説明

動物用トイレ砂

【課題】排泄された尿からのアンモニアの発生量が少ない動物用トイレ砂を提供すること。
【解決手段】複数の粒状物を含む動物用トイレ砂であって、複数の粒状物それぞれは、無機多孔質材料からなる粒子群と、シリカゲルと、該粒子群及びシリカゲルを一体的に固定する無機バインダーと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、猫や犬等の動物のトイレ用の敷材として使用される動物用トイレ砂に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内で飼われている猫や犬等の動物用トイレとして、プラスチック製の容器にいわゆる「猫砂」と呼ばれる粒状物からなるトイレ砂が入れられたものが知られている。動物が排泄した尿等は、このようなトイレ砂によって吸収される。飼い主は、この尿や便で汚れたトイレ砂を便等と一緒に容器から取り除き、取り除いた分に応じて新しいトイレ砂を補充する。しかし、猫は排泄後にトイレ砂を足でかき混ぜる習性があり、尿や便等が付着したトイレ砂が足に付着してしまうことがある。しかも、汚れたトイレ砂が拡散されてしまうため、汚れた部分のみを完全に除去することは困難である。
【0003】
このような問題を解決するものとして、トイレ砂として撥水性を有する粒状物を用い、尿等の水分を吸収する吸液シートの上に該トイレ砂を敷くタイプの動物用トイレや、吸液シートの上にスノコ等を介して該トイレ砂を敷くタイプの動物用トイレも知られている。このようなトイレによれば、動物が排泄した尿は、撥水性の粒状物を透過して吸液シートに吸収されるため、臭いの発生を抑制できると共に、トイレ砂の交換頻度を減らすことができ、飼い主の労力が軽減される。
このようなトイレに使用される動物用トイレ砂として、ゼオライト、セピオライト又はアタパルジャイトの粒子をセメントで固化してなり、撥水処理が施された複数の粒状物からなるものが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−246797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の動物用トイレ砂においては、排泄された尿からのアンモニアの発生が多く、悪臭の原因となっていた。
【0005】
従って、本発明の目的は、排泄された尿からのアンモニアの発生量が少ない動物用トイレ砂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、トイレ砂として、無機多孔質材料の粒子群、シリカゲル及び無機バインダーを含む粒状物を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0007】
(1)複数の粒状物を含む動物用トイレ砂であって、前記複数の粒状物それぞれは、無機多孔質材料からなる粒子群と、シリカゲルと、該粒子群及び該シリカゲルを一体的に固定する無機バインダーと、を含む動物用トイレ砂。
【0008】
(2)前記無機バインダーがセメントである(1)記載の動物用トイレ。
【0009】
(3)前記無機バインダーは、セメントと非セメント系固化剤との混合物である(1)記載の動物用トイレ砂。
【0010】
(4)前記非セメント系固化剤は、硫酸カルシウム及び酸化マグネシウムを主成分とする水硬化性固化剤である(3)記載の動物用トイレ砂。
【0011】
(5)前記無機多孔質材料が、ゼオライト、アタパルジャイト、セピオライト、珪藻土及び珪藻頁岩からなる群より選択される少なくとも一種である(1)〜(4)のいずれかに記載の動物用トイレ砂。
【0012】
(6)前記セメントが低アルカリセメントである(2)又は(3)記載の動物用トイレ砂。
【0013】
(7)前記複数の粒状物は、前記無機バインダーの含有量が5〜30質量%であり、前記シリカゲルの含有量が3〜20質量%である(1)〜(6)のいずれかに記載の動物用トイレ砂。
【0014】
(8)前記複数の粒状物は撥水処理が施されている(1)〜(7)のいずれかに記載の動物用トイレ砂。
【0015】
(9)前記粒状物は香料を含有する(1)〜(8)のいずれかに記載の動物用トイレ砂。
