説明

動的解析器、動的解析装置、動的解析システム、動的解析方法、及びプログラム

【課題】 複数の要素が時間の経過に伴ってその全体が変動し、定常状態が存在しない系も的確に解析することができる動的解析器、動的解析装置及び動的解析システム、動的解析方法、並びにプログラムを提供する。
【解決手段】 解析時間t及び目的物質であるブタノールが入力されると、動的解析器33bは、各非線形モデルを用いて解析時間tにおいてブタノールの濃度に与える各反応のパラメータの影響を算出する。動的解析器33bは、得られた各感度の値を正負それぞれの最大値で正規化し、正規化後の値が最も大きいものから所定番目までのパラメータに係る情報を生成して、表示部36に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に関連する複数の流路にて構成された系について、各流路において経時的に変化する要素を動的に解析する動的解析器、該動的解析器を備え、各流路の要素の変化を非線形モデルとして解析することができる動的解析装置、及び該動的解析装置及び各要素の量を分析する分析装置を備える動的解析システム、前記各流路において経時的に変化する要素を動的に解析する動的解析方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、生体内においては、種々の代謝系での代謝を行って生体の維持に必要なエネルギ及び/又は成分を得ている。
【0003】
一方、微生物生体を利用する発酵産業にあっては、所定の微生物を培養し、当該微生物の代謝によって産生される代謝産物を用いて製品を製造している。
そのような生体を用いる産業にあっては、製造工程の維持・管理及び生産性の向上のため、当該生体における種々の代謝系の状態を高精度に解析することが要求されている。
【0004】
そのため、後記する特許文献1には、代謝物質に関する濃度データを時系列的に取得することができるキャピラリー電気泳動―質量分析装置と、代謝系に含まれる各酵素を動的モジュールと静的モジュールとに分割して当該代謝系を推定解析する代謝系推定装置とを備える代謝解析システムが開示されている。
【特許文献1】特開2008−40812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の代謝解析システムにあっては、動的モジュールのシミュレーションモデルを単純化することができる一方、高い精度で代謝系を推定することができる。しかしながら、かかる代謝系の推定は定常状態におけるものであるため、時間の経過に伴ってその全体が変動する系を的確に解析することができないという問題があった。そのため、例えば、目的とする代謝産物の収量増大を図るには、オペレータの経験に頼らざるを得なかった。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、複数の要素が時間の経過に伴ってその全体が変動し、定常状態が存在しない系も的確に解析することができる動的解析器、動的解析装置及び動的解析システム、動的解析方法、並びにプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る動的解析器は、相互に関連する複数の流路にて構成された系について、各流路において経時的に変化する要素を動的に解析する動的解析器であって、情報を入力する入力部と、各流路について、該当する要素の変化を適宜のパラメータを用いてそれぞれモデル化した複数の非線形モデルが記憶された記憶部と、前記入力部を介して解析時間及び目的流路の要素が入力された場合、前記記憶部から所要の非線形モデルを読み出す手段と、読み出した各非線形モデルを用いて、入力された解析時間において、他の流路に係る各非線形モデルのパラメータの変化が目的流路の要素の変化に及ぼす影響の程度を示す感度をそれぞれ算出する感度算出手段と、得られた各感度に基づいて、目的流路の要素の変化に及ぼす影響の程度が相対的に大きい適宜数の流路を選択する選択手段と、選択した各流路及び当該流路に係る非線形モデルのパラメータの変化を出力する手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の動的解析器にあっては、入力部によって解析のための解析時間及び目的流路の要素の情報が入力されると、各流路について、該当する要素の変化を適宜のパラメータを用いてそれぞれモデル化した複数の非線形モデルが記憶された記憶部から、所要の非線形モデルを読み出し、読み出した各非線形モデルを用いて、入力された解析時間において、他の流路に係る各非線形モデルのパラメータの変化が目的流路の要素の変化に及ぼす影響の程度を示す感度をそれぞれ算出する。そして、得られた各感度に基づいて、目的流路の要素の変化に及ぼす影響の程度が相対的に大きい適宜数の流路を選択し、選択した各流路及び当該流路に係る非線形モデルのパラメータの変化を出力する。
【0009】
これによって、目的流路の要素の変化に大きな影響を及ぼす他の流路を的確に認識することができ、かかる認識に基づいて、目的流路の要素を所要状態に変化させるための的確な処置を施すことができる。
【0010】
特に、連続培養、連続反応又は移動体管制等、定常状態が生じない非定常状態の系にあっても、当該系の状態を高精度に解析することができる。これによって、非定常状態の系であっても、目的流路を所要な状態に制御することができる。
