説明

募集システムおよび募集プログラム

【課題】情報の募集を効率的に行い、かつ採用者の構成をある属性についての所定の比率もしくは所定の数で構成することを可能とする募集システムを提供する。
【解決手段】募集者から募集依頼を受信して、募集依頼に基づく募集案内を1人以上の対象者からなるグループ毎に時間差を設けて順次同報送信し、返信した応募者から所定の条件により採用者を決定する募集システム1であって、募集依頼を受け付けて募集内容を記録する募集受付部10と、候補者の中から現時点での採用者の構成状況に応じて対象者を抽出して対象者リストを作成する対象者抽出部20と、対象者リストに含まれる各対象者に対して募集案内を同報送信し、募集状況として記録する募集実施部30と、募集案内を同報送信してから所定の期間、応募者からの応募を受け付けて応募内容を記録する応募受付部40と、応募者の中から採用者を決定して採用結果として記録する採用判定部50とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の対象者から情報を募集する技術に関し、特に、電子メールによる同報送信を利用した募集により応募者から情報を収集する募集システムおよび募集プログラムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IT技術の進展により、従来ではテレビや新聞、雑誌、掲示等の紙面を用いて行われていた、求人やアンケートなどの各種の募集に係る作業が、コンピュータシステムを用いて行われるようになっており、各種の技術が提案されている。例えば、一般的な形態としては、電子メールを用いて多数の対象者に対して募集の告知・案内を同報送信し、これを受信した対象者から応募する旨の電子メールの返信を受信し、応募者の中から先着順もしくは所定のルールに従って採用者を決定することが行われている。
【0003】
しかしながら、このような仕組みでは、例えば、同報送信の対象者が多数であるのに対して募集枠が少ない場合などにおいて、応募が所定の募集枠に達したにも関わらず、その後も対象者による応募が殺到するような場合があり、募集者側はその対応に追われることになるという問題がある。また、応募者側は応募をしても既に募集枠に達しているため受け付けられないという問題がある。
【0004】
これに関連する技術として、例えば、特開2004−102853号公報(特許文献1)には、アクセス管理部が情報を配信した時刻とアクセスを受信した時刻をもとにメール配信部が情報を配信してからアドレス情報によって特定されたアクセス先がユーザからのアクセスを受信するまでの応答時間を計算し、配信計画作成部が応答時間をもとに情報を配信すべきユーザの配信順序を決定し、メール配信部が決定された配信順序に従ってユーザへメールを送信することで、時間を分散して情報を配信する際に、配信する情報の内容をより早く得たいと考えているユーザから順に情報を配信し、一定の順序以下のユーザには配信しないようにすることも可能とする情報配信システムが記載されている。
【0005】
また、特開2007−102647号公報(特許文献2)には、仮説に基づいて複数の質問事項を設定するステップ(a)と、ステップ(a)において設定された複数の質問事項の内から1つの質問事項を選択し、ネットワークを介して回答者の端末に表示するステップ(b)と、ステップ(b)において表示された質問事項に対して回答者が端末に入力した回答に基づいて、ステップ(a)において設定された複数の質問事項の内から次の質問事項を選択し、ネットワークを介して回答者の端末に表示するステップ(c)とを具備し、アンケート調査を行う者が設定した仮説が妥当であるか否かを推定するためのアンケートを効率的に作成することができるアンケート作成方法が記載されている。
【0006】
これにより、質問の内容を個々の回答者の端末によって自動的に変化させることができ、個人の特性に応じて異なった質問を配信することが可能となり、また、ある質問の回答結果によってその後に配信する質問の内容を変えるといった処理も自動的に実現することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−102853号公報
【特許文献2】特開2007−102647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、例えば、特許文献1に記載されたような技術では、優先順位が高いユーザ(ここでは配信する情報を早く得たいと考えているユーザ)から順に時間を分散して情報をメールにより送信することで、応募が集中することを回避することができる。また、一定の順序以下のユーザにはメールを送信しないようにすることで、所定の募集枠に達した後にも応募が殺到する事態を緩和することが可能である。
