説明

動物調教支援用具

【課題】 動物の本能や、習性に基づく行動を、無理強いすることなく規制して、飼い主の求めるふるまいに調教することができる、動物調教支援用具を提供する。
【解決手段】 首輪2には、口輪3を構成する帯状体を、交叉状態で遊動案内する案内輪体4を介して挿通する。この口輪3は、動物に応じて口元を取り囲む輪の大きさを調節する調節係着部材5を備える。
前記首輪2を構成する帯状体の両端側には、調節連結具6を設ける。
前記口輪3は、輪の中に前記首輪2を通して、交叉状態で遊動案内する案内輪体4を介して移動自在な状態にある。
前記案内輪体4は、金属製リングで構成することができ、前記口輪3を構成する帯状体を出入り自在とする。
前記調節係着部材5は、輪状帯片8と、この輪状帯片8の内側面と帯状体表面に敷設した係着面材9とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物の本能や、習性に基づく行動を、無理強いすることなく規制して、飼い主の求めるふるまいに調教することができる、動物調教支援用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、動物、特に犬を飼い主の意のままに導くための道具として、調教支援用具がある。
例えば、犬のコントロール手段として、首輪と引き綱がある。首輪は、金属製の鎖でできたものがあり、引き綱によってこの首輪を引っ張り力を加え、時には、強い力で犬の暴走を抑えたり、地面に踏ん張って動こうとしない犬を引きずったりするなど、無理強いして犬を引き連れてきたりしていた。
しかしながら、これでは、犬は嫌がるだけで、思うようなコントロールは不可能であることがわかっている。というのは、犬をはじめ、動物の敏感な口周りに、引き綱による力が及ばされず、飼い主の意向が犬に伝わっていないからである。
そこで、犬の口周りに口輪を装着して、この口輪に引き綱を連結して、引き綱を引っ張ることにより、口輪に引っ張り力が加えられることによって、犬にシグナルを送るということが提案されてきた。
【0003】
例えば、
【特許文献1】特公平6−91781号公報 この公報では、二本の輪(首輪と鼻輪)を具備することにより、犬などの動物を飼い慣らすために、行動を規制する動物制御器具が開示されている。 すなわち、この動物制御器具は、二本の輪で構成され、首のうしろと横及び鼻づらの先に対して、同時に締め付けられるようになっている。 これによって、コントロールと従順なふるまいをさせるために、直接の圧迫が、引き綱から直接鼻輪に、鼻づらの前に対して加えられると共に、同時に、首輪のループの位置は耳のすぐ後で、動物の首に直接の圧迫が同時に加えられるとしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確かに、上記特許文献1によれば、首のうしろと横及び上下のあごに引き綱が締め付けられたときに、窒息させるような圧迫を、首の下の器官や咽頭のような敏感な部分に加えることなしに、同時に加えられる変化する直接の圧力コントロールを可能にしている。
しかしながら、上記動物制御器具では、鼻輪が、首輪に対し、金属リングを介して止め着けられているため、この金属リングが首輪に固定されているところから、鼻輪は、金属リング取り付け箇所を中心に進退移動するだけで、鼻輪は、決して、首輪に沿って移動するようには造られていない。
しかも、上記金属リングの分、どうしても部品点数が増加し、さらにコストダウンが難しいという課題がある。
本発明はこのような背景から提案されたものであって、部品点数を極力減らして、鼻輪にさらに自由な動きを与えて、取り扱い性、調教効果も申し分ない、動物調教支援用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した課題を解決するために、本発明では、請求項1において、動物の首周りに、その動物に応じて調節して着脱可能に装着する構成とした首輪と、この首輪に首輪に沿って移動自在に介装して、動物の鼻先から目元に至る箇所と、下顎付根近傍を取り囲むように差し入れて保持する一方、引き綱に連結してなる口輪とを備え、この口輪は、前記首輪に対し、交叉状態で口輪を構成する帯状体を遊動案内する案内輪体を介して挿通すると共に、動物に応じて口元を取り囲む輪の大きさを調節する調節係着部材を備えた動物調教支援用具を提案する。
また本発明では、請求項2において、前記案内輪体は、前記首輪を跨いで対向位置させた第1の案内輪と第2の案内輪とで構成した動物調教支援用具を提案する。
また本発明では、請求項3において、前記口輪は帯状体で構成し、前記調節係着部材は、前記口輪を構成する帯状体を取り囲むように配置する輪状帯片と、この輪状帯片の内側面と帯状体表面に配した係着面材とで構成した動物調教支援用具を提案する。
