説明

動物の治療装置、並びに、その売り渡し及び貸し渡し方法、並びに、診断方法

【課題】各動物個体の生体機能を向上ないし回復させることができる治療装置を提供すると共に、個体に応じた色治療の可能な治療装置の売り渡し及び貸し渡し方法を提供する。
【解決手段】動物を光で治療するための治療装置に関し、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを有し概ね水平方向に光を出射する光源部42と、檻または籠の上に載置可能な方形平板状で光源部42からの光の一部を水平方向に導きながら他の一部を下方に向かって偏向させる導光部41と、各LEDに通電する電流値を制御して青色、緑色、赤色およびこれらの色を混合した中間色のうちから選択された色を光源部42から出射させる駆動手段3とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光による動物の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には発光ダイオードの照度を調整して「うつ病」などを発症したモデル動物の作成が可能であることが開示されている。
一方、下記の特許文献2には、LEDから550nm〜650nmのピーク波長を有する光を家禽に照射し、食欲等の調整に好影響を与えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JP2008−136395A
【特許文献1】JP2009−171866A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記各特許文献には、対象物である動物に照射する可視光の波長を選択し適切な波長の光を照射することで、各個体が持つ精神的・肉体的なストレスを和らげ、場合によっては未病や病気を直すことができることについては何ら開示されていない。
【0005】
また、前記各文献には、個体ごとの症状に応じた波長の光(色)を照射することについては何ら開示されていない。
【0006】
更に、似通った症状であっても、個体によって症状が改善される色や照射時間が個体ごとに異なる可能性については何ら言及されていない。
【0007】
したがって、本発明の主な目的は、動物の治療装置、並びに、その売り渡し及び貸し渡し方法、並びに、診断方法において、各動物個体の生体機能を向上ないし回復させることができる治療装置を提供すると共に、前記個体に応じた色治療の可能な前記治療装置の売り渡し及び貸し渡し方法を提供することである。
【0008】
一般に、霊長類(人、猿)を除く動物は色を区別(識別)することができないと云われている。
しかし、本発明者は視覚により色を感じることができるか否かとは無関係に、色により生体機能を回復させることができることを発見し、更に鋭意研究を重ねて本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の方法は、動物の治療装置の売り渡し及び貸し渡し方法であって、病院において動物を光で治療する方法を診断するための診断装置と、家庭において動物を光で治療するための治療装置とを用い、前記診断装置および治療装置は下方に向かって光を照射する照射手段と、青色、緑色、赤色(光の三原色)およびこれらの色のうちの2以上を混合した中間色のうちから選択された色を前記照射手段に照射させる駆動手段とを備え、前記照射手段が照射する色を選択するための操作手段を操作して前記診断装置の照射手段から照射する光の色を選択する選択工程と、当該色の光を対象の個体に照射する照射工程とを実行して前記個体を治療できる光の色を求め、当該光の色を前記個体の飼主に教えると共に前記治療装置を飼主に売り渡しないし貸し渡すことを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記治療装置の照射手段から出射される光が前記個体を治療できる光の色となるように前記治療装置の駆動手段を設定し、当該設定した治療装置を前記飼主に売り渡しないし貸し渡すことを特徴とする。
【0011】
より好ましくは、前記照射工程において、前記色の光を対象の個体に所定時間にわたって照射し、個体を治療するのに適した光の色の照射時間を求め、