【0009】
しかしながら、ここでの応募者の中から先着順等により採用者を決定しようとすると、採用者の構成をある属性についての所定の比率もしくは所定の数で構成したいような場合には対応することができない。例えば、求人やアンケートの募集において、採用者の構成を年齢層や居住地域、スキルレベル等の別に所定の比率で構成したい場合は、採用者の構成状況を見つつ募集の内容(告知する相手となる対象者)を適宜調整する必要がある。
【0010】
この点、例えば、上述の特許文献2に記載されたような技術では、アンケートについて、ある質問の回答結果によってその後に配信する質問の内容を変えるといった処理を自動的に実現することが可能である。しかしながら、ここでは質問の内容を変えることはできるものの、質問の対象者(母集団)を適宜変えることまでは考慮されておらず、上記のような採用者の構成の制御を行うことはできない。
【0011】
そこで本発明の目的は、情報の募集を効率的に行い、かつ採用者の構成をある属性についての所定の比率もしくは所定の数で構成することを可能とする募集システムおよび募集プログラムを提供することにある。本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0013】
本発明の代表的な実施の形態による募集システムは、募集者から電子メールにより募集条件を含む募集依頼を受信して、前記募集依頼に基づく募集案内を1人以上の対象者からなるグループ毎に電子メールにより時間差を設けて順次同報送信し、前記募集案内に対して返信した応募者から所定の条件により採用者を決定する募集システムであって、以下の特徴を有するものである。
【0014】
すなわち、募集システムは、前記募集依頼を受け付けて募集内容を記録する募集受付部と、候補者の中から現時点での前記採用者の構成状況に応じて1人以上の前記対象者を抽出して対象者リストを作成する対象者抽出部と、前記対象者リストに含まれる前記各対象者に対して前記募集案内を同報送信し、募集状況として記録する募集実施部と、前記募集案内を同報送信してから所定の期間、前記応募者からの応募を受け付けて応募内容を記録する応募受付部と、前記応募者の中から所定の条件により前記採用者を決定して採用結果として記録する採用判定部とを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、コンピュータを上記のような募集システムとして機能させるプログラムにも適用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0017】
本発明の代表的な実施の形態によれば、情報の募集を効率的に行い、かつ採用者の構成をある属性についての所定の比率もしくは所定の数で構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態である募集システムの構成例について概要を示した図である。
【図2】本発明の一実施の形態における募集処理の例について概要を模式的に示した図である。
【図3】本発明の一実施の形態における募集内容DBのデータ構成の例について概要を示した図である。
【図4】本発明の一実施の形態における候補者DBのデータ構成の例について概要を示した図である。
【図5】本発明の一実施の形態における募集状況DBのデータ構成の例について概要を示した図である。
【図6】本発明の一実施の形態における応募内容DBのデータ構成の例について概要を示した図である。
【図7】本発明の一実施の形態における採用結果DBのデータ構成の例について概要を示した図である。
【図8】本発明の一実施の形態における募集依頼の受付から募集結果の通知に至る一連の処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
本発明の一実施の形態である募集システムは、募集者から電子メールにより募集条件を含む求人(例えば、一般的な従業員やアルバイト等の求人や、各種のメンバー募集、タクシーの配車要求等に対する対応可能な者の問い合せなどを含む)やアンケートなどの募集依頼を受信して、これをメーリングリストの仕組みにより対象者に募集案内として同報送信し、これに返信してきた応募者から所定の条件により採用者を決定する募集システムである。ここで、募集案内を送信する際、全ての対象者に一斉に同報送信するのではなく、所定の条件により候補者から抽出した1人以上の対象者からなるグループ毎に時間差を設けて順次同報送信する。これにより、募集途中で募集枠に採用者が達した場合にこれ以降の募集案内の送信を回避し、無用な応募が集中することを抑止することができる。
