によって、いわゆるアラゴの円盤と同じ原理で中間回転体が回転することになる。さらに、中間回転体が回転することで、中間回転体及び従動側回転体の一方に設けられた異極が交互に並ぶ複数の磁石と、中間回転体及び従動側回転体の他方に設けられた非磁性伝導体との間でも相対的な回転変位が生じ、磁界の時間変化を伴う回転磁界中に非磁性伝導体が存在することになる。そして、非磁性伝導体に発生した渦電流による磁界と回転磁界との相互作用により、従動側回転体も回転することになる。このように、駆動側回転体が回転することで、非磁性伝導体に発生した渦電流の作用により、中間回転体の回転を介して、非接触で従動側回転体が駆動されることになる。
【0009】
本発明では、上述のように、駆動側回転体の駆動力を中間回転体を介して非接触で従動側回転体に伝達することができる。このため、中間回転体を介して離れた位置に配置された駆動側回転体と従動側回転体との間で非接触で動力を伝達することができる。これにより、駆動側回転体に対する従動側回転体の距離や位置についての制約が大幅に緩和され、柔軟に設定することができる。また、駆動側回転体の駆動力を複数の従動側回転体を介して伝達する機構を構成する際における制約も大幅に緩和され、柔軟に設定することができる。よって、駆動側回転体及び従動側回転体の配置構成の自由度を向上させることができる。
【0010】
従って、本発明によると、非接触で動力を伝達することができ、駆動側回転体及び従動側回転体の配置構成の自由度を向上させることができる動力伝達装置を提供することができる。
【0011】
第2発明に係る動力伝達装置は、第1発明の動力伝達装置において、前記駆動側回転体及び前記従動側回転体に複数の前記磁石が備えられ、前記中間回転体に前記非磁性伝導体が備えられ、前記駆動側回転体が回転することで、前記駆動側回転体の前記磁石に対向する前記中間回転体の前記非磁性伝導体に発生した渦電流の作用により、前記中間回転体が回転し、前記中間回転体が回転することで、前記従動側回転体の前記磁石に対向する前記中間回転体の前記非磁性伝導体に発生した渦電流の作用により、前記従動側回転体が回転することを特徴とする。
【0012】
この発明によると、駆動側回転体及び従動側回転体に磁石が備えられ、中間回転体に非磁性伝導体が備えられる。このため、駆動側回転体が回転すると、異極が交互に並ぶ複数の磁石がともに回転することで発生する回転磁界中に非磁性伝導体が配置されることになる。これにより、中間回転体の非磁性伝導体に発生した渦電流による磁界と回転磁界との相互作用により、中間回転体が回転する。そして、中間回転体が回転することで、その非磁性伝導体と従動側回転体の磁石との間で相対的な回転変位が生じることになり、回転磁界中に非磁性伝導体が配置されることと実質的に同じ状態となる。これにより、中間回転体の非磁性伝導体に発生した渦電流による磁界と回転磁界との相互作用により、従動側回転体が回転する。従って、駆動側回転体及び従動側回転体との間で中間回転体を介して非接触で動力を伝達することができる。そして、非磁性伝導体が設けられた中間回転体を介在させることができるため、磁石が設けられた駆動側回転体及び従動側回転体の配置構成の自由度を向上させることができる。
【0013】
第3発明に係る動力伝達装置は、第2発明の動力伝達装置において、前記駆動側回転体及び前記従動側回転体には、半径方向にそれぞれ着磁した複数の前記磁石が、異なる極が周方向に沿って交互に並ぶように配置されていることを特徴とする。
【0014】
この発明によると、駆動側回転体及び従動側回転体に備えられる複数の磁石が、半径方向にそれぞれ着磁するとともに異極が周方向に交互に並ぶように配置された複数の磁石として設けられている。このため、駆動側回転体の回転に伴って周方向に沿って異極が交互に配置された複数の磁石が連続的に回転し、中間回転体の非磁性伝導体に渦電流を発生させる回転磁界を効率良く形成することができる。また、中間回転体の回転に伴って、従動側回転体における半径方向にそれぞれ着磁するとともに異極が周方向に交互に並ぶように配置された複数の磁石と中間回転体の非磁性伝導体との間で相対的な回転変位が連続的に生じ、中間回転体の非磁性伝導体に渦電流を発生させる回転磁界を効率良く形成することができる。
【0015】
第4発明に係る動力伝達装置は、第1発明の動力伝達装置において、前記駆動側回転体及び前記従動側回転体に前記非磁性伝導体が備えられ、前記中間回転体に複数の前記磁石が備えられ、前記駆動側回転体が回転することで、前記中間回転体の前記磁石に対向する前記駆動側回転体の前記非磁性伝導体に発生した渦電流の作用により、前記中間回転体が回転し、前記中間回転体が回転することで、前記中間回転体の前記磁石に対向する前記従動側回転体の前記非磁性伝導体に発生した渦電流の作用により、前記従動側回転体が回転することを特徴とする。
【0016】
この発明によると、駆動側回転体及び従動側回転体に非磁性伝導体が備えられ、中間回転体に磁石が備えられる。このため、駆動側回転体が回転すると、その非磁性伝導体と中間回転体において異極が交互に並ぶ複数の磁石との間で相対的な回転変位が生じることになり、回転磁界中に非磁性伝導体が配置されることと実質的に同じ状態となる。これにより、駆動側回転体の非磁性伝導体に発生した渦電流による磁界と回転磁界との相互作用により、中間回転体が回転する。そして、中間回転体が回転すると、異極が交互に並ぶ複数の磁石がともに回転することで発生する回転磁界中に従動側回転体の非磁性伝導体が配置されることになる。これにより、従動側回転体の非磁性伝導体に発生した渦電流による磁界と回転磁界との相互作用により、従動側回転体が回転する。従って、駆動側回転体及び従動側回転体との間で中間回転体を介して非接触で動力を伝達することができる。そして、磁石が設けられた中間回転体を介在させることができるため、非磁性伝導体が設けられた駆動側回転体及び従動側回転体の配置構成の自由度を向上させることができる。
【0017】
第5発明に係る動力伝達装置は、第4発明の動力伝達装置において、前記中間回転体には、半径方向にそれぞれ着磁した複数の前記磁石が、異なる極が周方向に沿って交互に並ぶように配置されていることを特徴とする。
【0018】
この発明によると、中間回転体に備えられる複数の磁石が、半径方向にそれぞれ着磁するとともに異極が隣り合って並ぶように周方向に配置された複数の磁石として設けられている。このため、駆動側回転体の回転に伴って中間回転体における異極が周方向に交互に並ぶように配置された複数の磁石と駆動側回転体の非磁性伝導体との間で相対的な回転変位が連続的に生じ、駆動側回転体の非磁性伝導体に渦電流を発生させる回転磁界を効率良く形成することができる。また、中間回転体の回転に伴って、周方向に沿って異極が交互に配置された複数の磁石が連続的に回転し、従動側回転体の非磁性伝導体に渦電流を発生させる回転磁界を効率良く形成することができる。
【0019】
第6発明に係る動力伝達装置は、第1発明乃至第5発明のいずれかの動力伝達装置において、前記駆動側回転体の軸心と前記従動側回転体の軸心とが、交差するように又はねじれの位置にあるように配置されていることを特徴とする。
【0020】