当該時間を前記光の色と共に前記個体の飼主に教えると共に前記治療装置を前記飼主に売り渡しないし貸し渡すことを特徴とする。
【0012】
更に好ましくは、前記治療装置は前記治療するのに適した光の色のデータおよび前記所定時間を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された時間の間、前記駆動装置を駆動させて、前記光の色を前記照射時間に照射させる制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0013】
動物病院等の専門機関において、予め個体の飼主(所有者)に症状を問診し、当該問診の結果、当該個体の治療に適した光の色と時間とを経験則によって獣医が判断する。
たとえば、太りすぎの犬の食欲を低めるには紫色の光を照射するのが良い。一方、個体の不安を軽減する場合には個体差が大きく、黄、白、緑、橙の4つの色のうち、いずれか1つの色の照射が症状を緩和する。
【0014】
獣医の判断に応じて、前記診断装置および操作手段を用いて所定の色の光を所定時間個体に照射し当該個体の反応を観察し、当該個体に最も適切な治療色と照射時間を獣医が求める。
獣医は前記色と照射時間を飼主に伝えると共に、前記治療装置について前記治療色および照射時間となるように設定し、この設定した状態で前記治療装置を売り渡し又は貸し渡す。
これにより、飼主が色による治療の難解なメカニズムを知らなくても、個体の治療が可能となる。
また、治療装置とは別の診断装置を用いて個体の診断を行うので、診断のみの場合にも装置を返品する必要がなく、飼主および獣医の経済的負担が小さくなる。
【0015】
本発明において中間色とは、光の三原色である、青、赤、緑の二以上の光を照射する(混合する)ことにより得られる色をいい、たとえば図3Bや図6に列挙される色がある。
【0016】
本発明の治療装置は、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを有し概ね水平方向に光を出射する光源部と、檻または籠の上に載置可能な方形平板状で前記光源部からの光の一部を水平方向に導きながら他の一部を下方に向かって偏向させる導光部と、前記各LEDに通電する電流値を制御して青色、緑色、赤色およびこれらの色のうちの2以上を混合した中間色のうちから選択された色を前記光源部から出射させる駆動手段とを備えている。
【0017】
この場合、個体(検体)には面発光された光が照射されるので、天井に多数のLEDを配置した場合に比べ、色ムラが生じにくい。
また、水平方向に広く大きい導光部において照度が分散するので、薄い導光部でも色ムラをなくすることができる。
【0018】
本発明の診断方法は、犬舎の上に前記治療装置を設置すると共に前記犬舎内に検体を入れた状態で、前記導光部から前記犬舎に向かって下方に青色、緑色、赤色およびこれらの色のうちの2以上を混合した中間色のうちのいずれかを所定時間照射し、前記所定時間の間において前記検体が犬舎内で座っている(座位)時間、前記検体が立っている(立位)時間、前記検体がクルクル回って動いている(旋回)時間のうちの2以上の時間の割合から前記検体の落ち着き度合を判断し、前記落ち着き度合に基づいて前記照射した色が当該検体の治療に利き目のある色か否かを判断する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1Aは本発明の診断装置を犬舎の上に載せた状態で示す斜視図、図1Bは治療装置の斜視図である。
【図2】図2Aは診断装置および治療装置の照射手段の構造を示す概略側面図、図2Bおよび図2Cは光源部を示す概念図である。
【図3】図3Aは操作手段、診断装置および治療装置の概略構成図、図3Bは第2記憶部の記憶内容を示す図表である。
【図4】本発明方法の一例を示すフローチャートである。
【図5】図5Aは試験の結果を示す図、図5Bは診断装置および治療装置の他の例を示す概略構成図である。
【図6】人の場合の症状と“利き目のある色”との関係を示す図表である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
図1Aの診断装置(第1の治療装置)1Aと図1Bの治療装置(第2の治療装置)1Bとは本質的に同じ構造および機能の平面発光装置40を有する。前記診断装置1Aは病院内の犬舎Wの上に設置されて用いられ、治療装置1Bは飼主の所有する犬舎(図示せず)上に設置される。
