説明

包装体

【課題】本発明の課題は、酸素吸収性に優れる包装体を提供することである。
【解決手段】本発明に係る包装体100は、蓋材300と、底材200とを備える。底材200には蓋材300がシールされる。蓋材300および底材200の少なくとも一方は、酸素を吸収するフィルムからなる。包装体100内部の酸素濃度は、蓋材300が底材200にシールされたときの包装体100内部の初期酸素濃度の0%以上50%以下の値まで減少した後、初期酸素濃度の0%以上50%以下の値を推移する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品および飲料などを保存する包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品および飲料などを保存する包装容器としてプラスチック製の包装体が用いられる。この包装体で食品および飲料などを包むとき、包装体の内部に酸素が残存するおそれがある。また、プラスチック製の包装体は、金属製またはガラス製の包装体に比べると、酸素バリア性に劣る。このため、酸素が外部から包装体の内部に侵入しやすい。包装体の内部に侵入した酸素は、内容物である食品および飲料を酸化させて変質させる。
【0003】
この包装体の内部の酸素によって発生する問題に対して、例えば、特許文献1には、酸素吸収性樹脂を含み、酸素吸収反応触媒を含有しない酸素吸収層を備え、酸素吸収層に隣接する層が酸素バリア層、熱可塑性樹脂層および接着剤層からなる群より選ばれる酸素吸収性多層体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−12443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に記載の酸素吸収性多層体を備える包装体は、酸素吸収層で包装体内部の酸素を吸収することができる。しかし、最近、酸素吸収性により優れた酸素吸収性多層体が求められている。
【0006】
本発明の目的は、酸素吸収性に優れる包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)
本発明に係る包装体は、蓋材と、底材とを備える。底材には蓋材がシールされる。蓋材および底材の少なくとも一方は、酸素を吸収するフィルムからなる。そして、この包装体では、包装体内部の酸素濃度は、蓋材が底材にシールされたときの包装体内部の初期酸素濃度の0%以上50%以下の値まで減少した後、初期酸素濃度の0%以上50%以下の値を推移する。
【0008】
この包装体では、包装体内部の酸素濃度は、蓋材が底材にシールされたときの包装体内部の初期酸素濃度の0%以上50%以下の値まで減少する。そして、酸素濃度が減少した後、包装体内部の酸素濃度は、初期酸素濃度の0%以上50%以下の値を推移する。よって、この包装体は、酸素吸収性に優れ、初期酸素濃度よりも低い値の酸素濃度を維持することができる。
【0009】
(2)
上述(1)の包装体では、包装体内部の酸素濃度は、蓋材が底材にシールされたときから10日経過したとき、包装体内部の初期酸素濃度の0%以上50%以下の値まで減少することが好ましい。
【0010】
この包装体では、包装体内部の酸素濃度は蓋材が底材にシールされたときから10日経過したとき、包装体内部の初期酸素濃度の0%以上50%以下の値まで減少する。よって、この包装体は、酸素を吸収する速度に優れる。
【0011】
(3)
上述(1)または(2)の包装体では、包装体内部の酸素濃度は、包装体内部の初期酸素濃度の0%以上50%以下の値を20日以上推移することが好ましい。
【0012】
この包装体では、包装体内部の酸素濃度は、初期酸素濃度の0%以上50%以下の値を20日以上推移する。よって、この包装体は、初期酸素濃度よりも低い値の酸素濃度を20日以上維持することができる。
【0013】
(4)
上述(3)の包装体では、包装体内部の酸素濃度は、包装体内部の初期酸素濃度の0%以上50%以下の値を30日以上推移することが好ましい。
【0014】
この包装体では、包装体内部の酸素濃度は、初期酸素濃度の0%以上50%以下の値を30日以上推移する。よって、この包装体は、初期酸素濃度よりも低い値の酸素濃度を30日以上維持することができる。
【0015】
(5)
上述(1)〜(4)のいずれかの包装体では、包装体内部の酸素濃度は、包装体内部の初期酸素濃度の0%以上20%以下の値まで減少した後、初期酸素濃度の0%以上20%以下の値を推移することが好ましい。
【0016】
この包装体では、包装体内部の酸素濃度は、蓋材が底材にシールされたときの包装体内部の初期酸素濃度の0%以上20%以下の値まで減少する。酸素濃度が減少した後、包装体内部の酸素濃度は、初期酸素濃度の0%以上20%以下の値を推移する。よって、この包装体は、酸素吸収性により優れる。
【0017】
(6)
上述(5)の包装体では、包装体内部の酸素濃度は、蓋材が底材にシールされたときから10日経過したとき、包装体内部の初期酸素濃度の0%以上20%以下の値まで減少することが好ましい。
【0018】
この包装体では、包装体内部の酸素濃度は蓋材が底材にシールされたときから10日経過したとき、包装体内部の初期酸素濃度の0%以上20%以下の値まで減少する。よって、この包装体は、酸素を吸収する速度により優れる。
【0019】
(7)
上述(1)〜(6)のいずれかの包装体は、5℃の環境下で包装体内部の酸素を吸収することが好ましい。
【0020】
この包装体は、5℃の環境下で包装体内部の酸素を吸収する。このため、5℃の低温度で包装体を保管した場合であっても、包装体は酸素を吸収することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る包装体は、酸素吸収性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装体の断面図である。
【図2】図1に示した包装体のA部分の拡大図である。
【図3】包装体の内部の酸素吸収量を食品用微量酸素分析計で測定している状態を示した断面図である。
【図4】実施例1に係る包装体のポケット内部における酸素濃度の変化を示す図である。
