説明

化粧品及び/または皮膚科用の水反応性活性成分を含有する安定な水/油/水型エマルション

【課題】 化粧品及び/または皮膚科用の水反応性有効成分を含有し、これらの有効成分が経時的にその特性を維持することが可能である安定な媒体を提供する。
【解決手段】 外部水相と、内部水相を有する油中水型一次エマルションを構成する油相とを含有する水/油/水型三相エマルションであって、前記外部水相及び内部水相の一方が、0.85以下の水分活性値を有するエマルションを構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に化粧品及び/または皮膚科の分野で、皮膚及び/または粘膜及び/またはケラチン繊維の洗浄及び/または手入れのために使用することが可能な水反応性の活性成分を含有することが可能な安定な媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】皮膚及び/または髪の特定の処理に貢献する目的のため、例えば、皮膚の洗浄のため、皮膚の乾燥、老化もしくは色素沈着の制御のため、ざ瘡もしくは所定の皮膚病(湿疹、乾せん)の処理のため、体重超過と闘うため、皮膚の再構築もしくはその細胞再生を促進させるため、もしくは髪の脂漏症の処理のための化粧品及び/または皮膚科用組成物に活性成分を導入することは既知である。
【0003】例えば、酵素及び特に、その蛋白質分解特性を利用するプロテアーゼを化粧品組成物に導入することは既知である。これらの酵素は、化粧品分野において、その滑化力(smoothing power)と洗浄力及びその皮膚から死んだ細胞を除去する働きを求められているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】残念ながら、活性成分、特に上述したもののなかには、水性媒体中で不安定であり、水の影響により容易に分解もしくは変質するという短所をもつものがある。従って、これらは、経時的に迅速にその有効性を失い、その不安定性のために望ましい効能は得られない。
【0005】この短所を克服するために様々な手段が講じられている。とりわけ、活性成分、特に酵素を粉状組成物に混合することが行われている(文献JP-A-63-130514を参照)。その上、酵素を含有する皮膚洗浄製品の大半はこの形態で与えられている。これらの活性成分、特に酵素を、ポリマー支持体上(文献JP-A-61-207499を参照)もしくはミクロカプセル中(文献JP-A-61-254244を参照)に固定させた形態で用いることも行われている。残念ながら、これらの手段のなかには特別な操作を要するものがあり、このため該組成物の調製にかかる費用及び時間が増大している。
【0006】別の解決法としては、無水液状媒体にこれらを混入することがある(文献US-A-5,322,683参照)。残念ながら、この解決法では組成物の製薬形態が限定され、親水性の活性成分を混入することができない。
【0007】従って、親水性及び/又は親油性で、化粧品及び/又は皮膚科用の、水反応性活性成分を含有することができ、これら活性成分がその特性を保ち、即ち経時的にその効用を維持するような、安定な媒体が依然として求められている。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】予期せぬことに、出願人はここに、一方の水相が0.85以下の水分活性を有する、水/油/水(W/O/W)型三相エマルションであれば、水反応性の活性成分の効力を維持すること及びこの活性成分の分解を避けることが可能であることを見出した。
【0009】従って本発明の主題は、外部水相と、内部水相を有する油中水型一次エマルションを構成する油相とを含有する水/油/水型三相エマルションであって、前記外部水相及び内部水相の一方が、0.85以下の水分活性値を有することを特徴とするエマルションである。
【0010】本発明の特定の実施態様によれば、ポリオールを有効量で混入することにより水分活性値は0.85以下となる。有効量とは、水分活性値を低く、すなわち、水分活性値を0.85以下とするのに充分なポリオールの量を意味するものと理解される。
【0011】さらにまた、本発明の好ましい実施態様によれば、本発明による三相エマルションの油相には、少なくとも一のシリコーンオイル及びシリコーン乳化剤が含まれている。
【0012】このエマルションは、水反応性の活性成分の媒体として用いることが望ましい。該活性成分は、低い水分活性値を示す水相に導入される。さらに、本発明の別の主題は、前述のエマルションを含有し、少なくとも一の局所効果(topical effect)を有する水反応性の活性成分が水分活性値が0.85以下である水相中に含有されていることを特徴とする組成物である。
