説明

包装体

【課題】包装袋を外すことなく外装物品を試着する。
【解決手段】包装体6は、おむつカバーである外装物品1、および、展開された状態の外装物品1を収容する包装袋5を備える。外装物品1は、着用者に装着される際に一対の脚部開口を形成する一対の脚部開口形成部121を備える。包装袋5の輪郭は、外装物品1の一対の脚部開口形成部121の輪郭に沿う。包装袋5は、一対の包装後方側端部55に一対の粘着テープ53を備える。外装物品1を試着する際には、包装袋5を取り外すことなく外装物品1が着用者にあてがわれ、着用者の腹側に接する包装袋5の包装前方中央部54に一方の粘着テープ53を粘着させ、他方の粘着テープ53を上記一方の包装後方側端部55上に粘着させる。これにより、外装物品1の複数の止着部である前方中央部14および一対の後方側端部15が、着用者に外装物品1が装着される際と実質的に同様に互いに固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつカバーまたは吸収性物品の着用に用いられる下着である外装物品を包装した包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨ておむつを着用者に密着させてずれを防止するために、特許文献1に示されるように、使い捨ておむつの外側を覆うように装着されるおむつカバーが利用されている。また、軽失禁パッドのような吸収性物品の外側に装着されて、吸収性物品を着用者に密着させるショーツ等の下着も利用されている。このようなおむつカバーやショーツ等の外装物品は、通常、略矩形状に薄く折り畳まれて薄いシート状の包装袋等に収容された状態で店頭等に陳列される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−190213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外装物品の包装袋等には、通常、外装物品のサイズ等が表示されているが、包装袋等に収容された状態では、実際に着用する際の外装物品の形状や大きさがわかりにくい。したがって、当該外装物品が使用者の体型にフィットするか否かを判断することが容易ではない。しかしながら、外装物品を包装袋等から取り出して試着用として店頭においた場合、試着用に使用された外装物品は販売には適さない状態となってしまう。したがって、比較的高価なおむつカバー等の外装物品を、このような試着用に提供することはあまり行われていない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、包装袋を外すことなく外装物品を試着することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、おむつカバーまたは吸収性物品の着用に用いられる下着である外装物品を包装した包装体であって、外装物品と、透明または半透明のシート部材にて形成され、展開された状態のシート状の前記外装物品の両面に接しつつ前記外装物品の全体を収容する包装袋とを備え、前記外装物品が、着用者に装着される際に一対の脚部開口を形成する一対の脚部開口形成部を備え、前記包装袋の輪郭が、前記外装物品の前記一対の脚部開口形成部の輪郭に沿う。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の包装体であって、前記包装袋の輪郭が、前記外装物品の全体の輪郭に沿う。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の包装体であって、前記包装袋の全体が透明である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の包装体であって、前記外装物品が、着用者に装着される際に互いに止着される複数の止着部をさらに備え、前記包装袋が、前記複数の止着部を、着用者に装着される際と実質的に同様に互いに固定する固定部を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、包装袋を外すことなく外装物品を試着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態に係る包装体を示す平面図である。
【図2】装着状態の外装物品を示す平面図である。
【図3】包装体の断面図である。
【図4】第2の実施の形態に係る包装体を示す平面図である。
【図5】装着状態の外装物品を示す平面図である。
【図6】他の包装体を示す平面図である。
