説明

化粧品陳列用什器

【課題】 棚間のスペースの効率化を実現し、テスター訴求、POP訴求を拡大し、盗難抑止効果が十分に期待できる化粧品陳列用什器を提供すること。
【解決手段】 什器体基部と、引き出し自在に該什器体基部に収納された容器体部と、該容器体部を該什器体基部に収納した状態で保持する係合装置とよりなる化粧品陳列什器であって、さらに、一端が該什器体基部に付設され、他端が該容器体部の底部に付設された弾性部材よりなる駆動部と、該駆動部による該容器体部の引き出し速度を制御するための制動部とを具備したことを特徴とする自動引き出し式化粧品陳列什器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メークアップ化粧品等のテスターとともに、販売用の化粧品等の商品を店頭等に陳列するために用いられる化粧品陳列用什器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今の化粧品の売場および販売方法の多様化により、化粧品売場は従来の専門店舗からドラッグストア、コンビニエンスストアなどにまで広がり、販売方式も従来の販売員の対面接客による販売方式から、顧客が自由に試し、選べるセルフ販売方式へ変化している。
【0003】
そのため、陳列する商品も、顧客の選択の幅を広げるためアイテムを増やし、店員の接客によらずとも、顧客自身で商品を自由に試し、かつその商品内容についての情報を得やすいようにする必要がある。
【0004】
従来のメーク用品陳列什器としては、例えば、特許文献1に開示されているような、ゴンドラ式什器の棚板にテスター用パーツやPOP用のパーツを備え付けたものが使用されていた。また、特許文献2に開示されているような、通常の棚板の代わりにメーク用品の種類に応じて作られたパーツよりなる、壁掛けタイプの陳列什器なども知られていた。
【0005】
ところが、従来の陳列什器では、以下のような問題が生じていた。すなわち、棚等に陳列された商品を顧客が手に取るために、棚間の上下スペースを、少なくとも手を自由に出し入れできる程度に確保しなければならず、そのことにより、自ずと棚数が制限され、アイテムの種類や、商品のボリュームに制限が生じていた。
【0006】
また、従来の陳列什器では、テスター用什器を別個に設ける場合を除いて、テスターと販売用商品を同じ棚で陳列していたため、テスターを訴求するスペースや、POP訴求用のスペースが十分に確保できなかった。
【0007】
さらには、従来の陳列什器では、店員がいちいち店頭の商品を補充しなくても、商品のスムーズな供給を実現するために、販売用の商品を常に一定量、顧客が手に取りやすい形で陳列する必要があったが、このことにより、商品の万引き行為が誘発されやすいという事態をも招いていた。
【0008】
【特許文献1】特開2001−299518
【特許文献2】特開2000−296039
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、従来の欠点をなくした、棚間のスペースの効率化を実現し、テスター訴求、POP訴求を拡大し、盗難抑止効果が十分に期待できる化粧品陳列用什器の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するものであり、什器体基部と、引き出し自在に該什器体基部に収納された容器体部と、該容器体部を該什器体基部に収納した状態で保持する係合装置とよりなる化粧品陳列什器であって、さらに、一端が該什器体基部に付設され、他端が該容器体部の底部に付設された弾性部材よりなる駆動部と、該駆動部による該容器体部の引き出し速度を制御するための制動部とを具備したことを特徴とする自動引き出し式化粧品陳列什器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自動引き出し式化粧品陳列什器は、什器体基部と、引き出し自在に該什器体基部に収納された容器体部と、該容器体部を該什器体基部に収納した状態で保持する係合装置とよりなるもので、商品販売時には、該容器体部前面を押すことにより、これがゆっくりと手前側にスライドしてくるという特徴を有する。
【0012】
すなわち、商品販売時に顧客が什器前面をプッシュすると、什器内の係合装置が外れ、販売用商品を収納した容器体部が、駆動部の力と、その速度を制御する制動部の作用により、適当なゆっくりしたスピードで手前側にスライドしてくるという構成をとるものである。従って、需要者等は、従来のように、棚間に手を差し入れて商品を取り出す必要がないため、そのためのスペースは不要となり、棚間のスペースの効率化を図ることができる。
