説明

化合物

【課題】有機溶媒への溶解性に優れる化合物を提供する。
【解決手段】式(1)で表される化合物。[式(1)中、Lは、単結合、炭素数1〜8のアルカンジイル基、−SO−、−O−、−CO−又は−CO−O−を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。R及びRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。A及びAは、互いに独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環又は置換基を有していてもよいキノリン環を表す。m及びnは、互いに独立に、0〜5の整数を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染料として有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
染料は、例えば、繊維材料、液晶表示装置、インクジェットなどの分野で反射光又は透過光を利用して色表示するために使用されている。
このような染料としては、例えば、下記式で表されるキノフタロン染料C.I.Acid Yellow 3が広く知られている。
【0003】

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】横手正夫、芝宮福松著、「合成染料」、初版、日刊工業新聞社、1978年4月、128頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から知られる上記の化合物は、有機溶媒への溶解性について十分に満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の[1]〜[10]を提供するものである。
[1]式(1)

[式(1)中、Lは、単結合、炭素数1〜8のアルカンジイル基、−SO−、−O−、−CO−又は−CO−O−を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
及びRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
及びAは、互いに独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環又は置換基を有していてもよいキノリン環を表す。
m及びnは、互いに独立に、0〜5の整数を表す。ただし、m+nは、1〜8の整数である。m+nが2以上の整数である場合、複数の−SONRは、互いに同一であるか相異なる。]
で表される化合物。
【0007】
[2]Aが、置換基を有していてもよいベンゼン環である[1]記載の化合物。
【0008】
[3]Aが、無置換のベンゼン環又はハロゲノ基を有するベンゼン環である[1]又は[2]記載の化合物。
[4]A及びAが、互いに独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環である[1]〜[3]のいずれか一項記載の化合物。
[5]A及びAが、互いに独立に、無置換のベンゼン環又はハロゲノ基を有するベンゼン環である[1]〜[4]のいずれか一項記載の化合物。
[6]
及びRが、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜8の分枝鎖状アルキル基である[1]〜[5]のいずれか一項記載の化合物。
[7]
が、単結合又は−SO−である[1]〜[6]のいずれか一項記載の化合物。
[8]
m+nが、1〜5の整数である[1]〜[7]のいずれか一項記載の化合物。
[9][1]〜[8]のいずれか一項記載の化合物を主成分とする染料。
[10][9]記載の染料を含む着色組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化合物は、有機溶媒への溶解性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の化合物は、式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)という場合がある。)である。
【0011】

【0012】
[式(1)中、Lは、単結合、炭素数1〜8のアルカンジイル基、−SO−、−O−、−CO−又は−CO−O−を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
及びRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
及びAは、互いに独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環又は置換基を有していてもよいキノリン環を表す。
m及びnは、互いに独立に、0〜5の整数を表す。ただし、m+nは、1〜8の整数である。m+nが2以上の整数である場合、複数の−SONRは、互いに同一であるか相異なる。]
【0013】
は、単結合、炭素数1〜8のアルカンジイル基、−SO−、−O−、−CO−又は−CO−O−を表す。Lは、耐熱性の点で、単結合又は−SO−であることが好ましい。
【0014】
炭素数1〜8のアルカンジイル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−2,2−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ペンタン−2,2−ジイル基、2−メチルブタン−3,3−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基等が挙げられる。
【0015】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
炭素数1〜8のアルカンジイル基に含まれる水素原子がハロゲン原子で置換されている基としては、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2,2−ジイル基、2,2−ジフルオロプロパン−1,3−ジイル基、2,2−ジクロロプロパン−1,3−ジイル基等が挙げられる。
【0016】
炭素数1〜8のアルカンジイル基に含まれる−CH−が、−O−又は−CO−で置き換わっていている基としては、例えば、下記式で表される基等が挙げられる。下記式中、*は結合手を表す。