なお、病院の犬舎Wの外には検体の行動を移すビデオカメラCaが設置されている。
【0021】
図1および図2Aに示すように、平面発光装置40は、幅方向の端面のうち一方が光入射面41aとされており、一方主面が光出射面41bとされており、他方主面が光反射面41cとされている導光板(導光部の一例)41と、導光板41の光入射面41aに配置されている光源部42と、導光板41の光反射面41c上に配置されている反射シート43と、導光板41の光出射面41bの下に配置されている拡散シート44とを備える。なお、導光板41は方形平板状である。
【0022】
導光板41は、所定の厚みを有する透明な平板であり、主面のサイズは照明する犬舎Wの天井面に合わせたサイズとされている。
導光板41は、光入射面41aから入射された光を光出射面41bと光反射面41cとで全反射させながら導光し、光出射面41bから出射させる。光出射面41bからは、臨界角未満で光出射面41bの内面に入射した光が出射される。
【0023】
導光板41の材料としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透明の熱可塑性樹脂が用いられる。導光板41は、たとえば、アクリル樹脂を射出成形することによって形成される。
【0024】
導光板41の光反射面41cには、細かい凹凸形状、たとえば、プリズムパターンやドットパターンなどが形成されており、導光板41内に導光された光を効率良く光出射面41bに向かわせる。この光反射面41cに形成されたプリズムパターンやドットパターンによって光出射面41b方向へ立ち上げられた光が、光出射面41bから均一な光として出射されることで、導光板41は面発光する。
【0025】
前記光源部42は図2B又は図2CのR,G,Bで示す赤色LED、緑色LED、青色LEDの組を多数有し概ね水平方向に光を出射する。なお、3色のLEDの組は正三角形の位置に近接して配置されていてもよいし、互いに1列に接近して配置されていてもよい。
【0026】
各光源部42から出射された光は、それぞれ、導光板41の光入射面41aから入射して、導光板41内を光出射面41b又は光反射面41cによって全反射されながら導光され、光反射面41cに形成されたプリズムパターンやドットパターンによって偏向されて光出射面41bから下方に向かって出射される。
【0027】
反射シート43は、導光板41を全反射しながら導光される光のうち、光反射面41cから導光板41の外側に飛び出した光を反射して、再び導光板41内に戻す働きをしている。
拡散シート44は、導光板41の光出射面41bから出射された光を均一に拡散し、導光板41の光出射面41bから出射された光の面内強度を均一にする。
【0028】
前記平面発光装置40の光源部42は、以下に説明する図3Aのリモコン(操作手段の一例)10、制御装置2および駆動装置(駆動回路)3を介して所定の発光を行う。前記制御装置2および駆動装置3は平面発光装置40に一体となって、診断装置1A又は治療装置1Bの一部を構成する。
【0029】
図3Aにおいて、リモコン(操作手段)10は、第1表示部11,色相角設定部12,光量設定部13,時間設定部14および第1記憶部15を備える。リモコン10の各設定部12〜14において色相角(色のデータの一例)、光量、照射時間が設定されると、これらの値が第1記憶部15に記憶されると共に第1表示部11に表示される。
【0030】
前記第1記憶部15に記憶された色相角、光量、照射時間の情報が制御装置2に送信されると、これらの内容が第2記憶部25に記憶されると共に第2表示部25に表示される。制御装置2のON・OFF スイッチ20をオンにすると、前記設定・記憶された内容で駆動装置3が駆動し各LEDが所定の強度で発光し、所期の色および照度の光が図1Aの平面発光装置40から下方の犬舎W内に向かって所定時間出射される。
【0031】
なお、第1記憶部15および第2記憶部25としては、書き換え可能な不揮発性のメモリ(フラッシュメモリ)を用いるのが好ましい。同一の設定内容の再現が容易だからである。
【0032】
