説明

動物発育助長・活性化方法、植物発育助長方法、好気性微生物活性化方法及び錆除去・防錆方法

【課題】ケイ素鉄など鉄−半導体合金について新たな用途を見出すことである。
【解決手段】鉄78〜98重量%、半導体1〜10重量%及び不可避的不純物からなり、鉄の溶鋼に半導体を添加することによって製鋼され、熱間圧延により板状に成形された鉄−半導体合金を動物の近傍に設置し、前記合金に太陽光又は白色ライトを照射することによって、半導体の振動が激しくなり、合金から発生する振動電磁波が増強され、前記合金近傍の動物の発育を助長・活性化することを特徴とする動物発育助長・活性化方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素の反応性を向上させるように酸素を活性化させる酸素活性化材料、ガソリンなどの燃料の燃焼効率を向上させる燃焼効率向上材料、植物の発育を助長する植物発育助長材料、好気性微生物を活性化又は増殖させる好気性微生物活性化材料、動物の発育を助長させ、動物の動きを活発化させる動物発育助長・活性化材料、筋肉をほぐして柔軟化させる筋肉柔軟化材料及び錆を除去し、錆の発生を防止する錆除去・防錆材料、並びに酸素を活性化する酸素活性化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄とシリコンからなる合金であるケイ素鉄は、金属軟質磁性材料としてモータのコア鉄心や磁気シールド材料など様々な用途に利用されており(特許文献1及び2)、また製鋼工業において脱酸剤として利用されている。また、シリコンの他にゲルマニウムやセレンなど様々な半導体があり、これらと鉄の合金なども考えられる。
【0003】
【特許文献1】特開平8−275413号公報
【特許文献2】特開平6−37479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ケイ素鉄など半導体と鉄を含む合金については、未だ解明されていない性質を有しており、様々な用途に活用できる可能性がある。そこで、本発明は、ケイ素鉄など鉄−半導体合金について新たな用途を見出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するために、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、鉄及び半導体を含む鉄−半導体合金が酸素を活性化させ、その反応性を向上させる性質を有することを見出した。すなわち、本発明は、鉄及び半導体を含む鉄−半導体合金を主成分とする酸素活性化材料、酸素活性化剤、又は酸素活性化組成物である。
【0006】
本発明に係る酸素活性化材料は、酸素を活性させることができるので、自動車のエンジンなど燃焼系動力やボイラーなど燃焼系発熱装置の燃焼効率を向上させることができる。すなわち、本発明は、上記酸素活性化材料などを含む燃焼効率向上材料、燃焼効率向上剤、又は燃焼効率向上組成物である。
【0007】
また、本発明に係る酸素活性化材料は、酸素を活性させることができるので、植物の発育を助長することができる。すなわち、本発明は、上記酸素活性化材料などを含む植物発育助長材料、植物発育助長剤、又は植物発育助長組成物である。本発明に係る植物発育助長材料によって発育が助長される植物としては、観葉植物、野菜、果物などがある。
【0008】
さらに、本発明に係る酸素活性化材料は、酸素を活性させることができるので、好気性微生物を活性化することができる。すなわち、本発明は、上記酸素活性化材料などを含む好気性微生物活性化材料、好気性微生物活性化剤、又は好気性微生物活性化組成物である。本発明に係る好気性微生物活性化材料は、好気性微生物の活動を活性化させるか、若しくは増殖させるか、または活性化させるとともに、増殖させることができる。
【0009】
またさらに、本発明に係る酸素活性化材料は、酸素を活性させることができるので、動物の発育を助長し、動物の動きを活発化することができる。すなわち、本発明は、上記酸素活性化材料などを含む動物発育助長・活性化材料、動物発育助長・活性化剤、又は動物発育助長・活性化組成物である。本発明に係る動物発育助長・活性化材料は、動物の発育を助長するか、若しくは動物の動きを素早くしたり、活発化する、または発育を助長するとともに動きを活発化することができる。本発明に係る動物発育助長・活性化材料によって発育が助長される動物としては、哺乳類、魚類、鳥類などがある。
【0010】
