説明

包装容器

【課題】外箱に対して中箱が引き出し可能に収納されている包装容器に対して中箱の引き出しを抑止するためのチャイルドプルーフ機能を備え、中箱を引き出した際に収納物が直接的には目視できないようにし、幼児による収納物の誤った取り出しを極力防止する。
【解決手段】一端に取り出し口を有する中箱3と、中箱3がスライドして引き出し可能に収納されている外箱5とからなる包装容器1であり、外箱5は、外箱胴部の胴開閉部7を境にしてスリーブ体8と蓋体9とに区分され、中箱3には、中箱の引き出しの際にスリーブ体8に係止して中箱を停止可能とする係止手段を設け、蓋体5には、係止手段のスリーブ体への係止を解除する解除手段14を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を収容するなどの目的に使用される包装容器であり、特に幼児が収納物を簡単には取り出すことのできない工夫が施された包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から錠剤やカプセル包の形態を採る一般家庭薬を収容する容器として、紙箱の包装容器が多く利用されている。そして、この紙箱の包装容器に薬剤を収容してなる商品には、幼児があやまって中身を取り出すことがないように、フラップの一部分を箱胴部の側面板に貼り付けて、その側面板とフラップとの前記貼着部分を切り取りミシン目などで分離可能としたものがある。
【0003】
板紙を包材とする紙箱を容器として採用した上記包装容器を開封する場合には、貼着部分を囲む上記切り取りミシン目に対してある程度の力を加えてこれを切断して、貼着部分を箱側面板から分離させればよく、貼着部分を伴ったフラップを引き起こすことで容器内部から収納物を取り出すことが大人では可能であり、その初期開封自体は子供では行なえないものである。
【0004】
また、薬剤用としては限定されない通常の板紙製の包装容器においても、繰り返しの開封操作を子供が行なえないようにするために、チャイルドプルーフと称される機能を有する包装容器が提案されている。例えば、特許文献1に示されているように、出し入れ口を一面に配した外箱の前記出し入れ口から上面開放のトレイを出し入れ可能に収納する包装容器がある。そしてこの包装容器において、トレイの収納状態ではそのトレイの両側壁それぞれの一部分が外箱内部に配した係止部位に係止してトレイの引き出しを不能とし、また、外箱における前記トレイの側壁に対応する部分にそのトレイの側壁を倒し込むことのできる押し込み手段を配し、押し込み手段にてトレイの側壁を倒し込んで外箱に対する係合関係を解きながらトレイを移動させることで、トレイの引き出しが行なえるようにした包装容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4188911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、紙箱からなる上記包装容器にあっては、外箱とトレイとの係合関係を解いてトレイを引き出す場合、キャラメルなどの菓子を収めた菓子箱の取り扱いと同じようにトレイを引き出すという動作に伴ってトレイ上面の開放部分が開いていって、収納物が直ぐに目に付いてしまうこととなる。そのため、仮に、幼児によって外箱とその内側のトレイとの係合関係が解かれてそのトレイを引き出す行為が行なわれたとしても、直接的には収納物が目に付かない構造にして、幼児による収納物の取り出しを極力防止したいとの要望があった。
【0007】
そこで本発明は上記事情に鑑み、外箱に対して中箱が引き出し可能に収納されている包装容器に対して中箱の引き出しを抑止するためのチャイルドプルーフ機能を備えるようにするとともに、中箱を引き出した際にもその中箱に配されている収納物が直接的には目視できないようにすることを課題とし、幼児による収納物の誤った取り出しを極力防止する包装容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、一端に取り出し口を有する中箱と、前記中箱が前記取り出し口側から挿入される出し入れ口を有し、この出し入れ口から中箱がスライドして引き出し可能に収納されている外箱とからなる包装容器において、
