説明

動的な栄養素情報に基づき動物生産を最適化するシステムおよび方法

動物によって摂取される栄養素の利用に基づいて動物飼料配合を生成するシステム。システムは、動物の特性に基づいて動物の必要量のセットを生成して、動物の予測される栄養素利用および動物の必要量のセットに少なくとも部分的に基づいて動物飼料配合入力を生成するように構成されたシミュレータエンジンを含む。システムはさらに、動物飼料配合入力を受け取って、動物飼料配合入力に基づいて最適化された動物飼料配合を生成するように構成されたフォーミュレータエンジンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により全内容が本明細書に組み込まれている、2004年7月29日に出願した米国特許出願第10/902,504号の一部継続出願である。
本発明は一般に、動物生産のシステムおよび方法の分野に関する。具体的には、本発明は、動物によって摂取される栄養素の利用に基づいて動物生産を最適化するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動物生産システムは、動物または動物由来の製品の生産に使用されるシステムまたはオペレーションの任意のタイプを含むことができる。例は、農場、牧場、水産養殖場、動物育種施設などを含むことができる。動物生産施設は、規模、動物の種類、場所、生産目的などにおいて大きく異なる場合がある。しかし、ほとんどすべての動物生産施設は、生産効率の向上を特定して実施することにより恩恵を受けることができる。生産効率の向上は、増産結果の向上、あまり望ましくない産物に対する望ましい産物(たとえば脂肪に対する赤身)の比例生産高向上、および/または生産コストの減少を結果としてもたらすあらゆるものを含むことができる。
【0003】
生産者(つまり、農場経営者、牧場経営者、水産養殖専門家など)は一般に、動物によって生産される生産物の量および品質(たとえば、数ガロンの牛乳、数ポンドの肉、肉の品質、卵の量、生産される卵の栄養素含有量、作業量、毛/外皮の外観/健康状態など)を最大化しながら、同時にその生産に関連する入力のコストを減少させることから恩恵を受ける。模範的な入力は、動物飼料、動物施設、動物生産設備、労働、医薬品などを含むことができる。
【0004】
動物の飼料は、多種多様な素材または原材料の配合物である。原材料は、使用される原材料の栄養成分に基づいて動物飼料生産物における任意の所定の栄養素の量または栄養素の組合せを最適化するように選択されうる。
【0005】
任意の1つの飼料原材料の栄養成分は、評価基準を最大化または最小化する動物飼料を生成するために、飼料において他のすべての原材料の栄養成分と組み合わせて使用することができる。評価基準の1つの例は、最短の期間における動物の成長および生産の速度である。評価基準のその他の例は、動物の作業量、動物の外観、動物の健康状態などを含むことができるが、これらに限定されることはない。動物飼料生産業者は、特定の栄養成分が、他の栄養成分に比べて、動物が評価基準を満たすかまたはこれを上回るよう補助することに優れていることを認識した。たとえば、第1胃通過後に必須アミノ酸のバランスの向上をもたらす特定の牛用飼料成分を作成することができる。これは、牛の産乳量を増大させる効果を備えることが示されている。
【0006】
しかし、動物生産者によって配合される栄養成分は、動物によって摂取される栄養成分と一致しない場合もある。動物飼料における栄養素は、栄養素の保管方法、消費までの時間などのさまざまな栄養素変質要因に基づいて、低下または変化することがある。
【0007】
さらに、動物によって摂取される栄養素は、必ずしも動物によって完全に利用されるわけではない。動物によって摂取される栄養成分の栄養素の利用は、動物の健康、栄養素の総消費量、その他の栄養素の消費など、さまざまな栄養素利用要因によって影響を受けることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
必要とされるのは、栄養素変化および栄養素利用率を考慮して、栄養基準の満足を最大化するシステムおよび方法である。さらに、栄養素変化および栄養素利用率を考慮して必要量を満たすために配合された個別調整の動物飼料を作成するように構成されたそのようなシステムおよび方法を求める必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの実施形態は、動物の特性と、動物によって摂取および/または利用される栄養素の予測に基づいて動物用に動物飼料配合をカスタマイズするシステムに関する。システムは、動物の特性に基づいて動物の必要量のセットを生成して、動物飼料配合入力を生成するように構成されたシミュレータエンジンと、動物飼料配合入力を受け取って、最適化された動物飼料配合を生成するように構成されたフォーミュレータエンジンとを含むことができる。
【0010】
本発明のもう1つの実施形態は、動物によって摂取される栄養素の利用に基づいて動物飼料配合を生成するシステムに関する。システムは、動物の特性に基づいて動物の必要量のセットを生成して、動物の予測される栄養素利用および動物の必要量のセットに少なくとも部分的に基づいて動物飼料配合入力を生成するように構成されたシミュレータエンジンを含む。システムはさらに、動物飼料配合入力を受け取って、動物飼料配合入力に基づいて最適化された動物飼料配合を生成するように構成されたフォーミュレータエンジンを含む。
【0011】
本発明のもう1つの実施形態は、動物によって摂取される栄養素の利用に基づいて動物飼料配合を生成する方法に関する。方法は、少なくとも1つの動物情報入力を受け取るステップと、少なくとも1つの動物情報入力に少なくとも部分的に基づいて動物の必要量のセットを判別するステップと、動物の必要量に基づいて動物飼料原材料から成る最適化された動物飼料配合を生成するステップと、少なくとも1つの動物情報入力に基づいて動物の栄養素利用を判別するステップと、動物飼料原材料に対する動物の栄養素利用に基づいて動物飼料原材料から成る変更された動物飼料配合を生成するステップとを含む。
【0012】
本発明のさらにもう1つの実施形態は、動物によって摂取される栄養素の利用に基づいて動物飼料配合を生成するシステムに関する。システムは、動物の特性に基づいて動物の必要量のセットを生成して、動物の必要量を満たすために使用される動物飼料原材料の予測される栄養素含有量に基づいて動物飼料配合入力を生成するように構成されたシミュレータエンジンを含む。システムはさらに、動物飼料配合入力を受け取って、動物飼料配合入力に基づいて最適化された動物飼料配合を生成するように構成されたフォーミュレータエンジンを含む。
【0013】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および付属の図面から、当業者には明らかとなろう。ただし、詳細な説明および特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、これらは限定のためではなく、例示のために示されていることを理解されたい。本発明の範囲内で、多くの修正および変更を、本発明の精神を逸脱することなく行うことができ、本発明はそのような修正をすべて含む。
【0014】
模範的な実施形態は、これ以降、類似する参照番号が類似した要素を示す付属の図面を参照して説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の説明において、説明の目的で、本発明の十分な理解をもたらすために多数の特定の詳細が示される。しかし、当業者には、模範的な実施形態がこれらの特定の詳細なくしても実施されうることが明らかとなろう。その他の例において、模範的な実施形態の説明を容易にするため、構造および装置が図に示される。
【0016】
以下に示される少なくとも1つの模範的な実施形態において、メモリに収容されている一連の命令を実行する中央演算処理装置(CPU)を有するコンピュータシステムが示される。さらに具体的には、一連の命令の実行は、以下に説明されるステップをCPUに実行させる。命令は、読み取り専用メモリ(ROM)、大容量記憶装置、またはその他の固定記憶装置から、CPUが実行するために、ランダムアクセスメモリ(RAM)にロードされてもよい。その他の実施形態において、複数のワークステーション、データベース、プロセス、またはコンピュータを使用することができる。さらにその他の実施形態において、説明されている機能を実現するため、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせてハードワイヤード回路が使用されてもよい。したがって、本明細書に説明される実施形態は、コンピュータシステムによって実行される命令の特定のソースに限定されることはない。
【0017】
ここで図1を参照すると、模範的な実施形態による動物生産最適化システム100を示す概略ブロック図が示される。システム100は、エンタープライズスーパーバイザ200、シミュレータ300、原材料エンジン400、およびフォーミュレータ500を含む。
【0018】