【0013】
また、商品は、該容器体部の商品陳列部に収納されているため、什器前面部を全面的にテスターおよびPOP用の訴求スペースとして利用することができる。
【0014】
さらには、通常は商品陳列部が収納された構成をとり、顧客が商品を取り出す際は什器前面をプッシュする等の作業が増えるので、万引き行為を行いにくく、盗難抑止効果を期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の自動引き出し式化粧品陳列什器の一実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。
【0016】
図1は本発明に係る化粧品陳列什器の構成を示す透視斜視図、図2は容器体部を什器体基部に収納した状態の平面図、図3は、容器体部が什器体基部から引き出された状態の平面図である。各図中、1は什器体基部を、2は容器体部を示し、さらに、3は駆動部を、4は係合部を、5は制動部を、そして、6はガイド機構を示す。また、8は商品陳列部を、9はテスター陳列部をそれぞれ示す。
【0017】
図1ないし3に示すように、本実施態様の化粧品陳列什器は、什器体基部1と、引き出し自在に什器体基部1に収納された容器体部2とから構成されている。この什器体基部1には、コンストンバネ本体部3a、ガイドレール6a、ダンパレール5b、ラッチ本体部4a、また、本実施態様の容器体部2には、コンストンバネ3bの端側の接合部3c、ガイド部材6b、ダンパ本体部5a、ラッチ凸部材4bがそれぞれ付設されている。
【0018】
本実施態様において、駆動部3は、コンストンバネ本体部3aおよびコンストンバネ3bより構成される。このうち、コンストンバネ本体部3aは、什器体基部1の上面前方部に回動自在に枢設されている。一方、コンストンバネ3bは巻回姿勢方向に自己付勢されており、その一端がコンストンバネ本体部3aに保持されて巻き取られ、他端部が容器体部2の底面後方部3cに接合されている。
【0019】
そして容器体部2を引き出すとき(手前側に動かすとき)には、容器体部2の前面を軽く押し込むと、係合装置4の、ラッチ本体部4aとラッチ凸部材4bの係合が解除され、コンストンバネ3bにおける什器前方向への付勢力によって、コンストンバネ3bの一端と他端とが近接する方向に移動する。したがって、本実施態様のように弾性部材の一端が什器体基部1の前方部分(3a)に、他端が容器体部2の後方部分(3c)に付設されている場合は、コンストンバネ3bの付勢力で該部分が近接する方向(すなわち、容器体部2としては手前側)に移動し、これによって容器体部2が什器体基部1から自動的に引き出される(図3参照)。
【0020】
また容器体部2の収納時には、容器体部2の前面を押し込むことにより、コンストンバネ3bの一端(3a)と他端(3c)とを互いに離間する方向に移動させ、最後に、係合装置4の、ラッチ本体部4aとラッチ凸部材4bの係合によって容器体部2は什器体基部1に収納され、保持される(図2参照)。この押し込む力により、コンストンバネ3bには什器前方向への付勢力が発生し、次回の引き出し時まで蓄えられる。
【0021】
本発明の化粧品陳列什器は、コンストンバネの本体3aを容器体部2に固定し、コンストンバネの他端3cを什器体基部1に保持してもよい。いずれにしても、容器体部2を什器体基部1に収納する時にコンストンバネの一端と他端との距離が長くなり、容器体部2が什器体基部1から引き出された時にコンストンバネの一端と他端との距離が短くなるように構成される。
【0022】
弾性部材として本実施例ではコンストンバネを用いているが、それ以外にも什器外方向に自己付勢されたものを用いることができ、例えば、ぜんまいバネ、つるまきバネなどを用いることができる。ただし、伸長長さが変化してもバネ定数の変化の小さいコンストンバネを用いることが好ましい。コンストンバネを用いれば、容器体部2が什器体基部1から引き出される速度が変化するのが防止されるからである。
【0023】