前記外箱は、外箱胴部の周方向に並ぶ四側面板の内の一側面板に位置するヒンジ部と残り三側面板に亘って位置する切断部とが連続した胴開閉部を有し、前記胴開閉部の位置を境にして前記出し入れ口側のスリーブ体と前記スリーブ体に前記ヒンジ部を介して連結されている蓋体とに区分され、
前記外箱胴部が、前記切断部の部位が開く方向で前記ヒンジ部を折り中心にした蓋体の回動により折曲して、スリーブ体の内空間と蓋体の内空間とが連続してなる前記外箱の収納空間が胴開閉部の位置で開放可能に設けられており、
前記中箱の前記一端には、外箱の最奥側に向けて延設され、蓋体の最奥側から中箱引き出し時の移動により前記胴開閉部に対応位置するまでの移動範囲で蓋体の回動を規制する延設部が設けられていて、
かつ、前記中箱には、該中箱が前記移動範囲で移動するときの前記切断部に相対する範囲の内、外箱の最奥に延設部が達しているときの切断部に対応する位置からその近傍位置までの範囲でスリーブ体に係止して、引き出し方向にスライド移動する中箱を停止可能とする係止手段を備え、
前記蓋体には、前記係止手段のスリーブ体への係止を解除して中箱の引き出し方向でのスライドを可能にする解除手段が設けられていることを特徴とする包装容器を提供して、上記課題を解消するものである。
【0009】
(請求項2の発明)
そして、本発明において、上記係止手段は、上記切断部でのスリーブ体側の端縁に対応する中箱の側面板に位置し、引き出し方向に向けて開くように切り起こされて外箱内面に摺接する切り起こし片からなり、上記延設部が蓋体の内空間に位置して前記切り起こし片が蓋体の内面に当接している中箱が引き出し方向に移動して切り起こし片が蓋体から上記切断部に達したときに切断部におけるスリーブ体側の端縁に係止する構成とされ、
上記蓋体の解除手段は、スリーブ体側の前記端縁に係止するときの切り起こし片に対応する部分に位置し、スリーブ体側の端縁に相対する切り起こし片を中箱内に向けて押し込んでスリーブ体側の端縁に対して非係止状態とする押し込み操作が可能に設けられているものであることが良好である。
【0010】
(請求項3の発明)
また、本発明において、上記延設部が上記胴開閉部に対応位置したときの中箱に係止して中箱の引き出し方向の移動を規制する抜け防止手段が設けられていることが良好である。
【発明の効果】
【0011】
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、外箱に収納している中箱を引き出そうとする場合、その引き出しのためのスライド操作を始めようとする時点や、そのスライド操作をして直ぐとなる引き出し途中で、中箱の係止手段がスリーブ体に係止することとなり、中箱を引き出すことができない一旦停止状態となる。また、その一旦停止状態となっている中箱において、中箱の延設部が外箱胴部の胴開閉部に寄っていない状態となっていることから、ヒンジ部を中心とした蓋体の回動が規制されて胴開閉部の閉状態が維持される。
即ち、中箱の係止手段がスリーブ体に係止して中箱が引き出せない一旦停止の状態では、蓋体の回動止めを行なう延設部の働きが維持されていて、胴開閉部を閉じて収納物が目視されないようにするとともに、収納物の取り出し自体も不能にしている。
【0012】
そして、蓋体に設けられている解除手段によって中箱の係止手段とスリーブ体との係合関係を解くことで、中箱が引き出すことができるようになる。しかし、このスリーブ体との係合関係を解いた後の中箱の引き出し方向へのスライドにおいても、中箱の取り出し口は引き出し方向に対して反対側にあって外箱の収納空間内に位置するため、取り出し口が外箱の出し入れ口から表われず、よって、中箱に配した収納物が外箱の出し入れ口側で目視されることがない。
【0013】
さらに、蓋体の内空間から胴部開閉部側に中箱の延設部が移動して蓋体の回動が規制されなくなれば、胴開閉部でのヒンジ部を折り中心にして蓋体を回動させることで切断部の部位で側面板それぞれが開くようになる。そして、開いた胴開閉部に位置した中箱の取り出し口が表われて収納物が見えるようになり、その収納物の取り出しが行なえるようになる。
【0014】
このように外箱に収納されている中箱を引き出す際に中箱の係止手段がスリーブ体に係止してその中箱の引き出しを一旦止めるようにしているので、幼児が中箱の引き出し操作を行なおうとしても外箱の出し入れ口側からは収容物は見えず、蓋体自体も回動しないために収納物を見ることができず、よって、幼児が誤って収納物を取り出すことを防止できる。