【0016】
(10)前記粒状物は、該粒状物の平均粒pHが12以下である(1)〜(9)のいずれかに記載の動物用トイレ砂。
【0017】
(11)前記粒状物は、該粒状物の平均粒強度が30N以上である(1)〜(10)のいずれかに記載の動物用トイレ砂。
【0018】
(12)前記粒状物は、該粒状物の形状が、平均粒径4〜7mm、平均粒長6〜15mmの円柱状である(1)〜(11)のいずれかに記載の動物用トイレ砂。
【発明の効果】
【0019】
本発明の動物用トイレ砂によれば、排泄された尿からのアンモニアの発生量を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。本発明の動物用トイレ砂は複数の粒状物を含むものである。
【0021】
本発明における粒状物は、無機多孔質材料の粒子群及びシリカゲルを主体として構成されており、多数の該無機多孔質材料の粒子及びシリカゲルが、無機バインダーによって一体的に固定されて形成されている。
本発明に用いられる無機多孔質材料としては、ゼオライト、セピオライト、アタパルジャイト、珪藻土、珪藻頁岩等が挙げられる。本発明においては、これらのうちの一種類を用いることができ、また、二種類以上を混合して用いることもできる。無機多孔質材料は、アンモニア等の臭いを吸着する性質を有しているため、該無機多孔質材料の粒子を主体として粒状物を構成することにより、消臭性能に優れた動物用トイレ砂を得ることができる。
【0022】
無機多孔質材料の粒子は、該粒子から形成される粒状物の強度を強くする観点から、その粒径が小さい物を用いることが好ましい。具体的には、本発明に用いる無機多孔質材料の粒子の粒径は、好ましくは300μm以下、更に好ましくは200μm以下、最も好ましくは100μm以下である。
【0023】
本発明における粒状物中の無機多孔質材料の粒子の含有量は、好ましくは50〜95質量%、更に好ましくは70〜90質量%である。無機多孔質材料の粒子の含有量が50質量%未満の場合には、粒状物の消臭効果が低下するおそれがある。また、無機多孔質材料の粒子の含有量が95質量%よりも多い場合には、粒状物が十分な強度を得られないおそれがある。
【0024】
本発明における粒状物は、無機多孔質材料の粒子に加えて、シリカゲルを含有している。シリカゲルは、アンモニア等の臭い成分を吸着する性質を有し、このシリカゲルによるアンモニアの吸収効果によって、本発明の動物用トイレ砂における粒状物は、排泄された尿からのアンモニアの発生を抑制することができる。
【0025】
本発明において用いられるシリカゲルとしては、A型シリカゲル、B型シリカゲル、及びC型シリカゲルのいずれも用いることができるが、細孔が多くアンモニアや水の吸着容量に優れる点から、C型シリカゲルを用いることが好ましい。
本発明における粒状物中のシリカゲルの含有量は、好ましくは3〜20質量%、更に好ましくは5〜15%である。シリカゲルの含有量が3%未満の場合には、排泄された尿からのアンモニアの発生を抑制する効果が低下するおそれがある。また、シリカゲルの含有量が20質量%よりも多い場合には、粒状物が十分な強度を得られないおそれがある。
【0026】
本発明に用いられる無機バインダーとしては、セメントを用いることが好ましい。
尚、本明細書において、セメントとは、ケイ酸カルシウムを主成分とし、水と反応(水和)して硬化する固化剤をいう。セメントとしては、ポルトランドセメントやホワイトセメント等が挙げられる。本発明の動物用トイレ砂における粒状物は、無機バインダーとしてセメントを用いることで、その強度を高めることができる。
【0027】
また、セメントとして、低アルカリセメントを用いることも好ましい。低アルカリセメントとは、セメント中に含まれるアルカリ金属(Na、K)が所定の含有量以下に調整されたものである。低アルカリセメントを用いることにより、粒状物のpHを低くすることができる。粒状物のpHを低くすることにより、トイレを使用する動物の足等への負担を低減することができる。
【0028】
本発明に用いられる無機バインダーとしては、セメントと非セメント系固化剤との混合物を用いることも好ましい。
