説明

化合物

【課題】溶媒への溶解性が高い化合物を提供する。
【解決手段】式(0)で表される化合物。


〔式(0)中、Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-20飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、又は置換基を有していてもよいC6-20アリール基を表す。ただし、R及びRの置換基における、炭素数の合計が6以上16以下である。Zは、酸素原子又は硫黄原子を表す。Xは、カルボキシ基又はスルホ基を表す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染料として有用な化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からアゾ化合物などの色素は、様々な分野(例えば、繊維材料、液晶表示装置など)で反射光又は透過光を利用して色表示するために使用されてきており、例えば、特許文献1には、式(d−1)で表される化合物が開示されている。
【0003】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−194958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の式(d−1)で表される化合物は、溶媒への溶解性が十分ではない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者らは、化合物の溶媒への溶解性を更に改良すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、以下の発明である。
[1]式(0)で表される化合物。

〔式(0)中、Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-20飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、又は置換基を有していてもよいC6-20アリール基を表す。ただし、R及びRの置換基における、炭素数の合計が6以上16以下である。
Zは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
Xは、カルボキシ基又はスルホ基を表す。〕
[2]式(0)で表される化合物が、式(I)で表される化合物である[1]記載の化合物。

〔式(I)中、Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-20飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、又は置換基を有していてもよいC6-20アリール基を表す。ただし、R及びRの置換基における、炭素数の合計が6以上16以下である。
Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。〕
【0008】
[3]Aがフェニレン基であり、該フェニレン基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基又はスルホ基で置換されていてもよい[1]又は[2]記載の化合物。
【0009】
[4]R及びRのいずれか一方の基が、置換基を有していてもよいC6-20アリール基である[1]〜[3]のいずれか記載の化合物。
【0010】
[5]式(I)で表される化合物が、式(II)で表される化合物である[1]〜[4]のいずれか記載の化合物。

〔式(II)中、R、R及びZは上記と同じ意味を表す。
は、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基又はスルホ基を表す。
mは、1又は2の整数を表す。mが2であるとき、複数のRは、同じ種類の基であっても異なる種類の基であってもよい。〕
【発明の効果】
【0011】
本発明の化合物は、溶媒への溶解性が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の化合物は、式(0)で表される化合物(以下「化合物(0)」という場合がある)である。なお本明細書中、Ca-bとは、炭素数がa以上、b以下であることを意味する。

〔式(0)中、Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-20飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、又は置換基を有していてもよいC6-20アリール基を表す。ただし、R及びRの置換基における、炭素数の合計が6以上16以下である。
Zは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
Xは、カルボキシ基又はスルホ基を表す。〕
【0013】
また、本発明の化合物は、式(I)で表される化合物(以下「化合物(I)」という場合がある)である。

