説明

化粧料容器

【課題】蓋体の開閉操作に応じ、蓋体を閉じた状態では化粧料の乾燥や飛散を防止でき、かつ蓋体を開いたときに化粧操作の邪魔にならない構造を合理的に組み込んだ化粧料容器を提供する。
【解決手段】軸受部4及び軸受部周りに配置された化粧料収納部5を有する容器本体2と、容器本体に回動自在に連結される蝶番ブロック10を有し、蝶番ブロックを介して展動されて容器本体を開閉する蓋体と、軸受部に回転軸17が回転自在に支持され、回転されて化粧料収納部を隠蔽したり露出させる回転シャッター部材と、軸受部と回転軸との間に設けられ、回転シャッター部材に、化粧料収納部が露出する方向の回転習性を付与するつる巻バネ23と、蝶番ブロックに設けられたカム25及び回転シャッター部材に設けられカムに摺接される摺接部28とから構成され、蓋体の閉止操作で回転シャッター部材を、化粧料収納部が隠蔽される方向へ回転させるカム機構24とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体の開閉操作に応じ、蓋体を閉じた状態では化粧料の乾燥や飛散を防止でき、かつ蓋体を開いたときに化粧操作の邪魔にならない構造を合理的に組み込んだ化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓋体の開閉操作に応じて、例えば内部鏡の保護用の扉を開いたり閉じたりするようにした鏡付ケースが知られている。この鏡付ケースにあっては、ケースは、内部鏡を備えた蓋と、化粧品を収納するための受皿を有する底部と、底部に対して蓋の相対的回転を可能にする蝶番とから成り、内部鏡の保護用の扉と、扉が蓋の回転によって作動可能になるための手段であって、ケースが開かれたときに「鏡使用」と呼ばれる位置に内部鏡から側面方向に離れ、蓋が閉じたときに「鏡保護」と呼ばれる位置に復帰するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−189241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化粧料を収納するこの種化粧料容器では、蓋体を閉じた不使用時における化粧料の乾燥や飛散を防止できる構造を備えることが望まれる。また、蓋体を開いた使用時には、乾燥防止や飛散防止を営む構造が化粧操作の邪魔にならないようにすることが望まれる。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、蓋体の開閉操作に応じ、蓋体を閉じた状態では化粧料の乾燥や飛散を防止でき、かつ蓋体を開いたときに化粧操作の邪魔にならない構造を合理的に組み込んだ化粧料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる化粧料容器は、軸受部及び該軸受部周りに配置された化粧料収納部を有する容器本体と、該容器本体に回動自在に連結される蝶番ブロックを有し、該蝶番ブロックを介して展動されて該容器本体を開閉する蓋体と、上記軸受部に回転軸が回転自在に支持され、回転されて上記化粧料収納部を隠蔽したり露出させる回転シャッター部材と、上記軸受部と上記回転軸との間に設けられ、上記回転シャッター部材に、上記化粧料収納部が露出する方向の回転習性を付与するバネと、上記蝶番ブロックに設けられたカム及び上記回転シャッター部材に設けられ該カムに摺接される摺接部とから構成され、上記蓋体の閉止操作で該回転シャッター部材を、上記化粧料収納部が隠蔽される方向へ回転させるカム機構とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる化粧料容器は、付勢トルクが設定トルクを超えることで付勢方向に所定の回転量の回転作用を呈する携帯電話用一軸ヒンジユニット及び該ヒンジユニット周りに配置された化粧料収納部を有する容器本体と、該容器本体に回動自在に連結される蝶番ブロックを有し、該蝶番ブロックを介して展動されて該容器本体を開閉する蓋体と、上記ヒンジユニットのトルク軸に連結され、回転されて上記化粧料収納部を隠蔽したり露出させる回転シャッター部材と、上記蝶番ブロックに設けられたトリガー部及び上記回転シャッター部材に設けられた押圧部とから構成され、上記蓋体の開放操作で該トリガー部から該押圧部に入力される付勢トルクにより上記ヒンジユニットを、該回転シャッター部材が上記化粧料収納部を露出する方向へ回転させるとともに、該蓋体の閉止操作で該トリガー部から該押圧部に入力される付勢トルクにより該ヒンジユニットを、該回転シャッター部材が上記化粧料収納部を隠蔽する方向へ回転させるトリガー機構とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる化粧料容器にあっては、蓋体の開閉操作に応じ、蓋体を閉じた状態では化粧料の乾燥や飛散を防止でき、かつ蓋体を開いたときに化粧操作の邪魔にならない構造を合理的に組み込んで構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明にかかる化粧料容器の第1実施形態を上方から見た分解斜視図である。
