説明

動物用の耳標

【課題】生後間もない子豚の耳殻に装着しても耳殻上で滑らないために耳殻を痛めず、脱落もしない動物用の耳標を提供する。
【解決手段】軸部3と札部2,4とを備える動物用の耳標10において、少なくとも1枚の札部3,4の、動物の耳殻Yに対向する面に、動物の耳殻Yと札部4との間のスペースを確保すると共に、動物の耳殻Yと札部4との滑りを防止する柔軟なスペーサ部材11を配置したものである。2ピース型耳標の場合、スペーサ部材11は、雌型耳標1Fの動物の耳殻Yに対向する面に設けることができるが、雄型耳標1M、或いは両方の動物の耳殻Yに対向する面に設けても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動物用の耳標に関し、特に、生後間もない動物の、柔らかい耳殻に装着しても脱落しない動物用の耳標に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、牛、羊、山羊、豚等の家畜は、牧場や養豚場で飼育される場合の固体識別の手段として、耳殻に耳標と呼ばれる固体識別具を装着している。そして、この耳標には通常は札部に動物の登録番号が印刷されているが、牧場や養豚場において外部から視認しやすい拡大された番号が印刷されていることが多い。
【0003】
耳標には、2ピース型耳標と1ピース型耳標とがある。2ピース型耳標は、雄型耳標と雌型耳標とから構成される。雄型耳標には、札部と、この札部に突設されて動物の耳殻に貫通させる自由端が鋭利に形成された軸部とがある。また、雌型耳標には、動物の耳を貫通した軸部の先端部を挿通させる孔と、先端部が遊びを持って保持される先端部の受け入れ部とがある。一方、1ピース型耳標は、1枚の札部と、この札部に突設された軸部とから構成されており、軸部の先端部は、動物の耳殻を貫通した後に軸部が耳から脱落しないように折れ曲がるようになっている。
【0004】
このような耳標は、動物の耳殻に取り付けられる個体識別の手段として長く使用されてきているおり、近年では、特許文献1に記載があるようにコンピュータを利用した動物の管理システムに使用されたり、動物の飼育や肥育環境を追跡するために使用される等、用途が拡大している。
【0005】
図1(a)は従来の2ピース型の動物用の耳標92の構成を示すものである。2ピース型の耳標92は、雄型耳標1Mと雌型耳標1Fとから構成されている。雄型耳標1Mには表面に動物の登録番号や拡大された番号が印刷され得る札部2と、この札部2の裏面側に突設された軸部3とがある。軸部3の先端部には、軸部3に対して膨出された後に先細に形成された係止突起3Aが設けられている。また、雌型耳標1Fには同じく表面に動物の登録番号や拡大された番号が印刷され得る札部2と、係止突起3Aを挿通させる貫通孔5、及び係止突起3Aを受け入れて係止する係止突起受入部6(図1(b)参照)がある。
【0006】
以上のように構成された従来の2ピース型の耳標92は、図1(b)に示すように、軸部3を動物の耳殻を貫通させた後の軸部3の係止突起3Aを貫通孔5に挿通させることによって、動物の耳殻に取り付ける。雌型耳標1Fの貫通孔5を挿通した雄型耳標1Mの軸部3の係止突起3Aは、雌型耳標1Fの貫通孔5の裏面に設けられた係止突起受入部6に保持される。
【0007】
図2(a)は従来の1ピース型の耳標91の構成を示すものである。1ピース型の耳標91は、表面に動物の登録番号や拡大された番号が印刷され得る札部7と、この札部7の裏面側に突設された軸部8とから構成されている。軸部8は柔軟性を備えており、その先端部には軸部8に対して直交する方向に膨出された係止部8Aが設けられている。係止部8Aの一端は先細に形成されている。
【0008】
以上のように構成された従来の1ピース型の耳標91は、図2(b)に示すように、柔軟な軸部8を変形させ、係止部3Aの先細部を動物の耳殻Yの方向に向け、動物の耳殻Yを貫通させた後に、軸部8を元に戻せば、図2(c)に示すように、係止部8Aが軸部8に対して直交するので、軸部8が動物の耳殻Yを通り抜けられなくなり、動物の耳殻Yに取り付けられる。
【0009】
【特許文献1】特開2000−188986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような耳標は、牛のように生後間もない時でも耳殻がある程度硬い耳に取り付ける場合はしっかりと耳殻に固定されるので何の問題もないが、豚のように短期間で成長する動物の場合、生まれた直後に耳殻を貫通させて耳標を装着すると、耳殻が柔らかいために、耳標を装着した際に開けた孔がその後大きくなってしまい、大きくなった孔を耳標の札部が通り抜けて耳標が脱落する問題があった。
【0011】
実際には、図3(a)に示すように、生まれた直後の子豚PLの中には、耳殻Yが柔らかく、垂れ下がっている種類のものがある。このような状態の耳殻Yに、例えば、雄型耳標1Mと雌型耳標1Fからなる2ピース型の耳標92を前述の方法で装着すると、この子豚PLが成長して肉豚として出荷される半年後において、約半数の耳標92が脱落してしまっていた。これは、子豚PLの耳殻Yの内部組織が確立されていないためであり、耳標92を取り付けた孔に、小さな力であっても絶えずかかり続けると、孔の周囲では内部組織の確立されづらく、孔が耳殻の成長とともに大きくなってしまうからである。