【0017】
及びRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
及びRにおける炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖状アルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、1−プロピルブチル基、1−(1−メチルエチル)ブチル基、1−(1−メチルエチル)−2−メチルプロピル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、1−n−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1−(1−メチルエチル)ペンチル基、1−ブチルブチル基、1−ブチル−2−メチルブチル基、1−ブチル−3−メチルブチル基、1−(1,1−ジメチルエチル)ブチルブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1,3−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3,4−ジメチルペンチル基、1−エチル−1−メチルブチル基、1−エチル−2−メチルブチル基、1−エチル−3−メチルブチル基、2−エチル−1−メチルブチル基、2−エチル−3−メチルブチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,2−ジメチルヘキシル基、1,3−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、2,3−ジメチルヘキシル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、3,4−ジメチルヘキシル基、3,5−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、4,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−2−メチルペンチル基、1−エチル−3−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、2−エチル−1−メチルペンチル基、2−エチル−2−メチルペンチル基、2−エチル−3−メチルペンチル基、2−エチル−4−メチルペンチル基、3−エチル−1−メチルペンチル基、3−エチル−2−メチルペンチル基、3−エチル−3−メチルペンチル基、3−エチル−4−メチルペンチル基、1−プロピル−1−メチルブチル基、1−プロピル−2−メチルブチル基、1−プロピル−3−メチルブチル基、1−(1−メチルエチル)−1−メチルブチル基、1−(1−メチルエチル)−2−メチルブチル基、1−(1−メチルエチル)−3−メチルブチル基、1,1−ジエチルブチル基、1,2−ジエチルブチル基等の分枝鎖状アルキル基が挙げられる。
中でも、R及びRが、互いに独立に、炭素数3〜8の分枝鎖状アルキル基であることが好ましく、炭素数6〜8の分枝鎖状アルキル基であることがより好ましく、炭素数8の分枝鎖状アルキル基であることがさらに好ましく、2−エチルヘキシル基であることが一層好ましい。
【0018】
−SONRとしては、無置換のスルファモイル基、N−1置換スルファモイル基及びN,N−2置換スルファモイル基が挙げられる。
【0019】
N−1置換スルファモイル基としては、例えば、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−イソプロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−イソブチルスルファモイル基、N−sec−ブチルスルファモイル基、N−tert−ブチルスルファモイル基、N−ペンチルスルファモイル基、N−(1−エチルプロピル)スルファモイル基、N−(1,1−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(1,2−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(2,2−ジメチルプロピル)スルファモイル基、N−(1−メチルブチル)スルファモイル基、N−(2−メチルブチル)スルファモイル基、N−(3−メチルブチル)スルファモイル基、N−シクロペンチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−(1,3−ジメチルブチル)スルファモイル基、N−(3,3−ジメチルブチル)スルファモイル基、N−ヘプチルスルファモイル基、N−(1−メチルヘキシル)スルファモイル基、N−(1,4−ジメチルペンチル)スルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−(2−エチルヘキシル)スルファモイル基、N−(1,5−ジメチル)ヘキシルスルファモイル基、N−(1,1,2,2−テトラメチルブチル)スルファモイル基等が挙げられる。
【0020】
N,N−2置換スルファモイル基としては、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−エチルメチルスルファモイル基、N,N−ジエチルスルファモイル基、N,N−プロピルメチルスルファモイル基、N,N−イソプロピルメチルスルファモイル基、N,N−tert−ブチルメチルスルファモイル基、N,N−ブチルエチルスルファモイル基、N,N−ビス(1−メチルプロピル)スルファモイル基、N,N−ヘプチルメチルスルファモイル基等が挙げられる。
【0021】
m及びnは、互いに独立に、0〜5の整数を表す。ただし、m+nは、1〜8の整数であり、好ましくは1〜5の整数である。また、m及びnが、互いに独立に、0または1であり、且つ、m+nが1であることが好ましい。
−SONRが複数存在する場合は、それらは互いに同じ種類の基であることが好ましい。
【0022】
及びAは、互いに独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環又は置換基を有していてもよいキノリン環を表す。これらの置換基としては、−R、−OR、−COR、−O−COR、炭素数1〜8のフッ化アルキル基、ハロゲノ基、ヒドロキシ基、スルファニル基、カルボキシ基、ニトロ基、ホルミル基、−NHR、−NR等が挙げられる。ここで、R及びRは、炭素数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基としては、上記に挙げたものと同じ基が挙げられる。
【0023】
炭素数1〜8のフッ化アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロへプチル基、ペルフルオロオクチル基等が挙げられる。
【0024】
−ORとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
−CORとしては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ピバロイル基等が挙げられる。
−O−CORとしては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基等が挙げられる。
【0026】
−NHRとしては、例えば、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−ペンチルアミノ基、N−オクチルアミノ基等が挙げられる。
【0027】
−NRとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−ブチル−N−メチルアミノ基、N,N−ジオクチルアミノ基等が挙げられる。
【0028】
ハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等が挙げられ、好ましくはクロロ基である。
【0029】
上記のうち、Aが、置換基を有していてもよいベンゼン環であることが好ましく、Aが、無置換のベンゼン環又はハロゲノ基を有するベンゼン環であることがより好ましい。この態様において、ハロゲノ基がクロロ基であることが好ましい。
【0030】
また、A及びAが、互いに独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環であることが好ましく、A及びAが、互いに独立に、無置換のベンゼン環又はハロゲノ基を有するベンゼン環であることがより好ましい。この態様において、ハロゲノ基がクロロ基であることが好ましい。
【0031】
また、A及びAが、互いに独立に、無置換のベンゼン環又はハロゲノ基を有するベンゼン環であり、R及びRが、互いに独立に、水素原子又は炭素数8の分枝鎖状アルキル基であり、Lが、単結合又は−SO−であり、m及びnが、互いに独立して、0または1であり、且つ、m+nが1であることが好ましい。この態様において、ハロゲノ基がクロロ基であることが好ましい。
【0032】
さらに、A及びAが、同じものであり、且つ、無置換のベンゼン環又はハロゲノ基を有するベンゼン環であり、R及びRが、同じものであり、且つ、水素原子又は炭素数8の分枝鎖状アルキル基であり、Lが、単結合又は−SO−であり、m及びnが、互いに独立して、0または1であり、且つ、m+nが1であることがさらに好ましい。この態様において、ハロゲノ基がクロロ基であることが好ましい。
【0033】
化合物(1)中における

