説明

化粧料塗布体と該化粧料塗布体を具える液状化粧料容器

【課題】液状化粧料を塗布するに当たって、液状化粧料を必要且つ十分に塗布すると共に、その表面を平滑にし、又はぼかしたりすることができるようにする。
【解決手段】支持軸(10)に一体に保持される塗布部(13)を薄肉状とすると共に、一面を植毛面(15)とし、他面を平滑面(16)とすることで、液状化粧料の塗布にあたっては、塗布部の植毛面を塗布面に押し付けることで、塗布部の薄肉化による弾性により該植毛面は強く塗布面に押し付けられるので、液状化粧料を余すことなく皺なども含めて塗布面に塗布できる。そして必要に応じて、平滑面を該塗布面に押し当てれば、該平滑面はその弾性をもって密着して塗布面は確実に平滑となって艶が生じ、又、植毛面で払拭すれば塗布面の境界をぼかすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アイシャドー、リップ、リップグロス等の液状化粧料を塗布する化粧料塗布体と、該化粧料塗布体を具える液状化粧料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アイシャドー、リップ、リップグロス等の液状化粧料を塗布する化粧料塗布体は、該液状化粧料を収容する化粧料容器本体とともに液状化粧料容器を構成するキャップ内において、一体に内装、保持されており、該化粧料塗布体は、支持軸と、該支持軸において一体に形成、又は一体に保持されてなる塗布部から構成されものである。そして、該支持軸において一体に形成、又は一体に保持されてなる塗布部には、概略以下の2種類がある。すなわち、第1に、主としてリップグロス等に使用されることが多いが、塗布部が平板状であって、その両面いずれをも平滑面としているものがある〔図3(イ)(ロ)参照〕。第2に、主としてアイシャドー、リップ等に使用されることが多いが、塗布部が円柱状あるいは先端を斜めに切断した円柱状〔図4(イ)参照〕や同様に先端を半球体とした円柱状〔図4(ロ)参照〕であって、その表面全体に静電植毛(フロッキー加工という。)を施した植毛面としているものがある。
【特許文献1】特開2003−164326号公報
【特許文献2】特開2003−199616号公報
【0003】
上記液状化粧料容器のキャップ内に内装、保持される化粧料塗布体の塗布部が、平板状であって、その両面いずれをも平滑面としている場合は、液状化粧料の塗布にあたっては、平板状となっている塗布部を塗布面に対して押し付けるというよりも、該塗布部を塗布面に対して液状化粧料を載せるようにして撫でつけることで、塗布した該液状化粧料の塗布面を平滑且つ均一にしてなるものである。そのため、該平滑面である塗布部により、その表面を平滑且つ均一に塗布された該液状化粧料は、正確に光線を反射し、艶を出すことができるものとなる。
しかしながら、化粧料塗布体の塗布部の表面が平滑面であると、該塗布部は塗布面に対して必要となる液状化粧料をほとんど含浸、保持することができず、何度も液状化粧料を該塗布部に対して塗布することが必要になるものである。更に、該塗布部が塗布しようとする液状化粧料の粘度が低いと、該塗布部は液状化粧料をほとんど付着させることができず、使用者が該塗布部に対して液状化粧料を付着させる頻度は著しく多くなるものとなる。また、化粧料塗布体の塗布部の表面が平滑であると、液状化粧料を塗布する塗布面と非塗布面との境界においてボカシ等を施そうとしても、該平滑面となっている塗布部では液状化粧料を十分に伸展、拡散させられず、最小限の用具しか携帯しない外出時においては、化粧方法に制限を与えるものとなる。
【0004】