【0021】
また、募集者は、募集条件に特定の属性についての希望する採用者の構成比率もしくは構成数の情報を指定することが可能である。本実施の形態の募集システムは、対象者のグループに募集案内を同報送信する際、特定の属性についての現時点での採用者の構成数を算出し、目標の構成数に達していない属性値(もしくは属性値の範囲)に該当する対象者を候補者から抽出して募集案内を送信する。これにより、特定の属性について採用者の構成を目標の比率もしくは目標の数に近づけて構成することを可能とする。
【0022】
図2は、本発明の一実施の形態である募集システムによる募集処理の例について概要を模式的に示した図である。まず、募集者が募集者端末2を利用して、募集システム1に対して募集の依頼を電子メールにて送信する。この電子メールには、募集依頼の内容として、例えば、募集枠およびその採用者の属性の構成比率もしくは構成数、募集期間などの募集条件が含まれる。
【0023】
募集の依頼を受信した募集システム1は、対象者となる者の候補のリストを保持する候補者データベース(DB)21から、所定の数の対象者を第1群の対象者として抽出し、対象者リスト#1を作成する。なお、抽出の手法には種々のものが考えられるが、例えば、候補者DB21に登録された候補者の先頭から順に、もしくはランダムに所定の数の対象者を抽出してもよいし、予め定められた優先順位に従って順に抽出してもよい。なお、所定の数については、募集システム1の処理能力や、募集枠の人数などのパラメータに基づいて適宜自動もしくは手動により設定することができる。
【0024】
募集システム1は、その後、対象者リスト#1に登録された第1群の対象者に対して募集案内の電子メールを同報送信する。募集案内を受信した対象者は、対象者端末3を利用して募集システム1に対して返信することで、応募の意思表示をする。応募を希望しない場合は募集案内の電子メールを無視して読み捨ててもよいし、応募を希望しない旨の返信を行うようにしてもよい。
【0025】
募集システム1では、所定の期間内に応募の電子メールを受信した対象者(応募者)の中から採用者を決定して採用結果DB51に記録する。採用者を決定する手法には種々のものが考えられるが、例えば、先着順としたり、上記所定の期間内に応募した応募者全体から所定のルールに基づいて採用者を決定したりすることができる。
【0026】
ここで、募集システム1は、募集者が希望する採用者の属性の構成比率に基づいて、属性値毎の構成数を算出し、現時点の採用者が各構成数を満たしているか否かを判定する。構成数に達していない属性値(例えば、“30代男性”など)がある場合は、次に、この属性値に対応する対象者を候補者DB21から抽出して第2群の対象者リスト#2を作成し、上記と同様に、対象者リスト#2に登録された第2群の対象者に対して募集案内の電子メールを同報送信する。
【0027】
上記の処理を、採用者が募集枠に達するまで、もしくは全ての候補者に募集案内を行うまで繰り返す(図2では、対象者リスト#nに基づく第n群の対象者に対する募集案内まで繰り返す場合を例として示している)。その後、採用結果DB51の内容に基づいて募集結果を募集者に電子メールにて通知するとともに、採用結果を各採用者に通知する。
【0028】
これにより、対象者のグループ毎に時間差で順次募集案内を送信し、さらに採用者が募集枠に達した時点で以降の募集案内を行わないようにすることができるため、情報の募集を効率的に行い、かつ採用者が募集枠に達した後における応募の集中を回避することが可能となる。また、募集案内を行う際に、所望の構成数に達していない属性値の対象者に絞って募集案内を行うことができるため、採用者の構成をある属性についての所定の比率もしくは所定の数に近づけて構成することが可能となる。
【0029】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態である募集システムの構成例について概要を示した図である。募集システム1は、例えば、コンピュータシステムによる一般的なサーバ機器等によって実装され、インターネット等のネットワーク4を介して募集者が使用するPC(Personal Computer)や携帯型端末等の情報処理装置である募集者端末2、および募集案内を受ける複数の対象者がそれぞれ使用するPCや携帯型端末等の情報処理装置である対象者端末3と相互に接続可能(少なくとも電子メールの送受信が可能)な構成を有する。なお、募集者端末2および各対象者端末3は、少なくとも、図示しない電子メールクライアントのプログラムをそれぞれ有しており、募集システム1に対して電子メールの送受信を行うことが可能である。