システム100は、単一または複数のコンピュータシステムを使用して実施されてもよい。たとえば、システム100が単一のコンピュータシステムを使用して実施される場合、エンタープライズスーパーバイザ200、シミュレータ300、原材料エンジン400、およびフォーミュレータ500の各々は、コンピュータプログラム、個別のプロセッサ、サブシステムなどとしてコンピュータシステム上に実装されてもよい。代替として、システム100が複数のコンピュータを使用して実施される場合、エンタープライズスーパーバイザ200、シミュレータ300、原材料エンジン400、およびフォーミュレータ500の各々は、別個のコンピュータシステムを使用して実施されてもよい。個別の各コンピュータシステムはさらに、ネットワークを介してシステム100の他のコンポーネントと通信するために構成されたハードウェアを含む。さらにもう1つの実施形態によれば、システム100は、複数のプロセスまたは分散システムを実装する単一のコンピュータシステムの組合せとして実施されてもよい。
【0019】
システム100は、少なくとも1つの可変入力を含む動物情報入力を受け取り、1つまたは複数の可変入力の変動が動物生産性を高めるかまたはその他の最適化基準を満足たすかどうかを判別するために受け取った情報を分析するように構成される。動物生産性は、その生産に関連付けられた経費に対する、動物がもたらす産出の量、種類、または品質の相対的測度であってもよい。動物情報入力は、動物生産システムに関連付けられているあらゆる種類の情報を含むことができる。たとえば、動物情報入力は、特定の動物または動物のグループ、動物の種類、動物の環境、動物生産に関連する経済活動などに関連付けられてもよい。動物生産性はさらに、生産に関連付けられている正および負の出力を含むように構成されてもよい。たとえば、動物生産性は、(除去に関連付けられた総原価または環境への悪影響に基づき)支出として有害ガスの排出を表し、総合的な生産性を減少させるように構成されてもよい。
【0020】
特定の動物またはグループまたは動物の種類に関連付けられている情報は、種、状態、年齢、生産レベル、作業、サイズ(たとえば、現在、目標、ばらつき状態など)、形態学(たとえば腸)、体格組成、容貌、遺伝子型、産出の構成、微生物情報の収集、健康状態、色などを含むことができるが、これらに限定されることはない。特定の動物に関連付けられている情報は、動物の生産性を判別することに関連するあらゆる種類の情報であってもよい。
【0021】
種の情報は、家畜、野生種、ペット、水生種、人間、またはその他あらゆる種類の生命体など、任意の種類または分類の動物の名称を含めることができる。家畜は、豚、乳牛、肉用牛、馬、羊、山羊、および家禽を含むことができるが、これらに限定されることはない。野生種は、シカ、ヘラジカ、野牛などの反芻動物、狩猟鳥、動物園の動物などを含むことができるが、これらに限定されることはない。ペットは、犬、猫、鳥、げっ歯動物、魚、トカゲなどを含むことができるが、これらに限定されることはない。水生種は、海老、魚(生産)、カエル、ワニ、亀、カニ、ウナギ、ザリガニなどを含むことができるが、これらに限定されることはなく、生産目的(たとえば食品)で飼育される種を含むこともできる。
【0022】
動物の状態は、動物の投入必要量または生産高に影響を与える可能性のある動物の参照または分類を含むことができる。例は、妊娠および散乱を含む繁殖状態、授乳状態、健康状態またはストレスレベル、維持状態、肥満状態、栄養不良または栄養制限状態、生え変わり状態、季節ごとの状態、代償発育状態、修復または回復状態、栄養状態、作業または運動、または競争状態などを含むことができるが、これらに限定されることはない。動物の健康状態またはストレスレベルはさらに、正常、障害、外傷後(たとえば、離乳、新しい仲間との混合、販売、けが、授乳への過渡期など)、慢性疾患、急性疾患、免疫反応、環境ストレスなどの複数のサブ状態を含むことができる。
【0023】
動物の年齢は、実際の年齢または年齢に関連付けられている生理的状態を含むことができる。生理的状態の例は、発達状態、妊娠の段階および回数などの周期を含む繁殖状態、授乳状態、成長状態、維持状態、青年期状態、老年期状態などを含むことができる。
【0024】
動物の作業は、妊娠、授乳、成長など、前述のような生理的状態を含むことができる。動物の作業はさらに、特に犬および馬に関して、動物の日課または実際の作業を含むことができる。動物の作業はまた、動物が概ね閉じ込められているか、牧場で自由な運動を許されるか、または水生動物の場合は、異なる水流を水生動物が経験するか、などの動物の運動の許容量を含むこともできる。
【0025】
動物のサイズは、動物の実際の体重、高さ、全長、体周囲、体格指数、口開などを含むことができる。動物のサイズはさらに、動物が体重減少、体重増加、高さまたは全長の増加、体周囲の変化などを経験しているかどうかなど、動物のサイズの最近の変化を含むことができる。
【0026】
動物形態学は、動物により提示される体形を含む。たとえば、体形は、長身、短身、丸みを帯びた体形などを含むことができる。動物形態学はさらに、腸絨毛の長さ、腸陰窩の深さ、および/またはその他の組織の大きさまたは形状など、内蔵器官組織の変化の明確な測度を含むことができる。
【0027】
動物の体格組成は、脂肪酸プロファイル、ビタミンEの状態、色素沈着の程度、予想される体格組成など、さまざまな組成情報を含むことができる。体格組成は一般に、低脂肪の筋肉、水分、脂肪分など、体格の特定の組成の割合または量の表現である。体格組成はさらに、個々の体の部分/部位について違なる表現の組成を含むことができる。たとえば、体格組成は、切り身の生産高、胸肉生産高、テール肉生産高など、食用部分の組成を含むことができる。
【0028】
動物の容貌は、動物の容貌の任意の測度または表現を含むことができる。例は、動物の外被のつや、動物の色、筋緊張、羽毛の質などを含むことができる。
動物の遺伝子型は、個々またはグループの遺伝子構成のすべてまたは一部の任意の表現を含むことができる。たとえば、動物の遺伝子型は、特定のDNA断片を配列決定する、特定の形質に関連するDNAマーカーなどを含むことができる。たとえば、遺伝子型は、特定の速度で赤身を成長させる遺伝的能力、または赤身または霜降り加減をそれぞれ高めるために筋肉内脂肪を蓄積させる遺伝的能力を定義することができる。さらに、遺伝子型は、牛乳生産、タンパク質増大、作業などの生来の能力など、遺伝子型能力に関連する特性の形質発現によって定義されてもよい。
【0029】
産出の構成は、動物によって生産される生産物の構成を含むことができる。たとえば、産出の構成は、家禽によって生産される卵、または乳牛によって生産される牛乳に認められる栄養水準、肉製品における脂肪の量、分布、および/または構成、肉製品の風味および質感のプロファイル、構成部分比率間の相互関係などを含むことができる。
【0030】
微生物および/または酵素情報は、動物内または動物環境内の現在の微生物個体群を含むことができる。微生物および/または酵素情報は、グラム陽性またはグラム陰性種、あるいは好気性細菌、嫌気性細菌、サルモネラ菌種、大腸菌など、その他の分類の個数または比率の測度を含むことができる。酵素情報は、脾臓によって生成され、胃腸管内で生成される、プロテーゼ、アミラーゼ、および/またはリパーゼなどの、あらゆる酵素亜類型、または活性化状態の現在の内容、個数、および/または構成、微生物群によって生成される酵素、さまざまな年齢における微生物群の関係を含むことができる。微生物および/または酵素情報はさらに、一部の種(たとえば、反芻動物、水生動物など)の飼料源として使用されうる現在および/または提案される微生物群によって代表される潜在的栄養バイオマスに関する情報を含むことができる。微生物および/または酵素環境は、cpn60、その他の分子微生物法、動物システムまたはサブシステムの生体外シミュレーションなど、当技術分野に既知のさまざまな技法のいずれかを使用して監視されうる。
【0031】
動物または動物のグループの環境に関連付けられている動物情報入力は、環境に特に関連する要因、動物生産施設に関連する要因などを含むことができるが、これらに限定されることはない。動物環境は、動物または動物のグループの生産性に影響を与える動物に関連付けられていない任意の要因を含むことができる。
【0032】
環境に関連する動物情報入力の例は、環境温度、風速または通風、光周期または日光暴露量、光度、光波長、光周期、環境順化、季節的影響、湿度、大気環境、水質、水流量、水中塩分濃度、水の硬度、水のアルカリ度、水の酸性度、通気測度、システム基質、フィルタ表面積、ろ過負荷容量、アンモニアレベル、地理的位置、泥スコアなどを含むことができる。環境情報はさらに、システムサイズ(たとえば平方メートル単位のサイズ、平方センチメートル、ヘクタール、エーカー、体積単位のサイズなど)、システムタイプ(囲い、かごなど)、ライミング、ディスキングなどのシステム準備、通気測度、システムタイプなど、単数または複数の動物を収容するシステムに関する詳細な情報を含むことができる。一部の環境的要因には、生産業者の管理を超えるものもあるが、要因は通常、生産者によって修正または調整されうる。たとえば、生産業者は、通気口を閉じることにより通風を減らし、ヒーターを加えることによって、あるいは生産性向上により適した気候に特定の動物生産作業を移転または移動させることによって環境温度を上げることもできる。もう1つの例によれば、水産業者は、環境内の動物用の飼料設計または給餌プログラムを変更することにより、水域環境への栄養素投入を変更することができる。模範的な実施形態によれば、環境に関連する動物情報入力は、動物の熱効果推定を計算し、動物の現在の環境の測定をもたらすために、environmental appraisal system(EAS)を使用して自動的に生成されうる。
