説明

包装用フィルムシート

【課題】テープ等の手段を別途用意することなく、包装用フィルムで容器の開口部を覆った状態で縦横4つの端部にて包装用フィルムを容器に固定する。
【解決手段】包装用フィルム3が連続してなる包装用フィルムシート1であって、包装用フィルム3の連続方向の両側辺に沿う領域に粘着剤が塗布され、粘着剤が塗布された領域の内側に、前記連続方向に直交する方向に延びた分離線5と、前記連続方向に所定の長さだけ延び、その一部にて分離線5の両端部に繋がっている2つの分離線6と、2つの分離線6のぞれぞれの一端から、前記両側辺のうち分離線5とは反対側の側辺まで前記連続方向に直交する方向に延びた2つの分離線7と、2つの分離線6のぞれぞれの他端から、前記両側辺のうち分離線5とは反対側の側辺まで前記連続方向に直交する方向に延びた2つの分離線8とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に収容された物品がこぼれ落ちることを防止するために容器の開口部を覆う包装用フィルムが分離線によって分離可能に連続した包装用フィルムシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、苺や葡萄等の食料品を透明なプラスチック容器に入れて販売することが行われている。このようなプラスチック容器は、開口部を有しており、この開口部から食料品を収容した後、開口部を包装用フィルムでラッピングすることにより、食料品がプラスチック容器からこぼれ落ちないようにして販売される。
【0003】
このような包装用フィルムは、例えば、包装用フィルムがミシン線を介して連続した連続状の包装用フィルムシートを用い、この包装用フィルムシートをミシン線によって1枚ずつの包装用フィルムに分離して使用される。この包装用フィルムシートにおいては、その連続方向両側辺に沿うように貼着部が設けられており、1枚ずつの包装用フィルムに分離された後、この貼着部によってプラスチック容器に貼着される(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図8は、従来の包装用フィルムでラッピングされたプラスチック容器を示す斜視図である。
【0005】
従来の包装用フィルムは、上述したように、連続状となった包装用フィルムシートの連続方向両側辺に沿うように貼着部が設けられているため、図8に示すように、食料品12が収容されたプラスチック容器11の開口部を覆うようにかけられ、貼着部204によってその側部がプラスチック容器11に貼着されて使用される。また、包装用フィルム203の貼着部204が設けられていない天地部分については、テープ210によってプラスチック容器11に固定され、それにより、食料品12がプラスチック容器11からこぼれ落ちないような状態とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−58743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したように包装用フィルムの貼着部が設けられていない天地部分をプラスチック容器に固定するためにテープを用いる場合、プラスチック容器をラッピングするために包装用フィルムの他にテープを別途用意する必要があり、プラスチック容器をラッピングする作業が煩雑になってしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、包装用フィルムが連続してなる包装用フィルムシートにおいて、テープ等の手段を別途用意することなく、包装用フィルムで容器の開口部を覆った状態で縦横4つの端部にて包装用フィルムを容器に固定することができる包装用フィルムシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
容器の開口部を覆った状態で縦横4つの端部にて前記容器に固定される包装用フィルムが分離線によって分離可能に連続してなる包装用フィルムシートであって、
前記包装用フィルムが連続する連続方向両側辺に沿う領域に粘着剤が塗布され、
前記分離線は、
前記粘着剤が塗布された領域の内側に、前記連続方向に直交する方向に延びた第1の分離線と、
前記連続方向に所定の長さだけ延び、その一部にて前記第1の分離線の両端部に繋がっている2つの第2の分離線と、
前記2つの第2の分離線のぞれぞれの一端から、前記包装用フィルムシートの前記連続方向両側辺のうち前記第1の分離線とは反対側の側辺まで前記連続方向に直交する方向に延びた2つの第3の分離線と、