【0030】
募集システム1は、上述したように、募集者端末2からの募集依頼の電子メールを受けて、所定の対象者のグループに対して順次募集案内の電子メールを同報送信するとともに、対象者端末3からの応募の電子メールを受けて採用判定を行い、採用結果として登録するシステムである。この募集システム1は、例えば、図示しないOS(Operating System)上で稼働するソフトウェアプログラムによって実装される、募集受付部10、対象者抽出部20、募集実施部30、応募受付部40、採用判定部50、およびメールサーバ60などの各部を有する。また、募集内容DB11、候補者DB21、募集状況DB31、応募内容DB41、および採用結果DB51などの各データベース(もしくはこれに準ずるテーブル等)を有する。
【0031】
募集受付部10は、メールサーバ60に設定された所定の電子メールアドレス(メーリングリスト用の電子メールアドレス)に対して募集者端末2から送信された募集依頼の電子メールを抽出し、その内容を募集内容DB11に登録することで募集依頼を受け付ける処理を行う。なお、メールサーバ60は、メーリングリストの機能を有する公知のメールサーバプログラムである。募集者が募集者端末2を利用して送信する募集依頼の電子メールは、各対象者に対して送信される募集案内の電子メールの内容となるものを指定したものであるが、これに加えて、例えば特定のタグ等により、募集期限や募集枠、特定の属性についての値(もしくは値の範囲)毎の採用者の構成比率もしくは構成数などの募集条件に係る情報を指定することができる。
【0032】
対象者抽出部20は、後述する採用結果DB51および応募内容DB41を参照して、募集案件における現時点の採用者の構成状況を取得し、これに基づいて募集案内を同報送信する対象者のリストを候補者DB21から抽出して対象者リストを作成する処理を行う。例えば、上述したように、まだ採用者がいない最初の募集案内の場合は、属性に関わらず、候補者DB21に登録された候補者の先頭から順に、もしくはランダムに所定の数の候補者を抽出してもよいし、予め定められた優先順位に従って順に抽出してもよい。
【0033】
また、既に採用者がある場合は、募集内容DB11に登録された、募集者が希望する採用者の属性の構成比率に基づいて、当該属性の値(もしくは値の範囲)毎の構成数を算出する。同様に、採用結果DB51に登録された現時点の採用者の情報に基づいて、当該属性の値(もしくは値の範囲)毎の採用者数を算出し、採用者数が構成数に達していない属性値(例えば、“30代男性”など)が1つ以上ある場合は、これらの属性値に該当する候補者の中から対象者を抽出する。
【0034】
募集実施部30は、募集内容DB11に登録された、募集者が希望する募集内容(募集者が送信した募集依頼の電子メールの内容)に基づいて、対象者抽出部20により作成された対象者リスト内の各対象者に対して、メールサーバ60のメーリングリストの機能を利用して募集案内の電子メールを同報送信する。また、現時点の募集の状況に係る情報を募集状況DB31に記録する。また、募集案内を同報送信してから所定の期間が経過してもまだ採用者数が募集枠に達していない場合は、再度、対象者抽出部10によって新たに対象者リストを作成した後、これに基づいて募集案内を同報送信する。
【0035】
応募受付部40は対象者による対象者端末3を介した応募の電子メール(メーリングリスト用の電子メールアドレスに対する返信)を抽出し、その内容を応募内容DB41に登録することで応募を受け付ける。
【0036】
採用判定部50は、応募受付部40に登録された各応募について採用するか否かを判定し、その結果の情報を採用結果DB51に登録する。例えば、上述したように、応募の先着順で採用者を決定したり、所定の期間内に応募した応募者全体から所定のルール(例えば、ポイントや特定の属性に基づく優先順位等)に基づいて所定の数の採用者を決定したりすることができる。
【0037】
<データ構成>
図3は、募集内容DB11のデータ構成の例について概要を示した図である。募集内容DB11は、募集者端末2を介して募集者から送信された募集依頼の内容に係る情報を募集案件毎に保持するテーブルであり、例えば、募集ID、募集者ID、募集者メールアドレス、募集受付日時、募集期間、募集案内テキスト、募集枠、および採用者構成比率情報などの項目を有する。