一方、上記液状化粧料容器内に内装、保持される化粧料塗布体において、その塗布部が、円柱状あるいは先端を斜めに切断した円柱状や同様に先端を半球体とした円柱状あって、その表面に静電植毛(フロッキー加工という。)を施した植毛面としているものの場合は、液状化粧料の塗布にあたっては該植毛面により唇等の細かい皺にまで液状化粧料を確実に塗布することができる。そして、該塗布部の植毛面の植毛が小さな空間を形成しているので、一度で塗布面に必要となる液状化粧料を必要且つ十分に含浸、保持することができる上、該塗布部の植毛面の植毛密度が高ければ、例え低粘度の液状化粧料であっても十分に液状化粧料を含浸、保持することができる。更に、植毛を施された植毛面は、唇等の塗布面に対する接触が柔軟となる上、液状化粧料の伸展、拡散をも確実に行えるので、塗布面と非塗布面との境界におけるボカシ等の作業を簡易且つ確実に行えるものである。
しかしながら、塗布部の植毛面における植毛の方向や、該植毛面における植毛同士の絡み合い状況によっては、該塗布部が塗布面に正確に密着することができず、塗布面に付着した液状化粧料がムラになり易いものである。また、該塗布面に付着した液状化粧料の表面は、植毛面により平滑になることなく激しい凹凸を有することになるので、塗布面に付着した該液状化粧料の表面は光線を正確に反射することなく乱反射し、艶が無くなってしまうものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、液状化粧料容器に内装、保持される化粧料塗布体において、塗布面に対して、必要且つ十分な液状化粧料を含浸、保持することと、該塗布面に対して塗布する液状化粧料の表面を平滑且つ均一にし、あるいはボカシたりする種々の化粧方法とを同時にできない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、例えば、液状化粧料を貯留する化粧料容器本体と、該化粧料容器本体の開口部に脱着自在に取り付けられるキャップから構成される液状化粧料容器において、該キャップ内において一体に内装、保持してなる化粧料塗布体を、支持軸と、支持軸の一端において、一体に形成又は保持される薄肉状の塗布部とからなるものとし、該薄肉状の塗布部の一面を植毛面とし、他面を平滑面としてなるものである。
以上により、使用者は、化粧料塗布体の先端の塗布部を、液状化粧料容器内に貯留された液状化粧料に浸漬することで、該塗布部の一面をなす植毛面により、塗布面の塗布に必要な液状化粧料を十分含浸、保持させることができることとなる。そして、該塗布部に含浸、保持された液状化粧料は、薄肉化することで得られる弾性により該塗布部を確実に塗布面に密着させることにより、該塗布面に余すところなく絞り出すように塗布されると同時に、皺などにも確実に侵入することができるものである。そして、塗布面に塗布した液状化粧料は、同様に塗布部の有する弾性により該塗布面に付着した液状化粧料の表面に密着する塗布部の平滑面により、確実に平滑にされるので、該液状化粧料の表面に艶を出すことができる。更に、弾性を有する該塗布部の平滑面を塗布面に沿って移動させることで、塗布面に付着した液状化粧料を塗布面全域にわたって均一に引き延ばすことができる。また、塗布面と非塗布面との境界においてボカシを行おうとする場合には、該塗布部の一面をなす植毛面によって液状化粧料の境界を拭うことで該液状化粧料を伸展、拡散させることができるので、ボカシ等を確実に行えるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の化粧料塗布体は、塗布面に対して必要となる液状化粧料を十分に含浸、保持することができるので、多数回繰り返して、化粧料塗布体の塗布部を液状化粧料容器本体内に貯留された液状化粧料に浸漬する必要がなく、また該塗布部が一面を植毛面とし、他面を平滑面にしているので、使用者が該塗布部の弾性を利用して、液状化粧料を平滑にすることでその表面に艶を出したり、該塗布面の境界をぼかすなどの種々の化粧方法を、簡易且つ確実に行うことができる優れた効果を有するものである。
【実施例1】
【0008】
図1において、(1)は、この発明の実施例である液状化粧料容器である。この液状化粧料容器(1)は、内部において、アイシャドー、リップ、リップグロス等の液状化粧料(3)を貯留すると共に、その口部(4)内において、内方に突出して周設する突縁部(6)を有してなるシゴキ(5)を内装する化粧料容器本体(2)と、該化粧料容器本体(2)の口部(4)の開口部(7)を開閉するように、該口部(4)の側面に形成された雄ネジ部(4’)に噛合する雌ネジ部(8’)を内設して、該口部(4)に対して着脱自在となるキャップ(8)より構成されるものである。