【図5】実施例2に係る包装体のポケット内部における酸素濃度の変化を示す図である。
【図6】実施例3に係る包装体のポケット内部における酸素濃度の変化を示す図である。
【図7】実施例4に係る包装体のポケット内部における酸素濃度の変化を示す図である。
【図8】比較例1に係る包装体のポケット内部における酸素濃度の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施形態に係る包装体100は、図1に示されるように、主に、底材200、および蓋材300から構成される。以下、包装体100の各構成について、それぞれ詳しく説明する。
【0024】
<底材>
図2に示されるように、底材200は、酸素を吸収するフィルム(以下、「酸素吸収フィルム」という。)からなり、主に、外層210、第1接着層220、バリア層230、第2接着層240、酸素吸収層250、シール層260が、この順に積層されて形成される。底材200には、底材200の外層210が外側でシール層260が内側となるように、ポケット270が形成される(図1参照)。
【0025】
(1)外層
外層210の材料としては、底材200として用いることができる程度の強度を有しているものであればよく、例えば、ポリエステル系樹脂が用いられる。外層210がポリエステル系樹脂からなる場合、酸素吸収フィルムは、剛性が高く、かつ、透明性および表面光沢度が良好である。このため、包装体100は、外力によって変形しにくく、かつ、見栄えおよび質感に優れる。
【0026】
外層210に用いられるポリエステル系樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂が用いられる。飽和ポリエステル樹脂は、酸成分としてテレフタル酸などの2価の酸、またはエステル形成能を持つそれらの誘導体と、グリコール成分として炭素数2〜10のグリコール、その他の2価のアルコールまたはエステル形成能を有するそれらの誘導体とから得られる。具体的に、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂などのポリアルキレンテレフタレート樹脂、共重合ポリエステル樹脂などが用いられる。
【0027】
(2)第1接着層
第1接着層220の材料としては、公知の接着性樹脂、例えば、接着性ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。具体的に、第1接着層220の材料としては、例えば、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体、または、各種ポリオレフィンに一塩基性不飽和脂肪酸、二塩基性不飽和脂肪酸、もしくはこれらの無水物をグラフトさせたもの(マレイン酸グラフト化エチレン−酢酸ビニル共重合体、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体など)などが用いられる。一塩基性不飽和脂肪酸としては、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。二塩基性不飽和脂肪酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
【0028】
第1接着層220は、酸化防止剤を含有していてもよいし、酸化防止剤を含有していなくてもよい。第1接着層220が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが、単体でまたは2種類以上混合して用いられる。
【0029】
(3)バリア層
バリア層230は、包装体100の外部から侵入する酸素の透過を制限する。バリア層230の材料としては、酸素バリア性を有する公知の材料、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(以下、「EVOH樹脂」という。)、ポリ塩化ビニリデン樹脂、または、ジアミン成分に芳香環を有するポリアミド樹脂などが用いられる。EVOH樹脂は、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体をケン化して得られる。バリア層230は、酸素透過率が200ml/(m・24h・atm)以下であることが好ましく、酸素透過率が10ml/(m・24h・atm)以下であることがより好ましく、酸素透過率が1ml/(m・24h・atm)以下であることがさらに好ましい。
【0030】
(4)第2接着層
第2接着層240の材料としては、公知の接着性樹脂、例えば、接着性ポリオレフィン系樹脂などが用いられる。具体的に、第2接着層240の材料としては、例えば、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体、または、各種ポリオレフィンに一塩基性不飽和脂肪酸、二塩基性不飽和脂肪酸、もしくはこれらの無水物をグラフトさせたもの(マレイン酸グラフト化エチレン−酢酸ビニル共重合体、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体など)などが用いられる。一塩基性不飽和脂肪酸としては、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。二塩基性不飽和脂肪酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
【0031】
第2接着層240は、酸化防止剤を含有していてもよいし、酸化防止剤を含有していなくてもよい。第2接着層240が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが、単体でまたは2種類以上混合して用いられる。
【0032】
(5)酸素吸収層