【図7】他の包装体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る包装体6を示す平面図である。包装体6は、おむつカバー、または、吸収性物品の着用に用いられる下着(例えば、軽失禁パッド用のショーツ)である外装物品1を包装袋5により包装したものである。本実施の形態では、おむつカバーが、外装物品1として包装袋5により包装される。包装体6は、包装袋5の図1中における上端に接続される略矩形状の吊り下げ部7をさらに備える。吊り下げ部7は、ボール紙やプラスチックフィルム等により形成され、左右方向の中央部に略円形の孔71が設けられる。吊り下げ部7には、外装物品1に係る情報、例えば、外装物品1の名称やサイズ等が表示される。
【0013】
外装物品1は、着用者の腹側および背側の肌に接する前方部101および後方部103、並びに、前方部101と後方部103との間にて着用者の股間部に対向する股下部102を備える。後方部103の左右両側に突出する一対の後方側端部15には、面ファスナのフック部材13が設けられる。
【0014】
図2に示すように、一対の後方側端部15が前方部101の外側の面に止着されることにより、外装物品1が、胴部開口11および一対の脚部開口12を有するパンツ型となる。すなわち、外装物品1は、外ベルトタイプのおむつカバーである。図2では、着用者の身体を二点鎖線にて描いている(図5においても同様)。以下の説明では、外装物品1が着用者に装着される際に一対の脚部開口12を形成する一対の部位121、すなわち、股下部102の図1中における左右両側の部位121を「脚部開口形成部121」という。本実施の形態では、図2に示す着用者の右側の後方側端部15のフック部材13が、前方部101の前方中央部14に止着され、着用者の左側の後方側端部15のフック部材13が、前方中央部14上に止着された右側の後方側端部15上から前方部101に間接的に止着される。前方中央部14および一対の後方側端部15は、外装物品1が着用者に装着される際に互いに止着される複数の止着部である。
【0015】
図3は、包装体6を図1中のA−Aの位置にて切断した断面図である。図1および図3に示すように、包装袋5は、展開された状態(すなわち、折り畳まれることなく広げられた状態)のシート状の外装物品1の両面に接しつつ外装物品1の全体を収容する。図1に示すように、包装袋5の輪郭は、外装物品1の全体の輪郭に沿っており、当然に、一対の脚部開口形成部121の輪郭にも沿う。
【0016】
図3に示すように、包装袋5は、透明または半透明の第1シート部材51および第2シート部材52を、外装物品1を挟んで重ね合わせ、外装物品1の周囲にて接合することにより形成される。図3では、図の理解を容易にするために、外装物品1および包装袋5の各構成を離間させて描いているが、実際には、図中の上下方向において隣接する各構成は互いに接している。第1シート部材51は、外装物品1の着用者側の面に接し、第2シート部材52は、外装物品1の着用者とは反対側の面に接する。第1シート部材51および第2シート部材52の接合は、例えば、熱圧着や超音波接合、接着剤による接着により行われる。本実施の形態では、包装袋5の全体が透明なプラスチックフィルムにて形成される。
【0017】
以下の説明では、図1に示す包装袋5のうち、外装物品1の前方中央部14および一対の後方側端部15に対応する部位(すなわち、重なる部位)を、包装前方中央部54および一対の包装後方側端部55という。包装袋5は、一対の包装後方側端部55において第1シート部材51の外装物品1に接する面とは反対側の面上に設けられる一対の粘着テープ53を備える。一対の粘着テープ53は、外装物品1の一対のフック部材13におよそ重なる位置に配置される。
【0018】
粘着テープ53は、図3に示すように、折り返し線531にて2つ折りにされたプラスチックテープである基材532、および、基材532上に設けられた粘着層533を備える。基材532の折り畳み線531の一方側の部位である第1部位534は、第1シート部材51上に接合されており、第1部位534の第1シート部材51とは反対側の面に、上記粘着層533が設けられる。第2部位535は、粘着層533上に重ねられて粘着される。
【0019】
外装物品1の販売店等では、陳列棚の吊り下げ用金具等が、図1に示す吊り下げ部7の孔71に挿入され、外装物品1が吊り下げられた状態で陳列される。また、外装物品1は、店頭において試着用としても提供される。外装物品1を試着する際には、包装袋5を外装物品1から取り外すことなく、外装物品1が着用者にあてがわれる。このとき、包装袋5の包装前方中央部54は、着用者の腹側に接する。続いて、図3に示す一対の粘着テープ53において、第2部位535を粘着層533から剥離し、一方の包装後方側端部55に設けられた粘着テープ53の粘着層533を、包装袋5の包装前方中央部54に粘着させる。そして、他方の包装後方側端部55に設けられた粘着テープ53の粘着層533を、既に包装前方中央部54に固定された包装後方側端部55上に粘着させる。
【0020】
