説明

化学物質水系暴露解析システム

【課題】 化学物質の水系環境中の暴露濃度を推定して適切に必要なデータを表示することができる化学物質水系暴露解析システムを提供する。
【解決手段】 化学物質排出負荷量推計モデル、流量推定モデル、媒体間移動モデルを統合して、ユーザが入力すべきデータを絞り込むことにより、煩雑なデータ入力を要することなく、少ないデータ入力により暴露濃度を推計する推計処理を行うことができるようなシステムを構成する。入力データは、化学物質排出把握管理促進法の規定に基づいて集計されて、公表されている排出移動量のデータ、化学便覧あるいは商用データベースで入手できる化学物質の物理化学的、生物的反応性に関するデータである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学物質の水系環境中の暴露濃度を推定するため化学物質水系暴露解析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学物質の環境媒体中の濃度を求めるには、化学物質の環境へのフラックスを環境媒体のフラックスで除することでもとめられる。化学物質の環境へのフラックスは、例えば、工場の煙突や排水口からの排出濃度を実測することで求められてきており、環境媒体そのもののフラックスは、流動場・反応場を簡略化して設定することで推定されてきた。化学物質を含む環境媒体を、人が摂取して生じる健康リスクや環境汚染を通じてもたらされる生態リスクを考慮する必要のない時代においては、このように簡略化により推定しても十分な技術であった。
【0003】
しかし、平成13年度から化学物質排出把握管理促進法の施行によって、事業活動動に伴って事業所の外へ排出・移動する化学物質の量を届けでることが義務付けられ、それらのデータは公表されるので、国民は、化学物質の環境への排出量を知ることができるようになり、暴露濃度を地域に即して求める必要が高まってきた。
【0004】
この種の化学物質に対する地域環境リスクを診断するシステムとして、特許文献1に記載の「地域診断システム」が公知である。この地域診断システムは、環境リスクの診断を希望する地点を入力し、化学物質排出施設を含む地図データベースから化学物質排出地点を検出して、化学物質排出施設から排出される化学物質に関する情報を格納した化学物質排出情報データベースを参照して、化学物質に関する情報に重み付けして、診断希望地点での環境リスクを算出するシステムである。
【0005】
また、別の例として、化学物質に対する適切なリスク情報をユーザに提供するシステムとして、特許文献2に記載の「化学物質リスク情報提供支援システム」が公知である。この化学物質リスク情報提供支援システムは、ユーザからの化学物質に関する問い合わせに対して化学物質の適切なリスク情報をユーザに提供するシステムである。
【0006】
このシステムによれば、質問回答パターンデータベースに、ユーザに対する各質問と当該質問に対する回答の組合せである質問回答パターンを格納し、化学物質リスク情報データベースに、質問回答パターンデータベース11に記憶されている各質問回答パターンに対応する化学物質のリスク情報を格納しておき、データ処理部により、ユーザからの問い合わせに含まれる質問回答パターンが質問回答データベースに格納されているかどうかを調べて、格納されていれば化学物質リスク情報データベースから当該質問回答パターンに対応するリスク情報を抽出し、ユーザの端末に送信するものとなっている。
【特許文献1】特開2003−91616号公報
【特許文献2】特開2003−85441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来における化学物質に関する情報を提供するシステムでは、ユーザにとって適切に必要な情報を得られるものとはなっていないという問題点がある。
【0008】
すなわち、著しく、簡略化した計算により提供される化学物質に関する情報では、化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)による化学物質排出移動量の情報を活用できないばかりでなく、地域的変化する化学物質濃度の推定すら行えず、また、従来の技術によって得られた計算結果は、物理化学的原理を著しく簡略しているがゆえに、どの程度信頼してよいのかといった検証ができないという欠点があった。
【0009】
化学物質排出把握管理促進法において登録された物質に代表されるように、環境濃度の観測データがきわめて乏しく、しかし、いたるところで用いられている物質のリスク評価のためには、流動場、反応場、そして排出移動データを活用する必要がある。
【0010】
また、現在、主に利用されている濃度推定手法は、それぞれが環境のある部分を切りとって解析したものであり、それらは、コンセプトにおいても、手法においても相互に置換することはできず、個々ばらばらの状態であり、さらに、その濃度推定手法のアルゴリズムが任意の形式であることは、それぞれの手法を用いて得られた結果を用いた議論では、環境リスクの評価において、大きな問題をはらむこととなる。
【0011】