この発明によると、駆動側回転体の軸心と従動側回転体の軸心とが、交差するように又はねじれの位置にあるように配置されることになる。このように交差する位置又はねじれの位置に配置される場合であっても、駆動側回転体及び従動側回転体との間で中間回転体を介して非接触で動力を伝達することができる。ここで、「交差する」には、直交する場合及び斜めに交差する場合のいずれも含まれるものである。また、「ねじれの位置」とは、平行でなく且つ直接に交差しない位置であり、直交するように又は斜めに立体交差した状態にある位置を意味するものである。
【0021】
第7発明に係る動力伝達装置は、第1発明乃至第6発明のいずれかの動力伝達装置において、前記磁石が、永久磁石であることを特徴とする。
【0022】
この発明によると、駆動側回転体及び従動側回転体、又は、中間回転体に備えられる磁石が、永久磁石として構成される。このため、電磁石の場合のように電力供給や制御のための構成も必要もなく、複数の永久磁石を用いた簡易な機構で回転磁界を形成することができる。
【0023】
第8発明に係る動力伝達装置は、第1発明乃至第7発明のいずれかの動力伝達装置において、前記非磁性伝導体が、アルミニウム、銅、或いはこれらの金属のうちの少なくともいずれかを含む合金であることを特徴とする。
【0024】
この発明によると、非磁性伝導体が、比抵抗が低く透磁率が低い材料である、アルミニウム、銅、或いはこれらの金属のいずれかを含む合金で形成されるため、回転磁界により生じる渦電流を非磁性伝導体において効率良く発生させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、非接触で動力を伝達することができ、駆動側回転体及び従動側回転体の配置構成の自由度を向上させることができる動力伝達装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。尚、本発明の実施形態に係る動力伝達装置は、非接触で動力を伝達する動力伝達装置として、広く適用することができる。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置1を示す斜視図である。また、図2は動力伝達装置1を上から見た平面図であり、図3は動力伝達装置1の正面図である。図1乃至図3に示すように、動力伝達装置1は、駆動力を伝達する駆動側回転体11と、駆動力が伝達される従動側回転体13と、駆動側回転体11と従動側回転体13との間の駆動力伝達経路に配置される中間回転体12とを備えて構成されている。駆動側回転体11、中間回転体12、及び従動側回転体13は、後述するように、いずれも回転自在に支持され、それぞれの回転軸(14、17、19)の軸心(A1、A2、A3)が平行に配置されている。
【0028】
図1乃至図3に示すように、駆動側回転体11は、回転軸14と本体部15と複数の磁石16とを備えて構成されている。尚、回転軸14については、図1では一部切欠き状態で、図3では断面で図示している。回転軸14の回転中心線である軸心(即ち、駆動側回転体11の軸心)A1は、本実施形態では鉛直方向と垂直な水平方向に配置されている。尚、図2では軸心A1を一点鎖線にて、図3では軸心A1を点にて図示している。そして、図2に示すように、回転軸14の一端側は、電動機101の出力軸101aと連結され、図示しない軸受によって回転自在に支持されている。また、回転軸14の他端側は、支持ハウジング102に対して転がり軸受を介して回転自在に支持されている。尚、図2では、支持ハウジング(102、103、104、106)については、切欠き状態での一部断面を図示している。また、本体部15は、中心位置において回転軸14が固定された円板部材として形成されている。
【0029】
また、駆動側回転体11には、前述のように、複数の磁石16が備えられている。そして、複数の磁石16はいずれも、永久磁石として設けられており、それぞれがリング形状(又は円筒形状)の一部を成す形状を構成し、本体部15の外周に沿って配置されることにより、全体で1つのリング形状を構成している。また、複数の磁石16は、それぞれ同数設けられた複数の磁石16a及び磁石16bで構成されている。尚、本実施形態では、磁石16aが3個、磁石16bが3個備えられた複数の磁石16を例示している。
【0030】
図4は、磁石16aの斜視図であるが、この図4に示すように、磁石16aは、リング形状が周方向に分割された形状に構成されている。この磁石16aは、上記リング形状の半径方向における外側の外周面22及び内側の内周面23が、それぞれ円筒外周面及び円筒内周面の一部を成すように、円弧が連続して形成される円弧面として構成されている。そして、磁石16aは、半径方向(駆動側回転体11に配置された状態における駆動側回転体11の半径方向)に着磁しており、外周側がN極に、内周側がS極に着磁している。即ち、外周面22はN極に、内周面23はS極に着磁している。一方、磁石16bも、磁石16aと同一の形状となるように形成されている。但し、磁石16bは、磁石16aとは半径方向における着磁方向が逆となるように構成されており、外周側がS極に、内周側がN極に着磁している。
【0031】
また、図1乃至図3に示すように、駆動側回転体11においては、磁石16aと磁石16bとが本体部15の外周に沿って隣り合うように順番に取り付けられている。これにより、駆動側回転体11においては、半径方向にそれぞれ着磁した複数の磁石16が、異なる極が周方向に沿って交互に並ぶように配置されている。このように複数の磁石16が配置されていることで、N極からS極に向かって形成される磁力線は、駆動側回転体11においては、磁石16aから両隣に位置する磁石16bに対して延びるように形成されることになる。尚、図3では、一部の磁石16についての磁力線のみを破線で模式的に示している。そして、駆動側回転体11が回転することで、駆動側回転体11の周囲には、回転磁界が形成されることになる。
【0032】
図1乃至図3に示すように、中間回転体12は、駆動側回転体11と従動側回転体13との間に配置されている。そして、中間回転体12は駆動側回転体11及び従動側回転体13に対してそれぞれ隙間を介して配置され、駆動側回転体11、中間回転体12、及び従動側回転体13はいずれも非接触の状態で配置されている。
【0033】
また、中間回転体12は、回転軸17と本体部18とを備えて構成されている。回転軸17の回転中心線である軸心(即ち、中間回転体12の軸心)A2は、本実施形態では水平方向で駆動側回転体11の軸心A1と平行に配置されている。尚、図2では軸心A2を一点鎖線にて、図3では軸心A2を点にて図示している。そして、図2に示すように、回転軸17は、その一端側は支持ハウジング103に対して転がり軸受を介して回転自在に支持され、その他端側は支持ハウジング104に対して転がり軸受を介して回転自在に支持されている。
【0034】
中間回転体12の本体部18は、中心位置において回転軸17が固定された円板部材として形成されている。この本体部18は、非磁性伝導体により形成されている。例えば、本体部18を構成する非磁性伝導体としては、アルミニウム、銅、或いはこれらの金属のうちの少なくともいずれかを含む合金を用いることができる。
【0035】