【0013】当然ながら、化粧品及び皮膚科の分野においては、水相の一つにポリオールを含有する水/油/水型エマルションを用いることは既知である。このように、文献WO-A-94/1073にはこのタイプの組成物が記載されているが、大量のポリオールを、特に水反応性の活性成分を安定化する目的で導入することは教示されていない。さらに、低い水分活性値を有する水相をもつことは、教示も示唆もされていない。
【0014】さらに、水含量が、水反応性の活性成分の安定性に影響を及ぼし得ることは既知であるが、ポリオールの存在のみによりこのような活性成分の分解を避けられることは記載も示唆もされていない。即ち、当業者であれば、D.ツァノス(D.Tzanos)の文献(Behavior of enzymes by controlling the medium water activity; Riv. Ital. Essenze, Profumi, Piante Off., Aromi, Saponi, Cosmet.,Aerosol, 1977, vol. 59, No. 5, pages 208-211)に従って、水性媒体中の酵素を安定化するために界面活性剤を用いるかまたは、多孔質支持体に酵素を結合させるであろう。しかしながら、この文献によれば、当業者はグリコールの使用を避けるであろう。
【0015】さらにまた、文献US-A-5,356,800には、アルコールもしくはグリコール、オキシエチレン化アルキルジアミン及びアミンオキシドを含む混合物を使用することからなる、酵素を安定化する方法が記載されている。この文献によれば、ここに記載の混合物によってのみ酵素を安定化することができる。
【0016】さらに、文献JP-A-01-283213には、酵素及びポリオールを含有する洗浄組成物が記載されている。この文献によれば、酵素活性はタンパク質、例えば、コラーゲン、エラスチンもしくはアルブミンの添加によって安定化される。
【0017】このような活性成分の分解は、本発明の水/油/水型エマルションにこれらを導入することにより回避可能であることが見出された。
【0018】本発明の三相エマルションには、水分活性が比較的に高い水相中に水が存在することにより、水反応性活性成分の効力を保持するのみならず、それに関わらず充分量の水を含有するという利点がある。この水の存在により、皮膚への適用の際に、皮膚に水を与えると同時に酵素を活性化することが可能となる。
【0019】本発明の好ましい実施態様によれば、ポリオールの量は、エマルションの一方の水相の水分活性値を0.75以下とするようなものでなければならない。
【0020】水を含有する媒体の水分活性値(water activity)awは、同一温度での媒体の水蒸気圧“P(H2O媒体)”と純水の蒸気圧“P(H2O純水)”との比である。これはまた、溶解した物質の分子数を“N(溶解した物質)”とすれば、水分子の数“N(H2O)”と分子の総数“N(H2O)+N(溶解した物質)”との比としても表すことができる。これは下記の式に表される。
【0021】
【数1】


【0022】水分活性を測定するには、様々な方法を用いることができる。もっとも一般的なものは、マノメトリック法であり、これは蒸気圧を直接測定するものである。
【0023】通常、化粧品もしくは皮膚科用組成物は、ほぼ0.95〜0.99の水分活性を有する。水分活性が0.85以下とは、水分活性のかなりの低下を表す。
【0024】本発明のエマルション中では、いずれか(外部もしくは内部)の水相が低い水分活性を示す可能性があるが、外部の連続水相であることが好ましい。
【0025】このように水分活性を0.85以下とするために、懸かる相中のポリオールの量は、低い水分活性をもつ水相の全重量の35〜90重量%の範囲でなければならず、60〜85重量%であると更によく、すなわち、エマルション全重量の30重量%より大であって、エマルション全重量の35〜70重量%の範囲であるのが好ましい。
【0026】本発明により使用されるポリオールは、特に、グリセロール及びグリコールから選択することができ、特に、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールである。
【0027】本発明の好ましい実施態様によれば、ポリオールは全体的もしくは部分的にアクリルもしくはメタクリルポリマーと複合した(complexed)形態で存在する。ポリマーはまた、結合水を含んでもよく、すなわち水とポリオールとの混合物と複合していてもよい。
【0028】アクリルもしくはメタクリルポリマーは、アクリル酸もしくはメタクリル酸のホモポリマーもしくはコポリマー、あるいはアクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体のホモポリマーもしくはコポリマーを意味するものと理解される。