又は

で表される基としては、下記式(q−1)〜式(q−46)で表される基等が挙げられる。中でも、式(q−1)、式(q−14)、式(q−24)、式(q−26)、式(q−30)、式(q−31)、式(q−35)、式(q−36)及び式(q−38)が好ましく、式(q−1)、式(q−14)、式(q−26)、式(q−35)及び式(q−38)で表される基がより好ましい。下記式中xは、m又はnを表す。
【0034】

【0035】

【0036】

【0037】

【0038】

【0039】

【0040】
化合物(1)の製造が容易であるため、

と、

とは、同じ構造であることが好ましい。
【0041】
化合物(1)としては、例えば、化合物(1−1)〜化合物(1−405)等が挙げられる。尚、Qは、

を表し、Qは、

を表す。表1中、Q欄及びQ欄は、上記に例示した基の式の番号を記す。
【0042】

【0043】
【表1】

【0044】

【0045】

【0046】

【0047】

【0048】

【0049】

【0050】

【0051】

【0052】

【0053】
化合物(1)は、式(Z)で表される化合物にスルホ基を導入した後、該スルホ基をスルホンアミド化することにより、製造することができる。
【0054】

【0055】
[式(Z)中、L、A及びAは、上記と同じ意味を表す。]
式(Z)で表される化合物(以下、「化合物(Z)」という場合がある。)は、式(X)で表される化合物と、式(Y1)で表される化合物及び式(Y2)で表される化合物とを有機溶媒中で反応させることにより、製造することができる。
【0056】