【0011】
ここで、本発明を適用することができる系としては、要素して代謝物質を産生する複数の代謝反応を各流路とする代謝系があるが、これ以外にも、要素として化合物を生成する複数の化学反応がカスケード状に生じる化学反応系、相互に関連する複数の移動路をそれぞれ移動する複数の移動体を管制する移動体管制系等、種々の系に本発明を適用することができる。
【0012】
(2)また、本発明に係る動的解析器は、必要に応じて、前記感度算出手段によって得られた各感度を正規化する手段を更に備え、前記選択手段は、正規化された各感度の内、最も高い感度から所定番目までの感度であったパラメータに係る流路を選択するようにしてなることを特徴とする。
【0013】
本発明の動的解析器にあっては、感度算出手段によって得られた各感度を正規化し、正規化された各感度の内、最も高い感度から所定番目までの感度であったパラメータに係る流路を選択するため、系全体において、目的流路の要素の変化に大きな影響を及ぼす他の流路を正確に把握することができる。
【0014】
(3)更に、本発明に係る動的解析器は、必要に応じて、前記感度算出手段は次の(1)式及び/又は(2)式を用いて感度を算出するようにしてなることを特徴とする。
【0015】
【数2】

【0016】
本発明の動的解析器にあっては、動的な感度を任意の解析時間におけるパラメータの単位%変化に対するする生成物の濃度又は流束の%変化として表すことができる。これによって、可及的に正確な動的感度を求めることができる。
【0017】
(4)本発明に係る動的解析装置は、前述したいずれかの動的解析器と、各流路の要素を経時的に分析して得られた時系列データに基づいて、前記系に係る各流路の非線形モデルを解析する系解析器とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の動的解析装置にあっては、例えば後述するWinBEST-KITといった系解析プログラムをインストールしてなる系解析器を備えるため、時系列データに基づいて、より実体に則した非線形モデルを得ることができる。
【0019】
(5)本発明に係る動的解析システムは、前記各流路の要素の量を経時的に分析する分析装置と、前記動的解析装置とを備えることを特徴とする。
本発明の動的解析システムにあっては、各流路の要素の量を経時的に分析する分析装置と、前述した動的解析装置とを備えるため、要素の量の分析と、分析値に基づいた動的解析とを並行して実施することができ、効率的な解析を行うことができる。
【0020】
(6)本発明に係る動的解析システムは、前記分析装置の分析によって得られた複数の時系列データから所要の時系列データを抽出し、抽出した各時系列データの型式を前記系解析器が処理し得る型式に変更して系解析器へ出力するインターフェース部を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明の動的解析システムにあっては、分析装置の分析によって得られた複
数の時系列データから所要の時系列データを抽出し、抽出した各時系列データの型式を前記系解析器が処理し得る型式に変更して系解析器へ出力するインターフェース部を備えるため、系解析器への時系列データの入力作業を人手を介することなく行うことができ、大量の入力作業を短時間で完了することができる。
【0022】
(7)本発明に係る動的解析方法は、相互に関連する複数の流路にて構成された系について、各流路において経時的に変化する要素を動的に解析する方法であって、各流路の要素の変化をそれぞれ特徴付ける複数のパラメータが予め与えられており、指定された解析時間において、目的流路の要素の変化に及ぼす他の流路のパラメータの変化の影響の程度を求め、得られた影響の程度が相対的に大きい適宜数の流路を選択し、選択した流路及び当該流路のパラメータの変化を出力することを特徴とする。
【0023】
本発明の動的解析方法にあっては、指定された解析時間において、目的流路の要素の変化に及ぼす他の流路のパラメータの変化の影響の程度を求め、得られた影響の程度が相対的に大きい適宜数の流路を選択し、選択した流路及び当該流路のパラメータの変化を出力するため、相互に関連する複数の流路にて構成された系について、目的流路の要素の変化に大きな影響を及ぼす他の流路を的確に認識することができ、かかる認識に基づいて、目的流路の要素を所要状態に変化させるための的確な処置を施すことができる。
【0024】
(8)本発明に係る動的解析方法は、相互に関連する複数の流路にて構成された系について、各流路において経時的に変化する要素を動的に解析する方法であって、各流路について、該当する要素の変化を適宜のパラメータを用いてそれぞれモデル化した複数の非線形モデルを記憶し、解析時間及び目的流路の要素が入力された場合、記憶した各非線形モデルから所要の非線形モデルを読み出し、読み出した各非線形モデルを用いて、入力された解析時間において、他の流路に係る各非線形モデルのパラメータの変化が目的流路の要素の変化に及ぼす影響の程度を示す感度をそれぞれ算出し、得られた各感度に基づいて、目的流路の要素の変化に及ぼす影響の程度が相対的に大きい適宜数の流路を選択し、選択した各流路及び当該流路に係る非線形モデルのパラメータの変化を出力することを特徴とする。