〔式(I)中、A、R、R及びZは、前記と同じ意味を表す。〕
【0014】
Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基及びナフタレンジイル基等が挙げられる。2価の芳香族炭化水素基が有する置換基としては、ハロゲン原子、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基及びスルホ基等が挙げられ、中でも、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基又はスルホ基であることが好ましい。置換基の数は、0〜2であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。
また、溶解性の点から、カルボキシ基を化合物のアゾ基に対してo−位に有することが好ましい。
【0015】
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-20飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、又は置換基を有していてもよいC6-20アリール基を表す。ただし、R及びRの置換基における、炭素数の合計が6以上16以下である。
1-20飽和脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれでもよい。C1-20飽和脂肪族炭化水素基の炭素数には置換基の炭素数を全て含み、その数は、3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
1-20飽和脂肪族炭化水素基としては、例えばn−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、メチルヘキシル基(1,5−ジメチルヘキシル基など)、エチルヘキシル基(2−エチルヘキシル基など)、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基(2,2−ジメチルシクロヘキシル基など)及びシクロヘキシルアルキル基などが挙げられる。
1-20飽和脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、C1-8アルコキシ基又はカルボキシ基で置換されていてもよい。C1-8アルコキシ基で置換されたC1-20飽和脂肪族炭化水素基としては、アルコキシプロピル基(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、3−イソプロポキシプロピル基、3−(2’−エチルヘキシルオキシ)プロピル基など)などが挙げられる。カルボキシ基で置換されたC1-20飽和脂肪族炭化水素基としては、8−カルボキシオクチル基などが挙げられる。
1-20飽和脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−は、−O−で置き換っていてもよい。−CH−が−O−で置き換ったC1-20飽和脂肪族炭化水素基としては、−(CH−O−(CH−H(a及びbは、それぞれ独立に、1〜19の整数を表す。)で表される基が挙げられ、a及びbは、それぞれ独立に、1〜10であることが好ましい。
【0016】
アラルキル基のアルキレン部分は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれでもよい。アラルキル基の炭素数は、7〜20であり、7〜10であることが好ましい。このアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルブチル基(3−アミノ−1−フェニルブチル基など)などのフェニルアルキル基が挙げられる。
【0017】
アリール基は、無置換であってもよく、脂肪族炭化水素基、アルコキシ基又はカルボキシ基などの置換基を有していてもよい。前記アリール基の炭素数は、置換基の炭素数を含めて数えられ、6〜20であり、6〜10であることが好ましい。これらアリール基としては、例えばフェニル基、アルキルフェニル基(4−メチルフェニル基)、アルケニルフェニル基(4−ビニルフェニル基)、アルコキシフェニル基(4−メトキシフェニル基)、カルボキシフェニル基(2−カルボキシフェニル基など)、アルコキシカルボニルフェニル基(4−メトキシカルボニルフェニル基など)及びトリフルオロメチルフェニル基(4−トリフルオロメチルフェニル基など)などの無置換又は置換フェニル基などが挙げられる。
及びRに嵩高い基を選択することで、化合物の溶媒への溶解性を高めることができる。嵩高いRとしては、2−エチルヘキシル基などの分枝鎖状飽和脂肪族炭化水素基(特に3級飽和脂肪族炭化水素基)などが挙げられる。
溶解性向上の観点から、R及びRのいずれか一方の基が、置換基を有していてもよいC6-20アリール基であることが好ましい。
化合物(0)には、その互変異性体も含まれる。つまりエノール型及びケト型を含む。
化合物(0)は任意の位置で2量体以上の多量体を形成していてもよい。
【0018】

化合物(0)としては、式(I)で表される化合物(以下「化合物(I)」という場合がある)及び式(Is)で表される化合物(以下「化合物(Is)」という場合がある)が挙げられる。化合物(0)としては、化合物(I)であることが好ましい。


〔式(I)及び式(Is)中、A、R、R及びZは上記と同じ意味を表す。〕
【0019】
化合物(I)は、式(II)で表される化合物であることが好ましい。

〔式(II)中、R、R及びZは上記と同じ意味を表す。
は、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基又はスルホ基を表す。
mは、1又は2の整数を表す。mが2であるとき、複数のRは、同じ種類の基であっても異なる種類の基であってもよい。〕
【0020】
化合物(I)としては、式(I−1)〜式(I−12)で表される化合物が挙げられる。
【0021】

【0022】
【表1】

【0023】

【0024】
【表2】

【0025】

【0026】
【表3】

【0027】

【0028】
【表4】

【0029】

【0030】
【表5】

【0031】

【0032】
【表6】

【0033】
化合物(Is)としては、式(I−17)〜式(I−19)で表される化合物が挙げられる。表中の*は、窒素原子との結合手を表す。
【0034】

【0035】
【表7】

【0036】
化合物(I)の塩としては、カルボン酸塩が挙げられる。またこれら塩を形成するカチオンは特に限定されないが、溶媒に対する溶解性を考慮すると、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;アンモニウム塩;及びエタノールアミン塩、アルキルアミン塩のような有機アミン塩;コバルト塩、ニッケル塩、クロム塩、銅塩、亜鉛塩のような重金属塩;などが好ましい。特にアルカリ金属塩(好ましくはナトリウム塩)は、偏光膜基材に含有させる場合に有用である。また有機アミン塩は、樹脂硬化性化合物に含有させる場合に有用であり、さらには非金属塩であるため、絶縁性が重要視される分野でも有用である。
化合物(I)の塩としては、たとえば下記式で表される塩が挙げられる。
【0037】