【0033】
生産施設に関連する動物情報入力の例は、動物の密度、動物個体群の相互関係、給餌器のタイプ、給餌器システム、給餌器のタイミングと分配、病原体量、敷きわらの種類、制限の種類、施設のタイプ、フェザリング、照度、照明時間パターンなどを含むことができる。生産施設の動物情報入力は、生産性を高めるため、またはその他の生産目標に対処するために生産業者によって変更されうる。たとえば、生産業者は、個体数密度を減らす、追加または異なるタイプの給餌システムを得る、制限の種類を変更するなどのために、追加の施設を建設することもできる。
【0034】
経済的要因に関連付けられた動物情報入力は、動物市場情報を含めることができるが、これに限定されることはない。動物使用情報は、従来、現在、および/または予想の生産物の価格、市場タイミング情報、地理的市場情報、製品市場タイプ(たとえば、生体または屠体)などを含むことができるが、これらに限定されることはない。
【0035】
動物情報入力はさらに、別個のグループに容易には分類できないさまざまな入力のいずれかを含むことができる。例は、動物の予想産出量(たとえば、牛乳生産高、製品構成、体組成など)、ユーザー定義の要件、リスク許容度、動物混合(たとえば、異なる動物)、動物グループ分けなどによる変化、買主または市場の要件(たとえば、アンガス牛、パルマハム、特定のチーズ用の牛乳、マグロの等級など)、予想および/または目標成長曲線、生存率、予想捕獲日などを含むことができる。
【0036】
前述の動物情報入力は、図2を参照して以下で説明されるように、ユーザーインターフェイスを通じてユーザーまたはオペレータから直接受け取られる情報を含むことができる。代替として、動物情報入力または入力の一部は、データベースまたはその他の情報源から取り出すことができる。
【0037】
さらに、入力の一部は、1つまたは複数のその他の入力または値に基づいて計算される独立した入力であってもよい。たとえば、動物のストレスレベルは、個体数密度、最近の体重減少、環境温度、血糖値またはコルチゾールレベルなどの代謝系指標に基づいて判別または推定されうる。計算された各々の値は、ユーザーが計算された値を手動でオーバーライドできるようにするオプションを含むことができる。同様に、免疫状態は、年齢、栄養素の種類および投入レベル、微生物の攻撃、母体からの受動免疫供給などに応じて異なる場合もある。
【0038】
さらに、各動物情報入力は、その入力に関連付けられているさまざまな情報を含むことができる。たとえば、各動物情報入力は、動物情報入力の内容に基づいて1つまたは複数のサブフィールドを含むことができる。たとえば、動物がストレス状態にあるという指標が提供される場合、ストレスの実態および重大度を示すサブフィールドが受け取られてもよい。
【0039】
模範的な実施形態によれば、動物情報入力は、動物情報入力のいずれかを可変入力として指定することができる機能を含む。可変入力は、ユーザーが変更または制御する能力を有する任意の入力であってもよい。たとえば、ユーザーは、暖房、冷房、換気など、さまざまな方法を通じて環境温度を変更できる能力に基づき、環境温度を可変入力として指定することできる。代替実施形態によれば、システム100は、図2を参照して以下でさらに説明されるように、生産性への影響または最適化基準の満足に基づいて、固有の動物情報入力を可変入力として自動的に推奨するように構成されうる。
【0040】
可変入力の指定は、可変入力の変動のコストおよび/または便益、最適化試験の推奨される変動の度合いなど、追加情報の提出を必要とすることもできる。代替として、追加情報は、システム100または関連するデータベースに格納され、関連するデータベースから取り出されてもよい。
【0041】
動物情報入力はさらに、目標値および現行値を含むことができる。目標値は、動物生産性の望ましいレベル、または動物生産性の一部の態様を含むことができる。たとえば、生産業者は、家禽によって生産される卵の特定の栄養水準を目標とするよう望むことができる。したがって、生産業者は、現在生産されている卵の現行栄養水準、および卵の目標栄養水準を入力することができる。もう1つの例によれば、潜在的なサイズ分類に対する池の中の海老の現在のサイズ分類。目標値および現行値は、以下にさらに説明されるように、動物飼料配合に変更を行うか、または可変入力への変更を行うためにシステム100によって使用されてもよい。さらに、目標値は、最適化問題に対する等価制約および/または不等価制約と見なされてもよい。
【0042】
以下の表1は、動物生産最適化システム100への入力として提供されうる模範的な動物情報入力を一覧する。この潜在的動物情報入力の一覧は、模範的なものであり排他的なものではない。模範的な実施形態によれば、任意の1つまたは複数の一覧されている動物情報入力は、可変入力として指定されうる。
【0043】
【表1−1】

【0044】
【表1−2】

【0045】
【表1−3】

【0046】
【表1−4】

【0047】
【表1−5】

【0048】
ここで、システム100のコンポーネントを参照すると、スーパーバイザ200は、図2を参照して以下でさらに説明されるように、最適化情報を生成するためにシステム100内でデータ処理機能を管理するように構成された任意のタイプのシステムであってもよい。シミュレータ300は、図3を参照して以下でさらに説明されるように、動物情報または動物配合データを受け取り、1つまたは複数のモデルを受け取った情報に適用し、動物の必要量、動物パフォーマンス予想、環境パフォーマンス予想、および/または経済パフォーマンス予想などのパフォーマンス予想を生成するように構成された任意のタイプのシステムであってもよい。原材料エンジン400は、原材料のリストを受け取り、栄養素およびその他の情報を含む原材料ごとに原材料プロファイル情報を生成するように構成された任意の種類のシステムであってもよい。フォーミュレータ500は、図4を参照して以下でさらに説明されるように、動物の必要量予想および原材料プロファイル情報を受け取り、動物配合データを生成するように構成された任意のタイプのシステムであってもよい。
【0049】
図2を参照すると、模範的な実施形態による、動物生産最適化システム100のエンタープライズスーパーバイザ200を示す概略ブロック図が示される。エンタープライズスーパーバイザ200は、ユーザーインターフェイス210および最適化エンジン230を含む。エンタープライズスーパーバイザ200は、ユーザーインターフェイス210を通じて動物情報入力を受け取り、少なくとも1つの動物必要量を生成するために情報をシミュレータ300にサブミットし、動物の必要量を与えられて最小コストの動物飼料配合を生成するために少なくとも1つの動物必要量をフォーミュレータ500にサブミットし、パフォーマンス予想を生成するために最適化された配合をシミュレータ300にサブミットし、1つまたは複数の可変入力の最適化値を生成するために最適化エンジン230を使用するように構成された任意のタイプのシステムであってもよい。
【0050】
代替実施形態によれば、最適化または最適化の一部は、システム100の別のコンポーネントによって実行されてもよい。たとえば、本明細書でスーパーバイザ200を参照して説明されている最適化は、シミュレータ300によって代替として実行されうる。さらに、動物飼料配合の最適化は、フォーミュレータ500によって実行されうる。
【0051】
エンタープライズスーパーバイザ200は、動物情報入力を自動的に提供するか、または動物情報入力に基づいて追加情報を提供するように構成された1つまたは複数のデータベースを含むか、またはこれにリンクされてもよい。たとえば、ユーザーが酪農生産オペレーションの最適化情報を要求した場合、エンタープライズスーパーバイザ200は、内部データベースに以前記録されたユーザーの酪農オペレーションに関する格納情報を自動的に取り出し、さらに外部データベースまたは情報源からすべての関連市場価格または他の関連情報をダウンロードするように構成されてもよい。
【0052】
