説明

化学フィルター及び化学フィルターを有するファンフィルターユニット

【課題】通過する空気の速度分布を一定にして寿命の延長が可能な化学フィルターと、このような化学フィルターを有し、化学フィルターの交替作業が容易なファンフィルターユニットを提供する。
【解決手段】清浄室のような清浄空間に供給される空気を浄化するためのファンフィルターユニットにおいて、前記ファンフィルターユニットは前記空気に含まれる化学的汚染物質を除去するための化学フィルターと、前記空気を吸入するためのファンと、前記空気に含まれた埃またはパーティクルを除去するためのパーティクルフィルターとを含む。前記化学フィルターのフィルター媒体は円形チューブ形状を有し、通気性をそれぞれ有する内側円形チューブと外側円形チューブとの間に配置され、カバーは前記内側及び外側円形チューブの上端部を通じた空気の流動を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清浄空間に供給される空気に含まれる化学的汚染物質を除去するための化学フィルターと、このような化学フィルターを有するファンフィルターユニットに関する。より詳細には、半導体装置の製造のための清浄室のような清浄空間に供給される空気に含まれた化学的汚染物質を除去するための化学フィルターと、前記化学フィルター、ファン及びパーティクルフィルターを含むファンフィルターユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置は半導体基板に使用されるシリコンウェーハ上に電気的な回路を形成するFab工程(素子製造工程)と、前記Fab工程で形成された半導体装置の電気的な特性を検査するEDS(electrical die sorting)工程と、前記半導体装置をそれぞれエポキシ樹脂に封止し個別化させるためのパッケージ組立工程を通じて製造される。
【0003】
前記Fab工程はウェーハ上に膜を形成するための蒸着工程と、前記膜を平坦化するための化学機械的研摩工程と、前記膜上にフォトレジストパターンを形成するためのフォトリソグラフィ工程と、前記フォトレジストパターンを用いて前記膜を電気的な特性を有するパターンに形成するためのエッチング工程と、ウェーハの所定領域にイオンを注入するためのイオン注入工程と、ウェーハ上の不純物を除去するための清浄工程と、前記清浄されたウェーハを乾燥させるための乾燥工程と、前記膜またはパターンの欠陥を検査するための検査工程などを含む。
【0004】
前記のような半導体装置の製造工程は、清浄室のような清浄空間で実施され、前記清浄室に供給される空気は、ファンフィルターユニットによって浄化される。前記ファンフィルターユニットを含む清浄室システムに対する一例は、特許文献1に開示されている。
【0005】
図1は従来の清浄室システムを説明するための概略的な構成図であり、図2は従来のファンフィルターユニットを説明するための概略的な断面図である。
【0006】
図1及び図2に示すように、清浄室システム10は、清浄室12、清浄室12上部に形成された天井チャンバ14、前記清浄室12の天井面上にマトリックス方式に配列された複数のファンフィルターユニット100、前記清浄室12の下部に形成された床下領域16(または、有効区域)、前記天井チャンバ14と床下領域16とを連結する空気循環経路18、及び循環される空気の温度を調節するための冷却コイル20を含む。
【0007】
前記ファンフィルターユニット100によって清浄室12に供給される清浄空気は、前記清浄室12から前記床下領域16に排出され、前記空気循環経路18、天井チャンバ14及びファンフィルターユニット100を通じて清浄室12に再供給される。
【0008】
図2に示すように、それぞれのファンフィルターユニット100は、天井チャンバ14の内部の空気を吸入するためのファン110、前記ファン110を通じて吸入された空気中に含まれるアンモニウムNH、オゾンOなどのような化学的汚染物質を除去するための化学フィルター120、及び前記化学フィルター120によって化学的に浄化された空気に含まれるパーティクル(または埃)を除去するためのパーティクルフィルター130を含む。
【0009】
図2に示されるように、前記化学フィルター120は、前記ファン110とパーティクルフィルター130との間に配置され、このようなファンフィルターユニットの構造は最も一般的な構造であり、前記特許文献1に開示されている。
【0010】