【0038】

〔M+は、それぞれ独立に、無機又は有機カチオンを表す。
、R、R、m、A及びZは、上記と同じ意味を表す。
R’はRと、R’はRと、R’はRと、m’はmと、Z’はZと、それぞれ同じ意味を表す。〕
【0039】
無機カチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオン等が挙げられ、有機カチオンとしては、トリエチルアンモニウムイオン及びN,N−ジドデシルフェニルアンモニウムイオンなどが挙げられ、ナトリウムイオン又はN,N−ジドデシルフェニルアンモニウムイオンであることが好ましい。
【0040】
化合物(I)は、例えば、式(b)で表される化合物と式(c)で表される化合物とをカップリング反応させることにより製造できる。
式(b)で表される化合物は、式(a)で表される化合物を、亜硝酸、亜硝酸塩又は亜硝酸エステルによりジアゾ化することによって得られる。式(c)で表される化合物は、公知の製造法を用いて製造することができる。
また、化合物(Is)は、式(a)で表される化合物に代えて、HOS−A−NHを原料として用いることにより、化合物(I)と同じ製造方法で得ることができる。
【0041】

【0042】
(式(a)〜式(c)中、A、R、R及びZは上記と同じ意味を表す。Xは、無機又は有機アニオンを表す。)
【0043】
無機アニオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸イオン及び次亜塩素酸イオン等が挙げられ、有機アニオンとしては、CH−COO及びPh−COOなどが挙げられる。なかでも、塩化物イオン、臭化物イオン又はCH−COOであることが好ましい。
【0044】
式(b)で表される化合物と、式(c)で表される化合物とのカップリング反応は、水性溶媒中で20〜60℃で行うことが好ましい。前記水性溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0045】
反応混合物から目的化合物である化合物(0)を取得する方法は特に限定されず、公知の種々の手法(酸析又は塩析など)が採用できる。濾取した結晶は、通常、水などで洗浄され、次いで乾燥される。また必要に応じて、再結晶などの公知の手法によってさらに精製してもよい。
【0046】
化合物(0)は、溶媒への高い溶解性を示す。なお化合物(0)が高い溶解性を示す溶媒には、例えば、ヒドロキシカルボン酸エステル類(乳酸エチルなど)、ヒドロキシケトン類(ジアセトンアルコールなど)及びエーテル類(プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)などの揮発性が低い溶媒が挙げられる。
【0047】
化合物(0)は、溶媒への高い溶解性、及び高い分光濃度を示すので、反射光又は透過光を利用して色表示する、繊維材料、液晶表示装置などに染料として用いることができる。また、化合物(0)は、吸収スペクトルを測定したときに、400〜450nmの波長域に極大吸収をもつので、黄色染料として用いることが好ましい。
染料として用いる場合には、化合物(0)は1種で用いても、2種以上併用してもよい。例えば、式(I−2)で表される化合物と、式(I−3)で表される化合物とを組み合わせて用いると、溶媒への溶解性が向上することから好ましい。また、化合物(0)を2種以上併用すると、その1種を単独で用いる場合よりも、有機溶媒への溶解性が向上する。そのため溶媒への溶解性の観点から、液晶表示装置の色素として、化合物(0)の2種以上の組合せを用いることも好ましい。
【0048】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、化合物(0)を含む着色剤(以下「着色剤(A)」という場合がある)、アルカリ可溶性樹脂(以下「アルカリ可溶性樹脂(B)」という場合がある)、光重合性化合物(以下「光重合性化合物(C)」という場合がある)、光重合開始剤(以下「光重合開始剤(D)」という場合がある)及び溶剤(以下「溶剤(E)」という場合がある)を含む。
【0049】
着色剤(A)は、化合物(0)のほかに、さらに化合物(0)以外の染料及び/又は顔料(A−2)を含んでいてもよい。
化合物(0)以外の染料としては、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ソルベント(Solvent)、アシッド(Acid)、ベ
ーシック(Basic)、リアクティブ(reactive)、ダイレクト(Direct)、ディスパース(Disperse)、またはバット(Vat)に分類されている化合物等が挙げられる。より具体的
には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の染料が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
