説明

化粧台

【課題】化粧のしやすい姿勢で化粧を容易にすることができ、さらに化粧空間の中央部に設置することができ、化粧空間を仕切ることができる化粧台を提供する。
【解決手段】 カウンター2と、カウンター2の上面から上方に突出し正面側に鏡を備えた仕切板3とからなる化粧台1のカウンター正面部と仕切板正面部との間隔が300mm〜400mmの範囲で形成されている。仕切板3の内部に照明装置4が設けられ、仕切板3の表面部は、鏡部5と、照明装置4の光を透過する透過部6を有し、表面部は継ぎ目レスの板材で構成される。仕切板3の横幅はカウンター2の横幅よりも短く、仕切板3のいずれか一方又は両方の側を介してカウンター2越しに化粧台1の背面側の空間を認識できるとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧がしやすい化粧台に関する。また、化粧空間の中央部に設置することで化粧空間を仕切ることができる化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カウンターとカウンターの上面に鏡が突出した化粧台は提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−82390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、鏡の位置や大きさに考慮はなされていても、化粧をする姿勢や照明、鏡、収納など化粧のしやすさに配慮した化粧台は提案されていなかった。また、従来の化粧台は化粧台の背面を部屋の壁面に相対して壁面に沿って設置することを前提として設計されている。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑み、化粧のしやすい姿勢で化粧を容易にすることができる化粧台を提供することを課題とする。さらには、化粧空間の中央部に設置することができ、化粧空間を仕切ることができる化粧台を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、カウンターと、該カウンターの上面から上方に突出し正面側に鏡を備えた仕切板とからなる化粧台であって、カウンター正面部と仕切板正面部との間隔が300mm〜400mmの範囲で形成されていることを特徴とする化粧台により解決される。
【0007】
この化粧台では、カウンター正面部と鏡を備えた仕切板正面部との間隔が300mm〜400mmの範囲で形成されているので、カウンターの正面に座ったときに、仕切板正面部に備えられた鏡までの適切な距離が確保されるので、カウンターの正面に座り仕切板正面部の鏡に向かって化粧をする場合に、カウンターの正面に座って化粧をするだけで、化粧の具合を確かめるためにわざわざ鏡に近寄らなくてもよい。
【0008】
上記の化粧台において、照明装置が設けられているとよい。
【0009】
化粧台に照明装置が設けられていることで、化粧の時に必要な照明を容易に確保することができ、別途照明装置を用意する必要がなく、また化粧空間内の天井に設けられたシーリングライトなどの照明をたよりに化粧を行う必要もない。
【0010】
上記の化粧台において、カウンターと仕切板との間には引き出し式の収納部が設けられているとよい。
【0011】
カウンターと仕切板の間に引き出し式の収納部が設けられているので、化粧台の前に座って化粧をしているときでも、収納物の取り出しを容易にすることができる。カウンターの下に引き出し式の収納部を設けてしまうと、収納部を引き出して収納物を取り出すときには、体を反らせたり、体の位置を変えなければならないが、体を動かしたりしにくい化粧中であっても、本発明の化粧台であれば容易に収納部を引き出して収納物を取り出すことができる。
【0012】
上記の化粧台において、仕切板の横幅はカウンターの横幅よりも短く、仕切板のいずれか一方又は両方の側を介してカウンター越しに化粧台の背面側の空間を認識することができるとよい。
【0013】
仕切板のいずれか一方又は両方の側を介してカウンター越しに化粧台の背面側の空間を認識することができるので、化粧空間の中央部にこの化粧台を設置すると、化粧をしながらであっても、化粧台の背面側の空間を認識することができる。
【0014】
上記の化粧台において、化粧台のカウンターの一方の端部には、給水栓と水を受ける洗面ボウルからなる洗面部が設けられ、洗面部はカウンターの正面側、背面側、側面側の3方向からアクセス可能であるとよい。
