説明

化学蓄熱器および化学蓄熱装置

【課題】化学蓄熱器および化学蓄熱装置において、発熱量の低下を招くことなく、蓄熱材の容積変化に起因する蓄熱材と容器との間の熱伝達の低下を抑制する。
【解決手段】化学蓄熱装置20は、二重壁構造21fを構成する外側の周壁である外周壁部材21aと、二重壁構造21fを構成する内側の周壁である内周壁部材21bと、外周壁部材21aと内周壁部材21bとの間に形成され、かつ、溶媒分子と発熱を伴って化学反応して溶媒和物となり一方溶媒和物を加熱することで溶媒分子を分離して生成される蓄熱材で充填されている蓄熱材部21eと、を備え、外周壁部材21aおよび内周壁部材21bの少なくとも一方は蓄熱材部21eの膨張・収縮に応じて変形して、外周壁部材21aおよび内周壁部材21bが蓄熱材部21eと常に密着するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学蓄熱器および化学蓄熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学蓄熱器および化学蓄熱装置の一形式として、特許文献1に示されているものが知られている。特許文献1の図3に示されているように、化学蓄熱器および化学蓄熱装置は、エンジン(燃焼装置)から排出される排気ガスが流通する排気管(排気管)の途中に設けられ前記排気ガスを浄化する触媒からなる触媒セラミック部14(触媒部)と、触媒セラミック部14(触媒部)と当接して設けられ水(液体)と化学反応して発熱する蓄熱物質17(蓄熱材)が充填された化学反応蓄熱装置15(蓄熱装置)と、を備えている。この化学蓄熱器および化学蓄熱装置は、冷間時に蓄熱物質17を発熱させるため水18を供給するための導水管部19と、暖機後可逆反応を起こさせ、反応後、水を水蒸気20として外部へ放出する蒸気排出口21を備えている。
【0003】
この化学反応蓄熱装置15では、蓄熱物質17として酸化カルシウムCaOを使用している。酸化カルシウムCaOが水HOと反応して水酸化カルシウムCa(OH)が発熱を伴って生成される(放熱)。逆に、水酸化カルシウムCa(OH)が加熱されると(吸熱反応)、酸化カルシウムCaOと水HOが生成される(蓄熱)。
【0004】
また、化学蓄熱器および化学蓄熱装置の蓄熱材としては、特許文献2に示されているものが知られている。特許文献2の図1に示されているように、化学蓄熱反応部10は、粉体化学蓄熱材12に粘土鉱物であるセピオライト16を所定の割合で混合して成形して得た一次粒子11を、さらにセピオライト16と混合して成形、焼成することで構成されている。これにより、粉体化学蓄熱材12(蓄熱材)間に細孔14が形成された多孔質構造体である一次粒子11間に、反応物、反応生成物の移動経路を成す隙間15が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−208118号公報
【特許文献2】特開2009−132844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の化学蓄熱器および化学蓄熱装置において、発熱反応として酸化カルシウムCaO等の水和反応を利用する場合、水和反応によって蓄熱材が膨張する。一方、発熱後の材料を加熱脱水して再生を行う過程で収縮する。このため、蓄熱材の容積変化によって蓄熱材容器との間に隙間ができ、蓄熱材と容器との間の熱伝達が悪化するという問題がある。
【0007】
特許文献2に記載の蓄熱材によれば、一次粒子11間に隙間15が形成されているので、粉体化学蓄熱材12(蓄熱材)が容積変化しても隙間15で吸収することができる。すなわち、蓄熱材と容器との間の伝熱性を阻害しない構造を蓄熱材自体で確保している。よって、この蓄熱材を使用すれば、上述した特許文献1での問題である、蓄熱材の容積変化に起因する蓄熱材と容器との間の熱伝達の低下を抑制することは可能である。しかし、混合する粘土鉱物の量が多いと材料中の蓄熱材割合が低下し、また粘土鉱物の熱容量が増加するため発熱量自体が低下してしまう可能性がある。
【0008】
本発明は、上述した各問題を解消するためになされたもので、化学蓄熱器および化学蓄熱装置において、発熱量の低下を招くことなく、蓄熱材の容積変化に起因する蓄熱材と容器との間の熱伝達の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る化学蓄熱器の発明は、二重壁構造を構成する外側の周壁である外周壁部材と、二重壁構造を構成する内側の周壁である内周壁部材と、外周壁部材と内周壁部材との間に形成され、かつ、溶媒分子と発熱を伴って化学反応して溶媒和物となり一方溶媒和物を加熱することで溶媒分子を分離して生成される蓄熱材で充填されている蓄熱材部と、を備え、外周壁部材および内周壁部材の少なくとも一方は蓄熱材部の膨張・収縮に応じて変形して、外周壁部材および内周壁部材が蓄熱材部と常に密着するように構成されている。