図1乃至図3に示すように、従動側回転体13は、回転軸19と本体部20と複数の磁石21とを備えて構成されている。回転軸19の回転中心線である軸心(即ち、従動側回転体13の軸心)A3は、本実施形態では水平方向で駆動側回転体11の軸心A1及び中間回転体12の軸心A2と平行に配置されている。尚、図2では軸心A3を一点鎖線にて、図3では軸心A3を点にて図示している。そして、図2に示すように、回転軸19の一端側は、所定の出力装置105の入力軸と連結され、図示しない軸受によって回転自在に支持されている。また、回転軸19の他端側は、支持ハウジング106に対して転がり軸受を介して回転自在に支持されている。また、本体部20は、中心位置において回転軸19が固定された円板部材として形成されている。
【0036】
また、従動側回転体13には、前述のように、複数の磁石21が備えられている。そして、複数の磁石21はいずれも、永久磁石として設けられており、複数の磁石16と同様にそれぞれがリング状の一部を成す形状を構成し、本体部20の外周に沿って配置されることにより、全体で1つのリング形状を構成している。また、複数の磁石21は、それぞれ同数設けられた複数の磁石21a及び磁石21bで構成されている。尚、本実施形態では、磁石21aが3個、磁石21bが3個備えられた複数の磁石21を例示している。
【0037】
磁石21a及び磁石21bは、磁石16a及び磁石16bと同様に、リング形状が周方向に分割された形状に構成されている。尚、本実施形態では、磁石21a及び磁石21bが、磁石16a及び磁石16bに対して相似形状となるように構成されている。そして、磁石21aは、磁石16aと同様に、半径方向(従動側回転体13に配置された状態における従動側回転体13の半径方向)に着磁しており、外周側がN極に、内周側がS極に着磁している。一方、磁石21bは、磁石21aとは半径方向における着磁方向が逆となるように構成されており、外周側がS極に、内周側がN極に着磁している。
【0038】
また、図1乃至図3に示すように、従動側回転体13においては、磁石21aと磁石21bとが本体部19の外周に沿って隣り合うように順番に取り付けられている。これにより、従動側回転体13においては、半径方向にそれぞれ着磁した複数の磁石21が、異なる極が周方向に沿って交互に並ぶように配置されている。このように複数の磁石21が配置されていることで、N極からS極に向かって形成される磁力線は、従動側回転体13においては、磁石21aから両隣に位置する磁石21bに対して延びるように形成されることになる。尚、図3では、一部の磁石21についての磁力線のみを破線で模式的に示している。そして、中間回転体12が回転することで、従動側回転体13の周囲の磁界により、中間回転体12においては自身に対して相対的な磁界の回転が生じて回転磁界が形成されることと実質的に同じ状態となる。
【0039】
尚、上述した動力伝達装置1においては、駆動側回転体11における複数の磁石16と、中間回転体12における非磁性伝導体で形成された本体部18と、従動側回転体13における複数の磁石21とが、軸心A1、軸心A2、及び軸心A3に垂直な同一の面に沿って配置されている。そして、複数の磁石16は、本体部18に対向する側に位置している磁石16が本体部18に小さな隙間を介して近接するように配置されている。また、複数の磁石21も、本体部18に対向する側に位置している磁石21が本体部18に小さな隙間を介して近接するように配置されている。
【0040】
次に、本実施形態に係る動力伝達装置1の作動について説明する。動力伝達装置1は、電動機101の運転が行われることにより作動する。電動機101の運転が開始されると、電動機101の出力軸101aに連結された回転軸14が回転し、駆動側回転体11が回転する。尚、図3では、駆動側回転体11の回転方向を矢印B1で示している。そして、駆動側回転体11の回転により、複数の磁石16もともに回転する。このため、駆動側回転体11が回転することにより、異極が交互に並ぶ複数の磁石16がともに回転することで発生する回転磁界が駆動側回転体11の周囲に形成されることになる。そして、駆動側回転体11の磁石16と中間回転体12の本体部18とは近接して配置されているため、本体部18を構成する非磁性伝導体が、磁界の時間変化を伴う上記の回転磁界中に配置されることになる。さらに、非磁性伝導体が磁界の時間変化を伴う回転磁界中に配置されると、その非磁性伝導体には渦電流が生じるため、本体部18における磁石16に対向する外周部分には、渦電流が発生することになる。
【0041】
上述のように、駆動側回転体11によって形成された回転磁界による渦電流が本体部18に発生すると、この本体部18に発生した渦電流による磁界と駆動側回転体11による回転磁界との相互作用により、いわゆるアラゴの円盤と同じ原理で、回転自在に支持された中間回転体12が回転軸17を中心として回転することになる。尚、図3では、中間回転体12の回転方向を矢印B2で示している。そして、中間回転体12が回転すると、本体部18とこの本体部18に対向する従動側回転体13の磁石21との間で相対的な回転変位が生じることになる。従動側回転体13における複数の磁石21は異極が交互に並んで配置されており、従動側回転体13の周囲には磁石21aから磁石21bに磁力線が向かう磁界が形成されている。このため、回転する中間回転体12においては、自身に対して相対的な磁界の回転が生じて磁界の時間変化を伴う回転磁界が形成されることと実質的に同じ状態となる。即ち、磁界の時間変化を伴う回転磁界中に本体部18を構成する非磁性伝導体が配置されることと実質的に同じ状態となる。これにより、本体部18における磁石21に対向する外周部分には、渦電流が発生することになる。そして、この渦電流による磁界と従動側回転体13の磁石21による相対的な回転磁界との相互作用により、上述のアラゴの円盤と同じ原理で、回転自在に支持された従動側回転体13が回転軸19を中心として回転することになる。尚、図3では、従動側回転体13の回転方向を矢印B3で示している。
【0042】
このように、動力伝達装置1では、駆動側回転体11が回転することで、駆動側回転体11の磁石16に対向する中間回転体12の非磁性伝導体(本体部18)に発生した渦電流の作用により、中間回転体12が回転する。そして、中間回転体12が回転することで、従動側回転体13の磁石21に対向する中間回転体12の非磁性伝導体(本体部18)に発生した渦電流の作用により、従動側回転体13が回転する。従って、動力伝達装置1によると、駆動側回転体11及び従動側回転体13との間で中間回転体12を介して非接触で動力を伝達することができる。このため、摩擦や噛み合いといった機械要素の接触に伴う音の発生や機械要素の磨耗や摩滅といった問題が生じることがない。また、機械要素同士の接触部分に潤滑油を供給するための給油機構又は給油作業も必要なく、メンテナンスフリーな動力伝達装置を実現することができる。
【0043】
以上説明した動力伝達装置1によると、駆動側回転体11が回転することで、中間回転体12における非磁性伝導体である本体部18に発生した渦電流の作用により、中間回転体12の回転を介して、非接触で従動側回転体13が駆動されることになる。即ち、動力伝達装置1では、駆動側回転体11の駆動力を中間回転体12を介して非接触で従動側回転体13に伝達することができる。このため、中間回転体12を介して離れた位置に配置された駆動側回転体11と従動側回転体13との間で非接触で動力を伝達することができる。これにより、駆動側回転体11に対する従動側回転体13の距離や位置についての制約が大幅に緩和され、柔軟に設定することができる。また、駆動側回転体11の駆動力を複数の従動側回転体13を介して伝達する機構を構成することもでき、その際における制約も大幅に緩和され、柔軟に設定することができる。よって、駆動側回転体11及び従動側回転体13の配置構成の自由度を向上させることができ、駆動側回転体11の回転軸14と従動側回転体13の回転軸19との軸間距離を長く設定することや軸間の角度を任意に設定することができる。
