説明

動物飼料におけるタンパク質およびデンプンのバイパス保護方法

反すう動物によるタンパク質、脂質、およびデンプンの利用効率を増加させるために、飼料と尿素-ホルムアルデヒドポリマーとを、架橋反応にとって適した量で混合する。混合物を、尿素-ホルムアルデヒドポリマーをタンパク質およびデンプンと共有結合させるのに十分な温度、水分含有量、および時間で加熱して、それによって第一胃の微生物による分解からタンパク質、デンプン、および含有脂質を保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜、より詳しくは反すう動物によるタンパク質、脂質、およびデンプンの利用を増加させるための家畜飼料、家畜飼料の調製、および家畜に給餌することに関する。
【背景技術】
【0002】
第一胃における飼料タンパク質の微生物分解を低減させるために、反すう動物飼料を処理することは公知である。タンパク質の微生物による分解を低減するために飼料を処理する様々な先行技術の方法には、(1)タンニンによる化学処理、(2)ホルムアルデヒドによる化学処理、(3)熱処理、(4)亜硫酸廃液の付加、(5)リグノスルホン酸カルシウムによるペレット化、および(6)還元糖と合わせた熱処理が含まれる。
【0003】
タンニンによる飼料の化学処理は、米国特許第3,507,662号(特許文献1)において開示されている。本特許は、水およびなめし剤による飼料の処理、ペーストの形成、および80℃を超えない温度での乾燥によって、第一胃での分解からタンパク質性動物飼料を保護するためのプロセスを開示する。Driedger (1972) J. Anim. Sci, 34:465(非特許文献1)によるその後の研究により、タンニンをペレット化の前に飼料に加えると、ペースト形成段階が不要となり、それでもなお第一胃での分解からタンパク質を有効に保護できるであろうことが示された。Driedgerは、大豆ミールに対して20%タンニンを用いた。しかし、タンニンは、第四胃でタンパク質を利用不可能にしうる非可逆的な酸化的濃縮を受け(Fergusson, 1974, page 453 in Digestion and Metabolism in the Ruminant, Univ. New England Publ. Unit, Armidale, New South Wales, Aust.(非特許文献2))、タンパク質を保護するための飼料処理における使用は広く商業的に認められていない。
【0004】
ホルムアルデヒドによる飼料の化学処理は、米国特許第3,619,200号(特許文献2)において記述されている。本特許は、ホルムアルデヒドによる処理を通してのタンパク質の化学改変によって、第一胃での分解から保護されるタンパク質性材料で構成される反すう動物用飼料を開示する。ホルムアルデヒドは、中性pHでアミノ基と反応して、メチロール基を形成し、これはさらに縮合してメチレン架橋を形成する。第四胃の酸性pHでは、この反応は逆であり、タンパク質は利用可能となり、ホルムアルデヒドを遊離させる(Fergusson, 1975(非特許文献3))。Hemsley, 1973, Australian J. Biol. Sci. 26:960(非特許文献4)は、最適な処理は0.8〜1.2%ホルムアルデヒドであると報告した。高レベルは、タンパク質を過剰保護して、窒素蓄積を低減させるであろう。Crawford, 1984, J. Dairy Sci. 67:1945(非特許文献5)は、最適な処理レベルは、第一胃の中の飼料の通過速度に応じて変化するであろうと報告した。これは非常に変化しやすいことから、ホルムアルデヒドを有効に用いることは難しい可能性がある。ホルムアルデヒドは、米国食品医薬品局によって米国における飼料中の殺生物剤として使用が承認されているが、第一胃における飼料タンパク質、脂質、またはデンプンの微生物分解を低減するために、反すう動物用飼料を処理するためには承認されていない。
【0005】
飼料の熱処理は、米国特許第3,695,891号(特許文献3)において示されている。タンパク質性飼料の加熱は、タンパク質の溶解度を低減させて、化学改変を通して酵素の攻撃部位を遮断することによって分解性を低減させる。しかし、反応は、感受性が高く、少なすぎる熱は保護を提供せず、多すぎる熱は下位消化管においてタンパク質を消化不能にするであろう(Sherrod, 1964, J. Anim. Sci. 23:510(非特許文献6)、およびPlegge, 1982, J. Anim. Sci. 55:395(非特許文献7))。
【0006】
飼料に亜硫酸廃液を加えることは、Larsen, 米国特許第4,377,596号(特許文献4)において示されている。Larsenは乳汁産生を増加させるために、飼料の0.25〜3.0重量%の量の亜硫酸廃液を含有する飼料を、高泌乳牛に給餌する方法を開示している。Larsenの飼料および亜硝酸廃液は、乳牛に給餌する前にいかなるさらなる処理も行わずに、混合機において単に共に混合される。Larsenは、亜硫酸廃液に存在するリグニンが、飼料中のタンパク質を、ウシの最初の三つの胃に存在する微生物による破壊から保護するように働くと推測した。さらに、Larsenは、亜硫酸廃液における木糖が、飼料において一般的に見いだされる穀粒および不消化食料に存在する材料のよりよい消化を補助する可能性があると推測した。しかし現在では、亜硫酸廃液に存在するリグニンは、第一胃における微生物による分解からタンパク質を保護するように働かず、亜硫酸廃液における木糖は飼料材料のよりよい消費を必ずしも提供しないことが示されている。
【0007】
リグノスルホン酸カルシウムによる飼料のペレット化は、Stern, Can. J. Anim. Sci. 64 (Suppl.): 27-28 (September 1984)(非特許文献8)において示されている。持続的な第一胃培養インビトロ試験に基づいて、Sternは、リグノスルホン酸カルシウムによる大豆ミールのペレット化は、第一胃における微生物の分解からタンパク質を保護する可能性があると結論した。しかし、リグノスルホン酸カルシウムは、タンパク質を保護する亜硫酸廃液中の活性成分ではなく、実際に、リグノスルホン酸カルシウムによるペレット化そのものによって、タンパク質の保護が起こらないことが発見されている。
【0008】
還元糖と合わせた熱処理は、米国特許第4,957,748号(特許文献5)および第5,023,091号(特許文献6)において記述されている。反すう動物による飼料中のタンパク質の利用効率を増加させるために、タンパク質および還元糖を含有する飼料を、メイラード反応にとって適した量で混合する。混合物は、初期メイラード反応を引き起こすが、進行メイラード反応は引き起こさないように十分な温度、pH、および時間で加熱される。好ましくは、糖は、亜硫酸廃液を飼料と混合することによって得られたキシロースである。
【0009】
米国特許第5,789,001号(特許文献7)において、反すう動物用飼料のための第一胃で不活性な脂肪は、脂肪種子の実に還元糖を適用する段階、および非酵素的褐変を誘導するために加熱する段階によって作製される。プロセスは、褐変の前に破砕された脂肪種子実の内部に還元糖が確実に浸透するように制御される。褐変反応は、油を取り囲むタンパク質を、第一胃の細菌による分解に対して抵抗性にして、それによって油を保護マトリクスで被包化する。
【0010】
先に記述した先行技術の方法は、いくつかの状況において経済的である可能性があるが、給餌されたタンパク質が動物によって用いられる効率を増加させることなどによって、最大の費用削減およびタンパク質の最善の利用を達成することが重要である。先行技術の飼料および方法は、いくつかの場合において、反すう動物の第一胃から小腸に実際に移動するタンパク質の量を増加させる努力において栄養的価値が低減した、または他の短所を有するタンパク質を提供することによって、これらの目標に達していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第3,507,662号
【特許文献2】米国特許第3,619,200号
【特許文献3】米国特許第3,695,891号
【特許文献4】Larsen, 米国特許第4,377,596号
【特許文献5】米国特許第4,957,748号
【特許文献6】米国特許第5,023,091号
【特許文献7】米国特許第5,789,001号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Driedger (1972) J. Anim. Sci, 34:465
【非特許文献2】Fergusson, 1974, page 453 in Digestion and Metabolism in the Ruminant, Univ. New England Publ. Unit, Armidale, New South Wales, Aust.