【0010】
また請求項2に係る発明は、請求項1において、外周壁部材および内周壁部材のうち変形するものは、その周辺の温度に基づいて変形するように構成されている。
【0011】
また請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2において、外周壁部材および内周壁部材のいずれか一方は、気化した前記溶媒が流通する流路を構成し、気化した前記溶媒が入出する孔が複数形成されている。
【0012】
また請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3の何れか一項において、外周壁部材および内周壁部材のうち変形するものは、バイメタルで構成されている。
【0013】
また請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4の何れか一項において、外周壁部材および内周壁部材のいずれか一方は蓄熱材部からの熱を外部の物に伝える伝熱部材であり、他方は蓄熱材部を加熱するための加熱部材である。
【0014】
また請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5の何れか一項において、内周壁部材はその周辺の温度に基づいて変形するように構成され、外周壁部材は変形しない固定形状に構成されている。
【0015】
また請求項7に係る発明は、請求項5において、加熱部材を加熱する電気ヒータをさらに備えている。
【0016】
また請求項8に係る化学蓄熱装置の発明は、請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の化学蓄熱器と、化学蓄熱器と気密的に連通され、かつ内部に貯められた溶媒を気化させて化学蓄熱器に供給し一方加熱された化学蓄熱器から供給される気化された溶媒を凝縮させて溶媒を生成して内部に貯める蒸発凝縮器と、を備えている。
【発明の効果】
【0017】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、蓄熱材部においては、蓄熱材が溶媒分子と反応して溶媒和物が発熱を伴って生成される際(放熱)に、蓄熱材が膨張する。すなわち、蓄熱材が充填された蓄熱材部も全体として膨張する。一方、外周壁部材および内周壁部材の少なくとも一方は蓄熱材部の膨張に応じて変形するため、外周壁部材および内周壁部材が蓄熱材部と常に密着する。
【0018】
また、蓄熱材部においては、溶媒和物が加熱され脱溶媒分子されて、蓄熱材が再生される際(蓄熱)に、蓄熱材は収縮する。すなわち、蓄熱材部も全体として収縮する。一方、外周壁部材および内周壁部材の少なくとも一方は蓄熱材部の収縮に応じて変形するため、外周壁部材および内周壁部材が蓄熱材部と常に密着する。
【0019】
このように、蓄熱材の容積が変化しても、容器を構成する外周壁部材および内周壁部材の少なくとも一方が蓄熱材の容積の変化に対応して変形するので、蓄熱材とその容器との間に隙間を発生するのを抑制することができる。ひいては、蓄熱材の容積変化に起因する蓄熱材と容器との間の熱伝達の低下を抑制することができる。さらに、蓄熱材は従来技術のように混合物を含んでいないので、放熱時に発熱量の低下を招くことなく、十分な発熱量を確保することができる。
【0020】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、請求項1において、外周壁部材および内周壁部材のうち変形するものは、その周辺の温度に基づいて変形するように構成されている。これにより、蓄熱材とその容器との間に隙間を発生するのを、周辺温度に基づいて適切かつ確実に抑制することができる。
【0021】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、請求項1または請求項2において、外周壁部材および内周壁部材のいずれか一方は、気化した溶媒が流通する流路を構成し、気化した前記溶媒が入出する孔が複数形成されている。これにより、外周壁部材および内周壁部材のいずれか一方を気化した溶媒用の流路と兼用することで、装置自体をコンパクトに抑制しつつ的確に気化した溶媒を蓄熱材に供給することができる。
【0022】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、請求項1乃至請求項3の何れか一項において、外周壁部材および内周壁部材のうち変形するものは、バイメタルで構成されている。これにより、簡単な構成で、周辺温度に基づいて変形するように構成できる。また、周辺温度に応じて変形状態ひいては押圧力を適切に調整することができる。