【0057】
[式(X)、式(Y1)及び式(Y2)中、L、A及びAは、上記と同じ意味を表す。]
【0058】
反応に用いる有機溶媒としては、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド及びこれらの混合溶媒が挙げられる。有機溶媒の使用量は、溶媒の種類によって異なるが、式(X)で表される化合物1質量部に対して、3〜50質量部、好ましくは5〜20質量部である。
【0059】
式(Y1)で表される化合物及び式(Y2)で表される化合物の合計使用量は、式(X)で表される化合物の使用量1モルに対して、2〜8モルが好ましく、3〜5モルがより好ましい。
反応温度は、150〜250℃が好ましく、180〜220℃がより好ましい。反応時間は、5〜72時間が好ましく、8〜24時間がより好ましい。
【0060】
反応終了後、反応液を化合物(Z)の貧溶媒と混合し、析出物をろ取することにより、化合物(Z)を得ることができる。貧溶媒としては、例えば、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等が挙げられる。
貧溶媒の使用量は、反応液1質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは5〜20質量部である。
ろ過により得られた析出物は、アルコール溶媒などで洗浄し、次いで乾燥することが好ましい。また必要に応じて、再結晶などの公知の手法によってさらに精製してもよい。洗浄に用いるアルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
【0061】
次いで、化合物(Z)をスルホン化してスルホ基を導入する。スルホン化は、公知の方法で行うことができ、好ましくは、化合物(Z)にスルホン化剤を用いて直接スルホン化する方法である。化合物(Z)とスルホン化剤とを接触させて、両者を反応させることにより、化合物(Z)にスルホ基を導入した化合物(以下「スルホン酸化合物(Z1)」という場合がある。)を生成させることができる。
前記スルホン化剤としては、クロロスルホン酸、塩化スルフリル、硫酸、発煙硫酸、三酸化イオウ等が挙げられ、好ましくはクロロスルホン酸である。スルホン化剤の使用量は、化合物(Z)1質量部に対して、1〜20質量部が好ましく、5〜10質量部がより好ましい。
反応温度は、50〜150℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。反応時間は2〜15時間が好ましく、4〜8時間がより好ましい。
生成させたスルホン酸化合物(Z1)は、公知の方法で取り出してもよいし、スルホン化反応後の混合液のまま次のスルホンアミド化反応に供してもよい。
【0062】
次に、スルホン酸化合物(Z1)をスルホンアミド化する。スルホン酸化合物(Z1)が有するスルホ基をハロゲン化してスルホニルハライド化合物(Z2)を生成させた後、該スルホニルハライド化合物(Z2)にアミン化合物と反応させることにより、化合物(1)を得ることができる。
【0063】
スルホン酸化合物(Z1)は、例えば、ハロゲン化チオニル化合物を用いて、ハロゲン化することができる。ハロゲン化チオニル化合物としては、例えば、塩化チオニルが挙げられる。ハロゲン化チオニル化合物の使用量は、スルホン酸化合物(Z1)1モルに対して、1〜10モルが好ましい。ただし、用いるスルホン酸化合物(Z1)の含水量が多い場合など、反応系に水がもち込まれる場合には、さらに過剰量を用いて水を分解することが好ましい。
反応は、無溶媒で行っても、溶媒中で行ってもよい。該溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン、塩化アミル、1,2−ジブロモエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル等のニトリル類;N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類等が挙げられる。中でも、クロロホルム、アセトニトリル及びN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
溶媒の使用量は、スルホン酸化合物(Z1)1質量部に対して、3〜10質量が好ましく、5〜8質量がより好ましい。
反応温度は、0〜100℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。反応時間は、0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
【0064】
生成させたスルホニルハライド化合物(Z2)は、公知の方法で取り出してもよいし、反応混合液のままアミン化合物との反応に用いてもよい。
スルホニルハライド化合物(Z2)を取り出す方法としては、反応終了後の反応液を氷水と混合し、析出物をろ取することにより、スルホニルハライド化合物(Z2)を得ることができる。氷水の使用量は、反応混合液1質量部に対して、好ましくは3〜20質量部、より好ましくは5〜12質量部である。ろ過により得られた析出物は、水洗浄等により、ハロゲン化チオニル化合物の残留を低減することが好ましい。
【0065】
スルホニルハライド化合物(Z2)とアミン化合物との反応は、溶媒中で混合することにより行うことができる。該反応は、塩基性触媒の存在下で行ってもよい。スルホニルハライド化合物(Z2)を溶媒と混合させた後、アミン化合物を滴下して加えることが好ましい。
アミン化合物としては、例えば、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、1,5−ジメチルヘキシルアミン、1,1,3,3−テトラメチルブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−アミノ−1−フェニルブタン、イソプロポキシプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミン化合物の使用量は、スルホニルハライド化合物(Z2)1モルに対して、3〜10モルが好ましく、3〜7モルより好ましい。
【0066】
塩基性触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジンなどの三級アミンが好ましい。塩基性触媒の使用量は、アミン化合物1モルに対して、1.1〜2モルである。塩基性触媒は、アミン化合物と同時に滴加してもよいし、アミン化合物とは別に加えてもよい。