【0012】
一方、子豚PLは成長が著しく早く、生後2週目から4週目で離乳するが、離乳時の子豚PGの耳殻Yの組織は、ほぼ成長した豚の耳殻とほぼ同じになっており、肉厚も十分にあってしっかりとした状態になっている。例えば、図3(b)に示すように、耳殻Yが立っており、肉厚も厚い豚PGに耳標を装着した場合は、耳標の脱落率は低く5%以下であった。そこで、子豚への耳標の装着は、耳殻が厚くなって内部組織も確立された離乳時以降に行われることが多かった。
【0013】
ところが、子豚への耳標の装着を離乳時に行うと、1頭の母豚から子豚が多く生まれたために、1頭の母豚では授乳ができず、母乳にありつけなくなった子豚の授乳を他の母豚に行わせたような場合には、豚の親子関係が分からなくなり、屠殺伍の肉質の成績によって母豚の評価を行う場合に支障が起きるという問題点が新たに発生した。
【0014】
そこで本発明の目的は、生まれた直後の耳殻が柔らかい子豚や山羊、羊などの動物の耳殻を貫通させて耳標を装着しても耳殻上での滑りが防止されることにより、耳殻に耳標を装着した動物の耳殻を傷めることがなく、耳殻の損傷に起因する耳標の脱落の虞がない優れた動物用の耳標を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成する本発明は、少なくとも1枚の札部と軸部とを備え、軸部を動物の耳殻を貫通させて動物に取り付ける動物用の耳標において、少なくとも1枚の札部の、動物の耳殻に対向する面に、動物の耳殻と札部との間のスペースを確保すると共に、札部の動物の耳殻の上における移動を防止することができる滑り止め部を設けたことを特徴とする動物用の耳標である。
【0016】
この場合、耳標が、第1の札部に軸部が突設された雄型耳標と、動物の耳殻を貫通した軸部の先端部が嵌め合わされる雌型耳標とから構成される2ピース型耳標であるときは、滑り止め部を雄型耳標と雌型耳標の動物の耳殻に対向する面の少なくとも一方に設ければ良い。また、耳標が1枚の札部と、この札部に突設された軸部とから構成され、軸部の先端部は、動物の耳殻を貫通した後に、軸部の耳殻からの脱落を防止するために、耳殻に開けられた貫通孔より大きく変形するように構成される1ピース型耳標である場合は、滑り止め部を、札部の動物の耳殻に対向する面に設ければ良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、軸部と札部とを備える耳標において、少なくとも1枚の札部の、動物の耳殻に対向する面に、動物の耳殻と札部との間のスペースを確保すると共に、札部の動物の耳殻の上における移動を防止することができる滑り止め部を設けたことにより、生まれた直後の動物の子供の耳殻を貫通させて耳標を装着した場合、滑り止め部によって軸部が耳殻に対して移動しなくなるので、耳殻に開けた孔が軸部の移動によって大きくならず、耳殻を傷めることなく耳標の脱落を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を用いて本発明の実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。なお、説明を分かりやすくするために、図1、図2で説明した従来の耳標91,92と同じ構成部材については、同じ符号を付して説明する。また、以下に説明する実施例では、動物として子豚を例に挙げて説明する。
【0019】
本発明を成す前に、本発明者は、生後間もない子豚に耳標を装着した場合の耳標の脱落率が大きい原因を調べた。この結果、離乳時の子豚の耳殻に耳標を装着した場合は、子豚の耳殻の組織がほぼ成長した豚の耳殻とそれほど相違なくなっているのに対して、生後間もない子豚の耳殻の内部組織は確立されていないことを見出した。そして、生後間もない子豚の耳殻に耳標を取り付けた孔があると、この孔に少ない力であっても絶えず力がかかり続けると、孔の周囲では内部組織の確立が行われないことが分かった。また一方では、生後直後の子豚の耳殻に小さい孔を開けたとしても、外力が加わらなければ、時間と共にその孔は塞がってしまう優れた再生力があることも分かった。
【0020】
このことから、生後まもない子豚のような耳殻の内部組織が確立されておらず、耳殻が柔らかい場合に耳殻に取り付ける耳標は、耳殻に対して移動を限りなく抑え、耳殻を貫通する軸部から耳殻に対する応力を限りなく少なくすれば良いことを本発明者は見出した。
【0021】
一方、耳殻の内部組織がほぼ確立された離乳時に豚の耳殻に耳標を装着した場合でも、圧迫による血行不良によって耳標を取り付けた耳殻の部分が壊死し、結果として孔が大きくなり耳標が脱落することがあることも分かった。これは、豚の場合、生後6ヶ月程度で体重が100kgを越えてしまい出荷できる状態になるが、この間に耳も成長するので、耳が大きくなるにつれて耳殻の厚さが増すからである。つまり、従来の耳標の様に、耳殻を挟む札と札の間隔が一定のものは、例えば、離乳時の子豚の耳殻に合わせて装着時の耳標の札部と札部の間隔を決定してしまうと、豚の成長によって札が強固に耳殻を押え付けてしまい、血の循環が阻止されて耳殻に壊死が発生するのである。
【0022】