ユーザーインターフェイス210は、ユーザーが入力を提供してシステム100からの出力を受け取れるように構成された任意のタイプのインターフェイスであってもよい。模範的な実施形態によれば、ユーザーインターフェイス210は、Webブラウジングアプリケーション内のWebベースのアプリケーションとして実装されることもある。たとえば、ユーザーインターフェイス210は、ユーザーからの動物情報入力を受け取るように構成された複数の入力フィールドを含むWebページとして実装されてもよい。入力フィールドは、ドロップダウンメニュー、テキスト入力フィールド、選択可能リンクなどの、さまざまな標準入力フィールドタイプを使用して実装されてもよい。ユーザーインターフェイス210は、ユーザーによって提供された入力に基づいてナビゲート可能な単一のインターフェイスまたは複数のインターフェイスとして実装されてもよい。代替として、ユーザーインターフェイス210は、スプレッドシートベースのインターフェイス、カスタムのグラフィカルユーザーインターフェイスなどを使用して実装されてもよい。
【0053】
ユーザーインターフェイス210は、動物情報入力およびデータベース情報に基づいてカスタマイズされうる。たとえば、ユーザーが特定の動物の種を定義する場合、エンタープライズスーパーバイザ200は、その特定の動物の種に関連する入力フィールドのみが表示されるようにユーザーインターフェイス210をカスタマイズするよう構成されてもよい。さらに、エンタープライズスーパーバイザ200は、データベースから取り出された情報を入力フィールドの一部に自動的に取り込むように構成されてもよい。この情報は、特定のユーザーの格納された個体群情報などの内部情報、または前述のような特定の種に関連する現行市場価格などの外部情報を含むことができる。
【0054】
最適化エンジン230は、データ入力を受け取り、データ入力および少なくとも1つの最適化基準に基づいて最適化情報を生成するように構成されたエンタープライズスーパーバイザ200内のプロセスまたはシステムであってもよい。模範的な実施形態によれば、最適化エンジン230は、1つまたは複数のパフォーマンス予想を解決し、パフォーマンス予想の感度を計算するためにシミュレータ300と共に動作するように構成されてもよい。パフォーマンス予想の感度の計算は、全般的な生産性または最適化基準の他の満足に最大の影響を与える動物情報入力または可変入力を識別することを含むことができる。最適化エンジン230はさらに、感度分析に基づいて動物情報入力または可変入力の最適化値を提供するように構成されてもよい。最適化は、最適化基準に準じた生産性または他の測度の向上を含むことができる。最適化値を生成する際のプロセスおよびステップは、図5を参照して以下でさらに説明される。
【0055】
最適化基準は、現在のユーザーにとって望ましい任意の基準、目標、または目標の組合せ、あるいはバランスのとれた目標を含むことができる。好ましい実施形態において、最適化基準は生産性の最大化である。生産性の最大化は、総生産高、生産高量品質、生産速度、動物生存率などの生産性に関連付けられている単一または複数の要因を最大化することを含むことができる。生産性の最大化はさらに、コスト、有害廃棄物など、生産性に関連付けられている負の値を最小化することを含むことができる。代替の最適化基準は、収益性、製品品質、製品特性、飼料変換率、生存率、成長率、バイオマス/単位スペース、バイオマス/飼料コスト、コスト/生産日、サイクル/年などを含むことができる。代替として、最適化基準は、最適化基準に従って最小化することを含むことができる。たとえば、動物排泄物の窒素またはリンの含有物を最小化することが望ましいと考えられる。
【0056】
最適化エンジン230は、フォーミュレータ500からの飼料原材料情報が他の情報および/またはシミュレータ300において計算された予想と組み合わせられるアプリケーションに対してその独自の最適化コードを実装するように構成されてもよい。集学的最適化と呼ばれる、複数の独立した計算エンジンを調整する最適化問題は、勾配ベースの方法を使用して、またはより好ましくはNelder−MeadまたはTorezonのアルゴリズムのようなシンプレックス法を使用して解決されてもよい。好ましくは、最適化エンジン230は、最適化基準が滑らかに依存する変数の勾配ベースの方法(決定変数はシミュレータ300に供給される)と目的関数がノイズを多発するかまたは不連続な依存を有する変数のシンプレックス法(食餌の必要量はフォーミュレータ500に供給される)のカスタムの組合せを実施するように構成されてもよい。代替として、擬似勾配ベースの方法、確率的方法など、他の最適化方法が適用されてもよいが、これらに限定されることはない。
【0057】
エンタープライズスーパーバイザ200はさらに、最適化結果をフォーマットし、結果を出力としてユーザーインターフェイス210を通じて提供するように構成されてもよい。結果は、可変入力の推奨される最適化値として提供されうる。結果はさらに、動物情報入力が可変入力として指定されたかどうかにはかかわりなく、追加の動物情報入力の推奨される値を含むことができる。結果はさらに、可変入力の最適化値の実現の効果の予想を含むことができる。
【0058】
エンタープライズスーパーバイザ200は、可変入力の最適化値を解決するために、値の特定のセットがモデルパラメータの分布の集合から選ばれるモンテカルロ法を実施するように構成されてもよい。このプロセスは、最適化された解決法の分布を作成して、多数回繰り返されてもよい。最適化のタイプに基づいて、エンタープライズスーパーバイザ200は、最適な解決法を提供する可能性が最も高い値、または目標を達成するのに十分な確信を与える値のいずれかを選択するために使用されることもある。たとえば、特定の動物の平均1日増体量を最大化する正味エネルギーレベルを提供する、単純な最適化が選択される場合もある。モンテカルロシミュレーションは、さまざまな正味エネルギーレベルを含む必要量の分配を提供することができ、生産業者は、平均1日増体量を最大化する可能性の最も高い正味エネルギーレベルを選択することができる。
【0059】
エンタープライズスーパーバイザ200はさらに、可変入力の最適化値の適用に基づいて、現実世界の経験的フィードバックを受け取るように構成されてもよい。経験的フィードバックは、動物生産システムをさらに最適化するように可変入力を調整するために使用されてもよい。経験的フィードバックはさらに、予想の正確さを追跡するために、パフォーマンス予想と比較されてもよい。経験的フィードバックは、自動モニタリング、データの手動入力など、さまざまな方法のいずれかを使用して提供されうる。
【0060】
さらに、エンタープライズスーパーバイザ200は、モデルの動的制御を可能にするように構成されうる。初期制御アクション、たとえば飼料配合を設定した後、図5を参照して以下で説明されるように、動物の反応は監視され予測と比較されうる。動物の反応が予測から大きく外れすぎた場合、新しい制御アクション、たとえば飼料配合が提供されうる。たとえば、パフォーマンスが予測を超え始めた場合、一部の値は、より安価な飼料配合、別の水流量などに切り替えることにより回復されることもある。パフォーマンスが予測に遅れた場合、より高い値の飼料配合に切り替えることは、最終製品目標が達成されることを保証する上で役立ちうる。制御アクションは、飼料配合を参照して上記で説明されているが、制御アクションは、水流量、摂食率などの任意の制御変数に対するものであってもよい。同様に、調整は、水流量を増加または減少させることなどによって、その制御変数に行われる場合もある。
【0061】
図3を参照すると、模範的な実施形態によるシミュレータ300を示す概略ブロック図が示される。シミュレータ300は、必要量エンジン310、動物パフォーマンスシミュレータ320、環境パフォーマンスシミュレータ330、および経済パフォーマンスシミュレータ340を含む。一般に、シミュレータ300は、出力データを生成するために1つまたは複数のモデルを入力データに適用するように構成された任意のプロセスまたはシステムであってもよい。出力データは、動物パフォーマンス予想、経済パフォーマンス予測、環境パフォーマンス予測など、動物必要量および/またはパフォーマンス予測のような任意のタイプの予測または決定された値を含むことができる。
【0062】
具体的には、シミュレータ300は、エンタープライズスーパーバイザ200から動物情報入力を受け取り、動物必要量のセットを生成するために必要量エンジン310および動物必要量モデルを使用して情報を処理するように構成される。さらに、シミュレータ300は、エンタープライズスーパーバイザ200から飼料配合データを受け取り、少なくとも1つのパフォーマンス予想を生成するために、動物パフォーマンスシミュレータ320、環境パフォーマンスシミュレータ330、および経済パフォーマンスシミュレータ340の任意の組合せを使用して飼料配合データを処理するように構成されてもよい。
【0063】
入力値を1つまたは複数の出力に変換するためにシミュレータ300によって使用される動物必要量モデルは、解決されたとき、動物サイズのような入力を、タンパク質必要量のような動物必要量、またはスペース割り当てまたは飼料配給のようなシステム要件に関連付ける連立方程式から構成することができる。モデルの特定の数学的形式は必要なく、モデルの最も適切なタイプがアプリケーションごとに選択されてもよい。1つの例は、経験的相関に基づいて栄養素必要量を提供する代数方程式から成る、米国学術研究会議(NRC)によって開発されたモデルである。もう1つの例は、University of California−DavisのR.L.Baldwin教授によって開発された牛の泌乳パフォーマンスの可変代謝ベースのモデル、MOLLYである。モデルは、1組の陽常微分方程式および微分変数に依存する1組の代数方程式から構成することができる。非常に一般的なモデルは混成離散ー連続型シミュレーションにおいて解決される、偏微分、常微分、および代数の方程式の完全陽の結合された組から構成することができる。