酸素吸収層250は、酸素吸収剤である酸素吸収性樹脂と、酸素吸収反応触媒とを含む。酸素吸収性樹脂としては、不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂などが用いられる。具体的に、酸素吸収性樹脂としては、例えば、エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、主鎖エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、ポリエーテルユニットポリマー、エチレンと歪んだ環状アルキレンとのコポリマー、ポリアミド樹脂、酸変性ポリブタジエン、ヒドロキシアルデヒドポリマー等が、単体で、または酸素吸収性樹脂以外の透明性に影響しないベース樹脂と混合して用いられる。
【0033】
酸素吸収反応触媒としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトナート亜鉛、アセチルアセトナートコバルトまたはアセチルアセトナート銅などの遷移金属触媒などが用いられる。酸素吸収反応触媒の含有量は、酸素吸収層250に対して重量比率で100ppm以上5000ppm以下である。特に、酸素吸収反応触媒の含有量は、酸素吸収層250に対して重量比率で500ppm以上5000ppm以下であることが好ましく、酸素吸収層250に対して重量比率で1000ppm以上5000ppm以下であることがより好ましく、酸素吸収層250に対して重量比率で3000ppm以上5000ppm以下であることがさらに好ましく、酸素吸収層250に対して重量比率で3500ppm以上5000ppm以下であることがさらに好ましい。
【0034】
酸素吸収層250は、酸化防止剤を含有していてもよいし、酸化防止剤を含有していなくてもよい。酸素吸収層250が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが、単体でまたは2種類以上混合して用いられる。酸素吸収層250の酸化防止剤の含有量は、酸素吸収層250に対して重量比率で0ppm以上170ppm以下である。特に、酸素吸収層250の酸化防止剤の含有量は、酸素吸収層250に対して重量比率で0ppm以上120ppm以下であることが好ましく、酸素吸収層250に対して重量比率で5ppm以上120ppm以下であることがより好ましく、酸素吸収層150に対して重量比率で5ppm以上60ppm以下であることがさらに好ましい。
【0035】
(6)シール層
シール層260は、蓋材300を底材200にシール(ヒートシール、超音波シール、高周波シール、インパルスシール等)するためのシール機能を有し、包装体100に収容される内容物に対して悪影響を及ぼさないものである。シール層260の材料としては、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂、中密度ポリエチレン(MDPE)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)樹脂、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)樹脂、エチレン−アクリレート共重合体(EAA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂、アイオノマー(ION)樹脂などが、単体でまたは2種類以上混合して用いられる。
【0036】
シール層260は、酸化防止剤を含有していてもよいし、酸化防止剤を含有していなくてもよい。シール層260が酸化防止剤を含有する場合、酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが、単体でまたは2種類以上混合して用いられる。
【0037】
<蓋材>
蓋材300の材料としては、例えば、2軸延伸したポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)、金属酸化物を蒸着した2軸延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム(VM−PETフィルム)またはポリエチレン樹脂を積層したフィルム等が用いられる。
【0038】
内部の空気を除去した底材200のポケット270には、食品、飲料または工業用部品などの内容物(図示せず)が収容される。ポケット270に内容物が収容された後、蓋材300が底材200にシールされ、底材200のポケット270が密封される。
【実施例】
【0039】
次に、本発明の包装体100に係る実施例1〜4と、比較例1とについて説明する。なお、これら実施例によって本発明は何ら限定されるものではない。
【0040】
(実施例1)
<底材の作製>
外層210を構成する樹脂として共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン株式会社製、品名:GN071)を準備した。第1接着層220を構成する樹脂として接着性ポリオレフィン系樹脂(三井化学株式会社製、品名:SF740)を準備した。バリア層230を構成する樹脂としてEVOH樹脂(株式会社クラレ製、品名:J171B)を準備した。第2接着層240を構成する樹脂として接着性ポリオレフィン系樹脂(三井化学株式会社製、品名:LF308)を準備した。酸素吸収層250を構成する樹脂として、ベース樹脂を80重量%、不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂を20重量%の割合で混合したものを準備した。シール層260を構成する樹脂としてLDPE樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製、品名:F522N)を準備した。
【0041】
酸素吸収層250のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物には、含有率が酸素吸収層250に対して重量比率で1000ppmとなるように、酸素吸収反応触媒であるステアリン酸コバルトを添加した。さらに、酸素吸収層250のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物には、含有率が酸素吸収層250に対して重量比率で120ppmとなるように、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製、品名:IRGANOX1010)を添加した。なお、第2接着層240およびシール層260には、酸化防止剤を添加しなかった。