【0025】
本発明の動的解析方法にあっては、前同様、目的流路の要素の変化に大きな影響を及ぼす他の流路を的確に認識することができ、かかる認識に基づいて、目的流路の要素を所要状態に変化させるための的確な処置を施すことができる。
【0026】
(9)本発明に係る動的解析方法は、コンピュータに、相互に関連する複数の流路にて構成された系について、各流路において経時的に変化する要素を動的に解析させるプログラムであって、前記コンピュータを、各流路について、該当する要素の変化を適宜のパラメータを用いてそれぞれモデル化した複数の非線形モデルを記憶する手段、解析時間及び目的流路の要素が入力された場合、憶部した各非線形モデルから所要の非線形モデルを読み出す手段、読み出した各非線形モデルを用いて、入力された解析時間において、他の流路に係る各非線形モデルのパラメータの変化が目的流路の要素の変化に及ぼす影響の程度を示す感度をそれぞれ算出する手段、得られた各感度に基づいて、目的流路の要素の変化に及ぼす影響の程度が相対的に大きい適宜数の流路を選択する手段、選択した各流路及び当該流路に係る非線形モデルのパラメータの変化を出力する手段として機能させることを特徴とする。
【0027】
本発明のプログラムにあっては、前同様、目的流路の要素の変化に大きな影響を及ぼす他の流路を的確に認識させることができ、かかる認識に基づいて、目的流路の要素を所要状態に変化させるための的確な処置を施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(本発明の実施形態)
図1は本発明に係る動的解析システムの一構成例を示すブロック図であり、代謝系の動的解析、具体的には微生物の培養工程における複数の代謝物質の挙動の解析に適用した場合について示している。
【0029】
図1に示した如く、動的解析システムは、データ取得装置たる分析装置2と、解析装置3とを備えて構成されている。ここで、分析装置2としては、高速液体クロマトグラフ質量分析装置、ガスクロマトグラフ等を分析対象物に応じて単独で又は複数を組み合わせて用いることができるが、本実施の形態では高速液体クロマトグラフ質量分析装置を用いている。また、解析装置3としては、種々の解析用ソフトウェアをインストールしたコンピュータを用いることができるが、本実施例にあっては、国立大学法人九州大学内で作成されたWinBEST-KIT(Windows(登録商標)-based Biochemical Engineering System Analyzing Tool-KIT)(非特許文献1参照。)をインストールしたPC(Personal Computer)を用いている。
【非特許文献1】T.Sekiguchi,M.Okamoto“WinBEST-KIT:WINDOWS(登録商標)-BASED BIOCHEMICAL REACTION SIMULATOR FOR METABOLIC PATHWAYS”Journal of Bioinformatics and Computational Biology Vol,4,No.3(2006)621-638
【0030】
図示しない発酵槽には培養基及び微生物が投入されており、例えば嫌気培養によってブタノールといった目的物質を製造する場合、培養基中にCO2ガスを通気することによって微生物を増殖させ、発酵によって他の代謝物質と共に目的物質を培養基中に産生させるようになっている。
【0031】
前述した分析装置2の分離部23には前記発酵槽から、適宜の時間間隔で発酵中の培養基の一部が試料として与えられるようになっており、分離部23は試料が与えられる都度、当該試料に含まれる複数の成分をそれぞれ分離し、分離した各成分を質量分析部24に与える。質量分析部24は分離部23から与えられた各成分の質量をそれぞれ分析し、得られた分析結果を時系列データとして記憶部25に記憶させる。
【0032】
分析装置2には、分析条件等、種々の指令を入力するための入力部22及び前記記憶部25に記憶された時系列データを出力するための出力部27、分析して得られた時系列データ等を表示する表示部26が設けられており、出力部27による時系列データの出力動作、表示部26による表示動作、並びに前記分離部23及び質量分析部24による分離・分析動作等の種々の動作はCPU21によって制御されるようになっている。
【0033】
更に、分析装置2にはインターフェース(I/F)部28が設けてあり、I/F部28は、出力部27から出力される各時系列データから予め指定されたデータを抽出し、抽出した各データを所定の処理型式に変換して解析装置3に与えるようになっている。
【0034】
図2は、図1に示したI/F部28が具備する機能の一例を示す機能ブロック図である。I/F部28には、図1に示した出力部27を介して前記記憶部25から各時系列データがテキストファイルとして各別に与えられるようになっている。一方、I/F部28には解析の対象とする時間領域が予め設定されており、I/F部28の結合機能28aが起動されると、結合機能28aは、設定された時間領域に係る各時系列データを互いに結合して結合ファイルを生成する。
【0035】