【0015】
この化粧台には洗面部が設けられているので、化粧台で化粧をしながら洗面部で手や顔を洗ったりすることができ、さらに、洗面部はカウンターの正面側、背面側、側面側の3方向からアクセス可能であるため、化粧台の正面側からだけでなく、この化粧台で仕切られた化粧空間のさまざまな場所から洗面部を利用することができる。
【0016】
上記の化粧台において、前記仕切板の内部に前記照明装置が設けられ、前記仕切板の表面部は、鏡部と、照明装置の光を透過する透過部を有し、表面部は継ぎ目レスの板材からなっているとよい。
【0017】
化粧台に設けられる照明装置が仕切板の内部に設けられており、仕切板の表面部が、鏡部と照明装置の光を透過する透過部を有する構造になっているので、化粧台は照明装置を備えながら、化粧台の納まりをすっきりとしたものにすることができる。また、仕切板の表面部が、鏡部と照明装置の光を透過する透過部を有しているので、鏡に顔を映したときに効果的に照明を顔に受けることができ、化粧時に化粧の状態を確実に把握することができる。さらに、仕切板の表面部が継ぎ目レスとなっているので、仕切板が一枚板で形成されていることが認識され、仕切板がすっきりとした表面部を構成することができ、清掃も容易に行うことができる。
【0018】
上記の化粧台において、透過部がサンド加工されているとよい。
【0019】
透過部がサンド加工されているので、透過部を介して照らされる照明装置の照明の光が透過部のサンド加工により乱反射されるため、照明装置の照明が柔らかな照明となり、化粧時に直接照明が目に入ってしまう不快感を防止することができる。また、サンド加工により照明装置が直接目視されることが妨げられるため、化粧台は照明装置が見えないすっきりとした意匠を実現することができる。
【0020】
上記の化粧台において、化粧台に設けられる照明装置の透過部を介して照射される照明は、色温度が5000ケルビン以上、照度が550ルクス〜650ルクス、平均演色評価指数が85〜100であるとよい。
【0021】
照明装置の透過部を介して照射される照明の色温度、照度、平均演色評価指数がそれぞれ5000ケルビン以上、550ルクス〜650ルクス、85〜100となっているので、化粧をするのに最適な照明を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は以上のとおりであるから、化粧のしやすい姿勢で化粧を容易にすることができる化粧台を提供することができる。さらに、化粧空間の中央部に設置することができ、化粧空間を仕切ることができる化粧台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態の化粧台を示す斜視図である。
【図2】図(イ)は、仕切板の鏡部と透過部の構成を示す断面平面図、図(ロ)は、仕切板の構成を示す断面平面図である。
【図3】化粧台が設置される化粧空間が適用される住宅の1階平面図である。
【図4】化粧空間を示す図3の一部拡大平面図である。
【図5】化粧空間を示す、図4のA−A線断面側面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態である化粧台を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1に示す本発明の第1の実施形態である化粧台1において、2はカウンター、3は仕切板、4は照明装置、7は収納部、8は洗面部である。
【0026】
化粧台1は、横方向に伸びた幅広のカウンター2と、カウンター2の上面から上方に向けて突出し、化粧台1の正面側に鏡部5を備えた平板状の仕切板3からなる。仕切板3は、その横幅がカウンター2の横幅よりも短く、カウンター2の中央部に設けられている。化粧をする人は、仕切板3の両側及び上方の仕切板3で仕切られていない空間を介して、化粧台3で仕切られた化粧台1の背面側の空間を認識することができる。また、後述するように、仕切板3で仕切られていない空間を介して、化粧台1の背面側より洗面部8へのアクセスが可能となっている。
【0027】
図1、図2(ロ)に示すように、仕切板3の内部には照明装置4,4として直管型の蛍光灯が縦方向に配置されている。仕切板3の正面側301は全面が鏡部5で覆われ、鏡部5の端部よりの一部がそれぞれ縦方向に、仕切板3の内部に配置された照明装置4,4の照明を透過する透過部6となっている。