前記第2記憶部25には予めルックアップテーブルが記憶されている。ルックアップテーブルは、図3Bに示すように、予め、LED群が発光する各色における色相角度を電流値や電圧値等の電気量で表し、これをテーブル化したもので、第2記憶部25に記憶・入力させてある。
図3Bに示しているルックアップテーブルでは、例えば、色が紫の場合、色相角度が226で、これに対応する変換値(mA)(色のデータの他の例)が、赤色R:0.25、緑色G:0.96、青色B:0.73である。
【0033】
図3Aの制御装置2は、前記第2記憶部25のルックアップテーブルから読み出し、色相角度の指令値を電流、電圧等の電気量に変換して、駆動装置3が赤色LED群、緑色LED群、青色LED群にそれぞれ出力することによって光源部42を駆動制御する。
【0034】
すなわち、前記リモコン10は前記診断装置1Aおよび治療装置1Bの各駆動装置3を介して前記診断装置1Aおよび治療装置1Bの前記光の色等を遠隔設定する設定部12〜14を有する。一方、前記治療装置は前記設定部12〜14で設定した光の色等を設定変更する変更部22〜24を有し、前記設定部12〜14による光の色の設定のレンジよりも前記変更部22〜24による光の色等の変更のレンジが小さい。
これにより、飼主が光の色や強度(光量)、照射時間を大きく変えることがないようにしている。
なお、リモコン10に設定部12〜14を設ける場合、制御装置2には変更部22〜24を設けなくてもよい。この場合、飼主による設定変更を防止できる。
【0035】
つぎに、診断方法について説明する。
まず、図4のステップS1で飼主から問診を行い、獣医の経験則や治験例に基づいて、ペットの症状に応じた光の色(色相角)、光量および照射時間を定める。ついで、ステップS2に進み、図3Aのリモコン10の各設定部12〜14から前記定めた色等を設定し、第1記憶部15に記憶させる。
【0036】
前記設定後、図4のステップS3に進み、予め図1の犬舎W内にペットを入れ、リモコン10から制御装置2に前記設定内容を送信し、図3AのON・OFF スイッチ20をONにする。前記送信により第2記憶部25に記憶された内容と図3Bのテーブルに従って駆動装置3は光源部42の各LEDから所期の光量の光が出射され、設定した色の光が設定した時間だけ出射される。
【0037】
ついで、ステップS4に進み、前記施術中および施術後のビデオカメラCaの映像からペットの行動に基づいて色による利き目を獣医は判断し、前記光の色で当該ペット(個体)の未病等を治療できるか否かを判断する。たとえば、興奮が軽くなったか否かは検体(個体)の座位の時間が白色光の場合よりも短くなったかなどから知ることができる。
【0038】
前記判断の結果、前記色および時間で治療できないと判断した場合はステップS2に戻り、前記色および時間の設定と、前記色の照射とを繰り返す。一方、前記判断の結果、前記色および時間で治療ができると判断した場合はステップS5に進む。
【0039】
次のステップS5では、獣医は飼主を病院に呼出し前記光の色と時間とを教え、これによる治療でいかなる効果が得られるかを説明する。この説明に従って、次のステップS6に進み図1の治療装置1Bの売買契約ないしリース契約を行う。
【0040】
契約が成立後、次のステップS7で獣医は治療装置1Bを商社に発注し、治療装置1Bが入荷した後にステップS8で当該治療装置1Bについて前記図3Aのリモコン10を用いて前記テストにより求めた色、光量および時間を設定する。
【0041】
前記制御装置2の第2記憶部25に光量、時間および色(色相角)が記憶された後に、図4のステップS9進み治療装置1Bを前記飼主に引き渡す。
【0042】
前記治療装置1Bを購入した飼主は自宅の犬舎に載せると共に必要に応じてペットを犬舎内に入れて、当該ペットに治療を施す。
この際、色、光量および時間が必要に応じて予め選択設定されているので、飼主は色治療についての詳しい知識を必要としない。
【0043】
なお、各変更部22〜24を設けておけば前記色、光量および時間は飼主が若干変更することなできる。この場合に各変更部22〜24によるレンジの幅が設定部12〜14によるレンジの幅よりも狭いので、変更しすぎによる弊害を防止できる。
【0044】
また、前記各変更部22〜24を設けない場合は、飼主による謝った治療装置1Bの用い方を確実に防止し得る。
【0045】