C.I.ソルベントイエロー25,79,81,82、83,89;
C.I.アシッドイエロー7,23,25,42,65,76;
C.I.リアクティブイエロー2,76,116;
C.I.ダイレクトイエロー4,28,44,86,132;
C.I.ディスパースイエロー54,76;
C.I.ソルベントオレンジ41,54,56,99;
C.I.アシッドオレンジ56,74,95,108,149,162;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.ダイレクトオレンジ26;
C.I.ソルベントレッド24,49,90,91,118,119,122,124,125,127,130,132,160,218;
C.I.アシッドレッド73,91,92,97,138,151,211,274,289;
C.I.アシッドバイオレット102;
C.I.ソルベントブルー35,37,38,44,59,64、67,70;
C.I.アシッドブルー40,45,78,80,83,90,100,171,185;
C.I.ベーシックブルー65,140;
C.I.リアクティブブルー15,38;
C.I.ディスパースブルー143;
C.I.ダイレクトブルー86,87;
C.I.ソルベントグリーン1,5;
C.I.アシッドグリーン3,5,9,25,28;
C.I.ベーシックグリーン1;
C.I.バットグリーン1;
C.I.アシッドブラック58,60,107;
C.I.ソルベントブラック27など。
【0050】
顔料(A−2)としては、顔料分散レジストに通常用いられる有機顔料または無機顔料が挙げられる。無機顔料としては、金属酸化物や金属錯塩のような金属化合物が挙げられ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモンなどの金属の酸化物または複合金属酸化物が挙げられる。
また有機顔料および無機顔料として具体的には、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられる。より具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.
)番号の顔料が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0051】
C.I.ピグメントイエロー20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173および180;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65および71;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、215、216、224、242、254、255および、264;
C.I.ピグメントバイオレット14、19、23、29、32、33、36、37および38;
C.I.ピグメントブルー15(15:3、15:4、15:6など)、21、28、60、64および76;
C.I.ピグメントグリーン7、10、15、25、36および47;
C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1および7など。
【0052】
着色剤(A)の含有量は、着色感光性樹脂組成物中の固形分に対して、好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは8〜55質量%であり、さらに好ましくは10〜50質量%である。ここで、固形分とは、着色感光性樹脂組成物中の、溶剤を除く成分の合計をいう。
着色剤(A)がさらに化合物(0)以外の染料及び/又は顔料(A−2)を含む場合、着色剤(A)中の化合物(0)の含有量は、3〜80質量%であり、好ましくは3〜70質量%であり、より好ましくは3〜50質量%である。
着色剤(A)中の顔料(A−2)の含有量は、20〜97質量%であり、好ましくは30〜97質量%であり、より好ましくは50〜97質量%である。
【0053】
アルカリ可溶性樹脂(B)としては、特に限定されるものではなく、どのような樹脂を用いてもよい。例えば、アルカリ可溶性樹脂(B)は、(メタ)アクリル酸から導かれる構造単位を含有する。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
【0054】
アルカリ可溶性樹脂(B)としては、具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、式(b1)で表される化合物及び式(b2)で表される化合物の共重合体、式(b1)で表される化合物及び式(b3)で表される化合物の共重合体、式(B−1)で表される共重合体などが好ましい。