【0028】
仕切板3の鏡部5と透過部6の構成は、図2(イ)に示すように、正面側301に備えられた継ぎ目レスのガラス板302の背面側303に鏡部5を形成するための銀引き処理304がされ、透過部が形成されるところには、銀引き処理304がされずに、サンド加工305がなされている。306は、銀引き処理304の剥がれなどによる腐食を防ぐ背面処理と鏡部5と透過部6の境界をきれいに見せるためになされるカラー塗装である。
【0029】
銀引き処理304とカラー塗装306により、鏡部5は鏡としての効果を発揮し、透過部6に施されたサンド加工305により、仕切板3の内部に設けられた照明装置4の照明がサンド加工305による乱反射と目隠し効果により、光源としての照明装置が直接見えない状態で、透過部6を介して照射される照明装置4の光を拡散した穏やかな光として照射している。
【0030】
また、鏡は、通常のガラスを使用したのでは、ガラスに含まれる微量の金属が原因で青みがかった色調に映ってしまうのを、純度の高いガラスを採用することで、正確な顔色を確認しながら化粧をすることを可能にしている。
【0031】
なお、透過部4の高さ方向の長さは照明装置4としての直管型蛍光灯の長さ寸法より短く設定され、直管型蛍光灯の両端部が透過部4から隠れるようになされている。蛍光灯は使用によりその端部が黒ずんでしまうため、蛍光灯の端部を隠すことにより、蛍光灯が使用により劣化し端部部分が黒ずんでしまっても、透過部6を介しては蛍光灯の端部が黒ずんだことが認識されない。
【0032】
透過部6を介して照射される照明装置の照明は、色温度が5000ケルビン以上、照度が550ルクス〜650ルクス、平均演色評価指数が85〜100となるように設定されている。色温度を5000ケルビン以上に設定することで、肌を白く自然に見せることができることから、化粧をする際の照明の色温度としては最適となる。また、照度を550ルクス〜650ルクスに設定することで、化粧台という局所照明であっても、化粧台が設置される空間の照度に影響されず、化粧をするために必要な照度を確保することができる。また、平均演色評価指数を85〜100に設置することで、自然光に近い光を実現することができ、化粧をするのに適した演色性を確保することができる。
【0033】
仕切板3はカウンター2に対して、カウンター2の正面部の前縁部2aから仕切板3の正面部の表面までの距離が、化粧時に化粧をする人が前屈みにならなくても、鏡に自分の顔を十分に映しながら化粧が行える距離である、例えば300〜400cm、特に350mmとなるように設けられている。
【0034】
化粧台1の一方の端部には、洗面部8が設けられている。洗面部8は、給水栓9と水を受ける洗面ボウル10からなり、給水栓9及び洗面ボウル10は、化粧台1の正面側、背面側、側面側の3方向から使用できるようにアクセス可能となっている。
【0035】
カウンター2と仕切板3との間には、洗面部8と一体となった収納部7が設けられている。収納部7は、複数の引き出し式の収納庫11‥で構成され、一部の収納庫11の上面11aは、内部の収納物が確認できるようにガラスなどの透過性の材料で覆われており、収納庫11‥を単なる収納するためだけのスペースとして利用するのではなく、大切なモノやお気に入りのモノなどを飾り、眺めるためのスペースとしても活用することができる。また、一部の収納庫11の上面は、周辺部より一段低い凹部11bが設けられ、普段使うアイテムを並べておくことができるようになされ、使用時にすぐに手に取ることができ、また、デザインのよいボトルなどを飾って楽しむことができる。なお、カウンター2の下面に設けられた12‥は、引き出し式の収納ケースである。
【0036】
この化粧台では、カウンター正面部と鏡を備えた仕切板正面部との間隔が300mm〜400mmの範囲で形成されているので、カウンターの正面に座ったときに、仕切板正面部に備えられた鏡までの適切な距離が確保されるので、カウンターの正面に座り仕切板正面部の鏡に向かって化粧をする場合に、カウンターの正面に座って化粧をするだけで、化粧の具合を確かめるためにわざわざ鏡に近寄らなくてもよい。
【0037】
化粧台に照明装置が設けられていることで、化粧の時に必要な照明を容易に確保することができ、別途照明装置を用意する必要がなく、また化粧空間内の天井に設けられたシーリングライトなどの照明をたよりに化粧を行う必要もない。