【0044】
従って、本実施形態によると、非接触で動力を伝達することができ、駆動側回転体11及び従動側回転体13の配置構成の自由度を向上させることができる動力伝達装置1を提供することができる。
【0045】
また、動力伝達装置1によると、駆動側回転体11及び従動側回転体13に備えられる複数の磁石(16、21)が、半径方向にそれぞれ着磁するとともに異極が周方向に交互に並ぶように配置された複数の磁石(16、21)として設けられている。このため、駆動側回転体11の回転に伴って周方向に沿って異極が交互に配置された複数の磁石16が連続的に回転し、中間回転体12の非磁性伝導体(本体部18)に渦電流を発生させる回転磁界を効率良く形成することができる。また、中間回転体12の回転に伴って、従動側回転体13における半径方向にそれぞれ着磁するとともに異極が周方向に交互に並ぶように配置された複数の磁石21と中間回転体12の非磁性伝導体(本体部18)との間で相対的な回転変位が連続的に生じ、中間回転体12の非磁性伝導体(本体部18)に渦電流を発生させる回転磁界を効率良く形成することができる。
【0046】
また、動力伝達装置1によると、駆動側回転体11及び従動側回転体12に備えられる磁石(16、21)が、永久磁石として構成される。このため、電磁石の場合のように電力供給や制御のための構成も必要もなく、複数の永久磁石を用いた簡易な機構で回転磁界を形成することができる。また、動力伝達装置1によると、非磁性伝導体である本体部18が、比抵抗が低く透磁率が低い材料である、アルミニウム、銅、或いはこれらの金属のいずれかを含む合金で形成されるため、回転磁界により生じる渦電流を非磁性伝導体において効率良く発生させることができる。
【0047】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る動力伝達装置2について説明する。図5は、動力伝達装置2を示す平面図である。図5に示すように、動力伝達装置2は、駆動力を伝達する駆動側回転体11と、駆動力が伝達される従動側回転体13と、駆動側回転体11と従動側回転体13との間の駆動力伝達経路において駆動側回転体11及び従動側回転体13に対してそれぞれ隙間を介して配置される中間回転体24とを備えて構成されている。駆動側回転体11、中間回転体24、及び従動側回転体13は、いずれも回転自在に支持されている。尚、以下の説明においては、第1実施形態と同様の構成については図面において同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0048】
動力伝達装置2の駆動側回転体11は、第1実施形態の駆動側回転体11と同様に構成されている。即ち、図5に示す駆動側回転体11は、一端側が図示しない電動機に連結されるとともに他端側が図示しない支持ハウジングに回転自在に支持されている。そして、この駆動側回転体11は、第1実施形態と同様に、回転軸14と、本体部と、複数の磁石16a及び磁石16bが周方向に交互に並んで構成される複数の磁石16と備えて構成されている。また、動力伝達装置2の従動側回転体13も、第1実施形態の従動側回転体13と同様に構成されている。即ち、図5に示す従動側回転体13は、一端側が図示しない出力装置に連結されるとともに他端側が図示しない支持ハウジングに回転自在に支持されている。そして、この従動側回転体13は、回転軸19と、本体部と、複数の磁石21a及び磁石21bが周方向に交互に並んで構成される複数の磁石21とを備えて構成されている。また、動力伝達装置2では、駆動側回転体11の軸心C1(図中一点鎖線で示す)と従動側回転体13の軸心C3(図中一点鎖線で示す)とが平行に配置されているが、複数の磁石16及び複数の磁石21の位置が軸心方向と垂直な方向において重ならないように軸心方向においてずれた位置に配置されている。
【0049】
動力伝達装置2の中間回転体24は、第1実施形態とは異なり、軸方向に長い中空のパイプ部材(円筒部材)として構成されている。そして、中間回転体24の軸心C2(図中一点鎖線で示す)は、駆動側回転体11の軸心C1及び従動側回転体13の軸心C3と平行に配置されている。この中間回転体24の外周は、一端側において駆動側回転体11の磁石16に小さな隙間を介して近接して配置されており、他端側において従動側回転体13の磁石21に小さな隙間を介して近接して配置されている。また、中間回転体24は、アルミニウム、銅、或いはこれらの金属のうちの少なくともいずれかを含む合金としての非磁性伝導体により形成されている。尚、中間回転体24の両端は、それぞれ図示しない支持ハウジングに対して回転自在に支持されている。
【0050】
上述した動力伝達装置2においても、第1実施形態の動力伝達装置1と同様に、駆動側回転体11が回転することで、中間回転体24を構成する非磁性伝導体に発生した渦電流の作用により、中間回転体24の回転を介して、従動側回転体13が駆動される。
【0051】
まず、電動機の運転によって駆動側回転体11が図中矢印D1で示す方向に回転すると、複数の磁石16がともに回転するため、回転磁界が駆動側伝導体11の周囲に形成される。そして、駆動側回転体11の磁石16と中間回転体24の一端側とは近接して配置されているため、中間回転体24を構成する非磁性伝導体が、磁界の時間変化を伴う上記の回転磁界中に配置されることになる。これにより、中間回転体24の一端側の外周部分に渦電流が発生する。この渦電流による磁界と駆動側回転体11による回転磁界との相互作用により、中間回転体24が図中矢印D2で示す方向に回転する。
【0052】
そして、中間回転体24が回転すると、従動側回転体13の磁石21に対向する中間回転体24の他端側においては、自身に対して相対的な磁界の回転が生じて磁界の時間変化を伴う回転磁界が形成されることと実質的に同じ状態となる。即ち、磁界の時間変化を伴う回転磁界中に非磁性伝導体が配置されることと実質的に同じ状態となる。これにより、中間回転体24の他端側における磁石21に対向する外周部分には、渦電流が発生することになる。そして、この渦電流による磁界と従動側回転体13の磁石21による相対的な回転磁界との相互作用により、従動側回転体13が図中矢印D3で示す方向に回転することになる。
【0053】
以上説明した第2実施形態によると、第1実施形態と同様に、非接触で動力を伝達することができ、駆動側回転体11及び従動側回転体13の配置構成の自由度を向上させることができる動力伝達装置2を提供することができる。また、動力伝達装置2によると、軸方向に長いパイプ部材によって中間回転体24が構成されているため、駆動側回転体11と従動側回転体13との軸方向における距離を長く設定することを容易に実現することができる。尚、中間回転体としては、中空のパイプ部材でなく中実の円柱部材を用いることもできる。また、中間回転体としては、パイプ部材の全体が非磁性伝導体で形成されていなくてもよく、磁石と対向する部分が非磁性伝導体で形成され、磁石と対向する部分以外の部分(軸方向における中間の部分)が非磁性体伝導体以外の材料で形成されていてもよい。また、中間回転体における上記の磁石と対向する部分以外の部分についての形状としては、パイプ形状及び円柱形状以外の形状を適宜選択することができる。