また、本発明に係る酸素活性化材料は、酸素を活性させることができるので、筋肉を柔軟化することができる。すなわち、本発明は、上記酸素活性化材料などを含む筋肉柔軟化材料、筋肉柔軟化剤、又は筋肉柔軟化組成物である。本発明に係る筋肉柔軟化材料は、血行を良好にすることによって、肩の懲りをほぐし、腰の張りを緩和し、筋肉痛をほぐすことができる。
【0011】
本発明に係る酸素活性化材料は、酸素を活性させることができるので、錆を除去し、錆の発生を防止することができる。すなわち、本発明は、上記酸素活性化材料などを含む錆除去・防錆材料、錆除去・防錆剤、又は錆除去・防錆組成物である。本発明に係る錆除去・防錆材料は、錆を除去し、錆の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、酸素活性化や、燃焼効率向上、植物の発育の助長、好気性微生物の活性化、動物の発育の助長、動物の活性化、筋肉の柔軟化、錆の除去、防錆などケイ素鉄など鉄−半導体合金について新たな用途を見出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る酸素活性化材料などにおいて、半導体としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、セレン(Se)及びテルル(Te)など元素半導体、GaAs、GaP、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InP、InAs、InSb、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、AlGaAs、GaInAs、AlInAs,AlGaInAsなど化合物半導体、SnO、ZnO、Fe、V、TiO、NiO、Cr、CuO、MnO、MnOなど酸化物半導体などがあり、特にシリコンが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る酸素活性化材料などは、鉄と半導体の他にニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、炭素(C)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)など他の成分を含んでも良い。
【0015】
本発明に係る酸素活性化材料などにおいて、半導体の含有量は、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%であり、鉄の含有量は、好ましくは78〜98重量%、より好ましくは86〜96重量%である。
【0016】
本発明に係る酸素活性化材料などが、その付近の酸素を活性化させることは、燃料の燃焼効率を向上させ、植物の発育を助長させ、好気性微生物を活性化させ、動物を活性化させ、筋肉を柔軟にし、錆を除去し、錆の発生を防止するなど、酸素を必要とする化学反応や生物作用に好影響を与えることから容易に理解することができる。特に、嫌気性微生物は、本発明に係る酸素活性化材料によって活性化させることができなかったことからも伺うことができる。
【0017】
本発明に係る酸素活性化材料において、鉄−半導体の結晶間には、異種原子による電気化学的電位差が生じ、この電気化学的電位差により半導体には、逆圧電効果が生じて、力学的な歪が生じる。そして、この歪の発生が繰り返されることにより、半導体は、振動し、これにより振動電磁波を外部に発生する。鉄−半導体合金に含まれる半導体は、多様な形状・大きさを有し、また発生する化学的電位差も多様であるので、様々な周波数の振動電磁波を発生する。この様々な電磁波は、磁気モーメントを有する酸素を攻撃し、酸素原子を励起させて、活性化させると考えられる。特に、酸素活性化材料から発生する電磁波は、その近傍にある化学反応などを行なったり、化学反応や生物作用などに寄与する酸素を特に攻撃すると考えられる。
【0018】