【0038】
カウンターと仕切板の間に引き出し式の収納部が設けられているので、化粧台の前に座って化粧をしているときでも、収納物の取り出しを容易にすることができる。カウンターの下に引き出し式の収納部を設けてしまうと、収納部を引き出して収納物を取り出すときには、体を反らせたり、体の位置を変えなければならないが、体を動かしたりしにくい化粧中であっても、本発明の化粧台であれば容易に収納部を引き出して収納物を取り出すことができる。
【0039】
仕切板のいずれか一方又は両方の側を介してカウンター越しに化粧台の背面側の空間を認識することができるので、化粧空間の中央部にこの化粧台を設置すると、化粧をしながらであっても、化粧台の背面側の空間を認識することができる。
【0040】
この化粧台には洗面部が設けられているので、化粧台で化粧をしながら洗面部で手や顔を洗ったりすることができ、さらに、洗面部はカウンターの正面側、背面側、側面側の3方向からアクセス可能であるため、化粧台の正面側からだけでなく、この化粧台で仕切られた化粧空間のさまざまな場所から洗面部を利用することができる。
【0041】
化粧台に設けられる照明装置が仕切板の内部に設けられており、仕切板の表面部が、鏡部と照明装置の光を透過する透過部を有する構造になっているので、化粧台は照明装置を備えながら、化粧台の納まりをすっきりとしたものにすることができる。また、仕切板の表面部が、鏡部と照明装置の光を透過する透過部を有しているので、鏡に顔を映したときに効果的に照明を顔に受けることができ、化粧時に化粧の状態を確実に把握することができる。さらに、仕切板の表面部が継ぎ目レスとなっているので、仕切板が一枚板で形成されていることが認識され、仕切板がすっきりとした表面部を構成することができ、清掃も容易に行うことができる。
【0042】
透過部がサンド加工されているので、透過部を介して照らされる照明装置の照明の光が透過部のサンド加工により乱反射されるため、照明装置の照明が柔らかな照明となり、化粧時に直接照明が目に入ってしまう不快感を防止することができる。また、サンド加工により照明装置が直接目視されることが妨げられるため、化粧台は照明装置が見えないすっきりとした意匠を実現することができる。
【0043】
照明装置の透過部を介して照射される照明の色温度、照度、平均演色評価指数がそれぞれ5000ケルビン以上、550ルクス〜650ルクス、85〜100となっているので、化粧をするのに最適な照明を提供することができる。
【0044】
次に、この化粧台1を用いた化粧空間について説明する。
【0045】
図3,4に示す本発明の実施形態である化粧台1を用いた化粧空間20において、21は化粧空間20が設けられる戸建住宅、22は居住空間としてのリビングダイニングキッチンである。図3,4はそれぞれ戸建住宅21の1階平面図、1階一部拡大平面図であり、戸建住宅21の1階には化粧空間20、リビングダイニングキッチン22の他、納戸23、廊下24、玄関25、洗面所26、浴室27、トイレ28が設けられている。
【0046】
化粧空間20は、戸建住宅21の1階のリビングダイニングキッチン22の一部を壁面で仕切ることにより設けられた空間であり、リビングダイニングキッチン22とは扉が設けられず行き来自在に連続しており、化粧空間20として閉じられた一つの個室としてではなく、化粧空間20はリビングダイニングキッチン22の壁面で仕切られた一部の空間として設けられる。本実施形態では、リビングダイニングキッチン22が平面視略L字型をしており、リビングダイニングキッチン22のうち、屋外側に突出した部分が化粧空間20とされている。
【0047】
リビングダイニングキッチン22から化粧空間20へは、2度の直角方向への方向転換を経て到るように略S字型のアプローチ29が設けられており、アプローチ29の照明は、リビングダイニングキッチン22という日常性の空間から化粧空間20という非日常性の空間への移行を演出するための間接照明が設けられている。
【0048】
化粧空間20の平面は、平面視方形をしており、中央部には化粧台1が、化粧空間20とアプローチ29が連接する入り口30を有する壁面31と垂直となるように、一方の端部を壁面31と対向する壁面32に当接させて設置されている。
【0049】