【図2】図1の化粧料容器の下方から見た分解斜視図である。
【図3】図1の化粧料容器の閉じた状態の側断面図である。
【図4】図1の化粧料容器の閉じた状態の平面断面図である。
【図5】図1の化粧料容器の開いた状態の側断面図である。
【図6】図1の化粧料容器の開いた状態の平面図である。
【図7】図1の化粧料容器に適用されるつる巻バネの斜視図である。
【図8】図1の化粧料容器に適用される回転シャッター部材の変形例を示す側面図である。
【図9】図1の化粧料容器の変形例を示す要部拡大側断面図である。
【図10】本発明にかかる化粧料容器の第2実施形態の分解斜視図である。
【図11】図10の化粧料容器の閉じた状態の側断面図である。
【図12】図10の化粧料容器の閉じた状態の平面断面図である。
【図13】図10の化粧料容器の後方部分の正面断面図である。
【図14】図10の化粧料容器の開いた状態の側断面図である。
【図15】図10の化粧料容器の開いた状態の平面図である。
【図16】図10の化粧料容器に適用される回転シャッター部材の平面図である。
【図17】図10の化粧料容器に適用される回転シャッター部材を下から見た斜視図である。
【図18】本発明にかかる化粧料容器の第3実施形態の化粧料容器を閉じた状態の平面断面図である。
【図19】図18の化粧料容器の開いた状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる化粧料容器の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1〜図9には、第1実施形態にかかる化粧料容器が示されている。
【0011】
化粧料容器1は主に、容器本体2と蓋体3とから構成される。容器本体2の内部には、そのほぼ中央部に、上下方向に軸を受ける軸受部4が凹設されるとともに、軸受部4の周りに等間隔で、異なる種類の粉末状の化粧料を収納する4つの化粧料収納部5が形成される。化粧料収納部5の数及び配置間隔は、適宜に設定してよい。
【0012】
これら化粧料収納部5の前方には、粉末状の化粧料を付着させる化粧ブラシ(図示せず)を収納するためのブラシ収納部6が形成される。ブラシ収納部6の前方には、窪み部7が形成され、窪み部7内には、係合突起8が形成される。また、化粧料収納部5後方の容器本体2の後壁2aには、切り欠き部9が形成される。
【0013】
蓋体3の後部には、容器本体2の切り欠き部9に挿入される蝶番ブロック10が形成される。蝶番ブロック10は、容器本体2左右から装着される蝶番ピン11を介して、当該容器本体2に回動自在に連結される。蓋体3は、蝶番ブロック10を介して、容器本体2に展動自在に設けられ、これにより蓋体3は容器本体2を開閉するようになっている。
【0014】
蓋体3の前方には、容器本体2の窪み部7に挿入されるフック12が形成され、フック12には、係合突起8に係脱自在に係合される被係合部13が形成される。係合突起8と被係合部13の係合で蓋体3の閉止状態が保たれ、これらが離脱することで蓋体3が開放操作可能となる。
【0015】
化粧料収納部5上には、円盤状のパッキン14が設けられる。パッキン14には、軸受部4を露出させる中央穴14aが形成される。また、パッキン14の下面には、各化粧料収納部5に嵌め入れられる嵌め込み部14bが形成される。嵌め込み部14bを各化粧料収納部5に嵌め込むことで、パッキン14は、容器本体2に固定される。パッキン14には、各嵌め込み部14b位置に、化粧料収納部5の口径よりも小さな孔径で、粉末状の化粧料を化粧ブラシで取り出すための通孔15が形成される。
【0016】