前記化学フィルター120の寿命は、化学フィルター120のフィルター媒体を通過する空気の速度によって決定される。前記ファン110によって吸入されたファンフィルターユニット100のハウジング内部に流入された空気の速度は、局部的な変化を有しているので、化学フィルター120の効率が低下される。具体的に、前記ファンフィルターユニット100の構造的な原因によって、化学フィルター120のエッジ部位を通過する空気の速度が化学フィルター120の中央部位を通過する空気の速度より速いので、化学フィルター120の寿命は、化学フィルター120のエッジ部位を通過する空気の速度によって決定される。即ち、前記化学フィルター120のエッジ部位を通過する空気の流量が前記中央部位を通過する空気の流量より多いので、前記化学フィルター120のエッジ部位の吸着容量が前記中央部位より更に早く消尽され、前記エッジ部位の汚染制御効率が低下される。したがって、化学フィルター120は他のパーティクルフィルターとは違って、化学フィルター120を通過する空気の速度分布又は速度偏差によって大きく左右される。
【0011】
したがって、前記化学フィルター120を通過する空気の速度分布を一定にする改善されたファンフィルターユニットが要求される。
【0012】
図3は、従来のファンフィルターユニットの他の例を説明するための概略的な断面図である。
【0013】
図3を参照すると、図示したファンフィルターユニット200は清浄室システム10の天井チャンバ14内部の空気に含まれる化学的汚染物質を除去するための化学フィルター210と、前記化学フィルター210によって化学的に浄化された空気に含まれるパーティクルを除去するためのパーティクルフィルター230と、前記化学フィルター210とパーティクルフィルター230との間に配置されたファン220とを含む。前記化学フィルター210と前記ファン220との間には、バッファー空間240が提供され、前記バッファー空間240は、化学フィルター210を通過する空気の速度分布を図1に示したファンフィルターユニット100に比べて多少改善することができる。
【0014】
しかし、図2及び図3に示したファンフィルターユニット100、200において、化学フィルター120、210を交替する場合、ファンフィルターユニット100、200を全体的に解体しなければならないので、交替作業に所要される時間が増加する。また、作業者の作業空間が確保されないので、所要時間は更に増加する可能性があり、化学フィルター120、210の交替作業を遂行する間にファン110、220の作動が中止するので、清浄室システム10の可動中止期間が増加する問題点がある。
【0015】
前記のような問題点を解決するための一例として、特許文献2には四角ボックス形状の化学フィルターを有するファンフィルターユニットが開示されている。
【0016】
図4は、従来のファンフィルターユニットのまた他の例を説明するための概略的な断面図である。
【0017】
図4を参照すると、四角ボックス形状を有する化学フィルター310がファン320の吸入口322に設けられており、ファン320の下部にはパーティクルフィルター330が配置されている。前記のような構造を有するファンフィルターユニット300は、化学フィルター310の交替作業に所要される時間を短縮させることができるが、前記化学フィルター310の上部面と側面との間の速度差によって、化学フィルター310を通過する空気の速度分布において相変わらず問題点を有している。また、前記化学フィルター310は、四角ボックス形状を有する理由で、角部分で特に空気の速度分布均一性が非常に悪い。
【特許文献1】米国特許第6、368、393号明細書
【特許文献2】特開平11−090143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
前記のような問題点を解決するための本発明の第1目的は、通過する空気の速度分布を一定にする化学フィルターを提供することにある。
【0019】
本発明の第2目的は、前述したような化学フィルターを有し、前記化学フィルターの交替作業が容易なファンフィルターユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記第1目的を達成するための本発明は、通気性を有する内側円形チューブと、通気性を有して前記内側円形チューブを取り囲むように配置される外側円形チューブと、前記内側円形チューブと外側円形チューブとの間に介在され、前記内側円形チューブ及び外側円形チューブを通じて流動する空気に含まれる汚染物質を除去するためのフィルター媒体を含む化学フィルターを提供する。
【0021】
前記化学フィルターは、前記内側及び外側チューブの上端部上に配置され、前記内側円形チューブの内部空間と、前記内側と外側円形チューブとの間の隙間空間を限定し、前記上端部を通じての空気の流動を防止するための第1カバーと、前記内側及び外側チューブの下端部上に配置され前記内側及び外側円形チューブの間の隙間空間を限定し、前記下端部を通じての空気の流動を防止するための第2カバーと、をさらに含むことができる。