【0064】
モデルは、シミュレータ300に関連付けられている機能から独立するように構成される場合もある。独立性により、モデルおよび数値解アルゴリズムは、独立して、異なるグループによって改善されるようになる。
【0065】
好ましくは、シミュレータ300は、システム100内の多種多様なモデルを解決するために、方程式ベースのプロセスシミュレーションパッケージとして実装されてもよい。方程式ベースのシミュレータは、モデルから数値解アルゴリズムを抽象化する。この抽象化により、数値解アルゴリズム開発からのモデル開発の独立が可能になる。この抽象化はさらに、単一のモデルが多種多様な計算において使用されるようにする(定常状態シミュレーション、動的シミュレーション、最適化、パラメータ推定など)。シミュレータは、感度計算などのタスクの方程式の形式および構造を利用するように構成されてもよい。この構成により、一部の計算は、モデルがカスタムのコンピュータコードのブロックとして開発される場合に可能である以上に堅固および/または効率的に実行されるようになる。方程式ベースのプロセスシミュレーションパッケージは、モデルを構成する方程式と直接対話するように構成されるソフトウェアである。そのようなシミュレータは通常、モデル方程式を解析し、メモリ内の連立方程式の表現を構築する。シミュレータはこの表現を使用して、定常状態シミュレーション、動的シミュレーション、最適化などのいずれであっても、要求された計算を効率的に実行する。方程式ベースのプロセスシミュレーションパッケージは、手順と数学的方程式の組合せとしてより容易に書かれた計算を組み込むことも可能にする。例は、方程式が使用可能ではないコンパイルされたコードとして分散された独自の計算ルーチンを呼び出すなど、大型データテーブル内の補間を含むことができる。さらに新しくさらに優れた解法アルゴリズムが開発されるのに応じて、これらのアルゴリズムは、シミュレータ300が解決するように構成されたモデルには何ら変更を必要とすることなく、シミュレータ300に組み込まれてもよい。
【0066】
模範的な実施形態によれば、シミュレータ300はプロセスシミュレータであってもよい。プロセスシミュレータは一般に、リバースモード自動微分法(reverse mode automatic differentiatioin)、可変感度の交互コレクタ法(staggered corrector method for variable sensitivities)、自動モデルインデックス縮小(automatic model index reduction)、不十分な初期値から非線形系を解決するためのロバストNewton反復(robust Newton iteration for solving nonlinear systems from poor initial values)、可変システムのエラーフリースケーリング(error−free scaling of variable systems)、および状態イベントを探し出す区間演算法など、さまざまな解法アルゴリズムを含む。プロセスシミュレータは、線形システムの直接解決に対して疎線形代数ルーチンを使用する。疎線形代数ルーチンは、反復することなく非常に大規模なシステム(数十万もの方程式)を効果的に解決することができる。プロセスシミュレータはさらに、非凸型混合整数非線形問題(MINLP)およびグローバル変数最適化を含む、特に強力な最適化機能のセットを提供する。これらの機能により、シミュレータ300は、モデルを直接使用して最適化問題を解決できるようになる。特に、交互コレクタアルゴリズムは、全体的最適化計算のボトルネックとなることの多い感度計算にとって著しく効率的な方法である。
【0067】
シミュレータ300によって解決される最適化の可変入力は、固定パラメータおよび経時変化パラメータを含むことができる。経時変化パラメータは通常、区分定数、区分線形、ベジエスプラインなど、固有の内挿法を使用して特定の時期における値のセットにより与えられるプロファイルとして表される。
【0068】
シミュレータ300および関連付けられているモデルは、定期的更新を容易にするように構成され、構造化されてもよい。模範的な実施形態によれば、シミュレータ300および関連付けられているモデルは、ダイナミックリンクライブラリ(DLL)として実装されてもよい。有利なことに、DLLは、容易にエクスポートされるが、構造的な方法では表示または変更されない。
【0069】
必要量エンジン310は、動物情報入力を受け取り、1つまたは複数の必要量モデルを動物情報入力のセットに適用することにより動物必要量を生成するように構成されたシステムまたはプロセスであってもよい。必要量モデルは、さまざまな入力のセットのいずれかに基づいた潜在的出力の予測であってもよい。モデルは、牛乳生産を動物飼料の正味エネルギーに関連付ける相関のように単純なものであっても、または海老水産養殖池生態系の生産性を最大化するための栄養素必要量を計算する可変モデルのように複雑なものであってもよい。必要量エンジン310は、動物情報入力に基づいて複数のモデルから選択するように構成されてもよい。たとえば、必要量エンジン310は、豚の必要量、乳牛の必要量、コンパニオンアニマルの必要量、馬の必要量、肉牛の必要量、全体的必要量、家禽の必要量、水産動物の必要量などのモデルを含むことができる。さらに、各モデルは、成長段階、ストレスレベルなど、追加のカテゴリ化に基づいて複数のモデルに関連付けられてもよい。
【0070】
必要量エンジン310によって生成された動物の必要量は、特定の動物または動物のグループの栄養素必要量の一覧を含むことができる。動物の必要量は、動物または動物のグループに供給される全体的な食餌の記述であってもよい。動物の必要量はさらに、栄養パラメータのセット(「栄養素」)に関して定義されてもよい。栄養素および/または栄養のパラメータは、栄養素、および原材料のグループ、微生物測定、健康の指標、複数の原材料間の関係などと一般に呼ばれる用語を含むことができる。システム100の高度化に応じて、動物の必要量は、栄養素の比較的小さいセットまたは栄養素の大きいセットを含むことができる。さらに、動物の必要量のセットは、任意の特定の栄養素の量、栄養素の組合せ、および/または特定の原材料への制約または制限を含むことができる。有利なことに、制約または制限は、たとえば、特定の栄養素のより高レベルに確立されていなければ、栄養素の組合せが飼育されている動物の健康に危険をもたらすおそれがあるような場合に有用である。さらに、制約は、含水量、嗜好などの追加の基準に基づいて課されてもよい。制約は、最小限または最大限であってもよく、全体として動物必要量に、任意の単一の原材料に、または任意の原材料の組合せに対して課されてもよい。栄養素のコンテクストにおいて説明されているが、動物の必要量は、スペースの必要量、暖房の必要量など、動物に関連付けられている任意の必要量を含むことができる。
【0071】
さらに、許容可能な栄養素レベルの範囲を定義する動物の必要量が生成されてもよい。有利なことに、栄養素の範囲を使用することにより、図3を参照して以下にさらに説明されるように、動物の飼料配合中にさらに大きい柔軟性がもたらされる。
【0072】
必要量エンジン310はさらに、栄養素の変化する消化率を説明するように構成されてもよい。たとえば、一部の栄養素の消化率は、摂取される量に依存する。たとえば、動物が食餌に多量のリンを摂取する場合、動物によって活用される割合は、摂取される量に対して減少する。動物の消化管は、特定量のリンしか活用することができず、残りは動物を通過してしまう。したがって、リンの活用量は、特定レベルに到達した後、動物飼料内のリンの量に反比例関係を有することがある。消化率はさらに、その他の栄養素、微生物および/または酵素、処理作用(たとえば、ゲル化、遅延吸収のための被覆など)、動物生産またはライフステージ、以前の栄養レベルなどが存在するかどうかに依存することもある。シミュレータ300は、これらの作用を説明するように構成されてもよい。たとえば、シミュレータ300は、別の特定の栄養添加物に基づいて特定の栄養素の必要量を調整するように構成されてもよい。
【0073】
必要量エンジン310はまた、動物による消化の変化を説明するように構成されてもよい。動物情報入力は、動物による摂取および消化に影響する動物の健康、動物のストレスレベル、動物の繁殖状態、動物の給餌方法などを示す情報を含むことができる。免疫状態に基づく変動は、自発的な栄養摂取が低下している間、保護体制を採用するための保守コストの増大を生じることもある。たとえば、動物のストレスレベルは、動物による全体的な飼料摂取を減少させるが、内蔵の健康は通過の速度を増大させる場合も減少させる場合もある。もう1つの例によれば、動物の微生物プロファイルの変化は、酵素消化から細菌発酵にいたる栄養素の消化における変動を示すことができる。