本実施態様においては、什器基部1と容器体部2は、ガイド機構6により、正確にスライド運動ができるようになっている。このガイド機構6は、ガイドレール6aとガイド部材6bより構成される。このうち、ガイドレール6aは、什器体基部1の上面に、前後方向に2本並設されている。このガイドレール6aにはそれぞれ、長手方向側面に凹状溝が設けられており、容器体部2の底面に2つ付設されたガイド部材6bの、長手方向側面に形成された凸部と嵌合する。容器体部2が什器体基部1上をスライドして移動するときは、ガイド部材6b凸部が、ガイドレール6aに凹状溝に嵌合した状態を保持したまま、ガイドレール6aに従って移動する。これにより、容器体部2を什器体基部1からスライドして出し入れする際に、一定の方向に容器体部2が送出されることを確保し、また、什器体基部1から容器体部2が誤ってはずれてしまうというような事態を防ぐこともできる。なお、ガイドレール6aは容器体部2に付設し、ガイド部材6bを什器体基部1に付設してもよい。
【0024】
制動部5は、基本的にラックアンドピニオンの構造を有するものである。ダンパレール5bは、什器体基部1の上面、前後方向に敷設されており、長手方向側面に鋸の歯状の凹凸部が形成されたラックであり、容器体部2の底面に付設されたダンパ本体部5aの歯車部材(ピニオン)と係合するように構成されている。容器体部2が什器体基部1上をスライドして移動するときは、ダンパ本体部5aの歯車部材が、ダンパレール5bに形成された凹凸部に嵌合した状態を保持したまま、ダンパレール5bに従って移動する。これにより、容器体部2を什器体基部1からスライドして出し入れする際に、ダンパの制動トルクが抵抗となって、コンストンバネ3bにより付勢された容器体部2の挙動をゆるやかなものにすることができる。なお、ダンパレール5bは容器体部2に敷設し、ダンパ本体部5aを什器体基部1に付設してもよい。
【0025】
本発明の化粧品陳列什器は、上記の制動部5を備えなくとも、十分にその発明の効果を奏しうるものであるが、制動部5を具備することは、以下の理由から望ましい。すなわち、これにより容器体部2が什器体基部1から、適時な速度を維持したまま引き出されるので、テスターや陳列商品のディスプレイにも影響を与えず、また高級感も演出することができる。このダンパ部材としては、シリコンオイルなどを封入したもの、バネ力を利用するものなど、公知のものを用いることができる。そして弾性部材の本体とダンパ部材とが螺合する構成としてもよいし、弾性部材の本体にダンパ部材を内蔵することも可能である。
【0026】
前記した系合装置4のラッチ本体部4aは、什器体基部1の上面後方部に付設され、該本体部4aの凹部が、容器体部2の底面後方に付設されたラッチ凸部材4bの凸部と対向し、容器体部2の収納時において係合する位置関係にそれぞれ配設されている(図2参照)。ラッチ本体部4aの凹部とラッチ凸部材4bの凸部を係合するには、容器体部2が什器体基部1から引き出されている状態から、容器体部2を什器体基部1の最奥部に当接するまで押し入れることにより、自動的に係合される。而してラッチ本体部4aの凹部とラッチ凸部材4bの凸部が係合することにより、コンストンバネ3bの付勢力と釣り合い、容器体部2の収納状態が維持される。ラッチ本体部4aの凹部とラッチ凸部材4bの凸部の係合を解除するには、係合状態のまま、容器体部2を什器体基部1の奥方向にさらに押し込む動きを与えることにより解除される。なお、ラッチ本体部4aは容器体部2に付設し、ラッチ凸部材4bを什器体基部1に付設してもよい。
【0027】
本発明の化粧品陳列什器において、容器体部2は特にその構造が制約されるものではないが、例えば、前後に仕切る仕切板7によって、商品陳列部8および、テスター陳列部9に分割されており、テスター陳列部9の前面下部にはPOP表示部10が形成されているものであることが好ましい。
【0028】
図1に示すように、商品陳列部8には、陳列トレイ用溝11が商品陳列部8を構成する左右側壁に複数形成されている。この商品陳列部8に商品を陳列するには、図4に示すような陳列トレイレール101の両端に形成された爪状突起101aを陳列トレイ用溝11に差し込むことで、陳列トレイレール101を架設する。次に、その上に商品陳列トレイ102を載置することにより、商品陳列トレイ102上での商品陳列が可能となる。本実施態様では、陳列トレイ用溝11は、陳列トレイレール101の架設する高さを三段階調整できるように、左右4個ずつ、合計12個形成されているので、商品の形状・寸法に応じて、商品陳列トレイ102を任意の高さで設置できる。
【0029】