【0009】
ここで、該液状化粧料容器(1)を構成することとなるキャップ(8)内においては、該液状化粧料容器(1)をキャップ(8)と共に構成することとなる化粧料容器本体(2)内に貯留してなるアイシャドー、リップ、リップグロス等の液状化粧料(3)を塗布するために使用する化粧料塗布体(9)が一体に内装、保持されているものである。
【0010】
そして、該化粧料塗布体(9)は、該液状化粧料(3)を唇や皮膚などの塗布面に密着して塗布することとなる塗布部(13)と、一端に該塗布部(13)を、該塗布部(13)と一体に成形する保持部(14)を介して一体に保持することとなる保持孔(12)を穿設し、他端ではキャップ(8)内に密嵌、固定する固定部(11)を形成してなる支持軸(10)から構成されるものである。更に、該塗布部(13)は、薄肉状となっているものであって、且つ該薄肉状の塗布部(13)の一面を植毛面(15)とし、他面を平滑面(16)としてなるものである。
【0011】
なお、上記化粧料塗布体(9)は、支持軸(10)と、該支持軸(10)の先端に一体に保持される塗布部(13)とが別体であるとしているが、製造工程の短縮や部品点数の削減のために、支持軸(10)の先端に一体に塗布部(13)を形成するものであっても良い。
【0012】
この発明の実施例である液状化粧料容器(1)は以上の構成を具えるので、使用者は、液状化粧料(3)を塗布するにあたって、以下のようにするものである。
即ち、使用者は、化粧料容器本体(2)の口部(4)において、該口部(4)の側面に形成された雄ネジ部(4’)とキャップ(8)内に内設される雌ネジ部(8’)とが螺合することにより固定されているキャップ(8)を回動させて、該化粧料容器本体(2)の口部(4)とキャップ(8)との螺合による固定を解き、該キャップ(8)を化粧料容器本体(2)から着脱自在とする。
そして、化粧料容器本体(2)の口部(4)との螺合、固定が解かれ着脱自在となったキャップ(8)を、化粧料容器本体(2)の軸方向に沿って引張することで、該キャップ(8)内に一体に内装、保持される化粧料塗布体(9)は、該化粧料容器本体(2)内より取り出されるものとなる。
【0013】
このとき、化粧料容器本体(2)内に貯留された液状化粧料(3)内に浸漬していた、化粧料塗布体(9)を構成する支持軸(10)及び塗布部(13)は、該液状化粧料(3)内より引き上げられるとともに、化粧料容器本体(2)の口部(4)内に内装されるシゴキ(5)の突縁部(6)に当接することで変形させることにより、該支持軸(10)、及び該支持軸(10)の先端に一体に保持される塗布部(13)の表面に過剰に付着している液状化粧料(3)が扱かれて除去されることとなる。そのため、該化粧料容器本体(2)より取り出された化粧料塗布体(9)の表面に、過剰な液状化粧料(3)は一切付着しておらず、液だれ等による衣服や周囲の汚損を確実に防止できるものとなる。
【0014】
そこで、使用者は、該化粧料塗布体(9)の塗布部(13)の植毛面(15)を唇等の塗布面に密着させて、該塗布部(13)の植毛面(15)が含浸、保持している液状化粧料(3)を塗布するものである。なお、該塗布部(13)による液状化粧料(3)の塗布に際しては、該塗布部(13)が薄肉状であって、弾性を有するものであることから、該塗布部(13)は、強力に塗布面に押し付けられて密着し、該植毛面(15)に含浸、保持される液状化粧料(3)は、余すことなく塗布面に絞り出されると同時に、塗布面に皺などがあっても深く侵入することができるものである。
【0015】