これにより、外装物品1の複数の止着部である前方中央部14および一対の後方側端部15が、着用者に外装物品1が装着される際と実質的に同様に互いに固定される。包装体6では、一対の粘着テープ53が、外装物品1の上述の複数の止着部を、実際の装着の際と実質的に同様に互いに固定する固定部となっている。一対の粘着テープ53は、粘着および剥離を繰り返しても粘着力が保持されるため、店頭において繰り返される試着用として提供することができる。
【0021】
外装物品1の販売店等では、外装物品1が包装袋5から取り出されることなく、人体の腰部の模型等に装着された状態で陳列されてもよい。この場合も、包装袋5の一対の粘着テープ53が包装前方中央部54に粘着されることにより、外装物品1の前方中央部14および一対の後方側端部15が、着用者に装着される際と実質的に同様に互いに固定される。このように、外装物品1を装着状態で展示することにより、購入予定者による外装物品1の形状や使用方法等の確認を容易とすることができる。包装体6では、吊り下げ部7と一対の粘着テープ53とが設けられることにより、包装体6の陳列方法の選択が可能となっている。
【0022】
以上に説明したように、包装体6では、包装袋5の輪郭が、外装物品1の一対の脚部開口形成部121の輪郭に沿っているため、包装袋5を外装物品1から取り外すことなく、外装物品1の股下部102を着用者の股間部にあてがうことができる。そして、外装物品1の前方部101および後方部103を着用者の腹側および背側にあてがうことにより、包装袋5を取り外すことなく外装物品1を試着することができ、外装物品1が着用者の体型にフィットするか否かを容易に確認することができる。また、包装袋5の輪郭が外装物品1の全体の輪郭に沿っているため、外装物品1の試着をより容易とすることができる。また、外装物品1の実際の装着に近い状態で試着できるため、外装物品1が着用者の体型にフィットするか否かをより容易に確認することができる。
【0023】
包装体6では、包装袋5の全体が透明であるため、試着後の外装物品1の状態を容易に確認することができる。また、包装袋5に設けられた一対の粘着テープ53により、外装物品1の複数の止着部(すなわち、前方中央部14および一対の後方側端部15)が、着用者に装着される際と実質的に同様に互いに固定される。これにより、外装物品1の試着をさらに容易とすることができる。
【0024】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る包装体6aについて説明する。図4は、包装体6aを示す平面図である。包装体6aでは、外ベルトタイプのおむつカバーである外装物品1に代えて、内ベルトタイプのおむつカバーである外装物品1aが包装袋5により包装される。その他の構成は、図1に示す包装体6とほぼ同様であり、対応する構成に同符号を付す。
【0025】
外装物品1aでは、一方の後方側端部15にフック部材13が設けられ、当該フック部材13により、上記後方側端部15が着用者の腹側において他方の後方側端部15に止着される。また、前方中央部14にもフック部材13が設けられ、当該フック部材13により、図5に示すように、前方中央部14が互いに止着された一対の後方側端部15上に止着される。
【0026】
図4に示すように、包装袋5の一方の包装後方側端部55には、外装物品1aの後方側端部15のフック部材13とおよそ重なる位置に粘着テープ53が設けられる。また、包装袋5の包装前方中央部54には、外装物品1aの前方中央部14のフック部材13とおよそ重なる位置に粘着テープ53が設けられる。
【0027】
外装物品1aを試着する際には、包装袋5を外装物品1aから取り外すことなく、外装物品1aが着用者にあてがわれる。続いて、包装袋5の一方の包装後方側端部55の粘着テープ53を他方の包装後方側端部55に粘着させる。そして、包装袋5の包装前方中央部54に設けられた粘着テープ53を、既に互いに固定された一対の包装後方側端部55上に粘着させる。これにより、外装物品1aの複数の止着部である前方中央部14および一対の後方側端部15が、着用者に外装物品1aが装着される際と実質的に同様に互いに固定される。包装体6aでは、2つの粘着テープ53が、外装物品1aの上述の複数の止着部を、実際の装着の際と実質的に同様に互いに固定する固定部となっている。
【0028】
包装体6aでは、第1の実施の形態に係る包装体6と同様に、包装袋5の輪郭が、外装物品1aの一対の脚部開口形成部121の輪郭に沿っているため、包装袋5を取り外すことなく外装物品1aを試着することができ、外装物品1aが着用者の体型にフィットするか否かを容易に確認することができる。また、包装袋5の輪郭が外装物品1aの全体の輪郭に沿っているため、外装物品1aの試着をより容易とすることができる。さらに、外装物品1aの実際の装着に近い状態で試着できるため、外装物品1aが着用者の体型にフィットするか否かをより容易に確認することができる。
【0029】