【0029】本発明のエマルション中の、複合したポリオール及び任意の結合水をもつ、このようなポリマーの量は、低い水分活性をもつ水相の全重量の52〜90重量%であることが好ましく、60〜85重量%であると更によい。
【0030】水とポリオールとからなるホモポリマーとしては、Guardian社より市販のNorgel及びLubrajel CGを挙げることができる。これらのポリマーは、65重量%より多いグリセリン及び/またはプロピレングリコールと35重量%未満の水とからなるポリ(グリセリルアクリラート)である。これらのポリマーは、複合したポリオール及び結合水を与え、更に組成物のゲル化剤として作用することができる。
【0031】本発明により用いることのできる水反応性の活性成分は、特に、酵素(例えばラクトペルオキシダーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、ホスホリパーゼもしくはセルラーゼ)、天然抽出物、例えば緑茶、香油抽出物、タイム抽出物、プロシアニドルオリゴマー(PCO)、例えば、サンザシPCO、パインPCO、グレープPCO、ビタミン及び特にアスコルビン酸(ビタミンC)及びそのエステルもしくはレチノール(ビタミンA)及びそのエステル、リン酸化及びグルコシル化誘導体、尿素及びルチン等である。
【0032】使用される水反応性活性成分は、酵素であると好ましく、特にプロテアーゼでることが望ましい。このプロテアーゼは例えば、Novo Nordisk社により市販の“Subtilisine SP 544”、“Subtilisine SP554”及び“Subtilisine SP 582”及び、Laboratoires Serobiologiques de Nancy社により商品名“Lysoveg”として市販のものから選択することができる。
【0033】本発明の組成物中の水反応性活性成分の量は、使用する活性成分のタイプによって異なる。一般的には、本発明の組成物中、活性成分は、組成物全重量に対して0.001〜15重量%の量で用いることができ、0.01〜10重量%であると好ましく、0.05〜5重量%であると更に好ましい。
【0034】エマルションの外部の連続水相における一次エマルションの乳化のために、外部水相は乳化性のポリマー、特に、C3-C6モノエチレンカルボン酸無水物又は酸と、脂肪鎖をもつアクリルエステルとのコポリマータイプの脂肪鎖をもつポリマーを含む。この脂肪鎖をもつポリマーは、特に、Goodrich社により“Pemulen”及び“Carbopol 1342”もしくは“Carbopol 1382”の名で市販されているコポリマーより選択することができる。本発明のエマルション中のこのようなポリマーの量は、エマルション全重量に対して0.05〜3重量%であることが好ましい。
【0035】外部の連続水相は、一以上のゲル化剤、例えば、Goodrich社により“Carbopol 980”もしくは“Carbopol 942”もしくは“Carbopol 950”の名で市販の、あるいはSigma社により“Synthalen K”の名で市販のカルボキシビニルポリマーを更に含有することができる。本発明のエマルション中のこのようなゲル化剤の量は、エマルション全重量に対して0.05〜3重量%であることが好ましい。
【0036】油相は、少なくとも一のシリコーン乳化剤及び一のシリコーンオイルから実質的になることが望ましい。
【0037】シリコーン乳化剤は、ジメチコーンコポリオール及びアルキルジメチコーンコポリオールから選択することができる。本発明のエマルションに用いることのできる乳化剤としては、Goldschmidt社により“Abil WE 09”の名で市販のポリグリセリル-4 イソステアラート/セチルジメチコーンコポリオール/ヘキシルラウラート混合物、Goldschmidt社により“Abil EM 90”の名で市販のセチルジメチコーンコポリオール及びDow Corning社により“Q2-3225C”の名で市販のシクロメチコーン/ジメチコーンコポリオール混合物を挙げることができる。本発明のエマルション中のシリコーン乳化剤の量は、三相エマルション全重量に対して0.05〜10重量%であるとよく、0.5〜8重量%であることが好ましい。
【0038】シリコーンオイルは、例えば、シクロペンタジメチル-シロキサン及びシクロテトラジメチルシロキサン等の揮発性シリコーン、ポリジメチル-シロキサン、ポリフェニルトリメチルシロキサンもしくはフッ化シリコーンより選択することができる。シリコーンオイルの量は、三相エマルションの全重量に対して0.5〜60重量%であり、10〜30重量%であることが好ましい。