従来のこのような問題点に対して、本発明の動物用の耳標は、生まれた直後の耳殻が柔らかい子豚や山羊、羊などの動物の耳殻を貫通させて耳標を装着しても耳殻上での滑りが防止されることにより、耳殻に耳標を装着した動物の耳殻を傷めることがなく、耳殻の損傷に起因する耳標の脱落の虞がないように案出されたものであり、以下に図4から図8を用いて本発明に係る耳標の構成を、子豚の耳殻を例にとって詳細に説明する。
【0023】
図4(a)は、本発明の第1の実施例に係る2ピース型の耳標10の構成を示すものである。この実施例の2ピース型の豚用の耳標10は、雄型耳標1Mと雌型耳標1Fとから構成されている。雄型耳標1Mには表面に動物の登録番号や拡大された番号が印刷され得る札部2と、この札部2の裏面側に突設された軸部3とがある。軸部3の先端部には、軸部3に対して膨出された後に先細に形成された係止突起3Aが設けられている。また、雌型耳標1Fには同じく表面に動物の登録番号や拡大された番号が印刷され得る札部2と、係止突起3Aを挿通させる貫通孔5、及び係止突起3Aを受け入れて係止する係止突起受入部6(図4(b)参照)がある。
【0024】
更に、この実施例では、雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲に滑り止め部を設けている。滑り止め部は雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲を膨出させて形成することもできるが、一般にはスペーサ部材を使用して滑り止め部を形成する。このようなスペーサ部材として、リング状で柔軟な部材、例えば発泡率の大きいスポンジ11を雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲に配置することができる。
【0025】
スポンジ11の中央部に開ける孔の直径は、雌型耳標1Fの貫通孔5の直径よりも大きくしてある。また、スポンジ11の厚さは、図4(b)に示すように、雄型耳標1Mの係止突起3Aを雌型耳標1Fの貫通孔5に差し込んで、雌型耳標1Fに雄型耳標1Mを取り付けた状態で、耳標10が耳殻に対して動かないようにすれば良い。即ち、スポンジ11と雄型耳標1Mの裏面との間の間隔を、生後間もない子豚の耳殻の厚さ程度になるような値(例えば、約2〜3mmにし、耳標10が耳殻に軽く接触はするが、圧迫はしないようにする。
【0026】
スポンジ11は、雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲の面に接着剤や両面テープで固定することができる。なお、スポンジ11は、接着剤や両面テープで仮止め状態にしておくことも可能である。これは、雌型耳標1Fに子豚の耳殻を挿通させて雄型耳標1Mを取り付けた状態で、スポンジ11が雌型耳標1Fから外れても差し支えないからである。また、スポンジ11を耳標10と別体とすれば、スポンジ11は既成のどの耳標にも取り付けることができ、本発明の耳標とすることができる。
【0027】
以上のように構成された2ピース型の耳標10は、図4(c)に示すように、雄型耳標1Mの軸部3を子豚の耳殻Yを貫通させた後に、その係止突起3Aを雌型耳標1Fの貫通孔5に挿通させ、雌型耳標1Fの貫通孔5の裏面に設けられた係止突起受入部6に保持させることによって、子豚の耳殻Yに取り付けることができる。この状態で、子豚の耳殻Yは、雄型耳標1Mの裏面とスポンジ11に挟まれるが、スポンジ11が柔軟であるので、子豚の耳殻Yはこのスポンジ11によってスポンジ11が移動しない程度に柔らかく押圧されるが、子豚の耳殻Yが耳標10によって強固に圧迫されるわけではない。
【0028】
そして、スポンジ11の直径が軸部3によって耳殻Yに開けられた孔の直径よりも大きく、かつ、スポンジ11によって耳殻Yに対して耳標10が移動し難いので、軸部3が耳殻Yに開けられた孔を圧迫することがなくなり、時間と共に耳殻Yに開けられた孔の傷が治る。また、子豚の成長に伴って耳殻Yの厚さが増えても、柔軟なスポンジ11が収縮するので、耳殻Yが耳標10によって強く圧迫されることがない。なお、このスポンジ11は、0.5mm程度であっても、滑りとめ部がない場合に比べて効果はある。
【0029】
第1の実施例のように、スペーサ部材は雌型の耳標1Fの裏面に装着することが望ましい。これは、2ピース型の耳標10では、雌型耳標1Fの外側に軸部3の係止突起3Aを受け入れるための受入部6があり、この受入部6は耳殻Yの裏側に納める方が良いからである。何故なら、受入部6が耳殻Yの表側にあるとこれが抵抗となり、耳がなにかに挟まったり、または、擦れた際にそれが引っ掛かって脱落の危険が増すためである。
【0030】
一方、雄型耳標1Mは、耳殻1Mに面している方には、軸部3が突設されているが、その反対側は平面である。このため、耳標10は、雄札型耳標1Mが耳殻Yの外側に、また雌型耳標1Fが耳殻Yの内側に来るように耳殻に装着することが望ましいのである。しかしながら、スペース部材は、雄型の耳標1Mの裏面側に取り付けることももちろん可能である。
【0031】
図5(a)は、図4(a)に示した2ピース型の耳標10における本発明の第1の実施例のスペーサ部材11の変形実施例の構成を示すものであり、雌型耳標1Fのみの構成を示している。なお、ここから幾つかの実施例は、雌型耳標1Fの形状が円形であるものを説明している。図4(a)に示したスペーサ部材としてのスポンジ11はリング状であったが、この変形実施例では、スポンジ11の形状が十字型になっている。スポンジ11のその他の構成に相違はない。