【0038】
募集IDの項目は、募集案件を一意に識別するIDの情報を保持する。この値は、募集受付部10が募集者からの募集依頼を受け付けた際に募集受付部10によって割り当てられる。募集者IDの項目は、募集者を一意に識別するIDの情報を保持する。すなわち、募集者として募集システム1を利用して求人やアンケート等の募集を行うには、募集システム1に対してユーザ登録を行い、ユーザ認証を経ることによって募集依頼が可能となるようにすることができる。募集者メールアドレスの項目は、対象の募集者の電子メールアドレスの情報を保持する。図示しないユーザ管理DBなどに募集者IDと関連付けて電子メールアドレスが別途登録されている場合はここで保持する必要はない。
【0039】
募集受付日時の項目は、対象の募集案件の依頼を受け付けた日時の情報を保持する。募集期間の項目は、対象の募集案件について対象者からの応募を受け付ける募集期間の情報を保持する。募集の開始からの相対期間で指定してもよいし、募集の開始日時と終了日時の絶対期間で指定してもよい。募集案内テキストの項目は、募集者から受信した募集依頼の電子メールに含まれる募集案内の具体的内容についてのテキストデータの情報を保持する。当該テキストデータの代わりにメールサーバ60において保持されている募集依頼の電子メールを特定する識別情報を保持するものとしてもよい。
【0040】
募集枠の項目は、対象の募集案件についての全体での募集人数(募集枠)の情報を保持する。また、採用者構成比率情報の項目は、募集枠における属性値(もしくは属性値の範囲)毎の構成比率の情報を保持する。具体的には、例えば、“20代男性:10%、20代女性:15%、30代男性:20%、…”のような内容で属性値(もしくは属性値の範囲)とその比率の情報を保持する。属性については、年齢層などの1つの属性でもよいし、上記の例のように年齢層+性別など複数の属性の組み合わせからなるものであってもよい。
【0041】
図4は、候補者DB21のデータ構成の例について概要を示した図である。候補者DB21は、各募集案件について募集案内を送信する対象となる対象者を抽出する際の母集団である候補者の情報を候補者毎に保持するテーブル、すなわち、メールサーバ60におけるメーリングリストの登録情報に相当する情報を保持するテーブルであり、例えば、候補者ID、候補者メールアドレス、候補者属性情報などの項目を有する。
【0042】
候補者IDの項目は、候補者を一意に識別するIDの情報を保持する。候補者メールアドレスの項目は、対象の候補者が募集システム1に登録した電子メールアドレスの情報を保持する。候補者属性情報は、対象の候補者の属性の値を保持する。例えば、氏名や住所等の識別情報の他に、年齢(年齢層)や性別、年収、保持するスキルやそのレベル、趣味や職種など、求人やアンケート等の募集を行う際に採用者の構成比率を考慮する際に用いられ得る各種属性のうち少なくとも1つ以上について、対象者により登録された値を保持する。
【0043】
図5は、募集状況DB31のデータ構成の例について概要を示した図である。募集状況DB31は、募集実施部30が上述したように時間差で対象者リストに登録された対象者に対して順次行う募集案内について、その状況を募集案件毎に保持するテーブルであり、例えば、募集ID、募集案内開始日時、および募集案内期間などの項目を有する。
【0044】
募集IDの項目は、募集案件を一意に識別するIDの情報であり、図3の募集内容DB11における募集IDの項目に対応する。募集案内開始日時の項目は、時間差で順次同報送信する募集案内について、現在対象者からの応募を受け付けているアクティブな募集案内を同報送信した日時(応募の受け付けを開始した日時)の情報を保持する。
【0045】
募集案内期間の項目は、現在対象者からの応募を受け付けているアクティブな募集案内につき、応募を受け付ける期間として設定された期間の情報を保持する。すなわち、この募集案内期間が経過した場合は、現在アクティブな募集案内につき応募を締め切り、必要な場合には次の対象者リストを作成して新たに募集案内を同報送信することを意味する。なお、募集案内期間の値は、募集者により設定されるようにしてもよいし、募集案内が同報送信される対象者の数や現時点の採用者数に対する残りの募集枠の数、全体の募集期間における残りの期間等に応じて自動的に設定されるようにしてもよい。
【0046】
図6は、応募内容DB41のデータ構成の例について概要を示した図である。応募内容DB41は、対象者端末3を介して対象者(応募者)から送信された応募の内容に係る情報を募集案件の応募毎に保持するテーブルであり、例えば、応募ID、募集ID、応募者ID、応募者メールアドレス、応募者属性情報、応募受付日時、および応募内容などの項目を有する。