しかし、生産・消費の過程で排出される、化学物質に起因する環境リスク、生態リスクを適切に評価するためには、暴露濃度を推定しなければならず、そのためには、地域の場の特性、環境媒体の流動特性、場の反応特性を考慮する必要がある。すなわち、化学物質の濃度の場の時空間的な解像度を改善することが必要となる。
【0012】
したがって、化学物質に起因する環境リスク、生態リスクを適切に評価するための膨大な量のデータを処理する計算機システムを構築するためには、つまり、ハンドリングできるためには、関連要因のデータを電子化して取り扱う必要があり、そのための手法の開発が望まれている。
【0013】
事業者が、取り扱っている化学物質を自主管理するためには、自社の排出移動量によってどの程度の暴露濃度となるかを把握することが必要であり、水系を管理する自治体が、集水域全体からの化学物質の排出によって河川全域の濃度推計を詳細に把握する必要がある。実測値を補完することで各段に暴露解析の精度を改善することが望まれる。
【0014】
また、緊急的な事態では、予想最大値をいち早く把握することが必要であり、そういった場合のための、確率論的推定手法による、事業者や自治体が、迅速に高暴露濃度が懸念される水系に対し暴露濃度を推定をすることが必要不欠である。
【0015】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、化学物質の水系環境中の暴露濃度を推定して適切に必要なデータを表示することができる化学物質水系暴露解析システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記のような目的を達成するため、本発明の化学物質水系暴露解析システムは、基本的な構成として、化学物質排出負荷量推計モデル、流量推定モデル、媒体間移動モデルを統合して、ユーザが入力すべきデータを絞り込むことにより、煩雑なデータ入力を要することなく、少ないデータ入力により暴露濃度を推計する推計処理を行うことができるようなシステムを構成する。ここでの入力データは、化学物質排出把握管理促進法の規定に基づいて集計されて、公表されている排出移動量のデータ、化学便覧あるいは商用データベースで入手できる化学物質の物理化学的、生物的反応性に関するデータであり、これらのデータは、データベースにデフォルト値として予め格納されている。化学物質排出負荷量推計モデル、流量推定モデル、媒体間移動モデルを統合して、物質動態モデルとして計算処理を行う。
【0017】
したがって、本発明は、第1の態様として、本発明による化学物質水系暴露解析システムは、水系の暴露濃度の推計処理を行って画面表示する化学物質水系暴露解析システムであって、暴露濃度の表示対象とする地域を指定する地域情報を入力する第1入力手段と、水の用途別全国使用量を入力する第2入力手段と、排水処理原単位・排水系移行率を入力する第3入力手段と、地先除去率・下水処理除去率を入力する第4入力手段と、前記各入力手段から入力された各データおよび物質動態モデルに基づいて各地点の暴露濃度を推計する濃度推計処理手段と、前記濃度推計処理手段により推計された各地点での暴露濃度を地図上に表示する表示処理手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
第2の態様として、本発明による化学物質水系暴露解析システムにおいては、更に、水系暴露濃度を簡便に推定する処理を行う推定処理手段と、前記推定処理手段により処理された結果の数値データを表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
第3の態様として、化学物質水系暴露解析システムにおいては、更に、生態系への閾値濃度を入力する入力手段と、前記入力された閾値濃度に対する超過確率を推定する確率推定処理手段と、前記超過確率に基づき河川流下方向に生態リスクを推定するリスク判定処理手段と、前記推定された生態リスクを画面上に表示する表示処理手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の化学物質水系暴露解析システムによれば、水系への化学物質暴露濃度の推定ならびに個体群閾値濃度に対する超過確率を生態リスクと定義したとき、この生態リスクを推計して評価することができる。この場合に、煩雑なデータ入力を要することなく、少ないデータ入力により暴露濃度を推計することができる。排出量推計モデルにおいて、全国PRTR届出排出量入力部、水域への排出率、生活排水量、下水処理除去率によって、排出量を推計する部分と、排出量を流域の面的時間的水量で除し、化学物質排出負荷量推計モデル、流量推定モデル、媒体間移動モデルを統合した物質動態モデルにおいて、入力されたパラメータにより、任意地点の暴露濃度を推計して、解析結果を流域全体で編集し、濃度の推定および生態リスク推定結果が地図情報とともに表示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施する場合の一形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明による化学物質水系暴露解析システムのシステム構成を示す図である。図1において、100はキーボードおよびマウスからの入力操作を受け付ける入力部、101は例えば数値データ等の入力操作のためのキーボード、102は選択入力操作のためのポインティングデバイスのマウス、103はマイクロプロセッサ(CPU)およびメモリなどのシステム装置から構成される演算部、104は例えばディスプレイ装置から構成される表示部、105はハードディスク装置などから構成されて各所データを格納するデータベースである。また、106は表示部により表示される表示画面を模式的に示している。