前記2つの第2の分離線のぞれぞれの他端から、前記包装用フィルムシートの前記連続方向両側辺のうち前記第1の分離線とは反対側の側辺まで前記連続方向に直交する方向に延びた2つの第4の分離線とからなる。
【0010】
上記のように構成された本発明においては、包装用フィルムシートを分離線によって分離しようとすると、まず、包装用フィルムシートは、包装用フィルムシートの包装用フィルムが連続する連続方向両側辺から第3または第4の分離線によって分離しはじめ、次に、これら第3及び第4の分離線に繋がる第2の分離線によって分離し、その後、第2の分離線に繋がる第1の分離線によって分離し、それにより、1枚毎の包装用フィルムに分離されることになる。ここで、この状態においては、包装用フィルムシートの連続方向両側辺から延びている第3の分離線と第4の分離線のいずれか一方が分離していないため、包装用フィルムシートをこの第3の分離線と第4の分離線のうち分離していない分離線と、この分離線に繋がる第2の分離線とによって分離すると、第2の分離線と第3の分離線と第4の分離線と包装用フィルムシートの側辺とで囲まれた領域が包装用フィルムシートから分離することになる。包装用フィルムシートから分離した包装用フィルムは、まず、容器の開口部を覆った状態で、包装用フィルムシートの連続方向両側辺に沿う領域に塗布された粘着剤によって横方向における2つの端部が容器に貼着、固定される。そして、包装用フィルムシートから分離した、第2の分離線と第3の分離線と第4の分離線と包装用フィルムシートの側辺とで囲まれた領域には粘着剤が塗布されているため、この領域をテープとして用いて包装用フィルムの縦方向の2つの端部が容器に貼着、固定される。
【0011】
このように、包装用フィルムが分離線によって分離可能に連続してなる包装用フィルムシートにおいて、その両側辺に沿う領域に粘着剤を塗布しておくことにより、包装用フィルムの横方向における2つの端部が容器に貼着、固定され、また、包装用フィルムシートの第2の分離線と第3の分離線と第4の分離線と包装用フィルムシートの側辺とで囲まれた領域によって、包装用フィルムの縦方向における2つの端部が容器に貼着、固定されることになり、テープ等の手段を別途用意することなく、包装用フィルムで容器の開口部を覆った状態で縦横4つの端部にて包装用フィルムを容器に固定することができる。
【0012】
また、包装用フィルムシートの包装用フィルムが連続する連続方向両側辺に沿う領域のうち、第3の分離線が設けられた領域に粘着剤が塗布されていない構成とすれば、第4の分離線よりも第3の分離線の方が分離しやすくなり、それにより、第1の分離線が分離する際に分離する分離線が、包装用フィルムシートの両側辺とも第3の分離線となり、包装用フィルムシートを包装用フィルム毎に分離した際に、包装用フィルムシートの第2の分離線と第3の分離線と第4の分離線と包装用フィルムシートの側辺とで囲まれた領域が、どの包装用フィルムに用いるものなのかがわかりにくくなってしまうことがなくなる。例えば、巻き取り状態となった包装用フィルムシートを引き出して包装用フィルム毎に分離する場合、引き出し方向手前側を第3の分離線とすれば、包装用フィルムシートを包装用フィルム毎に分離すると、まず、包装用フィルムのみが分離し、その後、包装用フィルムシートに残っている、包装用フィルムシートの第2の分離線と第3の分離線と第4の分離線と包装用フィルムシートの側辺とで囲まれた領域を分離することで、包装用フィルムと、その包装用フィルムにテープの代わりに用いる部分とが包装用フィルムシートから分離されることになる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明においては、包装用フィルムが分離線によって分離可能に連続してなる包装用フィルムシートにおいて、その両側辺に沿う領域に粘着剤を塗布しておくことにより、包装用フィルムの横方向における2つの端部が容器に貼着、固定され、また、包装用フィルムシートの第2の分離線と第3の分離線と第4の分離線と包装用フィルムシートの側辺とで囲まれた領域によって、包装用フィルムの縦方向における2つの端部が容器に貼着、固定されることになるので、テープ等の手段を別途用意することなく、包装用フィルムで容器の開口部を覆った状態で縦横4つの端部にて包装用フィルムを容器に固定することができる。
【0014】