化粧台1によって化粧空間20は、化粧台1の正面側の化粧をするための空間33と化粧台1の背面側の化粧以外の行為をするための空間34とに分割され、化粧台1の背面側の化粧以外の行為をするための空間34には、やわらかなフロアマット35とともにソファ36やテーブル37が設置され、リラックスした時間を過ごせるようになされており、読書をしたり音楽を聞いたりなど一人の時間を楽しんだり、パックなど時間のかかる化粧時などに活用することができる。
【0050】
図5に示すように、化粧空間20の天井は、化粧空間20の壁面38‥との間に隙間を有する天井パネル39が、リビングダイニングキッチン22と比較して天井高さが低くなるように吊り下げられており、化粧空間20の天井高さがリビングダイニングキッチン22と比較して低くなっている。また、天井パネル39の上面側外周部には、間接照明としての照明装置40が設けられ、壁面38‥と天井パネル39との隙間を介して、化粧空間20を間接的に照明する。
【0051】
また、図3,4に示すように化粧空間20及びアプローチ29のコーナー部41は、R形状となるようになされている。また、化粧空間20の壁面の一部には屋外と連続する窓42が設けられている。
【0052】
化粧空間20とリビングダイニングキッチン22を仕切る壁面38の上方部には、化粧空間20とリビングダイニングキッチン22とを連通する開口部43が設けられている。開口部43を介して、化粧空間20に居ながらにして、リビングダイニングキッチン22の人の気配を感じることができる。
【0053】
この化粧空間は、リビングダイニングキッチンの一部を仕切って設けられており、リビングダイニングキッチンからの視線が遮られているので、化粧空間内で、家族の視線を気にすることなく、ゆったりとした気分で化粧を行うことができる一方で、リビングダイニングキッチンとは扉レスで連続しているため、化粧空間が独立した部屋ではなく、家族から独立して引きこもって化粧をするのではなく、家族の気配を感じながら化粧をすることができる。
【0054】
そして、化粧空間の中央部には化粧台が設けられているので、化粧は壁に向かってではなく、部屋の中央部を向かってすることになり、化粧台が壁に向かって配置されているときのように壁からの圧迫感を受けることなく、化粧台の鏡を備えた仕切板の周囲を介して化粧台の背面側の空間を認識しながら開放的な気分で化粧をすることができる。
【0055】
そして、化粧台により化粧空間が2つの空間に分割されているので、化粧空間を化粧台の正面側の化粧をするための空間と化粧台の背面側の化粧以外の行為をするための空間とに分けて利用することができるので、化粧台の正面側の空間では化粧をし、化粧の背面側の空間では時間をかけてパックをするなど、その用途に合わせて多目的に使うことができる。
【0056】
また、化粧台の一方の端部が化粧空間の壁面に当接しているので、化粧空間を化粧台の正面側の空間と背面側の空間2つの空間に略コの字型に2つの空間に分割され、それぞれの空間が通り抜けできないことにより、それぞれの空間にいるときに包まれ感を感じることができ、それぞれの空間を行き来する動線が1つに確定される。
【0057】
また、化粧空間の天井高が、リビングダイニングキッチンの天井高より低くなっているので、リビングダイニングキッチンから化粧空間に移動したときに、異空間へ入った感覚を感じることができ、また、天井高が低いことにより包まれ感がうまれ、あたかも自分が繭の中に包まれているかのような感覚を感じることができる。特に、化粧空間の床面積がプランの制約上小さくなってしまった場合でも、天井高さが低くなっているので、化粧空間内の高さと平面積の比率により、包まれ感を感じることができる。
【0058】
また、リビングダイニングキッチンから化粧空間へ到るアプローチが略S字型になっているので、リビングダイニングキッチンと化粧空間が扉レスで連続しているにもかかわらず、リビングダイニングキッチンからの視線を確実に遮ることができる。また、リビングダイニングキッチンという日常性の空間から化粧空間という非日常性の空間への移行を演出することができる。
【0059】
また、化粧台に正面側及び背面側からアクセス可能な洗面部が設けられているので、化粧空間の2つの分割された化粧台の正面側の空間と背面側の空間どちらからでも、化粧台の洗面部を利用することができる。
【0060】