ここで、非セメント系固化剤とは、セメント以外の固化剤、即ち、ケイ酸カルシウムを主成分としていない固化剤をいう。
【0029】
非セメント系固化剤としては、ドロマイト、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。本発明においては、非セメント系固化剤として、硫酸カルシウム及び酸化マグネシウムを主成分とする水硬化性の固化剤を用いることが好ましい。尚、水硬化性の固化剤とは、水と反応(水和)して硬化する固化剤をいう。
無機バインダーとして、セメントに加えこれらの非セメント系固化剤を用いることにより、本発明の動物用トイレにおける粒状物は、pHを低下させることができ、トイレを使用する動物の足等への負担を低減することができると共に、排泄された尿からのアンモニアの発生を抑制することもできる。これは、粒状物のpHを低くすることにより、尿と粒状物が接触した際に、尿からのアンモニアの遊離反応が起こりにくくなるためであると考えられる。
特に、硫酸カルシウム及び酸化マグネシウムを主成分とする水硬化性の固化剤は、ほぼ中性の性質を示し、該固化剤の硬化時に生成される水酸化マグネシウムも弱塩基性のものである。従って、非セメント系固化剤として硫酸カルシウム及び酸化マグネシウムを主成分とする水硬化性の固化剤を用いることにより、上述したpHの低下効果やアンモニアの発生抑制効果を向上させることができる。
【0030】
硫酸カルシウム及び酸化マグネシウムを主成分とする水硬化性の固化剤中における硫酸カルシウムの含有量は、好ましくは50〜95質量%、酸化マグネシウムの含有量は、好ましくは5〜50質量%である。尚、ここで硫酸カルシウムの含有量は、無水物に換算した場合における含有量を示す。
本発明における硫酸カルシウム及び酸化マグネシウムを主成分とする水硬化性の固化剤は、硫酸カルシウム及び酸化マグネシウム以外の成分を含有していてもよい。このような成分としては、硬化促進剤や他の金属酸化物が挙げられる。硬化促進剤としては、バリウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、リン等の塩化物、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩等の無機塩類が挙げられる。他の金属酸化物としては、バリウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、リン、アルミニウム、ケイ素、鉄等の酸化物が挙げられる。硫酸カルシウム及び酸化マグネシウムを主成分とする水硬化性の固化剤中における硫酸カルシウム及び酸化マグネシウム以外の成分の含有量は、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0031】
本発明において、粒状物中における無機バインダーの含有量は、好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%である。無機バインダー全体の含有量が5質量%未満の場合には、粒状物が十分な強度を得られないおそれがある。また、無機バインダー全体の含有量が30質量%よりも多い場合には、粒状物の消臭効果が低下するおそれがある。
また、無機バインダー中におけるセメントの含有量は、好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。セメントの含有量が40質量%未満の場合には、粒状物が十分な強度を得られないおそれがある。
【0032】
本発明における粒状物は、撥水処理が施されていることが好ましい。粒状物に撥水処理を施すことにより、粒状物の液透過率が向上する。また、粒状物に尿等の液体が吸収されにくくなり、粒状物の寿命を伸ばすことができる。更に、粒状物への液残りが低減され、臭いの発生を低減させることもできる。
撥水処理は、例えば粒状物の表面に撥水剤をスプレー塗布することにより行うことができる。撥水剤としては、パラフィンワックス等のワックス系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができる。