【0022】
化学物質水系暴露解析システムにおいては、表示画面106に、化学物質水系暴露解析システムの各サブモデルを構成しているサブシステムの構成が表示されるので、解析に利用するサブシステムを、そのシステム要素のアイコンを選択することで起動し、個別に解析処理を実行できる。また、各サブシステムを統合して処理を実行することにより、煩雑なデータ入力を要することなく、少ないデータ入力により暴露濃度を推計する推計処理を行うことができる。図2は、本発明による化学物質水系暴露解析システムを構成するシステム要素が表示された初期画面を示す図である。
【0023】
図2に示す初期画面には、システムを構成する各処理モジュールの構成が表示されている。暴露解析を行う場合、例えば、水流を物理的に追跡する流域モデル、多媒体モデル、排出量推計モデルを統合して利用して、解析処理を行う。これにより、ユーザが希望するデータの解析を適切に行うことができる。例えば、環境リスクを推定し、シナリオサブシステムを起動して、シナリオを変えて、環境リスクの変動分を推定し、また、地理情報システムを起動して、結果を地理情報とともに表示する。
【0024】
図2に初期画面の画面例に示されるように、化学物質水系暴露解析システムは、化学物質の暴露濃度を解析するため、6つのサブモデルのシステム(地理情報システム、シナリオ、排出量水系モデル、流域モデル、多媒体モデル、リスク)を統合したシステムとして構築されている。各サブモデルのシステムを起動するボタン(六角形のアイコン)が円状に配置されている。また、画面の右側に配置されているボタン(アイコン)は、それぞれの個別のコマンドを受け付けて、それぞれの対応のサブ処理モジュールを起動するボタンである。暴露解析のためのシステムを起動するボタン(六角形のアイコン)は中心部部分に配置されている。
【0025】
これらのうち、シナリオ、排出量推計モデル、流域モデル、多媒体モデル、リスクの各サブモデルのシステムを起動すると、それぞれの入力データを受け付ける入力ウィンドウ画面が表示されてデータ入力を受け付ける状態となる。システムは、受け付けられたデータに基づいて、計算処理を実行する。また、左上部に配置されているアイコンにより地理情報システムを起動すると、地理情報システムが起動されて、入力データの表示や計算結果を表示するため表示画面の背景画像についての処理を行う。
【0026】
図2に示すように、化学物質水系暴露解析システムを起動させた場合に表示される初期画面200の右側には、「条件の設定」、「計算の実行」、「結果の表示」、「Turbo-SHANEL」の4つのサブ処理モジュールを起動するアイコンと、システムの支援機能として「操作マニュアル」の表示を指示するアイコンが設けられている。また、「終了」の指示を行うコマンドボタンが設けられている。これらのサブ処理モジュールにより、解析処理のためのデータが受け付けられて、解析処理を実行する。
【0027】
「条件の設定」の処理を行う処理モジュールは、解析したい物質に関する情報、対象流域に関する情報の入力を受け付けて、それらをシナリオ設定ファイルに入力する処理を行う。シナリオ設定ファイルに設定されたデータに基づいて、推定処理を行い、水系の暴露解析を行う。システムのデフォルト値として、水系の暴露解析を行う対象の化学物質としては、ノニルフェノールエトキシレート(NPnEO)、アルコールエトキシレート(AE)の2物質が登録されている。また、水系としては、多摩川、日光川、石津川、大聖寺川の流域データが登録されている。
【0028】
排出量推定モデルの処理モジュールを起動させると、登録されている物質を解析する場合においては、すなわち、既存のデータが設定されている場合においては、選択ウィンドウが表示され、この選択ウィンドウにおいて、河川名と化学物質名の情報が選択できる状態として表示されるので、既に設定されているデータファイルが選択できる。
【0029】
前述したように、システムの初期データ(デフォルト)には、化学物質としては、ノニルフェノールエトキシレート(NPnEO)、アルコールエトキシレート(AE)の2物質が、水系では、多摩川、日光川、石津川、大聖寺川の4河川で、合計8つのデータファイルが登録されているので、これらのデータを用いる解析は、特別にデータ入力を要することなく実行できる。
【0030】
なお、化学物質水系暴露解析システムに登録されていない化学物質を解析する場合については、すなわち、ユーザが独自に新規の化学物質の水系暴露解析を行う場合には、解析対象の河川を指定し、当該物質の分解経路・名称に関する情報の入力を行い、続いて、PRTR届出排出量・移動量、PRTR届出外排出量(裾きり)、PRTR届出外排出量(非点源)のデータの全国集計値のデータ入力を行う。これにより、システムはこれらのデータを受け付けて、推計処理を行い、その暴露解析を行う。