【0015】
さらに仮に中箱とスリーブ体との係合関係を解いて中箱を引き出すとしても、出し入れ口から引き出される側では収納物を決して見ることができないとともに、蓋体の内部から中箱の挿入先端側(延設部側)が胴開閉部に対応位置するまでの中箱の引き出し操作と蓋体の回動操作とを行なわない限り、胴開閉部が開いた状態での収納物の取り出しが行なえないため、幼児にとってその取り出し操作が煩雑で難しく、よって、係合関係を解いてからでも幼児による収納物の取り出しを防止し易くなるという優れた効果を奏する。
【0016】
(請求項2の発明の効果)
請求項2の発明によれば、胴開閉部の切断部におけるスリーブ体側の端縁に係止して、外箱内に収納されている中箱の引き出しを一旦停止できるようにする係止手段が、その中箱の一部分を切り起こしてなる切り起こし片から設けられており、また、この切り起こし片によるスリーブ体側の端縁との係合関係を解く解除手段が、蓋体における前記切り起こし片に対応位置する部分であって切り起こし片を単に中箱内に向けて押し込むことができるものであればよいものであるから、構造が簡易となって包装容器が安価に製造できるようになる。
【0017】
(請求項3の発明の効果)
請求項3の発明によれば、外箱から中箱の抜けが防止されるため、中箱全体が抜け出て取り出し口から誤って収納物がこぼれ落ちるという不具合を無くすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る包装容器の一実施例を示す説明図である。
【図2】一実施例の外箱を出し入れ口から見た状態で示す説明図である。
【図3】一実施例の中箱を示すもので(イ)は係止手段が位置する側から見た状態を示す説明図、(ロ)は中箱の抜け防止を果たす包材の貼り合わせ部分が位置する側を示す説明図である。
【図4】外箱を胴開閉部の位置で折曲して開いた状態を示す説明図である。
【図5】切り起こし片の突端がスリーブ体側の端縁に当接する状態を示す説明図である。
【図6】外箱に中箱が収納されている状態を示す説明図である。
【図7】係止手段が外箱のスリーブ体側の端縁に当接係止する状態での外箱に対する中箱の位置を示す説明図である。
【図8】中箱の延設部が胴開閉部に対応位置して蓋体の回動が可能となる状態での外箱に対する中箱の位置を示す説明図である。
【図9】抜け防止手段が機能する時の状態での外箱に対する中箱の位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
つぎに本発明を図1から図9に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図中1はチャイルドプルーフ機能を有した紙製の包装容器で、該包装容器1は、図1〜図3に示されているように略角柱状にして長さ方向での一端側を開口し、その開口を取り出し口2としている中箱3と、前記中箱3が取り出し口2側から挿入される出し入れ口4を一端側の開口とし、中箱3を出し入れ口4を介してスライドさせて出し入れ可能に収納する外箱5とからなるものである。
【0020】
上記外箱5は、中箱3をスライド可能に収納できるようにそのスライドの移動方向に沿った方向を長手とする略角柱状の形状としている。また、上記出し入れ口4に対して外箱長手方向で相対する側であって、中箱挿入方向での最奥端となる側を一つの側面板9bにして閉じているとともに、中箱3の移動を案内する外箱胴部6を、四面の側面板6a,6b、6c,6dを外箱胴部6の周方向に連続させてなる略角柱状にして、内空間を中箱3の収納空間10としている。
【0021】
また、外箱5は図示されているように外箱胴部6の一部分で、上記四面の側面板の内の三面それぞれが開く形で折曲可能と設けられているものであり、一つの側面板6aに折り罫よりなるヒンジ部7aを設けるとともに、残りの三面の側面板6b,6c,6dに亘って位置する切断部7bが、前記ヒンジ部7aの両端に連続して、外箱胴部6の周方向に亘る胴開閉部7を形成している。
【0022】