反応温度は、0〜50℃が好ましく、0〜30℃がより好ましく、5〜20℃がより好ましい。反応時間は1〜25時間が好ましい。
【0067】
アミン化合物との反応終了後の反応液から、析出物をろ取することにより、化合物(1)を得ることができる。該反応液にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール溶媒、及び/又は酸性水溶液を混合して、生成物を析出させてからろ取してもよい。該アルコール溶媒の使用量は、反応液1質量部に対して、好ましくは10〜100質量部、より好ましくは20〜50質量部である。酸性水溶液としては、酸性物質の水溶液を用いることができる。酸性水溶液の水素イオン濃度は、pH=0〜6が好ましく、1〜5がより好ましい。酸性物質としては特に限定されず、例えば塩化アンモニウム、シュウ酸、酢酸、塩酸、硫酸等が挙げられる。酸性水溶液の使用量は、反応液1質量部に対して、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは2〜5質量部である。
ろ過により得られた化合物(1)は、アルコール溶媒などで洗浄することが好ましい。洗浄に用いるアルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。洗浄後は、乾燥することが好ましい。
【0068】
かくして得られた本発明の化合物は、耐熱性が高いことから、特に、液晶表示装置などの表示装置のカラーフィルタに用いられる染料として有用である。
【0069】
本発明の着色組成物は、着色剤(以下「着色剤(A)」という場合がある)として本発明の化合物を含み、さらに樹脂(B)を含むことが好ましい。本発明の着色組成物は、さらに重合性化合物(C)、重合開始剤(D)及び溶剤(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
【0070】
着色剤(A)は、本発明の化合物のほかに、さらに顔料及び/又は染料(ただし、本発明の化合物とは異なる)を含んでいてもよい。
前記染料としては、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ソルベント(Solvent)、アシッド(Acid)、ベーシック(Basic)、リアクティブ(reactive)、ダイレクト(Direct)、ディスパース(Disperse)、又はバット(Vat)に分類されている染料等が挙げられる。より具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の染料が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。中でも、有機溶剤可溶性染料が好ましい。
C.I.ソルベントイエロー25,79,81,82、83,89;
C.I.アシッドイエロー7,23,25,42,65,76;
C.I.リアクティブイエロー2,76,116;
C.I.ダイレクトイエロー4,28,44,86,132;
C.I.ディスパースイエロー54,76;
C.I.ソルベントオレンジ41,54,56,99;
C.I.アシッドオレンジ56,74,95,108,149,162;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.ダイレクトオレンジ26;
C.I.ソルベントレッド24,49,90,91,118,119,122,124,125,127,130,132,160,218;
C.I.アシッドレッド73,91,92,97,138,151,211,274,289;
C.I.アシッドバイオレット102;
C.I.ソルベントグリーン1,5;
C.I.アシッドグリーン3,5,9,25,28;
C.I.ベーシックグリーン1;
C.I.バットグリーン1等。
【0071】
前記顔料としては、顔料分散レジストに通常用いられる有機顔料又は無機顔料が挙げられる。無機顔料としては、金属酸化物や金属錯塩のような金属化合物が挙げられ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属の酸化物又は複合金属酸化物が挙げられる。また有機顔料及び無機顔料として具体的には、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられる。より具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の顔料が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0072】
C.I.ピグメントイエロー20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173及び180;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65及び71;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、215、216、224、242、254、255及び、264;
C.I.ピグメントバイオレット14、19、23、29、32、33、36、37及び38;
C.I.ピグメントグリーン7、10、15、25、36、47及び58等。
【0073】
着色剤(A)の含有量は、着色組成物中の固形分に対して、好ましくは5〜60質量%である。ここで、固形分とは、着色組成物中の、溶剤を除く成分の合計をいう。
着色剤(A)中に含まれる本発明の化合物の含有量は、好ましくは3〜100質量%である。
これらの染料、及び顔料は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせて本発明の化合物と共に用いてもよい。
【0074】
樹脂(B)としては、特に限定されるものではなく、どのような樹脂を用いてもよい。樹脂(B)は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸から導かれる構造単位を含む樹脂であることがより好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
【0075】
樹脂(B)としては、具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、メタクリル酸/スチレン/グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0076】