特に、本発明に係る酸素活性化材料に電磁波を照射すると、半導体の振動が激しくなり、発生する振動電磁波が増強されて、付近の酸素をより活性化させる。すなわち、本発明は、鉄及び半導体を含む鉄−半導体合金に電磁波を照射することによって、その合金付近の酸素を活性化する酸素活性化方法である。また、本発明は、鉄及び半導体を含む鉄−半導体合金に電磁波を照射することによって、その付近の燃料の燃焼効率を向上させる方法、鉄及び半導体を含む鉄−半導体合金に電磁波を照射することによって、その付近の植物の発育を助長する方法、鉄及び半導体を含む鉄−半導体合金に電磁波を照射することによって、その付近の好気性微生物を活性化する方法、鉄及び半導体を含む鉄−半導体合金に電磁波を照射することによって、その付近の動物の発育を助長し、また活性化する方法、鉄及び半導体を含む鉄−半導体合金に電磁波を照射することによって、その付近の筋肉を柔軟化する方法、並びに鉄及び半導体を含む鉄−半導体合金に電磁波を照射することによって、その付近の錆を除去し、また錆の発生を防止する方法である。さらに、本発明は、鉄及び半導体を含む鉄−半導体合金を主成分とし、電磁波が照射されると付近の酸素の活性化を増強させる酸素活性化材料、並びにその酸素活性化材料が含まれた燃焼効率向上材料、植物発育助長材料、好気性微生物発育助長材料、動物発育助長・活性化材料、筋肉柔軟化材料及び錆除去・防錆材料である。
【0019】
本発明に係る酸素活性化方法などにおいて、合金に照射される電磁波としては、波長が1nm〜1mmの電磁波、好ましく波長380nm〜1mmの可視光線〜遠赤外線の電磁波であることが好ましい。照射する電磁波としては、太陽光や白色ライト光などがある。
【0020】
本発明に係る酸素活性化材料がその影響を与えて酸素を活性化させる範囲は、鉄−半導体合金の量や温度条件、湿度、照射される電磁波の波長、振幅、波形や強度などによって影響する。本発明に係る酸素活性化材料、燃焼効率向上材料、植物発育助長材料及び好気性微生物活性化材料などの形状は、特に限定されないが、板状又は箔に形成されていることが好ましい。
【0021】
また、燃焼効率が向上するのは、酸素原子が励起されると、分子間力が弱まったり、切断されることや、その切断などにより、酸素原子又は分子の反応面積が大きくなり、これによりエネルギー準位が上がり、酸素分子の運動エネルギーが大きくなることなどが考えられる。このように分子間の切断や運動エネルギーの増大により、水素や炭素原子などとの反応効率が上がるものと考えられる。また、このように燃料の効率を向上させることにより、燃料の節約、二酸化炭素の減少、そして排気ガスに含まれる各種有害物質(NO、SO、CO、HC、粒子状物質など)を減少することができる。
【0022】
本発明に係る酸素活性化材料が、植物発育助長材料、好気性微生物活性化材料及び動物発育助長・活性化材料などとして機能するのは、エネルギー保存及び利用に用いられるヌクレオチドであるATP(アデノシン三リン酸)を合成する際に、ADP(アデノシン二リン酸)と反応するリン酸の酸素を活性化させたり、そのリン酸を合成する酸素を活性化させるためであると考えることができる。
【0023】
また、本発明に係る酸素活性化材料が、好気性微生物を活性化するのは、活性化された酸素によって、それを運搬するヘモグロビンやミオグロビンも活性化するからと考えることができる。
【0024】
植物の光合成は、(a)光合成色素が吸収した光エネルギーが、クロロフィルaをより活性化し、(b)活性化されたクロロフィルaが、根から吸収された水分子を水素と酸素に分解するとともに、ADPとリン酸からATPを合成し、(c)これらの反応で製造された水素とATPによって、気孔から取り入れられた二酸化炭素を反応させて、ブドウ糖などの炭水化物を合成するという工程からなるが、本発明に係る酸素活性化材料によって、ATP合成に利用されるリン酸の酸素又はそのリン酸を合成する酸素を活性化させ、これにより植物の発育を助長するものと考えることができる。
【0025】
また、本発明に係る酸素活性化材料は、筋肉を柔軟化させること、すなわち筋肉内の血行を良好にして、肩の凝りや腰の張りなどをほぐすことができるが、これも、ヘモグロビンやミオグロビンの活性化やATPの合成に用いられるリン酸の活性化などをさせるためと考えることができる。
【0026】
本発明に係る酸素活性化材料が、錆を除去したり、再発生を防止することができるのは、配管を流れる水の酸素原子が活性化されるとともに、水中でスケールを形成する二酸化ケイ素(SiO)、炭酸カルシウム(CaCO)など水に含まれている不純物の酸素分子が活性化され、錆を構成する水和酸化鉄(FeOOH)及び四酸化三鉄(Fe)などの酸素分子が活性化されることによって、錆が除去されたり、錆の発生が防止されるものと考えることができる。
【0027】
本発明において使用される鉄−半導体合金は、鉄の溶鋼にシリコンなどの半導体を添加することによって、製鋼することができる。製鋼の終わった溶鋼は、鋳型に流し込んでインゴットを造塊する。インゴットを約1250℃で熱処理した後、合金の性質を造りこんでスラブを造る。次に、スラブを1000℃以上に加熱し、ロール幅1mm当たり約2トンの荷重による熱間圧延により次々と薄くし、厚さ数mmまでにすることによって、鉄−半導体合金を得ることができる。