【0054】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る動力伝達装置3について説明する。図6は動力伝達装置3の平面図であり、図7は動力伝達装置3の正面図である。図6及び図7に示すように、動力伝達装置3は、駆動力を伝達する駆動側回転体11と、駆動力が伝達される従動側回転体13と、駆動側回転体11と従動側回転体13との間の駆動力伝達経路において駆動側回転体11及び従動側回転体13に対してそれぞれ隙間を介して配置される中間回転体25とを備えて構成されている。駆動側回転体11、中間回転体25、及び従動側回転体13は、いずれも回転自在に支持されている。尚、以下の説明においては、第1実施形態と同様の構成については図面において同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0055】
動力伝達装置3の駆動側回転体11は、第1実施形態の駆動側回転体11と同様に構成されている。即ち、図6及び図7に示す駆動側回転体11は、一端側が図示しない電動機に連結されるとともに他端側が図示しない支持ハウジングに回転自在に支持されている。そして、この駆動側回転体11は、第1実施形態と同様に、回転軸14と、本体部と、複数の磁石16a及び磁石16bが周方向に交互に並んで構成される複数の磁石16と備えて構成されている。また、動力伝達装置3の従動側回転体13も、第1実施形態の従動側回転体13と同様に構成されている。即ち、図6及び図7に示す従動側回転体13は、一端側が図示しない出力装置に連結され、他端側が図示しない支持ハウジングに回転自在に支持されている。そして、この従動側回転体13は、回転軸19と、本体部と、複数の磁石21a及び磁石21bが周方向に交互に並んで構成される複数の磁石21とを備えて構成されている。
【0056】
但し、動力伝達装置3では、駆動側回転体11の軸心E1(図6及び図7で一点鎖線で示す)及び従動側回転体13の軸心E3(図6では点で、図7では一点鎖線で示す)の配置が、第1実施形態とは異なっている。この動力伝達装置3では、駆動側回転体11の軸心E1と従動側回転体13の軸心E3とは、直交するように立体交差した状態で配置され、平行移動すると直交するようなねじれの位置に配置されている。このように、動力伝達装置3では、駆動側回転体11の軸心E1と従動側回転体13の軸心E3とが、立体交差の位置、即ち、平行でなく且つ直接に交差しないねじれの位置に配置されている。尚、軸心E1と軸心E3とは、直交でなく斜めに立体交差した状態で(即ち、平行移動すると斜めに交差するようなねじれの位置に)配置することもできる。
【0057】
図6及び図7に示す中間回転体25は、駆動側回転体11と従動側回転体13との間の駆動力伝達経路に配置されている。そして、中間回転体25は駆動側回転体11及び従動側回転体13に対してそれぞれ隙間を介して配置され、駆動側回転体11、中間回転体25、及び従動側回転体13はいずれも非接触の状態で配置されている。
【0058】
また、中間回転体25は、回転軸26と本体部27とを備えて構成されている。回転軸26の回転中心線である軸心(即ち、中間回転体25の軸心)E2(図6では一点鎖線で、図7では点で示す)は、本実施形態では駆動側回転体11の軸心E1及び従動側回転体13の軸心E3と直交する位置に配置されている。また、回転軸26の両端は、それぞれ図示しない支持ハウジングに対して回転自在に支持されている。尚、軸心E2は、軸心E1及び軸心E3に対して、平行でなく且つ直接に交差しないねじれの位置に配置することもできる。
【0059】
中間回転体25の本体部27は、中心位置において回転軸26が固定された肉厚の薄い円板部材として形成されている。この本体部27は、非磁性伝導体により形成されている。例えば、本体部18を構成する非磁性伝導体としては、アルミニウム、銅、或いはこれらの金属のうちの少なくともいずれかを含む合金を用いることができる。また、本体部27は、正面側の縁部分の一部において従動側回転体13の磁石21に小さな隙間を介して近接して対向しており、背面側の縁部分の一部において駆動側回転体11の磁石16に小さな隙間を介して近接して対向している。
【0060】
上述した動力伝達装置3においても、第1実施形態の動力伝達装置1と同様に、駆動側回転体11が回転することで、中間回転体25を構成する非磁性伝導体に発生した渦電流の作用により、中間回転体25の回転を介して、従動側回転体13が駆動される。
【0061】
まず、電動機の運転によって駆動側回転体11が図中矢印F1で示す方向に回転すると、複数の磁石16がともに回転するため、回転磁界が駆動側伝導体11の周囲に形成される。そして、駆動側回転体11の磁石16と本体部27の背面側の縁部分の一部とは近接して配置されているため、本体部27を構成する非磁性伝導体が、磁界の時間変化を伴う上記の回転磁界中に配置されることになる。これにより、本体部27の縁部分の一部に渦電流が発生する。この渦電流による磁界と駆動側回転体11による回転磁界との相互作用により、中間回転体25が図中矢印F2で示す方向に回転する。
【0062】
そして、中間回転体25が回転すると、従動側回転体13の磁石21に対向する本体部27の正面側の縁部分の一部においては、自身に対して相対的な磁界の回転が生じて磁界の時間変化を伴う回転磁界が形成されることと実質的に同じ状態となる。即ち、磁界の時間変化を伴う回転磁界中に非磁性伝導体が配置されることと実質的に同じ状態となる。これにより、本体部27の縁部分における磁石21に対向する部分には、渦電流が発生することになる。そして、この渦電流による磁界と従動側回転体13の磁石21による相対的な回転磁界との相互作用により、従動側回転体13が図中矢印F3で示す方向に回転することになる。
【0063】
以上説明した第3実施形態によると、第1実施形態と同様に、非接触で動力を伝達することができ、駆動側回転体11及び従動側回転体13の配置構成の自由度を向上させることができる動力伝達装置3を提供することができる。また、動力伝達装置3によると、駆動側回転体11の軸心E1と従動側回転体13の軸心E3とが、ねじれの位置に配置されることになる。このようにねじれの位置に配置される場合であっても、駆動側回転体11及び従動側回転体13との間で中間回転体25を介して非接触で動力を伝達することができる。
【0064】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る動力伝達装置4について説明する。図8は動力伝達装置4の正面図である。図8に示すように、動力伝達装置4は、駆動力を伝達する駆動側回転体28と、駆動力が伝達される従動側回転体30と、駆動側回転体28と従動側回転体30との間の駆動力伝達経路において駆動側回転体28及び従動側回転体30に対してそれぞれ隙間を介して配置される中間回転体29とを備えて構成されている。駆動側回転体28、中間回転体29、及び従動側回転体30は、いずれも回転自在に支持され、それぞれの回転軸(31、33、36)の軸心(G1、G2、G3)が平行に配置されている。