粒状物の表面に撥水剤を塗布する場合、その塗布量は、粒状物の質量に対して、好ましくは0.05〜1質量%、更に好ましくは0.1〜0.5質量%である。
【0033】
本発明における粒状物は、香料を含有していることも好ましい。香料のマスキング効果により、尿や糞等の臭いを抑えることができる。香料としては、例えばゲランオール、シトロネロール、シトラール、オイゲノール、フェネチルアルコール、チモール、リナロール、青葉アルコール、メントール、ベンジルアルコール等のアルコール類や、ヘキシルシンナムアルデヒド等のアルデヒド類が好ましく用いられる。
【0034】
本発明における粒状物は、球状、円柱状等、その造粒形状に特に制限はないが、使用時に飛び散りの少ないトイレ砂を得る観点から円柱状に造粒することが好ましい。
本発明における粒状物は、例えば、ディスクペレッター、ブリケットマシーン、打錠機等を用いて造粒することができる。その中でもディスクペレッターを用いて造粒することが好ましい。
【0035】
また、粒状物を円柱状に造粒する場合、該粒状物の平均粒径(円柱形状の底面の直径)は、好ましくは4〜7mm、更に好ましくは5.5〜6.5mmである。粒状物の平均粒長(円柱形状の高さ)は、好ましくは6〜15mm、更に好ましくは8〜12mmである。
この場合、平均粒径は、粒状物20粒の粒径を測定し、その平均値とする。また、平均粒長は、粒状物50粒の粒長を測定し、その平均値とする。
【0036】
本発明における粒状物は、その平均粒pHが12以下であることが好ましい。粒状物の平均粒pHを12以下とすることにより、上述したように、動物の足等への負荷を低減することができると共に、アンモニアの発生を抑制することができる。
粒状物の平均粒pHは、以下の〔pH測定方法〕に従って測定することができる。
【0037】
〔pH測定方法〕
粒状物を粉砕し、80メッシュの篩にかけて篩を通過したものを試験サンプルとする。
試験サンプル1gに対し、2.5mlの蒸留水を滴下し、軽く撹拌後、静置する。
30分後に、pHメーター(HANNA instruments社製、Skincheck)にて、試験サンプルのpHを測定する。
【0038】
本発明における粒状物は、その平均粒強度が、好ましくは30N以上、更に好ましくは50N以上である。平均粒強度が30N未満であると、使用時に粒状物が割れてトイレ砂の飛び散りが生じやすくなるおそれがある。
粒状物の平均粒強度は以下の〔粒強度の測定方法〕に従って測定される。
【0039】
〔粒強度の測定方法〕
粒状物を、室温25度、湿度60%の雰囲気下において24時間以上放置したものを試験サンプルとして用いる。
試験サンプルの粒状物は、手動ハンドル式デジタルフォースゲージスタンド(日本電産シンポ株式会社製、FGS−50H)の測定テーブル上に載置する。
デジタルフォースゲージ(日本電産シンポ株式会社製、FGN−50B)を前記デジタルフォースゲージスタンドに取り付け、該デジタルフォースゲージの計測アダプタ(出張り形状:山形70度)の先端が粒状物に当接するようにセットする。
手動でハンドルをゆっくりと回し、計測アダプタで粒状物を圧縮する。粒状物が割れた時点の強度を粒強度測定値とする。
測定は、10点行い、その平均値を平均粒強度とする。
尚、粒状物が円柱状の場合には、計測アダプタの先端が、該粒状物の高さ方向に対して垂直に当接するようにセットして粒強度を測定する。
【0040】
次に、本発明の動物用トイレ砂の好ましい製造方法について説明する。
本発明のトイレ砂を構成する粒状物は、無機多孔質材料、シリカゲル及び無機バインダーを含む混合物から造粒される。先ず、無機多孔質材料、シリカゲル及び無機バインダーを所定の割合で混合し、更に水を加えた後、ミキサー等にてダマを発生させないように均一に撹拌混合する。
【0041】
この混合物を用いて粒状物を造粒する。本発明における粒状物は、例えば、ディスクペレッター、ブリケットマシーン、打錠機等の各種粉体の造粒装置を用いて造粒することができる。
次いで、得られた粒状物は、無機バインダーの固化を進行させるため所定時間放置される。この工程は養生工程といわれるものである。養生時間は気温によって異なるが、無機バインダーを十分に固化させる観点から72時間以上行うことが好ましい。