【0074】
以下の表2は、動物の必要量に含まれうる栄養素の模範的な一覧を含む。模範的な実施形態によれば、動物の必要量の中で、一覧されている各栄養素は、量の値、割合、範囲、またはその他の測度に関連付けられうる。栄養素の一覧は、動物の種類、動物の健康状態、栄養素の利用可能性など、さまざまな要因のいずれかに基づいて、より多い栄養素、より少ない栄養素、または別の栄養素にカスタマイズされてもよい。
【0075】
【表2】

【0076】
必要量エンジン310は、1つまたは複数の必要基準に基づいて動物の必要量を生成するように構成されてもよい。必要基準は、必要量が生成される目標を定義するために使用されうる。たとえば、模範的な必要基準は、生産の最大化、商品化のための成長の鈍化、または最低投入コストでの動物の生産など、経済的な制約を含むことができる。動物の必要量は、動物のための動物飼料配合を生成するために使用されてもよい。したがって、動物の必要量は、動物飼料配合入力として使用されてもよい。
【0077】
必要量エンジン310はさらに、1つまたは複数の動的栄養素利用モデルに基づいて動物の必要量を生成するように構成されてもよい。動的栄養素利用は、動物の健康状態、給餌方法、給餌形態(粉餌、粒状、成形、粒径など)、飼料の耐水性、食べ残しの飼料、水温およびその酵素レベルへの影響などの動物情報入力で受け取られた情報に基づいて動物によって利用される動物飼料によって摂取される栄養素の量のモデルを含むことができる。栄養素利用はさらに、その他の栄養素添加物、微生物および/または酵素、処理作用(たとえば、ゲル化、遅延吸収のための被覆など)、動物生産またはライフステージ、以前の栄養レベルなどが存在するかどうかに依存することもある。
【0078】
シミュレータ300は、これらの作用を説明するように構成されてもよい。たとえば、シミュレータ300は、別の特定の栄養素の存在または不在に基づき、動物の必要量に基づいて決定されたレベルから、異なるレベルへと、動物飼料配合入力で定義された特定の栄養素のレベルを調整するように構成されてもよい。リンについて上記の例を使用すると、動物によって利用されるリンの量はまた、動物の食餌の他の栄養素によって影響を受けることもある。たとえば、生来存在するか、または栄養素として追加されたかにかかわらず、動物の消化管内の特定の微生物の存在は、通常発生するであろうレベルを超えてリンの利用を実際に増加させ、動物の排泄ストリームに入る量を減少させることがある。
【0079】
したがって、動物飼料配合入力は、栄養素利用モデルに基づいて変更されてもよい。しかし、動物飼料配合におけるこの変更は、変更されたばかりの動物飼料配合を含む、動物飼料配合に影響を与えることがある。したがって、栄養素利用モデルの補正は、あらかじめ定義された許容度範囲内の最終値に到達するために、値を常時更新する、反復計算を必要としてもよい。
【0080】
必要量エンジン310はまた、動物による栄養素の消化および利用における変化を説明するように構成されてもよい。動物情報入力は、動物による摂取および消化に影響する動物の健康、動物のストレスレベル、動物の繁殖状態、動物の給餌方法などを示す情報を含むことができる。たとえば、動物のストレスレベルは、動物による全体的な飼料摂取を減少させるが、内蔵の健康は通過の速度を増大させる場合も減少させる場合もある。代替として、ストレスレベルは、動物の実際の代謝を変えることがある。たとえば、動物の代謝は、ストレスにより引き起こされたコルチゾンの放出によって変更されることもある。その他の模範的な代謝変更因子は、プロスタグランジンと他の炎症誘発性サイトカインの免疫システムカスケード、白血球、抗体、およびその他の免疫細胞および物質、成長促進移植、およびアドレナリン作用飼料添加物を含むことができる。これらの反応は、消化の箇所および程度を推移させ、栄養素摂取を変化させ、消化された栄養素をさらに強制的に異化作用状態にする。
【0081】
動物パフォーマンスシミュレータ320は、必要量エンジン310を参照して上記で説明されているモデルと類似した、複数のモデルを含むプロセスまたはシステムであってもよい。動物パフォーマンスシミュレータ320に使用されるモデルは、エンタープライズスーパーバイザ200を通じてフォーミュレータ300から動物飼料配合と動物情報入力を受け取り、1つまたは複数の動物パフォーマンス予測を生成するためにモデルを飼料配合に適用する。動物パフォーマンス予測は、動物飼料配合入力およびその他の入力変数を与えられて生成される動物生産性の任意の予測子であってもよい。
【0082】
環境パフォーマンスシミュレータ330は、必要量エンジン310を参照して上記で説明されているモデルと類似した、複数のモデルを含むプロセスまたはシステムであってもよい。環境パフォーマンスシミュレータ330に使用されるモデルは、エンタープライズスーパーバイザ200を通じてフォーミュレータ300から動物飼料配合を受け取り、環境因子に基づいてパフォーマンス予測を生成するためにモデルを飼料配合および動物情報入力に適用する。環境パフォーマンス予測は、動物飼料配合入力、動物情報入力、および環境因子を与えられて生成されるパフォーマンスの任意の予測であってもよい。
【0083】
経済パフォーマンスシミュレータ340は、必要量エンジン310を参照して上記で説明されているモデルと類似した、複数のモデルを含むプロセスまたはシステムであってもよい。経済パフォーマンスシミュレータ340に使用されるモデルは、エンタープライズスーパーバイザ200を通じてフォーミュレータ300から動物飼料配合を受け取り、経済因子に基づいてパフォーマンス予測を生成するためにモデルを飼料配合および動物情報入力に適用する。経済パフォーマンス予測は、動物飼料配合入力、動物情報入力、および経済因子を与えられて生成されるパフォーマンスの任意の予測であってもよい。
【0084】
パフォーマンス予測は、提供された入力セットに基づいて生成された出力に関連する多種多様な情報を含むことができる。たとえば、パフォーマンス予測は、動物によって生成された出力など、特定の動物のパフォーマンスに関する情報を含むことができる。出力は、たとえば、動物によって生成された卵の栄養分、動物によって生成された肉に関連付けられた品質、動物によって生成された廃棄物の内容、環境に対する動物の影響などを含むことができる。
【0085】
模範的な実施形態によれば、シミュレータ320、330、および340は、複数のパフォーマンス予測を生成するために並列または直列で実行されてもよい。複数の動物パフォーマンス予測は、別々の状態のままであっても、単一の包括的なパフォーマンス予測に結合されてもよい。代替として、パフォーマンス予測は、単一のシミュレータまたは全数よりも少ないシミュレータの組合せに基づいて生成されてもよい。
【0086】
必要量エンジン310はさらに、特定のユーザー基準を満足するようにカスタマイズされるパフォーマンス予測を生成するために必要に応じて追加のシミュレータを含むことができる。たとえば、必要量エンジン310は、大量組成シミュレータ、卵組成シミュレータ、肉脂肪組成、廃棄物産出シミュレータ、維持エネルギー計算器などを含むことができる。
【0087】
ここで図4を参照すると、模範的な実施形態による、原材料エンジン400およびフォーミュレータ500を示す概略ブロック図が示される。原材料エンジン400は、フォーミュレータ500と情報を交換するように構成される。原材料エンジン400およびフォーミュレータ500は一般に、使用可能な原材料および受け取った動物の必要量に基づいて動物飼料配合を生成するように構成される。
【0088】
原材料エンジン400は、1つまたは複数の場所において使用可能な原材料の1つまたは複数の一覧を含む。この一覧はさらに、原材料の場所、原材料に関連付けられている栄養素、原材料に関連付けられているコストなど、原材料に関連付けられている追加情報を含む。
【0089】
原材料エンジン400は、第1の場所一覧410、第2の原材料場所一覧420、および第3の原材料場所一覧430を含むことができる。第1の原材料一覧410は、ユーザーの農場における原材料など、第1の場所において使用可能な原材料の一覧を含むことができる。第2の原材料一覧420は、原材料生産業者からの購入で使用可能な原材料の一覧を含むことができる。第3の原材料一覧430は、牧場内のまぐさ、プランクトン(動物性プランクトン、植物性プランクトンなど)、または養殖池内の雑魚など、対象動物の環境内で見い出される原材料の一覧を含むことができる。
【0090】
ここで第3の原材料一覧430を参照すると、対象動物の環境内で見い出される原材料の一覧の例は、水のミネラル含有量の一覧を含むことができる。動物の合計使用水量は、消費される乾燥飼料分に対する水分の比など、既知の消費比率に基づいて推定されうる。原材料または栄養素の消費は、実際の消費、および吸収を通じた動物による受容、身体プロセスを通じた生成などを含むことができる。この比率は、平均値を割り当てられるか、または、より好ましくは、既知の飼料および動物特性から計算されてもよい。生産業者によって提供される水のミネラル含有量は、現場で測定されうる。この水は、測定されたミネラル含有量および計算された摂取レベルと共に、第3の原材料一覧430に組み入れられてもよい。