また、包装用フィルムシートの包装用フィルムが連続する連続方向両側辺に沿う領域のうち、第3の分離線が設けられた領域に粘着剤が塗布されていないものにおいては、第4の分離線よりも第3の分離線の方が分離しやすくなり、それにより、第1の分離線が分離する際に分離する分離線が、包装用フィルムシートの両側辺とも第3の分離線となり、包装用フィルムシートを包装用フィルム毎に分離した際に、包装用フィルムシートの第2の分離線と第3の分離線と第4の分離線と包装用フィルムシートの側辺とで囲まれた領域が、どの包装用フィルムに用いるものなのかがわかりにくくなってしまうことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の包装用フィルムシートの実施の一形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示した第1の分離線の詳細な構成を示す図、(c)は(a)に示したA部拡大図である。
【図2】図1に示した包装用フィルムシートが1枚ずつの包装用フィルムに分離していく状態を示す図である。
【図3】図1に示した包装用フィルムシートが分離線によって分離する際の作用を説明するための図である。
【図4】図1及び図2に示した包装用フィルムが貼着されるプラスチック容器を示す外観斜視図である。
【図5】図4に示したプラスチック容器の開口部を図1及び図2に示した包装用フィルムで覆う場合の覆い方を説明するための図である。
【図6】本発明の包装用フィルムシートの他の実施の形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示したA部拡大図である。
【図7】図6に示した包装用フィルムシートが1枚ずつの包装用フィルムに分離していく状態を示す図である。
【図8】従来の包装用フィルムでラッピングされたプラスチック容器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の包装用フィルムシートの実施の一形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示した分離線5の詳細な構成を示す図、(c)は(a)に示したA部拡大図である。
【0018】
本形態は図1(a)に示すように、透明な材料からなる複数の単片状の包装用フィルム3が複数の分離線5〜8によって分離可能に連続状となって芯材2にロール状に巻き取られ、芯材2に巻き取られた状態から引き出されてこれら分離線5〜8によって1枚ずつの包装用フィルム3に分離される包装用フィルムシート1である。また、包装用フィルムシート1の芯材2への巻き取り状態内側となる面には、包装用フィルム3が連続する連続方向両側辺に沿う領域において分離線7が設けられた領域を除いて粘着剤が塗布され、それにより、包装用フィルム3が連続する連続方向両側辺に沿った領域のうち分離線7が設けられていない領域が貼着部4となっている。この貼着部4を構成するための粘着剤は、包装用フィルムシート1の芯材2への巻き取り状態内側となる面に表出しているが、包装用フィルムシート1が芯材2に巻き取られた状態においては、この粘着剤には芯材2への巻き取り状態内側にて包装用フィルムシート1が対向して貼着されているため、粘着剤が乾燥することがなく、かつ、包装用フィルムシート1を芯材2への巻き取り状態から引き出すことができる。また、包装用フィルムシート1の芯材2への巻き取り状態外側となる面において、包装用フィルム3が連続する連続方向両側辺に沿って剥離剤を塗工することにより、包装用フィルムシート1を芯材2への巻き取り状態から容易に引き出すことができるようにすることも考えられる。
【0019】
分離線5は、本願発明における第1の分離線となるものであって、図1(a),(b)に示すように、貼着部4の内側に、包装用フィルム3が連続する連続方向に直交する方向にカット部5aとタイ部5bとが交互に連続して延びて形成されたミシン目であり、カット部5aが直線状の両端部にて丸みを帯びて構成され、両端部の先端が包装用フィルムシート1の引き出し方向とは反対側に向いている。
【0020】
分離線6は、本願発明における第2の分離線となるものであって、図1(a),(c)に示すように、分離線5の両端部にそれぞれ配置され、包装用フィルム3が連続する連続方向に直線状に並んだ2つのスリット6a,6bからなる。この2つのスリット6a,6bはそれぞれ包装用フィルム3が連続する連続方向に貼着部4に沿って延びており、スリット6aは、その一端が、分離線5の両端部からの延長線上において分離線5に向かうように丸みを帯びて折り曲がり、分離線5と繋がるような形状となっている。そして、この丸みを帯びた角部から包装用フィルムシート1の引き出し方向手前側に所定の長さだけ延び、さらに丸みを帯びて包装用フィルムシート1の両側辺のうち分離線5とは反対方向に向かって折り曲がっている。スリット6bは、その一端が、スリット6aの丸みを帯びた角部に隙間を介して配置されており、その端部から包装用フィルムシート1の巻き取り方向側に所定の長さだけ延び、包装用フィルムシート1の両側辺のうち分離線5とは反対方向に向かって丸みを帯びて折り曲がっている。