【0022】
前記第1カバーはディスク形状を有し、前記第2カバーは前記内部空間と連通される開口を有する円形の平面リング形状を有し、前記開口は化学フィルターの出口として機能する。
【0023】
前記第2目的を達成するための本発明は、通気性を有する内側円形チューブと、通気性を有し前記内側円形チューブを取り囲むように配置される外側円形チューブと、前記内側及び外側円形チューブの間に介在され前記内側及び外側円形チューブを通じて流動する空気に含まれる汚染物質を除去するためのフィルター媒体とを含む化学フィルターと、前記化学フィルターの内側円形チューブの内部空間と連通され、外部空気を前記外側円形チューブ、前記フィルター媒体及び前記内側円形チューブを通じて吸入するためのファンと、前記ファンと連結され、前記ファンから放出された空気に含まれるパーティクルを除去ずるためのパーティクルフィルターと、を含むファンフィルターユニットを提供する。
【発明の効果】
【0024】
前記外部空気(例えば、清浄室の上部に配置された天井チャンバの内部空気)は、ファンから提供される吸入力によって内側円形チューブの内部空間に吸入される。前記吸入力は、内側円形チューブの中心軸に沿って提供され、内側円形チューブの内部空間と、内側円形チューブ及び外側円形チューブの間の隙間空間は、第1カバーによって限定されるので、前記外部空気は前記外側円形チューブ及び内側円形チューブを通じて前記内部空間に吸入される。
【0025】
ここで、前記内側円形チューブと外側円形チューブは、互いに同軸線上に配置されることが望ましく、前記化学フィルターは前記ファンと同軸線上に配置されることが望ましい。したがって、前記ファンから提供される吸入力が前記内側円形チューブに均一に作用され、前記フィルター媒体を通過する空気の速度分布を改善することができる。これによって、化学フィルターの寿命を延長することができ、化学フィルターが全体的にシリンダー形状を有してファンの吸入口に連結されるので、化学フィルターの交替作業に所要される時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明による望ましい実施形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図5は、本発明の一実施形態による化学フィルターを有するファンフィルターユニットを説明するための概略的な端面図であり、図6は、図5に示した化学フィルターを示す斜視図である。
【0028】
図5を参照すると、ファンフィルターユニット400は、半導体装置の製造工程を遂行するための清浄室のような清浄空間に供給される空気に含まれた汚染物質を除去するために清浄室の天井面上に配置される。前記ファンフィルターユニット400は、前記清浄室に供給される空気に含まれた化学的汚染物質を除去するためのケミカルフィルター410と、前記空気を吸入するための吸入力を提供するためのファン420と、前記空気に含まれた埃又はパーティクルを除去するためのパーティクルフィルター430を含む。
【0029】
前記ファンフィルターユニット400は、図1に示したような清浄室12、天井チャンバ14、床下領域16、空気循環経路18、及び冷却コイル20などを含む清浄室システム10で循環する空気を浄化するために採用することができる。
【0030】
前記化学フィルター410は、循環する空気中に含まれるアンモニア、オゾンなどのような化学的汚染物質を除去するために用いられる。前記化学フィルター410は、フィルター媒体414を収納するためのシリンダー形状のハウジング412を有する。前記ハウジング412は、内側円形チューブ412A、外側円形チューブ412B、第1カバー412C、及び第2カバー412Dを含む。
【0031】
前記内側円形チューブ412A及び外側円形チューブ412Bは、それぞれ通気性を有し、互いに同心軸上に配置される。前記第1カバー412Cは、前記内側円形チューブ412Aの内部空間412Eと、前記内側円形チューブ412Aと外側円形チューブ412Bとの間の隙間空間412Fを限定するために、前記内側円形チューブ412A及び外側円形チューブ412Bの上端部上に配置される。前記第2カバー412Dは、前記内側円形チューブ412Aと外側円形チューブ412Bとの隙間空間412Fを限定するために前記内側円形チューブ412A及び外側円形チューブ412Bの下端部上に配置される。
【0032】