さらに本発明では、請求項4において、前記口輪は帯状体で構成し、前記調節係着部材は、前記口輪を構成する帯状体を取り囲むように配置する帯片と、この帯片の内側面と帯状体表面に配した係着面材とで構成した動物調教支援用具を提案する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、動物の本能や、習性に基づく行動を、無理強いすることなく規制して、飼い主の求めるふるまいに調教することができ、しかも、部品点数を極力減らして、口輪にさらに自由な動きを与えて、取り扱い性、調教効果も申し分ない動物調教支援用具を提供することができる。
【0007】
請求項1によれば、先ず動物の首周りに、首輪をその動物の首周りに合わせて長さを調節して装着する。次いで、口輪を動物の鼻先から差し入れて目元に至らしめ、下顎付根近傍を取り囲むようにもたらす。その際、口輪は、前記首輪に対して案内輪体を介して自在に移動できるように交叉しているので、動物の鼻先から差し入れる際に、動物がいやがって首を鼻先を横に動かしても、それに合わせて口輪を持っていくことができる。そして、前記口輪を調節係着部材によって、動物に応じて口元を取り囲む輪の大きさを調節して保持するようにする。
【0008】
請求項2によれば、口輪をその動物に合わせて、輪の大きさを調節する際、首輪を跨いで対向位置させた第1案内輪と第2案内輪を介して抵抗なく、移動させることができる。
【0009】
請求項3によれば、口輪をその動物に合わせて、輪状帯片を固定すべき位置に移動して、前記輪状帯片を押しつぶすことで、輪状帯片の内側面と帯状体表面に配した係着面材とが係着して、口輪を構成する帯状体を圧着保持することができる。
【0010】
請求項4によれば、口輪をその動物に合わせて、帯片を固定すべき位置において、口輪を構成する帯状体を取り囲むように二つ折りすることで、帯片の内側面と帯状体表面に配した係着面材とが係着して、口輪を構成する帯状体を圧着保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明にかかる動物調教支援用具につき、一つの実施の態様を挙げ、添付の図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1、図2に動物調教支援用具1を示す。この動物調教支援用具1は、動物の首周りに、その動物に応じて調節して着脱可能に装着する構成の首輪2を備えている。
また、この首輪2には、口輪3を構成する帯状体を、交叉状態で遊動案内する案内輪体4を介して挿通している。そして、この口輪3は、動物に応じて口元を取り囲む輪の大きさを調節する調節係着部材5を備えている。
【0013】
前記首輪2は、周知の素材、例えば合成繊維を用いて織りこんで形成した帯状体で構成している。勿論、帯状体の素材としては、他の周知の素材も可能である。
また首輪2を構成する帯状体の両端側には、詳しくは説明しないが、装着すべき動物の首周りに、動物に応じて輪の大きさを調節し、且つループ状に着脱可能に連結する周知の構造の調節連結具6を設けている。
【0014】
前記口輪3は、前記首輪2同様、合成繊維を用いて織りこんで形成した帯状体で構成している。前記口輪3は、輪の中に前記首輪2を通して、交叉状態で遊動案内する案内輪体4を介して移動自在な状態にある。勿論、帯状体の素材としては、他の周知の素材も可能である。
なお、前記口輪3は、帯状体の両端側にリング部材7を縫着することでループ状に形成され、そして、前記リング部材7には、引き綱Lが連結されている。
【0015】
ここで、前記案内輪体4について説明する。案内輪体4は、口輪3を構成する帯状体が抵抗なく、首輪2に交叉状態で遊動案内できるように、且つ、脱落しないようにするもので金属製リングで構成することができ、前記口輪3を構成する帯状体を出入り自在としている。勿論、前記案内輪体4は、合成樹脂成形体でもよい。
【0016】
そして前記調節係着部材5は、前記口輪3を構成する帯状体を取り囲むように配置する輪状帯片8と、この輪状帯片8の内側面と帯状体表面に敷設した係着面材9とで構成している。
【0017】
以上のような動物調教支援用具1において、先ず動物の首周りに、首輪2をその動物の首周りに合わせて長さを調節して装着する。このとき、飼い主は、首輪2を構成する帯状体両端の調節連結具6を、それぞれ両手でもって動物の首を取り囲むように回し、ちょうど帯状体が動物の頭骨と首との境目と、喉仏の上側の位置を通過する位置に合わせて、首輪2が、首上で廻らない程度の調節具合で前記調節連結具6により、連結して装着状態とするとよい。
【0018】
次いで、口輪3を両手で拡げて動物の鼻先から差し入れて目元に至らしめ、下顎付根近傍を取り囲むようにもたらす。その際、口輪3は、前記首輪2に対して案内輪体4を介して自在に移動できるように交叉しているので、動物の鼻先から差し入れる際に、動物がいやがって首を鼻先を横に動かしても、それに合わせて口輪3を持っていくことができる。そして、前記口輪3を調節係着部材5によって、動物に応じて口元を取り囲む輪の大きさを調節して保持するようにする。