【非特許文献3】Fergusson, 1975
【非特許文献4】Hemsley, 1973, Australian J. Biol. Sci. 26:960
【非特許文献5】Crawford, 1984, J. Dairy Sci. 67:1945
【非特許文献6】Sherrod, 1964, J. Anim. Sci. 23:510
【非特許文献7】Plegge, 1982, J. Anim. Sci. 55:395
【非特許文献8】Stern, Can. J. Anim. Sci. 64 (Suppl.): 27-28 (September 1984)
【発明の概要】
【0013】
したがって、本発明の目的は、動物によるタンパク質、脂質、およびデンプンの利用効率を増加させる新規飼料を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、動物によるタンパク質、脂質、およびデンプンの利用効率を増加させるために、家畜に給餌する新規方法を提供することである。
【0015】
本発明のなおさらなる目的は、給餌されたタンパク質、脂質、およびデンプンの微生物による分解を低減させる飼料を調製するための新規方法を提供することである。
【0016】
本発明のなおさらなる目的は、給餌されたタンパク質、脂質、およびデンプンの、動物による利用効率を増加させるために尿素-ホルムアルデヒドポリマー(本明細書において以降、「UFポリマー」と呼ぶ)を利用するための新規技術を提供することである。
【0017】
本発明のなおさらなる目的は、これらの成分が下位消化管において利用されるように、第一胃におけるタンパク質、脂質、およびデンプンの分解の低減を示す新規飼料を提供することである。
【0018】
上記の目的に従って、本発明は、飼料におけるタンパク質、脂質、およびデンプン成分が反すう動物によってより効率よく利用されるように、タンパク質性およびデンプン飼料成分を処理するために、UFポリマー、水および熱を利用する新規プロセスである。新規動物飼料および動物に給餌する方法も同様に提供される。UFポリマーの使用を熱および時間と合わせると、ペレット化操作の際の単純な加熱によって達成されうるものよりはるかに過剰にタンパク質性、脂質、およびデンプン材料へのバイパス保護を提供する。
【0019】
本発明に従って作製された動物飼料には、かなりの量のタンパク質性材料とUFポリマーとの反応産物、およびかなりの量のデンプン材料とUFポリマーとの反応産物が含まれる。UFポリマー対タンパク質および/またはデンプンの比、温度、時間、および水分率パラメータは、反すう動物でタンパク質、脂質、および/またはデンプンの最大の保護を達成するように選択される。
【0020】
一般的に、タンパク質、脂質、およびデンプンは、高品質の飼料原料において見いだされるものである。反すう動物にとって適したタンパク質含有飼料は周知であり、これには、大豆ミール、他のビーンミール、綿実ミール、フェザーミール、血粉(blood meal)、サイレージ、肉骨粉、ヒマワリ種子ミール、キャノーラミール、落花生ミール、サフラワーミール、亜麻仁ミール、ゴマミール、開花初期豆果、魚製品、蒸留および醸造穀粒などの副産物タンパク質飼料原料、乳製品、家禽製品、乾草、トウモロコシ、小麦、アルファルファ、大麦、マイロ、モロコシ、タピオカ、およびその混合物、ならびに大豆、ヒマワリ種子、キャノーラ種子、菜種、綿実、トウモロコシ、フラックスシード、亜麻仁、サフラワー種子、ゴマ種子、およびその混合物などの脂肪種子が含まれる。反すう動物用デンプン含有飼料も同様に周知であり、これには、トウモロコシ、小麦、大麦、マイロ、モロコシ、タピオカ、およびその混合物が含まれる。反すう動物用脂質含有飼料も同様に周知であり、これには大豆、ヒマワリ種子、キャノーラ種子、菜種、綿実、トウモロコシ、フラックスシード、亜麻仁、サフラワー種子、ゴマ種子およびその混合物などの脂肪種子が含まれる。
【0021】
本発明の一つの局面において、動物用飼料は、飼料タンパク質および/またはデンプンとUFポリマーとの少なくとも一つの反応産物が含まれる、有機材料の混合物を含み、飼料に対するUFポリマーの百分率は、第一胃の微生物による飼料タンパク質および/またはデンプンの分解が低減され、第一胃より後の消化管におけるタンパク質および/またはデンプンの消化性が有意に低減しないように、約0.1重量%〜約3重量%である。
【0022】
本発明のもう一つの局面において、家畜飼料を作製する方法は、飼料に対するUFポリマーの百分率が約0.1重量%〜約3重量%であるように、飼料タンパク質および/またはデンプンとUFポリマーとの混合物を提供する段階、ならびに第一胃の微生物による飼料タンパク質および/またはデンプンの分解性を低減させるが、第一胃より後の消化管におけるタンパク質および/またはデンプンの消化性に有意な低減を提供しないように十分な時間、温度、pH、および水分率で混合物を加熱する段階を含む。この方法は、pH約4.0〜約10.5、好ましくは約6.0〜約8.5、水分率約6%〜約40%、好ましくは約15%〜約25%、温度約20℃〜約150℃、好ましくは約80℃〜約110℃、および時間約20分〜約72時間、好ましくは約30分〜約2時間を利用する。
【0023】
本発明のなおもう一つの局面において、反すう動物にとって適したタンパク質含有および/またはデンプン含有飼料を選択する段階、ならびに第一胃の微生物による飼料タンパク質および/またはデンプンの分解性を低減させるが、第一胃より後の消化管におけるタンパク質および/またはデンプンの消化性を有意に低減しないように、飼料に対するUFポリマーの百分率が約0.1重量%〜約3重量%である、飼料タンパク質および/またはデンプンとUFポリマーとの反応産物を反すう動物に給餌する段階を含む、動物に給餌する方法が提供される。タンパク質および/またはデンプン飼料とUFポリマーの混合物は、反応を引き起こすために十分であるが、第一胃より後の消化管におけるタンパク質およびデンプンの消化性を有意に低減させるには不十分である温度、pH、および水分率、ならびに時間で加熱される。
【0024】
本発明はさらに、第一胃で不活性な脂質を含む、動物用飼料を提供する。好ましくは、脂質は植物油である。このように、植物油は、第一胃の細菌によって水素添加されず、繊維消化も阻害しないが、植物油は小腸で消化可能であり、いくつかの状況において、その一部は動物の乳汁に移行することがある。脂質の一部または全てが植物油であれば、それらは、一価不飽和型または多価不飽和型であるその乳汁中の脂質の比率を増加させる可能性がある。
【0025】
保護は、UFポリマーと、脂肪種子の実において油を取り囲むタンパク質性有機材料との共有結合の形成によって達成される。反応産物によって、タンパク質性材料は細菌による分解に対してより抵抗性となり、それによって保護マトリクス中に油を被包化する。プロセスは、UFポリマーを脂肪種子の実に適用する段階、および結合を誘導するために加熱する段階を含む。プロセスは、反応が開始される前に、脂肪種子実の内部にUFポリマーが確実に浸透するように制御される。
【0026】
動物用飼料は、脂肪種子の実とUFポリマーとの少なくとも一つの反応産物を含む有機材料の混合物を含む。脂肪種子の実に対するUFポリマーの百分率は、総飼料に対するUFポリマーの総百分率が約0.1重量%〜約3.0重量%となるように、使用される種子およびUFポリマーに応じて、約0.1重量%〜約40重量%の範囲であってもよい。脂肪種子の実に対するUFポリマーの実際の百分率は、UFポリマーおよびタンパク質に依存する。脂肪種子実は、大豆、キャノーラ種子、綿実、ヒマワリ種子、亜麻仁、菜種、トウモロコシ、フラックスシード、サフラワー種子、およびゴマ種子、ならびにその混合物から選択される。
【0027】
動物飼料を作製する方法は、望ましい脂肪種子を選択する段階、種子を破砕する段階、破砕した種子にUFポリマーを適用する段階、UFポリマーを種子の内部に浸透させる段階、およびその後、UFポリマーと、脂肪種子において油を取り囲むタンパク質性有機材料との間で共有結合を引き起こすために十分な時間、温度および水分率で混合物を加熱して、それによって保護マトリクス中に油を被包化する段階を含む。破砕は、ローラーミルによる機械的方法などの任意の通常の方法で遂行されてもよい。
【0028】