以下に、商品陳列トレイ102の具体的な使用方法を、口紅などの細長い商品を展示する場合を例に取り、図5に従って説明する。まず、隣接する陳列商品間の仕切りになる仕切りパーツ103を、商品陳列トレイ102の前端および後端にコの字状形成された立ち上がり部102aおよび102bに嵌装する。次に、この仕切パーツ103に並べて押し出し部材104を挿着し、更にこれに隣接させて仕切パーツ103を挿着する。押し出し部材104は、その底部104aに陳列商品を什器前方に押し出させるように自己付勢されたコンストンバネ104bと、商品に当接し什器前方向へ陳列商品を押圧する背板パーツ104cより構成される(図5b)。この押し出し部材104の嵌装の方法は、仕切りパーツ103と同様、その前後端を商品陳列トレイ102の立ち上がり部材102aおよび102bに挿着することで、嵌装される。該立ち上がり部に挿着された状態で、該基部は多少の遊びを有しているため、商品の形状・寸法に応じて、仕切りパーツ103および駆動部材104を任意に左右にスライドさせて、在庫維持単位(stock-keeping unit)に応じた陳列スペースを設定することができる。
【0030】
陳列商品を陳列するには、まず、前もって仕切りパーツ103および押し出し部材104を商品陳列トレイ102に嵌装しておき、陳列する商品の形状・寸法に合わせて、仕切りパーツ103の間隔を調整する。次に、押し出し部材104の背板パーツ104cを後方に押圧しながら、商品を挿入していく。挿入された商品は、弾性部材104bの付勢力により、容器体部2の仕切板7に押圧された状態が維持される。したがって、最前列の商品を取り出すと、該付勢力により、2列目以降の陳列商品が容器体部2の仕切板7に当接するまで押し出される。
【0031】
これにより、販売用商品は常に商品陳列部の最前部に搬出される状態が保持されるので、顧客が陳列された商品を手に取るには、容器体部2はその最前部の商品のみを取り出せる位置まで前面にスライドさせればよく、売り場面積を効率的に利用することができるとともに、販売用の商品として必要最低限の数量が什器外部に搬出されるので、万引きを抑止するという点においても効果的である。
【0032】
なお、本実施例では、具体的に102ないし104の部材を示したが、本発明がこれらに限定されるという趣旨ではなく、この他に、陳列する商品の形状・寸法に応じて、さまざまな部材を適宜組み合わせることも可能である。また、押し出し部材104の弾性部材としては、什器外方向に自己付勢されたものを用いることができ、ぜんまいバネ、つるまきバネなどを用いることができる。中でも、伸長長さが変化してもバネ定数の変化の小さいコンストンバネを用いることが望ましい。
【0033】
図6は、テスター陳列部9に設置することができる、商品の寸法や形状に応じたテスター陳列専用パーツを示した図である。図6aの201は、軸物テスター陳列パーツであり図6bの202はリップ・ネイルテスター陳列パーツである。これらの設置方法は、該パーツ下部に形成された突起状爪201aないし202aを、テスター陳列部9の最前部に形成されたストッパー溝12に嵌合する。次に、該パーツ上部201cないし202cを、仕切板7に当接させる方法で設置する。そして、軸物テスター陳列パーツ201では、その凹曲した表面に設けられた陳列突起201bに軸物の見本を載置することにより、リップ・ネイルテスター陳列パーツ202では、そのほぼ中央に設けられた長穴202bにリップ・ネイルテスターパーツ202dを挿入し、これにリップ用化粧料やネイル用化粧料の見本を並べることにより、テスターの展示を行うことができる。
【0034】
一方、図6cの203は、ネイル・ビン物・粉物テスター陳列パーツであり、該パーツ下部に形成された突起状爪203aを、テスター陳列部9の最前部に形成されたストッパー溝12に嵌合する。次に、該パーツ背板部203cを、仕切板7に当接させる方法で設置する。そして、陳列する商品は、背板部203cの前のくぼみ部203bに並べることにより展示できる。更に、図6dの204は、粉物用前出しパーツである。このものは、置き式かつ自立式となっているので、テスター陳列部9に任意に設置することができる。
【0035】
上記した、図6aないし図6dのテスター陳列専用パーツ201ないし204は、商品の寸法や形状に応じて交換できるので、1台の什器で様々なアイテムに対応することが可能であり、さらに、テスター陳列専用パーツの一部もしくは全部をPOP表示部として利用することが可能である。すなわち、本実施態様のように、該テスター陳列専用パーツが透明アクリルの場合は、シート状に形成された紙部材であって、その少なくとも一面に、色彩、模様、文字等が付された表示物を、該テスター陳列専用パーツの裏側から、色彩、模様、文字等が見える形で貼付すればよい。かかる表示物は、販売商品の情報を記載したものでもよいし、広告宣伝としての訴求効果を狙った表示を記載したものでもよい。いずれにしても、該表示物は、販促に応じて自由に交換することができる。