上記胴開閉部7において、ヒンジ部7aがある側面板6aに周方向で連接している側面板6b、6dの部分については、切断部7bは側面板6aから側面板6cにかけて引き出し方向側に傾斜した切り取りミシン目としており、さらにヒンジ部7aがある側面板6aに対向する側面板6cの部分に位置する切断部7bにあってスリットとしている。そして、この外箱自体では、ヒンジ部7aの位置を谷折りとなるように折り中心とするとともに、側面板6b,6dの切断部7bの切り取りミシン目を切って切断部7bの位置で三側面板を分離するようにその切断部7bの位置が開くことで、外箱胴部6が折曲できるように設けられている。
【0023】
上述のように外箱5は、その外箱胴部6に開閉可能な胴開閉部7を備えていて、この胴開閉部7を境にして出し入れ口4を一端側とするスリーブ体8と出し入れ口4と対向する面が上記側面板9bとして閉じられている蓋体9とに区分されている。スリーブ体8と蓋体9とは上記ヒンジ部7aを介して連接されたものとなっており、胴開閉部7が閉じているときに前記スリーブ体8の内空間8aと蓋体9の内空間9aとが連続して、上記中箱3をスライド可能に収納する収納空間10が外箱5の内部に形成され、外箱胴部6が折曲されて胴開閉部7が開くことで、前記収納空間10がその胴開閉部7の位置で開放されるようにしている。即ち、蓋体9を前記ヒンジ部7aを中心にして回動させることで胴開閉部7の開け閉めが行なえる。(図4参照)
【0024】
上記中箱3は蓋体9の内空間9aからスリーブ体8の内空間8aに亘って収納させることのできる引き出し方向での長さを備えているもので、中箱収納時に出し入れ口4と対向する側の側面板9b(蓋体9の最奥面)に取り出し口2側の部分が当接し、取り出し口2側とは反対側の端部が出し入れ口4に位置する長さとされている。(図6)
【0025】
図3に示すように、中箱3において、取り出し口2側にはこの中箱3の長手方向に沿って延設されている延設部11が設けられている。収納空間10内においてはこの延設部11は外箱5の上記側面板9bに向けて延設された状態となっており、外箱5に中箱3を収納しているときに、前記延設部11が、蓋体9の内空間であって前記側面板9bの内面に当接している。
【0026】
上記延設部11は、蓋体9の側面板9bに当接する位置にあるときには、蓋体9の内部に進み出て入り込んでいる状態となっていて、蓋体9の内面に接触して蓋体9の回動を規制して回動しないようにしているとともに、前記蓋体9の側面板9bから中箱3が引き出し方向に移動してこの延設部11が胴開閉部7に対応位置するまでの移動範囲(図8におけるA′であり、延設部突端の移動分)でも、延設部11が蓋体9の内面に接触した状態となっていて、同様に蓋体9の回動を規制している。即ち、蓋体9の側面板9bに当接するときの位置から胴開閉部7に対応位置するまでの延設部11の移動範囲A′に延設部全体が位置したり延設部突端が差し掛かっていると、この延設部11が、蓋体9の回動を規制する作用をなすように設けられている。勿論、中箱3の引き出し方向の移動が続いて延設部11が胴開閉部7から離れるようになれば、蓋体9の内面に対する接触がなくなって蓋体9が回動できるようになる。(図6〜9)
【0027】
また、中箱3には、特定の操作をしない場合には外箱5からその中箱3を引き出せないようにして、幼児が外箱5から中箱3を簡単には引き出せなくすることを目的とした係止手段12が設けられている。前記係止手段12は外箱5の側面板6cと摺接する側面板3aに設けられていて、この側面板3aに引き出し方向が凸となる円弧状のスリットを入れて切り起こされる切り起こし片13からなり、図3(イ)と図5に示されているように引き出し方向に向いた突端13a側が側面板3aの外方に開く開き癖を付与されているものである。開き癖を有して弾性的に外方に向けて起きるようにするには、例えば切り起こし片13の基端部分に折り罫を入れるなどすればよい。
【0028】
上述したように、延設部11の上記移動範囲A′、即ち、延設部11が蓋体9の最奥面(側面板9bの内面)に当接している状態から胴開閉部7に対応位置するまでの移動範囲A′に延設部11の少なくとも一部分が位置するときには、その延設部11は、蓋体の回動を規制して蓋体9を回動させない機能を有するものとなる。そこで、上記切り起こし片13の位置は、前記蓋体回動規制機能が継続する移動範囲A′を延設部11が移動するときの、スリーブ体8の端縁8bに対して相対移動する中箱3の側面板3aの対応範囲A中にある。さらに、延設部11が蓋体9の側面板9bに当接しているときの前記スリーブ体8の端縁8bに対応する位置から、引き出し方向とは反対方向側にして前記位置(端縁8bへの対応位置)の近傍位置までの範囲(後述の範囲B)で、切り起こし片13の突端13aとスリーブ体8の端縁8bとの当接が行なわれるようにしている。尚、移動範囲A′のスライド方向の長さと対応範囲Aのスライド方向の長さとが同一である。