【0019】
その際、その動物に合わせて、調節係着部材5を構成する輪状帯片8を固定すべき位置に移動して、前記輪状帯片8を押しつぶすことで、輪状帯片8の内側面と帯状体表面に配した係着面材9とが係着して、目元から下顎付根近傍を取り囲むように口輪3を保持することができる。
【0020】
以上のようにして装着した動物調教支援用具1を用いて、引き綱Lを口輪3のリング部材7に連結して、引き連れれば、引き綱Lを介して口輪3を通じて、動物の敏感な口周りに、引き綱Lによる力が及ばされ、飼い主の意向が伝わり、無理強いすることなく、動物の暴走を抑えたり、意向に添うふるまいに、良好に導くことができる(図3参照)。
このように、この動物調教支援用具1を用いれば、動物の本能や、習性に基づく行動を、無理強いすることなく規制して、飼い主の求めるふるまいに調教することができ、しかも、部品点数を極力減らしてコストダウンが可能であり、取り扱い性、調教効果も申し分ない動物調教支援用具1を提供することができる。
【0021】
以上、本発明にかかる動物調教支援用具1につき、一つの実施の態様を挙げ説明したが、案内輪体4は次のように構成することもできる。
すなわち、案内輪体4としては、首輪2を跨いで対向位置させた第1の案内輪4aと第2の案内輪4bとで構成してもよい。これら第1案内輪4aと第2案内輪4bとは、連結杆4pで一体に連結している(図4参照)。
【0022】
以上のような動物調教支援用具1においては、口輪3をその動物に合わせて、輪の大きさを調節する際、首輪2を跨いで対向位置させた第1案内輪4aと第2案内輪4bを介して抵抗なく、移動させることができる。
【0023】
さらに本願発明における動物調教支援用具1の調節係着部材5は、次のように構成することもできる。
すなわち、調節係着部材5としては、図5に示すように、口輪3を構成する帯状体を取り囲むように配置する帯片10と、この帯片10の内側面と帯状体表面に配した係着面材9とで構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明にかかる動物調教支援用具の一つの実施の形態を示す、使用説明図である。
【図2】図1に示す動物調教支援用具の構成を示す、斜視図である。
【図3】本発明にかかる動物調教支援用具を動物に装着した状態を示す側面図である。
【図4】本発明にかかる動物調教支援用具の別の構成を示す、斜視図である。
【図5】本発明にかかる動物調教支援用具における調節係着部材の別例を示す、要部斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 動物調教支援用具
2 首輪
3 口輪
4 案内輪体
4a 第1案内輪
4b 第2案内輪
4p 連結杆
5 調節係着部材
6 調節連結具
7 リング部材
8 輪状帯片
9 係着面材
10 帯片
L 引き綱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の首周りに、その動物に応じて調節して着脱可能に装着する構成とした首輪と、この首輪に首輪に沿って移動自在に介装して、動物の鼻先から目元に至る箇所と、下顎付根近傍を取り囲むように差し入れて保持する一方、引き綱に連結してなる口輪とを備え、この口輪は、前記首輪に対し、交叉状態で口輪を構成する帯状体を遊動案内する案内輪体を介して挿通すると共に、動物に応じて口元を取り囲む輪の大きさを調節する調節係着部材を備えたことを特徴とする動物調教支援用具。
【請求項2】
前記案内輪体は、前記首輪を跨いで対向位置させた第1の案内輪と第2の案内輪とで構成したことを特徴とする請求項1記載の動物調教支援用具。
【請求項3】
前記口輪は帯状体で構成し、前記調節係着部材は、前記口輪を構成する帯状体を取り囲むように配置する輪状帯片と、この輪状帯片の内側面と帯状体表面に配した係着面材とで構成したことを特徴とする請求項1記載の動物調教支援用具。
【請求項4】
前記口輪は帯状体で構成し、前記調節係着部材は、前記口輪を構成する帯状体を取り囲むように配置する帯片と、この帯片の内側面と帯状体表面に配した係着面材とで構成したことを特徴とする請求項1記載の動物調教支援用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−158245(P2006−158245A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352054(P2004−352054)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(501346065)