【0091】
代替として、第3の原材料一覧430は、水界生態系の総栄養素含有量を含むことができる。総栄養素に対する生態系の寄与は、いくつかの方法で含まれてもよい。たとえば、サンプルが取り出され、総栄養素含有量を分析され、第3の一覧430として含まれてもよい。好ましくは、シミュレータ300において解決されたモデルは、生産されるその種のみならず、生態系に生息する他の種も含むように拡張されてもよい。モデルは、食餌をめぐる他の種の競争、生産された種の生態系における他の種の消費、栄養素または毒素排出、温度、日光などに反応する経時的な他の種の成長などのような影響のうちの1つまたは複数の影響を含むことができる。
【0092】
第3の原材料一覧430はさらに、シミュレータ300によって生成されるパフォーマンス予測を含むことができる。たとえば、牛乳の栄養素含有量は、個々の生産業者の特定の動物に対してモデル化されてもよい。この牛乳の栄養素含有量モデルは、授乳中の動物によって消費される第3の原材料一覧430として使用されてもよい。
【0093】
原材料の各一覧はさらに、原材料に関連付けられている追加の情報を含むことができる。たとえば、原材料の一覧は、その原材料に関連付けられているコストの一覧を含むことができる。代替として、第1の場所における原材料は、原材料の生産、原材料の保管、原材料の調合などに関連付けられているコストを含むことができるが、第2の場所における原材料は、原材料の購入に関連付けられているコストを含むことができ、第3の場所における原材料は、バイオマスの増大、栄養素プロファイル値の変更、栄養素利用可能性の変化などに関連付けられているコストを含むことができる。追加の情報は、後の処理ステップに関連する可能性のある任意のタイプの情報を含むことができる。
【0094】
以下の表3は、動物飼料配合を生成する際に使用されうる原材料の模範的な一覧を含む。原材料の一覧は、原材料の利用可能性、投入価格、動物の種類など、さまざまな要因に基づいて、より多い原材料、より少ない原材料、または別の原材料を含むことができる。
【0095】
【表3−1】

【0096】
【表3−2】

【0097】
【表3−3】

【0098】
【表3−4】

【0099】
原材料エンジン400はさらに、原材料情報データベース440を含むことができる。原材料情報データベース440は、栄養素情報、コスト情報、ユーザー情報など、飼料配合を生成する際に使用される原材料に関連する任意の種類の情報を含むことができる。データベース440に格納される情報は、一般情報、ユーザーに具体的に関連する情報、リアルタイム情報、履歴情報、地理的ベースの情報など、任意のさまざまな種類の情報を含むことができる。原材料情報データベース440は、ユーザーによって供給される情報と併せて、最適化飼料配合の生成に必要な情報を供給するために、原材料エンジン400によって利用されてもよい。
【0100】
原材料情報データベース440はさらに、飼料市場情報など、追加の関連情報を取得するために、外部データベースにアクセスするように構成されてもよい。飼料市場情報は、同様に、原材料の現行価格、産出量に対する従来価格、原材料生産業者情報、原材料の栄養素含有量情報、市場投入タイミング情報、地理的市場情報、搬送コスト情報などを含むことができる。原材料情報データベース440はさらに、原材料価格形成の従来の分布、およびシステム100の他のコンポーネントへの入力として使用されうるその他の情報を提供するように構成されたモンテカルロタイプのシミュレータに関連付けられてもよい。
【0101】
原材料エンジン400はさらに、原材料の栄養素含有量に影響を与えうる要因に対する追跡および予測の機能を提供するように構成された可変栄養素エンジン450を含むことができる。たとえば、可変栄養素エンジン450は、時間の経過に伴う原材料の栄養素含有量を予測するように構成されてもよい。一部の原材料の栄養素含有量は、保管の方法、輸送の方法、自然浸出、処理方法などに基づいて、時間の経過と共に変化する場合もある。さらに、可変栄養素エンジン450は、特定の原材料生産業者から受け取った原材料の栄養素含有量における変動性を追跡して、これらの特定の原材料生産業者から受け取る原材料の推定栄養素含有量を予測するように構成されてもよい。
【0102】
可変栄養素エンジン450はさらに、原材料の栄養素含有量における変動性を説明するように構成されてもよい。原材料の変動性の推定は、特定の原材料、原材料の供給業者、原材料のサンプルの試験などに関する情報に基づいて計算されてもよい。模範的な実施形態によれば、記録および/または推定された変動性および共分散は、モンテカルロ手法において抽出される分布を作成するために使用されてもよい。この手法において、最適化飼料配合における原材料の実際の栄養素含有量は、これらの分布から繰り返し抽出され、栄養素含有量の分布を生成する。次に、栄養素の必要量は、栄養素含有量が十分ではない任意の栄養素について修正されてもよい。プロセスは、すべての栄養素について望ましい信頼性が達成されるまで繰り返されてもよい。原材料の実際の栄養素含有量は、動物のための動物飼料配合を生成するために使用されてもよい。したがって、原材料の栄養素含有量はまた、動物飼料配合入力として使用されてもよい。
【0103】
ここでフォーミュレータ500を参照すると、フォーミュレータ500は、エンタープライズスーパーバイザ200を通じてシミュレータ300から動物の必要量を受け取り、使用可能な原材料に基づいて原材料エンジン400から栄養素情報を受け取り、動物飼料配合を生成するように構成される。フォーミュレータ500は、動物の必要量で定義された一連の栄養素レベルを満足する最小コストの飼料配合を計算する。
【0104】
最小コストの動物飼料配合は、業界においてよく知られているように、線形プログラミング最適化を使用して生成される場合もある。最小コストの配合は一般に、最適化飼料配合を作成するために、ユーザーに使用可能な原材料を、購入される原材料と組み合わせて利用するように構成される。具体的には、線形プログラミングは、穀物、まぐさ、サイレージ、脂肪、油、微量栄養素、またはタンパク質補助剤など、ユーザーによって提供される栄養源を、総飼料配合への固定された寄与を備える原材料として組み入れる。次いで、これらの寄与は、最適な配合から差し引かれる。調合全体とこれらのユーザー供給の原材料との間の差は、生産されて顧客に販売される原材料の組合せを構成する。
【0105】
代替として、配合プロセスは、前述のように引き続き最適化される作成された分布への従来または予測された範囲として含まれる原材料価格形成の変動性を備えるモンテカルロシミュレーションとして実行されてもよい。
【0106】
ここで図5を参照すると、模範的な実施形態による動物生産最適化の方法600を示す流れ図が示される。方法600は一般に、少なくとも1つの最適化基準に従って、1つまたは複数の動物情報入力に対する最適化値を識別することを含む。方法600の説明は、特定のステップおよびステップの特定の順序を含むが、より多いステップ、より少ないステップ、および/または異なる順序のステップが、本明細書に説明される機能を実現するために実行されうることに留意することは重要である。さらに、ステップの実施には、以前のステップの再実施を必要とすることもある。したがって、明確にするためにステップが直線的に示されるが、いくつかのループバック条件が存在してもよい。
【0107】
ステップ605において、エンタープライズスーパーバイザ200は、動物情報入力を受け取るように構成される。動物情報入力は、ユーザーインターフェイス210を通じてユーザーから受け取られるか、関連するデータに基づいて自動的に取り込まれるか、ユーザーに関連する格納データに基づいて取り込まれるか、またはユーザーからのバッチアップロードで受け取られうる。受け取られた動物情報入力は、可変入力としての1つまたは複数の動物情報入力の指定を含む。可変入力としての指定は、単一、複数、またはすべての動物情報入力に対して受け取られることもある。
【0108】
ステップ610において、エンタープライズスーパーバイザ200は、ユーザーインターフェイス210を通じて最適化基準を受け取るか、または代替として、事前にプログラムされた最適化基準を受け取るように構成される。最適化基準は、生産性の最大化、費用の低減、産出量の最大化、生産目標の達成などを含むことができる。模範的な実施形態において、最適化基準は、最小化または最大化を必要とする目的関数であってもよい。目的関数は、その中に組み入れられた制約を有するか、または独立した制約に従ってもよい。目的関数は、動物生産システムの変数の任意の組合せの関数であってもよい。
【0109】
ステップ615において、エンタープライズスーパーバイザ200は、動物情報入力および最適化基準をシミュレータ300に伝達するように構成される。動物情報入力および最適化基準を受け取ると、ステップ620において、シミュレータ300は、動物の必要量のセットを生成するように構成される。
【0110】