【0042】
シール層260のLDPE樹脂と、酸素吸収層250のベース樹脂および不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂の混合物と、第2接着層240の接着性ポリオレフィン系樹脂と、バリア層230のEVOH樹脂と、第1接着層220の接着性ポリオレフィン系樹脂と、外層210の共重合ポリエステル樹脂とをこの順で共押出しし、酸素吸収フィルムを作製した。得られた酸素吸収フィルムにおいて、シール層260の厚さは10μm、酸素吸収層250の厚さは30μm、第2接着層240の厚さは40μm、バリア層230の厚さは40μm、第1接着層220の厚さは20μm、外層210の厚さは90μmであった。
【0043】
深絞り型全自動真空包装機(MULTIVAC社製、型番:R−530)を用いて、成形温度95℃、成形時間3秒の条件で、酸素吸収フィルムにポケット270(長辺160mm×短辺105mm×深さ1.5mm、ポケット内部の表面積240cm)を成形し、底材200を作製した。
【0044】
<底材の酸素吸収フィルムの物性>
底材200の酸素吸収フィルムの厚みは、ダイヤルゲージによって測定を行ったところ、0.21mmであった。底材200の酸素吸収フィルムの引張強度は、JIS Z 1702によって測定を行ったところ、酸素吸収フィルムの長手方向(MD)において43N/mm、酸素吸収フィルムの幅方向(TD)において41N/mmであった。底材200の酸素吸収フィルムの破断伸度は、JIS Z 1702によって測定を行ったところ、酸素吸収フィルムの長手方向(MD)において400%、酸素吸収フィルムの幅方向(TD)において360%であった。底材200の酸素吸収フィルムの引裂強度は、JIS K 6301によって測定を行ったところ、酸素吸収フィルムの長手方向(MD)において1900N/cm、酸素吸収フィルムの幅方向(TD)において1800N/cmであった。底材200の酸素吸収フィルムの光線透過率は、JIS K 7361によって測定を行ったところ、89.3%であった。底材200の酸素吸収フィルムの曇度は、JIS K 7136によって測定を行ったところ、2.8%であった。
【0045】
<蓋材の作製>
LLDPE樹脂(株式会社プライムポリマー製、品名:ウルトゼックス2022L)をTダイ押出法にて製膜し、厚さ30μmのLLDPEフィルムを得た。このLLDPEフィルムと、厚さ30μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)と、アルミ蒸着を施した厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(VM−PETフィルム)をドライラミネート法により貼り合せて、多層のフィルムである蓋材300を作製した。
【0046】
<包装体の作製>
ポケット270の内部の空気を除去した後に、底材200と蓋材300とを、135℃、1.5秒の条件でヒートシールして密封し、包装体100を作製した。包装体100のポケット270の容積は250cmであった。
【0047】
<酸素吸収量の測定>
図3に示されるように、食品用微量酸素分析計400(飯島電子工業製、型番:IS−300)を用いて、底材200と蓋材300とをヒートシールしたときから、すなわち包装体100を密封したときから、所定の日数が経過した包装体100のポケット270の酸素濃度を測定した。具体的には、食品用微量酸素分析計400の針410を粘着ゴム420を介して蓋材300に突き刺した状態にして、保管温度5℃、サンプリング時間7秒の条件で、包装体100内部の酸素濃度を測定した。
【0048】
包装体100内部の酸素濃度の測定を行った結果、底材200と蓋材300とをヒートシールしたときの包装体100内部の酸素濃度(以下、「初期酸素濃度」という。)は0.131%であった。0.125日(3時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.111%であった。0.625日(15時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.091%であった。2日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.038%であった。3日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.030%であった。10日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.007%であった。17日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.009%であった。24日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.012%であった。31日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.009%であった。38日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.012%であった(下記表1参照)。図4は、上記の値をグラフ化したものである。
【0049】