【0039】本発明のエマルションは、シリコーンワックス、ゴムもしくは樹脂及び任意にシリコーンオイル以外のオイルを更に含むことができる。これらの脂肪物質は、例えば、三相エマルションの全重量の0.05〜5重量%の量で用いることができる。
【0040】ワックスとしては、特に、アルコキシジメチルシロキサン等のシリコーンワックス及び、さらに、メルカプト官能基を有するステアロキシポリジメチルシロキサン、アルキルポリシロキサン及びポリジメチルシロキサン等を用いることができる。
【0041】ゴムとしては、特に、シリコーンゴム、例えば、高分子量ポリジメチルシロキサンもしくはヒドロキシ末端をもつポリジメチルシロキサン(ジメチコノール)を用いることができる。
【0042】樹脂としては、特に、シリコーン樹脂、例えばトリメチルシロキシシリケートを用いることができる。
【0043】シリコーンオイル以外のオイルとしては、特に、フッ化油、動物もしくは植物由来のオイル、鉱物油もしくは合成油を挙げることができる。
【0044】一次エマルションは、例えば、三相エマルション全重量の10〜40重量%を占めることができる。
【0045】本発明の特定の実施態様によれば、一次エマルションは、三相エマルションの20〜35重量%、特に25重量%を占め、このことにより半透明もしくは透明の三相エマルションを得ることが可能である。
【0046】三相エマルションは、通常、一次エマルションを調製し、この一次エマルションの所定の量を外部水相に混入することによって調製される。
【0047】本発明の特定の実施態様によれば、一次エマルションが、シリコーンオイルの一部、例えば最高で一次エマルション全重量に対して20重量%までのシリコーンオイルを含有し、残りのシリコーンオイルを、三相エマルションの調製に使用する量の一次エマルションに加え、その後この混合物を外部水相に加える。
【0048】局所への適用のためには、本発明のエマルションは、局所用として許容される、すなわち、皮膚及び髪に適切である媒体を含有せねばならず、このエマルションを主成分とする組成物は、特に、皮膚及び/または髪、特に、顔、首、手、髪、頭皮もしくは身体並びに睫毛の治療を除く洗浄、保護、処理もしくは手入れのための組成物を構成する。
【0049】従って、本発明の別の主題は、皮膚及び/または粘膜及び/またはケラチン繊維、すなわち、髪及び/または睫毛の治療を除く洗浄及び/または保護のための本発明の組成物の使用である。
【0050】本発明の別の主題は、皮膚及び/または粘膜及び/またはケラチン繊維の治療を除く洗浄及び/または保護のための美容及び/または皮膚科用方法であり、前述の組成物を皮膚及び/または粘膜及び/またはケラチン繊維に適用することを含むものである。
【0051】本発明の最後の主題は、皮膚及び/またはケラチン繊維の洗浄用組成物であって、上述のエマルション及び、少なくとも一の局所効果を有する水反応性の活性成分が、0.85以下の水分活性値を示す水相中に含まれることを特徴とするものである。
【0052】本発明の組成物は、特に、顔、手もしくは足の保護、処理もしくは手入れのためのクリーム、皮膚、粘膜、髪及び頭皮の、保護もしくは手入れのための身体用乳剤、もしくは手入れのためのローション、ゲルもしくはムースを構成することができる。
【0053】本発明の組成物はまた、既知の方法により、化粧品及び皮膚科の分野における通常の補助剤、例えば、界面活性剤、特に発泡性界面活性剤、親水性もしくは親油性活性成分、水反応性の活性成分に加えて、保存料、抗酸化剤、溶媒、香料、充填剤、スクリーン剤、臭気吸収剤、着色剤及び脂質小胞等を含有してもよい。これら様々な補助剤の量は、懸かる分野において通常用いられる通り、例えば、組成物全重量の0.01〜15%である。これらの補助剤は、その性質によって、脂肪相もしくは水相に導入することができる。
【0054】親水性活性成分としては、例えば、タンパク質もしくはタンパク質水解物、アミノ酸、アラントイン、糖もしくは糖誘導体、もしくはデンプン等を用いることができる。
【0055】親油性活性成分としては、例えば、トコフェロール(ビタミンE)及びその誘導体、必須脂肪酸、セラミドもしくは精油等を用いることができる。
【0056】
【実施例】
実施例1:顔を滑らかにする三相エマルション一次エマルション(油中水型):油相:Abil WE−09(Goldschmidt社製) 2.5%ポリジメチルシロキサン 4 %シクロペンタジメチルシロキサン 17.5%水相:硫酸マグネシウム 0.8%保存料 0.2%グリセリン 2 %プロピレングリコール 20 %水 53 %三相エマルション:一次エマルション 25 %シクロペンタジメチルシロキサン 10 %Subtilisine SP544 0.1%Carbopol 1342 0.3%トリエタノールアミン 0.3%グリセリン67.8%を含有するNorgel 52.7%水 11.6%