UFポリマーの適用は、溶液としての適用が好ましく、同様に噴霧、滴下、混合等のような任意の従来の方法で行ってもよい。UFポリマーを種子に浸透させるには、蒸気を用いることが都合がよい。しかし、UFポリマーと種子の混合物を、加熱しながら、または加熱せずに浸漬させるなどの、それによってUFポリマーの浸透が起こる他の方法も同様に使用でき、その結果、十分量のUFポリマーがオイルボディのかなりの部分を取り囲んで、0.01〜10マイクロメートルの直径を有するオイルボディの半分より多くを結合させるように、UFポリマーが種子の内部に浸透する。
【0029】
最後に、混合物を、好ましくは蒸気によって加熱すると、約6重量%〜約40重量%の水分率、約20℃〜約150℃、および約20分〜約72時間で反応が起こる。好ましくは、蒸気は、UFポリマーを種子に浸透させるのみならず、その後蒸気によって共有結合を引き起こすために適当量の熱が維持される。同様に、種子内部にUFポリマーの浸透を増強するために、破砕前または後のいずれかで種子を乾燥させることができると理解すべきである。
【0030】
この改善されたバイパス保護飼料を、動物に供給される通常のタンパク質含有および/またはデンプン含有飼料の一部または全てと交換してもよく、それによって乳汁、肉、および/または羊毛産生効率が改善される。具体的には、産生収率の増加が、同じ飼料タンパク質およびデンプンレベルで得られる可能性があり、または同じ産生収率が、低減された飼料タンパク質およびデンプンレベルで得られる可能性がある。
【0031】
特に、第一胃で不活性な植物油は第一胃の細菌によって水素添加されず、そのために植物油は第一胃より後で消化可能であって、一価飽和または多価不飽和型で乳汁に移行されうる。一つの態様において、種子を選択して、いくつかの状況において、動物の乳汁における飽和および不飽和脂質の所望の混合物を提供するために、タンパク質または脂肪を添加する。
【0032】
先のおよび以降の説明から理解されうるように、新規飼料、飼料を作製する方法、および動物に給餌する方法は、優れた経済的飼料および動物に給餌する方法を提供する長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の先に記した特色および他の特色は、以下の添付の図面を参照して検討すると、以下の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。
【図1】100℃で60分間加熱した飼料原料に関するUFポリマーの用量の関数としての第一胃非消化タンパク質の割合を示すグラフである。
【図2】100℃で1重量%のUFポリマーと反応させた飼料原料に関する時間の関数としての第一胃非消化タンパク質の割合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
発明の詳細な説明
おおよそ、本動物飼料には、かなりの量のタンパク質とUFポリマーおよびデンプンとUFポリマーの反応産物が含まれる。UFポリマーは、尿素とホルムアルデヒドの縮合反応産物として周知である。UFポリマーにおけるホルムアルデヒド:尿素(F:U)の重量比は、典型的に2.0〜0.8であり、1.8〜1.0が好ましく、約1.6が最も好ましい。F:Uの比率がより低ければ、遊離のホルムアルデヒドはより低く、これは好ましい。同様に、本明細書において利用されるUFポリマーは時に、文献において「ポリカルビミド(polycarbimide)」と呼ばれることに注意すべきである。それらは、Borden Chemical, Inc.の商品名「Durite」などの多数の販売元から市販されている。
【0035】
本発明は、本明細書において望ましいバイパス保護を提供するためにホルムアルデヒドを利用するのではなく、その代わりに一つまたは複数のUFポリマーを利用することを明らかに理解すべきである。ホルムアルデヒドは、以下の式を有する単純なアルデヒドである:H2C=O。尿素は類似の構造を有するが、水素基がアミド基に置換されている:(NH2)2C=O。これらはいずれも低分子量を有する。
【0036】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーは、一方で、これらの二つのモノマーの様々なモル比で構成されるポリマーである。ポリマーの構造はF/U比に応じて変化するであろう。様々なポリマーの正確な構造は完全にはわかっていないが、UFポリマーは、ホルムアルデヒドまたは尿素のいずれかにおけるカルボキシル基とは異なる反応性を有する新規カルボキシル基(すなわちC=O)を含有し、すなわち、H2C=O + (NH2)2C=O --------> H2C(OH)-NH-C-NH2、C=O基を強調するために示される二量体は異なる;実際のポリマーはF/U比に応じて全く複雑となる。
【0037】
一般的に、用いられるタンパク質、脂質、およびデンプンは、高品質の動物飼料原料において見いだされるものである。反すう動物にとって適したタンパク質含有飼料は、周知であり、これには、大豆ミール、他のビーンミール、綿実ミール、フェザーミール、血粉、サイレージ、肉骨粉、ヒマワリ種子ミール、キャノーラミール、落花生ミール、サフラワーミール、亜麻仁ミール、ゴマミール、開花初期豆果、魚製品、蒸留および醸造穀粒などの副産物タンパク質飼料原料、乳製品、家禽製品、乾草、トウモロコシ、小麦、アルファルファ、大麦、マイロ、モロコシ、タピオカ、およびその混合物、ならびに大豆、ヒマワリ種子、キャノーラ種子、菜種、綿実、トウモロコシ、フラックスシード、亜麻仁、サフラワー種子、ゴマ種子、およびその混合物などの脂肪種子が含まれる。反すう動物用デンプン含有飼料も同様に周知であり、これには、トウモロコシ、小麦、大麦、マイロ、モロコシ、タピオカ、およびその混合物が含まれる。反すう動物用脂質含有飼料も同様に周知であり、これには大豆、ヒマワリ種子、キャノーラ種子、菜種、綿実、トウモロコシ、フラックスシード、亜麻仁、サフラワー種子、ゴマ種子およびその混合物などの脂肪種子が含まれる。
【0038】
本明細書において、「在来飼料」という用語は、反すう動物に通常給餌される飼料を意味する。そのような飼料は当技術分野において周知であり、これには先に記述した高品質のタンパク質、脂質、およびデンプン飼料、ならびに、高品質タンパク質飼料であると見なされないことから、処理において用いられる可能性がより低い、他の飼料が含まれる。そのような在来飼料には、好ましくは、先に記述した脂肪種子およびミールが含まれ、最も好ましくは大豆ミール、他のビーンミール、綿実ミール、フェザーミール、血粉、サイレージ、肉骨粉、ヒマワリ種子ミール、キャノーラミール、落花生ミール、サフラワーミール、亜麻仁ミール、ゴマミール、開花初期豆果、魚製品、蒸留および醸造穀粒などの副産物タンパク質飼料原料、乳製品、家禽製品、乾草、トウモロコシ、小麦、アルファルファ、大麦、マイロ、モロコシ、タピオカ、ならびにその混合物である。
【0039】
特定の飼料は、経済的理由または供給理由のために選択される可能性があるが、本明細書に記述の方法は、飼料によらず、全般的にタンパク質、脂質、およびデンプンに応用可能であることから、方法を行う段階は同じであっても、実際の反応産物は異なることがある。
【0040】
経済的理由から、このプロセスは、原則としてタンパク質サプリメントのために意図される。本明細書において、タンパク質サプリメントは、そのタンパク質の少なくとも25%が微生物によって分解されうるタンパク質である、少なくとも20%のタンパク質を含有する飼料原料である。本明細書における微生物によって分解されうるタンパク質は、微生物のプロテアーゼによって切断されるタンパク質である。
【0041】
同様に、「UFポリマーとタンパク質の反応産物」という用語および「UFポリマーとデンプンの反応産物」という用語は、本明細書において用いられる場合、(1)家畜に給餌する場合に有用であって、在来家畜飼料において一般的に見いだされる任意のタンパク質および/またはデンプン;ならびに(2)一つまたは複数のUFポリマーを、反応させることによって得られる縮合産物を意味する。一般的に、反応は、タンパク質におけるアミノ基とUFポリマーにおけるカルボニル基の間で起こると考えられる。
【0042】