【0028】
本発明に係る酸素活性化材料は、前記合金の電磁波が照射される面の反対の面又はその近傍に磁石を設けても良く、また、前記合金の電磁波が照射される面を黒く塗っても良く、さらに、前記合金の電磁波が照射される面に光触媒剤を塗布しても良い。また、本発明に係る酸素活性化材料は、その表面に化学的又は物理的に防錆・防食処理を施すことが好ましい。化学的な防錆・防食処理とは、メッキ処理や物理蒸着処理を施すことであり、物理的な防錆・防食処理とは、ポリエステルなど合成樹脂フィルムでラミネート処理したり、ガラス板、透明なアクリル板、ステンレス、銅の箔などでラミネート処理することである。これら化学的な処理や物理的な処理を行なう場合、酸素活性化材料の表面を適宜必要な処理を施すことが好ましい。このように防錆・防食処理を施しておくことにより、空気中の水分や水などに触れることによる錆、侵食、腐食などによる経年変化を防止することができる。
【0029】
本発明に係る酸素活性化材料は、それぞれ目的とする対象物の近傍に設置することによって、それぞれの機能を発揮することができる。すなわち、燃焼効率向上材料として用いる場合、酸素活性化材料を燃焼機関や燃焼器などその燃焼を行なう場所の近傍に設置し、植物発育助長材料として用いる場合、酸素活性化材料を植物の近傍に設置し、好気性微生物活性化材料として用いる場合、酸素活性化材料を好気性微生物の水槽に貼り付けたり、動物発育助長・活性化材料として用いる場合、酸素活性化材料を動物の飼育室壁などに貼り付けたり、筋肉を柔軟にする場合は、酸素活性化材料を凝っていたり、張っている筋肉の皮膚に貼り付けたり、錆を除去する場合は、酸素活性化材料を錆が発生した配管の外側などに巻き付けたりする。
【実施例】
【0030】
次に、本発明に係る酸素活性化材料の実施例について説明する。先ず、実施例に係る酸素活性化材料として、ケイ素鉄(鉄87重量%以上、シリコン6.5重量%以下、その他炭素0.5重量%以下、マンガン1.5重量%以下、アルミニウム2.0重量%以下、ニッケル2.5重量%以下などを含有。)の薄板を用意した。この実施例に係る酸素活性化材料を用いて、以下のように燃焼効率の向上、好気性微生物の活性、植物の発育の助長、動物の発育助長及び活性、筋肉の柔軟化、錆の除去及び防錆について実験を行なった。
【0031】
実験例1(燃焼効率向上材料)
先ず、本実施例に係る酸素活性化材料を燃焼効率向上材料として用いた場合の実験を行なった。本実施例に係る酸素活性化材料を縦50mm×横40mm×厚さ0.1mmに切断したものを用意した。実験用自動車として、乗用車(初年度登録1997年、排気量2.98l)を用意した。この実験用自動車に本実施例に係る燃焼効率向上材料を貼り付けて燃料消費量及び燃料消費率(燃費)の測定を行なった。本実施例に係る燃焼効率向上材料の貼り付け方、及び走行時刻を変えて、以下の四つの態様で実験を行なった。第1の態様は、本実施例に係る燃焼効率向上材料を3枚用意し、実施例に係る燃焼効率向上材料を実験用自動車の左側ヘッドライトの直ぐ横、ボンネット内の右ヘッドライト上(太陽光及びヘッドライドの点灯光が当たる位置)、後部ナンバープレート用ライトの直ぐ横各々に貼り付けて、その状態で昼間走行した。これらは、夜走行するときにもヘッドライトなどの点灯光が当たる位置である。第2の態様は、第1の態様と同様の位置に実施例に係る燃焼効率向上材料を貼り付け、貼り付けた燃焼効率向上材料を遮光テープによって覆い、光が照射されないようにし、その状態で昼間走行した。第3の態様は、第1の態様と同様の位置に実施例に係る燃焼効率向上材料を貼り付けて、夜間ヘッドライトを点灯させた状態で走行した。第4の態様は、本実施例に係る燃焼効率向上材料を3枚用意し、実施例に係る燃焼効率向上材料を実験用自動車のフロントガラスの内側の両サイドに1枚ずつ貼り、リヤーガラスの内側の中央部の下に1枚貼り付けて、第1の態様と同様に昼間走行を行なった。比較の態様として、本実施例に係る燃焼効率向上材料を貼り付けずに昼間走行を行なった。
【0032】
これら四つの態様及び比較の態様で、高速自動車道である圏央道の日高インターから青梅インターまでを時速100km/時間で往復し、日高インターから300mの位置にあるガソリンスタンドにおいて給油することによって、燃料の消費量を測定した。全走行距離は、25.5kmである。天候は晴れ、相対湿度は45〜50%であった。また、その燃料消費量に基づいて燃費(燃料消費率)を計算した。これらの結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