前記第1カバー412Cは、ディスク形状を有し、前記第2カバー412Dは、前記内側円形チューブ412Aの内部空間412Eと連通される開口412Gを有する円形の平面リング形状を有する。即ち、前記第1カバー412Cは、前記内側チューブ412A及び外側チューブ412Bの上端部を通じて外部空気が前記内側円形チューブ412Aの内部空間412Eと前記内側円形チューブ412Aと外側円形チューブ412Bとの間の隙間空間412Fに流入されることを防止し、前記第2カバー412Dは、前記内側円形チューブ412A及び外側円形チューブ412Bの下端部を通じて外部空気が前記内側円形チューブ412Aと外側円形チューブ412Bとの間の隙間空間412Fに流入されることを防止する。ここで、前記第2カバー412Dの開口412Gは、前記化学フィルター410の出口として機能する。
【0033】
一方、前記第2カバー412Dは、前記内側円形チューブ412Aの内部空間412Eと前記第2カバー412Dの開口412Gが、前記ファン420の吸入口422と連通されるように前記ファン420の吸入口422のエッジ部位上に配置され、前記外側円形チューブ412Bの直径より大きい外径を有する。即ち、前記第2カバー412Dは、前記内側及び外側円形チューブ412A、412Bと前記ファン420との間で前記ファン420の吸入口422を取り囲むように前記ファン420の上部に配置される。前記第2カバー412Dのエッジ部位には、円周方向に複数の貫通孔412Hが形成されており、前記化学フィルター410は、前記貫通孔412Hを通じて前記ファン420の上部に締結される複数の締結部材416によって前記ファン420と結合される。
【0034】
この際、前記化学フィルター410は、前記ファン420と同心軸上に配置されることが好ましい。これは、ファン420の中心軸と前記化学フィルター410の内側円形チューブ412Aとの距離を一定にすることにより、ファン420から提供される吸入力が前記化学フィルター410に均一に作用されるようにし、前記化学フィルター410を通過する空気の速度分布を均一にするためである。
【0035】
即ち、前記第1カバー412Cは、前記内側円形チューブ412Aと外側円形チューブ412Bを塞ぐために前記ファン420と離隔して配置され、前記第2カバー412Dは前記隙間空間412Fを塞ぐために前記ファン420の吸入口422と隣接して配置される。この際、前記第2カバー412Dと隣接する前記内側円形チューブ412Aの一側端部は、前記化学フィルター410の出口として機能する。
【0036】
前記内側及び外側円形チューブ412A、412Bは、複数の貫通孔が形成された多孔性金属シート又は金属メッシュ(metal mesh)によりそれぞれ形成されることができる。好ましくは、多孔性アルミニウムシート又はアルミニウムメッシュでそれぞれ形成されることができる。図6に示すように、前記内側及び外側円形チューブ412A、412Bはそれぞれ複数の円形ホールを有しているが、前記貫通孔の形状は本発明の範囲を限定しない。
【0037】
前記ファン420は、前記化学フィルター410の中心軸に沿って外部空気(天井チャンバの内部空気)を吸入するための吸入力を提供し、前記外部空気は、外側円形チューブ412B、フィルター媒体414、及び内側円形チューブ412Aを通じて前記内部空間412Eに吸入される。
【0038】
フィルター媒体414としては、図6に示すように、全体的に円形チューブ形状を有するひだ(pleat)のあるタイプのフィルター媒体が用いられることができ、前記フィルター媒体414は、前記内側円形チューブ412Aと外側円形チューブ412Bとの間の隙間空間412Fに収納される。
【0039】
前記化学フィルター410を通じて化学的に浄化された空気は、ファン420の放出口424と連通された空間を通じてパーティクルフィルター430に流入され、パーティクルフィルター430によって前記空気に含まれる埃又はパーティクルが除去される。
【0040】
前記のようなシリンダー形状を有する化学フィルター410を通過する空気の速度分布は、従来の化学フィルター(図2乃至図4においての、120、210、310)を通過する空気の速度分布より均一なので、化学フィルター410の寿命が延長され、化学フィルター410の使用効率が向上される。又、化学フィルター410がファン420の吸入口422上に配置されるので、化学フィルター410の交替作業が容易であり、交替作業に所要される時間を短縮することができる。又、第1カバー412Cを除去した後、フィルター媒体414のみを交替することができるので、所要費用を低減することができる。
【0041】
表1は、図2に示すような従来のファンフィルターユニット100において、従来の化学フィルター120を通過する空気の速度分布を示す。速度測定は36個のローカル測定点で測定し、従来の化学フィルター120は、1200mm×1200mmの四角プレート形状を有する。測定された空気の速度分布は、0.31m/s〜0.54m/s程度の範囲で変化されており、速度偏差は約±24%である。
【0042】