この改善された飼料は、原料として、異なる適した在来飼料とUFポリマーとを利用する、いくつかの異なる方法で調製されてもよい。それぞれの場合において、反応は、動物の第一胃におけるタンパク質およびデンプンの微生物による分解を低減させる原料として用いられる飼料において、UFポリマーとタンパク質および/またはUFポリマーとデンプンの間で起こり、このように、動物の小腸における消化にとって利用可能なタンパク質およびデンプンを増加させる。
【0043】
この産物によって、第一胃の微生物による、タンパク質およびデンプンのより少ない分解、ならびにアンモニアなどの他の窒素化合物へのより少ない変換が起こる。最もふさわしくは、飼料材料は、反応を最大限にするためにUFポリマーと混合される。温度は、水分率および処理時間と共に、第一胃の微生物による分解に抵抗するがそれでもなお第一胃より後の消化管におけるタンパク質およびデンプンの消化性および使用を容認する化合物の産生を最大限にするように選択される。
【0044】
この飼料を形成する化学反応は、UFポリマーにおけるカルボニル基とタンパク質およびデンプンのアミノ基の間の縮合反応を含むと考えられる。反応は容易に起こり、反応を至適程度に行うために必要な温度、水分、および時間は、少しの実験で決定することができる。
【0045】
反応は一般的に、遊離のアミノおよびカルボニル基ならびに尿素ホルムアルデヒドの間の1モル対1モル反応であり、飼料における他の反応に対して何らかの検討を行えば、飼料について最も経済的に利用されるUFポリマーの量は、たとえ本明細書においていくつかの適した飼料材料が具体的に記述されていなくとも決定されうると考えられる。いくつかの状況においてより低い温度をより長い時間用いてもよく、または経済的な問題がある場合には高温でより短時間行ってもよいことから、時間、温度、および水分は許容差を提供する。
【0046】
一般的に、反応温度は約20℃〜約150℃の範囲であるが、80℃〜110℃が好ましく、反応時間は約20分〜約72時間の範囲であり、30分〜2時間が好ましい。水分量は反応に影響を及ぼし、水分率は、約6%〜約40%であり、15%〜25%が好ましい。
【0047】
一般的に、飼料は、UFポリマーを、適したタンパク質および/またはデンプン含有飼料と、制御された比率で所望の水分率で混合する段階、ならびに共有結合によって架橋反応を引き起こすために適した時間、温度を適用する段階によって調製される。このように、縮合産物は、UFポリマーとアミノ酸またはタンパク質の遊離のアミン基との間で1:1の比率で形成される。
【0048】
一つの局面において、反すう動物飼料は、飼料タンパク質とUFポリマーとの少なくとも一つの反応産物が含まれる有機材料の混合物を含有し、飼料に対するUFポリマーの百分率は、約0.1重量%〜約3重量%、好ましくは約0.25重量%〜約2.5重量%、および最も好ましくは約0.4重量%〜約1重量%である。
【0049】
もう一つの局面において、反すう動物飼料は、飼料デンプンとUFポリマーとの少なくとも一つの反応産物が含まれる有機材料の混合物を含有し、飼料に対するUFポリマーの百分率は、約0.1重量%〜約3重量%、好ましくは約0.25重量%〜約2.5重量%、および最も好ましくは約0.4重量%〜約1重量%である。
【0050】
タンパク質およびデンプンの供給源は、それが家畜にとって適したタンパク質およびデンプンである限り重要ではなく、そのようなタンパク質およびデンプンは周知である。一般的に、pHは4より上で10.5より下となるように、好ましくは6〜8.5となるように制御される。pHは、水酸化ナトリウムの添加を含む任意の適した方法によって制御される。
【0051】
家畜に給餌する場合、タンパク質使用効率の少なくとも50%およびいくつかの状況において100%の増加を考慮に入れて、タンパク質制限食から体重増を増加させるために、または飼料の費用を低減させるために用いてもよい。処理された飼料材料は、主に反すう動物のために意図され、したがって非処理高タンパク質飼料の代用品として用いることができる。いくつかの場合において、そうでなければ給餌されると考えられる対応する非処理タンパク質サプリメントを低減させることができ、処理されたタンパク質サプリメントのタンパク質使用効率が増加しているために、処理されたタンパク質飼料サプリメントの量は、非処理タンパク質サプリメントより少ない。
【0052】
本発明のもう一つの態様において、動物飼料には、脂質内部と、脂肪種子からのタンパク質性膜とUFポリマーとの反応産物で形成された外皮とを有する、かなりの量の小さい粒子が含まれる。好ましい態様において、この飼料を形成するために用いられる脂肪種子は、大豆、キャノーラ種子、綿実、トウモロコシ、フラックスシード、ヒマワリ種子、亜麻仁、菜種、サフラワー種子、およびゴマ種子などの高品質飼料において見いだされる脂肪種子である。
【0053】
本明細書において記述される改善された飼料は、原料として、適したタンパク質性脂肪種子の異なるものとUFポリマーの異なるものとを利用するいくつかの異なる方法で調製されてもよい。それぞれの場合において、反応は、UFポリマーと脂肪種子のタンパク質の間で起こり、これは油を保護的マトリクス内に被包化して、それによって区画全体および脂質内容物が第一胃の細菌による分解を逃れるがなおも、動物の小腸または第四胃において消化可能となるように、脂質を含有する保護されたタンパク質の区画を形成する。
【0054】
第一胃で不活性な植物油は、第一胃より後で消化可能となるため、その一部は、反すう動物の乳汁に多価不飽和型で移行する。植物油を「第一胃で不活性」にすることによって、飼料のエネルギー密度を増加させることができ、乳汁中の多価不飽和脂肪レベルは増加するが、同時に第一胃における細菌の水素添加によるトランス脂肪酸の形成を最小限にすることができる。「第一胃で不活性」とは、第一胃の細菌との相互作用が妨げられているが、なおも第一胃より後の消化管において消化および吸収にとって利用できるようになることを意味する。
【0055】
タンパク質性脂肪種子に対するUFポリマーの割合は、総飼料に対する約1%〜約3%の量が適切であるように、使用する種子およびUFポリマーに応じて、約0.1重量%〜約40重量%の範囲である。
【0056】
一般的に、飼料は、望ましい脂肪種子または種子の混合物を最初に選択する段階、および次に、機械的破砕、たとえばローラーミル操作によって種子のクチクラを破断する段階によって調製される。種子のクチクラを破断または破砕するいかなる方法も、プロセスの際に種子がその油を放出するように破砕されない限り使用してもよい。
【0057】
破砕後、UFポリマーを種子の外部に、任意の通常の方法で、好ましくは溶液の状態で適用することによって、種子をUFポリマーによって処理する。たとえば、UFポリマーは、その上に溶液を噴霧する段階、その上に溶液を滴下する段階、混合する段階、またはその他の手段によって適用してもよい。
【0058】
その後、混合物におけるUFポリマーを、種子の内部に浸透させる。これは、加熱して、または加熱せずに遂行されうる。熱を利用しない場合、種子の内部にUFポリマーを確実に浸透させるために、混合物を典型的に約1分〜1時間浸漬させる。熱を利用して、UFポリマーを種子に浸透させてもよい。
【0059】
熱を使用する場合、蒸気が好ましい。蒸気による加熱は、種子の表面からその中心への水分の正味の移動を引き起こし、よってそれと共にUFポリマーを種子の内部に運ぶ。熱とUFポリマーとがこのように同時に浸透することは、種子粒子全体を通してのより均一な保護に寄与する。このようにすると、その後種子粒子をすりつぶした際、タンパク質の保護は失われず、その中に含有される植物油は、第一胃で不活性のままである。このようにして、動物が咀嚼しても、保護を破壊することができない。
【0060】
UFポリマーによる十分な浸透の後、種子およびUFポリマーを、共有結合を形成させるために十分な温度、水分レベル、および時間で加熱する。浸漬を使用する場合、混合物を熱い空気によって焙焼するか、または蒸気によって加熱することができる。同様に、UFポリマーを浸透させるために蒸気を使用する場合、その後所望の共有結合を生じるように加熱を維持する。この場合も、熱い空気による焙焼または蒸気による加熱を使用して結合を引き起こしてもよいが、UFポリマーを浸透させるために蒸気を用いた場合、結合が起こるまで蒸気を用い続けることが望ましい。このように、「十分な浸透」という用語は、本明細書において、共有結合反応が起こるように、および脂肪種子内のリピッドボディ(lipid body)が第一胃で不活性となるように、適切な加熱および時間の後に、脂質の少なくとも30%が十分に被われるように、十分なUFポリマーが脂肪種子内に分布することを意味する。