【0047】
応募IDの項目は、各応募を一意に識別するIDの情報を保持する。この値は、応募受付部40が対応者(応募者)からの応募を受け付けた際に応募受付部40によって割り当てられる。募集IDの項目は、募集案件を一意に識別するIDの情報であり、図3の募集内容DB11における募集IDの項目に対応する。応募者IDは、応募者を一意に識別するIDの情報であり、図4の候補者DB21における候補者IDの項目に対応する。
【0048】
応募者メールアドレスの項目は、対象の応募者の電子メールアドレスの情報を保持する。また、応募者属性情報の項目は、対象の応募者の属性の値を保持する。なお、応募者メールアドレスや応募者属性情報の項目の値は、応募の電子メールの内容から取得するようにしてもよいし、応募者IDの項目の値によって候補者DB21の対応する候補者の登録情報を参照するようにしてもよい。応募受付日時の項目は、対象の応募を受け付けた日時の情報を保持する。応募内容の項目は、応募者により指定された応募の内容についての情報を保持する。例えば、アンケートの回答内容や、求人における希望職種、懸賞における希望商品等の情報を保持する。
【0049】
図7は、採用結果DB51のデータ構成の例について概要を示した図である。採用結果DB51は、募集案件に対する応募者の中から採用することが決定された者である採用者の情報を採用者毎に保持するテーブルであり、例えば、募集ID、および採用応募IDなどの項目を有する。
【0050】
募集IDの項目は、募集案件を一意に識別するIDの情報であり、図3の募集内容DB11における募集IDの項目に対応する。採用応募IDの項目は、応募内容DB41に登録された応募のうち、採用判定部50により実際に採用された応募を識別する応募IDの情報を保持する。この応募IDの値に基づいて応募内容DB41の対応する応募における応募者属性情報の値を集計することで、各属性値(もしくは属性値の範囲)についての採用者の構成比率(もしくは構成数)の情報を得ることができる。
【0051】
なお、上述の図3〜図7で示した各テーブルのデータ構成(項目)はあくまで一例であり、同様のデータを保持・管理することが可能な構成であれば、他のテーブル構成やデータ構成であってもよいことは当然である。
【0052】
<処理フロー>
図8は、募集システム1における募集依頼の受付から募集結果の通知に至る一連の処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。募集システム1は、処理を開始すると、まず、メールサーバ60によって募集者からの募集依頼の電子メールの待ち受けを開始する。メールサーバ60が専用の電子メールアドレスに対する募集者端末2からの募集依頼の電子メールを受信すると(S01)、募集受付部10が当該募集依頼の電子メールを抽出し、その内容を募集内容DB11に登録することで募集依頼を受け付ける(S02)。
【0053】
その後、対象者抽出部20により、募集案内を同報送信する対象者を所定のルールに基づいて候補者DB21から1人以上抽出して、抽出した対象者の電子メールアドレスを含む対象者リストを作成する(S03)。ここでは、まだ採用者がいない最初の募集案内であるため、例えば、属性に関わらず、候補者DB21に登録された候補者の先頭から順に、もしくはランダムに所定の数の対象者を抽出する。もしくは、予め定められた優先順位に従って順に所定の数の対象者を抽出してもよい。
【0054】
次に、募集実施部30により、ステップS01で募集内容DB11に登録された募集案内テキストの内容(もしくは募集者からの募集依頼の電子メールの内容)に基づいて、ステップS03で作成した対象者リスト内の各対象者に対して、メールサーバ60のメーリングリストの機能を利用して募集案内の電子メールを同報送信する(S04)。このとき、同報送信した時点のタイムスタンプの情報、および募集者により指定された、もしくは募集実施部30により算出された募集案内期間の情報を募集状況DB31に登録する。
【0055】
その後、募集案内期間が経過するまでの間、メールサーバ60を介して対象者からの応募の電子メールを待ち受ける。例えば、応募受付部40等により、募集状況DB31を参照して、募集案内を同報送信してから募集案内期間が経過したか否かを所定の間隔で定期的に判定し(S05)、募集案内期間を経過していなければ応募の電子メールを受信したか否かを判定する(S06)、という処理を、募集案内期間が経過するか、応募の電子メールを受信するまで繰り返す。