また、上記の測定した酸素濃度の値に基づいて計算すると、0.125日(3時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の84.7%の値となった。0.625日(15時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の69.5%の値となった。2日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の29.0%の値となった。3日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の22.9%の値となった。10日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の5.3%の値となった。17日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の6.9%の値となった。24日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の9.2%の値となった。31日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の6.9%の値となった。38日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の9.2%の値となった(下記表1参照)。
【0050】
(実施例2)
含有率が第2接着層240に対して重量比率で800ppmとなるように、第2接着層240の接着性ポリオレフィン系樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF製、品名:IRGANOX1010)を添加し、第2接着層240の厚さを20μmとした以外は、実施例1と同様にして包装体100を作製し、実施例1と同様にして、底材200と蓋材300とをヒートシールしたときから、所定の日数が経過した包装体100内部の酸素濃度を測定した。なお、底材200の酸素吸収フィルムの物性は、実施例1の酸素吸収フィルムの物性とほぼ同様であった。
【0051】
その結果、包装体100内部における初期酸素濃度は0.134%であった。0.125日(3時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.103%であった。0.625日(15時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.066%であった。2日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.040%であった。3日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.028%であった。10日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.013%であった。17日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.008%であった。24日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.011%であった。31日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.006%であった。38日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.011%であった(下記表1参照)。図5は、上記の値をグラフ化したものである。
【0052】
また、上記の測定した酸素濃度の値に基づいて計算すると、0.125日(3時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の76.9%の値となった。0.625日(15時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の49.3%の値となった。2日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の29.9%の値となった。3日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の20.9%の値となった。10日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の9.7%の値となった。17日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の6.0%の値となった。24日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の8.2%の値となった。31日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の4.5%の値となった。38日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の8.2%の値となった(下記表1参照)。
【0053】
(実施例3)
第2接着層240の厚さを20μmとした以外は、実施例1と同様にして包装体100を作製し、実施例1と同様にして、底材200と蓋材300とをヒートシールしたときから、包装体100内部の酸素濃度を測定した。なお、底材200の酸素吸収フィルムの物性は、実施例1の酸素吸収フィルムの物性とほぼ同様であった。
【0054】
その結果、包装体100内部における初期酸素濃度は0.087%であった。0.125日(3時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.024%であった。0.625日(15時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.017%であった。2日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.025%であった。3日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.016%であった。10日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.011%であった。17日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.007%であった。24日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.010%であった。31日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.007%であった。38日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.010%であった(下記表1参照)。図6は、上記の値をグラフ化したものである。