結合ファイルが生成されると、I/F部28の濃度計算機能28bが作動するようになっており、濃度計算機能28bは、結合ファイルに含まれる各時系列データ中の各ピーク面積を求め、求めた各ピーク面積に基づいて当該ピークに係る成分の濃度をそれぞれ算出し、得られた各濃度をその成分に対応付けて前記結合ファイルに添付する。
【0036】
一方、I/F部28には、前記時系列データから所要の成分に係るデータを編集するためのプロパティ編集機能28cが設けてあり、プロパティ編集機能28cには後記するプロパティ設定画面を介して編集すべき成分に係る情報が予め設定されている。
【0037】
図3は、プロパティ設定画面の一例を説明する説明図である。
図3に示した如く、プロパティ設定画面にはCompound(化合物)タグが設けてある。そして、プロパティ設定画面には、編集対象のm/z値を各別に設定するm/z値カラム41、設定した各m/z値に対応する化合物名をそれぞれ設定するNameカラム42、設定した各化合物の標準サンプル濃度をそれぞれ設定するStd.Concカラム43、領域としてのm/z値を設定するAreaカラム44、内部標準物質(ISTD)を設定するためのISTDカラム45等が設けられており、各カラム41,42,…に対応する情報を入力するようになっている。なお、ISTDカラム45はいずれか1つの化合物に設定し得るようになしてある。
【0038】
ところで、前述した出力部27は、図4に示したように、時系列データに含まれる複数のピークそれぞれについて、m/z値、領域(Area)、高さ(Height)等、予め定めた項目に係る値を求め、各項目に対応付けて出力する機能を有している。
【0039】
そして、I/F部28のプロパティ編集機能28cは、出力部27から各項目に対応付けて出力されたデータから、プロパティ設定画面を介して設定された情報に係るデータを抽出する操作を、結合ファイルを構成する全ての時系列データについて行うことによって編集操作を実行する。
【0040】
このようにして編集操作が実行されると、I/F部28の型式変更機能28dが作動され、型式変更機能28dは、プロパティ編集機能28cによって編集された各データを解析装置3が処理し得る型式に変更すべく、例えばスプレットシートを作成し、それを解析装置3へ出力する。
【0041】
なお、本実施の形態では、分析装置2にI/F部28を設けた場合について示したが、本発明はこれに限らず、I/F部28は解析装置3に設けてもよく、また、分析装置2と解析装置3との間に独立して介装させるように構成してもよい。
【0042】
これによって、前述したプロパティ設定画面を用いて、解析対象の代謝系に係る各化合物をI/F部28に設定するだけで、各化合物に係る複数の時系列データが編集されて所要の型式で解析装置3に与えられ、解析装置3によって当該反応系が詳細に解析されることになる。
【0043】
このようにして分析装置2のI/F部28から出力されたデータは解析装置3のデータ入力部34に入力されるようになっており、データ入力部34は、分析装置2のI/F部28から与えられたデータを記憶部35に与えてそこに記憶させる。
【0044】
解析装置3には、解析条件等、種々の命令を入力するための入力部32、後述する如く解析を行う動的解析部33、該動的解析部33によって解析されたデータを表示する表示部36、及び当該解析データを出力する出力部37が設けてあり、これらの各動作はCPU31によって制御される。
【0045】
前述した動的解析部33は、目的物質を産生する代謝系というような解析対象の系を解析して当該系に係る複数の要素の変化をモデル化する系解析器33aと、該系解析器33aの解析結果に基づいて、時々刻々に変化する過渡状態にある当該系を動的に解析する動的解析器33bとを具備している。
【0046】
まず、系解析器33aの動作について詳述する。
解析対象の系としてアセトン・ブタノール発酵を解析する場合について説明する。
図5は、アセトン・ブタノール発酵に関与する代謝系を示す図面である。
図5に示した如く、アセトン・ブタノール発酵は、グルコースを出発物質としてアセチル−CoA、ブチル−CoA等を経て目的物質たるブタノールを生成する代謝系であり、副産物としてアセトン及びエタノールが生成される。また、培養初期にあっては、乳酸、酢酸、酪酸といった有機酸も生成される。
【0047】
かかる代謝系にあっては、16種の化学物質が関与しており、各代謝工程の反応速度に影響する速度パラメータとして45種が関与している。
経時的に変化する各化学物質の濃度は、前述した分析装置の記憶部35に時系列データとして記憶されている。また、各時系列データは出発物質の異なる濃度に応じて生成されている。
【0048】
なお、各代謝工程を表す数式として、GMA(一般質量作用則)に基づく数式、ミカエリシス−メンテン式に代表される酵素反応速度近似式等、複数の数式が予め系解析器33aに設定されており、入力部32を介してユーザが選択できるようになっている。また、系解析器33aには入力部32を介してユーザが他の数式を設定することができるようになっており、設定した他の数式を選択することもできる。
【0049】
系解析器33aは、GUI(Graphical User Interface)機能を具備しており、表示部36及び入力部32を介してユーザに図6に示した代謝系に対応する系モデルを入力させる。