樹脂(B)のポリスチレン換算重量平均分子量は、5,000〜35,000が好ましく、より好ましくは6,000〜30,000である。
樹脂(B)の酸価は、50〜150が好ましく、より好ましくは60〜135である。
樹脂(B)の含有量は、着色組成物の固形分に対して、好ましくは7〜65質量%であり、より好ましくは13〜60質量%である。
【0077】
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル、酸等によって重合しうる化合物であれば、特に限定されるものではない。例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられる。
【0078】
前記の重合性化合物(C)としては、重合性基を3個以上有する重合性化合物であることが好ましい。重合性基を3以上有する重合性化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。これらの重合性化合物は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性化合物(C)の含有量は、着色組成物の固形分に対して、5〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜60質量%である。
【0079】
前記の重合開始剤(D)としては、活性ラジカル発生剤、酸発生剤等が挙げられる。活性ラジカル発生剤は熱又は光の作用によって活性ラジカルを発生する。前記の活性ラジカル発生剤としては、アルキルフェノン化合物、チオキサントン化合物、トリアジン化合物、オキシム化合物等が挙げられる。
前記のアルキルフェノン化合物としては、例えば、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
【0080】
前記のチオキサントン化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0081】
前記のトリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0082】
前記のオキシム化合物としては、例えば、O−アシルオキシム系化合物が挙げられ、その具体例としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン等が挙げられる。
【0083】
また、活性ラジカル発生剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等を用いてもよい。
【0084】
前記の酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等を挙げることができる。
これらの重合開始剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0085】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。重合開始剤の含有量が、前記の範囲にあると、高感度化して露光時間が短縮され生産性が向上することから好ましい。
【0086】
溶剤(E)としては、本発明の化合物を溶解可能なものであれば、特に限定されず、例えば、エーテル類、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルコール類、エステル類、アミド類等が挙げられる。
【0087】
前記のエーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0088】
前記の芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられる。
前記のケトン類としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
前記のアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0089】
前記のエステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0090】
前記のアミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
着色組成物における溶剤(E)の含有量は、着色組成物に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜90質量%である。
【0092】
本発明の着色組成物は、必要に応じて、界面活性剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、連鎖移動剤等の種々の添加剤を含んでもよい。
【0093】
本発明の化合物は、高い耐熱性を示すことから、特に、液晶表示装置等の表示装置のカラーフィルタに用いられる染料として有用である。
また、本発明の着色組成物は、カラーフィルタをその構成部品の一部として備える表示装置(例えば、公知の液晶表示装置、有機EL装置等)、固体撮像素子等の種々の着色画像に関連する機器に、公知の態様で利用することができる。
【実施例】
【0094】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り、質量基準である。
【0095】
以下の実施例において、化合物の構造は、元素分析(VARIO-EL;(エレメンタール(株)製))及び質量分析(LC;Agilent製1200型、MASS;Agilent製LC/MSD型)で確認した。
【0096】
〔実施例1〕
式(X−1)で示される化合物(東京化成工業(株)製)7.00部にスルホラン53.26部を加えた後、180℃に加熱して、溶解させた。溶解を確認後、キナルジン(東京化成工業(株))11.19部を加え200℃で9時間還流させて、反応させた。反応終了後、反応溶液をアセトニトリル500部に注ぎ、沈殿物をろ取した。得られた沈殿物をそれぞれエタノール500部で2回、ジメチルスルホキシド500部で2回リパルプし、黄色固体を得た。該黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(z−1)で表される化合物を4.5部得た。
式(z−1)で表される化合物の同定;
(元素分析)C70.84 H3.28 N4.75 S5.09
【0097】