つぎに、色治療を明瞭にするために、試験例を示す。
色彩のある空間で犬の生理・心理的変化を明らかにし、普段と異なる環境において動物にかかるストレスを軽減させる色彩環境について調べた。
【0046】
準備したもの:犬(検体)、動物飼育用の枠、前記平面発光装置40、枠を覆う白い布100(図1A参照)、ビデオカメラCa、ビデオ録画用ハードウェア
【0047】
(1)実験環境内には、水の入った器を入れ、餌の供給は普段と同様に行い、排泄物は発見時に除去し、ストレスの原因となる他の要因を極力除去した。
(2)実験の前日から、被験体(検体)を実験で用いる環境に移した。実験当日に柵外にビデオカメラCa(FIG1A参照)を設置した。録画を開始し、実験開始30分前からLEDライト照射(白)を開始した。
(3)黄色で30分間照射する。
(4)白色(コントロール)を10照射し、その後、赤色を30分間照射した。
(5)(4)に述べた手順で緑色の照射を同様に行った。
(6)最後に白色ライトを10分間照射した後、採血と心拍数、呼吸数、体温の測定を行った。
(7)ビデオカメラの録画を停止した。
(8)実験中、ビデオカメラは継続して録画し、色彩の変化による検体の行動の変化は落ち着いた状態で座っている時間、立っている時間および立ってクルクル回っている(旋回している)時間の長さを測定した。
前記各時間の長さの割合を図5Aに示す。
【0048】
行動の変化は、犬(検体)が「座る」、「立つ」または「旋回運動(クルクル回る」によって判断した。これらの行動により検体の心の動揺や落ち着きの度合が分かるからである。
すなわち、一般に犬が落ち着いた状態では座っている場合が多く、落ち着きがなくなると、クルクル回り、警戒心が強い場合は立っていることが多い。
【0049】
図5から分かるように、緑色では犬の行動が落ち着くのに対し、赤色では犬の行動に落ち着きがなくなるのが分かる。また、赤色と緑色との中間色である黄色の場合には前記赤色と緑色の中間の結果が得られている。
【0050】
この顕著な結果から、動物(犬)も人と同様に色を識別する機能があり、また、人と同様に色による病気、未病の治療やストレスの緩和を図り得ると推測される。
【0051】
図6は人の場合において、症状と“利き目のある色”との関係を本発明者が経験則等により知り得た結果を示す。
この図表から分かるように、たとえば“倦怠の解消”をする場合に赤、青のいずれが効果的であるかは倦怠の原因によって大きく(真逆に)異なる。また、たとえば、“興奮を軽くする”場合には青、緑の双方が効果的であるが、個体や状況に応じて、より効果的な色がいずれであるか変動する。
一方、同じ色を照射しすぎると、弊害も生じるため、1日ないし1週間当たりの適切な治療(照射)時間も獣医が経験則などにより推定し、これを守ることは重要である。
したがって、専門の獣医が予め診断し、その診断結果に応じて色および/または時間の少なくとも一方を飼主に教示し、これを治療装置に初期設定することが有用であることが分かる。
【0052】
前記実施例では図3Aのリモコン10に第1表示部11,第1記憶部15および設定部12〜14を設けたが、前記リモコン10を必ずしも設ける必要はなく、図5Bのように、制御装置2に第1表示部11,色相角設定部12および第1記憶部15を設けてもよい。また、図3Aのタイマ26や光量設定部13および時間設定部14は必ずしも設ける必要はない。
【0053】
また、平面発光装置40としては前記実施例のものに限らず、JP2007−179751AやJP2009−86023Aなどの種々の構造を採用し得る。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は主として、犬猫の未病、病気等の治療に利用できるが、他の動物の治療および人にも利用し得る。
【符号の説明】
【0055】
2:制御装置
3:駆動装置
10:リモコン
40:平面発光装置
41:導光板
42:光源部
43:反射シート
44:拡散シート
100:白い布
Ca:ビデオカメラ
W:犬舎

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の治療装置の売り渡し及び貸し渡し方法であって、
病院において動物を光で治療する方法を診断するための診断装置と、家庭において動物を光で治療するための治療装置とを用い、