【0029】
このように、この包装容器1において、外箱5の最奥までに中箱3が収納されているときのスリーブ体8の上記端縁8bに対して中箱3の側面板3aが対応する位置からその近傍位置までの範囲を、一旦停止設定の範囲Bとし、この範囲Bでの必要に応じて設定される位置に係止手段12を設けて、この範囲で係止手段12による一旦停止が行なえるようにしている。
【0030】
そして、上記対応範囲A中の一旦停止設定の範囲Bに続く領域にスリーブ体8の端縁8bが相対する状態は、切り起こし片13の突端13aと前記スリーブ体8の端縁8bとの係合関係が解除されて、中箱3が引き出し方向にスライドしているときであって、かつ、上記延設部11が蓋体9の内空間を移動して胴開閉部7に差し掛かっていない状態となる。
このように範囲Bに続いて、係合関係が解除された状態で端縁8bに対して相対移送する範囲を図示において係合解除範囲Cとして示し、この係合解除範囲Cとなる相対移動時では、延設部11が蓋体回動規制機能が継続する範囲にあって胴開閉部7での開きは行なうことができない。よって、この包装容器1にあっては、後述する解除手段14による操作を行なって係合関係を解いた後、更にある程度中箱3を引き出すようにしてから、蓋体9を回動させて胴開閉部7の位置で収納空間10を開くことができるようにしている。
【0031】
上記解除手段14は蓋体9が有していて、上述したように解除手段14は、係止手段12のスリーブ体8に対する係合関係を解除するものであり、この解除手段14の操作で、切り起こし片13の突端13aとスリーブ体8の端縁8bとの当接状態を解いて端縁8bに対して引き出し方向に相対移動させたり、前記突端13aがスリーブ体8の端縁8bに当接させない状態で端縁8bに対して相対移動させることができるようにしている。
【0032】
なお、本実施の形態において、係止手段12は、外箱5の最奥までに中箱3が収納されているときのスリーブ体8の上記端縁8bに対して中箱3の側面板3aが対応する位置に近傍する位置にあり、外箱5の最奥までに中箱3が収納されている状態で上記解除手段14を操作しながら中箱3をスライドさせるようにすれば、係止手段12がスリーブ体8に係止することなく移動できる。
【0033】
蓋体9での上記解除手段14の位置は、スリーブ体8側の端縁8bに係止するときの上記切り起こし片13を中箱3内に向けて押し込めることができる位置に設けられていて、図示の実施の形態では蓋体9の側面板6cにおける切断部7bに達するように側面板6cの長手方向に沿った二条の切り取りミシン目14aとこの切り取りミシン目14aそれぞれの切断部7b側とは反対側の端部に亘って入れられた折り罫14bとで囲まれた領域を解除手段14として形成している。(図1)
【0034】
蓋体9での切断部7bに達するように形成されている解除手段14を指先などで押圧することでこの領域が中箱3側に向けて移動し易くするために、上記切り取りミシン目14aを穿設して両脇の板材の剛性が伝わり難くしているが、必要に応じては切り取りミシン目14aを切断して使用することも可能である。また、紙製の包材から外箱5が作成されていて側面板6cの切断部7bなどの個所を指で押せば簡単に撓む変形をすることから、特に切り取りミシン目や折り罫を入れずに、解除手段14を印刷された指示線で囲まれた領域としてもよい。
【0035】
本発明での包装容器1は、上述したように蓋体9に解除手段14が設けられていて、この解除手段9を押し下げて中箱3を引き出す操作をすれば、係止手段である上記切り起こし片13の突端13aが切断部7bにおけるスリーブ体8側の端縁8bに当接せず、中箱3をそのまま引き出し方向にスライド移動させることができる。そして、このまま引き出し操作をしたときに中箱3が外箱5の出し入れ口4から抜け落ちるような不必要な移動が生じないように抜け防止手段15が設けられている。
【0036】