【0032】
図5(b)は、図4(a)に示した2ピース型の耳標10における本発明の第1の実施例の別の変形実施例の構成を示すものであり、雌型耳標1Fのみの構成を示している。図4(a)に示したスペーサ部材としてのスポンジ11はリング状であったが、この変形実施例では、スポンジ11の形状及び中央部の孔の形状が矩形になっている。スポンジ11のその他の構成に相違はない。スペーサ11の形状はこれらの形状に限定されるものではない。
【0033】
図5(c)は、2ピース型の耳標10における本発明の第2の実施例の構成を示すものであり、雌型耳標1Fのみの構成を示している。第2の実施例では、スペーサ部材として、第1の実施例のスポンジ11の代わりに、雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲の部分にブラシ状部12が設けられている。ブラシ状部12は、諸種の獣毛、植物繊維、合成樹脂などを、雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲の部分に多数植え付けたものである。ブラシ状部12の毛足の長さは、第1の実施例のスポンジ11の厚さと同程度とすれば良い(但し、0.5mm程度でも効果はある)。このブラシ状部12も耳殻Yに対して装着後の耳標10を移動し難くする。また、ブラシ状部12が合成樹脂製である場合には、耳標の成型時に同時に形成することができる。
【0034】
図5(d)、(e)及び(f)は、2ピース型の耳標10における本発明の第3から第5の実施例の構成を示すものであり、雌型耳標1Fのみの構成を示している。図5(d)に示す第3の実施例では、スペーサ部材として第1の実施例のスポンジ11の代わりに、雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲の部分に、複数個の小さなコイルスプリング13が取り付けられている。コイルスプリング13はこの実施例では円周上に均等に配置され、その高さは第1の実施例のスポンジ11の厚さと同程度となっている。このコイルスプリング13も耳殻Yに対して装着後の耳標10を移動し難くする。
【0035】
コイルスプリング13の個数は4個に限定されるものではなく、最低1個あれば良い。1個の場合は、雌型耳標1Fが子豚の耳殻に対して傾くが、この状態でも耳殻に開けられた孔と雌型耳標1Fとの間にスペースが確保されるので、効果がある。
【0036】
図5(e)に示す第4の実施例では、スペーサ部材として第1の実施例のスポンジ11の代わりに、雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲の部分に大きな1つのコイルスプリング14が取り付けられている。また、図5(f)に示す第5の実施例では、スペーサ部材として第1の実施例のスポンジ11の代わりに、雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲の部分に複数個の板ばね15が取り付けられている。板ばね15はこの実施例では円周上に均等に配置されており、板ばね15の先端部の札部4からの高さは第1の実施例のスポンジ11の厚さと同程度となっている。このコイルスプリング14も板ばね15も耳殻Yに対して装着後の耳標10を移動し難くする。板ばね15の個数は前述のように1個でも良い。
【0037】
図6(a)、(b)は、2ピース型の耳標10における本発明の第6と第7の実施例の構成を示すものであり、雌型耳標1Fのみの構成を示している。第6の実施例では、スペーサ部材として第1の実施例のスポンジ11の代わりに、雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲の部分に複数個の球状のボール16が設けられている。また、第7の実施例では、スペーサ部材として第1の実施例のスポンジ11の代わりに、雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲の部分に複数個の半球状のドーム17が設けられている。
【0038】
このボール16とドーム17の材料は柔らかい材質の合成樹脂であり、ボール16とドーム17は肉厚を薄くしたこの樹脂により中空で弾力性を備えた風船のような状態に形成されている。ボール16とドーム17は、この実施例では面を支持できるように雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲に均等に配置されているが、ボール16とドーム17の個数は前述のように1個でも良い。ボール16とドーム17の高さは第1の実施例のスポンジ11の厚さと同程度とすれば良い。このボール16とドーム17も耳殻Yに対して装着後の耳標10を移動し難くする。なお、ボール16とドーム17は、札部4と同じ材質で構成し、一体成型で作ることもできる。
【0039】
更に、このようなボール16とドーム17は、2週間程度の短時間でしぼんだり、分解するように構成しても良い。これは、子豚の耳殻が柔らかく、耳標によって損傷を受ける期間は生後2週間程度であり、以後は耳標が直接耳殻に触れたり、耳標の軸が移動しても構わないからである。
【0040】