実験例2(燃焼効率向上材料)
次に、実験例1の第1の態様乃至第4の態様、並びに比較の態様の状態で高速自動車道である関越自動車道の所沢インターから秩父インターまでを時速100km/時間で往復し、所沢インターから一般道で4.5kmの位置にあるガソリンスタンドで給油することによって、燃料の消費量を測定した。全走行距離は、108kmである。天候は晴れ、相対湿度は45〜50%であった。また、その燃料消費用に基づいて燃費(燃料消費率)を計算した。これらの結果を表2に示す。
【0035】
【表2】

【0036】
表1及び2から明らかなように本実施例に係る燃焼効率向上材料を貼付した方が、貼付しなかった場合に比べて、燃料消費量が少なく、燃料消費率が多いことが分かる。さらに、光が照射されない状態であっても、何も貼り付けない場合に比べて、燃料消費量が少なく、燃料消費率が多いことが分かる。
【0037】
実験例3(好気性微生物活性化材料)
次に、本実施例に係る酸素活性化材料を好気性微生物活性化材料として用いた場合の実験を行なった。本実施例に係る好気性微生物活性化材料の効用を示すため、好気性微生物だけでなく、嫌気性微生物を活性するかについても実験を行なった。本実施例に係る好気性微生物活性化材料が増殖に酸素を必要とする好気性微生物の増殖を助長するが、増殖に酸素をほとんど必要としない嫌気性微生物の増殖を助長しない場合、酸素を活性化させていると考えることができる。本実施例に係る好気性微生物活性化材料としては、実験例1に用いたものと同様のものに厚さ0.1mmの透明のポリエステルフィルムをラミネートしたものを用いた。先ず、直方体の水槽容器1乃至4(容量20l)を用意し、それらに水18lと嫌気性の緑色の藻を均等に入れ、容器1乃至4に毎分3lの曝気をかけた。この嫌気性の藻は、埼玉県高麗川の巾着田から採取した。容器1には、藻の他に何も入れず、容器2には、その容器の外側の対称となる2面に実施例に係る酸素活性化材料を1枚ずつ貼り付けた。容器3には、珪藻土に定着させた絶対的好気性微生物である複合微生物製剤(ME−Bio、アサヒ(株)製)36gを化学繊維の袋に入れた状態で投入し、容器4は、容器3と同様に複合微生物製剤を投入するとともに、容器2と同様に本実施例に係る酸素活性化材料を貼り付けた。このような状態でこれら容器1乃至4を各々10mの間隔をおいて5日間静置した。
【0038】
5日後の状態を観察したところ、容器1の藻は、ほとんど変化せず、容器2の藻は、一部が少し黒ずんでいた。容器3の藻は、全体に亘り黒ずんでおり、容器4の藻は、全体的に黒ずむとともに所々が灰色に変色していた。容器2の藻が少し黒ずんだのは、空気中及び水中の好気性微生物が活性化されて嫌気性微生物を分解したためと考えられる。本実施例に係る酸素活性化材料が嫌気性微生物にも影響を与えているのなら、嫌気性微生物によって、黒ずむことはないはずである。また、容器3の藻が全体に亘り黒ずんだのは、好気性微生物が嫌気性微生物である藻を分解したからであり、容器4の藻がさらに灰色に変色していたのは、酸素の活性化により好気性微生物が活性化、増殖して、嫌気性微生物である藻をさらに分解したからだと考えることができる。
【0039】
次に、曝気を止めて、30分間静置した後、水の透明度を観察したところ、容器4が最も良好で、次に、容器3→容器2→容器1の順で透明度が低くなった。藻全体の大きさは、容器4が一番小さく、容器3→容器2→容器1の順で大きくなった。
【0040】
実験例4(好気性微生物活性化材料)
さらに、本実施例に係る好気性微生物活性化材料についての実験を行なった。先ず、実験例3と同様に直方体の水槽容器1乃至4(容量20l)を用意し、それらにし尿(本発明者の水洗便所汚水)18lを入れ、容器1乃至4に毎分3lの曝気をかけた。容器1には、し尿の他に何も入れず、容器2には、その容器の外側の対称となる2面に実施例に係る好気性微生物活性化材料を1枚ずつ貼り付けた。容器3には、珪藻土に定着させた絶対的好気性微生物である複合微生物製剤(ME−Bio、アサヒ(株)製)36gを化学繊維の袋に入れた状態で投入し、容器4は、容器3と同様に複合微生物製剤を投入するとともに、容器2と同様に本実施例に係る酸素活性化材料を貼り付けた。このような状態でこれら容器1乃至4を各々10mの間隔をおいて5日間静置した。
【0041】