【0023】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、請求項1乃至請求項4の何れか一項において、外周壁部材および内周壁部材のいずれか一方は蓄熱材部からの熱を外部の物に伝える伝熱部材であり、他方は蓄熱材部を加熱するための加熱部材である。これにより、外周壁部材および内周壁部材の一方を放熱(伝熱)専用として、他方を蓄熱(加熱)専用として使用するため、加熱しながら放熱することができる。
【0024】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、請求項1乃至請求項5の何れか一項において、内周壁部材はその周辺の温度に基づいて変形するように構成され、外周壁部材は変形しない固定形状に構成されている。これにより、化学蓄熱器自体を比較的小型にすることができる。
【0025】
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、請求項5において、加熱部材を加熱する電気ヒータをさらに備えている。これにより、簡単な構成かつ制御性よく加熱部材を加熱することができる。
【0026】
上記のように構成した請求項8に係る発明においては、請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の化学蓄熱器と、化学蓄熱器と気密的に連通され、かつ内部に貯められた溶媒を気化させて化学蓄熱器に供給し一方加熱された化学蓄熱器から供給される気化された溶媒を凝縮させて溶媒を生成して内部に貯める蒸発凝縮器と、を備えている。これにより、上述した請求項1から請求項7の作用・効果を得ることができる、化学蓄熱器と蒸発凝縮器とからなる化学蓄熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による化学蓄熱器および化学蓄熱装置を適用した第1の実施形態を示す概要図である。
【図2】図1に示した化学蓄熱装置の構成を示す概要図である。
【図3】図3は蓄熱時の化学蓄熱器の状態を示す断面図であり、図3(a)は縦断面図であり図3(b)は横断面図である。
【図4】図4は放熱時の化学蓄熱器の状態を示す断面図であり、図4(a)は縦断面図であり図4(b)は横断面図である。
【図5】本発明による化学蓄熱装置を適用した第2の実施形態を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
1)第1の実施形態
以下、本発明による化学蓄熱器および化学蓄熱装置の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は化学蓄熱装置20を電気自動車M1に適用した状態を示す概要図であり、図2は化学蓄熱装置20の構成を示す概要図であり、図3は蓄熱時の化学蓄熱器の状態を示す断面図であり、図4は放熱時の化学蓄熱器の状態を示す断面図である。図3(a)は縦断面図であり図3(b)は横断面図であり、図4(a)は縦断面図であり図4(b)は横断面図である。
【0029】
電気自動車M1は、図1に示すように、駆動源としての電気モータ11と、電気モータ11に電力を供給するバッテリ12と、車内を暖房するための化学蓄熱装置20と、を備えている。
【0030】
化学蓄熱装置20は、主として図2に示すように、化学蓄熱器21、蒸発凝縮器22、連結管23、およびバルブ24を含んで構成されている。
【0031】
化学蓄熱器21は、外周壁部材21a、内周壁部材21b、側壁部材21c、側壁部材21d、および蓄熱材部21eを含んで構成されている。
【0032】
外周壁部材21aは、二重壁構造21fを構成する外側の周壁であり、円筒状に形成されている。外周壁部材21aは、円筒状でなく、断面四角形状などの角筒状でもよい。外周壁部材21aは、金属材など伝熱性のよいもので形成されている。また、外周壁部材21aは、後述する蓄熱材部21eに当接しており、蓄熱材部21eからの熱(すなわち蓄熱材部21eで発生した熱)を外部の物(本実施形態では電気自動車M1の室内空気)に伝える伝熱部材である。
【0033】
内周壁部材21bは、外周壁部材21aの内側に配設され、二重壁構造21fを構成する内側の周壁である。内周壁部材21bは円筒状に形成されている。内周壁部材21bは円筒状でなく、断面四角形状などの角筒状でもよい。
【0034】
内周壁部材21bは、その周辺の温度に基づいて変形するように構成されている。本実施形態では、内周壁部材21bはバイメタルで構成されている。具体的には、内周壁部材21bは、熱膨張率が異なる2枚の金属板を重ねて円筒状に丸め、両端部が重なるようにし、その状態で2枚の金属板を貼り合わせて形成される。なお、両端部はフリーである。このとき、熱膨張率が大きい金属板が内側に配設されている。よって、温度が高くなると内周壁部材21bの内径が拡張するように変形し、温度が低くなると内周壁部材21bの内径が収縮するように変形する。なお、内径が拡張した場合、収縮したときと比較して両端部の重なる部分の長さは短くなる。