前記診断装置および治療装置は下方に向かって光を照射する照射手段と、
青色、緑色、赤色およびこれらの色のうち2以上を混合した中間色のうちから選択された色を前記照射手段に照射させる駆動手段とを備え、
前記照射手段が照射する色を選択するための操作手段を操作して前記診断装置の照射手段から照射する光の色を選択する選択工程と、
当該色の光を対象の個体に照射する照射工程とを実行して前記個体を治療できる光の色を求め、
当該光の色を前記個体の飼主に教えると共に前記治療装置を飼主に売り渡しないし貸し渡すことを特徴とする。
【請求項2】
請求項1の方法において、前記治療装置の照射手段から出射される光が前記個体を治療するのに適した光の色となるように前記治療装置の駆動手段を設定し、当該設定した治療装置を前記飼主に売り渡しないし貸し渡すことを特徴とする。
【請求項3】
請求項2の方法において、前記照射手段は
赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを有し概ね水平方向に光を出射する光源部と、前記光源部からの光の一部を水平方向に導きながら他の一部を下方に向かって偏向させる導光部とを有する平面発光装置からなる。
【請求項4】
請求項3の方法において、
前記照射工程において、前記色の光を対象の個体に所定時間にわたって照射し、個体を治療するのに適した光の色の照射時間を求め、
当該時間を前記光の色と共に前記個体の飼主に教えると共に前記治療装置を前記飼主に売り渡しないし貸し渡すことを特徴とする。
【請求項5】
請求項4の方法において、
前記治療装置は前記治療するのに適した光の色のデータおよび前記所定時間を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された時間の間、前記駆動装置を駆動させて、前記光の色を前記照射時間に照射させる制御装置とを備える。
【請求項6】
請求項5の方法において、前記操作手段は前記診断装置および治療装置の各駆動手段を介して前記診断装置および治療装置の前記光の色を遠隔設定する設定器を有し、前記治療装置は前記設定器で設定した光の色を設定変更する変更部を有し、前記設定器による光の色の設定のレンジよりも前記変更部による光の色の変更のレンジが小さい。
【請求項7】
請求項5の方法において、前記操作手段は前記診断装置および治療装置の各駆動手段を介して前記診断装置および治療装置の前記光の色を遠隔設定する設定器を有し、前記治療装置は前記設定器で設定した光の色を設定変更することができない。
【請求項8】
動物を光で治療するための治療装置であって、
赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを有し概ね水平方向に光を出射する光源部と、
檻または籠の上に載置可能な方形平板状で前記光源部からの光の一部を水平方向に導きながら他の一部を下方に向かって偏向させる導光部と、
前記各LEDに通電する電流値を制御して青色、緑色、赤色およびこれらの色のうち2以上を混合した中間色のうちから選択された色を前記光源部から出射させる駆動手段とを備えている。
【請求項9】
請求項8の治療装置を用いた犬の治療のための診断方法であって、
犬舎の上に前記治療装置を設置すると共に前記犬舎内に検体を入れた状態で、
前記導光部から前記犬舎に向かって下方に青色、緑色、赤色およびこれらの色のうち2以上を混合した中間色のうちのいずれかを所定時間照射し、
前記所定時間の間において前記検体が犬舎内で座っている時間、前記検体が立っている時間、前記検体がクルクル回って動いている時間のうちの2以上の時間の割合から前記検体の落ち着き度合を判断し、
前記落ち着き度合に基づいて前記照射した色が当該検体の治療に利き目のある色か否かを判断する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−16426(P2012−16426A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154628(P2010−154628)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(508008407)
【Fターム(参考)】