パッキン14上には、円盤状の回転シャッター部材16が回転可能に設けられる。回転シャッター部材16のほぼ中央部には、容器本体2の軸受部4に挿入され、当該軸受部4に回転自在に支持される回転軸17が上下方向に形成される。図示例にあっては、回転軸17は中空で形成され、軸受部4には中空の回転軸17に差し込まれる突部18が形成される。これにより、回転シャッター部材16は容器本体2の軸受部4に安定的に回転自在に支持されて、パッキン14上で回転動作される。
【0017】
回転シャッター部材16には、パッキン14の各通孔15位置に対応させて、化粧料ブラシが挿入される取り出し孔19が形成される。従って、回転シャッター部材16が、取り出し孔19とパッキン14の通孔15の一致する回転位置であれば、化粧料収納部5が露出され、他方、一致しない回転位置であれば、化粧料収納部5が隠蔽される。
【0018】
回転シャッター部材16の上方には、回転シャッター部材16のほぼ全体を露出させる大きさの開口部20aを有する化粧板20が当該回転シャッター16部材の回転を妨げることのないように設けられる。化粧板20は、容器本体2に超音波接着などにより固定される。
【0019】
回転シャッター部材16の回転軸17及び容器本体2の軸受部4には、係止溝21,22が形成され、これら係止溝21,22には、図7に示すような円筒状のつる巻バネ23の両端が係止される。つる巻バネ23は、回転軸17と軸受部4との隙間に装着される。
【0020】
つる巻バネ23は、軸受部4に係止された一端に反力をとって、他端が係止された回転軸17を常時弾発付勢し、回転シャッター部材16が化粧料収納部5を露出する方向、すなわち通孔15と取り出し孔19が一致する回転位置への回転習性を与えるようになっている。本実施形態にあっては、バネとしてつる巻バネを例示したが、コイルバネや板バネなどその他のバネであっても良いことはもちろんである。
【0021】
蝶番ブロック10と回転シャッター部材16との間には、化粧料収納部5が隠蔽される方向、すなわち通孔15と取り出し孔19とが不一致となる回転位置へ回転シャッター部材16を回転させるためのカム機構24が設けられる。蝶番ブロック10には、容器本体2の切り欠き部9に面して、カム25が形成される。
【0022】
カム25は図示にあっては、容器本体2の左右方向中央から右方向端部へ向かって抉った形態の湾曲面で形成され、最も深く抉られた中央位置に第1突起26が、最も浅くなる右端部位置に第2突起27が形成される。
【0023】
回転シャッター部材16には、その外周縁から外方へ突出させて、カム25に摺接される爪状の摺接部28が形成される。摺接部28は、切り欠き部9を介し、蝶番ブロック10のカム25に面して配置される。摺接部28は図4に示すように、蓋体3の閉止状態で、最も浅く抉られたカム25の右端部位置に摺接される。
【0024】
蓋体3を開放していくと、蝶番ブロック10も回動し、この際、摺接部28は、つる巻バネ23の弾発付勢の作用を受けて、順次深くなるカム25のプロフィールに従い、最も深く抉られた容器本体2の中央側へ向かって案内され、これにより回転シャッター部材16が回転されるようになっている。
【0025】
第1突起26は、つる巻バネ23で回転付勢される回転シャッター部材16の制止位置、すなわち蓋体3開放時の停止位置を設定するために、摺接部28を制止するようになっている。回転シャッター部材16は、第1突起26で制止されることにより、図6に示すように通孔15と取り出し孔19とが合致して、これにより化粧料収納部5が露出されるようになっている。
【0026】
第2突起27は、蓋体3を閉じていく過程で右方向へ移動する回転シャッター部材16を制止させるために、摺接部28をカム25の右端部で制止させるようになっている。従って、第2突起27は、蓋体3の閉止状態での回転シャッター部材16の初期位置を設定するようになっている。
【0027】
図示例にあっては、摺接部28は、回転シャッター部材16の下面から断面L字状に折り曲げて突出形成されているが、図8に示すように、回転シャッター部材16の外周縁から真っ直ぐに突出形成してもよい。また、図9に示すように、蝶番ブロック10には、中央へ向かって移動させるべき摺接部28に安定した初動を与えるために、蓋体3の開放操作初期に摺接部28を左方向へ押圧する第3突起29を設けるようにしてもよい。
【0028】
次に、第1実施形態にかかる化粧料容器1の作用について説明する。図3及び図4に示すように、係合突起8に被係合部13を係合して蓋体3を閉じている状態では、カム機構24の摺接部28はカム25の右端部に位置し、回転シャッター部材16は、通孔15に対し、取り出し孔19の位置が不一致となる回転位置に制止されている。