【0061】
任意の段階として、種子を破砕の前後に乾燥させてもよい。典型的に、これは熱い空気による加熱によって成就される。UFポリマー溶液の適用前に種子を乾燥させることに対する長所は、低い水分含有量の種子はその内部にUFポリマー溶液をその内部に吸い込む傾向があることから、乾燥した種子が種子内部にUFポリマーをより容易に吸収することである。しかし、乾燥は製造コストを増加させ、このように、本発明に従う脂質の保護において本質的ではない。
【0062】
得られた産物には、1/2マイクロメートルから10マイクロメートルまでの大きさの範囲のリピッドボディが含まれるが、脂肪種子のタイプに応じて、大きさの範囲は集中する。大豆の場合、大きさの範囲は0.5〜2マイクロメートルである。これらのボディには、タンパク質とUFポリマーとの反応産物によって取り囲まれるそのインサイチュー天然型の脂質が含まれ、脂質に対する反応産物の比率は1%〜35%である。タンパク質の層は、脂質層より密度が高くて比較的薄く、厚さはオイルボディの直径の10%未満である。タンパク質とUFポリマーとの反応産物内で油を保護するこれらのボディは、本明細書においてバイパス保護された油粒子と呼ばれる。
【0063】
処理された脂肪種子においてバイパス保護油粒子が形成されると、保護粒子が非常に小さく多くが無傷のまま残っていることから、脂肪種子をすりつぶして、実質的に第一胃で不活性な油を有するすりつぶされたミールを提供してもよい。脂質周囲の外皮を形成するタンパク質のタイプは、オレオシンであり、タンパク質とUFポリマーの反応産物は、第一胃の微生物による飼料タンパク質の分解性が低減され、第一胃より後の消化管において有意なタンパク質および脂質消化性が存在するように、約0.5重量%〜約40重量%のオレオシンに対するUFポリマーの比率を有する。
【0064】
飼料中のバイパス保護脂質の量は、状況に合わせて調整することができる。このように、タンパク質の量および保護された脂質の量を、所定の飼料において決定することができる。その上、いくつかの実験によって、泌乳反すう動物の乳汁に変化せずに持ち越される保護された脂質の量を決定して、少なくともいくつかのバイパス保護脂質が含まれる飼料の最終組成を、乳汁の特徴を所望の型に変化させるように選択してもよい。
【0065】
大豆の第一胃非消化タンパク質(RUP)および第一胃非消化脂肪(RUF)を含む全飼料配合の例は以下の通りと考えられる:

量は乾燥物質の百分率として表記される。この配合は、18.9%の粗タンパク質および4.5%の添加脂質を提供する。
【0066】
大豆ミールからのRUPを含む全飼料配合の例は、以下の通りと考えられる:

量は、乾燥物質の百分率として表記される。この配合は、16.3%の粗タンパク質を提供する。
【0067】
本技術を利用可能な市販の飼料の例には、Lake O 'Lakes Purina Feeds LLCのRallyおよびMetaProが含まれる。Rallyは高エネルギー(脂質)配合飼料であり、MetaProは、タンパク質効率を最大限にするように配合されている(RUP)。
【0068】
実施例1
溶媒抽出大豆ミールをふるいにかけて、試験のための粒子範囲を直径0.8〜1.7 ミリメートルとした。一部を、陰性対照(対照)として作用するようにいかなる処理も行わずに残しておいた。第二の部分を、Xylig(商標)が混合物の乾燥物質の5%を含み、およそ1%キシロースを提供するように、キシロースに富むリグノスルホネート(Xylig(商標))と合わせた。混合する前に、十分量の水をXylig(商標)に加えて、最終混合物の総水分含有量を20%にした。蓋をしたビーカーの中に混合物を入れて、マイクロ波においておよそ95℃まで急速に加熱した後、105℃の対流オーブンに60分間移した。得られた暗褐色(メイラード反応)材料を紙の上に広げて冷却および乾燥させた。この非酵素的褐変大豆ミール(NEBSBM)は陽性対照であった。第三の部分を、Xylig(商標)をBorden Chemical社が製造する液体ポリカルビミドであるDurite AL3029R(商標)に交換したことを除き、類似の方法で処理した。
【0069】
試料を、乾燥物質(DM)の百分率として報告される粗タンパク質(CP)に関して試験した。試料を、乳牛の第一胃に浮遊させた多孔性のダクロンバッグにおいて16時間インキュベートすることによって第一胃非分解タンパク質(RUP)に関して試験した後、残留粗タンパク質を測定して、バッグに存在する当初のタンパク質の百分率として報告した。
【0070】
(表A)5%Durite(商標)の効果

【0071】
5%Durite(商標)による処理によって、陽性対照と類似であるRUPレベルが得られた。さらに、窒素性ポリマーであるDurite(商標)による処理は、試料中の粗タンパク質レベルを増加させた。これは、製品の最終用途が反すう動物のためのタンパク質源としてであることから重要な長所である。
【0072】
実施例2
試料を、用いた処理物質を除き、実施例1と同様に調製した。1群は、非酵素的に褐変した市販のバイパス大豆ミールであるSoyPass(商標)の異なる三つのロットからなる陽性対照であった。3群は、5%Xylig(商標)によって処理した実験試料からなる第二の陽性対照であった。Xylig(商標)は、およそ1%キシロースに寄与し、窒素を含有しない、キシロースに富むリグノスルホネートである。処理法は、3群の混合物のpHを苛性物質を加えることによって上昇させたことを除き、実施例1と同じであった。2群は、5%Xylig(商標)の代わりに1%および2%Durite(商標)によって処理した。Xylig(商標)の代わりにDurite(商標)を用いると、増加した粗タンパク質を有する類似のRUPレベルを再度生じたことを本実施例は示している。
【0073】
(表B)1%および2%Durite(商標)の有効性

【0074】
実施例3
試料を、実施例1と同様に調製した。0.25、0.5、および1.0%で適用したDurite(商標)は、唯一の処理物質であった。結果は、0.5%Durite(商標)が1.0%とほぼ同程度に有効であることを示している。
【0075】
(表C)低レベルのDurite(商標)の有効性

【0076】
実施例4
試料は、加熱時間を、標準的な60分間の加熱の代わりに1〜40分間の間で変化させたことを除き、実施例1と同様に調製した。処理物質は1%Durite(商標)またはAldrich Chemicalの1%キシロース糖であった。Durite(商標)のわずか1分間の加熱によってRUPの実質的な増加を生じたが、キシロースは効果を示さなかった。Durite(商標)による20分間の加熱後、産物は70%より多くの所望のRUPレベルを達成した。キシロースの場合、類似のレベルを達成するためには40分が必要であった。
【0077】
(表D)Durite(商標)対キシロースの加熱必要条件

【0078】
実施例5
試料は、大豆ミールをふるいにかけずに販売元から受領したまま用いたことを除き、実施例1と同様に調製した。さらに、加熱時間を1〜20分まで変化させた。処理物質は、0.5または1.0%Durite(商標)および5%Xylig(商標)であった。結果は、5%Xylig(商標)による処理が粗タンパク質含有量を低減させたのに対し、Durite(商標)による処理は粗タンパク質に寄与することを示す。望ましいRUPレベル(70%より多く)は、Durite(商標)について乾燥時間わずか10分で達成されたが、Xylig(商標)では20分を必要とした、Durite(商標)は、0.5%でXylig(商標)の5%と同程度に有効であった。
【0079】
(表E)Durite(商標)対Xylig(商標)の加熱必要条件

【0080】
実施例6
試料は、大豆ミールをふるいにかけずに販売元から受領したまま用いたことを除き、実施例1と同様に調製した。Durite(商標)を1%レベルで適用して全ての試料に関して加熱時間は30分間であった。処理混合物の総水分は、10〜30%の間で変化した。10%および30%を含有する試料を調製して、2つ組で試験した。結果は、成績が30%の水分で満足できるままであるが、そのレベルより減退する傾向があることを示している。試料421-25-3を、第一胃においてさらに72時間インキュベートし、その後当初の乾燥物質10.7%のみが残った。これは、Durite(商標)処理試料が消化可能であることを示している。