図6(c)は、2ピース型の耳標10における本発明の第8の実施例の構成を示すものであり、雌型耳標1Fのみの構成を示している。第8の実施例では、雌型耳標1Fの外縁部18を柔軟な合成樹脂で形成すると共に、雄型耳標1Mの方向に折り曲げてスペーサ部材としている。この結果、雌型耳標1Fの外縁部18が雄型耳標1M側から応力を受けると撓んで変形することになる。雌型耳標1Fの外縁部18の札部4からの高さは第1の実施例のスポンジ11の厚さと同程度とすれば良い。この雌型耳標1Fの外縁部18も耳殻Yに対して装着後の耳標10を移動し難くする。
【0041】
図6(d)は2ピース型の耳標10における本発明の第9の実施例の構成を示すものであり、雌型耳標1Fのみの構成を示している。第9の実施例では、スペーサ部材として第1の実施例のスポンジ11の代わりに、雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲から雌型耳標1Fの外縁部18に向かって、断面が三角形状の突起19が放射状に設けられている。突起19の断面は、雌型耳標1Fの貫通孔5に近い部分が最も小さく、外縁部18に向かって次第に大きくなる。
【0042】
この突起19の雌型耳標1Fの外縁部18における高さは第1の実施例のスポンジ11の厚さと同程度とすれば良い。突起19は札部4と同じ材料で形成しても良いが、突起19の部分のみ、柔軟な合成樹脂で形成しても良い。この突起19により、耳殻Yに対して装着後の耳標10が移動し難くなる。また、突起19は均等に配置されていなくても良く、更に、突起19の数も前述のように少なくとも1個あれば良い。
【0043】
図6(e)、(f)は2ピース型の耳標10における本発明の第10と第11の実施例の構成を示すものであり、雌型耳標1Fのみの構成を示している。第10の実施例は、図5(e)に示した第4の実施例と同様に、雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲の部分に、平板を螺旋状にした大きな1つの平板コイルばね20が取り付けられている。
【0044】
また、図6(f)に示す第11の実施例では、スペーサ部材として第1の実施例のスポンジ11の代わりに、雌型耳標1Fの貫通孔5の周囲の部分に、金属ワイヤや合成樹脂製のワイヤを網目状に丸めたワイヤウールを、リング状に形成したワイヤウールリング21が取り付けられている。平板コイルばね20高さ、及びワイヤウールリング21の厚さは、第1の実施例のスポンジ11の厚さと同程度とすれば良い。この平板コイルばね20高さ、及びワイヤウールリング21も耳殻Yに対して装着後の耳標10を移動し難くする。なお、金属ウールリング21の場合、前述のように、金属ウールが錆びて、2週間程度で消えてしまっても良い。
【0045】
図7(a)は、1ピース型の豚用の耳標30における本発明の第1の実施例の構成を示すものである。1ピース型の豚用の耳標30は、表面に動物の登録番号や拡大された番号が印刷され得る札部7と、この札部7の裏面側に突設された軸部8とから構成されている。軸部8は柔軟性を備えており、その先端部には軸部8に対して直交する方向に膨出された係止部8Aが設けられている。係止部8Aの一端は先細に形成されている。
【0046】
更に、この実施例では、札部7の軸部8の突設位置の周囲に、スペーサ部材として、図4(a)で説明したリング状で柔軟な部材と同じ部材、例えばスポンジ11を配置している。スポンジ11の中央部に開ける孔の直径は、軸部8の直径よりも大きくしてある。また、スポンジ11の厚さは、この耳標30を子豚の耳殻に取り付けた状態で、スポンジ11の表面が耳殻に触れる程度の値にすれば良い。
【0047】
スポンジ11は、札部7の軸部8の突設部の周囲の面に接着剤や両面テープで固定することができる。なお、スポンジ11は、接着剤や両面テープで仮止め状態にしておくことも可能である。これは、軸部8を子豚の耳殻を挿通させて耳殻に取り付けた状態で、スポンジ11が札部8から外れても差し支えないからである。
【0048】
以上のように構成された1ピース型の耳標30は、図7(b)に示すように、柔軟な軸部8を変形させ、係止部8Aの先細部を子豚の耳殻Yの方向に向け、子豚の耳殻Yを貫通させた後に、軸部8を元に戻せば、図7(c)に示すように、係止部8Aが軸部8に対して直交するので、係止部8Aが子豚の耳殻Yを通り抜けられなくなり、子豚の耳殻Yに取り付けられる。この状態で、子豚の耳殻Yは係止部8Aとスポンジ11に挟まれるが、スポンジ11が柔軟であるので、子豚の耳殻Yが耳標30によって圧迫されることがない。
【0049】
そして、スポンジ11の直径が軸部8によって耳殻Yに開けられた孔の直径よりも大きく、かつ、スポンジ11によって耳殻Yに対して耳標30が移動し難いので、軸部8が耳殻Yに開けられた孔を圧迫することがなくなり、時間と共に耳殻Yに開けられた孔の傷が治る。また、子豚の成長に伴って耳殻Yの厚さが増えても、柔軟なスポンジ11が収縮するので、耳殻Yが耳標30によって圧迫されることがない。
【0050】
この1ピース型の耳標30に対しても、2ピース型耳標10の第2から第11の実施例の構造を、耳標30の札部7に適用することが可能である。
【0051】
