説明

動物用腹帯

【課題】 腹部を保護すると共に姿勢の変化によっても尿道口を塞ぐ虞の少ない動物用腹帯を提供する。
【解決手段】 動物用腹帯13は木綿等のシート体15よりなり、動物の少なくとも腹部を前脚から後脚の方向に覆うものである。シート体15の長手方向の一方端部から他方に所定幅のプリーツ部16が形成されており、その一方端部にはプリーツ部16を重ねた状態で帯状体21が連続的に取り付けられている。シート体15には、プリーツ部16の第1折り曲げ部18の外側であって帯状体21の内方位置を始点とし、プリーツ部16の内側を終点とする、動物の後脚の一方が挿通自在となるスリット状の第1開口部と、プリーツ部16の第2折り曲げ部19の外側であって帯状体21の内方位置を始点とし、プリーツ部16の内側を終点とする、動物の後脚の他方が挿通自在となるスリット状の第2開口部23とが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は動物用腹帯に関し、特に獣医医療において犬猫等の動物の腹部の手術や治療処置後の縫合部、患部等を保護するための動物用腹帯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は特許文献1に示されている「ペット用メディカルウエアー」の概略構成を示す展開図であり、図9はこのウエアーを犬に着用させた場合の外観斜視図である。
【0003】
図8を参照して、メディカルウェアー61は木綿等の素材よりなるほぼ矩形シート形状のウェアーシート63より構成されている。その中央部の上方位置に前脚の挿通用の前脚挿通部64a,前脚挿通部64bが、下方位置に後脚の挿通用の後脚挿通部65a,後脚挿通部65bが各々形成されている。又、後脚挿通部65a,後脚挿通部65bの近辺の下方端部は凹み部67が形成されており、着用時に動物の尿道口を塞がないように配慮されている。更に、ウェアーシート63の両外側部分の上下方向に複数の紐通孔68が形成されている。
【0004】
使用に際しては、動物等が手術時における麻酔が覚めない状態においてメディカルウェアー61を着用させる。すなわち、前脚挿通部64a,前脚挿通部64bの各々に犬41の前脚を通し、後脚挿通部65a,後脚挿通部65bの各々に後脚を通す。この状態でウェアーシート63の両端部を犬41の背中側に回して紐通孔68を利用して紐69によって結束する。これによって、図9に示すように、麻酔が覚めたときには犬41の胴部がメディカルウェアー61によって完全に保護された状態になり、患部を直接舐めたり、引っかいたりすることから犬41を保護することができる。尚、メディカルウェアー61は前脚、後脚を利用して装着されるため、外れる虞は少なく、又、犬41の通常の動きを阻害する虞も無いため、飼い主にとっても安心して手術後の状態を見守ることができる。
【特許文献1】特開平10−309291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図10は図9で示したメディカルウェアー61の装着状態を犬41の腹側から見た概略図である。
【0006】
図を参照して、メディカルウェアー61は犬41の腹全体を覆うように装着されている。そして、メディカルウェアー61は下方端部の凹み部67によって尿道口47が塞がれないように形成されている。
【0007】
しかしながら、犬41は手術後は通常に動いたり、その姿勢を色々と変化させる。そのため、図において第1後脚44や第2後脚45の位置が下方に移動すると、それに伴い後脚挿通部65a,後脚挿通部65bの下端の位置も下方に移動する。すると、凹み部67の位置自体も下方に移動することになり、場合によっては尿道口47を塞いでしまうことになる。そのため凹み部67回りのメディカルウェアー61が糞尿等で汚れてしまう虞がある。手術をした場合メディカルウェアー61が不要になるまではある程度日数がかかることになるが、汚れてしまうと縫合部等の清潔さを維持することができない。その結果、メディカルウェアー61を取り外すことになると、結局十分な縫合部等の保護を維持することができないことになる。