【0065】
図8に示すように、駆動側回転体28は、回転軸31と本体部32とを備えて構成されている。回転軸31の回転中心線である軸心(即ち、駆動側回転体28の軸心)G1(図8では点で示す)は、本実施形態では水平方向に配置されている。この回転軸31は、一端側が図示しない電動機と連結されるとともに他端側が図示しない支持ハウジングに対して回転自在に支持されている。
【0066】
また、図8に示す本体部32は、中心位置において回転軸31が固定された円板部材として形成されている。この本体部32は、非磁性伝導体により形成されている。例えば、本体部32を構成する非磁性伝導体としては、アルミニウム、銅、或いはこれらの金属のうちの少なくともいずれかを含む合金を用いることができる。
【0067】
図8に示すように、中間回転体29は、駆動側回転体28と従動側回転体30との間に配置されている。そして、中間回転体29は駆動側回転体28及び従動側回転体30に対してそれぞれ隙間を介して配置され、駆動側回転体28、中間回転体29、及び従動側回転体30はいずれも非接触の状態で配置されている。
【0068】
また、中間回転体29は、回転軸33と本体部34と複数の磁石35とを備えて構成されている。回転軸33の回転中心線である軸心(即ち、従動側回転体29の軸心)G2(図8では点で示す)は、本実施形態では水平方向で駆動側回転体28の軸心G1と平行に配置されている。この回転軸33は、両端がそれぞれ図示しない支持ハウジングに対して回転自在に支持されている。また、本体部34は、中心位置において回転軸33が固定された円板部材として形成されている。
【0069】
また、中間回転体29には、前述のように、複数の磁石35が備えられている。そして、複数の磁石35はいずれも、永久磁石として設けられており、第1実施形態における複数の磁石16と同様にそれぞれがリング形状の一部を成す形状を構成し、本体部34の外周に沿って配置されることにより、全体で1つのリング形状を構成している。また、複数の磁石35は、それぞれ同数設けられた複数の磁石35a及び磁石35bで構成されている。尚、本実施形態では、磁石35aが3個、磁石35bが3個備えられた複数の磁石35を例示している。
【0070】
磁石35a及び磁石35bは、第1実施形態の磁石16a及び磁石16bと同様に、リング形状が周方向に分割された形状に構成されている。そして、磁石35aは、第1実施形態の磁石16aと同様に、半径方向(中間回転体29に配置された状態における中間回転体29の半径方向)に着磁しており、外周側がN極に、内周側がS極に着磁している。一方、磁石35bは、磁石35aとは半径方向における着磁方向が逆となるように構成されており、外周側がS極に、内周側がN極に着磁している。
【0071】
また、図8に示すように、中間回転体29においては、磁石35aと磁石35bとが本体部34の外周に沿って隣り合うように順番に取り付けられている。これにより、中間回転体29においては、半径方向にそれぞれ着磁した複数の磁石35が、異なる極が周方向に沿って交互に並ぶように配置されている。このように複数の磁石35が配置されていることで、N極からS極に向かって形成される磁力線は、中間回転体29においては、磁石35aから両隣に位置する磁石35bに対して延びるように形成されることになる。尚、図8では、磁石35についての磁力線を破線で模式的に示している。そして、駆動側回転体28が回転することで、中間回転体29の周囲の磁界により、駆動側回転体28においては自身に対して相対的な磁界の回転が生じて回転磁界が形成されることと実質的に同じ状態となる。一方、中間回転体29が回転することでも、中間回転体29の周囲には回転磁界が形成されることになる。
【0072】
図8に示すように、従動側回転体30は、回転軸36と本体部37とを備えて構成されている。回転軸36の回転中心線である軸心(即ち、従動側回転体30の軸心)G3(図8では点で示す)は、本実施形態では水平方向で駆動側回転体28の軸心G1及び中間回転体29の軸心G2と平行に配置されている。そして、回転軸36は、一端側が図示しない出力装置と連結されるとともに他端側が図示しない支持ハウジングに対して回転自在に支持されている。
【0073】
また、図8に示す本体部37は、中心位置において回転軸36が固定された円板部材として形成されている。この本体部37は、非磁性伝導体により形成されている。例えば、本体部37を構成する非磁性伝導体としては、アルミニウム、銅、或いはこれらの金属のうちの少なくともいずれかを含む合金を用いることができる。
【0074】
尚、上述した動力伝達装置4においては、駆動側回転体28における非磁性伝導体で形成された本体部32と、中間回転体29における複数の磁石35と、従動側回転体30における非磁性伝導体で形成された本体部37とが、軸心G1、軸心G2、及び軸心G3に垂直な同一の面に沿って配置されている。そして、複数の磁石35は、本体部32及び本体部37にそれぞれ対向する側に位置している磁石35が本体部32及び本体部37に対してそれぞれ小さな隙間を介して近接するように配置されている。
【0075】
次に、本実施形態に係る動力伝達装置4の作動について説明する。まず、電動機の運転によって回転軸31が図中矢印H1で示す方向に回転するように駆動側回転体28が回転する。そして、駆動側回転体28が回転すると、本体部32とこの本体部32に対向する中間回転体29の磁石35との間で相対的な回転変位が生じることになる。中間回転体29における複数の磁石35は異極が交互に並んで配置されており、中間回転体29の周囲には磁石35aから磁石35bに磁力線が向かう磁界が形成されている。このため、回転する駆動側回転体28においては、自身に対して相対的な磁界の回転が生じて磁界の時間変化を伴う回転磁界が形成されることと実質的に同じ状態となる。即ち、磁界の時間変化を伴う回転磁界中に本体部32を構成する非磁性伝導体が配置されることと実質的に同じ状態となる。これにより、本体部32における磁石35に対向する外周部分には、渦電流が発生することになる。そして、この渦電流による磁界と中間回転体29の磁石35による相対的な回転磁界との相互作用により、アラゴの円盤と同じ原理で、回転自在に支持された中間回転体29が図中矢印H2で示す方向に回転することになる。
【0076】
そして、中間回転体29が回転すると、複数の磁石35もともに回転する。このため、中間回転体29が回転することにより、異極が交互に並ぶ複数の磁石35がともに回転することで発生する回転磁界が中間回転体29の周囲に形成されることになる。そして、中間回転体29の磁石35と従動側回転体30の本体部37とは近接して配置されているため、本体部37を構成する非磁性伝導体が、磁界の時間変化を伴う回転磁界中に配置されることになる。そして、この渦電流による磁界と中間回転体29による回転磁界のとの相互作用により、上述のアラゴの円盤と同じ原理で、回転自在に支持された従動側回転体30が図中矢印H3方向に回転することになる。
【0077】