図8(a)から(c)は、2ピース型の耳標10における本発明の第12の実施例の構成を示すものである。図8(a)に示すように、第12の実施例では、雄型耳標1Mの札部2に突設された軸部3に蛇腹状のベローズ22を取り付けたものである。ベローズ22は柔軟な合成樹脂から構成された中空の部材であり、軸部3には固定されていない。雌型耳標1Fの構成は従来のものと同じで良いのでここでは説明しない。ベローズ22の軸方向の長さは、図8(b)に示すように、雄型耳標1Mの係止突起3Aを子豚の耳殻Yを挿通した後に雌型耳標1Fの貫通孔5に差し込んだ状態で、ベローズ22が子豚の耳殻Yに軽く触れる程度になるような値にすれば良い。
【0052】
以上のように構成された第12の実施例の2ピース型の耳標10は、図8(c)に示すように、図8(b)に示す状態から子豚が成長して耳殻Yの肉厚が増した場合、ベローズ22が圧縮されて縮むので、成長した子豚の耳殻Yが耳標10によって圧迫されることがない。
【0053】
図8(d)、(e)は2ピース型の耳標10における本発明の第13の実施例の構成を示すものであり、雄型耳標1Mのみの構成を示している。第13の実施例では、雌型耳標1Fとして、前述の2ピース型の耳標10における本発明の第1から第11の実施例の構成の何れかを使用することができる。第13の実施例では、雄型耳標1Mの軸部3が蛇腹構造を備えたベローズ軸23となっている点が第1から第11の実施例における軸部3の構成と異なる。
【0054】
図8(d)に示す状態が、第13の実施例のベローズ軸23が最も縮んだ状態であり、ベローズ軸23はこれ以上には縮まない。そして、図8(d)に示す状態が、ベローズ構造を持たない通常の雄型耳標1Mの軸部3の長さと同じになっている。第13の実施例では、図8(b)、(c)で説明したように、子豚が成長して耳殻Yの肉厚が増した場合、耳殻Yによって札部2が押されるとベローズ軸23が伸びる。この結果、雌型耳標1Fにおける、スペーサ部材11〜21の収縮とベローズ軸23の伸長効果によって、成長した子豚の耳殻Yが耳標10によって圧迫されることがない。
【0055】
図8(f)、(g)は2ピース型の耳標10における本発明の第14の実施例の構成を示すものであり、雄型耳標1Mのみの構成を示している。第14の実施例では、雌型耳標1Fとして、前述の2ピース型の耳標10における本発明の第1から第11の実施例の構成の何れかを使用することができる。第14の実施例では、雄型耳標1Mの軸部3が伸縮可能なテレスコピック軸24となっている点が第1から第11の実施例における軸部3の構成と異なる。
【0056】
図8(f)に示す状態が、第14の実施例のテレスコピック軸24が最も縮んだ状態であり、テレスコピック軸24はこれ以上には縮まない。そして、図8(g)に示す状態が、伸縮構造を持たない通常の雄型耳標1Mの軸部3の長さと同じになっている。第14の実施例では、図8(b)、(c)で説明したように、子豚が成長して耳殻Yの肉厚が増した場合、耳殻Yによって札部2が押されるとテレスコピック軸24が伸びる。この結果、雌型耳標1Fにおける、スペーサ部材11〜21の収縮とテレスコピック軸24の伸長効果によって、成長した子豚の耳殻Yが耳標10によって圧迫されることがない。
【0057】
以上、図8を用いて雄型耳標1Mの軸部3の伸縮機構について説明したが、図10(c)に示すように、雄型耳標1Mの軸部3の長さを半分程度の長さとし、係止突起3Aと軸部3とを弛ませた状態の紐25で接続した後に、係止突起3Aと軸部3を樹脂蝋(ワックス)26で固めた構成も可能である。紐25の長さは樹脂蝋26で形成した軸部の長さよりも長いので、樹脂蝋26が溶けた時に紐25が図10(d)に示すように伸び、軸部3が伸びるように構成することも可能である。
【0058】
更に、図10(e)は、雄型耳標1Mの軸部3を全て樹脂蝋26で構成し、この樹脂蝋26の中に、係止突起3Aと軸部3とを接続する軸長よりも長い紐26を埋め込んだ実施例を示している。紐25の長さは樹脂蝋26で形成した軸部3の長さよりも長いので、樹脂蝋26が溶けた時に紐25が図10(f)に示すように伸び、軸部3が伸びるように構成することも可能である。
【0059】
図9は、2ピース型の耳標10と1ピース型の耳標30に共通に使用することができるスペーサ部材40の構成を示すものである。以前に説明した実施例では、スペーサ部材11〜21は、軸部3の周囲に設けるものであったが、図9(a)で説明するスペーサ部材40は、図9(b)に示すように、雄型耳標1Mの札部2の周縁部、または雌型耳標1Fの札部4の周縁部に取り付けるように構成されたものである。スペーサ部材40はスポンジのような柔軟な材料で構成されたリング状の部材であり、その内周部には、札部2,4の外形に合わせた溝41を備えている。
【0060】
この実施例のスペーサ部材40は、図9(b)に示すように溝41の中に雄型耳標1Mの札部2の周縁部と雌型耳標1Fの札部4の周縁部を挿入することによって、雄型耳標1Mと雌型耳標1Fに取り付けることができる。従って、この実施例のスペーサ部材40は1ピース型の耳標にも取り付けることが可能である。
【0061】
更に、前述の実施例におけるスペーサ部材は、時間の経過によって朽ちて消滅するような部材で構成することもできる。また、スペーサ部材の中に、RFID(無線認証)タグのような通信装置を埋め込んでおくことも可能である。
【0062】