ところで、該塗布面に絞り出された液状化粧料(3)は、そのままの状態ではその表面の凹凸が激しいため、該凹凸の形成された液状化粧料(3)の表面を平滑に、且つ塗布面に対して均一に引き延ばす必要がある。そのために、該塗布部(13)を反転させて、塗布部(13)の他面をなす平滑面(16)を塗布面に絞り出された液状化粧料(3)表面に押しつけるとともに、塗布面に沿って移動させるものである。そしてその結果、該液状化粧料(3)の表面は平滑となるとともに、塗布面全域にわたって均一となり、その表面が平滑且つ均一となった液状化粧料(3)は光線を十分に反射し、艶を出すことができるものとなる。このときも、塗布部(13)が薄肉状となって弾性を有しているので、塗布部(13)は強力に塗布面に押し付けられる結果、確実に塗布面に密着し、塗布面に付着した液状化粧料(3)の表面は確実に平滑且つ、塗布面全域にわたって均一となるものである。
【0016】
更に、該液状化粧料(3)を塗布した塗布面において、その非塗布面との境界でボカシ等を行おうとする場合は、再度塗布部(13)を反転させて、塗布部(13)の一面をなす植毛面(15)を塗布面に密着させながら、拭うことにより該液状化粧料(3)を伸展、拡散させることでができるので、該塗布面の境界においてボカシを施すことができるものとなる。
【0017】
なお、この発明の実施例では、該化粧料塗布体(9)が液状化粧料容器(1)と一体になっているものであるが、当然液状化粧料容器(1)とは別体としても良いものである
【0018】
また、この発明の実施例である液状化粧料容器(1)の使用後は、化粧料容器本体(2)の開口部(7)から、キャップ(8)に一体に保持される化粧料塗布体(9)の塗布部(13)を挿入すると共に、該キャップ(8)を該化粧料容器本体(2)の口部(4)に螺合することで互いに両者は固定され、該化粧料容器本体(2)の口部(4)は、キャップ(8)により閉塞され、化粧料容器本体(2)内に貯留する液体化粧料(3)は外部に漏出することはないものである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
あらゆる液状化粧料の化粧料塗布体として、また、内部に液状化粧料を収容するあるゆる液状化粧料容器に対して適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施例である液状化粧料容器の断面図である。
【図2】この発明の実施例である化粧料塗布体の(イ)正面図、(ロ)側面図である。
【図3】塗布部を平板状とする従来例の(イ)正面図、(ロ)側面図である。
【図4】塗布部全体を静電植毛した従来例の内、(イ)先端を斜めに切断した円柱状の塗布部とした従来例の正面図、(ロ)先端を半球体とした円柱状の塗布部とした従来例の正面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 液状化粧料容器
2 化粧料容器本体
3 液状化粧料
4 口部
4’ 雄ネジ部
5 シゴキ
6 突縁部
7 開口部
8 キャップ
8’ 雌ネジ部
9 化粧料塗布体
10 支持軸
11 固定部
12 保持孔
13 塗布部
14 保持部
15 植毛面
16 平滑面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持軸と、該支持軸の一端において保持される薄肉状の塗布部とから構成され、該薄肉状の塗布部の一面を植毛面とし、他面を平滑面としてなる化粧料塗布体。
【請求項2】
上記支持軸と塗布部とを、一体に形成してなる請求項1記載の化粧料塗布体。
【請求項3】
液状化粧料を貯留する化粧料容器本体と、該化粧料容器本体の開口部に脱着自在に取り付けられるキャップから構成され、該キャップ内において上記請求項1又は2記載の化粧料塗布体を、該化粧料塗布体を構成する支持軸により一体に内装、保持してなる液状化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−94892(P2006−94892A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281031(P2004−281031)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)