上記抜け防止手段15は、外箱5の側面板6aでの出し入れ口4側の端縁に連続して外箱5内に折り返されて付勢状態で中箱3の側面に摺接する折り返し片15aと、中箱3の上記延設部11の端部がヒンジ部7aの位置に達したときに前記折り返し片15aに係止するように包材の貼り重ねによって形成された段差部15bとからなるものである。(図2、図3(ロ))そして、中箱3を引き出し操作して前記抜け防止手段15が働いて(折り返し片15aと段差部15bとが係止して)中箱3の移動が規制されたときには、前述のように延設部11の端部がヒンジ部7aの位置にあって胴開閉部7の開きが可能となるようにしている。そのため、抜け防止手段15は胴開閉部7の開きが可能な状態となることを使用者側に知らせる機能を有することになるとともに、開いた胴開閉部7の開放部分で取り出し口2を位置決めして出し入れ口2を見易くする機能を有するものでもある。
【符号の説明】
【0037】
1…包装容器
2…取り出し口
3…中箱
4…出し入れ口
5…外箱
6…外箱胴部
7…胴開閉部
8…スリーブ体
8b…端縁
9…蓋体
11…延設部
12…係止手段
13…切り起こし片
13a…突端
14…解除手段
15…抜け防止手段
A…対応範囲
B…一旦停止設定の範囲
C…係合解除範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に取り出し口を有する中箱と、前記中箱が前記取り出し口側から挿入される出し入れ口を有し、この出し入れ口から中箱がスライドして引き出し可能に収納されている外箱とからなる包装容器において、
前記外箱は、外箱胴部の周方向に並ぶ四側面板の内の一側面板に位置するヒンジ部と残り三側面板に亘って位置する切断部とが連続した胴開閉部を有し、前記胴開閉部の位置を境にして前記出し入れ口側のスリーブ体と前記スリーブ体に前記ヒンジ部を介して連結されている蓋体とに区分され、
前記外箱胴部が、前記切断部の部位が開く方向で前記ヒンジ部を折り中心にした蓋体の回動により折曲して、スリーブ体の内空間と蓋体の内空間とが連続してなる前記外箱の収納空間が胴開閉部の位置で開放可能に設けられており、
前記中箱の前記一端には、外箱の最奥側に向けて延設され、蓋体の最奥側から中箱引き出し時の移動により前記胴開閉部に対応位置するまでの移動範囲で蓋体の回動を規制する延設部が設けられていて、
かつ、前記中箱には、該中箱が前記移動範囲で移動するときの前記切断部に相対する範囲の内、外箱の最奥に延設部が達しているときの切断部に対応する位置からその近傍位置までの範囲でスリーブ体に係止して、引き出し方向にスライド移動する中箱を停止可能とする係止手段を備え、
前記蓋体には、前記係止手段のスリーブ体への係止を解除して中箱の引き出し方向でのスライドを可能にする解除手段が設けられていることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
上記係止手段は、上記切断部でのスリーブ体側の端縁に対応する中箱の側面板に位置し、引き出し方向に向けて開くように切り起こされて外箱内面に摺接する切り起こし片からなり、上記延設部が蓋体の内空間に位置して前記切り起こし片が蓋体の内面に当接している中箱が引き出し方向に移動して切り起こし片が蓋体から上記切断部に達したときに切断部におけるスリーブ体側の端縁に係止する構成とされ、
上記蓋体の解除手段は、スリーブ体側の前記端縁に係止するときの切り起こし片に対応する部分に位置し、スリーブ体側の端縁に相対する切り起こし片を中箱内に向けて押し込んでスリーブ体側の端縁に対して非係止状態とする押し込み操作が可能に設けられているものである請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
上記延設部が上記胴開閉部に対応位置したときの中箱に係止して中箱の引き出し方向の移動を規制する抜け防止手段が設けられている請求項1または2に記載の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−86850(P2012−86850A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232660(P2010−232660)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】