【0055】

【0056】
アルカリ可溶性樹脂(B)のポリスチレン換算重量平均分子量は、5,000〜35,000が好ましく、より好ましくは6,000〜30,000であり、特に好ましくは7,000〜28,000である。
【0057】
アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価は、50〜150が好ましく、より好ましくは60〜135、特に好ましくは70〜135である。
【0058】
アルカリ可溶性樹脂(B)の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して、7〜65質量%であり、好ましくは13〜60質量%であり、より好ましくは17〜55質量%である。
【0059】
光重合性化合物(C)は、光を照射されることによって光重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル、酸などによって重合しうる化合物であれば、特に限定されるものではない。例えば、重合性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。
【0060】
前記の光重合性化合物(C)としては、重合性基を3以上有する光重合性化合物であることが好ましい。重合性基を3以上有する光重合性化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートなどが挙げられる。前記の光重合性化合物(C)は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
光重合性化合物(C)の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して、5〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜60質量%である。
【0062】
前記の光重合開始剤(D)としては、活性ラジカル発生剤、酸発生剤などが挙げられる。活性ラジカル発生剤は光を照射されることによって活性ラジカルを発生する。前記の活性ラジカル発生剤としては、アセトフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、トリアジン化合物、オキシム化合物等が挙げられる。
前記のアセトフェノン化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられ、好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0063】
前記のベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0064】
前記のベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0065】
前記のチオキサントン化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0066】
前記のトリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0067】
前記のオキシム化合物としては、例えば、O−アシルオキシム系化合物が挙げられ、その具体例としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン等が挙げられる。
【0068】
また、活性ラジカル発生剤として、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などを用いてもよい。
【0069】
前記の酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類などを挙げることができる。
【0070】
また、前記の活性ラジカル発生剤として上記した化合物の中には、活性ラジカルと同時に酸を発生する化合物もあり、例えば、トリアジン化合物は、酸発生剤としても使用される。
【0071】
光重合開始剤(D)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(B)及び光重合性化合物(C)の合計量に対して、好ましくは0.1〜30質量%であり、より好ましくは1〜20質量%である。光重合開始剤の含有量が、前記の範囲にあると、高感度化して露光時間が短縮され生産性が向上することから好ましい。
【0072】
溶剤(E)としては、例えば、エーテル類、芳香族炭化水素類、上記以外のケトン類、アルコール類、エステル類、アミド類などが挙げられる。
【0073】
前記のエーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどが挙げられる。
【0074】
前記の芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
前記のケトン類としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
前記のアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0075】
前記のエステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0076】
前記のアミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