【0008】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、腹部を保護すると共に姿勢の変化によっても尿道口を塞ぐ虞の少ない動物用腹帯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、シート材料よりなり、動物の少なくとも腹部を前脚から後脚への方向を長手方向の一方として覆う動物用腹帯であって、 長手方向の一方端部から長手方向の他方に延びる所定幅のプリーツ部を含むシート体と、 シート体に対して、一方端部においてプリーツ部を重ねた状態で連続的に取り付けられた帯状体とを備え、シート体には、プリーツ部の所定幅の一方を構成する第1折り曲げ部の外側であって帯状体の内方位置を始点とし、プリーツ部の内側を終点とする、動物の後脚の一方が挿通自在となる第1開口部と、プリーツ部の所定幅の他方を構成する第2折り曲げ部の外側であって帯状体の内方位置を始点とし、プリーツ部の内側を終点とする、動物の後脚の他方が挿通自在となる第2開口部とが形成されるものである。
【0010】
このように構成すると、動物の後脚を入れると、第1開口部及び第2開口部の始点と終点とが長手方向に位置するように変形するため、一方端部におけるプリーツ部の部分が引っ張られ長手方向の他方に移動する。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、腹帯は犬猫等の腹帯として用いられ、シート体には、更に、長手方向の他方端部から内方の位置において、動物の前脚の一方が挿通自在となる第3開口部と、長手方向の他方端部から内方の位置において、動物の前脚の他方が挿通自在となる第4開口部とが形成されるものである。
【0012】
このように構成すると、動物の前脚を入れると、腹帯全体が後脚側に移動する虞がない。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、帯状体は、第1開口部及び前記第2開口部の各々の始点の位置において弛んだ状態で取り付けられるものである。
【0014】
このように構成すると、使用前にあっては、後脚の後方位置に対してプリーツ部の一方端部が前脚側に位置する。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、第1開口部は、始点からプリーツ部の第1折り曲げ部に沿って延びる第1部分と、第1部分の端部から終点に向けて延びる第2部分とからなり、第2開口部は、始点からプリーツ部の第2折り曲げ部に沿って延びる第3部分と、第1部分の端部から終点に向けて延びる第4部分とからなるものである。
【0016】
このように構成すると、プリーツ部の変形が大きくなる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、動物の後脚を入れると、一方端部におけるプリーツ部の部分が引っ張られ長手方向の他方に移動するので、動物の尿道口を避けるように変形するため、使い勝手が良い。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、動物の前脚を入れると、腹帯全体が後脚側に移動する虞がないので、動物への取り付け状態が安定する。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、使用前にあっては、後脚の後方位置に対してプリーツ部の一方端部が前脚側に位置するため、使用時には、尿道口をより大きく避けるように装着できる。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、プリーツ部の変形が大きくなるため、効率的な第1開口部及び第2開口部の形状となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1はこの発明の第1の実施の形態による動物用腹帯の外観形状を示した展開図である。
【0022】