【0081】
(表F)1%Durite(商標)によるRUPに及ぼすプロセス水分の効果

【0082】
実施例7
様々なタンパク質性飼料成分を、混合物の総水分を20%にするために1%Durite(商標)および十分な水によって処理した。大豆、キャノーラ種子、および亜麻仁を、処理の前に粗くすりつぶした。キャノーラミールは、販売元から受領したまま用いた。試料を水のみ、または水に1%Durite(商標)を加えたものによって処理した。これらの試料を蓋付きビーカーに入れて、マイクロ波オーブンにおいておよそ95℃まで加熱して、105℃の対流オーブンにおいて1時間保持した。次に試料を紙上に広げて、室温で冷却および乾燥させた。
【0083】
これらの試料を粗タンパク質(CP)および粗脂肪(CF)に関して試験し、いずれも乾燥物質(DM)の百分率として報告した。試料はまた、乳牛の第一胃に浮遊させた多孔性のダクロンバッグにおいて16時間インキュベートすることによって、第一胃非分解タンパク質(RUP)および第一胃非消化脂肪(RUF)に関しても試験した。インキュベーション後、残留乾燥物質を粗タンパク質および粗脂肪に関して試験した。RUPおよびRUF値は、当初加えた量に対するバッグに残っている残留タンパク質および脂肪の百分率として計算する。
【0084】
1%Durite(商標)による処理は、試験した四つの飼料成分のそれぞれにおいてRUPを実質的に増加させた。さらに、破砕した大豆およびキャノーラ種子のRUFは、Durite(商標)による処理によって増加した。
【0085】
(表G)1%Durite(商標)による様々な飼料成分の保護

CP=粗タンパク質、DMD=乾燥物質の消失、RUP=第一胃非分解タンパク質、RUF=第一胃非消化脂肪、NA=分析していない。
【0086】
実施例8
乳牛用の市販の穀粒濃厚飼料を、混合物の総水分が20%となるように、1%Durite(商標)および十分な水によって処理した。この酪農飼料の組成は:大麦、45%;オートミール、25%;大豆ミール、10%;小麦、7%;菜種、5%;糖蜜、5%;およびビタミン3%であった。混合物を蓋付きビーカーに入れて、マイクロ波オーブンにおいておおよそ95℃まで加熱し、105℃の対流オーブンにおいて30分間維持した。次に、試料を紙の上に広げて室温で冷却および乾燥させた。
【0087】
処理および非処理酪農濃厚飼料の試料を、乾燥物質(DM)の百分率として粗タンパク質(CP)に関して試験した。試料はまた、乳牛の第一胃に浮遊させた多孔性のダクロンバッグにおいて16時間インキュベートすることによって、第一胃非分解タンパク質(RUP)に関して試験した。インキュベーション後、残留非消化乾燥物質(RUDM)の重量を測定して、粗タンパク質に関して試験した。RUPおよびRUDM値を、当初加えた量に対するバッグ中の残留タンパク質および残留乾燥物質の百分率として計算した。
【0088】
当初の乾燥物質の21.9%のみが第一胃での16時間のインキュベーション後消化されないままであった。これは、タンパク質1.8単位および他の飼料成分20.1単位を含有した。この「他の」材料は、消化されない穀類の外殻でほとんど構成される。1%Durite(商標)による処理によって、RUDMは40.5%まで増加したが、これにはRUP 10.5単位および非タンパク質材料30単位が含まれた。非タンパク質材料の9.9単位の正味の増加は主に、穀類穀粒の主成分であるデンプンで構成される。このように、穀類穀粒濃厚飼料のDurite(商標)による処理は、第一胃における消化からデンプンを保護するというさらなる利益を有する。
【0089】
(表H)混合酪農飼料に対する1%Durite(商標)処理の効果

【0090】
実施例9
大豆ミールを、様々な市販のポリカルビミドに基づく結合剤およびDurite(商標)を用いてペレット化した。ポリカルビミド結合剤は、粉末型であり、これを大豆ミールに1%レベル(w/w)で混合した。混合物を、蒸気を直接加えることによって80℃に整えて、1〜1/4×5/32インチの型(L×D)の中に押し出した。強制空気流での蒸発冷却によって、ペレットを急速に室温に戻した。コンディショニングチャンバにおいてそれが飼料に霧状に噴霧されるように、液体Durite(商標)を蒸気供給に加えることによって適用した。Durite(商標)の適用レベルは0.9%(乾燥物質w/w)であった。
【0091】
ペレット化した試料を粗くすりつぶして、これまでの実施例と同様に粗タンパク質およびRUPに関して試験した。市販のポリカルビミドに基づくペレット結合剤によるペレット化は、RUPに対して無視できる影響を有した。これらの結合剤によるRUP値は、類似の量のDurite(商標)を適用した場合に、平均で32.9%対40.3%であった。
【0092】
(表I)ペレット化大豆ミールにおける市販のポリカルビミド結合剤に対するDurite(商標)の比較

【0093】
実施例10
溶媒抽出大豆ミールを、直径0.8〜1.7ミリメートルの試験用粒子範囲となるようにふるいにかけた。一部を陰性対照(対照)として役立つように処理を行わずに残しておいた。第二の部分を、固体ベースで0.75重量%のExp 710と表示されるDYNEA樹脂からの粉末UFポリマーと合わせた。混合する前に、総水分含有量が20重量%となるように、十分量の水を大豆ミール/UFポリマー混合物に加えた。混合物をキッチンスチーマーに60分間入れた。得られた材料を105℃で15分間オーブンで乾燥させ、紙の上に広げて冷却および乾燥させた。対照部分を、UFポリマーを加えなかったことを除き、同様の様式で処理した。
【0094】
試料を粗タンパク質(CP)に関して試験して、これを乾燥物質(DM)の百分率として報告した。試料を、乳牛の第一胃に浮遊させた多孔性のダクロンバッグにおいて16時間インキュベートすることによって、第一胃非分解タンパク質(RUP)に関して試験し、その後残留粗タンパク質を測定して、バッグに入れた当初のタンパク質の百分率として報告した。
【0095】
(表A)1%Exp 710粉末の効果

【0096】
0.75%Exp710による処理によって、対照より優れたRUPレベルが得られた。さらに、窒素性ポリマーであるExp710による処理によって、試料中の粗タンパク質レベルが増加した。これは、製品の最終用途が、反すう動物のタンパク質源としてであることから重要な長所である。
【0097】
上記の説明から理解されうるように、新規飼料、飼料を作製する方法、および動物に給餌する方法は、優れた経済的飼料および動物に給餌する方法を提供する長所を有する。
【0098】
好ましい態様をいくぶん詳細に記述してきたが、本発明から逸脱することなく、多くの改変および変更を好ましい態様に行ってもよい。したがって、添付の特許請求の範囲において、本発明は具体的に記述されている以外に実践してもよいと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一胃の微生物による飼料タンパク質の分解性が低減され、かつ第一胃より後の消化管におけるタンパク質の消化性が有意に低減されないように、タンパク質含有飼料に対する尿素-ホルムアルデヒドポリマーの百分率が約0.1重量%〜約3重量%である、飼料タンパク質と尿素-ホルムアルデヒドポリマーとの少なくとも一つの反応産物を含む有機材料の混合物を含む、反すう動物のための飼料。
【請求項2】
前記飼料タンパク質が、ビーンミール、綿実ミール、フェザーミール、血粉(blood meal)、サイレージ、肉骨粉、ヒマワリ種子ミール、キャノーラミール、落花生ミール、サフラワーミール、亜麻仁ミール、ゴマミール、開花初期豆果、魚製品、副産物タンパク質飼料原料、乳製品、家禽製品、乾草、トウモロコシ、小麦、アルファルファ、大麦、マイロ、モロコシ、タピオカ、大豆、ヒマワリ種子、キャノーラ種子、菜種、綿実、フラックスシード、亜麻仁、サフラワー種子、ゴマ種子、およびその混合物からなる群より選択される飼料原料の成分である、請求項1記載の飼料。
【請求項3】
ビーンミールが大豆ミールである、請求項2記載の飼料。
【請求項4】
副産物タンパク質飼料原料が、蒸留穀粒を含む、請求項2記載の飼料。
【請求項5】
タンパク質含有飼料に対する尿素-ホルムアルデヒドポリマーの百分率が、約0.4重量%〜約1重量%である、請求項1記載の飼料。