【0050】
図6は、図5に示したアセトン・ブタノール発酵に対応する系モデル入力画面を説明する説明図である。
図6に示した如く、アセトン・ブタノール発酵に関与する複数の化学物質、及び関連する化学物質間の反応がそれぞれシンボル化されており、化学物質と関連する反応との間が矢符で結ばれている。このとき、既知の反応については対応する数式が選択されており、未知の反応については例えば色を異ならせることによって区別してある。これらの反応種の設定は反応シンボル選択領域51を操作することによって行われる。
【0051】
前述した分析装置2には、図3に示したプロパティ設定画面を介してアセトン・ブタノール発酵に関与する各化学物質が設定されており、これによって解析装置3の記憶部35に、該当する各化学物質に係る各時系列データが、出発物質の異なる濃度別のセットとしてそれぞれ記憶されている。
【0052】
図6に示した如く、系モデル入力画面には、反応物名を入力するための物質名入力ボックス52が設けてあり、物質名入力ボックス52に対応する化学物質名を入力することによって、入力された化学物質名を包含した反応物シンボルが生成されるようになっている。
【0053】
また、系モデル入力画面には、反応物の濃度を入力するための濃度入力ボックス53も設けてあり、物質名入力ボックス52及び濃度入力ボックス53に対応する情報が入力された後、計算開始指令が入力されると、系解析器33aは、前記記憶部35から対応する時系列データセットを読み出し、読み出した時系列データセットを構成する各時系列データに最も近似するように、前述した既知の各反応を表す数式のパラメータの値を求め、各時系列データに対応する非線形モデルを生成する。
【0054】
なお、パラメータの最適化は、例えば実数値遺伝的アルゴリズムを主体とする公知の解法を設定しておく。また、パラメータの最適化を行うための公知の解放を複数設定しておき、ユーザに選択させるようにしてもよい。
一方、未知の各反応については、例えば次の(3)式を用いて、当該各反応に係るパラメータを、(3)式のfの値が最小になす値として求める。
【0055】
【数3】

【0056】
図7は、系解析器33aによる系解析結果の一例を示すグラフであり、図中、黒四角印、黒丸印及び黒菱型印は、それぞれグルコース、ブタノール及びアセトンの時系列データを、実線及び破線はグルコース、ブタノール及びアセトンの時系列データに基づいて系解析器33aが求めた非線形モデルである。
図7から明らかな如く、出発物質であるグルコース、生成物であるブタノール、及び副生成物であるアセトンの時系列データは対応する非線形モデルとよく一致している。
なお、複数の時系列データセットを用いて、各反応に係るパラメータの値を調整することもできる。
【0057】
このようにして系解析器33aが、代謝系に係る各化学物質についてそれぞれ非線形モデルを生成すると、前述した動的解析器33bが基準時から適宜時間t経過した後の代謝系の状態を次のようにして解析する。
【0058】
動的解析器33bには、次の(1)式が予め設定されており、この(1)式を用いて、基準時から適宜時間t経過したときにおける目的物質Xiの濃度に与える各反応のパラメータPj(例えば、速度パラメータたるVmax、Km)の影響、即ち適宜時間tにおけるパラメータPjの感度(Li,j)を算出する。
【0059】
【数4】

【0060】
例えば、図5に示したアセトン・ブタノール発酵について説明すると、この代謝系にあっては前述した如く16種の代謝物質と45種のパラメータとを含んでいるので、(1)式は次のような行列の(4)式で表すことができる。
【0061】
【数5】

【0062】
なお、図5に示したアセトン・ブタノール発酵において、基準時から解析時間t経過したときにおける各化学物質の濃度(Xi(t))は、次の(5)式〜(21)式によって求められる。なお、これら(5)式〜(21)式は、系解析器33aが前述した如く求めた各非線形モデルを微分したものである。
【0063】
【数6】

【0064】
【数7】

【0065】
【数8】

【0066】
【数9】

【0067】
【数10】

【0068】
ここで、入力部32を介して動的解析器33bに、例えば、解析時間t及び目的物質であるブタノールが入力されると、動的解析器33bは、(1)式及び系解析器33aが求めた各非線形モデルを用い、解析時間tにおいてブタノールの濃度(X16)に与える各反応のパラメータPj(Vmax、Km)の影響(L16,j(X16(t),Pj)(j=1〜45)をそれぞれ算出する。
【0069】
そして、動的解析器33bは、得られた各感度の値を正負それぞれの最大値で正規化し、正規化後の値が最も大きいものから所定番目(例えば10番目)までのパラメータに係る情報を生成して、表示部36に表示させる。なお、各感度は、正規化後の絶対値が大きいものほど目的物質Xiの濃度に与える影響が大きいことを意味している。
【0070】
図8から図11は、動的解析器33bがブタノールの産生に与える各反応のパラメータの感度を動的に解析した結果を代謝経路と共に示す図面であり、正規化後の値が最も大きいものから10番目までのパラメータを有する反応に係る情報を示している。
【0071】