5日後の曝気中の汚れの状態を観察したところ、容器4が最もきれいで、次に、容器3→容器2→容器1の順で汚れていた。次に、曝気を止めて、30分間静置した後、沈殿汚泥量を観察したところ、容器4が一番少なく、容器3→容器2→容器1の順で多くなった。容器4は、上澄水の量が最も多く、かつ最も澄んでおり、容器3→容器2→容器1の順で汚れていた。
【0042】
以上の実験例3及び4から、本実施例に係る好気性微生物活性化材料が、酸素を活性化することにより、絶対的好気性微生物のみを活性化し、その活性化された好気性微生物が嫌気性微生物を分解するため、藻・し尿汚泥の分解を向上することができることが分かる。酸素の活性化は、絶対的好気性微生物の酸素運搬体であるヘモグロビンとミオグロビンを活性化することにより、エネルギー合成ATP(アデノシン三リン酸)を活性化することになる。それは、細胞を活性化し、嫌気性微生物を活性化させず、絶対的好気性微生物のみを活性化させていると考えることができる。
【0043】
実験例5(植物発育助長材料)
次に、本実施例に係る酸素活性化材料を植物発育助長材料として用いた場合の実験を行なった。本実施例の植物発育助長材料としては、実験例1で用いたものと同様のものに厚さ0.1mmの透明のポリエステルフィルムをラミネートしたものを用いた。実験の対象には、なす、トマト、ピーマンなどの一般的な葉菜類のハウス土壌栽培の場合、水平方向の基板の目のように縦・横約5m間隔に板1枚ずつ、地上2mの位置に吊るした。その結果、収穫は、約10%以上向上した。
【0044】
また、葉采類の他に同一条件で栽培したバラ、チューリップ、カーネーションなどの切花の寿命試験も行なった。この切花の寿命試験は、先ずそれぞれ同じ切花を入れた20組の花瓶(水容量数リットルから数10リットル)を用意した。20組それぞれの一方の花瓶の外側の対称となる2面に本実施例の植物発育助長材料を1枚ずつ貼り、他方の花瓶には植物発育助長材料を貼らなかった。各々の花季に植物発育助長材料を貼った花瓶と貼らなかった花瓶を20mの間隔をおいて5〜25日間静置した。その結果、植物発育助長材料が貼られた花瓶の花の寿命が、植物発育助長材料が貼られていない花瓶の花より30%以上延びたことが確認できた。これら葉菜類や切花は、酸素活性化材料の表面に光を常時照射させることにより、さらに向上することが確認できた。
【0045】
実験例6(植物発育助長材料)
次に、本実施例に係る植物発育助長材料について、ほうれん草の湛液水耕式栽培に関する実験を行なった。水耕装置としては、大きさを縦450mm×横450mm×高さ250mmとし、上部の定植パネルの植え穴を9個とし、栽培槽に栽培液40リットルを入れたものを用いた(品種:アクティブ、培養液:大塚化学A処方、pH5.8、EC2000μS/cm、培養液濃度3/4)。この水耕装置を6個用意した。また、本実施例に係る植物発育助長材料として、実験例1で用いたものと同様のものに厚さ0.1mmの透明のポリエステルフィルムをラミネートしたものを用意した。用意した6個の水耕装置のうち、3個には、本実施例に係る植物発育助長材料を貼り付け、他の3個には、何も貼り付けなかった。すなわち、3個の水耕装置(第1乃至第3の態様)は、横1列に並べ、本実施例に係る植物発育助長材料を各水槽装置外側の日光の当たる対象となる2面に一枚ずつ貼り付け、真中に配置された第2の態様の上方1mに位置するように本実施例に係る植物発育助長材料を棒に貼り付けた。他の3個の水耕装置(比較の態様1乃至3)は、植物発育助長材料が貼り付けられた第1乃至第3の態様から20m離れた位置に横1列に並べて配列させた。これら水耕装置にほうれん草の株を9株ずつ移植して、28日間栽培した。28日後、第1乃至第3の態様並びに比較の態様1乃至3の水耕装置からそれぞれ表3に示す株数のほうれん草(計54株)を採取し、これらの根部を除去した株(茎葉部)の重量とその株の最長の葉身長を測り、各水耕装置毎の平均値を算出した。これらの結果を表3に示す。表3中、成長率は、比較の態様1乃至3の平均値に対する第1乃至3の態様の平均値の百分率である。
【0046】
【表3】

【0047】
表3に示すように第1乃至第3の態様の平均値と比較の態様1乃至3の平均値を比較すると、比較の態様1乃至3に対して第1乃至第3の態様の方が、葉長で15%増加し、株の重量で24%増加していることが分かる。
【0048】
実験例7(筋肉柔軟化材料)