【0029】
図5及び図6に示すように、係合突起8から被係合部13を離脱させて蓋体3を開放していくと、つる巻バネ23の弾発付勢を伴って、摺接部28が最も浅く抉られた右端部から最も深く抉られた中央へ向かってカム25に沿って摺動を開始し、これにより回転シャッター部材16も回転を始める。蓋体3を開ききると、摺接部28はカム25上の第1突起26位置に達してその摺動が停止され、これにより回転シャッター部材16の回転も制止される。
【0030】
この第1突起26位置での回転シャッター部材16の停止により、パッキン14の通孔15と取り出し孔19とが一致する。従って、これら取り出し孔19及び通孔15を介して、化粧料収納部5内に化粧ブラシを挿入することにより、化粧料を取り出すことができる。
【0031】
蓋体3を閉じる際には、摺接部28は、最も深く抉られた中央からカム25に案内されて最も浅い右端部へ向かって摺動し、これに伴って回転シャッター部材16もつる巻バネ23の弾発付勢に抗して回転していき、摺接部28が右端部の第2突起27に制止され回転シャッター部材16も回転停止する位置で、被係合部13が係合突起8に係合して化粧料容器1が閉止される。このときは、通孔15と取り出し孔19とが不一致となる。
【0032】
以上説明した第1実施形態にかかる化粧料容器1にあっては、軸受部4及び軸受部4周りに配置された化粧料収納部5を有する容器本体2と、容器本体2に回動自在に連結される蝶番ブロック10を有し、蝶番ブロック10を介して展動されて容器本体2を開閉する蓋体3と、軸受部4に回転軸17が回転自在に支持され、回転されて化粧料収納部5を隠蔽したり露出させる回転シャッター部材16と、軸受部4と回転軸17との間に設けられ、回転シャッター部材16に、化粧料収納部5が露出する方向の回転習性を付与するつる巻バネ23と、蝶番ブロック10に設けられたカム25及び回転シャッター部材16に設けられカム25に摺接される摺接部28とから構成され、蓋体3の閉止操作で回転シャッター部材16を、化粧料収納部5が隠蔽される方向へ回転させるカム機構24とを備えた構成を有するので、蓋体3の開閉操作に応じ、蓋体3を閉じた状態では化粧料の乾燥や飛散を防止でき、かつ蓋体3を開いたときに化粧操作の邪魔にならない構造を合理的に組み込んで構成することができる。
【0033】
カム機構24のカム25を、容器本体2に回動自在に連結される蝶番ブロック10に形成したので、部品点数を増やす必要がなく、また蓋体3の開閉に伴う動きをそのまま利用して合理的にカム作用を発揮させることができる。
【0034】
また、パッキン14を設けたので、さらに化粧料の乾燥防止及び飛散防止効果を高めることができる。また、化粧料収納部5を複数配置したので、異なる種類の化粧料を一括して収納して化粧に便利であるとともに、これらを一挙に露出させたり隠蔽したりすることができる。バネをつる巻バネ23としたので、構造がきわめて簡単であるとともに、回転軸17と軸受部4との隙間にコンパクトに収納できて、化粧料容器1が大型化することを防止できる。
【0035】
図10〜図17には、第2実施形態にかかる化粧料容器1が示されている。容器本体2の内部には、そのほぼ中央部に、携帯電話用一軸ヒンジユニット30が固定して設けられるとともに、ヒンジユニット30を取り囲んでその周りに、ほぼ円形状の化粧料収納部5が形成される。化粧料収納部5の底面には、化粧料を集めやすくするスロープ5aが形成されている。化粧料収納部5の数及びそれらの配置間隔は、適宜に設定してよい。
【0036】
携帯電話用一軸ヒンジユニット30は、スガツネ工業株式会社製MPH−22シリーズ等として周知であって、ヒンジユニット30のトルク軸30aに加えられる付勢トルク、例えば右回りの付勢トルクが設定トルクを超えることで付勢方向、すなわち右方向へ所定の回転量の回転作用を呈するようになっている。左回りの付勢トルクが加えられれば、同様に設定トルクを超えることで左方向へ所定の回転量の回転作用を呈する。
【0037】
化粧料収納部5上には、円盤状のパッキン14が設けられる。パッキン14には、ヒンジユニット30を露出させる中央穴14aが形成される。また、パッキン14の下面には、化粧料収納部5に嵌め入れられる嵌め込み部14bが形成される。嵌め込み部14bを化粧料収納部5に嵌め込むことで、パッキン14は、容器本体2に固定される。パッキン14には、粉末状の化粧料を化粧ブラシで取り出すための扇状の通孔15が形成される。