図を参照して、動物用腹帯13は木綿等の素材よりなるほぼ矩形シート形状のシート体15より構成されており、動物の少なくとも腹部を前脚から後脚への方向(図においては左から右方向)を長手方向の一方として覆うものである。シート体15には長手方向の一方から長手方向の他方に延びる所定幅のプリーツ部16が形成されている。シート体15の長手方向の一方端部(後脚側)においてプリーツ部16を重ねた状態で連続的に帯状体21が縫製されて取り付けられている。これによってプリーツ部16の後脚側の端部は一体となって動物に装着される。尚、シート体の一方端部であって第1開口部22及び第2開口部23の両外側の部分は長手方向の他方に向けて傾斜するように形成されている。そして、これに沿って帯状体21が取り付けられているが、これは動物用腹帯13を動物に装着した際にその後脚根元にその部分を沿うようにして、外されにくくするためである。この点も図8で示した従来の腹帯とは異なるように構成されている。
【0023】
一方、シート体15の長手方向の他方端部(前脚側)は首周りに装着されるため、シート体15に沿って帯状体24が取り付けられ、その両端部は首固定紐29a,首固定紐29bとして用いられる。シート体15の長手方向に平行な上下端部には、図示しない開口を利用して各々複数の胴固定紐28a,胴固定紐28bが取り付けられている。
【0024】
プリーツ部16の所定幅の一方を構成する第1折り曲げ部18の外側であって、帯状体21の内側からプリーツ部16の内側にかけて屈曲したスリット状の第1開口部22が形成されている。同様にプリーツ部16の所定幅の他方を構成する第2折り曲げ部19の外側であって、帯状体21の内側からプリーツ部16の内側にかけて屈曲したスリット状の第2開口部23が形成されている。
【0025】
これらの第1開口部22及び第2開口部23は、動物の後脚の一方及び他方を装着時に挿通させるために形成されたものである。尚、第1開口部22に対応する帯状体21の部分及び第2開口部23に対応する帯状体21の部分は、それぞれ第1弛み部31及び第2弛み部32としてシート体15の端部で形成されるラインに対して所定の緩みを持たせた状態でシート体15に取り付けられている。この作用については後述する。
【0026】
一方、シート体15の長手方向の他方側にはプリーツ部16に沿って第3開口部25及び第4開口部26が形成されている。これらの第3開口部25及び第4開口部26は、動物の前脚の一方及び他方を装着時に挿通させるために形成されたものである。
【0027】
図2は図1の動物用腹帯を犬に実際に装着した状態を示した外観斜視図である。
【0028】
図を参照して、動物用腹帯13は装着時には犬41の第1前脚42及び第2前脚43の各々を第3開口部25及び第4開口部26に挿通させ、第1後脚44及び第2後脚45の各々を第1開口部22及び第2開口部23に挿通させる。そして、胴固定紐28の各々を用いてこれらを胴上部で締結させると共に、首固定紐29を用いてこれらを首回りに締結させる。これによって安定した状態で動物用腹帯を装着させることができ、犬41の腹部の縫合部等を完全に覆うことが可能となる。この実施の形態による動物用腹帯にあっては、従来の動物用腹帯に比べて犬41の尿道口等を塞ぐ虞は少なく、常に清潔な状態で腹部を覆うことができるが、この作用・効果について以下説明する。
【0029】
図3は図1で示した動物用腹帯の作用を説明するための概略図である。
【0030】
図を参照して、その(1)にあっては、図1で示した動物用腹帯13における第1開口部22及び第2開口部23の周りを拡大したものである。尚、図においてプリーツ部16の端部の構成を明確にするために帯状体21については2点鎖線で示している。プリーツ部16は所定幅Wの範囲で折り重ねられ、上層部34と中層部35と下層部36とのシート体から構成されている。上層部34と中層部35とで第1折り曲げ部18が形成され、中層部35と下層部36とで第2折り曲げ部19が形成されている。第1開口部22は下層部36に連続するシート体15の部分に形成され、第2開口部23は上層部34に連続するシート体15の部分に形成されている。プリーツ部16の端部は上述のように重ねられた状態で帯状体21によって縫製されているため、端部は常に一体的に変形等することになる。
【0031】