【0042】
次いで、十分に固化した粒状物を乾燥機で乾燥させる。この乾燥は、例えばロータリーキルン乾燥機を用いて行われる。乾燥は、粒状物の水分率が10%以下になるように行うことが好ましい。
水分率の測定は、乾燥後の粒状物を更に110℃にて24時間再乾燥させ、再乾燥前後の粒状物の質量の差を粒状物の水分量とし、該水分量を再乾燥前の粒状物の質量で除して求める。
得られた粒状物は、篩い分け工程において大小の粒状物を除去し、所定の大きさの粒状物が得られる。
このようにして、本発明の動物用トイレ砂は製造される。
【0043】
本発明の動物用トイレ砂は、液通過率が大きいことから、特に、尿等の水分を吸収する吸液シートの上に、直接又はスノコ等を介してトイレ砂を敷く二重構造タイプの動物用トイレに好適に用いられる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は斯かる実施例に制限されるものではない。
【0045】
〔実施例1〕
(1)粒状物原料の混合、造粒
ゼオライト粉末(宮城県愛子産、60メッシュパス品、平均粒径150μm、水分7%以下)70質量部、ホワイトセメント(太平洋セメント株式会社製)20質量部、及びC型シリカゲル(中国青島産)10質量部を混合し、更に水40質量部を加え、レディゲミキサーにて撹拌混合した。
撹拌混合した混合物をディスクペレッター(株式会社ダルトン製)にて圧縮、造粒した。ディスクの出口開口寸法は、直径5.5mm、ディスク厚みは35mm、有効長は12mmであった。
得られた造粒物は、直径5.5mm、平均粒長25mmであった。
【0046】
(2)養生工程
得られた造粒物を室温20度において72時間放置して、セメントの固化反応を進行させた。
【0047】
(3)乾燥工程
養生工程を経た粒状物を、ロータリーキルン乾燥機を用いて仕上がり水分率が10%以下になるまで乾燥させた。乾燥工程において、粒状物は収縮し、またその一部に折れが発生した。その結果、乾燥工程後得られた粒状物は、直径5.5mm、平均粒長9mmのものであった。
【0048】
(4)撥水剤塗布工程
撥水剤としては、ワックス系樹脂(日華化学株式会社製、TH−44)を用いた。この撥水剤を水で50倍に希釈した水溶液を、粒状物の質量に対して10質量%塗布した。塗布は、粒状物を撹拌混合しながら該撥水剤の水溶液をスプレーして行った。
【0049】
(5)篩い分け工程
得られた粒状物を、先ず目開き10mm×10mmの篩で篩い分けて所定の大きさよりも大きい粒状物を除去し、その後目開き5mm×10mmの篩で篩い分けて所定の大きさよりも小さい粒状物や粉状物を除去した。そして、所定の範囲の大きさの粒状物を得た。
このようして実施例1の動物用トイレ砂を得た。
【0050】
〔実施例2〕
実施例1における(1)の粒状物原料として、ゼオライト粉末75質量部、ホワイトセメント20質量部、シリカゲル5質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3の動物用トイレ砂を得た。
【0051】
〔実施例3〕
実施例1における(1)の粒状物原料として、ゼオライト粉末70質量部、非セメント系固化剤(成分:硫酸カルシウム1/2水和物80質量%、酸化マグネシウム15質量%、その他金属酸化物5質量%)10質量部、ホワイトセメント10質量部、シリカゲル10質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3の動物用トイレ砂を得た。
【0052】
〔実施例4〕
実施例1における(1)の粒状物原料として、ゼオライト粉末70質量部、非セメント系固化剤10質量部、ホワイトセメント10質量部、シリカゲル10質量部を用い、撥水剤を塗布しなかった以外は、実施例1と同様にして実施例4の動物用トイレ砂を得た。
【0053】
〔比較例〕
実施例1における(1)の粒状物原料として、ゼオライト粉末80質量部、ホワイトセメント20質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例の動物用トイレ砂を得た。