【0038】
パッキン14上には、円盤状の回転シャッター部材16が回転可能に設けられる。回転シャッター部材16のほぼ中央部には、容器本体2に設けたヒンジユニット30のトルク軸上端の角軸部30aに連結されるとともに、容器本体2に形成されてその内部にヒンジユニットを納める筒壁部31に回転自在に嵌合される中空筒状の連結部32が形成される。これにより、回転シャッター部材16は容器本体2に安定的に回転自在に支持されて、パッキン14上で回転動作される。
【0039】
回転シャッター部材16には、パッキン14の通孔15とほぼ同形の扇状の形態で、化粧料ブラシが挿入される取り出し孔19が形成される。回転シャッター部材16が、取り出し孔19とパッキン14の通孔15の一致する回転位置であれば、化粧料収納部5が露出され、他方、一致しない回転位置であれば、化粧料収納部5が隠蔽される。
【0040】
蝶番ブロック10と回転シャッター部材16との間には、化粧料収納部5が隠蔽される方向、すなわち通孔15と取り出し孔19とが不一致となる回転位置へ回転シャッター部材16を回転させたり、化粧料収納部5が露出される方向、すなわち通孔15と取り出し孔19とが一致する回転位置へ回転シャッター部材16を回転させるためのトリガー機構33が設けられる。
【0041】
蝶番ブロック10の左右両端部には図13に示すように、容器本体2の切り欠き部9を介して容器本体2内方へ向けて、第1トリガー部35及び第2トリガー部34が突設される。これらトリガー部34,35は、螺旋面を有する。図示例にあっては、右端部の第1トリガー部35は、後述する第1押圧部36を左方向へ押圧する螺旋面を有し、左端部の第2トリガー部34は、後述する第2押圧部37を右方向へ押圧する螺旋面を有する。また、第1トリガー部35は、蓋体3を開いていく過程で、第1押圧部36を下方から左方へ向かって押圧する位置に形成され、また、第2トリガー部34は、蓋体3を閉じていく過程で、第2押圧部37を上方から右方へ押圧する位置に形成される。
【0042】
回転シャッター部材16には図16及び図17に示すように、その外周縁から外方へ突出させて、各トリガー部34,35にそれぞれ押圧される爪状の第1及び第2押圧部36,37が形成される。
【0043】
蓋体3を開放していくと、蝶番ブロック10も回動し、この際、第1トリガー部35が、第1押圧部36を押圧して、回転シャッター部材16は左方向へ回転し、これにより左方向への付勢トルクが生じる。この付勢トルクがヒンジユニット30の設定トルクを超えると、ヒンジユニット30は、それに設定された所定の回転量で回転作用を呈し、回転シャッター部材16を左方向へ回転させる。ヒンジユニット30の所定回転量は、通孔15と取り出し孔19とが一致する量に設定されている。これにより化粧料収納部5が露出されるようになっている。
【0044】
また、蓋体3を閉じていくと、蝶番ブロック10も回動し、この際、第2トリガー部34が、第2押圧部37を押圧して、回転シャッター部材16は右方向へ回転し、これにより右方向への付勢トルクが生じる。この付勢トルクがヒンジユニット30の設定トルクを超えると、ヒンジユニット30は、それに設定された所定の回転量で回転作用を呈し、回転シャッター部材16を右方向へ回転させる。ヒンジユニット30の所定回転量は、通孔15と取り出し孔19とが重なり合うことなく、不一致となる量に設定されている。これにより化粧料収納部5が回転シャッター部材16で隠蔽されるようになっている。
【0045】
第2実施形態では、第1及び第2トリガー部34,35と、第1及び第2押圧部36,37とが蝶番ブロック10の左右方向長さ寸法と同程度の間隔で配置されるので、回転シャッター部材16はその範囲で正逆回転動作される。
【0046】
次に、第2実施形態にかかる化粧料容器1の作用について説明する。図11及び図12に示すように、係合突起8に被係合部13を係合して蓋体3を閉じている状態では、トリガー機構33の第1押圧部36は第1トリガー部35の直上に位置し、回転シャッター部材16は、通孔15に対し、取り出し孔19の位置が不一致となる回転位置に制止されている。第2押圧部37と第2トリガー部34とは、広く離隔した位置を占める。
【0047】