【0056】
ステップS05で募集案内期間が経過した場合は、現在の募集案内が終了したものとして、後述するステップS10に進む。一方、ステップS06で応募の電子メールを受信した場合は、応募受付部40により、電子メールの内容に基づいて応募の内容を応募内容DB41に登録するとともに、当該応募について、採用判定部50により、採用するか否かを判定する(S07)。ここでは、例えば、受け付けた応募をそのまま採用する(すなわち、先着順で採用する)ものとすることができる。もしくは、所定の条件を満たしている応募者のみ採用するようにしてもよい。なお、ステップS07において採用判定を行わず、ステップS05で募集案内期間が経過した後に、この間に応募した応募者の中から所定のルール(例えば、ポイントや特定の属性に基づく優先順位等)に基づいて所定の数の採用者を決定するようにしてもよい。
【0057】
次に、募集実施部30により、採用結果DB51および応募内容DB41を参照して得られる現時点の採用者の数が、募集内容DB11を参照して得られる募集枠に達しているか否かを判定する(S08)。採用者の数が募集枠に達している場合は、募集が終了したものとして、後述するステップS12に進む。募集枠に達していない場合は、次に、ステップS03で作成した対象者リスト内の全ての対象者から応募があったか否かを判定する(S09)。まだ応募がない対象者がある場合は、ステップS05に戻り、応募の電子メールの待ち受けを継続する(S05、S06)。
【0058】
ステップS09で対象者リスト内の全ての対象者から応募があった場合、もしくはステップS05で募集案内期間が経過した場合は、現在の募集案内が終了したものとして、次に、候補者DB21に登録されている全ての候補者に対して募集案内を行ったか否か、すなわち、新たに募集案内を行う対象者となるべき候補者がまだ存在するか否かを判定する(S10)。
【0059】
全ての候補者に対して募集案内を行っていない、すなわち、まだ新たに募集案内を行う対象者となるべき候補者が存在する場合は、対象者抽出部10により、採用結果DB51および応募内容DB41を参照して、当該募集案件における現時点の採用者の構成状況を取得する(S11)。その後、ステップS03に戻って、ステップS11で取得した採用者の構成状況の情報に基づいて、対象者抽出部20により、候補者DB21から募集案内を同報送信する対象者を抽出して対象者リストを作成する(S03)。
【0060】
具体的には上述したように、ステップS11において、対象者抽出部10により、募集内容DB11に登録された、募集者が希望する採用者の属性の構成比率に基づいて、当該属性の値(もしくは値の範囲)毎の構成数を算出する。同様に、採用結果DB51に登録された現時点の採用者の情報について、当該属性の値(もしくは値の範囲)毎の採用者数を算出し、採用者数が構成数に達していない属性値(例えば、“30代男性”など)の情報を取得する。ここで取得した属性値を有し、かつ、これまでに対象者として抽出されていない候補者を候補者DB21から抽出して新たな対象者とする。その後、得られた対象者リストに基づいて、ステップS04以下の処理により上記と同様に募集案内を行う。
【0061】
一方、ステップS10で、全ての候補者に対して募集案内を行っている、すなわち、もはや新たに募集案内を行う対象者となるべき候補者が存在しない場合、もしくはステップS08で採用者の数が募集枠に達している場合は、募集が終了したものとして、これ以降の募集案内の送信を終了するとともに、募集実施部30等により、採用結果DB51および応募内容DB41の内容に基づいて、募集および採用の結果を通知する電子メールを、募集者および各採用者に対して送信し(S12)、処理を終了する。不採用者に対してもその旨を通知するようにしてもよい。
【0062】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態である募集システム1によれば、募集案内を対象者に送信する際、全ての対象者に一斉に同報送信するのではなく、所定の条件により候補者から抽出した1人以上の対象者からなるグループ毎に順次同報送信する。これにより、募集途中で募集枠に採用者が達した場合にこれ以降の募集案内の送信を回避し、無用な応募が集中することを抑止することが可能となる。
【0063】