【0057】エマルションの製法は以下の通りである。プロペラを用いて均質化を行い油相中に水相を乳化させ、一次エマルションを調製した。得られた一次エマルションの25%をとり、ここにシクロペンタジメチルシロキサン10%を加えた。さらに、NorgelにCarbopol 1342の3%水溶液の10%を混合することによって外部水相を調製した。一次エマルションを、激しく撹拌しながら外部水相に乳化し、トリエタノールアミンを加え、最後にSubtilisine SP544を加えた。このエマルションの外部水相の水分活性値は、0.77±0.02である。皮膚を滑らかにし、均一にすることが可能な透明なクリームが得られた。
【0058】
実施例2:皮膚に潤いを与えるための三相エマルション一次エマルション(油中水型):油相:Abil WE−09(Goldschmidt社製) 2.5%ポリジメチルシロキサン 4 %シクロペンタジメチルシロキサン 17.5%水相:硫酸マグネシウム 0.8%グリセリン 51 %プロピレングリコール 20 %水 4.1%Subtilisine SP544 0.1%三相エマルション:一次エマルション 20 %シクロペンタジメチルシロキサン 10 %A.M.1%を含有するCarbopol 980ゲル 30 %保存料 1 %Carbopol 1382 0.3%トリエタノールアミン 0.3%水 38.4%
【0059】エマルションの製法は以下の通りである。プロペラを用いて均質化を行い、Subtilisine SP544を含有する水相を油相中に乳化させることにより一次エマルションを調製した。シクロペンタジメチルシロキサン10%を得られた一次エマルションの20%に加えた。さらに、Carbopol 9801%とトリエタノールアミン1%と水98%を混合することによりCarbopol 980ゲルを調製した。このゲルをトリエタノールアミン以外の残りの成分と混合することにより外部水相を調製した。激しく撹拌しながら、一次エマルションを外部水相中に乳化させ、トリエタノールアミンを加えた。
【0060】一次エマルションの水相の水分活性値は、0.22であった。皮膚に潤いを与えることが可能な白色のクリームが得られた。本発明によれば、上述の実施例において、Subtilisineをアスコルビン酸、緑茶及び他の既出の水反応性の活性成分他の酵素により置き換えても同様であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部水相と、内部水相を有する油中水型一次エマルションを構成する油相とを含有する水/油/水型三相エマルションであって、前記外部水相及び内部水相の一方が、0.85以下の水分活性値を有することを特徴とするエマルション。
【請求項2】 0.85以下の水分活性値を有する水相に、少なくとも一のポリオールを有効量で含むことを特徴とする請求項1に記載のエマルション。
【請求項3】 油相に、少なくとも一のシリコーンオイルと一のシリコーン乳化剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のエマルション。
【請求項4】 0.85以下の水分活性値を有する水相が、外部水相であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項5】 0.85以下の水分活性値を有する水相が、少なくとも一のポリオールを、該水相の水分活性値を0.75未満にする有効量で含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項6】 0.85以下の水分活性値を有する水相中で、ポリオールが、この水相の全重量の35〜90重量%の量を占めることを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項7】 0.85以下の水分活性値を有する水相中で、ポリオールが、エマルションの全重量の35〜70重量%の量を占めることを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項8】 ポリオールが、グリセロール及びグリコールからなる群より選択されることを特徴とする請求項2から7のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項9】 ポリオールがアクリルポリマーもしくはメタクリルポリマーと複合していることを特徴とする請求項2から8のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項10】 ポリマーが、更に結合水を含むことを特徴とする請求項9に記載のエマルション。