図14及び図15に示すように、係合突起8から被係合部13を離脱させて蓋体3を開放していくと、第1トリガー部35が第1押圧部36を左方向へ付勢するトルクを発生し、これにより回転シャッター部材16も回転を始める。第1トリガー部35による付勢トルクがヒンジユニット30の設定トルクを超えると、当該ヒンジユニット30により回転シャッター部材16は自動的に左方向へ所定の回転量で回転されて停止される。
【0048】
回転シャッター部材16の停止により、パッキン14の通孔15と取り出し孔19とが一致する。従って、これら取り出し孔19及び通孔15を介して化粧ブラシを挿入することにより、化粧料収納部5内の化粧料を取り出すことができる。またこのような蓋体3の開放状態では、第2押圧部37は第2トリガー部34の直下に位置される。
【0049】
蓋体3を閉じる際には、第2トリガー部34が第2押圧部37を右方向へ付勢するトルクを発生し、これにより回転シャッター部材16も回転を始める。第2トリガー部34による付勢トルクがヒンジユニット30の設定トルクを超えると、当該ヒンジユニット30により回転シャッター部材16は自動的に右方向へ所定の回転量で回転されて停止される。
【0050】
回転シャッター部材16の停止により、パッキン14の通孔15と取り出し孔19とが互いに重なり合うことなく不一致となる。
【0051】
このような第2実施形態にあっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
【0052】
トリガー機構33のトリガー部34,35を、容器本体2に回動自在に連結される蝶番ブロック10に形成したので、部品点数を増やす必要がなく、また蓋体3の開閉に伴う動きをそのまま利用して合理的にトルクを発生させることができる。
【0053】
第2実施形態では、回転シャッター部材16はおおよそ、蝶番ブロック10の左右方向長さ寸法の範囲で正逆回転動作されるので、狭い回転角度で回転シャッター部材16を回動させたい場合に好ましく適用することができる。
【0054】
図18及び図19には、第3実施形態にかかる化粧料容器1が示されている。第2実施形態の化粧料容器1と異なる点は、回転シャッター部材16の正逆回転角度範囲を拡大するようにした構造にある。
【0055】
蝶番ブロック10の左右両端部には図19に示すように、第2実施形態と同様、容器本体2の切り欠き部9を介して容器本体2内方へ向けて、第1トリガー部35及び第2トリガー部34が突設される。これらトリガー部34,35は、螺旋面を有する。
【0056】
図示例にあっては、右端部の第1トリガー部35は、後述する第1押圧部36を右方向へ押圧する螺旋面を有し、左端部の第2トリガー部34は、後述する第2押圧部37を左方向へ押圧する螺旋面を有する。
【0057】
また、第1トリガー部35は、蓋体3を開いていく過程で、第1押圧部36を下方から右方へ向かって押圧する位置に形成され、また、第2トリガー部34は、蓋体3を閉じていく過程で、第2押圧部37を上方から左方へ押圧する位置に形成される。
【0058】
回転シャッター部材16には図18及び図19に示すように、その外周縁から外方へ突出させて、各トリガー部34,35にそれぞれ押圧される爪状の第1及び第2押圧部36,37が形成される。
【0059】
特に第3実施形態にあっては、第1押圧部36と第2押圧部37とは、回転シャッター部材16のほぼ半周を隔てて配置され、第1トリガー部35に押圧される第1押圧部36によって設定トルクを超えると、ヒンジユニット30は、回転シャッター部材16を右回りにそのほぼ半周にわたる回転量で回転させ、第1押圧部36はフック12側に達する。この際、第2押圧部37は蝶番ブロック10側に達する。従って反対に、第2トリガー部34に押圧される第2押圧部37によって設定トルクを超えると、ヒンジユニット30は、回転シャッター部材16を左回りにそのほぼ半周にわたる回転量で回転させ、第2押圧部37はフック12側に達し、第1押圧部36は蝶番ブロック10側に達する。
【0060】
詳細には、蓋体3を開放していくと、蝶番ブロック10も回動し、この際、第1トリガー部35が、第1押圧部36を押圧して、回転シャッター部材16は右方向にフック12へ向かって回転し、これにより右方向への付勢トルクが生じる。この付勢トルクがヒンジユニット30の設定トルクを超えると、ヒンジユニット30は、それに設定された所定の回転量で回転作用を呈し、回転シャッター部材16を右方向へ回転させる。ヒンジユニット30の所定回転量は、通孔15と取り出し孔19とが一致する量に設定されている。これにより化粧料収納部5が露出されるようになっている。