【0035】
また、内周壁部材21bは、熱膨張率が異なる2枚の金属板を重ねて円筒状に巻いて、何重にも重なるようにして、その状態で2枚の金属板を貼り合わせて形成するようにしてもよい。
【0036】
内周壁部材21bは、気化した水(溶媒)すなわち水蒸気が流通する流路を構成し、水蒸気(気化した溶媒)が入出する孔21b1が複数形成されている。孔21b1の内径は、蓄熱材21e1の外形より小さく設定されており、蓄熱材21e1が内周壁部材21b内に入らないようになっている。
【0037】
側壁部材21cは、外周壁部材21aの一方の開口を塞ぐ板状に形成された部材である。側壁部材21cの一側面は、外周壁部材21aの一方の開口端に溶接などにより接続固定されている。側壁部材21dは、外周壁部材21aの他方の開口を塞ぐ板状に形成された部材である。側壁部材21dの一側面は、外周壁部材21aの他方の開口端に溶接などにより接続固定されている。側壁部材21dは、貫通する貫通穴21d1が形成されている。貫通穴21d1には、連結管23の一端が接続されている。
【0038】
内周壁部材21bの両開口端は、側壁部材21cおよび側壁部材21dに接続固定されていない。また、内周壁部材21bの一方の開口端は、側壁部材21cの側面に当接するかあるいは若干の隙間をおくように設定されている。さらに、内周壁部材21bの他方の開口端は、側壁部材21dの側面に当接するかあるいは若干の隙間をおくように設定されている。内周壁部材21bの他方の開口端は、側壁部材21dの貫通穴21d1を覆うように配設されている。さらに、内周壁部材21bが収縮した状態において、内周壁部材21bの内径が貫通穴21d1の内径より大きくなるように設定されている。
【0039】
内周壁部材21bには、図2に示すように、内周壁部材21bを加熱する加熱装置である電気ヒータ21gが設けられている。電気ヒータ21gは通電されて発熱するものである。電気ヒータ21gはヒータ制御装置31を介してバッテリ12に接続されており、バッテリ12からの通電・非通電はヒータ制御装置31により制御されている。ヒータ制御装置31はECU32により制御されている。このように、電気ヒータ21gが設けられている内周壁部材21bは、内周壁部材21bに当接する蓄熱材部21eを加熱するための加熱部材である。
【0040】
外周壁部材21a、内周壁部材21b、側壁部材21cおよび側壁部材21dにより形成されている空間には、粒状の蓄熱材21e1が充填されている。この蓄熱材21e1が充填されている部分が蓄熱材部21eである。
【0041】
蓄熱材21e1は、溶媒分子と発熱を伴って化学反応(溶媒和)して溶媒和物となり、一方、溶媒和物を加熱することで溶媒分子を分離して生成されるものである。例えば、蓄熱材としては、酸化カルシウムCaO、酸化マグネシウムMgOなどがある。この蓄熱材と化学反応する溶媒としては、水、アルコールなどがある。
【0042】
本実施形態では、酸化カルシウムCaOが水HOと反応して溶媒和物(水和物)である水酸化カルシウムCa(OH)が発熱を伴って生成される。すなわち、酸化カルシウムが水和反応するのである。このとき、化学蓄熱器21では放熱が行われるとともに、蓄熱材21e1は容積が増大し蓄熱材部21eも全体として容積が増大する。逆に、水酸化カルシウムCa(OH)が加熱されると(吸熱反応)、酸化カルシウムCaOと水HOが生成される。このとき、化学蓄熱器21では蓄熱が行われるとともに、蓄熱材21e1は容積が減少し蓄熱材部21eも全体として容積が減少する。
【0043】
このように構成された化学蓄熱器21には、図2に示すように、加熱流路25が設けられている。加熱流路25は、外周壁部材21aをその一部として構成されており、外周壁部材21aを覆うように構成されている。加熱流路25は、外周壁部材21aと一部を兼用することなく、独立した部材で構成するようにしてもよい。この場合、加熱流路は外周壁部材21aと当接して設けるのが好ましい。
【0044】
加熱流路25は流入口25aと流出口25bを備えている。流入口25aは電気自動車M1の室内の空気を導入する。化学蓄熱器21が放熱状態にあるとき、導入された空気は外周壁部材21aを介して加熱される。加熱された空気は、流出口25bから電気自動車M1の室内に戻される。
【0045】
蒸発凝縮器22は、化学蓄熱器21と気密的に連通され、かつ内部に貯められた溶媒(例えば水)を気化させて化学蓄熱器21に供給し、一方、加熱された化学蓄熱器21から供給される気化された溶媒(例えば水蒸気)を凝縮させて溶媒(例えば水)を生成して内部に貯めるものである。蒸発凝縮器22は、連結管23の他端が接続されており、化学蓄熱器21と気密的に連通されている。化学蓄熱器21、蒸発凝縮器22および連結管23は、ほぼ真空状態となっている。