【0055】
また、上記の測定した酸素濃度の値に基づいて計算すると、0.125日(3時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の27.6%の値となった。0.625日(15時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の19.5%の値となった。2日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の28.7%の値となった。3日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の18.4%の値となった。10日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の12.6%の値となった。17日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の8.0%の値となった。24日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の11.5%の値となった。31日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の8.0%の値となった。38日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の11.5%の値となった(下記表1参照)。
【0056】
(実施例4)
酸素吸収層250を構成する樹脂として、ベース樹脂を90重量%、不飽和ポリオレフィン系酸素吸収樹脂を10重量%の割合で混合したものを準備した以外は、実施例3と同様にして包装体100を作製し、実施例1と同様にして、底材200と蓋材300とをヒートシールしたときから、所定の日数が経過した包装体100内部の酸素濃度を測定した。なお、底材200の酸素吸収フィルムの物性は、実施例1の酸素吸収フィルムの物性とほぼ同様であった。
【0057】
その結果、包装体100内部における初期酸素濃度は0.124%であった。0.125日(3時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.123%であった。0.625日(15時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.079%であった。2日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.053%であった。3日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.049%であった。10日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.009%であった。17日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.006%であった。24日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.010%であった。31日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.006%であった。38日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.012%であった(下記表1参照)。図7は、上記の値をグラフ化したものである。
【0058】
また、上記の測定した酸素濃度の値に基づいて計算すると、0.125日(3時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の99.2%の値となった。0.625日(15時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の63.7%の値となった。2日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の42.7%の値となった。3日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の39.5%の値となった。10日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の7.3%の値となった。17日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の4.8%の値となった。24日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の8.1%の値となった。31日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の4.8%の値となった。38日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の9.7%の値となった(下記表1参照)。
【0059】
(比較例1)
<底材の作製>
外層を構成する樹脂として共重合ポリエステル樹脂(イーストマンケミカルジャパン株式会社製、品名:GN071)を準備した。第1接着層および第2接着層を構成する樹脂として接着性ポリオレフィン系樹脂(三井化学株式会社製、品名:SF740)を準備した。バリア層を構成する樹脂としてEVOH樹脂(株式会社クラレ製、品名:J171B)を準備した。中間層を構成する樹脂としてポリアミド系樹脂(宇部興産株式会社製、品名:1030B)を準備した。シール層を構成する樹脂として、LLDPE樹脂(株式会社プライムポリマー製、品名:2022L)を準備した。
【0060】