【0054】
実施例及び比較例で得られた動物用トイレ砂について、平均粒pH、アンモニア発生量、平均粒強度及び液通過率を測定した。結果を以下の表1に示す。
尚、平均粒pH及び平均粒強度は、上述した方法により測定した。また、アンモニア発生量及び液通過率は、以下の〔アンモニア発生量の測定方法〕、及び〔液通過率の測定方法〕に従って測定した。
【0055】
〔アンモニア発生量の測定方法〕
粒状物50mlを猫の尿に10分間浸漬させた後、余分な尿を紙製のウエス(日本製紙クレシア株式会社製、キムワイプ)で拭き取り、容積200mlの容器中に密閉した。
容器を35℃の恒温槽において96時間静置後、アンモニアの発生量を検知管にて測定した。
【0056】
〔液通過率の測定方法〕
大きさ3mm×8mmの開口部を多数有するスノコの上面に直径50mm、深さ30mmの円筒を設置した。円筒内に粒状物を充填し、円筒の上端から20mmの高さから生理食塩水20mlを10秒間かけて滴下させた。スノコの下面には、粒状物及びスノコを通過した生理食塩水を収容するためのトレイを設置し、滴下終了後15秒経過した後にスノコを通過した生理食塩水の質量(A)を測定した。液通過率は、以下の式から求めた。
液通過率(%)=A/20×100
【0057】
【表1】

【0058】
表1に示す結果から明らかなように、各実施例の動物用トイレ砂は、比較例の動物用トイレ砂に比して、アンモニアの発生量が少ないことがわかる。特に、無機バインダーとしてセメント及び非セメント系固化剤を用いた実施例3及び4の動物用トイレ砂は、pHも低くなっていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒状物を含む動物用トイレ砂であって、
前記複数の粒状物それぞれは、無機多孔質材料からなる粒子群と、シリカゲルと、該粒子群及び該シリカゲルを一体的に固定する無機バインダーと、を含む動物用トイレ砂。
【請求項2】
前記無機バインダーがセメントである請求項1記載の動物用トイレ。
【請求項3】
前記無機バインダーは、セメントと非セメント系固化剤との混合物である請求項1記載の動物用トイレ砂。
【請求項4】
前記非セメント系固化剤は、硫酸カルシウム及び酸化マグネシウムを主成分とする水硬化性固化剤である請求項3記載の動物用トイレ砂。
【請求項5】
前記無機多孔質材料が、ゼオライト、アタパルジャイト、セピオライト、珪藻土及び珪藻頁岩からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の動物用トイレ砂。
【請求項6】
前記セメントが低アルカリセメントである請求項2又は3記載の動物用トイレ砂。
【請求項7】
前記複数の粒状物は、前記無機バインダーの含有量が5〜30質量%であり、前記シリカゲルの含有量が3〜20質量%である請求項1〜6のいずれかに記載の動物用トイレ砂。
【請求項8】
前記複数の粒状物は撥水処理が施されている請求項1〜7のいずれかに記載の動物用トイレ砂。
【請求項9】
前記粒状物は香料を含有する請求項1〜8のいずれかに記載の動物用トイレ砂。
【請求項10】
前記粒状物は、該粒状物の平均粒pHが12以下である請求項1〜9のいずれかに記載の動物用トイレ砂。
【請求項11】
前記粒状物は、該粒状物の平均粒強度が30N以上である請求項1〜10のいずれかに記載の動物用トイレ砂。
【請求項12】
前記粒状物は、該粒状物の形状が、平均粒径4〜7mm、平均粒長6〜15mmの円柱状である請求項1〜11のいずれかに記載の動物用トイレ砂。

【公開番号】特開2009−125000(P2009−125000A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303612(P2007−303612)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(393000283)ユニ・チャームペットケア株式会社 (27)
【出願人】(391002203)新東北化学工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】