更にまた、スペーサ部材の中にRFIDのような通信装置を埋め込むのではなく、図9で説明した実施例のスペーサ部材40を利用することができる。例えば、孔43を備え、この孔43を耳標の軸部に取り付け可能な、図10(a)に示すようなRFIDタグ42の縁部に、図9(a)で説明したスペーサ部材を、図10(b)に示すように被せることによって、RFID42を軸部に装着した1ピース型の耳標、又は2ピース型の耳標を、子豚の耳殻に取り付けることが可能となる。
【0063】
以上、本発明の実施例の耳標を、生後間もない時期の耳殻が柔らかい、子豚の耳殻に取り付ける場合について詳細に説明したが、本発明の動物用の耳標は、子豚以外の、生後間もない時期の耳殻が柔らかい動物、例えば、山羊や羊の耳殻に取り付けても効果があることは言うまでもない。
【0064】
これらに加えて、本発明のスペーサ部材11,16,17などでは、スポンジに消炎剤や化膿止めの薬剤を浸み込ませたり、内蔵させておけば、装着後にこれらの薬剤が耳殻に開けられた貫通孔の炎症を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】(a)は従来の2ピース型の動物用の耳標の構成を示す組立斜視図、(b)は(a)に示した2ピース型の耳標の動物の耳殻への装着を説明する説明図である。
【図2】(a)は従来の1ピース型の動物用の耳標の構成を示す斜視図、(b)は(a)に示した1ピース型の耳標の動物の耳殻への装着前の状態を示す説明図、(c)は(a)に示した1ピース型の耳標の動物の耳殻への装着後の状態を示す説明図である。
【図3】(a)は生後間もない子豚の耳殻の状態と、この耳殻への2ピース型耳標の取り付けを説明する説明図、(b)は離乳時期頃の子豚の耳殻の状態を示す斜視図である。
【図4】(a)は2ピース型の耳標における本発明の第1の実施例の構成を示す組み立て斜視図、(b)は(a)に示した2ピース型の耳標の生後間もない動物の耳殻への装着を説明する説明図、(c)は(a)に示した2ピース型の耳標の生後間もない動物の耳殻への装着状態を説明する説明図である。
【図5】(a)は図4(a)に示した2ピース型の耳標における本発明の第1の実施例の変形実施例の構成を示す雌型耳標の斜視図、(b)は図4(a)に示した2ピース型の耳標における本発明の第1の実施例の別の変形実施例の構成を示す雌型耳標の斜視図、(c)は2ピース型の耳標における本発明の第2の実施例の雌型耳標の構成を示す斜視図、(d)は2ピース型の耳標における本発明の第3の実施例の雌型耳標の構成を示す斜視図、(e)は2ピース型の耳標における本発明の第4の実施例の雌型耳標の構成を示す斜視図、(f)は2ピース型の耳標における本発明の第5の実施例の雌型耳標の構成を示す斜視図である。
【図6】(a)は2ピース型の耳標における本発明の第6の実施例の雌型耳標の構成を示す斜視図、(b)は2ピース型の耳標における本発明の第7の実施例の雌型耳標の構成を示す斜視図、(c)は2ピース型の耳標における本発明の第8の実施例の雌型耳標の構成を示す断面図、(d)は2ピース型の耳標における本発明の第9の実施例の雌型耳標の構成を示す斜視図、(e)は2ピース型の耳標における本発明の第10の実施例の雌型耳標の構成を示す斜視図、(f)は2ピース型の耳標における本発明の第11の実施例の雌型耳標の構成を示す斜視図である。
【図7】(a)は1ピース型の耳標における本発明の第1の実施例の耳標の構成を示す斜視図、(b)は(a)に示した1ピース型の耳標の生後間もない動物の耳への装着を説明する説明図、(c)は(a)に示した1ピース型の耳標の生後間もない動物の耳への装着状態を説明する説明図である。
【図8】(a)は2ピース型の耳標における本発明の第12の実施例の耳標の構成を示す側断面図、(b)は(a)の2ピース型の耳標を生後間もない子豚の耳に装着した状態を示す側断面図、(c)は(b)に示した動物が成長して耳殻の厚さが増大した場合の第12の実施例の雄型耳標の変形を説明する側断面図、(d)は2ピース型の耳標における本発明の第13の実施例の雄型耳標の構成を示す側面図、(e)は動物が成長して耳殻の厚さが増大した場合の(d)に示した雄型耳標の変形を説明する側面図、(f)は2ピース型の耳標における本発明の第14の実施例の雄型耳標の構成を示す側面図、(g)は動物が成長して耳殻の厚さが増大した場合の(f)に示した雄型耳標の変形を説明する側面図である。
【図9】(a)は1ピース型の耳標と2ピース型の耳標の縁部に被せて使用することができるスペーサ部材の構成を2ピース型の耳標と共に示す斜視図、(b)は(a)のスペーサ部材を2ピース型の雌型耳標と雄型耳標の両方に取り付けた状態を説明する側断面図である。
【図10】(a)は図9で説明したスペーサ部材をRFIDに取り付けた状態を示す斜視図、(b)は(a)に示したスペーサ部材をRFIDに取り付けた状態を示す断面図、(c)は2ピース型の耳標における本発明の第15の実施例の雄型耳標の構成を示す側面図、(d)は(c)に示した耳標の軸部を構成する樹脂蝋が溶けた時の第15の実施例の雄型耳標の変形を説明する側面図、(e)は2ピース型の耳標における本発明の第16の実施例の雄型耳標の構成を示す側面図、(f)は(e)に示した耳標の軸部を構成する樹脂蝋が溶けた時の第15の実施例の雄型耳標の変形を説明する側面図である。
【符号の説明】
【0066】
1F 雌型耳標
1M 雄型耳標
2,4,7 札部
3、8 軸部