【請求項6】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーが、ホルムアルデヒド対尿素の重量比約2.0〜約0.8を有する、請求項1記載の飼料。
【請求項7】
以下の段階を含む、反すう動物の飼料を作製する方法:
タンパク質含有飼料に対する尿素-ホルムアルデヒドポリマーの百分率が約0.1重量%〜約3重量%である、飼料タンパク質と尿素-ホルムアルデヒドポリマーの混合物を提供する段階;ならびに
第一胃の微生物による飼料タンパク質の分解性を低減し、かつ第一胃より後の消化管におけるタンパク質消化性の有意な低減を提供しないように、十分な時間、温度、pHおよび水分率で混合物を加熱する段階。
【請求項8】
前記水分率が約6重量%〜約40重量%である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記温度が約20℃〜約150℃である、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記時間が約20分〜約72時間である、請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記水分率が、約15重量%〜約25重量%である、請求項7記載の方法。
【請求項12】
前記温度が約80℃〜約110℃である、請求項7記載の方法。
【請求項13】
前記時間が約30分〜約2時間である、請求項7記載の方法。
【請求項14】
前記飼料タンパク質が、ビーンミール、綿実ミール、フェザーミール、血粉、サイレージ、肉骨粉、ヒマワリ種子ミール、キャノーラミール、落花生ミール、サフラワーミール、亜麻仁ミール、ゴマミール、開花初期豆果、魚製品、副産物タンパク質飼料原料、乳製品、家禽製品、乾草、トウモロコシ、小麦、アルファルファ、大麦、マイロ、モロコシ、タピオカ、大豆、ヒマワリ種子、キャノーラ種子、菜種、綿実、フラックスシード、亜麻仁、サフラワー種子、ゴマ種子、およびその混合物からなる群より選択される飼料原料の成分である、請求項7記載の方法。
【請求項15】
副産物タンパク質飼料原料が、醸造穀粒を含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ビーンミールが大豆ミールである、請求項14記載の方法。
【請求項17】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーが、ホルムアルデヒド対尿素の重量比約2.0〜約0.8を有する、請求項7記載の方法。
【請求項18】
以下の段階を含む、反すう動物に給餌する方法:
タンパク質含有飼料を選択する段階;および
該飼料中のタンパク質と尿素-ホルムアルデヒドポリマーとの反応産物を反すう動物に給餌する段階であって、第一胃の微生物によるタンパク質の分解性が低減され、かつ第一胃より後の消化管におけるタンパク質消化性が有意に低減しないように、タンパク質含有飼料に対する尿素-ホルムアルデヒドポリマーの百分率が約0.1重量%〜約3重量%である、段階。
【請求項19】
前記飼料タンパク質が、ビーンミール、綿実ミール、フェザーミール、血粉、サイレージ、肉骨粉、ヒマワリ種子ミール、キャノーラミール、落花生ミール、サフラワーミール、亜麻仁ミール、ゴマミール、開花初期豆果、魚製品、副産物タンパク質飼料原料、乳製品、家禽製品、乾草、トウモロコシ、小麦、アルファルファ、大麦、マイロ、モロコシ、タピオカ、大豆、ヒマワリ種子、キャノーラ種子、菜種、綿実、フラックスシード、亜麻仁、サフラワー種子、ゴマ種子、およびその混合物からなる群より選択される飼料原料の成分である、請求項18記載の反すう動物に給餌する方法。
【請求項20】
副産物タンパク質飼料原料が、蒸留穀粒を含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
副産物タンパク質飼料原料が、醸造穀粒を含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
ビーンミールが大豆ミールである、請求項19記載の方法。
【請求項23】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーが、ホルムアルデヒド対尿素の重量比約2.0〜約0.8を有する、請求項18記載の方法。
【請求項24】
第一胃の微生物による飼料デンプンの分解性が低減され、かつ第一胃より後の消化管におけるデンプンの消化性が有意に低減しないように、デンプン含有飼料に対する尿素-ホルムアルデヒドポリマーの百分率が約0.1重量%〜約3重量%である、飼料デンプンと尿素-ホルムアルデヒドポリマーの少なくとも一つの反応産物を含む有機材料の混合物を含む、反すう動物のための飼料。
【請求項25】
前記デンプンが、トウモロコシ、小麦、大麦、マイロ、モロコシ、タピオカ、およびその混合物からなる群より選択される飼料原料の成分である、請求項24記載の飼料。
【請求項26】
デンプン含有飼料に対する尿素-ホルムアルデヒドポリマーの百分率が、約0.4重量%〜約1重量%である、請求項24記載の飼料。
【請求項27】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーが、ホルムアルデヒド対尿素の重量比約2.0〜約0.8を有する、請求項24記載の飼料。
【請求項28】
以下の段階を含む、反すう動物の飼料を作製する方法:
デンプンを含有する飼料に対する尿素-ホルムアルデヒドポリマーの割合が、約0.1重量%〜約3重量%である、飼料デンプンと尿素-ホルムアルデヒドポリマーの混合物を提供する段階;ならびに
第一胃の微生物による飼料デンプンの分解性が低減し、かつ第一胃より後の消化管におけるデンプンの消化性の有意な低減を提供しないように、十分な時間、温度、pH、および水分率で混合物を加熱する段階。
【請求項29】
前記水分率が約6重量%〜約40重量%である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記温度が約20℃〜約150℃である、請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記時間が約20分〜約72時間である、請求項28記載の方法。
【請求項32】
前記水分率が約15重量%〜約25重量%である、請求項28記載の方法。
【請求項33】
前記温度が約80℃〜約110℃である、請求項28記載の方法。
【請求項34】
前記時間が約30分〜約2時間である、請求項28記載の方法。
【請求項35】
前記デンプンが、トウモロコシ、小麦、大麦、マイロ、モロコシ、タピオカ、およびその混合物からなる群より選択される飼料原料の成分である、請求項28記載の方法。
【請求項36】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーが、ホルムアルデヒド対尿素の重量比約2.0〜約0.8を有する、請求項28記載の方法。
【請求項37】
以下の段階を含む、反すう動物に給餌する方法:
デンプン含有飼料を選択する段階;ならびに
該飼料中のデンプンと尿素-ホルムアルデヒドポリマーの反応産物を反すう動物に給餌する段階であって、第一胃の微生物によるデンプンの分解性が低減され、かつ第一胃より後の消化管におけるデンプンの消化性が有意に低減しないように、デンプン含有飼料に対する尿素-ホルムアルデヒドポリマーの割合が約0.1重量%〜約3重量%である、段階。
【請求項38】
前記デンプンが、トウモロコシ、小麦、大麦、マイロ、モロコシ、タピオカ、およびその混合物からなる群より選択される飼料原料の成分である、請求項37記載の反すう動物に給餌する方法。
【請求項39】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーが、ホルムアルデヒド対尿素の重量比約2.0〜約0.8を有する、請求項37記載の反すう動物に給餌する方法。
【請求項40】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーとタンパク質性材料の反応産物を含む薄膜によって少なくとも部分的に被われている、破断されていないリピッドボディ(lipid body)オルガネラを有することを含む有機材料の混合物を含む、動物のための飼料。
【請求項41】