【0046】
なお、蒸発凝縮器22は、外気(車両の室内の空気でも、車両外の空気でもよい)との熱交換を高めるためにフィンを設けるようにしてもよい。また、蒸発凝縮器22は、電気ヒータを設けるようにしてもよい。蒸発凝縮器22に貯められている溶媒を電気ヒータにより加熱して蒸発させ飽和蒸気圧を高めることで、その水蒸気を連結管23を介して化学蓄熱器21に早期に供給することができる。
【0047】
バルブ24は、連結管23上に設けられており、連結管23を開閉するものである。バルブ24はECU32に接続されており、ECU32によって開閉制御されている。
【0048】
次に、このように構成された化学蓄熱装置20の作動について図3および図4を参照して説明する。
【0049】
最初に、蓄熱時について図3を参照して説明する。蓄熱時には、電気ヒータ21gが通電されて、内周壁部材21bが加熱されるとともに、蓄熱材部21eが加熱される。また、連結管23のバルブ24は開状態とされている。蓄熱材21e1が溶媒物和して溶媒和物となっていた場合には、内周壁部材21bの加熱により、溶媒分子が分離する化学反応(吸熱反応)を起こして蓄熱する。具体的には、水酸化カルシウムが酸化カルシウムと水(水蒸気)となる。発生した水蒸気は、孔21b1を通って内周壁部材21bに流出する(図3の矢印で示す)。さらに、その水蒸気は、加熱により化学蓄熱器21内の圧力が高くなるため、連結管23を通って蒸発凝縮器22に供給される。蒸発凝縮器22にて、水蒸気が凝縮され、その凝縮水が貯められる。
【0050】
このとき、蓄熱材21e1は容積が減少し、ひいては蓄熱材部21eは容積が減少する。一方、内周壁部材21bは加熱されると、温度に応じて拡張されるため、蓄熱材部21eの容積減少に応じて内周壁部材21bが膨張することとなる。よって、内周壁部材21bが蓄熱材部21eに常に密着するようになっている。これと同時に、内周壁部材21bが拡張する方向に付勢されているため、蓄熱材部21eを拡張する方向に押圧することで、外周壁部材21aも蓄熱材部21eに常に密着するようになっている。
【0051】
次に放熱時について図4を参照して説明する。放熱時には、連結管23のバルブ24は開状態とされている。これにより、化学蓄熱器21内は、溶媒和物となっていない蓄熱材21e1(酸化カルシウム)が水蒸気と反応するため、水蒸気圧が低い状態にあるが、蒸発凝縮器22と連結されることで、蒸発凝縮器22内の水蒸気が水蒸気圧の低い化学蓄熱器21に流れ込む。そうすると、水蒸気は、孔21b1を通って蓄熱材部21eに流入し、次々と酸化カルシウムと化学反応して発熱する。これと同時に、蒸発凝縮器22では水蒸気が発生され、その水蒸気が蒸発凝縮器22から化学蓄熱器21に供給される。このように、化学蓄熱器21で放熱が行われる。
【0052】
このとき、蓄熱材21e1は容積が増大し、ひいては蓄熱材部21eは容積が増大する。一方、内周壁部材21bは加熱されると、温度に応じて拡張されるが、その拡張に抗して、蓄熱材部21eの容積増大に応じて内周壁部材21bが押圧されるため、内周壁部材21bが収縮することとなる。よって、内周壁部材21bが蓄熱材部21eに常に密着するようになっている。これと同時に、蓄熱材部21eの容積増大に応じて外周壁部材21aが押圧されることで、外周壁部材21aも蓄熱材部21eに常に密着するようになっている。
【0053】
上述した説明から明らかなように、本実施形態に係る化学蓄熱装置においては、蓄熱材部21eにおいて、蓄熱材21e1が溶媒分子(水分子)と反応して溶媒和物(水酸化カルシウム)が発熱を伴って生成される際(放熱)に、蓄熱材21e1が膨張する。すなわち、蓄熱材21e1が充填された蓄熱材部21eも全体として膨張する。一方、内周壁部材21bは蓄熱材部21eの膨張に応じて変形するため、外周壁部材21aおよび内周壁部材21bが蓄熱材部21eと常に密着する。
【0054】
また、蓄熱材部21eにおいては、溶媒和物(水酸化カルシウム)が加熱され脱溶媒分子されて、蓄熱材21e1が再生される際(蓄熱)に、蓄熱材21e1は収縮する。すなわち、蓄熱材部21eも全体として収縮する。一方、内周壁部材21bは蓄熱材部21eの収縮に応じて変形するため、外周壁部材21aおよび内周壁部材21bが蓄熱材部21eと常に密着する。
【0055】
このように、蓄熱材21eの容積が変化しても、容器を構成する内周壁部材21bが蓄熱材21eの容積の変化に対応して変形するので、蓄熱材21eとその容器との間に隙間を発生するのを抑制することができる。ひいては、蓄熱材21eの容積変化に起因する蓄熱材21eと容器との間の熱伝達の低下を抑制することができる。さらに、蓄熱材21eは従来技術のように混合物を含んでいないので、放熱時に発熱量の低下を招くことなく、十分な発熱量を確保することができる。