【0021】
分離線7は、本願発明における第3の分離線となるものであって、図1(a),(c)に示すように、カット部とタイ部とが交互に連続して延びて形成され、カット部の形状が分離線5と同様のものとなっている。そして、スリット6aの丸みを帯びて折り曲がった部分に繋がるようにその一端が配置され、その一端から、包装用フィルムシート1の両側辺のうち分離線5とは反対側の側辺まで、包装用フィルム3が連続する連続方向に直交する方向に延びて配置されている。
【0022】
分離線8は、本願発明における第4の分離線となるものであって、図1(a),(c)に示すように、カット部とタイ部とが交互に連続して延びたマイクロミシンであり、スリット6bの丸みを帯びて折り曲がった部分に繋がるようにその一端が配置され、その一端から、包装用フィルムシート1の両側辺のうち分離線5とは反対側の側辺まで、包装用フィルム3が連続する連続方向に直交する方向に延びて配置されている。
【0023】
そして、分離線6〜8によって囲まれた領域が、テープ部9となっている。
【0024】
上記のように構成された包装用フィルムシート1は、上述したように分離線5,7が、そのカット部が直線状の両端部にて丸みを帯び、両端部の先端が包装用フィルムシート1の引き出し方向とは反対側に向いており、このような形状の刃型を包装用フィルムシート1に押し当てて形成することになるが、分離線5,7が設けられる領域には、粘着剤が塗布されていないため、刃型に粘着剤が付着してしまうことがない。
【0025】
以下に、上述した包装用フィルムシート1を1枚ずつの包装用フィルム3に分離する際の作用について説明する。
【0026】
図2は、図1に示した包装用フィルムシート1が1枚ずつの包装用フィルム3に分離していく状態を示す図である。
【0027】
図1に示した包装用フィルムシート1を1枚ずつの包装用フィルム3に分離する場合、芯材2に巻き取られた包装用フィルムシート1を引き出し、芯材2を固定した状態で包装用フィルムシート1を引き出し方向に引っ張ると、まず、破断力が包装用フィルムシート1のうち包装用フィルム3が連続する連続方向両端辺に加わって分離線7が破断していく。この際、包装用フィルムシート1のうち包装用フィルム3が連続する連続方向両端辺には、分離線7の他に分離線8が設けられているが、上述したように分離線7が設けられた領域には粘着剤が塗布されていない一方、分離線8が設けられた領域には粘着剤が塗布されているため、この粘着剤によって分離線8が破断しにくくなっており、それにより、分離線8が破断せずに分離線7が破断していく。また、分離線7は、上述したように図1(b)に示した分離線5と同様の構成となっていることにより、破断領域が分離線8から外れてしまうことが回避される。その作用については、分離線5が分離する際の作用と同一であり、後述する。
【0028】
分離線7が完全に破断すると、この分離線7には、スリット6aが繋がったような状態となっているため、図2(a)に示すように、このスリット6aによってその破断部分が分離線5の両端部に達する。ここで、分離線7が完全に破断した後、包装用フィルムシート1にかかる破断力は、分離線7の端部から包装用フィルムシート1の引き出し方向手前側に向かおうとする。ところが、分離線7の端部に繋がるように配置されたスリット6aの端部が、丸みを帯びて包装用フィルムシート1の巻き取り方向側に曲がっているため、包装用フィルムシート1が分離線7の端部から包装用フィルムシート1の引き出し方向手前側に破断することなく、スリット6aに沿って分離していく。
【0029】
そして、包装用フィルムシート1を引き出し方向手前側にさらに引っ張ると、スリット6aの分離線7とは反対側の端部が分離線5に向かうように丸みを帯びて曲がって分離線5と繋がるようになっているため、図2(b)に示すように、包装用フィルムシート1の破断部分が分離線5の端部に導かれ、分離線5が破断していく。
【0030】
ここで、図1に示した包装用フィルムシート1が分離線5によって分離する際の作用について説明する。
【0031】
図3は、図1に示した包装用フィルムシート1が分離線5によって分離する際の作用を説明するための図である。
【0032】