反応産物が、オレオシンと尿素-ホルムアルデヒドポリマーの反応産物である、請求項40記載の飼料。
【請求項42】
反応産物が、タンパク質性材料の1重量%〜35重量%の範囲内にある、請求項40記載の飼料。
【請求項43】
以下の段階を含む、泌乳反すう動物のための飼料を作製する方法:
乳汁の最終用途を選択する段階;
乳汁中の飽和脂肪に対する植物性の不飽和脂肪の望ましい割合を決定する段階;
望ましい植物油を有する脂肪種子を選択する段階;
選択された脂肪種子の少なくとも一部に尿素-ホルムアルデヒドポリマーおよび熱を適用させる段階であって、脂肪種子内の、リピッドボディを有する少なくともいくつかの破断されていないオルガネラが、少なくとも部分的にバイパス保護されるようになる、段階;ならびに
バイパス保護された脂肪種子を、泌乳反すう動物の乳汁中の飽和脂肪に対する植物性の不飽和脂肪の望ましい比のために必要なもう一つの飼料と、ある比率で混合する段階であって、産生された乳汁が実質的に望ましい組成である、段階。
【請求項44】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーおよび熱を適用させる段階が、該尿素-ホルムアルデヒドポリマーを脂肪種子に浸透させて、かつリピッドボディのかなりの部分に接触させる段階を含み、かつ
該熱が、第一胃で不活性な膜中に被包化されたかなりの数のリピッドボディを形成するような様式で適用される、請求項43記載の方法。
【請求項45】
第一胃で不活性な膜がオレオシンでありかつ尿素-ホルムアルデヒドポリマーとタンパク質性材料との反応産物とされ、かつ被包化されたボディが0.1〜10マイクロメートルの範囲の直径を有する、請求項44記載の方法。
【請求項46】
以下の段階を含む、反すう動物飼料を作製する方法:
植物油を有する脂肪種子を選択する段階;
尿素-ホルムアルデヒドポリマーおよび熱を、選択された脂肪種子の少なくともいくつかのリピッドボディに適用させる段階であって、脂肪種子内の少なくともいくつかの無傷のリピッドボディオルガネラが、少なくとも部分的にバイパス保護されるようになる、段階;ならびに
選択されたタイプのバイパス保護脂肪種子を反すう動物に給餌する段階。
【請求項47】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーおよび熱を適用させる段階が、尿素-ホルムアルデヒドポリマーを脂肪種子に浸透させて、かつリピッドボディのかなりの部分と接触させるようにする段階を含み、かつ
該熱が、かなりの数のリピッドボディを第一胃で不活性な膜中に被包化させるような様式で適用される、請求項46記載の方法。
【請求項48】
第一胃で不活性な膜がオレオシンでありかつ尿素-ホルムアルデヒドポリマーとタンパク質性材料との反応産物とされ、かつ被包化されたボディが0.1〜10マイクロメートルの範囲の直径を有する、請求項47記載の方法。
【請求項49】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーおよび熱を適用させる段階が、リピッドボディ表面上の遊離のアミノ基と、尿素-ホルムアルデヒドポリマーのカルボニル基の間の1モル対1モル反応を引き起こす段階を含む、請求項46記載の方法。
【請求項50】
熱および尿素-ホルムアルデヒドポリマーが、脂肪種子のリピッドボディを取り囲む十分なαおよびεアミノ基を、尿素-ホルムアルデヒドポリマーのカルボニル基と反応させて、第一胃における脂質の分解を低減させる反応産物を形成する、請求項46記載の方法。
【請求項51】
以下の段階を含む、反すう動物飼料を作製する方法:
その内部に破断されていないリピッドボディオルガネラを含み、反すう動物によって消化可能なタンパク質および植物油を含有する脂肪種子を提供する段階;
脂肪種子を破砕してその内部を露出する段階;
尿素-ホルムアルデヒドポリマーを該破砕脂肪種子に適用して混合物を形成する段階;
尿素-ホルムアルデヒドポリマーと破砕脂肪種子の混合物を処理して、該破砕脂肪種子内部に尿素-ホルムアルデヒドポリマーを浸透させる段階;ならびに
尿素-ホルムアルデヒドポリマーと脂肪種子のタンパク質の間に共有結合を引き起こして、それによって該脂肪種子タンパク質を第一胃の微生物分解に対して抵抗性にして、かつリピッドボディの少なくともいくつかを保護膜中に被包化するのに十分な温度および時間で、尿素-ホルムアルデヒドポリマーと破砕脂肪種子とを加熱する段階。
【請求項52】
前記脂肪種子が、大豆、キャノーラ種子、綿実、トウモロコシ、フラックスシード、ヒマワリ種子、亜麻仁、菜種、サフラワー種子、ゴマ種子、およびその混合物からなる群より選択される、請求項51記載の方法。
【請求項53】
脂肪種子を破砕する段階が、脂肪種子を機械的に破砕する段階を含む、請求項51記載の方法。
【請求項54】
機械的に破砕する段階が、脂肪種子をローラーミルの中に通過させる段階を含む、請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記尿素-ホルムアルデヒドポリマーが、ホルムアルデヒド対尿素の重量比約2.0〜約0.8を有する、請求項51記載の方法。
【請求項56】
脂肪種子における脂肪種子に対する尿素-ホルムアルデヒドポリマーの百分率が約0.1重量%〜約40重量%である、請求項51記載の方法。
【請求項57】
加熱する段階が、約6重量%〜約40重量%の脂肪種子水分含有量で行われる、請求項51記載の方法。
【請求項58】
加熱する段階が約20℃〜約150℃の温度で行われる、請求項51記載の方法。
【請求項59】
加熱する段階が約10分〜約72時間の時間である、請求項51記載の方法。
【請求項60】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーが、破砕脂肪種子に適用される際に、溶液である、請求項51記載の方法。
【請求項61】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーを破砕脂肪種子に適用する段階が、該破砕脂肪種子に前記溶液を噴霧する段階を含む、請求項60記載の方法。
【請求項62】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーと破砕脂肪種子の混合物を処理する段階が、混合物の温度を周囲より上昇させる段階を含む、請求項51記載の方法。
【請求項63】
混合物の温度を上昇させる段階が蒸気によって遂行される、請求項62記載の方法。
【請求項64】
尿素-ホルムアルデヒドポリマーと破砕脂肪種子の混合物を処理する段階が、混合物を浸漬する段階を含む、請求項51記載の方法。
【請求項65】
混合物を浸漬する段階が、混合物の沸点より下の温度で行われる、請求項64記載の方法。
【請求項66】
破砕する段階の前に脂肪種子を乾燥させる段階をさらに含む、請求項51記載の方法。
【請求項67】
破砕する段階の後であるが、尿素-ホルムアルデヒドポリマーを適用する段階の前に、脂肪種子を乾燥させる段階をさらに含む、請求項51記載の方法。
【請求項68】
その中に少なくとも一つの開口部を有する外殻を含み、外殻内部に破断されていないリピッドボディオルガネラ、および外殻内部に尿素-ホルムアルデヒドポリマーとタンパク質との反応産物を有し;
反応産物の少なくともいくつかが、リピッドボディの少なくともいくつかを被って、複数の被覆リピッドボディを形成している、脂肪種子
を含む、反すう動物のための飼料。
【請求項69】
反応産物が、オレオシンと尿素-ホルムアルデヒドポリマーの反応産物である、請求項68記載の飼料。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−514415(P2010−514415A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543211(P2009−543211)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/088309
【国際公開番号】WO2008/079942
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(509173971)リグノテック ユーエスエー インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】