着色感光性樹脂組成物における溶剤(E)の含有量は、着色感光性樹脂組成物に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜90質量%である。
【0078】
本発明の着色感光性樹脂組成物には、さらに、界面活性剤(G)が含まれていてもよい。界面活性剤(G)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
前記のシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、ポリエーテル変性シリコンオイルSH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)などが挙げられる。
【0079】
前記のフッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、フロラード(商品名)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(商品名)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同R30(DIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(商品名)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM−1000、BM−1100(いずれも商品名:BM Chemie社製)などが挙げられる。
【0080】
前記のフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、同F443(DIC(株)製)などがあげられる。
これらの界面活性剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0081】
界面活性剤(G)の含有量は、着色感光性樹脂組成物に対し、好ましくは0.00001〜0.1質量%であり、より好ましくは0.00005〜0.01質量%である。界面活性剤(G)の含有量が、前記の範囲にあると、平坦性が良好になる傾向がある。
【0082】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、カラーフィルタ又は着色パターンを形成するために好適に利用することができ、色濃度、明度、コントラスト、感度、解像度、耐熱性等の良好な着色パターン及びカラーフィルタを得ることが可能となる。また、これらのカラーフィルタ又は着色パターンをその構成部品の一部として備える光学フィルム、アレイ基板、カラーフィルタ基板等、さらに、これらのカラーフィルタ又は着色パターン、光学フィルム、アレイ基板及びカラーフィルタ基板からなる群から選ばれる少なくとも1種等を具備する表示装置、例えば、公知の液晶表示装置、有機EL装置、固体撮像素子等の種々の着色画像に関連する機器に、公知の態様で、利用することができる。
【0083】
本発明の着色感光性樹脂組成物を用いてカラーフィルタ又はそのパターンを形成する方法としては、例えば、本発明の着色感光性樹脂組成物を、基板又は別の樹脂層(例えば、基板の上に先に形成された別の着色感光性樹脂組成物層など)の上に塗布し、溶剤など揮発成分を除去/乾燥して着色層を形成し、フォトマスクを介して該着色層を露光して、現像する方法、フォトリソ法が不要なインクジェット機器を用いる方法などが挙げられる。
この場合の塗膜の膜厚は、特に限定されず、用いる材料、用途等によって適宜調整することができ、0.1〜30μmが好ましく、より好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜6μmである。
【0084】
着色感光性樹脂組成物の塗布方法は、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法、ダイコーティング法などが挙げられる。また、ディップコーター、バーコーター、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター(ダイコーター、カーテンフローコーター、スピンレスコーターとも呼ばれることがある)などのコーターを用いて塗布してもよい。なかでも、スピンコーターを用いて塗布することが好ましい。
【0085】
溶媒の除去や乾燥には、例えば、自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥などが挙げられる。具体的な乾燥温度は、10〜120℃が好ましく、25〜100℃がより好ましい。
乾燥時間は、10秒間〜60分間が好ましく、30秒間〜30分間がより好ましい。減圧乾燥を行う場合、50〜150Paの圧力下、20〜25℃の温度範囲で行うことが好ましい。
【実施例】
【0086】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお実施例及び比較例中の「%」及び「部」は、特記されない限り、質量%及び質量部である。
【0087】
実施例1
式(a−1)で表されるアントラニル酸12.0部に水84部を加えた後、氷冷下、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7〜8に調節した。以下の操作は氷冷下で行った。亜硝酸ナトリウムを18.0部加えて30分攪拌した。35%塩酸54.3部を少量ずつ加えて褐色溶液とした後、2時間攪拌した。アミド硫酸16.9部を水168.7部に溶解した水溶液を反応溶液に加えて攪拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。
【0088】