包装用フィルムシート1の破断部分が分離線5の両端部に達し、その状態で包装用フィルムシート1を引き出し方向手前側にさらに引っ張ると、図3(a)に示すように、分離線5のタイ部5bにおいては、分離線5のカット部5aの端部から図3(a)中矢印A方向に分離する力が働く。そのため、タイ部5bにおいては、カット部5aの両端部から包装用フィルムシート1の引き出し方向手前側に裂けていこうとする。
【0033】
ところが、カット部5aの両端部が包装用フィルムシート1の引き出し方向とは反対側に向いているため、タイ部5bにおいては、カット部5aの両端部から包装用フィルムシート1の引き出し方向手前側に裂けようとする力が働きにくくなり、それにより、図3(b)に示すように、タイ部5bの切断部分5cが包装用フィルムシート1の引き出し方向手前側に向かいにくくなる。
【0034】
そして、図3(c)に示すように、タイ部5bが包装用フィルムシート1の引き出し方向手前側に大きく裂けてしまう前に切断部分5cが隣接するカット部5aに達し、図3(d)に示すように、包装用フィルムシート1が1枚ずつの包装用フィルム3に分離することになる。
【0035】
1枚ずつに分離した包装用フィルム3は、包装用フィルム3が連続する連続方向両側辺においては、上述したようにして分離線7,8のうち分離線7が破断することになるため、図2(c)に示すように、包装用フィルム3の巻き取り方向側においては、一部が切り欠かれた形状となっており、また、後述するが、包装用フィルム3の引き出し方向手前側においても同様の形状となっている。それにより、包装用フィルム3は、包装用フィルムシート1として連続していた方向について、2つの貼着部4の内側の領域が、包装用フィルムシート1の引き出し方向手前側及び巻き取り方向側にそれぞれ突出したフラップ部3bが形成され、また、それとは直交する方向については、包装用フィルム3の連続方向両側辺に向かって貼着部4の幅だけ突出したフラップ部3aが形成された略十字の形状となっている。
【0036】
このように包装用フィルムシート1を分離線5,7及びスリット6aによって破断して1枚分の包装用フィルム3を分離すると、分離した包装用フィルム3の包装用フィルムシート1の巻き取り方向側には、分離線8とスリット6bによって囲まれた領域によって構成されるテープ部9が突出した状態となる。そして、図2(d)に示すように、このテープ部9を、分離線8を破断することによって包装用フィルムシート1から分離する。分離線8を包装用フィルム3の包装用フィルムシート1における連続方向の両側辺から破断していくと、分離線8の他端側は丸みを帯びてスリット6bが延びる方向に曲がっており、また、分離線8をスリット6b側から破断すると、分離線8は、スリット6bが延びる方向から丸みを帯びて曲がっているので、いずれの場合においても、分離線8とスリット6bとの間にて包装用フィルムシート1がこれらに沿わない方向に避けてしまうことが回避される。このようにしてテープ部9が包装用フィルムシート1から分離することによって、包装用フィルムシート1から次に分離する包装用フィルム3の引き出し方向手前側の一部が切り欠かれた状態となる。また、上述したように分離線7が設けられた領域に粘着剤を塗布しておかないことにより、包装用フィルム3を分離する際に分離線8が破断せずに分離線7が破断するため、包装用フィルム3が分離した際に、分離した包装用フィルム3の包装用フィルムシート1の巻き取り方向側にテープ部9が突出した状態となり、このテープ部9を用いて包装用フィルム3を容器に固定することがわかる。
【0037】
このように包装用フィルムシート1から分離した包装用フィルム3は、包装用フィルムシート1から分離したテープ部9を用いて容器の開口部を覆った状態で容器に固定される。
【0038】
以下に、上記のようにして包装用フィルムシート1から分離された包装用フィルム3の使用方法について説明する。
【0039】
図4は、図1及び図2に示した包装用フィルム3が貼着されるプラスチック容器を示す外観斜視図である。
【0040】
図1及び図2に示した包装用フィルム3は、図4に示すようなプラスチック容器11に貼着される。このプラスチック容器11は、図4に示すように、長方形の角部に丸みを帯びた開口部13を有し、この開口部13の外側に一定の幅のつば部15を有している。そして、開口部13から食料品12が収容されるものである。このままでは、収容された食料品12が開口部13からこぼれ落ちてしまうため、図1及び図2に示した包装用フィルム3で開口部13を覆う必要がある。
【0041】
図5は、図4に示したプラスチック容器11の開口部13を図1及び図2に示した包装用フィルム3で覆う場合の覆い方を説明するための図である。
【0042】