【0056】
また、変形する内周壁部材21bは、その周辺の温度に基づいて変形するように構成されている。これにより、蓄熱材21eとその容器との間に隙間を発生するのを、周辺温度に基づいて適切かつ確実に抑制することができる。
【0057】
また、内周壁部材21bは、気化した溶媒が流通する流路を構成し、気化した溶媒が入出する孔21b1が複数形成されている。これにより、内周壁部材21bを気化した溶媒用の流路と兼用することで、装置自体をコンパクトに抑制しつつ的確に気化した溶媒を蓄熱材に供給することができる。
【0058】
また、変形する内周壁部材21bは、バイメタルで構成されている。これにより、簡単な構成で、周辺温度に基づいて変形するように構成できる。また、周辺温度に応じて変形状態ひいては押圧力を適切に調整することができる。
【0059】
また、外周壁部材21aは蓄熱材部21eからの熱を外部の物に伝える伝熱部材であり、内周壁部材21bは蓄熱材部21eを加熱するための加熱部材である。これにより、外周壁部材21aを放熱(伝熱)専用として、内周壁部材21bを蓄熱(加熱)専用として使用するため、加熱しながら放熱することができる。
【0060】
また、内周壁部材21bはその周辺の温度に基づいて変形するように構成され、外周壁部材21aは変形しない固定形状に構成されている。これにより、化学蓄熱器21自体を比較的小型にすることができる。
【0061】
また、内周壁部材21b(加熱部材)を加熱する電気ヒータ21gをさらに備えている。これにより、簡単な構成かつ制御性よく加熱部材を加熱することができる。
【0062】
また、化学蓄熱器21と、化学蓄熱器21と気密的に連通され、かつ内部に貯められた溶媒を気化させて化学蓄熱器21に供給し一方加熱された化学蓄熱器21から供給される気化された溶媒を凝縮させて溶媒を生成して内部に貯める蒸発凝縮器22と、を備えている。これにより、上述した作用効果を得ることができる、化学蓄熱器21と蒸発凝縮器22とからなる化学蓄熱装置20を提供することができる。
【0063】
なお、上述した実施形態においては、内周壁部材21bを周辺温度に基づいて変形するようにしたが、外周壁部材21aを周辺温度に基づいて変形するようにしてもよい。この場合、内周壁部材21bを伝熱部材とし、内周壁部材21bを加熱流路25として使用すればよい。また、外周壁部材21aを加熱部材とし、外周壁部材21aの外周に水蒸気流路を形成すればよい。このとき、外周壁部材21aに複数の孔を設けるのが好ましい。
【0064】
また、内周壁部材21bおよび外周壁部材21aを周辺温度に基づいて変形するようにしてもよい。なお、外周壁部材21aおよび内周壁部材21bの一方を伝熱部材として他方を加熱部材とするのが好ましい。
【0065】
また、上述した実施形態においては、外周壁部材21aおよび内周壁部材21bのうち変形するものをバイメタルで構成するようにしたが、形状記憶合金で構成するようにしてもよい。内周壁部材21bが変形する場合には、蓄熱時および放熱時に拡張するようにするのが好ましく、蓄熱時および放熱時の温度(例えば300℃から400℃)以下の温度で拡張するように設定するのが好ましい。
【0066】
また、上述した実施形態においては、内周壁部材21bが変形する場合には、内周壁部材21bを径方向に伸縮自在に形成し、内部に径方向に付勢する付勢部材を設けて、常に拡張する方向に付勢する部材を内周壁部材21bに使用するようにしてもよい。
【0067】
2)第2の実施形態
以下、本発明による化学蓄熱器および化学蓄熱装置の一実施形態について図5を参照して説明する。本第2の実施形態は、化学蓄熱装置をエンジンを搭載した車両の触媒暖機システムに適用した場合である。
【0068】
触媒暖機システムは、車両のエンジン111(燃焼装置)に接続されその排気ガスを排出(流通)させるメイン排気管112と、メイン排気管112の途中に設けられ前記排気ガスを浄化する触媒を有するメイン触媒部113と、エンジン111とメイン触媒部113との間に配設されメイン排気管112に並設して接続されたサブ排気管114と、サブ排気管114の途中に設けられた触媒暖気装置120と、エンジン111からの排気ガスの流路を切り替える切替装置115と、を備えている。
【0069】
エンジン111は、燃料(例えばガソリン)が酸化剤ガス(例えば空気(酸素を含んでいる))で燃焼されて排気ガスを排出するものである。メイン触媒部113の触媒は、例えば金属担体に触媒を担持させたものであり、触媒量はサブ触媒部135より多く、触媒能力(排気ガスを浄化する量)もサブ触媒部135より高いものである。サブ排気管114は、メイン排気管112から分岐しその後再び合流している。なお、メイン触媒部113の触媒は、金属担体ではなくセラミックス担体でもよい。