【0089】
式(c−1)で表されるバルビツール酸誘導体27.8部に水192部を加えた後、氷冷下、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH8〜9に調節した。
【0090】

【0091】
以下の操作は氷冷下で行った。前記ピリドン水溶液を攪拌して無色溶液とした後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH8〜9に調節しながら、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を2時間かけてポンプで滴下した。滴下終了後、さらに2時間攪拌することで褐色懸濁液を得た。濾過して得た黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(I−2)で表される化合物を29.4部(収率77%)得た。
【0092】
【化1】

【0093】
化合物(I−2)の構造は、質量分析装置はJMS−700(日本電子株式会社製)を使用して確認した。
質量分析:
イオン化モード=FD+:m/z=438
【0094】
化合物(I−2)0.35gを乳酸エチルに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを乳酸エチルで希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計〔石英セル、セルの長さは1cm〕を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=396nmで吸光度2.0(任意単位)を示した。
【0095】
比較例1
特許文献1の実施例21に記載の方法で、式(d−1)で表される化合物を合成した。
化合物(d−1)0.35gをN,N−ジメチルホルムアミドに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをN,N−ジメチルホルムアミドで希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=394nmで吸光度2.1(任意単位)を示した。
【0096】

【0097】
<溶媒への溶解度の評価>
実施例1及び比較例1の化合物の溶媒への溶解性を、以下のようにして求めた:
【0098】
50mLサンプル管中、各化合物と表8に示す各溶媒を、それぞれ1%(W/V)及び3%(W/V)の混合割合で混合し、密栓後40℃で10分間超音波振とうを与えた。ついで室温で30分間放置後濾過し、不要物の有無を確認した。
1%(W/V)調整の混合溶液にて不溶物があるものを溶解度1%以下とし(×)、1%(W/V)調整の混合溶液にて不溶物が無く、3%(W/V)調整の混合溶液にて不溶物があるものを溶解度1%〜3%未満とし(△)で、3%(W/V)調整の混合溶液にて不溶物が無いものを溶解度3%以上とした(○)で表した。結果を表8に示す。
【0099】
【表8】

PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
DAA:ジアセトンアルコール
【0100】
実施例2
〔着色感光性樹脂組成物の調製〕
(I−2)着色剤:実施例1で合成した化合物
(B−1)樹脂:下記構造の樹脂(平均分子量7500、酸価111mgKOH/g)44.3%プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液

(C−1)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 50%プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液(日本化薬社製)
(D−1)光重合開始剤:OXE-01(オキシム化合物;チバ・ジャパン社製)
(G−1)界面活性剤:SH8400(ポリエーテル変性シリコーンオイル;東レ・ダウコーニング(株)製) 1%プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート溶液
(E−1)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
を混合して着色感光性樹脂組成物を得る。
【0101】
〔カラーフィルタの作製〕
ガラス上に、上記で得た着色感光性樹脂組成物をスピンコート法で塗布し、揮発成分を揮発させる。冷却後、パターンを有する石英ガラス製フォトマスク及び露光機を用いて光照射する。光照射後に、焼成してカラーフィルタを作製する。
【0102】
実施例3
式(a−2)で表されるm−トルイジン−4−スルホン酸10.0部に水150部を加えた後、氷冷下、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7〜8に調節した。以下の操作は氷冷下で行った。亜硝酸ナトリウムを7.4部加えて30分攪拌した。35%塩酸22.3部を少量ずつ加えて褐色溶液とした後、2時間攪拌した。アミド硫酸5.0部を水50.3部に溶解した水溶液を反応溶液に加えて攪拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。
【0103】

【0104】
式(c−1)で表されるバルビツール酸誘導体15.5部に水155部とアセトン155部を加えた後、氷冷下、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH8〜9に調節した。
【0105】

【0106】
以下の操作は氷冷下で行った。前記ピリドン水溶液を攪拌して無色溶液とした後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH8〜9に調節しながら、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を2時間かけてポンプで滴下した。滴下終了後、さらに2時間攪拌することで褐色懸濁液を得た。濾過して得た黄色固体を30%アセトン水溶液で洗浄した。洗浄した黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(I−17)で表される化合物を12.1部(収率46%)得た。
【0107】
【化2】

【0108】
化合物(I−17)の構造は、質量分析装置はJMS−700(日本電子株式会社製)を使用して確認した。
質量分析:
イオン化モード=FD+:m/z=488
【0109】
化合物(I−17)0.35gを乳酸エチルに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを乳酸エチルで希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計〔石英セル、セルの長さは1cm〕を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=397nmで吸光度1.8(任意単位)を示した。
【0110】
実施例4
式(a−3)で表されるp−アニシジン−3−スルホン酸10.0部に水150部を加えた後、氷冷下、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7〜8に調節した。以下の操作は氷冷下で行った。亜硝酸ナトリウムを6.8部加えて30分攪拌した。35%塩酸20.5部を少量ずつ加えて褐色溶液とした後、2時間攪拌した。アミド硫酸4.6部を水46.3部に溶解した水溶液を反応溶液に加えて攪拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。
【0111】

【0112】
式(c−2)で表されるバルビツール酸誘導体13.5部に水135部とアセトン135部を加えた後、氷冷下、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH8〜9に調節した。
【0113】