次に、本実施例に係る酸素活性化材料を筋肉柔軟化材料として用いた場合の実験を行なった。筋肉柔軟化材料として、本実施例に係る酸素活性化材料を縦・横15mm×厚さ0.1mmに切断したものに厚さ0.1mmの透明のポリエステルフィルムをラミネートしたものを用意した。肩凝りの症状を訴える30人の各パネラーに対して、用意した筋肉柔軟化材料を2枚ずつ渡し、それぞれの左右の肩の凝っているところに1枚ずつテープで貼り、3日後の症状を聞いた。その結果、良好であると答えた者は13人、なんとなく良いと答えた者は11人、分からないと答えた者は6人、悪くなったと答えた者は0人であり、良好か、なんとなく良いと答えた者は、80%であった。この筋肉柔軟化材料は、様々な箇所に貼り付けることができ、磁石ではないので磁力の障害の心配はない。また、ポリエステルフィルムは、丈夫なのでテープを取り替えることにより、何回でも用いることができる。
【0049】
実験例8(動物発育助長・活性化材料)
次に、本実施例に係る酸素活性化材料を動物発育助長・活性化材料として用いた場合の実験を行なった。本実施例に係る動物発育助長・活性化材料として、本実験例に係る酸素活性化材料を縦50mm×横40mm×厚さ0.1mmに切断したものに厚さ0.1mmの透明のポリエステルフィルムをラミネートしたものを用意した。また、本実験例においては、マウス(4週齢のSlc:ICR雄マウス)を10匹とケージ2つを用意し、一方のケージには、動物発育助長・活性化材料を床に2枚ずつ敷き、その上におが屑を敷いた。他方のケージには、床におが屑だけを敷いた。飼育条件は、室温を23℃、照明時間を12時間/日とし、飼料(マウス・ラット用固形飼料:ローデント ダイエットEQ、PMI Nutrition International製造)及び飲料水を自由に摂取させた。これら2つケージそれぞれに5匹ずつマウスを入れて、別々の飼育室において77日間飼育し、7日毎の体重を測定し、それぞれのケージ内のマウスの平均値を算出した。動物発育助長・活性化材料を敷いたケージ内のマウスを実施例とし、敷いていないケージ内のマウスを比較例とし、その結果を表4に示す。表中、成長重量差は、実施例の体重から比較例の体重を引いた値であり、成長率は、比較例の体重に対する実施例の体重の百分率である。
【0050】
【表4】

【0051】
表4から明らかなように、動物発育助長・活性化材料を敷いたケージで飼育したマウスの方が敷いていないケージで飼育したマウスよりも発育が早いことが分かる。また、動物発育助長・活性化材料を敷いたケージで飼育したマウスの方が敷いていないケージで飼育したマウスよりも動きが素早く、活発であったことが確認された。
【0052】
実験例9(錆除去・防錆材料)
次に、本実施例に係る酸素活性化材料を錆除去・防錆材料として用いた場合の実験を行なった。錆除去・防錆材料として、本実施例に係る酸素活性化材料を縦1000mm×横500mm×厚さ0.1mmに切断したものに厚さ0.1mmの透明のポリエステルフィルムをラミネートしたものを6枚用意した。この6枚の錆除去・防錆材料を吸収冷温水機の冷却水管(口径100mm)及び冷温水管(口径80mm)の吸収冷温水機の近傍の往き管と返り管の外周に1枚ずつ巻いて固定した。同様に屋外にある開放式直交流冷却塔近傍の冷却水管の往き管と返り管の外周に1枚ずつ巻いて固定した。そして、巻いた6枚の錆除去・防錆材料に10,000ルクス前後の光が常時照射されるように白色ライトをセットした。吸収冷温水機は、冷凍能力50USRt、1995年製造、冷却水保有水量2m、冷温水保有水量1m、冷却水流量50m/h、冷温水流量30m/hである。補給水は、水道水を使用し、水処理用化学薬剤は、使用していない。冷却水管及び冷温水管は、配管用炭素鋼管(白管、JIS G 3452)を使用し、熱交換器チューブは、銅製である。
【0053】
次に、この吸収冷温水機に本実施例に係る錆除去・防錆材料を取り付けた当日、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後それぞれについて、電気伝導率、水素イオン濃度、鉄及び銅濃度について測定を行なった。同様に開放式直交流冷却塔水槽に補給される補給水についても同様に測定を行なった。これらの結果を表5に示す。
【0054】
【表5】

【0055】
表5に示すように、1ヶ月の稼動により、鉄と銅イオンの溶出が止まり、冷却水系の管や機器の錆及び腐食部は、改善されたことが分かる。
【0056】
次に、この吸収冷温水機に本実施例に係る錆除去・防錆材料を取り付けた当日と6ヵ月後について、吸収冷温水機の凝縮器と吸収器のカバーを外して、熱交換器チューブプレートの改善具合、熱交換器チューブ内の改善具合及び冷却塔の充填材とルーバに付着したスケールの改善具合を観察した。その結果を表6に示す。