このように、動力伝達装置4では、駆動側回転体28が回転することで、中間回転体29の磁石35に対向する駆動側回転体28の非磁性伝導体(本体部32)に発生した渦電流の作用により、中間回転体29が回転する。そして、中間回転体29が回転することで、中間回転体30の磁石35に対向する従動側回転体30の非磁性伝導体(本体部37)に発生した渦電流の作用により、従動側回転体30が回転する。従って、動力伝達装置4によると、駆動側回転体28及び従動側回転体30との間で中間回転体29を介して非接触で動力を伝達することができる。このため、摩擦や噛み合いといった機械要素の接触に伴う音の発生や機械要素の磨耗や摩滅といった問題が生じることがない。また、機械要素同士の接触部分に潤滑油を供給するための給油機構又は給油作業も必要なく、メンテナンスフリーな動力伝達装置を実現することができる。
【0078】
以上説明した動力伝達装置4によると、駆動側回転体28が回転することで、駆動側回転体28における非磁性伝導体である本体部32と従動側回転体30における非磁性伝導体である本体部37とに発生した渦電流の作用により、中間回転体29の回転を介して、非接触で従動側回転体30が駆動されることになる。即ち、動力伝達装置4では、駆動側回転体28の駆動力を中間回転体29を介して非接触で従動側回転体30に伝達することができる。このため、中間回転体29を介して離れた位置に配置された駆動側回転体28と従動側回転体30との間で非接触で動力を伝達することができる。これにより、駆動側回転体28に対する従動側回転体30の距離や位置についての制約が大幅に緩和され、柔軟に設定することができる。また、駆動側回転体28の駆動力を複数の従動側回転体30を介して伝達する機構を構成することもでき、その際における制約も大幅に緩和され、柔軟に設定することができる。よって、駆動側回転体28及び従動側回転体30の配置構成の自由度を向上させることができ、駆動側回転体28の回転軸31と従動側回転体30の回転軸36との軸間距離を長く設定することや軸間の角度を任意に設定することができる。
【0079】
従って、本実施形態によると、非接触で動力を伝達することができ、駆動側回転体28及び従動側回転体30の配置構成の自由度を向上させることができる動力伝達装置4を提供することができる。
【0080】
また、動力伝達装置4によると、中間回転体29に備えられる複数の磁石35が、半径方向にそれぞれ着磁するとともに異極が隣り合って並ぶように周方向に配置された複数の磁石35として設けられている。このため、駆動側回転体28の回転に伴って中間回転体29における異極が周方向に交互に並ぶように配置された複数の磁石35と駆動側回転体28の非磁性伝導体(本体部32)との間で相対的な回転変位が連続的に生じ、駆動側回転体28の非磁性伝導体(本体部32)に渦電流を発生させる回転磁界を効率良く形成することができる。また、中間回転体29の回転に伴って、周方向に沿って異極が交互に配置された複数の磁石35が連続的に回転し、従動側回転体30の非磁性伝導体(本体部37)に渦電流を発生させる回転磁界を効率良く形成することができる。
【0081】
[実施例]
最後に、前述した第1乃至第4実施形態に対応する動力伝達装置を実際に製作し、効果の検証を行った結果について説明する。第1乃至第4実施形態にそれぞれ対応する実施例として、それぞれ下記に示す条件で製作した動力伝達装置についての実施例1乃至実施例4を実施した。また、比較のため、下記に示す比較条件で製作した動力伝達装置についての比較例1乃至比較例3を実施した。
【0082】
(実施例1)
第1実施形態に対応した実施例として製作した。そして、駆動側回転体11における6個の磁石16が構成するリング形状の外径を45.6mm、内径を38.5mm、厚みを10mmとなるように設定した。また、従動側回転体13における6個の磁石21が構成するリング形状の外径を31.5mm、内径を26.45mm、厚みを10mmとなるように設定した。尚、磁石16及び磁石21として、ネオジム系磁石を用いた。また、中間回転体12の本体部18として、外径が50mmで厚みが10mmのアルミニウム製の円板を用いた。尚、駆動側回転体11及び従動側回転体13と中間回転体12との隙間は、いずれも1mmに設定した。
【0083】
(実施例2)
第1実施形態に対応した実施例として製作した。そして、駆動側回転体11及び従動側回転体13の条件は、実施例1と同様に設定した。但し、実施例2においては、中間回転体12の本体部18に対応する部材として、外径が50mm、内径が48.8mm、厚みが10mmのアルミニウム製のリング部材を用いた。尚、駆動側回転体11及び従動側回転体13と中間回転体12との隙間は、いずれも1mmに設定した。
【0084】
(実施例3)
第2実施形態に対応した実施例として製作した。そして、駆動側回転体11及び従動側回転体13の条件は、実施例1と同様に設定した。また、中間回転体24として、外径が20mm、内径が18mm、長さが150mmのアルミニウム製のパイプ部材を用いた。尚、駆動側回転体11及び従動側回転体13と中間回転体24との隙間は、いずれも1mmに設定した。また、磁石16と磁石21との軸心方向における距離(ずれ量)を100mmに設定した。
【0085】
(実施例4)
第3実施形態に対応した実施例として製作した。そして、駆動側回転体11及び従動側回転体13の条件は、実施例1と同様に設定した。また、中間回転体25として、外径が55mm、厚みが0.5mmのアルミニウム製の円板を用いた。尚、駆動側回転体11及び従動側回転体13と中間回転体25との隙間は、いずれも1mmに設定した。
【0086】
(実施例5)
第1実施形態に対応した実施例として製作した。そして、駆動側回転体11及び従動側回転体13の条件は、実施例1と同様に設定した。また、中間回転体12の本体部18として、外径が50mmで厚みが10mmの銅製の円板を用いた。尚、駆動側回転体11及び従動側回転体13と中間回転体12との隙間は、いずれも1mmに設定した。
【0087】
(実施例6)
第4実施形態に対応した実施例として製作した。そして、駆動側回転体28の本体部32として、外径が50mmで厚みが10mmのアルミニウム製の円板を用いた。また、従動側回転体30の本体部37として、外径が30mmで厚みが10mmのアルミニウム製の円板を用いた。また、中間回転体29における6個の磁石35が構成するリング形状の外径を31.5mm、内径を26.45mm、厚みを10mmとなるように設定した。尚、磁石35として、ネオジム系磁石を用いた。また、駆動側回転体28及び従動側回転体30と中間回転体29との隙間は、いずれも1mmに設定した。
【0088】
(比較例)
比較例1では、実施例1の条件において、アルミニウム製の中間回転体12をこれと同寸法で鉄製の円板に変更する条件に設定した。また、比較例2では、実施例1の条件において、アルミニウム製の中間回転体12をこれと同寸法でナイロン6製の円板に変更する条件に設定した。また、比較例3では、実施例1の条件において、従動側回転体13における6個の磁石21のかわりに、外径が32mm、内径が22mm、厚みが10mmのリング状に一体形成されて半径方向に着磁した(即ち、外周において周方向に亘って1つの極となるように着磁した)フェライト系磁石を用いる条件に変更した。尚、比較例1〜3では、駆動側回転体及び従動側回転体と中間回転体との隙間は、いずれも1mmに設定した。
【0089】
(実施結果)