【0098】

【0099】
次に式(z−1)で表される化合物7.0部を、クロロスルホン酸67.0部に加え、70℃で4時間攪拌させた。攪拌後、塩化チオニル10.95部を反応液に滴下して加え、80℃で2時間攪拌してから、15℃に冷却させ、さらにそのまま14時間攪拌を続けた。反応終了後、氷水556部にゆっくり仕込み、攪拌してから濾過した。取得した残渣をN−メチル−2−ピロリドン200部に仕込み、そこへ2−エチルヘキシルアミン29.73部を滴下して加え、20〜30℃に保持して18時間攪拌した後、濾過により残渣を取得した。該残渣を20%酢酸水800部に加えて2時間攪拌後、濾過により残渣を得た。該残渣をアセトニトリル400部に加えて2時間攪拌後、濾過により黄色固体を得た。該黄色固体を減圧下60℃で15時間乾燥することにより、式(I−5)で表される化合物4.93部を得た。
式(I−5)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=780.3[M]
Exact Mass: 799.2
上記の結果から、m+nは1であることが確認された。
【0100】

【0101】
〔実施例2〕
式(X−1)で示される化合物7.00部にスルホラン53.26部を加えた後、18℃に加熱して、溶解させた。溶解を確認後、8−クロロキナルジン13.88部を加え200℃で9時間還流させた。反応終了後、反応溶液をアセトニトリル500部に注ぎ、沈殿物をろ取した。得られた沈殿物をそれぞれエタノール500部で2回、ジメチルスルホキシド500部で2回リパルプし、黄色固体を得た。該黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(z−2)で表される化合物を8.15部得た。
式(z−2)で表される化合物の同定;
(元素分析)C63.3 H2.8 N3.8 Cl10.2 S5.0
【0102】

【0103】
次に式(z−2)で表される化合物3.0部を、クロロスルホン酸25.8部に加え、70℃で4時間攪拌させた。攪拌後、塩化チオニル4.21部を反応液に滴下して加え、80℃で2時間攪拌してから、15℃以下に冷却させ、さらにそのまま14時間攪拌を続けた。反応終了後、氷水556部にゆっくり仕込み、攪拌してから濾過した。取得した残渣をN−メチル−2−ピロリドン100部に仕込み、そこへ2−エチルヘキシルアミン5.72部を滴下して加え、20〜30℃に保持して18時間攪拌させた後、濾過により残渣を取得した。該残渣を20%酢酸水400部に加えて2時間攪拌後、濾過により残渣を得た。該残渣をアセトニトリル400部に加えて2時間攪拌後、濾過により黄色固体を得た。該黄色固体を減圧下60℃で15時間乾燥し、式(I−20)で表される化合物2.93部を得た。
【0104】
式(I−20)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=868.3[M]
Exact Mass: 867.1
上記の結果から、m+nは1であることが確認された。
【0105】

【0106】
〔実施例3〕
式(X−2)で示される化合物(東京化成工業(株)製)10.0部にスルホラン92.65部を加えた後、180℃に加熱して、溶解させた。溶解を確認後、キナルジン24.15部を加え200℃で9時間還流させた。反応終了後、反応溶液をアセトニトリル500部に注ぎ、沈殿物をろ取した。得られた沈殿物をそれぞれエタノール500部で2回、ジメチルスルホキシド500部で2回リパルプし、黄色固体を得た。該黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(z−3)で表される化合物を13.5部得た。
式(z−3)で表される化合物の同定;
(元素分析)C79.97 H3.68 N5.31
【0107】

【0108】

【0109】
次に式(z−3)で表される化合物5.0部を、クロロスルホン酸53.5部に加え、70℃で4時間攪拌させた。攪拌後、塩化チオニル8.74部を反応液に滴下して加え、80℃で2時間攪拌してから、15℃に冷却させ、さらにそのまま14時間攪拌を続けた。反応終了後、氷水556部にゆっくり仕込み、攪拌してから濾過した。取得した残渣をN−メチル−2−ピロリドン200部に仕込み、そこへ2−エチルヘキシルアミン11.87部を滴下して加え、20〜30℃に保持して18時間攪拌させ後、濾過により残渣を取得した。該残渣を20%酢酸水800部に加えて2時間攪拌後、濾過により残渣を得た。該残渣をアセトニトリル400部に加えて2時間攪拌後、濾過により黄色固体を得た。該黄色固体を減圧下60℃で15時間乾燥し、式(I−50)で表される化合物を4.93部得た。
式(I−50)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=736.3[M]
Exact Mass: 735.2
上記の結果から、m+nは1であることが確認された。
【0110】

【0111】
〔実施例4〕
式(X−2)で示される化合物7.0部にスルホラン64.86部を加えた後、180℃に加熱して、溶解させた。溶解を確認後、8−クロロキナルジン16.90部を加え200℃で9時間還流させた。反応終了後、反応溶液をアセトニトリル500部に注ぎ、沈殿物をろ取した。得られた沈殿物をそれぞれエタノール500部で2回、ジメチルスルホキシド500部で2回リパルプし、黄色固体を得た。該黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(z−4)で表される化合物を9.0部得た。
式(z−4)で表される化合物の同定;
(元素分析)C68.5 H3.0 N3.6 Cl10.4
【0112】