【0031】
PRTR届出・届出外データは、地理的により詳細な単位に配分するために、割り振り指標を選択入力し、対象流域において1kmグリッド単位に排出量を割り当てる処理がシステムにより行われる。化学物質の挙動を支配するパラメータとして、生活排水量、下水処理除去率、物性、反応分率、半減期のデータ入力を行う。これらのデータには、ファイル名がつけられ、設定条件ファイルとして計算機内に格納される。
【0032】
暴露濃度の計算の実行モジュールでは、入力条件を画面上で確認することができ、さらに、選択された水系の地域の基礎情報等を図示することができる。また、ここでは、地理情報システムのサブモデルシステムが起動されることにより、データ処理がなされて地図画像が表示画面に表示される。
【0033】
表示される地図情報は、対象流域の地図、標高、落水線図、人口、下水道普及率、土地利用、水域への総排出量、PRTR点源排出量、PRTR非点源排出量である。地図情報の以上の属性データの図表示においては、軸の最大値・最小値を任意に設定し、強調したい箇所を選んで表示するためのオプションが設けられている。
【0034】
計算処理の実行については、コールドスタートとホットスタートの2種の解析処理法が装備されている(図4)。コールドスタートとは、標準的な解析(適切な初期値から開始し、時間的に連続的に計算をする場合)を意味し、流域全域の化学物質の初期濃度を0として与えて計算をスタートし、3年間の計算を行い、3年目の1年間の計算結果だけをリスク評価に使用する場合である。これは、初期値の影響・計算の安定性を考慮して最初の2年間は数値的な安定をみるための期間としているためである。
【0035】
ホットスタートとは、任意の期間の解析を適当な初期値(ここでは、コールドスタートの計算結果の最終日の値)から開始して計算を行う解析処理である。これらは、計算にかける時間と解析結果の精度によって、ユーザが解析目的に従って、選択するようになっている。なお、ホットスタートの場合に用いる初期値は、あくまでも計算の収束のためにかかる時間を短縮するために用いているため、計算結果の精度はコールドスタートの場合に比べて劣る。
【0036】
ホットスタートの計算所要時間は、コールドスタートの所要時間の計算期間と比較して短いので、解析の処理時間を短縮できることがメリットである。コールドスタートを選択すると、解析モデルの実行コマンドを入力することで、計算が開始される。ホットスタートが解析方法として選択されると、システムからは解析期間を選択するように求められる。解析期間の選択入力が受け付けられると、以下、コールドスタートと同様に処理が進行する。
【0037】
「結果の表示」の処理モジュールが起動されると、処理の中で、面的分布の図示、河川縦断方向の図示、時系列データの解析、統計値、流出特性、物質収支、生態リスク評価、保存の8つのメニューが表示されて、選択されたメニューにしたがって結果表示の処理が実行される。また、それぞれについて、水量、化学物質は独立に表示することができる。
【0038】
「面的分布の図示」のメニューが選択されると、地表面温度、蒸発散量、流量、化学物質濃度(河川水、河川底泥液相、河川底泥固相)のうち1項目を選択し、当該属性データの入力が受け付けられ、結果が表示される。「河川縦断方向の図示」のメニューが選択されると、河川水、河川底泥液相、河川底泥固相、のいずれかを選択でき、さらにパーセンタイル値(5パーセンタイル値、25パーセンタイル値、50パーセンタイル値、75パーセンタイル値、95パーセンタイル値)の選択入力をうけ、結果が表示される。
【0039】
「時系列データの解析」のメニューが選択されると、解析対象水系の地点を表示画面上で選択し、その地点における時系列データを表示することができる。また、「統計値」のメニューが選択されると、地点の選択の入力を受け付けて、選択された地点における時系列データに基づいて、幾何平均、幾何標準偏差を求める処理を行う。
【0040】
「流出特性」のメニューが選択されると、地点の選択入力を受け付けて、選択された地点における時系列データに基づいて、化学物質負荷量と流量との間で回帰分析によって回帰係数を求める処理を行う。「物質収支」のメニューが選択されると、計算結果を読み込み、流域に投入された化学物質がどこにどれだけ出て行ったかの処理を行う。「生態リスク評価」のメニューが選択されると、閾値濃度の入力を受け付けて、超過確率を求める処理を行う。「保存」のメニューが選択されると、期間と地点の入力を受け付けて、csvファイルで保存する。
【0041】
短時間に評価を行う場合には、簡易解析処理モジュール(Turbo-SHANEL)を起動して濃度推計処理については簡易解析を行う。この場合は、ユーザインタフェース画面(図2)において「Turbo-SHANEL」ボタンにより起動する。簡易解析処理モジュールの処理では、PRTRの全国排出量のデータ、流域面積、都市化の程度、化学物質の有機性炭素水分配係数、河川水中半減期を入力すると、後述するように、流量の確率的変動特性をモンテカルロシミュレーションによって水系暴露濃度を求める処理をする。
【0042】