ここで、図8は、回分的な発酵を開始してから2時間後(解析時間2時間)の結果を、図9は、発酵を開始してから8時間後(解析時間8時間)の結果を、図10は、発酵を開始してから12時間後(解析時間12時間)の結果を、図11は、発酵を開始してから18時間後(解析時間18時間)の結果をそれぞれ示しており、回分的なブタノール発酵にあってはこの順に、前期、中期、後期、発酵停止後にあたる。
【0072】
各図中、Rは対応する代謝反応を示しており、実線又は破線で囲まれている反応が、動的解析の結果、当該タイミングにおいてブタノールの濃度に強い影響を及ぼしていると解析されたものである。なお、実線は該当反応の増加を、破線は該当反応の抑制をそれぞれ示している。
なお、菌量は、例えば培養液の濁度を測定した結果を用いることができる。
【0073】
図8に示した如く、発酵を開始してから2時間後、即ち前期においては、R1、R7、R17、R18及びR19がブタノールの濃度、即ちブタノールの産生に強い影響を及ぼしている。具体的には、R1、R7及びR17の流束が増大しており、R18の流束が抑制しており、これによってR19の流束が増大し、ブタノールの濃度が増大している。
【0074】
また、図9に示した如く、発酵を開始してから8時間後、即ち中期においては、R1、R10、R12、R18及びR19がブタノールの濃度に強い影響を及ぼしている。具体的には、R1及びR12の流束が増大しており、R10及びR18の流束が抑制しており、これによってR19の流束が増大し、ブタノールの濃度が増大している。
【0075】
一方、図10に示した如く、発酵を開始してから12時間後、即ち後期においては、R1、R10、R12、R15、R18及びR19がブタノールの濃度に強い影響を及ぼしている。具体的には、R1及びR12の流束が増大しており、R10、R15及びR18の流束が抑制しており、これによってR19の流束が増大し、ブタノールの濃度が増大している。
【0076】
これに対し、図11に示した如く、発酵を開始してから18時間後、即ち発酵停止後においては、R1、R14、R15、R17、R18及びR19がブタノールの濃度に強い影響を及ぼしている。具体的には、R14及びR17の流束が増大しており、R15及びR18の流束が抑制しており、これによってR19の流束が増大し、ブタノールの濃度が増大している。
【0077】
以上の動的解析の結果より、ブタノール産生を増大させるための目標反応として、R15を選択することができる。これは、R15にあっては、当該反応がCoA転移酵素という単一の酵素によって支配されており、また、発酵の後期、停止後における動的解析においてR15の抑制がブタノールの増大に強い影響を与えているからである。
【0078】
そこで、R15に着目し、R15のVmaxを単位%減少させた場合のR14、R15、R17、R18、及びR19の動的解析を行った。なお、かかる動的解析は時間分割代謝流束解析(Time-sliced metabolic flux analysis)と呼ばれている。
【0079】
図12は、R15のVmaxを単位%減少させた場合のR14、R15、R17、R18、及びR19の動的解析を行った結果を示すグラフである。図中、横軸は経過時間を、縦軸はR15のVmaxを変化させない場合と単位%減少させた場合の各流束の差を示している。
【0080】
図12から明らかなように、R15の流束を減少させることによって、R14及びR17の流束が増大し、次いで、目的物質たるブタノールの前駆物質であるブチル−CoAの正味の産生流束(R14+R15+R17)が増加しており、結果としてブタノールの産生が増大していた。
すなわち、この結果は、ブタノールの産生を増大させるには、R15の流束を減少させることが重要であるということを示している。
【0081】
前述したように、R15はCoA転移酵素によって支配されているので、例えば、アセトン・ブタノール発酵に用いる微生物を遺伝子操作又は突然変異等により育種して、CoA転移酵素の産生を抑制させることによって、ブタノールの産生を増大させることができる。
【0082】
図13から図15は、図1に示した解析装置3による動的解析手順を示すフローチャートである。
解析装置3のCPU31は、入力部32を介して目的物質名が入力されるまで待機し(ステップS1)、目的物質名が入力されたと判断した場合、目的物質名に対応する代謝系に係る各非線形モデルを記憶部35から読み出し(ステップS2)、動的解析器33bを作動させると共に読み出した各非線形モデルを動的解析器33bに与える。
【0083】
CPU31は、入力部32を介して解析の対象とする解析時間が入力されたか否かを判断し(ステップS3)、解析時間が入力されたと判断した場合、当該解析時間を記憶部35に与えてそこに記憶させる(ステップS4)。
【0084】
CPU31は、入力部32を介して解析開始指令が入力されたか否かを判断し(ステップS5)、入力されていないと判断した場合、ステップS3へ戻る。そして、CPU31は、ステップS5で解析開始指令が入力されたと判断するまで、ステップS3からステップS5までの操作を繰り返す。
【0085】
CPU31は、解析開始指令が入力されたと判断した場合、記憶部35からそこに記憶させた全ての解析時間を読み出したか否かを判断し(ステップS10)、そうでないと判断した場合、任意の解析時間を記憶部35から読み出し(ステップS11)、それを動的解析器33bに与える。