第1開口部22は、プリーツ部16の第1折り曲げ部18の平面視における外側であって帯状体21の内方位置を始点Aとしてプリーツ部16の内側を終点Bとするように形成されている。より具体的には、第1開口部22は始点Aからプリーツ部16の第1折り曲げ部18に沿って延びる第1部分53と、第1部分53の内方端部から終点Bに向けて延びる第2部分54から構成されている。そして、第1開口部22は、動物の後脚の一方を挿通した場合、その周囲に緩み無く追随できる大きさに設定されている。
【0032】
一方、第2開口部23は、プリーツ部16の第2折り曲げ部19の平面視における外側であって帯状体21の内方位置を始点Aとしてプリーツ部16の内側を終点Bとするように形成されている。より具体的には、第2開口部23は始点Aからプリーツ部16の第2折り曲げ部19に沿って延びる第3部分55と、第3部分55の内方端部から終点Bに向けて延びる第4部分56から構成されている。そして、第2開口部23は、第1開口部22と同様に動物の後脚の他方を挿通した場合、その周囲に緩み無く追随できる大きさに設定されている。
【0033】
尚、帯状体21の第1弛み部31は、始点A周りの第1部分53に対して最短距離で掛け渡さず第1開口部22が後方側(図においては下方側)に広がるように緩ませた状態で縫製されている。従って、後脚の装着時には第1開口部22があたかも後方側に広がった状態になる。同様に第2弛み部32も緩ませた状態で縫製されており、第2開口部23も後脚の装着時にはあたかも後方側に広がった状態になる。
【0034】
図3の(2)は、図3の(1)の状態から第1開口部22及び第2開口部23に動物の第1後脚44及び第2後脚45を挿通させてシート体15を動物の胴部に装着した状態を示している。
【0035】
第1後脚44が第1開口部22に挿通されると、上述のように第1開口部22は第1弛み部31と共に第1後脚44の装着断面に応じてその周囲に沿うように変形する。すなわち、第1開口部22及び第1弛み部31の緩んだスペースが広がり、第1開口部22の終点Bの位置が始点Aの前方方向に対応した位置に移動する。第1開口部22はプリーツ部16の下層部36の部分に形成されているが、その中央位置Dと終点Bとの距離が一定であるため、終点Bの移動と共に中央部分が前脚側(図にあっては上方側)に引っ張られることになる。一方、下層部36の第1折り曲げ部18側及び第2折り曲げ部19側の部分は第1弛み部31及び第2弛み部32によって拘束されているので、結果として図のように下層部36の端部はその中央位置Dが上方側に移動するように凹んだ状態に変形する。
【0036】
同様に、第2開口部23はプリーツ部16の上層部34の部分に形成されているため、第2後脚45の挿通に伴い終点Bの位置も始点Aの前方方向に対応した位置に移動する。結果として図のように上層部34もその中央位置Cが上方側に移動するように変形する。これに伴い、プリーツ部16の中層部35の端部も帯状体21によって上層部34及び下層部36に一体化されているためこれらと同様に変形する。
【0037】
このようにして、プリーツ部16の第1後脚44及び第2後脚45の間の部分は、その上層部34及び下層部36がドレープ状に変形すると共に互いにクロスするように引っ張られ、プリーツ部16の端部の中央部が上方に凹むように変形する。このような変形が可能なのは、プリーツ16の部分が複数層のシート体によって構成されているからである。すなわち、上層部34と下層部36の端部は帯状体21によって拘束されているが、内部の部分は互いに独立して変形が可能となっているため、これらが第1開口部22と第2開口部23の変形に応じて変化するからである。その結果、プリーツ16の部分がクロス状に自在に変化するため、シート体15自体が伸縮性が低い材料で構成されていても動物の姿勢の変化に沿いやすく、その動きを制限する虞が少なくなる。
【0038】
図4は図1で示した動物用腹帯13の装着状態を犬41の腹側から見た概略図である。
【0039】
図を参照して、動物用腹帯13は犬41の腹全体を覆うように装着されている。上述のように第1開口部22及び第2開口部23に犬41の第1後脚44及び第2後脚45を挿通させると、帯状体21の中央位置Cが上方に引っ張られ、尿道口47を十分露出させる位置に移動するように動物用腹帯13は変形する。犬41の姿勢が変わり、第1後脚44や第2後脚45が移動した場合でも常に中央位置Cは上方にあるため、糞尿等で動物用腹帯13が汚れる虞が無く、常に清潔な状態が保たれる。