図3は、本発明による化学物質水系暴露解析システムの主要部のシステム構成を説明するシステム構成図である。図3に示すように、システム構成としては、大きくは入力処理部110,暴露解析処理部120,表示出力処理部130,各モデルにより解析を行うためのデータを格納したデータベース140の各部分から構成されている。
【0043】
入力処理部110,暴露解析処理部120,表示出力処理部130には、それぞれにユーザインタフェース処理部111,121,131が設けられており、ユーザインタフェース処理部111,121,131を介して、選択入力、指示入力、データ入力等のシステムに指示を与えるための入力を受け付ける処理を行い、入力された指示に対応した処理未ジュールを起動する。なお、これらのユーザインタフェース処理部111,121,131は、一つにまとめられてシステムが構成されても良い。
【0044】
ここでは、例えば、水系の暴露濃度の推計処理を行って画面表示する場合に、入力処理部110において、ユーザインタフェース処理部111を介して、暴露濃度の表示対象とする地域を指定する地域情報を入力し、水の用途別全国使用量を入力し、排水処理原単位・排水系移行率を入力し、地先除去率・下水処理除去率を入力する。これらの入力されたデータに基づいて、暴露解析処理部120においては、濃度推計処理の処理モジュールを起動して、データベース140に格納されているモデル・統計データなどの各種データを参照し、入力された各データおよび物質動態モデルに基づいて各地点の暴露濃度を推計する。表示出力処理部130においては、暴露解析処理部120により推計された各地点での暴露濃度を地図上に表示する。また、表示出力処理部130においては、結果表示処理の処理モジュールを起動して、ユーザインタフェース処理部131を介して、それぞれの表示メニューを受け付けて、利用者が希望する表示態様で解析された結果を表示する。
【0045】
水系の暴露濃度の推計処理を行って画面表示する場合に、解析処理を速く進行させて、迅速に解析結果を得たい場合に対しては、簡略化した解析を行うことができる。この場合には、暴露解析処理部120においては、簡易濃度推計処理の処理モジュールを起動し、データベース140に格納されているデータを参照し、入力された各データおよび物質動態モデルに基づいて暴露濃度を簡便に推計する。この場合には、表示出力処理部130においては、解析された結果を数値データとして表示する。
【0046】
生態リスクを評価する場合については、入力処理部110において、生態系への閾値濃度を入力する。この場合には、暴露解析処理部120においては、確率推定処理の処理モジュールを起動して、データベース140に格納されているデータを参照し、入力された閾値濃度に対する超過確率を推定し、リスク判定処理の処理モジュールを起動して、超過確率に基づき河川流下方向に生態リスクを推定する。表示出力処理部130により、推定された生態リスクを画面上に表示する。
【0047】
このように、化学物質水系暴露解析システムにおいては、ユーザインタフェース処理部111,121,131を介して、利用者の求めに応じて化学物質の水系環境中の暴露濃度を推定して適切に必要なデータを表示する処理を行う。
【0048】
図4は、本発明に係る化学物質水系暴露解析システムを利用する利用者における操作の処理手順の概略の処理フローを示すフローチャートである。図4を参照して、利用者における操作の処理手順について説明すると、利用者は水系暴露解析の詳細解析を行うか否かにより、右側の処理フロー(簡易濃度推定処理)より解析処理を行うか、また、左側の処理フロー(詳細な濃度推定処理)より解析処理を行う。
【0049】
簡易解析を行う場合には、右側の処理フローより操作を行う。この場合には、前述したように、簡易濃度推定処理を行う処理モジュール(Turbo−SHANEL)を起動して、PRTR全国排出量、流域面積、都市化率、物性の各データを入力し(既に入力されている場合は選択し)、流量についての下限と上限の数値データ、濃度についての下限と上限の数値データの計算結果を得る。
【0050】
また、詳細解析を行う場合には、左側の処理フローにより操作を行う。最初に、条件の設定のデータ入力を行い、解析処理を行うためのデータファイルの作成を行う。新規にデータファイルを作成する場合には、水系の選択、物質の選択、排出量等の入力、パラメータの入力を行い、設定条件のデータ保存を行って、新規にデータファイルを作成する。既存のデータファイルを利用するには、データベースに格納されているファイルを開き、詳細解析に利用するデータファイルを選択する。
【0051】
続いて、計算条件の入力を行い、計算の実行を指示して解析処理を行う。この場合に、長期間の解析であるか否かにより、前述したようなコールドスタートとするか、ホットスタートするかを選択して、それぞれに応じて初期値ファイルのファイル参照を行って、計算処理を行い、計算結果ファイルを得る。そして、計算結果の表示するため、処理モジュールを起動して、計算の結果に基づいて、面的分布の図示、河川縦断方向の図示、時系列データの解析、統計値、流出特性、物質収支、生態リスク評価、保存の8つのそれぞれのメニューを利用して結果の表示を行う。
【0052】