3A、8A 係止突起
5 貫通孔
10 本発明の2ピース型耳標
11 スポンジ
12 ブラシ状部
13、14 コイルスプリング
15 板ばね
16 ボール
17 ドーム
18 外縁部
19 突起
20 平板コイルばね
21 ワイヤウールリング
22 ベローズ
23 ベローズ軸
24 テレスコピック軸
25 紐
26 樹脂蝋(ワックス)
30 本発明の1ピース型耳標
40 スペーサ部材
41 溝
42 RFID

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚の札部と軸部とを備え、前記軸部を動物の耳殻を貫通させて動物に取り付ける動物用の耳標において、
少なくとも1枚の前記札部の、前記動物の耳殻に対向する面に、前記動物の耳殻と前記札部との間のスペースを確保すると共に、前記札部の前記動物の耳殻の上における移動を防止することができる滑り止め部を設けたことを特徴とする動物用の耳標。
【請求項2】
前記耳標が、前記札部に前記軸部が突設された雄型耳標と、前記動物の耳殻を貫通した前記軸部の先端部が嵌め合わされる雌型耳標とから構成される2ピース型耳標であり、
前記滑り止め部を、前記雄型耳標と前記雌型耳標の前記動物の耳殻に対向する面の少なくとも一方に設けたことを特徴とする請求項1に記載の動物用の耳標。
【請求項3】
前記耳標が、1枚の札部と、この札部に突設された軸部とから構成され、前記軸部の先端部は、前記動物の耳殻を貫通した後に、前記軸部の前記耳殻からの脱落を防止するために、前記耳殻に開けられた貫通孔より大きく変形するように構成される1ピース型耳標であり、
前記滑り止め部を、前記札部の前記動物の耳殻に対向する面に設けたことを特徴とする請求項1に記載の動物用の耳標。
【請求項4】
前記滑り止め部が、前記札部に固着、或いは一体的に設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の動物用の耳標。
【請求項5】
前記滑り止め部がスペーサ部材から構成され、該スペーサ部材は前記軸部の周りに隙間を持って取り付けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の動物用の耳標。
【請求項6】
前記滑り止め部が、内周部に円周溝を備えたリング状のスペーサ部材から構成され、該スペーサ部材は、前記円周溝が前記札部の縁部に嵌めこまれて取り付けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の動物用の耳標。
【請求項7】
前記滑り止め部が、所定の厚さを備えた柔軟な発泡部材から構成されていることを特徴とする請求項4から6の何れか1項に記載の動物用の耳標。
【請求項8】
前記滑り止め部が、所定の高さを備えた毛部材が植毛されたブラシであることを特徴とする請求項4に記載の動物用の耳標。
【請求項9】
前記滑り止め部がスペーサ部材から構成され、該スペーサ部材は所定の高さを備えたばね性を備えたバネ部材から構成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の動物用の耳標。
【請求項10】
前記滑り止め部が、所定の直径を備えた中空の部材から構成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の動物用の耳標。
【請求項11】
前記滑り止め部が、前記札部の外周部の周縁部を動物の耳殻側に変形させて設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の動物用の耳標。
【請求項12】
前記滑り止め部が、前記耳殻が成長に伴ってその肉厚が増した時に、前記軸部の軸方向に変形して収縮することを特徴とする請求項5に記載の動物用の耳標。
【請求項13】
前記軸部が、伸長可能に構成されており、前記耳殻が成長に伴ってその肉厚が増した時に、前記軸部の軸方向に変形して伸長することを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の動物用の耳標。
【請求項14】
前記滑り止め部が、前記耳標の動物への装着後、その滑り止め機能を少なくとも所定の期間だけ維持する部材から構成されていることを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の動物用の耳標。
【請求項15】
前記滑り止め部が、時間の経過に伴って朽ちて消滅する部材によって構成されていることを特徴とする請求項14に記載の動物用の耳標。
【請求項16】
前記滑り止め部がスペーサ部材から構成され、該スペーサ部材は内部にRFIDを包含することを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の動物用の耳標。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−124940(P2009−124940A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299537(P2007−299537)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000105844)サージミヤワキ株式会社 (7)