【0070】
切替装置115は、3つの開閉弁115a,115b,115cから構成されている。開閉弁115aは、メイン排気管112であってサブ排気管114との分岐点と合流点の間に配設されている。開閉弁115bは、2つの分岐したサブ排気管114のうち内筒121の導入口121b1に連通されたものに配設されている。開閉弁115cは、2つの分岐したサブ排気管114のうち外筒122の導入口122b1に連通されたものに配設されている。これら開閉弁115a,115b,115cは、制御装置の指令により開閉されるものである。
【0071】
触媒暖機装置120は、排気ガスを浄化する触媒を有するサブ触媒部135を暖機するとともに、排気ガス流の下流に配置されているメイン触媒部113も暖機するものである。触媒暖機装置120は、内筒121、外筒122、反応器123および蒸発凝縮装置124を備えている。暖機とは、メイン触媒部113およびサブ触媒部135の温度が触媒活性温度域に達するまで加熱することをいう。
【0072】
反応器123は、蓄熱装置130とサブ触媒部135(触媒部)とを備えている。蓄熱装置130は、基本的には上述した化学蓄熱器21と同様なものである。
【0073】
内筒121と外筒122との間には、排気ガスが流通する外側空間R2が軸方向に沿って形成されている。外側空間R2の一方(一端)の開口(導入部122bの開口)には排気ガスを導入する導入口122b1が形成されており、導入口122b1は上流側のサブ排気管114に接続されている。外側空間R2の他方(他端)は端壁で閉塞されている。また、内筒121には、内側空間R1と外側空間R2を連通する連通穴121a2が形成されている。よって、上流側のサブ排気管114から導入口122b1を通って外側空間R2に流入した排気ガスは、外側空間R2を流通した後、連通穴121a2を通って外側空間R2から内側空間R1に流入し、内側空間R1に配設された反応器123を通過し、導出口121c1を通って下流側のサブ排気管114に流出する。外側空間R2は、折り返し流路を備えている。
【0074】
蒸発凝縮装置124は、基本的には上述した蒸発凝縮器22と同様なものである。蒸発凝縮装置124は、外筒122に当接して設けられ蓄熱装置130と気密的に連通され、かつ内部に貯められている液体(例えば水)を加熱することで蒸発させて蓄熱装置130に供給し一方加熱された蓄熱装置130から供給される気体(例えば気化した前記溶媒)を凝縮させて液体(例えば水)を生成して内部に貯めるものである。蒸発凝縮装置124は、接続管58を介して蓄熱装置130と気密的に連通されている。
【0075】
次に、上述したように構成された触媒暖機装置120および触媒暖機システムの作動について説明する。
【0076】
最初に放熱時について説明する。蓄熱装置130で放熱させる場合、開閉弁115aと開閉弁115bを閉状態とするとともに、開閉弁115cを開状態とする。これにより、排気ガスは、内側空間R1を介さないで外側空間R2(折り返し流路41)に直接流入し蒸発凝縮装置124を加熱し、その後連通穴121a2を通って内側空間R1に流入しサブ触媒部135および蓄熱装置130を通って流出する。
【0077】
このとき、エンジン111の始動開始当初であってエンジン111からの比較的低温の排気ガスは内側空間R1を介さないで外側空間R2に直接流入することで、蒸発凝縮装置124が加熱される。その結果、蒸発凝縮装置124内部の液体が、加熱されることで蒸発して蓄熱装置130に供給される。そして蓄熱材30a(酸化カルシウム)と気化された液体とが化学反応して発熱して蓄熱装置130で放熱する。その熱により蓄熱装置130に当接するサブ触媒部135が加熱される。
【0078】
一方、蒸発凝縮装置124と熱交換した後の排気ガスは、連通穴121a2を通って内側空間R1に流入し蓄熱装置130で加熱されて流出する。このとき、蓄熱装置130による加熱によってサブ触媒部135が活性温度域まで達すると、排気ガスと触媒反応するようになる。そうすると、排気ガスは、蓄熱装置130の発熱に加えて排気ガスとの触媒反応による発熱が加わり、より高温の排気ガスがメイン触媒部113に供給される。
【0079】
このように、触媒暖機装置120から供給される高温の排気ガスによって、メイン触媒部113の触媒は加熱され暖機される。その結果触媒の温度は触媒温度域に到達する。また、メイン触媒部113の触媒が活性温度域まで達すると、排気ガスと触媒反応するようになり発熱し、メイン触媒部113の自らの発熱も加わって加熱される。
【0080】