【請求項11】 複合したポリオールと結合水をもつポリマーが、0.85以下の水分活性を有する水相の全重量の52〜90重量%の量を占めることを特徴とする請求項9または10に記載のエマルション。
【請求項12】 三相エマルションの外部水相が、脂肪鎖をもつポリマーを含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項13】 脂肪鎖をもつポリマーが、C3-C6モノエチレンカルボン酸の無水物もしくは酸と脂肪鎖をもつアクリルエステルとのコポリマーであることを特徴とする請求項12に記載のエマルション。
【請求項14】 脂肪鎖を有するポリマーが、エマルション全重量の0.05〜3重量%を占めることを特徴とする請求項12または13に記載のエマルション。
【請求項15】 油相が、少なくとも一のシリコーンオイルを三相エマルションの全重量に対して0.5〜60重量%の量で含むことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項16】 シリコーンオイルが、揮発性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルトリメチルシロキサンもしくはフッ化シリコーンからなる群より選択されることを特徴とする請求項15に記載のエマルション。
【請求項17】 乳化剤が、アルキルジメチコーンコポリマー及びジメチコーンコポリマーから選択されることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項18】 乳化剤が、エマルション全重量の0.05〜10重量%の量を占めることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項19】 油相が、シリコーンワックス、ゴムもしくは樹脂及びシリコーン以外のオイルより選択される一または多数の他の脂肪物質をさらに含有することを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項20】 油中水型一次エマルションが、エマルション全重量の20〜35重量%の量を占めることを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項21】 透明であることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載のエマルション。
【請求項22】 請求項1から21のいずれか一項に記載のエマルションを含有し、0.85以下の水分活性を有する水相中に、少なくとも一の局所効果(topical effect)を有する水反応性の活性成分を含有することを特徴とする組成物。
【請求項23】 局所効果を有する水反応性の活性成分が、酵素、天然抽出物、プロシアニドルオリゴマー、ビタミン、リン酸化誘導体、グルコシル化誘導体、尿素及びルチンからなる群より選択されることを特徴とする請求項22に記載の組成物。
【請求項24】 局所効果を有する水反応性の活性成分が、プロテアーゼ、緑茶、アスコルビン酸もしくはビタミンAからなる群より選択されることを特徴とする請求項22または23に記載の組成物。
【請求項25】 局所効果を有する水反応性の活性成分が、エマルション全重量の0.001〜15重量%の量を占めることを特徴とする請求項22から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】 化粧品及び/または皮膚科用組成物であることを特徴とする請求項22から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】 保存料、抗酸化剤、香料、充填剤、スクリーン剤、金属イオン封鎖剤、精油、着色物質、親水性もしくは親油性の活性成分及び脂質小胞より選択される少なくとも一の親油性もしくは親水性の補助剤を含有することを特徴とする請求項22から26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】 皮膚及び/または粘膜及び/またはケラチン繊維の治療を除く洗浄及び/または保護のための請求項22から27のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項29】 請求項22から27のいずれか一項に記載の組成物を皮膚及び/または粘膜及び/またはケラチン繊維に適用することを特徴とする皮膚及び/または粘膜の治療を除く洗浄及び/または保護のための美容方法。
【請求項30】 請求項1から21のいずれか一項に記載のエマルションを含有し、0.85以下の水分活性を有する水相中に、少なくとも一の局所効果を有する水反応性の活性成分を含有することを特徴とする皮膚及び/または粘膜及び/またはケラチン繊維の洗浄用組成物。