【0061】
また、蓋体3を閉じていくと、蝶番ブロック10も回動し、この際、第2トリガー部34が、第2押圧部37を押圧して、回転シャッター部材16は左方向にフック12へ向かって回転し、これにより左方向への付勢トルクが生じる。この付勢トルクがヒンジユニット30の設定トルクを超えると、ヒンジユニット30は、それに設定された所定の回転量で回転作用を呈し、回転シャッター部材16を左方向へ回転させる。ヒンジユニット30の所定回転量は、通孔15と取り出し孔19とが重なり合うことなく、不一致となる量に設定されている。これにより化粧料収納部5が回転シャッター部材16で隠蔽されるようになっている。
【0062】
次に、第3実施形態にかかる化粧料容器1の作用は、第2実施形態とほぼ同様である。このような第3実施形態にあっても、上記第1及び第2実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
【0063】
第3実施形態では、回転シャッター部材16を、蝶番ブロック10の左右方向長さ寸法を超える広い範囲で正逆回転動作させることができ、広い回転角度で回転シャッター部材16を回動させたい場合に好ましく適用することができる。
【0064】
上記実施形態にあっては、回転シャッター部材16として外形輪郭が円形の円盤状のものを例示して説明したが、回転を妨げない周辺構造を採用すれば、多角形状の回転シャッター部材を用いても良いことはもちろんである。また、軸受部4やヒンジユニット30の設置位置も、容器本体2の中央ではなく、容器本体2の中央から位置をずらして設定しても良いことはもちろんである。
【符号の説明】
【0065】
1 化粧料容器
2 容器本体
3 蓋体
4 軸受部
5 化粧料収納部
10 蝶番ブロック
16 回転シャッター部材
17 回転軸
23 つる巻バネ
24 カム機構
25 カム
28 摺接部
30 携帯電話用一軸ヒンジユニット
33 トリガー機構
34 第2トリガー部
35 第1トリガー部
36 第1押圧部
37 第2押圧部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受部及び該軸受部周りに配置された化粧料収納部を有する容器本体と、
該容器本体に回動自在に連結される蝶番ブロックを有し、該蝶番ブロックを介して展動されて該容器本体を開閉する蓋体と、
上記軸受部に回転軸が回転自在に支持され、回転されて上記化粧料収納部を隠蔽したり露出させる回転シャッター部材と、
上記軸受部と上記回転軸との間に設けられ、上記回転シャッター部材に、上記化粧料収納部が露出する方向の回転習性を付与するバネと、
上記蝶番ブロックに設けられたカム及び上記回転シャッター部材に設けられ該カムに摺接される摺接部とから構成され、上記蓋体の閉止操作で該回転シャッター部材を、上記化粧料収納部が隠蔽される方向へ回転させるカム機構とを備えたことを特徴とする化粧料容器。
【請求項2】
付勢トルクが設定トルクを超えることで付勢方向に所定の回転量の回転作用を呈する携帯電話用一軸ヒンジユニット及び該ヒンジユニット周りに配置された化粧料収納部を有する容器本体と、
該容器本体に回動自在に連結される蝶番ブロックを有し、該蝶番ブロックを介して展動されて該容器本体を開閉する蓋体と、
上記ヒンジユニットのトルク軸に連結され、回転されて上記化粧料収納部を隠蔽したり露出させる回転シャッター部材と、
上記蝶番ブロックに設けられたトリガー部及び上記回転シャッター部材に設けられた押圧部とから構成され、上記蓋体の開放操作で該トリガー部から該押圧部に入力される付勢トルクにより上記ヒンジユニットを、該回転シャッター部材が上記化粧料収納部を露出する方向へ回転させるとともに、該蓋体の閉止操作で該トリガー部から該押圧部に入力される付勢トルクにより該ヒンジユニットを、該回転シャッター部材が上記化粧料収納部を隠蔽する方向へ回転させるトリガー機構とを備えたことを特徴とする化粧料容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2010−207448(P2010−207448A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57848(P2009−57848)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000160223)吉田プラ工業株式会社 (136)