図4に示したプラスチック容器11の開口部13を図1及び図2に示した包装用フィルム3で覆う場合は、まず、図5(a)に示すように、プラスチック容器11の開口部13上に包装用フィルム3を重ね合わせる。この際、包装用フィルム3のフラップ部3a,3bを除いた部分の大きさをプラスチック容器11の開口部13と同じものとすることにより、包装用フィルム3のフラップ部3a,3bのみがプラスチック容器11の開口部13とつば部15から飛び出した状態となる。
【0043】
次に、図5(b)に示すように、包装用フィルム3のフラップ部3aを、プラスチック容器11を包み込むように折り曲げ、貼着部4をプラスチック容器11の側面に貼着し、それにより、包装用フィルム3の横方向の端部をそれぞれプラスチック容器11に固定する。
【0044】
その後、図5(c)に示すように、包装用フィルムシート1から分離したテープ部9の半分を包装用フィルム3のフラップ部3bに貼り付け、このフラップ部3bを、プラスチック容器11を包み込むように折り曲げ、テープ部9の半分をプラスチック容器11の側面に貼着することによって、包装用フィルム3の縦方向の端部をそれぞれプラスチック容器11に固定する。
【0045】
このように、包装用フィルム3が連続してなる包装用フィルムシート1において包装用フィルム3が連続する連続方向両側辺に沿う領域に粘着剤を塗布しておくことにより、包装用フィルムシート1から分離した包装用フィルム3によってプラスチック容器11の開口部13を覆った後、この粘着剤によって包装用フィルム3の横方向における2つの端部をプラスチック容器11に貼着、固定することができ、また、包装用フィルムシート1の分離線6〜8と包装用フィルムシート1の側辺とで囲まれたテープ部9を包装用フィルムシート1から分離し、このテープ部9によって、包装用フィルム3の縦方向における2つの端部をプラスチックが容器11に貼着、固定することができ、テープ等の手段を別途用意することなく、包装用フィルム3によってプラスチック容器11の開口部13を覆った状態で縦横4つの端部にて包装用フィルム3をプラスチック容器11に固定することができる。
【0046】
また、上述したように、包装用フィルム3のフラップ部3a,3bを除いた部分の大きさをプラスチック容器11の開口部13と同じものとすることにより、開口部13の全体を覆いながらも、包装用フィルム3をプラスチック容器11の側面にて折り曲げた場合に包装用フィルム3の端部がプラスチック容器11の側面から突出してしまうことがなくなる。
【0047】
(他の実施の形態)
図6は、本発明の包装用フィルムシートの他の実施の形態を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示したA部拡大図である。
【0048】
本形態は図6に示すように、第1の実施の形態に示したものに対して、分離線106が1つのスリットからなり、それにより、分離線108の位置が異なるものである。本形態における分離線106は、第1の実施の形態に示した2つのスリット6a,6bのうち引き出し方向手前側のスリット6aのみから構成されており、それにより、分離線108は、分離線5の延長線上に配置されている。
【0049】
上記のように構成された包装用フィルムシート101においても、第1の実施の形態に示したものと同様に、1枚ずつの包装用フィルム103に分離されて使用されることになる。
【0050】
図7は、図6に示した包装用フィルムシート101が1枚ずつの包装用フィルム103に分離していく状態を示す図である。
【0051】
図6に示した包装用フィルムシート101を1枚ずつの包装用フィルム103に分離する場合、芯材2に巻き取られた包装用フィルムシート101を引き出し、芯材2を固定した状態で包装用フィルムシート101を引き出し方向に引っ張ると、まず、破断力が包装用フィルムシート101のうち包装用フィルム103が連続する連続方向両端辺に加わって分離線7が破断していく。
【0052】
分離線7が完全に破断すると、この分離線7には、分離線106が繋がったような状態となっているため、図7(a)に示すように、この分離線106によってその破断部分が分離線5の両端部に達する。ここで、分離線7が完全に破断した後、包装用フィルムシート101にかかる破断力は、分離線7の端部から包装用フィルムシート101の引き出し方向手前側に向かおうとする。ところが、分離線7の端部に繋がるように配置された分離線106の端部が、丸みを帯びて包装用フィルムシート101の巻き取り方向側に曲がっているため、包装用フィルムシート101が分離線7の端部から包装用フィルムシート101の引き出し方向手前側に破断することなく、分離線106に沿って分離していく。