【0040】
図5はこの発明の第2の実施の形態による動物用腹帯の一部分を示した図であり、先の実施の形態による図3の(1)に対応する図である。
【0041】
図を参照して、基本的な構成は先の実施の形態によるものと同一なので、ここではその相違点を中心に説明する。この実施の形態にあっては、第1開口部22及び第2開口部23の開口形状が異なっている。すなわち、第1開口部22は始点A及び終点Bの位置は同様であるが、第1開口部22の内方位置が第1折り曲げ部18及び第2折り曲げ部19によって規定されるプリーツ部16の中に位置している。同様に第2開口部23は始点A及び終点Bの位置は同様であるが、第2開口部23の内方位置が第1折り曲げ部18及び第2折り曲げ部19によって規定されるプリーツ部16の中に位置している。
【0042】
このような第1開口部22及び第2開口部23の形状であっても、動物が装着すると終点B及び終点Bの位置が先の実施の形態と同様に始点A及び始点Aの前方延長線上近くに移動するので、同様の効果を奏する。
【0043】
図6はこの発明の第3の実施の形態による動物用腹帯の一部分を示した図であり、先の第1の実施の形態による図3の(1)に対応する図である。
【0044】
図を参照して、基本的な構成は先の第1の実施の形態によるものと同一なので、ここではその相違点を中心に説明する。この実施の形態にあっては、プリーツ部16の形状が異なっている。すなわち、第1の実施の形態ではプリーツ部は二折りのものでその幅Wを規定する様に構成されていたが、この実施の形態にあっては各々が二折りのもので構成される、第1プリーツ49、第2プリーツ50及び第3プリーツ51の3つのプリーツでプリーツ部16が構成されている。
【0045】
このようにプリーツ部16が形成されていても、動物が装着すると終点B及び終点Bの位置が第1の実施の形態と同様に始点A及び始点Aの前方延長線上に移動するので、同様の効果を奏する。尚、この実施の形態にあってはプリーツ部16が複数のプリーツによって構成されているため、プリーツ部16の変形がより自然となり、又、プリーツ部16の部分の変形量を大きくすることが容易にできるため用途に応じた使い勝手が向上する。
【0046】
図7はこの発明の第4の実施の形態による動物用腹帯の一部分を示した図であり、先の第1の実施の形態による図3の(1)に対応する図である。
【0047】
図を参照して、基本的な構成は先の第1の実施の形態によるものと同一なので、ここではその相違点を中心に説明する。この実施の形態にあっては、プリーツ部16の形状が異なっている。第1の実施の形態ではプリーツ部は二折りのものでその幅Wを規定する様に構成されていたが、この実施の形態にあってはプリーツ部16が箱襞形状となっている。すなわち、上層部34の幅方向の両側で折り返されて中層部35a,中層部35bとなり、更に中層部35a,中層部35bは内方側で折り返されて下層部36a,下層部36bとなってプリーツ部16を構成している。
【0048】
このようにプリーツ部16が形成されていても、動物が装着すると終点B及び終点Bの位置が第1の実施の形態と同様に始点A及び始点Aの後方延長線上に移動するので、同様の効果を奏する。尚、この実施の形態にあってはプリーツ部16が左右対称に形成されているため、装着時のプリーツ部16の変形がより安定する。
【0049】
尚、上記の各実施の形態では、プリーツ部の重ね枚数を最低限としているが、より多くの重ね枚数によるプリーツ部であっても同様の効果を奏する。
【0050】
又、上記の各実施の形態では、第1開口部及び第2開口部の形状を特定しているが、形状はこれらに限らず開口の始点と終点とが同様の位置にあれば同様の効果を奏する。
【0051】
更に、上記の各実施の形態では、帯状体に弛み部を形成しているが弛み分は無くても良い。この場合、シート体の端部を一体的に縫製してこれを帯状体として使用することもできる。
【0052】
更に、上記の各実施の形態では、シート体の素材として木綿等を用いているが、伸縮性の素材や不織布等の他の素材を用いても良い。
【0053】