【表1】

【0043】
一方、図3に示すような従来のバッファー空間240を有するファンフィルターユニット200において、1200mm×1200mmの四角プレート形状を有する従来の化学フィルター210を通過する空気の速度分布は、0.38m/s〜0.48m/s程度の範囲で変化され、速度偏差は約±12%で示される。
【0044】
図7は、前記X軸方向に沿う空気の速度分布の変化を示すグラフである。
【0045】
図7を参照すると、X軸の(0.0)座標点を中心として、左右側に行くほど、風速が低くなることが分かる。これは、従来の化学フィルター210の中心部位を通過する空気の速度がエッジ部位を通過する空気の速度より速いということを意味するので、全体的な速度分布が一定ではなく、位置別速度偏差が大きいということを意味する。
【0046】
又、図4に示すような従来の四角ボックス形状を有する化学フィルター310を有するファンフィルターユニット300において、化学フィルター310を通過する空気の速度分布は、表2及び表3のように測定された。表2は、前記化学フィルター310の上部面での速度分布を示し、表3は、化学フィルター310の側面での速度分布を示す。
【0047】
図8は、前記化学フィルター310の側面を通過する空気の速度変化をX軸方向に沿って示すグラフである。
【0048】
図8を参照すると、化学フィルター310の側面を通過する空気の速度分布が一定ではないことが分かる。これは、化学フィルター310の上部面を通過する空気の速度による影響と、ファン320による吸入力が作用する中心軸からの距離差による影響であると見られる。
【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
表2及び表3を参照すると、四角ボックス形態の化学フィルター310の上部面速度分布と側面速度分布とは、大きく異なることが容易に分かる。上部面速度分布は、0.37m/s〜0.5m/s程度の範囲で変化される反面、側面速度分布は0.14m/s〜0.23m/s程度の範囲で変化されている。又、前記上部面を通過する空気の速度偏差は約±15%程度であり、側面を通過する空気の速度偏差は約±35%程度である。
【0052】
前記上部面速度分布は、バッファー空間240を有するファンフィルターユニット200の化学フィルター210の速度分布と類似である。しかし、側面の速度分布は、上部面の速度分布と比較して非常に低い水準に測定され、それぞれの端部で速度が特に低く測定された。即ち、上部面を通過する空気の速度が側面を通過する空気の速度より約2倍以上大きいので、化学フィルター310の効率が低下し、特に、上部面を通過する空気の最大速度と側面を通過する空気の最小速度の比は、2.9:1程度である。従って、化学フィルター310の寿命は、上部面を通過する空気の速度によって決定される。
【0053】
図9は、図5に示された化学フィルターを通過する空気の速度分布を説明するためのグラフである。
【0054】
前述と対照的に、図5に図示された本発明の一実施形態によるファンフィルターユニット400において、シリンダータイプの化学フィルター410を通過する速度分布は、表4のように測定され、円周方向に沿って変化される速度分布は、図9に示すように一定に示される。
【0055】
【表4】

【0056】
表4及び図9を参照すると、シリンダータイプの化学フィルター410の速度分布は0.53m/s〜0.62m/s程度の範囲で変化されており、約±7%程度の速度偏差を有する。前記のような結果からシリンダータイプの化学フィルター410が従来の化学フィルター120、210、310より改善された速度分布を有することが分かり、これは本発明の化学フィルター410が従来の化学フィルター120、210、310より延長された寿命を有することを意味する。
【0057】
実質的に本発明のシリンダータイプの化学フィルターは、従来の四角プレート形状の化学フィルターより約10〜20%程度の寿命が延長され、又、10〜20%程度の費用低減効果が生じる。
【0058】
一方、図2に図示された従来の化学フィルター120の場合、アンモニアのような汚染物質の除去効率が約94.3%であり、約2.2mmAq程度の圧力降下が発生され、本発明のシリンダータイプの化学フィルター410の汚染物質除去効率は約95.9%程度であり、約1.7mmAq程度の圧力降下が発生された。具体的に、28.5ppbの汚染濃度を有する空気を図2に図示された従来の化学フィルター120で浄化した場合、浄化された空気の汚染濃度は1.71ppbで測定され、30.6ppbの汚染濃度を有する空気をシリンダータイプの化学フィルター410で浄化した場合、浄化された空気の汚染濃度は1.24ppbで測定された。
【0059】