また、化粧空間の少なくとも一つのコーナー部が角型でなくR形状であることで、丸みをおびた印象を与え、化粧空間にいる人はやさしく包まれた癒しの空間を実感することができる。
【0061】
また、化粧空間の少なくとも一つの壁面が屋外と連続する窓であるので、太陽光を取り込むことができ、化粧をする際、蛍光灯や白熱灯だけでなく、太陽光も活用してさまざまな光に対応した化粧を行うことができる。
【0062】
また、化粧空間の少なくとも一つの壁面に開口部が設けられ、開口部により、化粧空間とリビングダイニングキッチンが連通していることで、こもりがちになってしまう化粧空間でありながら、リビングダイニングキッチンの人の気配を感じることができ、家族がそばにいる安心感を体感しながら自分ひとりのプライベート空間を楽しむことができる。とくに、小さい子供を抱える女性にとっては、子供の気配を感じながら化粧をすることができるので、安心することができる。
【0063】
そして、住宅内において女性が化粧をすることが癒しとなり、非日常性を体感することができる空間が実現でき、さらには繭の中に包み込まれて癒されるような癒しの空間を実現することができる。
【0064】
図6に示す本発明の第2の実施形態である化粧台51では、収納部7を構成する複数の引き出し式の収納庫11‥の上面には、第1の実施形態の化粧台1と異なりガラスなどの透過性の材料で覆われておらず、また、周辺部より一段低い凹部が設けられていない。引き出し式の収納庫11の間に設けられた52は電源コンセントと照明のスイッチである。なお、第1の実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付している。
【0065】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、化粧台に洗面部を設けた場合について示したが、洗面部がなくてもよい。
【0066】
また、化粧台を化粧空間の中央部において、化粧空間を2つの空間に仕切る場合について示したが、化粧台の背面部を壁面に相対させて、壁面に沿って化粧台を設置してもよいのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0067】
1,51・・・化粧台
2・・・カウンター
3・・・仕切板
4・・・照明装置
5・・・鏡部
6・・・透過部
7・・・収納部
8・・・洗面部
9・・・給水栓
10・・・洗面ボウル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンターと、該カウンターの上面から上方に突出し正面側に鏡を備えた仕切板とからなる化粧台であって、
カウンター正面部と仕切板正面部との間隔が300mm〜400mmの範囲で形成されていることを特徴とする化粧台。
【請求項2】
照明装置が設けられている請求項1に記載の化粧台。
【請求項3】
前記カウンターと仕切板との間には引き出し式の収納部が設けられている請求項1乃至2に記載の化粧台。
【請求項4】
前記仕切板の横幅はカウンターの横幅よりも短く、仕切板のいずれか一方又は両方の側を介してカウンター越しに化粧台の背面側の空間を認識することができる請求項1乃至3に記載の化粧台。
【請求項5】
前記化粧台のカウンターの一方の端部には、給水栓と水を受ける洗面ボウルからなる洗面部が設けられ、
洗面部はカウンターの正面側、背面側、側面側の3方向からアクセス可能である請求項1乃至4に記載の化粧台。
【請求項6】
前記仕切板の内部に前記照明装置が設けられ、
前記仕切板の表面部は、
鏡部と、
照明装置の光を透過する透過部を有し、
表面部は継ぎ目レスの板材からなる請求項2乃至5に記載の化粧台。
【請求項7】
前記透過部は、サンド加工がなされている請求項6に記載の化粧台。
【請求項8】
前記化粧台に設けられる照明装置の透過部を介して照射される照明は、
色温度が5000ケルビン以上、
照度が550ルクス〜650ルクス、
平均演色評価指数が85〜100である請求項2乃至7に記載の化粧台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−110405(P2012−110405A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259683(P2010−259683)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)