シール層のLDPE樹脂と、第2接着層の接着性ポリオレフィン系樹脂と、中間層のポリアミ系樹脂と、バリア層のEVOH樹脂と、第1接着層の接着性ポリオレフィン系樹脂と、外層の共重合ポリエステル樹脂とをこの順で共押出しし、フィルムを作製した。得られたフィルムにおいて、シール層の厚さは10μm、第2接着層の厚さは10μm、中間層の厚さは10μm、バリア層の厚さは10μm、第1接着層の厚さは10μm、外層の厚さは160μmであった。
【0061】
<底材の酸素吸収フィルムの物性>
底材の酸素吸収フィルムの厚みは、ダイヤルゲージによって測定を行ったところ、0.21mmであった。底材の酸素吸収フィルムの引張強度は、JIS Z 1702によって測定を行ったところ、酸素吸収フィルムの長手方向(MD)において69N/mm、酸素吸収フィルムの幅方向(TD)において68N/mmであった。底材の酸素吸収フィルムの破断伸度は、JIS Z 1702によって測定を行ったところ、酸素吸収フィルムの長手方向(MD)において420%、酸素吸収フィルムの幅方向(TD)において440%であった。底材の酸素吸収フィルムの引裂強度は、JIS K 6301によって測定を行ったところ、酸素吸収フィルムの長手方向(MD)において2400N/cm、酸素吸収フィルムの幅方向(TD)において2400N/cmであった。底材の酸素吸収フィルムの光線透過率は、JIS K 7361によって測定を行ったところ、90.5%であった。底材の酸素吸収フィルムの曇度は、JIS K 7136によって測定を行ったところ、3.2%であった。
【0062】
底材の作製以外は、実施例1と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様にして、底材200と蓋材300とをヒートシールしたときから、所定の日数が経過した包装体内部の酸素濃度を測定した。
【0063】
その結果、包装体内部における初期酸素濃度は0.116%であった。0.125日(3時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.116%であった。0.625日(15時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.135%であった。2日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.117%であった。3日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.128%であった。10日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.150%であった。17日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.138%であった。24日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.168%であった。31日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.211%であった。38日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は0.250%であった(下記表1参照)。図8は、上記の値をグラフ化したものである。
【0064】
また、上記の測定した酸素濃度の値に基づいて計算すると、0.125日(3時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の100.0%の値となった。0.625日(15時間)経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の116.4%の値となった。2日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の100.9%の値となった。3日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の110.3%の値となった。10日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の129.3%の値となった。17日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の119.0%の値となった。24日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の144.8%の値となった。31日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の181.9%の値となった。38日経過したときの包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の215.5%の値となった(下記表1参照)。
【0065】
【表1】

【0066】
実施例1〜4に係る包装体100内部の酸素濃度は、経過日数が0.125日(3時間)から38日までの間、初期酸素濃度よりも減少した値であった。これに対して、比較例1に係る包装体内部の酸素濃度は、経過日数が0.125日(3時間)から38日までの間、初期酸素濃度よりも増加した値であった。したがって、実施例1〜4に係る包装体100は、比較例1に係る包装体に比べて、高い酸素吸収性を有していた。また、実施例1〜4に係る包装体100は、5℃の環境下で酸素を吸収していた。
【0067】
実施例1〜4に係る包装体100内部の酸素濃度は、経過日数が10日のとき、初期酸素濃度の0%以上20%以下の値まで減少していた。また、実施例1〜4に係る包装体100内部の酸素濃度は、経過日数が10日から38日までの間、初期酸素濃度の0%以上20%以下の値を推移していた。また、実施例1〜4に係る包装体100内部の酸素濃度は、経過日数が2日から38日までの間、初期酸素濃度の0%以上50%以下の値を推移していた。
【0068】
<本実施形態における効果>