前述したように、本発明のシリンダータイプ化学フィルター410の性能は、従来の化学フィルター120と比較してより優秀であるということが証明される。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によると、ファンから提供された吸入力が作用される方向と垂直な方向に空気を吸入するシリンダータイプの化学フィルターは、従来の化学フィルターより改善された速度分布を有する。これによって、化学フィルターの効率が向上され、寿命が延長されることができる。
【0061】
又、前記シリンダータイプ化学フィルターは、従来の化学フィルターより嵩が小さく、ファンの吸入口を取り囲むようにファンの上部に配置されるので、交替作業に所要される時間が短縮され、フィルター媒体のみを交替することができ、所要費用が低減される。又、化学フィルターの交替作業を行う間、ファンの動作を中断させなくても良いので、清浄室システムの稼動中止期間を減少させることができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態によって詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有するものであれば本発明の思想と精神を離れることなく、本発明を修正または変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】従来の清浄室システムを説明するための概略的な構成図である。
【図2】従来のファンフィルターユニットを説明するための概略的な断面図である。
【図3】従来のファンフィルターユニットの他の例を説明するための概略的な断面図である。
【図4】従来のファンフィルターユニットのさらにまたの例を説明するための概略的な断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による化学フィルターを有するファンフィルターユニットを説明するための概略的な断面図である。
【図6】図5に示された化学フィルターを示す斜視図である。
【図7】図3に示された化学フィルターを通過する空気の速度分布を説明するためのグラフである。
【図8】図4に示された化学フィルターの側面を通過する空気の速度分布を説明するためのグラフである。
【図9】図5に示された化学フィルターを通過する空気の速度分布を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
【0064】
10 清浄室システム、
12 清浄室、
14 天井チャンバ、
16 床下領域、
18 空気循環経路、
20 空気循環経路、
100、200、300、400 ファンフィルターユニット、
120、210、310、410 化学フィルター、
110、220、320、420 ファン、
130、230、330、430 パーティクルフィルター、
412 ハウジング、
412A 内側円形チューブ、
412B 外側円形チューブ、
412C 第1カバー、
412D 第2カバー、
414 フィルター媒体、
416 締結部材、
422 吸入口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性を有する内側円形チューブと、
通気性を有し前記内側円形チューブを取り囲むように配置される外側円形チューブと、
前記内側及び外側円形チューブの間に介在され、前記内側及び外側円形チューブを通じて流動する空気に含まれる汚染物質を除去するためのフィルター媒体と、を含むことを特徴とする化学フィルター。
【請求項2】
前記内側及び外側チューブの上端部上に配置され、前記内側円形チューブの内部空間と、前記内側及び外側円形チューブの間の隙間空間とを限定し、前記上端部を通じての空気の流動を防止するための第1カバーと、
前記内側及び外側チューブの下端部上に配置され、前記内側及び外側円形チューブの間の隙間空間を限定し、前記下端部を通じての空気の流動を防止するための第2カバーと、をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の化学フィルター。
【請求項3】
前記第1カバーはディスク形状を有し、前記第2カバーは前記内部空間と連通される開口を有する円形の平面リング形状を有することを特徴とする請求項2記載の化学フィルター。
【請求項4】
前記外側円形チューブは、前記内側円形チューブと同軸線上に配置されることを特徴とする請求項1記載の化学フィルター。
【請求項5】
前記内側及び外側円形チューブは、多孔性金属シートをそれぞれ含むことを特徴とする請求項1記載の化学フィルター。
【請求項6】
前記内側及び外側円形チューブは、金属メッシュをそれぞれ含むことを特徴とする請求項1記載の化学フィルター。