【0086】
動的解析器33bには、前述した(2)式が予め設定されており、この(2)式を用いて、基準時間から適宜時間経過したとき、即ち解析時間における目的物質Xiの濃度に与える各反応のパラメータPjの感度(Li,j)をそれぞれ算出する(ステップS12)。
【0087】
動的解析器33bは、得られた各パラメータの感度について、正負それぞれの最大値で正規化し(ステップS13)、正規化後の値が最も大きいものから所定番目までのパラメータを選択する(ステップS14)。
【0088】
そして、動的解析器33bは、選択したパラメータに係る代謝反応Rを特定すると共に、当該代謝反応Rに係るパラメータの変化の状態、即ち増加であるのか、抑制であるのか、又は変化なしであるのかの情報を該当するパラメータの感度の値に基づいて定め、これらの情報を出力情報とし(ステップS15)、生成した出力情報を記憶部35に与えてそこに記憶させる(ステップS16)。なお、該当するパラメータの感度の値は、正である場合は増加を、負である場合は抑制を、零である場合は変化なしを示している。
【0089】
このようにして当該解析時間に係る出力情報が生成・記憶されると、ステップS10に戻って、CPU31は、記憶部35からそこに記憶させた全ての解析時間を読み出したか否かを判断し、全ての解析時間を読み出したと判断するまで、ステップS10からステップS16までの操作が繰り返される。
【0090】
一方、ステップS10で全ての解析時間を読み出したと判断された場合、CPU31は、記憶部35に記憶させた出力情報を読み出してそれを表示部36及び/又は出力部37に与え、表示・出力させる(ステップS20)。
これによって、ユーザは、目的物質の変化に大きな影響を及ぼす代謝反応を的確に認識することができる。
【0091】
更に、例えば、複数の解析時間に係る出力情報に共通して、一の代謝反応が現れていた場合、当該代謝反応を制御することによって目的物質の生成を所要の状態に誘導することができる。そこで、当該代謝反応を目標反応として、当該目標反応が変化した場合に目標反応に関連する他の代謝反応及び目的反応の変化を動的に解析することによって、目標反応の変化が目的物質の変化に与える影響を解析することができる。
【0092】
そこで、CPU31は、目標反応及び解析の対象とする対象反応が指定されたか否かを判断し(ステップS30)、それらが指定されたと判断した場合、動的解析器33bを作動させる。
【0093】
動的解析器33bには次の(2)式も設定してあり、動的解析器33bは当該(2)式を用いて目標反応の流速の変化及び各対象反応の流速の変化を動的に解析し(ステップS31)、その解析結果(図12参照)を記憶部35に与えてそこに記憶させ(ステップS32)。
【0094】
【数11】

【0095】
このような動的解析が終了すると、CPU31は、記憶部35に記憶させた解析結果を表示部36及び/又は出力部37に与え、表示・出力させる(ステップS33)。
なお、かかる動的解析手順はコンピュータプログラムとして予め解析装置3にインストールしておいてもよいし、系解析のプログラムにモジュールとして追加しておいてもよい。
【0096】
なお、本実施の形態にあっては、目的とする代謝物質の産生に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、交通量が異なる複数の路線を管理する交通管制系の解析、複数の物流拠点を物流路で結んでなる物流系の解析等、複数の流路が相互に関与するネットワーク系の解析に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明に係る動的解析システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示したI/F部が具備する機能の一例を示す機能ブロック図である。
【図3】プロパティ設定画面の一例を説明する説明図である。
【図4】分析装置の出力部による出力例を説明する説明図である。
【図5】アセトン・ブタノール発酵に関与する代謝系を示す図面である。
【図6】図5に示したアセトン・ブタノール発酵に対応する系モデル入力画面を説明する説明図である。
【図7】系解析器による系解析結果の一例を示すグラフである。
【図8】動的解析器がブタノールの産生に与える各反応パラメータの感度を動的に解析した結果を代謝経路と共に示す図面である。
【図9】動的解析器がブタノールの産生に与える各反応パラメータの感度を動的に解析した結果を代謝経路と共に示す図面である。
【図10】動的解析器がブタノールの産生に与える各反応パラメータの感度を動的に解析した結果を代謝経路と共に示す図面である。
【図11】動的解析器がブタノールの産生に与える各反応パラメータの感度を動的に解析した結果を代謝経路と共に示す図面である。
【図12】R15のVmaxを単位%減少させた場合のR14、R15、R17、R18、及びR19の動的解析を行った結果を示すグラフである。
【図13】図1に示した解析装置による動的解析手順を示すフローチャートである。
【図14】図1に示した解析装置による動的解析手順を示すフローチャートである。
【図15】図1に示した解析装置による動的解析手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