【0053】
そして、包装用フィルムシート101を引き出し方向手前側にさらに引っ張ると、分離線106の分離線7とは反対側の端部が分離線5に向かうように丸みを帯びて曲がって分離線5と繋がるようになっているため、図7(b)に示すように、包装用フィルムシート101の破断部分が分離線5の端部に導かれ、分離線5が破断していく。
【0054】
分離線5が分離することによって1枚ずつに分離した包装用フィルム103は、包装用フィルム103が連続する連続方向両側辺においては、上述したようにして分離線7,108のうち分離線7が破断することになるため、図7(c)に示すように、包装用フィルム103の巻き取り方向側においては、一部が切り欠かれた形状となっている。それにより、包装用フィルム103は、包装用フィルムシート101として連続していた方向について、2つの貼着部4の内側の領域が、包装用フィルムシート101の巻き取り方向側に突出したフラップ部3bが形成され、また、それとは直交する方向については、包装用フィルム103の連続方向両側辺に向かって貼着部4の幅だけ突出したフラップ部3aが形成された略凸字の形状となっている。
【0055】
このように包装用フィルムシート101を分離線5,7,106によって破断して1枚分の包装用フィルム103を分離すると、分離した包装用フィルム103の包装用フィルムシート101の巻き取り方向側には、分離線108を介して包装用フィルムシート101から突出したテープ部109が存在する。そして、図7(d)に示すように、このテープ部109を、分離線108を破断することによって包装用フィルムシート101から分離する。
【0056】
このように包装用フィルムシート101から分離した包装用フィルム103は、第1の実施の形態にて示したものと同様に、包装用フィルムシート101から分離したテープ部109を用いて容器の開口部を覆った状態で容器に固定される。
【0057】
なお、本形態においては、第2の分離線を、分離線5の両端部から包装用フィルムシート101の引き出し方向手前側に延びたものとしたが、分離線5の両端部から包装用フィルムシート101の巻き取り側に延びたものであってもよい。
【0058】
また、上述した実施の形態にて示した包装用フィルムシート1,101において包装用フィルム3,103を分離可能とする分離線5〜8,106,108としては、上述したようなミシン目やスリット、マイクロミシンに限らず、カット部とタイ部とがただ単に交互に配列したものであってもよく、これらの分離線5〜8,106,108を一種類のもので構成してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1,101 包装用フィルムシート
2 芯材
3,103 包装用フィルム
3a,3b フラップ部
4 貼着部
5〜8,106,108 分離線
5a カット部
5b タイ部
5c 分離部分
6a,6b スリット
9,109 テープ部
11 プラスチック容器
12 食料品
13 開口部
15 つば部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開口部を覆った状態で縦横4つの端部にて前記容器に固定される包装用フィルムが分離線によって分離可能に連続してなる包装用フィルムシートであって、
前記包装用フィルムが連続する連続方向両側辺に沿う領域に粘着剤が塗布され、
前記分離線は、
前記粘着剤が塗布された領域の内側に、前記連続方向に直交する方向に延びた第1の分離線と、
前記連続方向に所定の長さだけ延び、その一部にて前記第1の分離線の両端部に繋がっている2つの第2の分離線と、
前記2つの第2の分離線のぞれぞれの一端から、前記包装用フィルムシートの前記連続方向両側辺のうち前記第1の分離線とは反対側の側辺まで前記連続方向に直交する方向に延びた2つの第3の分離線と、
前記2つの第2の分離線のぞれぞれの他端から、前記包装用フィルムシートの前記連続方向両側辺のうち前記第1の分離線とは反対側の側辺まで前記連続方向に直交する方向に延びた2つの第4の分離線とからなる包装用フィルムシート。
【請求項2】
請求項1に記載の包装用フィルムシートにおいて、
前記連続方向両側辺に沿う領域のうち、前記第3の分離線が設けられた領域には前記粘着剤が塗布されていない包装用フィルムシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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