また、募集者は、募集条件に特定の属性についての希望する採用者の構成比率もしくは構成数の情報を指定することが可能である。本実施の形態の募集システム1は、対象者リスト内の各対象者に募集案内を同報送信する際、特定の属性についての現時点での採用者の構成数を算出し、目標の構成数に達していない属性値(もしくは属性値の範囲)に該当する対象者を候補者から抽出して対象者リストを作成し、募集案内を同報送信する。これにより、特定の属性について採用者の構成を目標の比率もしくは目標の数に近づけて構成することが可能となる。
【0064】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、電子メールによる同報送信を利用した募集により応募者から情報を収集する募集システムおよび募集プログラムに利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1…募集システム、2…募集者端末、3…対象者端末、4…ネットワーク、
10…募集受付部、11…募集内容データベース(DB)、
20…対象者抽出部、21…候補者DB、
30…募集実施部、31…募集状況DB、
40…応募受付部、41…応募内容DB、
50…採用判定部、51…採用結果DB、
60…メールサーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
募集者から電子メールにより募集条件を含む募集依頼を受信して、前記募集依頼に基づく募集案内を1人以上の対象者からなるグループ毎に電子メールにより時間差を設けて順次同報送信し、前記募集案内に対して返信した応募者から所定の条件により採用者を決定する募集システムであって、
前記募集依頼を受け付けて募集内容を記録する募集受付部と、
候補者の中から現時点での前記採用者の構成状況に応じて1人以上の前記対象者を抽出して対象者リストを作成する対象者抽出部と、
前記対象者リストに含まれる前記各対象者に対して前記募集案内を同報送信し、募集状況として記録する募集実施部と、
前記募集案内を同報送信してから所定の期間、前記応募者からの応募を受け付けて応募内容を記録する応募受付部と、
前記応募者の中から所定の条件により前記採用者を決定して採用結果として記録する採用判定部とを有することを特徴とする募集システム。
【請求項2】
請求項1に記載の募集システムにおいて、
前記対象者抽出部は、特定の属性について前記募集者が希望する前記採用者の構成比率に基づいて算出した前記属性の値もしくは値の範囲毎の構成数と、前記採用結果の情報に基づいて算出した前記属性の値もしくは値の範囲毎の現時点での前記採用者の構成数に基づいて、現時点での前記採用者の構成数が前記募集者が希望する構成数に達していない前記属性の値もしくは値の範囲がある場合は、当該属性の値もしくは値の範囲に該当する前記対象者を前記候補者の中から抽出して前記対象者リストを作成することを特徴とする募集システム。
【請求項3】
請求項2に記載の募集システムにおいて、
前記特定の属性は、1つ以上の属性の組み合わせからなることを特徴とする募集システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の募集システムにおいて、
前記募集実施部は、現時点での前記採用者数が前記募集内容における募集枠に達した場合は、前記募集案内の同報送信を行わないことを特徴とする募集システム。
【請求項5】
募集者から電子メールにより募集条件を含む募集依頼を受信して、前記募集依頼に基づく募集案内を1人以上の対象者からなるグループ毎に電子メールにより時間差を設けて順次同報送信し、前記募集案内に対して返信した応募者から所定の条件により採用者を決定する募集システムとしてコンピュータを機能させる募集プログラムであって、
前記募集依頼を受け付けて募集内容を記録する募集受付処理と、
候補者の中から現時点での前記採用者の構成状況に応じて1人以上の前記対象者を抽出して対象者リストを作成する対象者抽出処理と、
前記対象者リストに含まれる前記各対象者に対して前記募集案内を同報送信し、募集状況として記録する募集実施処理と、
前記応募者からの応募を受け付けて応募内容を記録する応募受付処理と、
前記応募者の中から所定の条件により前記採用者を決定して採用結果として記録する採用判定処理とを実行することを特徴とする募集プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−37414(P2013−37414A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170660(P2011−170660)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)