ステップ625において、動物の必要量のセットは、エンタープライズスーパーバイザ200を通じてシミュレータ300からフォーミュレータ500に伝達される。フォーミュレータ500は、動物の必要量と、ステップ630において栄養素エンジン450から受け取った栄養素情報に基づいて、最小コストの動物飼料配合を生成するように構成される。
【0111】
ステップ635において、エンタープライズスーパーバイザ200は、図2を参照して上記で詳細に説明されているように、ステップ605で受け取った1つまたは複数の可変入力に対して最適化値を生成するように構成される。
【0112】
本明細書において、特定の機能がシステム100の特定のコンポーネントに関連付けられて説明されているが、機能は代替としてシステム100の任意の他のコンポーネントに関連付けられてもよい。たとえば、ユーザーインターフェイス210は、代替実施形態によるシミュレータ300に代替として関連付けられてもよい。
【0113】
多くのその他の変更および修正は、本発明の範囲内で、本発明の精神を逸脱することなく行われうる。これらのさまざまな変更の範囲は、付属の特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】模範的な実施形態による動物生産最適化システムを示す概略ブロック図である。
【図2】模範的な実施形態による動物生産最適化システムのエンタープライズスーパーバイザを示す概略ブロック図である。
【図3】模範的な実施形態による動物生産システムのシミュレータを示す概略ブロック図である。
【図4】模範的な実施形態による動物生産システムの原材料エンジンおよびフォーミュレータを示す概略ブロック図である。
【図5】模範的な実施形態による動物生産最適化の方法を示す流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物によって摂取される栄養素の利用に基づいて動物飼料配合を生成するシステムであって、
動物の特性に基づいて動物の必要量のセットを生成して、前記動物の予測される栄養素利用および前記動物の必要量のセットに少なくとも部分的に基づいて動物飼料配合入力を生成するように構成されたシミュレータエンジンと、
前記動物飼料配合入力を受け取って、前記動物飼料配合入力に基づいて最適化された動物飼料配合を生成するように構成されたフォーミュレータエンジンとを備えるシステム。
【請求項2】
少なくとも1つの可変入力に対して最適化値を生成するように構成されたエンタープライズスーパーバイザエンジンであって、前記可変入力は動物による前記栄養素の利用に影響を与えるエンタープライズスーパーバイザエンジンをさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの可変入力に対して最適化値を生成することは、前記少なくとも1つの可変入力に前記変更の予測された影響をもたらすことを含む請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記予測された影響は動物によって利用される、前記動物によって摂取される栄養素の割合である請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記動物飼料配合入力の最適化値を生成するように構成されたエンタープライズスーパーバイザエンジンであって、前記最適化値は動物の栄養素利用がその動物の前記本来の動物必要量に接近するように構成されるエンタープライズスーパーバイザエンジンをさらに含む請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
1つまたは複数の動物情報入力に基づいて栄養素利用モデルを生成するように構成された栄養素利用シミュレータをさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記栄養素利用シミュレータは動物の健康、動物の飼料配合栄養素、動物の環境、および動物の特性のうちの少なくとも1つに基づいて前記動物の前記栄養素利用モデルを生成するように構成される請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
動物によって摂取される栄養素の利用に基づいて動物飼料配合を生成する方法であって、
少なくとも1つの動物情報入力を受け取るステップと、
前記少なくとも1つの動物情報入力に少なくとも部分的に基づいて動物の必要量のセットを判別するステップと、
前記動物の必要量に基づいて動物飼料原材料から成る最適化された動物飼料配合を生成するステップと、
前記少なくとも1つの動物情報入力に基づいて動物の栄養素利用を判別するステップと、
前記動物飼料原材料の前記動物の前記栄養素利用に基づいて動物飼料原材料から成る変更された動物飼料配合を生成するステップとを備える方法。
【請求項9】
少なくとも1つの可変入力に対して最適化値を生成するステップであって、前記可変入力は前記動物の前記栄養素利用に影響を与えるステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの可変入力に対して最適化値を生成するステップは、前記少なくとも1つの可変入力に前記変更の予測された影響をもたらすステップを含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記動物の栄養素利用を判別するステップは、前記動物の前記排泄ストリーム内の前記栄養分を判別するステップを含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記動物の栄養素利用を判別するステップは、動物の健康、動物の飼料配合栄養素、動物の環境、および動物の特性のうちの少なくとも1つに基づいて前記動物の予測された栄養素利用モデルを生成するステップを含む請求項8に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの動物情報入力に基づいて前記動物飼料原材料の栄養素含有量を判別するステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項14】
保管の方法、輸送の方法、浸出予測、および処理方法のうちの少なくとも1つに基づいて栄養素含有量プロファイルを生成するステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項15】
動物によって摂取される栄養素の利用に基づいて動物飼料配合を生成するシステムであって、
動物の特性に基づいて動物の必要量のセットを生成して、前記動物の必要量を満たすために使用される動物飼料原材料の予測される栄養素含有量に基づいて動物飼料配合入力を生成するように構成されたシミュレータエンジンと、
前記動物飼料配合入力を受け取って、前記動物飼料配合入力に基づいて最適化された動物飼料配合を生成するように構成されたフォーミュレータエンジンとを備えるシステム。
【請求項16】
少なくとも1つの可変入力に対して最適化値を生成するように構成されたエンタープライズスーパーバイザエンジンであって、前記可変入力は前記動物飼料原材料の前記栄養素含有量に影響を与えるエンタープライズスーパーバイザエンジンをさらに含む請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの可変入力に対して最適化値を生成することは、前記少なくとも1つの可変入力に前記変更の予測された影響をもたらすことを含む請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
1つまたは複数の動物情報入力に基づいて栄養素含有量モデルを生成するように構成された栄養素含有量エンジンをさらに含む請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
保管の方法、輸送の方法、浸出予測、および処理方法のうちの少なくとも1つに基づいて前記栄養素含有量モデルが生成される請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記動物飼料配合入力の最適化値を生成するように構成されたエンタープライズスーパーバイザエンジンであって、前記最適化値は動物飼料配合の前記栄養素含有量がその動物の前記本来の動物必要量に接近するように構成されるエンタープライズスーパーバイザエンジンをさらに含む請求項15に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−508606(P2008−508606A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523756(P2007−523756)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/026589
【国際公開番号】WO2006/015017
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(505006552)シーエイエヌ テクノロジーズ インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】