【0113】
次に式(z−4)で表される化合物5.0部を、クロロスルホン酸47.5部に加え、70℃で4時間攪拌させた。攪拌後、塩化チオニル7.76部を反応液に滴下して加え、80℃で2時間攪拌してから、15℃に冷却させ、さらにそのまま14時間攪拌を続けた。反応終了後、氷水556部にゆっくり仕込み、攪拌してから濾過した。取得した残渣をN−メチル−2−ピロリドン200部に仕込み、そこへ2−エチルヘキシルアミン5.27部を滴下して加え、20〜30℃に保持して18時間攪拌させた後、濾過により残渣を取得した。該残渣を20%酢酸水800部に加えて2時間攪拌後、濾過により残渣を得た。該残渣をアセトニトリル400部に加えて2時間攪拌後、濾過により黄色固体を得た。該黄色固体を減圧下60℃で15時間乾燥し、式(I−65)で表される化合物4.93部を得た。
式(I−65)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=804.3[M]
Exact Mass: 803.2
上記の結果から、m+nは1であることが確認された。
【0114】

【0115】
〔溶解性評価〕
実施例1〜4で得られた化合物及び比較例1の化合物について、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMEと略す)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略す)、シクロヘキサノン(以下、CHNと略す)、N−メチルピロリドン(以下、NMPと略す)への溶解度を、以下のようにして求めた。
50mLサンプル管中、下記の割合で化合物0.1gと上記溶媒1gとを混合し、その後、サンプル管を密栓し、30℃で3分間超音波振動機にて振動させた。ついで室温で30分間放置後、濾過し、その残渣を目視で観察した。不溶物が確認できなかった場合、溶解性は良好であると判断して表2に○と記し、不溶物が確認できた場合は、溶解性は不良であると判断して表2に×と記した。
【0116】
【表2】

【0117】
表2中、化合物(R−1)は、C.I.Acid Yellow 3(東京化成工業(株)製)である。
【0118】
〔実施例5〕
〔着色組成物の調製〕
(A)着色剤:化合物(I−5):実施例1で合成した化合物 20部
(B−1)樹脂:メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体(モル比;30/70;重量平均分子量10700、酸価70mgKOH/g) 70部
(C−1)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製) 30部
(D−1)光重合開始剤:ベンジルジメチルケタール(イルガキュア651;BASF社製) 15部
(E−1)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル 680部
を混合して着色組成物を得る。
【0119】
〔カラーフィルタの作製〕
ガラス上に、上記で得た着色組成物をスピンコート法で塗布し、揮発成分を揮発させる。冷却後、パターンを有する石英ガラス製フォトマスク及び露光機を用いて光照射する。光照射後に、水酸化カリウム水溶液で現像し、オーブンで200℃に加熱してカラーフィルタを得る。
【0120】
〔実施例6〕
実施例1で合成した化合物(I−5)を、実施例2で合成した化合物(I−20)に代える以外は、実施例5と同様にして、着色組成物及びカラーフィルタを得る。
【0121】
〔実施例7〕
実施例1で合成した化合物(I−5)を、実施例3で合成した化合物(I−50)に代える以外は、実施例5と同様にして、着色組成物及びカラーフィルタを得る。
【0122】
〔実施例8〕
実施例1で合成した化合物(I−5)を、実施例4で合成した化合物(I−65)に代える以外は、実施例5と同様にして、着色組成物及びカラーフィルタを得る。
【0123】
表2の結果から、本発明の化合物は有機溶媒に対して高い溶解度を示すことがわかる。また、当該化合物を含む着色組成物は、異物の発生が少なく、高品質なカラーフィルタを作製することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明の化合物は、有機溶媒への溶解性に優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

[式(1)中、Lは、単結合、炭素数1〜8のアルカンジイル基、−SO−、−O−、−CO−又は−CO−O−を表し、該アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる−CH−は、−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
及びRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
及びAは、互いに独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環、置換基を有していてもよいナフタレン環又は置換基を有していてもよいキノリン環を表す。
m及びnは、互いに独立に、0〜5の整数を表す。ただし、m+nは、1〜8の整数である。m+nが2以上の整数である場合、複数の−SONRは、互いに同一であるか相異なる。]
で表される化合物。
【請求項2】
が、置換基を有していてもよいベンゼン環である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、無置換のベンゼン環又はハロゲノ基を有するベンゼン環である請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
及びAが、互いに独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環である請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
及びAが、互いに独立に、無置換のベンゼン環又はハロゲノ基を有するベンゼン環である請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
及びRが、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜8の分枝鎖状アルキル基である請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
が、単結合又は−SO−である請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
m+nが、1〜5の整数である請求項1〜7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物を主成分とする染料。
【請求項10】
請求項9記載の染料を含む着色組成物。