【0057】
【表6】

【0058】
冷温水は、循環系密閉回路なので、水の入れ替えを容易に行なうことができない。錆除去・防錆材料を取り付けた当日に水を入れ替えた。その際、汚れた赤水が多量に排出した。3ヵ月後に再度水を入れ替えた時には汚れた水が少量排出した。6ヵ月後に入れ替えた時には、汚れた水は、排出しなかった。鋼管及び銅製チューブの汚れと腐食が大きく改善したことを確認できた。
【0059】
実験例10(錆除去・防錆材料)
さらに、本実施例に係る錆除去・防錆材料の実験に関し、単管式配管に対して防錆性を有することについて実験を行なった。錆除去・防錆材料として、本実施例に係る酸素活性化材料を縦40mm×横200mm×厚さ0.1mmに切断したものを厚さ0.1mmの透明のポリエステルフィルムをラミネートしたものを2枚用意した。屋外の土中に設置された発明者の2階建の家の水道メーターボックス内のメータ以降の口径25mmの配管外側に錆除去・防錆材料1枚を巻いて固定した。また、1階の水洗トイレ配管露出部にもう1枚を巻いて固定した。いずれも錆除去・防錆材料の表面に光など電磁波を照射させない状態で使用した。配管の経年数は、32年であり、その間配管更新箇所はなく、鋼管は、水道用亜鉛メッキ鋼管(JIS G 3442)なので、全内面に錆が発生していた。本実施例に係る錆除去・防錆材料を固定した当日、7日後、1ヶ月後、3ヶ月後及び6ヵ月後それぞれの朝一番最初に流した水道水(A)、その採取後20l流した後の水道水(B)及びその日の午後3時ごろの水道水(C)それぞれの鉄濃度(mg/l)を測定した。水質検査の採水は、メータから最も離れた台所の水栓から行なった。これらの結果を表7に示す。
【0060】
【表7】

【0061】
本実施例に係る錆除去・防錆材料が錆除去・防錆効果を有することは、表7から明らかである。一般の家庭の水道管は、水の流れが一方通行の単管式配管である。循環式配管と比べて防錆処理効果は出難いが、酸素活性化材料に電磁波を照射しなくても容易に防錆効果を出すことが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄78〜98重量%、半導体1〜10重量%及び不可避的不純物からなり、鉄の溶鋼に半導体を添加することによって製鋼され、熱間圧延により板状に成形された鉄−半導体合金を動物の近傍に設置し、前記合金に太陽光又は白色ライトを照射することによって、半導体の振動が激しくなり、合金から発生する振動電磁波が増強され、前記合金近傍の動物の発育を助長・活性化することを特徴とする動物発育助長・活性化方法。
【請求項2】
鉄78〜98重量%、半導体1〜10重量%及び不可避的不純物からなり、鉄の溶鋼に半導体を添加することによって製鋼され、熱間圧延により板状に成形された鉄−半導体合金を植物の近傍に設置し、前記合金に太陽光又は白色ライトを照射することによって、半導体の振動が激しくなり、合金から発生する振動電磁波が増強され、前記合金近傍の植物の発育を助長することを特徴とする植物発育助長方法。
【請求項3】
鉄78〜98重量%、半導体1〜10重量%及び不可避的不純物からなり、鉄の溶鋼に半導体を添加することによって製鋼され、熱間圧延により板状に成形された鉄−半導体合金を好気性微生物の近傍に設置し、前記合金に太陽光又は白色ライトを照射することによって、半導体の振動が激しくなり、合金から発生する振動電磁波が増強され、前記合金近傍の好気性微生物を活性することを特徴とする好気性微生物活性化方法。
【請求項4】
鉄78〜98重量%、半導体1〜10重量%及び不可避的不純物からなり、鉄の溶鋼に半導体を添加することによって製鋼され、熱間圧延により板状に成形された鉄−半導体合金を錆の近傍に設置し、前記合金の鉄−半導体の電気化学的電位差により、合金から振動電磁波が発生することによって、前記合金近傍の錆を除去し、又は錆の発生を防止することを特徴とする錆除去・防錆方法。

【公開番号】特開2013−39136(P2013−39136A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−232676(P2012−232676)
【出願日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【分割の表示】特願2007−542173(P2007−542173)の分割
【原出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(593000801)
【Fターム(参考)】