上述した実施例1〜6及び比較例1〜3の動力伝達装置について、駆動側回転体を回転させることで、従動側回転体に動力を伝達できるかどうかを検証した。その結果、実施例1〜6の動力伝達装置については、中間回転体が回転し、従動側回転体も回転した。従って、中間回転体を介して離れた位置に配置された駆動側回転体と従動側回転体との間で非接触で動力を伝達することができることが確認できた。一方、比較例1〜3ではいずれも、駆動側回転体を回転させても従動側回転体が回転せず、駆動側回転体の駆動力を従動側回転体に伝達することができなかった。尚、比較例1では、中間回転体として鉄製の円板を用いているため、リラクタンストルクが大きすぎ、鉄製の円板が回転しなかった。また、比較例2では、中間回転体としてナイロン6製の円板を用いているため、渦電流が流れず、ナイロン6製の円板が回転しなかった。また、比較例3では、従動側回転体の外周において異極が交互に並んでおらず1つの極となるように構成されているため、磁界の時間変化が無く、従動側回転体が回転しなかった。
【0090】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、中間回転体の周囲に従動側回転体を複数配置して動力を伝達してもよい。また、複数の駆動側回転体によって中間回転体を回転させてもよい。また、中間回転体及び従動側回転体と同様の構成を備えた回転要素を隙間を介して順番に複数配置して動力を伝達してもよい。この場合、中間回転体に対して動力伝達経路の上流側に配置された回転要素が駆動側回転体をそれぞれ構成し、下流側に配置された回転要素が従動側回転体をそれぞれ構成することになる。また、駆動側回転体の軸心及び従動側回転体の軸心については、第1乃至第4実施形態で例示した配置に限らず、種々変更して配置することができる。例えば、駆動側回転体の軸心と従動側回転体の軸心とは、直交して交差するように、又は斜めに交差するように配置することができる。また、駆動側回転体、中間回転体、及び従動側回転体の寸法構成や隙間構成については、適宜変更して実施することができる。また、異なる極が交互に並ぶように配置される複数の磁石の配置構成については、第1乃至第4実施形態で例示したものに限らず、種々変更して実施することができる。例えば、軸方向に着磁した棒状の磁石を複数平行に配置するとともに、これらの複数の磁石を異なる極が交互に並ぶように配置した場合であっても、効率よく動力を伝達することができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、非接触で動力を伝達する動力伝達装置として、広く適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す動力伝達装置の平面図である。
【図3】図1に示す動力伝達装置の正面図である。
【図4】図1に示す動力伝達装置における磁石の斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る動力伝達装置を示す平面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る動力伝達装置を示す平面図である。
【図7】図6に示す動力伝達装置の正面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る動力伝達装置を示す正面図である。
【符号の説明】
【0093】
1 動力伝達装置
11 駆動側回転体
12 中間回転体
13 従動側回転体
16、16a、16b 磁石
18 本体部(非磁性伝導体)
21、21a、21b 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に支持されて、駆動力を伝達する駆動側回転体と、
回転自在に支持されて、駆動力が伝達される従動側回転体と、
回転自在に支持されるとともに、前記駆動側回転体及び前記従動側回転体に対してそれぞれ隙間を介して配置される中間回転体と、
を備え、
前記駆動側回転体及び前記従動側回転体には、異なる極が交互に並ぶように配置される複数の磁石と、非磁性伝導体とのうちの一方が備えられ、前記中間回転体には、複数の前記磁石と、前記非磁性伝導体とのうちの他方が備えられ、
前記駆動側回転体が回転することで、前記非磁性伝導体に発生した渦電流の作用により、前記中間回転体の回転を介して、前記従動側回転体が駆動されることを特徴とする、動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
前記駆動側回転体及び前記従動側回転体に複数の前記磁石が備えられ、前記中間回転体に前記非磁性伝導体が備えられ、
前記駆動側回転体が回転することで、前記駆動側回転体の前記磁石に対向する前記中間回転体の前記非磁性伝導体に発生した渦電流の作用により、前記中間回転体が回転し、
前記中間回転体が回転することで、前記従動側回転体の前記磁石に対向する前記中間回転体の前記非磁性伝導体に発生した渦電流の作用により、前記従動側回転体が回転することを特徴とする、動力伝達装置。
【請求項3】
請求項2に記載の動力伝達装置であって、
前記駆動側回転体及び前記従動側回転体には、半径方向にそれぞれ着磁した複数の前記磁石が、異なる極が周方向に沿って交互に並ぶように配置されていることを特徴とする、動力伝達装置。
【請求項4】
請求項1に記載の動力伝達装置であって、
前記駆動側回転体及び前記従動側回転体に前記非磁性伝導体が備えられ、前記中間回転体に複数の前記磁石が備えられ、
前記駆動側回転体が回転することで、前記中間回転体の前記磁石に対向する前記駆動側回転体の前記非磁性伝導体に発生した渦電流の作用により、前記中間回転体が回転し、
前記中間回転体が回転することで、前記中間回転体の前記磁石に対向する前記従動側回転体の前記非磁性伝導体に発生した渦電流の作用により、前記従動側回転体が回転することを特徴とする、動力伝達装置。
【請求項5】
請求項4に記載の動力伝達装置であって、
前記中間回転体には、半径方向にそれぞれ着磁した複数の前記磁石が、異なる極が周方向に沿って交互に並ぶように配置されていることを特徴とする、動力伝達装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記駆動側回転体の軸心と前記従動側回転体の軸心とが、交差するように又はねじれの位置にあるように配置されていることを特徴とする、動力伝達装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記磁石が、永久磁石であることを特徴とする、動力伝達装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記非磁性伝導体が、アルミニウム、銅、或いはこれらの金属のうちの少なくともいずれかを含む合金であることを特徴とする、動力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−53911(P2010−53911A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217566(P2008−217566)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)