包装体6aでは、包装袋5の全体が透明であるため、試着後の外装物品1aの状態を容易に確認することができる。また、包装袋5に設けられた2つの粘着テープ53により、外装物品1aの複数の止着部(すなわち、前方中央部14および一対の後方側端部15)が、着用者に装着される際と実質的に同様に互いに固定される。これにより、外装物品1aの試着をさらに容易とすることができる。
【0030】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0031】
上記実施の形態に係る包装体6,6aでは、包装袋5から粘着テープ53が省略され、外装物品1,1aの重ね合わされた前方中央部14および一対の後方側端部15をまとめて挟んで固定するクリップが、外装物品1,1aの複数の止着部である前方中央部14および一対の後方側端部15を、着用者に装着される際と実質的に同様に互いに固定する固定部として設けられてもよい。また、粘着テープ53に代えて複数の紐やリボン等が包装袋5に設けられ、これらの紐やリボンが互いに結ばれることにより、外装物品1,1aの複数の止着部が、着用者に装着される際と実質的に同様に互いに固定されてもよい。なお、包装体6,6aを着用者にあてがうだけで、外装物品1,1aが着用者の体型にフィットするか否かを容易に確認することができるのであれば、外装物品1,1aの複数の止着部を互いに固定する固定部は省略されてもよい。
【0032】
上記実施の形態では、外装物品1,1aの輪郭が曲線になっている部分では、包装袋5の輪郭も曲線となっているが、包装袋5の輪郭は、外装物品1,1aの輪郭におよそ沿っていればよい。例えば、図6に示す包装袋5aのように、その輪郭は、複数の直線で構成された折れ線であってもよい。このように、包装袋5aの輪郭が全て直線で構成されることにより、包装袋5aの製造を容易とすることができる。
【0033】
包装袋5の輪郭は、外装物品1,1aの一対の脚部開口形成部121の輪郭に沿っていれば、必ずしも、前方部101や後方部103の輪郭に沿う必要はなく、例えば、図7に示す包装袋5bのように、外装物品1の前方部101および後方部103を包む部位は、外装物品1の左右両側の曲線のエッジに沿わない略矩形状であってもよい。この場合であっても、包装袋5bの輪郭が、一対の脚部開口形成部121の輪郭に沿うことにより、包装袋5bを外装物品1から取り外すことなく、外装物品1の股下部102を着用者の股間部にあてがって外装物品1を試着することができる。
【0034】
上述の包装体では、内部の外装物品1,1aの形状や大きさが把握可能であるならば、包装袋5〜5bの全体が透明である必要はなく、包装袋5〜5bの一部が不透明であってもよい。当該不透明部には、例えば、商品名等の情報やデザインが表示される。
【0035】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0036】
1,1a 外装物品
5〜5b 包装袋
6,6a 包装体
12 脚部開口
14 前方中央部
15 後方側端部
51 第1シート部材
52 第2シート部材
53 粘着テープ
121 脚部開口形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
おむつカバーまたは吸収性物品の着用に用いられる下着である外装物品を包装した包装体であって、
外装物品と、
透明または半透明のシート部材にて形成され、展開された状態のシート状の前記外装物品の両面に接しつつ前記外装物品の全体を収容する包装袋と、
を備え、
前記外装物品が、着用者に装着される際に一対の脚部開口を形成する一対の脚部開口形成部を備え、
前記包装袋の輪郭が、前記外装物品の前記一対の脚部開口形成部の輪郭に沿うことを特徴とする包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の包装体であって、
前記包装袋の輪郭が、前記外装物品の全体の輪郭に沿うことを特徴とする包装体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装体であって、
前記包装袋の全体が透明であることを特徴とする包装体。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の包装体であって、
前記外装物品が、着用者に装着される際に互いに止着される複数の止着部をさらに備え、
前記包装袋が、前記複数の止着部を、着用者に装着される際と実質的に同様に互いに固定する固定部を備えることを特徴とする包装体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−164(P2013−164A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131119(P2011−131119)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】