図5には、データの入出力構造を中心とした暴露解析処理の全体の処理フローを示している。入力データとしては、環境の場に関するデータ、物質に関するデータからなる各種のデータを入力する。図5の処理フローにおいては、縦方向の処理の流れ線に横方向に向かう矢印により、入力されるデータを表記している。出力としては、解析対象場の1kmグリッド間隔、1日平均濃度が、推算でき、化学物質の排出源と受水域での化学物質濃度との関係が視覚的に確認することができる。
【0053】
化学物質水系暴露解析システムにおいては、特定の地点における化学物質暴露濃度の時系列データを推算することができ、このことによって、リスクが相対的に高い地域と時期を推定することができ、さらに、水生生物の生活史を考慮した削減対策の策定を支援することができる。
【0054】
このようなことができるためには、例えば、図5において、波線の枠で示した排出量推計モデルによる排出量の推計のために、全国PRTR届出排出量、水域への除去率、生活排水量、下水処理除去率の各データ入力を行う。その他の解析のために必要なデータを入力して解析処理を行う。
【0055】
つづいて、別途、流出解析をおこなって得られた流域における流量推定結果に対して、物質動態モデルのパラメータを入力し、物質動態モデルを連立させて解くことによって、水中暴露濃度が得られる。
【0056】
また、生態リスクの閾値を入力することで、個体群に対する閾値濃度に対する超過確率を求めることができる。
【0057】
化学物質の使用量を排出負荷量に変換し、下水道の整備率を反映させて化学物質の環境への負荷量を面的に割り付ける処理を行う。グリッドijにおける化学物質排出量Outijは、次の(1)式により求められる。また、グリッドijにおける化学物質濃度Cijは、次の(2)式により求められる。

Outij=Aij×Bij×Inij (1)
ここで、
ij:グリッドijにおける化学物質使用量
Bij:グリッドijにおける使用現場における化学物質除去率
Inij:グリッドijにおける下水道整備率を考慮した除去率

ij=f(Transportij,Transferij,Transformationij,Outij) (2)
ここで、
f(w,x,y,z):化学物質濃度を推定する関数(移流拡散方程式)
Transportij:グリッドijにおける媒体輸送のデータ
Transferij:グリッドijにおける媒体間移動のデータ
Transformationij:グリッドijにおける媒体内分解速度パラメータ

上記の(1)式および(2)式による解析のためには、化学物質の環境媒体との親和性を物性に反映させて化学物質の環境での挙動の支配因子をパラメータ化し、溶存態、懸濁態にわけて挙動を推定するため、懸濁物質、化学物質の移流拡散方程式、底泥の掃流を連立させて解く処理を行う。
【0058】
この処理を実行する処理モジュールでは、化学物質が水系へ進入後、溶存態、懸濁物質との相互作用を経ながら、懸濁態に吸着分は、底泥層への輸送・回帰過程を、溶存態は移流、分解の過程を受けながら、流下し濃度が推移してゆく様子を各グリッドにより解析する。
【0059】
化学物質の輸送環境媒体としての水は、降水のうち、蒸散分、地下浸透分を除いた表面流出、中間流出分を濃度の推定に用いているため、解析場のグリッドごとに推定した日平均流量で化学物質排出負荷量を除すことで濃度を推定する。
【0060】
化学物質水系暴露解析システムでは、解析対象流域を設定し、流量、排出量、暴露濃度の順に推定計算が行う。化学物質の暴露濃度の推定のためには、図5に示すように、化学物質の排出量推定モデルによる負荷量の推定、流域モデルによる流量の推定、環境の多媒体モデル、推定結果を地理情報システム上で表示し、シナリオの操作、暴露濃度をリスクに変換するまでのシステムを統合して実施する。
【0061】
流量の推定に際しては、図10に示すような[流域モデル]を援用している。この流域モデルにより、水収支を、大気、地表面、地下の物理的構造を反映した解析を行う。排出量推定においては、化学物質排出把握管理促進法のデータを活用する。
【0062】
さらに、得られた環境暴露濃度に対し、別途決められる生態影響を示す参照濃度を基準として、超過確率を推定する。また、排出量の変化や、削減効果等は、[シナリオ]の設定データファイルにより、随時、モデルのパラメータを変更させることで、対応ができるようにシステム構成となっている。また、[地理情報システム]と連動し、より実態を反映した表示をすることによって、リスクコミュニケーションに役立つシステムとすることができる。
【0063】
図6は、化学物質水系暴露解析システムにおける熱収支解析のフローを示す図であり、図7は、化学物質水系暴露解析システムにおける流量推定で用いた、地表面流れ、地下水流れのモデルの概念図を示す図である。
【0064】
流量の推定の処理ついては、まず、蒸発散量を推定する熱収支解析を行い、得られた蒸発散量と降水量のバランスから流量の推定を行う。熱収支解析は、図6に示すような熱収支の解析フローにより解析処理を行う。また、流量の推定は、図7に示すようなモデルによる解析を行う。図7は、流量推定の概念図を示している。
【0065】