2 分析装置
3 解析装置
23 分離部
24 質量分析部
28 I/F部
33 動的解析部
33a 系解析器
33b 動的解析器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に関連する複数の流路にて構成された系について、各流路において経時的に変化する要素を動的に解析する動的解析器であって、
情報を入力する入力部と、
各流路について、該当する要素の変化を適宜のパラメータを用いてそれぞれモデル化した複数の非線形モデルが記憶された記憶部と、
前記入力部を介して解析時間及び目的流路の要素が入力された場合、前記記憶部から所要の非線形モデルを読み出す手段と、
読み出した各非線形モデルを用いて、入力された解析時間において、他の流路に係る各非線形モデルのパラメータの変化が目的流路の要素の変化に及ぼす影響の程度を示す感度をそれぞれ算出する感度算出手段と、
得られた各感度に基づいて、目的流路の要素の変化に及ぼす影響の程度が相対的に大きい適宜数の流路を選択する選択手段と、
選択した各流路及び当該流路に係る非線形モデルのパラメータの変化を出力する手段と
を備えることを特徴とする動的解析器。
【請求項2】
前記感度算出手段によって得られた各感度を正規化する手段を更に備え、
前記選択手段は、正規化された各感度の内、最も高い感度から所定番目までの感度であったパラメータに係る流路を選択するようにしてなる請求項1記載の動的解析器。
【請求項3】
前記感度算出手段は次の(1)式及び/又は(2)式を用いて感度を算出するようにしてなる請求項1又は2記載の動的解析器。
【数1】

【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の動的解析器と、
各流路の要素を経時的に分析して得られた時系列データに基づいて、前記系に係る各流路の非線形モデルを解析する系解析器と
を備えることを特徴とする動的解析装置。
【請求項5】
前記各流路の要素の量を経時的に分析する分析装置と、
請求項4記載の動的解析装置と
を備えることを特徴とする動的解析システム。
【請求項6】
前記分析装置の分析によって得られた複数の時系列データから所要の時系列データを抽出し、抽出した各時系列データの型式を前記系解析器が処理し得る型式に変更して系解析器へ出力するインターフェース部を備える請求項5記載の動的解析システム。
【請求項7】
相互に関連する複数の流路にて構成された系について、各流路において経時的に変化する要素を動的に解析する方法であって、
各流路の要素の変化をそれぞれ特徴付ける複数のパラメータが予め与えられており、指定された解析時間において、目的流路の要素の変化に及ぼす他の流路のパラメータの変化の影響の程度を求め、得られた影響の程度が相対的に大きい適宜数の流路を選択し、選択した流路及び当該流路のパラメータの変化を出力することを特徴とする動的解析方法。
【請求項8】
相互に関連する複数の流路にて構成された系について、各流路において経時的に変化する要素を動的に解析する方法であって、
各流路について、該当する要素の変化を適宜のパラメータを用いてそれぞれモデル化した複数の非線形モデルを記憶し、
解析時間及び目的流路の要素が入力された場合、記憶した各非線形モデルから所要の非線形モデルを読み出し、
読み出した各非線形モデルを用いて、入力された解析時間において、他の流路に係る各非線形モデルのパラメータの変化が目的流路の要素の変化に及ぼす影響の程度を示す感度をそれぞれ算出し、
得られた各感度に基づいて、目的流路の要素の変化に及ぼす影響の程度が相対的に大きい適宜数の流路を選択し、
選択した各流路及び当該流路に係る非線形モデルのパラメータの変化を出力する
ことを特徴とする動的解析方法。
【請求項9】
コンピュータに、相互に関連する複数の流路にて構成された系について、各流路において経時的に変化する要素を動的に解析させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
各流路について、該当する要素の変化を適宜のパラメータを用いてそれぞれモデル化した複数の非線形モデルを記憶する手段、
解析時間及び目的流路の要素が入力された場合、記憶した各非線形モデルから所要の非線形モデルを読み出す手段、
読み出した各非線形モデルを用いて、入力された解析時間において、他の流路に係る各非線形モデルのパラメータの変化が目的流路の要素の変化に及ぼす影響の程度を示す感度をそれぞれ算出する手段、
得られた各感度に基づいて、目的流路の要素の変化に及ぼす影響の程度が相対的に大きい適宜数の流路を選択する手段、
選択した各流路及び当該流路に係る非線形モデルのパラメータの変化を出力する手段
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−223370(P2009−223370A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64074(P2008−64074)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(800000035)株式会社産学連携機構九州 (34)