【0114】
以下の操作は氷冷下で行った。前記ピリドン水溶液を攪拌して無色溶液とした後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH8〜9に調節しながら、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を2時間かけてポンプで滴下した。滴下終了後、さらに2時間攪拌することで褐色懸濁液を得た。濾過して得た黄色固体を30%アセトン水溶液で洗浄した。洗浄した黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(I−18)で表される化合物を11.5部(収率48%)得た。
【0115】
【化3】

【0116】
化合物(I−18)の構造は、質量分析装置はJMS−700(日本電子株式会社製)を使用して確認した。
質量分析:
イオン化モード=FD+:m/z=488
【0117】
化合物(I−18)0.35gを乳酸エチルに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを乳酸エチルで希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計〔石英セル、セルの長さは1cm〕を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=419nmで吸光度2.2(任意単位)を示した。
【0118】
実施例5
式(a−4)で表される2−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸10.0部に水150部を加えた後、氷冷下、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7〜8に調節した。以下の操作は氷冷下で行った。亜硝酸ナトリウムを6.2部加えて30分攪拌した。35%塩酸18.7部を少量ずつ加えて褐色溶液とした後、2時間攪拌した。アミド硫酸4.2部を水42.2部に溶解した水溶液を反応溶液に加えて攪拌し、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を得た。
【0119】

【0120】
式(c−2)で表されるバルビツール酸誘導体12.2部に水133部とアセトン133部を加えた後、氷冷下、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH8〜9に調節した。
【0121】

【0122】
以下の操作は氷冷下で行った。前記ピリドン水溶液を攪拌して無色溶液とした後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH8〜9に調節しながら、ジアゾニウム塩を含む懸濁液を2時間かけてポンプで滴下した。滴下終了後、さらに2時間攪拌することで褐色懸濁液を得た。濾過して得た黄色固体を30%アセトン水溶液で洗浄した。洗浄した黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(I−19)で表される化合物を11.5部(収率50%)得た。
【0123】
【化4】

【0124】
化合物(I−19)の構造は、質量分析装置はJMS−700(日本電子株式会社製)を使用して確認した。
質量分析:
イオン化モード=FD+:m/z=508
【0125】
化合物(I−19)0.35gを乳酸エチルに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmを乳酸エチルで希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計〔石英セル、セルの長さは1cm〕を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=403nmで吸光度2.1(任意単位)を示した。
【0126】
<溶媒への溶解度の評価>
実施例3〜5の化合物の溶媒への溶解性を、実施例1と同様にして求めた。結果を表9に示す。
【0127】
【表9】


PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
DAA:ジアセトンアルコール
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の化合物は、溶媒への溶解性が良好である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(0)で表される化合物。

〔式(0)中、Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-20飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、又は置換基を有していてもよいC6-20アリール基を表す。ただし、R及びRの置換基における、炭素数の合計が6以上16以下である。
Zは、酸素原子又は硫黄原子を表す。
Xは、カルボキシ基又はスルホ基を表す。〕
【請求項2】
式(0)で表される化合物が、式(I)で表される化合物である請求項1記載の化合物。

〔式(I)中、Aは、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-20飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基、又は置換基を有していてもよいC6-20アリール基を表す。ただし、R及びRの置換基における、炭素数の合計が6以上16以下である。
Zは酸素原子又は硫黄原子を表す。〕
【請求項3】
Aがフェニレン基であり、該フェニレン基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基又はスルホ基で置換されていてもよい請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
及びRのいずれか一方の基が、置換基を有していてもよいC6-20アリール基である請求項1〜3のいずれか記載の化合物。
【請求項5】
式(I)で表される化合物が、式(II)で表される化合物である請求項1〜4のいずれか記載の化合物。

〔式(II)中、R、R及びZは上記と同じ意味を表す。
は、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基又はスルホ基を表す。
mは、1又は2の整数を表す。mが2であるとき、複数のRは、同じ種類の基であっても異なる種類の基であってもよい。〕