排出量の推計の処理ついては、PRTRの点源および非点源の排出量データをもとに行う。点源排出量は、生活排水、都市排水、事業場排水から構成されるものと仮定する。図8および図9にPRTRデータに基づく点源と非点源の排出量推計の流れを示している。
【0066】
暴露濃度の推定の処理ついては、推定した流量と排出量をもとに、前述した(1)式および(2)式によって求める。暴露濃度を推定する環境媒体間の動態のモデル化は、図10に示すようなモデルによる解析を行う。
【0067】
暴露濃度の推定結果の妥当性を示すため、負荷流出特性を流量のべき乗で回帰させ、その回帰係数を同定し、その係数から物性パラメータが反映されているかを検証する。これまでの環境科学の知見の蓄積から、回帰係数の値が1以上の場合は、雨天時流出卓越型、回帰係数が1未満の場合は、流量増大時濃度希釈型の挙動をとる物質であると分類することができる。
【0068】
また、挙動の内訳を以下の式で系外への消失フラックスを求め、右辺の各項の値の比率でもって挙動を特徴づける。なお、物質収支式を以下のように定義して、流達率を検証する。

系内蓄積量=系内投入量−輸送による系外流出量−系内分解量 (3)
流出率=(輸送による系外流出量−系内分解量)/系内投入量 (4)

【0069】
他方、上記したような詳細なデータが整備できず、しかし迅速に晴天時における平均的な濃度を推定するためには、簡略計算処理モジュール(簡易濃度推定処理モジュール)による解析処理を行う。
【0070】
図11は、化学物質水系暴露解析システムにおける簡略計算のフローを示す第1のフローチャートであり、図12は、化学物質水系暴露解析システムにおける簡略計算のフローを示す第2のフローチャートである。
【0071】
簡略計算処理モジュールによる解析処理においては、図11及び図12に示すように、利用者は、解析したい水系名(ステップS11)、解析したい水域の流域面積(ステップS13)、解析したい化学物質の物質名(ステップS13)、水域への対象化学物質の排出量として、水性排出量全国値(ステップS14)、都市化度(ステップS15)、有機性炭素への吸着平衡定数(ステップS16)、化学物質の水中半減期(ステップS17)のみを入力し、流域面積と流量との間の関係式から流量分布を推定し、乱数を発生させ、以下の式で濃度を推定する。この過程をモンテカルロシミュレーションとして10000回繰り返し、晴天時の水中化学物質濃度分布を推定する。化学物質濃度Cturboijは、次の(5)式および(6)式で得られる。
【数1】


Q=(Qave,Qsdev) (6)

ここで、
L:流域全体への化学物質の排出量
ds:溶存態比率
ds:溶存態での残存率
ave:流量の平均値
sdev:流量の標準偏差
【0072】
次に、本発明に係る化学物質水系暴露解析システムにより、暴露解析を行った処理結果の概略について説明する。図13〜図22は、化学物質水系暴露解析システムにより、暴露解析を行った処理の結果を示している。図13に、多摩川流域における流量の推定結果を示し、図14に、多摩川流域における化学物質のノニルフェノールエトキシレートの地先への排出量推定結果を示している。
【0073】
図15は、多摩川流域におけるノニルフェノールエトキシレートの下水処理場からの排出量推定結果を示す図である。図16には、ノニルフェノールエトキシレートの河川水中暴露濃度の推定結果を示している。また、図17には、ノニルフェノールエトキシレートの河川水中暴露濃度の95パーセンタイルの推定結果を示している。
【0074】
図18には、ノニルフェノールエトキシレートの河川水中濃度の1mg/mを超過する確率を示しており、図19には、ノニルフェノールエトキシレートの河川水中暴露濃度の時系列変化を図19に示す。図20には、多摩川流域の田園調布堰におけるノニルフェノールエトキシレートの負荷流出特性の結果を示している。図21は、多摩川流域の田園調布堰におけるノニルフェノールエトキシレートの物質収支および流達率を示し、図22は、簡略濃度推定処理モジュール「TURBO−SHANEL」による推定結果を示している。
【産業上の利用可能性】
【0075】
化学物質排出把握管理促進法によって、事業者はリスクの懸念される化学物質を自主的に管理することが求められている。本発明の化学物質水系暴露解析システムによれば、事業所における化学物質の現況の把握、管理対策を導入した際の効果の予測、事業所における排水処理施設の改善策の検討、あるいは、流域全体を解析対象としているため下水処理場における改善策の検討が可能である。国や地方自治体における水系リスク管理、とくにモニタリングデータを検討し、補完する場合に役に立つ。さらには、教育機関における化学物質のリスク評価およびリスク管理の教育指導といった局面でのツールとしても利用できる。
【0076】
また、化学物質の生産企業、加工企業、ユーザ企業が自社製品の自主管理をするときに、排出量がどれほど環境濃度にとして寄与しているかを把握できる。自治体の化学物質管理を担う部局においが観測値を補完し、リスクを推定する業務を支援する。教育機関が化学物質のリスク学生、市民に教育する際に支援ソフトとして活用できる。
【0077】