【請求項7】
通気性を有する内側円形チューブと、通気性を有し前記内側円形チューブを取り囲むように配置される外側円形チューブと、前記内側及び外側円形チューブの間に介在され前記内側及び外側円形チューブを通じて流動する空気に含まれる汚染物質を除去するためのフィルター媒体とを含む化学フィルターと、
前記化学フィルターの内側円形チューブの内部空間と連通され、外部空気を前記外側円形チューブ、前記フィルター媒体及び前記内側円形チューブを通じて吸入するためのファンと、
前記ファンと連結され、前記ファンから放出された空気に含まれるパーティクルを除去するためのパーティクルフィルターと、を含むことを特徴とするファンフィルターユニット。
【請求項8】
前記内側及び外側チューブの上端部上に配置され、前記内側円形チューブの内部空間と、前記内側及び外側円形チューブの間の隙間空間とを限定し、前記上端部を通じての空気の流動を防止するためのカバーをさらに含むことを特徴とする請求項7記載のファンフィルターユニット。
【請求項9】
前記ファンの吸入口を取り囲むように前記化学フィルターと前記ファンとの間に配置され、前記内側及び外側円形チューブの間の隙間空間を限定するための第2カバーをさらに含むことを特徴とする請求項8記載のファンフィルターユニット。
【請求項10】
前記第1カバーはディスク形状を有し、前記第2カバーは前記内部空間と連通される開口を有する円形の平面リング形状を有することを特徴とする請求項9記載のファンフィルターユニット。
【請求項11】
前記外側円形チューブは、前記内側円形チューブと同軸線上に配置されることを特徴とする請求項7記載のファンフィルターユニット。
【請求項12】
前記化学フィルターと前記ファンは、同軸線上に配置されることを特徴とする請求項7記載のファンフィルターユニット。
【請求項13】
前記内側及び外側円形チューブは、多孔性金属シートをそれぞれ含むことを特徴とする請求項7記載のファンフィルターユニット。
【請求項14】
前記内側及び外側円形チューブは、金属メッシュをそれぞれ含むことを特徴とする請求項7記載のファンフィルターユニット。
【請求項15】
清浄室の上部に配置された天井チャンバ内部の空気を清浄室内部に供給するためのファンと、
全体的に円形チューブ形状を有し前記清浄室内部に供給される空気に含まれる化学的汚染物質を除去するためのフィルター媒体と、前記フィルター媒体の内側に配置され通気性を有する内側円形チューブと、前記フィルター媒体の外側に配置され通気性を有する外側円形チューブと、前記内側及び外側円形チューブの上端部を通じて前記空気が前記内側及び外側円形チューブによって限定される隙間空間に流動されることを防止するために前記上端部上に配置されるカバーとを含み、前記内側円形チューブの内部空間が前記ファンの吸入口と連通され前記空気が前記外側円形チューブ、前記フィルター媒体及び前記内側円形チューブを通じて前記内側円形チューブの内部空間に流入されるように前記ファンの上部に配置される化学フィルターと、
前記ファンから供給された空気に含まれるパーティクルを除去するために前記ファンの下部に連結されるパーティクルフィルターと、を含むことを特徴とするファンフィルターユニット。
【請求項16】
前記ファンの吸入口を取り囲むように前記化学フィルターと前記ファンとの間に配置され、前記内側円形チューブと前記外側円形チューブとの間の隙間空間を限定するための第2カバーをさらに含むことを特徴とする請求項15記載のファンフィルターユニット。
【請求項17】
前記第2カバーは、円形の平面リング形状を有し、前記第2カバーの外径は前記外側円形チューブの直径より大きく、前記化学フィルターは前記第2カバーのエッジ部位を通じて前記ファンの上部に締結される複数の締結部材によって前記ファンと結合されることを特徴とする請求項16記載のファンフィルターユニット。
【請求項18】
前記化学フィルターと前記ファンは、同軸線上に配置されることを特徴とする請求項15記載のファンフィルターユニット。
【請求項19】
前記内側及び外側円形チューブは、多孔性アルミニウムシートをそれぞれ含むことを特徴とする請求項15記載のファンフィルターユニット。
【請求項20】
前記内側及び外側円形チューブは、アルミニウムメッシュをそれぞれ含むことを特徴とする請求項15記載のファンフィルターユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−288938(P2006−288938A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−116926(P2005−116926)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】