更に、上記の各実施の形態では、犬等の4脚の動物を対象としているが、人間にも適用できると共に、鳥等の2脚の動物に対しても同様に適用できる。2脚の動物に対しては前脚用の開口部は不要となり、首周りと後足とを利用して腹帯を胴回りに装着すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明の第1の実施の形態による動物用腹帯の外観形状を示した展開図である。
【図2】図1の動物用腹帯を犬に実際に装着した状態を示した外観斜視図である。
【図3】図1で示した動物用腹帯の作用を説明するための概略図である。
【図4】図1で示した動物用腹帯の装着状態を犬の腹側から見た概略図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態による動物用腹帯の一部分を示した図であり、先の実施の形態による図3の(1)に対応する図である。
【図6】この発明の第3の実施の形態による動物用腹帯の一部分を示した図であり、先の第1の実施の形態による図3の(1)に対応する図である。
【図7】この発明の第4の実施の形態による動物用腹帯の一部分を示した図であり、先の第1の実施の形態による図3の(1)に対応する図である。
【図8】従来のペット用メディカルウエアーの概略構成を示す展開図である。
【図9】図8で示したウエアーを犬に着用させた場合の外観斜視図である。
【図10】図9で示したメディカルウェアーの装着状態を犬の腹側から見た概略図である。
【符号の説明】
【0055】
13・・・動物用腹帯
15・・・シート体
16・・・プリーツ部
18・・・第1折り曲げ部
19・・・第2折り曲げ部
21・・・帯状体
22・・・第1開口部
23・・・第2開口部
25・・・第3開口部
26・・・第4開口部
31・・・第1弛み部
32・・・第2弛み部
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材料よりなり、動物の少なくとも腹部を前脚から後脚への方向を長手方向の一方として覆う動物用腹帯であって、
前記長手方向の一方端部から前記長手方向の他方に延びる所定幅のプリーツ部を含むシート体と、
前記シート体に対して、前記一方端部において前記プリーツ部を重ねた状態で連続的に取り付けられた帯状体とを備え、
前記シート体には、
前記プリーツ部の前記所定幅の一方を構成する第1折り曲げ部の外側であって前記テープ体の内方位置を始点とし、前記プリーツ部の内側を終点とする、前記動物の後脚の一方が挿通自在となる第1開口部と、
前記プリーツ部の前記所定幅の他方を構成する第2折り曲げ部の外側であって前記テープ体の内方位置を始点とし、前記プリーツ部の内側を終点とする、前記動物の後脚の他方が挿通自在となる第2開口部とが形成される、動物用腹帯。
【請求項2】
前記腹帯は犬猫等の腹帯として用いられ、
前記シート体には、更に、
前記長手方向の他方端部から内方の位置において、前記動物の前脚の一方が挿通自在となる第3開口部と、
前記長手方向の他方端部から内方の位置において、前記動物の前脚の他方が挿通自在となる第4開口部とが形成される、請求項1記載の動物用腹帯。
【請求項3】
前記帯状体は、前記第1開口部及び前記第2開口部の各々の始点の位置において弛んだ状態で取り付けられる、請求項1又は請求項2記載の動物用腹帯。
【請求項4】
前記第1開口部は、前記始点から前記プリーツ部の前記第1折り曲げ部に沿って延びる第1部分と、前記第1部分の端部から前記終点に向けて延びる第2部分とからなり、
前記第2開口部は、前記始点から前記プリーツ部の前記第2折り曲げ部に沿って延びる第3部分と、前記第1部分の端部から前記終点に向けて延びる第4部分とからなる、請求項1から請求項3のいずれかに記載の動物用腹帯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−86541(P2008−86541A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270242(P2006−270242)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(306022616)
【出願人】(506332281)