ユーザが入力データの整備に時間をかけられない場合については、簡略濃度推定処理モジュールを使うことで、晴天時の濃度を推定することができ、もし、詳細解析ができる場合は、化学物質水系暴露解析システムを使うことで、時空間的に精度の高い暴露解析ができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明による化学物質水系暴露解析システムのシステム構成を示す図である。
【図2】本発明による化学物質水系暴露解析システムを構成するシステム要素が表示された初期画面を示す図である。
【図3】本発明による化学物質水系暴露解析システムの主要部のシステム構成を説明するシステム構成図である。
【図4】本発明に係る化学物質水系暴露解析システムを利用する利用者における操作の処理手順の概略の処理フローを示すフローチャートである。
【図5】データの入出力構造を中心とした暴露解析処理の全体の処理フローを示している。
【図6】化学物質水系暴露解析システムにおける熱収支解析のフローを示す図である。
【図7】化学物質水系暴露解析システムにおける流量推定で用いた、地表面流れ、地下水流れのモデルの概念図を示す図である。
【図8】化学物質水系暴露解析システムにおける化学物質排出把握促進法で提出されたデータに基づいて点源の排出量推計の流れを示す図である。
【図9】化学物質水系暴露解析システムにおける化学物質排出把握促進法で提出されたデータに基づく非点源の排出量推計の流れを示す図である。
【図10】化学物質水系暴露解析システムにおける環境媒体間の化学物質動態のモデル化を示す図である。
【図11】化学物質水系暴露解析システムにおける簡略計算のフローを示す第1のフローチャートである。
【図12】化学物質水系暴露解析システムにおける簡略計算のフローを示す第2のフローチャートである。
【図13】化学物質水系暴露解析システムによる多摩川流域の流量の推定結果を示す図である。
【図14】化学物質水系暴露解析システムによる多摩川流域での地先からのノニルフェノールエトキシレートの排出量の推定結果を示す図である。
【図15】化学物質水系暴露解析システムによる多摩川流域の多摩川流域に立地する下水処理場からのノニルフェノールエトキシレートの排出量の推定結果を示す図である。
【図16】化学物質水系暴露解析システムによる多摩川流域の水中におけるノニルフェノールエトキシレート濃度の推定結果を示す図である。
【図17】化学物質水系暴露解析システムによるノニルフェノールエトキシレートの河川水中濃度の95パーセンタイルの推定結果を示す図である。
【図18】化学物質水系暴露解析システムによるノニルフェノールエトキシレートの河川水中濃度の1mg/mを超過する確率を示す図である。
【図19】化学物質水系暴露解析システムによるノニルフェノールエトキシレートの河川水中濃度の時系列変化を示す図である。
【図20】化学物質水系暴露解析システムによる多摩川流域の田園調布堰におけるノニルフェノールエトキシレートの負荷流出特性の結果を示す図である。
【図21】化学物質水系暴露解析システムによる多摩川流域の田園調布堰におけるノニルフェノールエトキシレートの物質収支および流達率を示す図である。
【図22】簡略濃度推定処理モジュールによる多摩川流域の田園調布堰におけるノニルフェノールエトキシレートの簡略計算の結果を表示する画面例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系の暴露濃度の推計処理を行って画面表示する化学物質水系暴露解析システムであって、
暴露濃度の表示対象とする地域を指定する地域情報を入力する第1入力手段と、
水の用途別全国使用量を入力する第2入力手段と、
排水処理原単位・排水系移行率を入力する第3入力手段と、
地先除去率・下水処理除去率を入力する第4入力手段と、
前記各入力手段から入力された各データおよび物質動態モデルに基づいて各地点の暴露濃度を推計する濃度推計処理手段と、
前記濃度推計処理手段により推計された各地点での暴露濃度を地図上に表示する表示処理手段と
を備えることを特徴とする化学物質水系暴露解析システム。
【請求項2】
請求項1に記載の化学物質水系暴露解析システムにおいて、更に、
水系暴露濃度を簡便に推定する処理を行う推定処理手段と、
前記推定処理手段により処理された結果の数値データを表示する表示手段と
を備えることを特徴とする化学物質水系暴露解析システム。
【請求項3】
請求項1に記載の化学物質水系暴露解析システムにおいて、更に、
生態系への閾値濃度を入力する入力手段と、
前記入力された閾値濃度に対する超過確率を推定する確率推定処理手段と、
前記超過確率に基づき河川流下方向に生態リスクを推定するリスク判定処理手段と、
前記推定された生態リスクを画面上に表示する表示処理手段と
を備えることを特徴とする化学物質水系暴露解析システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−72546(P2006−72546A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−253113(P2004−253113)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)