以上のように、本実施形態に係る包装体100では、蓋材300が底材200にシールされたときから2日以上経過したとき、包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の0%以上50%以下の値まで減少する。そして、酸素濃度が減少した後、包装体100内部の酸素濃度は、初期酸素濃度の0%以上50%以下の値を推移する。よって、この包装体100は、酸素吸収性に優れ、初期酸素濃度よりも低い値の酸素濃度を維持することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る包装体100では、蓋材300が底材200にシールされたときから10日経過したとき、包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の0%以上50%以下の値まで減少する。よって、この包装体100は、酸素を吸収する速度に優れる。
【0070】
また、本実施形態に係る包装体100では、包装体100内部の酸素濃度は、初期酸素濃度の0%以上50%以下の値を、経過日数が2日から38日までの間、すなわち20日以上推移する。よって、この包装体100は、初期酸素濃度よりも低い値の酸素濃度を20日以上維持することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る包装体100では、包装体100内部の酸素濃度は、初期酸素濃度の0%以上50%以下の値を、経過日数が2日から38日までの間、すなわち30日以上推移する。よって、この包装体100は、初期酸素濃度よりも低い値の酸素濃度を30日以上維持することができる。
【0072】
また、本実施形態に係る包装体100では、蓋材300が底材200にシールされたときから10日以上経過したとき、包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の0%以上20%以下の値まで減少する。そして、酸素濃度が減少した後、包装体100内部の酸素濃度は、初期酸素濃度の0%以上20%以下の値を推移する。よって、この包装体100は、酸素吸収性により優れる。
【0073】
また、本実施形態に係る包装体100では、蓋材300が底材200にシールされたときから10日以上経過したとき、包装体100内部の酸素濃度は、包装体100内部の初期酸素濃度の0%以上20%以下の値まで減少する。よって、この包装体100は、酸素を吸収する速度により優れる。
【0074】
また、本実施形態に係る包装体100では、5℃の環境下で包装体100内部の酸素を吸収する。このため、5℃の低温度で包装体100を保管した場合であっても、包装体100は酸素を吸収することができる。
【0075】
<変形例>
(A)
酸素吸収層250の酸素吸収剤として、酸素吸収性樹脂ではなく、例えば、主に鉄粉からなる鉄粉系酸素吸収剤が用いられていてもよい。この場合、鉄粉系酸素吸収剤は、公知の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン類、エラストマー及びこれらの変性物、あるいはこれらの混合樹脂などに添加されて用いられる。
【0076】
(B)
蓋材300のみが酸素吸収フィルムからなる包装体であってもよいし、底材200と蓋材300との両方が酸素吸収フィルムからなる包装体であってもよい。
【0077】
(C)
包装体100の酸素吸収フィルムは、バリア層230および酸素吸収層250のみからなるものであってもよい。また、包装体100の酸素吸収フィルムは、外層210、第1接着層220および第2接着層240うちの少なくとも1つと、バリア層230と、酸素吸収層250とからなるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係る包装体は、酸素吸収性に優れるので、食品、飲料、または酸化を嫌う工業用部品などの包装に、好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0079】
100 包装体
200 底材
300 蓋材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋材と、前記蓋材がシールされる底材とを備える包装体であって、
前記蓋材および前記底材の少なくとも一方は、酸素を吸収するフィルムからなり、
前記包装体内部の酸素濃度は、前記蓋材が前記底材にシールされたときの前記包装体内部の初期酸素濃度の0%以上50%以下の値まで減少した後、前記値を推移することを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記包装体内部の前記酸素濃度は、前記蓋材が前記底材にシールされたときから10日経過したとき、前記包装体内部の前記初期酸素濃度の0%以上50%以下の値まで減少する請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記包装体内部の前記酸素濃度は、前記包装体内部の前記初期酸素濃度の0%以上50%以下の値を20日以上推移する請求項1または2に記載の包装体。
【請求項4】
前記包装体内部の前記酸素濃度は、前記包装体内部の前記初期酸素濃度の0%以上50%以下の値を30日以上推移する請求項3に記載の包装体。
【請求項5】
前記包装体内部の前記酸素濃度は、前記包装体内部の前記初期酸素濃度の0%以上20%以下の値まで減少した後、前記値を推移する請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項6】
前記包装体内部の前記酸素濃度は、前記蓋材が前記底材にシールされたときから10日経過したとき、前記包装体内部の前記初期酸素濃度の0%以上20%以下の値まで減少する請求項5に記載の包装体。
【請求項7】
5℃の環境下で前記包装体内部の酸素を吸収する請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−56593(P2012−56593A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200478(P2010−200478)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】