【0036】
さらに、テスター陳列部9には、図7に示す陳列部カバー205を開閉自在に設置することができる。本実施態様では、陳列部カバー205は、側面視円弧状の湾曲面に形成されたアクリル製の蓋体であって、その上部両端に形成されたヒンジ部205aを、テスター陳列部9の両側板の上部に形成されたヒンジ受け部205bに嵌合することで、テスター陳列部9に設置することができる。陳列部カバー205は通常、閉じられた状態で保持されているが、顧客が該カバー前面下部に形成された切欠き205cに指を差込み、上方向に該カバーを引き上げることにより、陳列部カバー205を開くことができるので、所望のテスターを自由に試用することの妨げとはならない。テスター陳列部9は、通常状態では、陳列部カバー205に蓋われた状態で保持されるので、テスターに埃がついたりするなどの事態を事前に防ぐことができる。
【0037】
また、POP表示部10は、図7に示す専用パーツのPOPレール206およびPOPレールカバー207を設置することで、POP表示が可能となる。設置方法は、まず、POPレール206の両端に形成された突起状爪206aを、POP表示部10の両端に形成された受け孔13に嵌合する。次に、POPレールカバー207の上部両端に形成されたヒンジ受け部207aを、POPレール206の両側板の上部に形成されたヒンジ部206bに嵌合することで、POPレールカバー207を開閉自在に設置することができる。POPレール206には、シート状に形成された紙部材であって、その少なくとも一面に、色彩、模様、文字等が付された表示物を貼付することができる。かかる表示物は、販売商品の情報を記載したものでもよいし、広告宣伝としての訴求効果を狙った表示を記載したものでもよい。いずれにしても、該表示物は、販促に応じて自由に交換することができる。
【0038】
なお、POP表示部10には、上記の情報とともに、陳列商品の取り出し方法についての記載を表示することが望ましい。すなわち、顧客が陳列商品を取り出すには、什器の前面のいずれかの部分を奥に押す動作が必要であるが、POP表示部10は什器前面の押す場所として最適であるので、ここに、「商品を取る際は、ここを押して下さい」というような記載を表示すれば、顧客が商品を取り出すのに戸惑ったり、あるいは、什器の別の箇所、例えば商品陳列部を手で押して、商品ディスプレイを崩してしまうなどのおそれもない。
【0039】
以上説明したように、本発明の化粧品陳列用什器は、商品販売時に顧客が什器前面をプッシュすると、什器内の係合装置が外れ、販売用商品を収納した容器体部が適時なスピードで手前側にスライドしてくるという動作を行うものであるので、従来のように、顧客が棚間に手を差し入れる必要なく陳列された商品を手にすることが可能となり、棚間のスペースの効率化を図ることができる。また、該容器体部における商品陳列部が収納されているため、什器前面部を全面的にテスターおよびPOP用の訴求スペースとして利用することができる。さらには、通常は商品陳列部が収納された構成をとり、顧客が商品を取り出す際は什器前面をプッシュする等の作業が増えるので、万引き行為などを予防し、盗難抑止効果を期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る化粧品陳列什器の構成を示す透視斜視図である。
【図2】本発明に係る化粧品陳列什器の容器体部を什器体基部に収納した状態の平面図である。
【図3】本発明に係る化粧品陳列什器の容器体部が什器体基部から引き出された状態の平面図である。
【図4a】商品陳列トレイレールを示す斜視図である。
【図4b】商品陳列トレイを示す斜視図である。
【図5a】商品陳列トレイの一実施形態を示す斜視図である。
【図5b】商品陳列トレイ用の押し出し部材を示す斜視図である。
【図6a】テスター陳列専用パーツの一実施例である軸物テスター陳列パーツを示した斜視図である。
【図6b】テスター陳列専用パーツの一実施例であるリップ・ネイルテスター陳列パーツを示した斜視図である。
【図6b−2】テスター陳列専用パーツの一実施例であるリップ・ネイルテスター陳列パーツを示した斜視図である。