その後、メイン触媒部113の温度が活性温度域になれば、開閉弁115bと開閉弁115cを閉状態とするとともに、開閉弁115aを開状態とする。これにより、エンジン111からの排気ガスをメイン排気管112を介して活性温度域に達したメイン触媒部113に流通させ、触媒反応によりメイン触媒部113が加熱される。
【0081】
次に、蓄熱時について説明する。この蓄熱時は、エンジン111の始動後、サブ触媒部135およびメイン触媒部113の暖機が終了した時点であってエンジン111が運転中である場合に実行される。蓄熱装置130で蓄熱させる場合、開閉弁115cを閉状態とするとともに、開閉弁115aと開閉弁115bを開状態とする。これにより、エンジン111からの比較的高温である排気ガスが内側空間R1に直接流入しサブ触媒部135および蓄熱装置130を通って流出される。
【0082】
このように、排気ガスが蓄熱装置130を通過することで、液体と化学反応した蓄熱材30a(反応物:水酸化カルシウム)は、排気ガスの熱により液体が気体化して分離する化学反応(吸熱反応)を起こして蓄熱する。このとき、蓄熱装置130から蒸発凝縮装置124に供給された気体は凝縮されて液体となり蒸発凝縮装置124内部に貯められる。
【0083】
本第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0084】
11…モータ、12…バッテリ、20…化学蓄熱装置、21…化学蓄熱器、21a…外周壁部材、21b…内周壁部材、21c…側壁部材、21d…側壁部材、21e…蓄熱材部、21e1…蓄熱材、22…蒸発凝縮器、23…連結管、24…バルブ、111…エンジン、112…メイン排気管(排気管)、113…メイン触媒部、114…サブ排気管、115…切替装置、120…触媒暖機装置、121…内筒、121a2…連通穴、122…外筒、123…反応器、124…蒸発凝縮装置、130…蓄熱装置、135…サブ触媒部(触媒部)、内側空間…R1、外側空間…R2。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重壁構造を構成する外側の周壁である外周壁部材と、
前記二重壁構造を構成する内側の周壁である内周壁部材と、
前記外周壁部材と前記内周壁部材との間に形成され、かつ、溶媒分子と発熱を伴って化学反応して溶媒和物となり一方前記溶媒和物を加熱することで前記溶媒分子を分離して生成される蓄熱材で充填されている蓄熱材部と、を備え、
前記外周壁部材および前記内周壁部材の少なくとも一方は前記蓄熱材部の膨張・収縮に応じて変形して、前記外周壁部材および前記内周壁部材が前記蓄熱材部と常に密着するように構成された化学蓄熱器。
【請求項2】
請求項1において、前記外周壁部材および前記内周壁部材のうち変形するものは、その周辺の温度に基づいて変形するように構成された化学蓄熱器。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記外周壁部材および前記内周壁部材のいずれか一方は、気化した前記溶媒が流通する流路を構成し、気化した前記溶媒が入出する孔が複数形成された化学蓄熱器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項において、前記外周壁部材および前記内周壁部材のうち変形するものは、バイメタルで構成された化学蓄熱器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項において、前記外周壁部材および前記内周壁部材のいずれか一方は前記蓄熱材部からの熱を外部の物に伝える伝熱部材であり、他方は前記蓄熱材部を加熱するための加熱部材である化学蓄熱器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項において、
前記内周壁部材はその周辺の温度に基づいて変形するように構成され、
前記外周壁部材は変形しない固定形状に構成された化学蓄熱器。
【請求項7】
請求項5において、前記加熱部材を加熱する電気ヒータをさらに備えた化学蓄熱器。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の化学蓄熱器と、
前記化学蓄熱器と気密的に連通され、かつ内部に貯められた溶媒を気化させて前記化学蓄熱器に供給し一方加熱された前記化学蓄熱器から供給される気化された前記溶媒を凝縮させて前記溶媒を生成して内部に貯める蒸発凝縮器と、を備えた化学蓄熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−97996(P2012−97996A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247821(P2010−247821)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)