【図6c】テスター陳列専用パーツの一実施例であるネイル・ビン物・粉物テスター陳列パーツを示した斜視図である。
【図6d】テスター陳列専用パーツの一実施例である粉物用前出しパーツを示した斜視図である。
【図7a】陳列部カバーを示した斜視図である。
【図7b】POPレールを示した斜視図である。
【図7c】POPレールカバーを示した斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 … … 什器体基部
2 … … 容器体部
3 … … 駆動部
3a … … コンストンバネ本体部
3b … … コンストンバネ(弾性体部)
3c … … 接合部
4 … … 係合部
4a … … ラッチ本体部
4b … … ラッチ凸部材
5 … … 制動部
5a … … ダンパ本体部
5b … … ダンパレール
6 … … ガイド機構
6a … … ガイドレール
6b … … ガイド部材
7 … … 仕切板
8 … … 商品陳列部
9 … … テスター陳列部
10 … … POP表示部
11 … … 陳列トレイ用溝
12 … … ストッパー溝
13 … … 受け孔
101 … … 陳列トレイレール
101a … … 爪状突起
102 … … 商品陳列トレイ
102a … … 立ち上がり部材
102b … … 立ち上がり部材
102c … … ストッパー部材
103 … … 仕切パーツ
104 … … 押し出し部材
104a … … 押し出し部材基部
104b … … 弾性部材
104c … … 背板パーツ
201 … … 軸物テスター陳列パーツ
201a … … 突起状爪
201b … … 陳列突起
201c … … パーツ上部
202 … … リップ・ネイルテスター陳列パーツ
202a … … 突起状爪
202b … … 長穴
202c … … パーツ上部
202d … … リップ・ネイルテスターパーツ
203 … … ネイル・ビン物・粉物テスター陳列パーツ
203a … … 突起状爪
203b … … くぼみ部
203c … … 背板部
204 … … 粉物用前出しパーツ
205 … … 陳列部カバー
205a … … ヒンジ部
205b … … ヒンジ受け部
205c … … 切欠き
206 … … POPレール
206a … … 突起状爪
206b … … ヒンジ部
207 … … POPレールカバー
207a … … ヒンジ受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
什器体基部と、引き出し自在に該什器体基部に収納された容器体部と、該容器体部を該什器体基部に収納した状態で保持する係合装置とよりなる引き出し式化粧品陳列什器であって、さらに、一端が該什器体基部に付設され、他端が該容器体部の底部に付設された弾性部材よりなる駆動部と、該駆動部による該容器体部の引き出し速度を制御するための制動部とを具備したことを特徴とする自動引き出し式化粧品陳列什器。
【請求項2】
弾性部材がコンストンバネである請求項第1項記載の化粧品陳列什器。
【請求項3】
制動部がダンパである請求項第1項または請求項第2項記載の化粧品陳列什器。
【請求項4】
容器体部が、商品陳列トレイが架設可能な商品陳列部および、商品説明の表示が可能なテスター陳列部に分割された請求項第1項ないし請求項第3項の何れかの項記載の化粧品陳列什器。
【請求項5】
さらに、商品陳列トレイに、商品を前面に搬出するための押し出し部材を具備したことを特徴とする請求項第4項記載の化粧品陳列什器。
【請求項6】
押し出し部材が、その底部にコンストンバネを設けたものである請求項第5項記載の化粧品陳列什器。






















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6b−2】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【公開番号】特開2006−218284(P2006−218284A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268204(P2005−268204)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【出願人】(502241590)株式会社メイビ (1)
【Fターム(参考)】