説明

化粧料容器

【課題】落下や振動等により衝撃力が加わっても、固化化粧料にひび割れや欠けが生じにくく、小型軽量で、経済性に優れた化粧料容器を提供する。
【解決手段】化粧料容器1Aが、(A)固形化粧料10が充填された充填皿11、(B)充填皿11を収容する充填皿収容室12、(C)固形化粧料10を塗布するパフ20、及び(D)パフ20を収容するパフ収容室21を備える。充填皿収容室12は、充填皿収容室12内で充填皿11が上下可動となるように、充填皿11を充填皿収容室12に載置した状態で充填皿11上に可動スペース14を有する。また、化粧料容器1Aを閉じた状態で、充填皿収容室12とパフ収容室21が上下に重なり、充填皿11がパフ20で押圧されるように、充填皿収容室12とパフ収容室21を連通させる開口16が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形化粧料を収容する化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーション、アイシャドウ、チーク(頬紅)等の固形化粧料は、それらを形成する粉体に油分等を加えたものを充填皿に充填し、圧力をかけてケーキ状の所謂プレスドパウダーとし、その充填皿を化粧料容器に収容し、パフ等の塗布具を用いて使用される。
【0003】
プレスドパウダーは、パフで塗布するという使用形態に適した固まり具合に形成するため、落下衝突等の衝撃を与えた場合には、ひび割れや欠けが生じ易い。
【0004】
このような不都合を回避するために、充填皿と化粧料容器の底部内面との間に発泡性樹脂を注入し、充填皿を化粧料容器内に弾力的に保持すること(特許文献1)、外装容器と充填皿との間に、衝撃を伝達し難い特定の緩衝材を貼着すること(特許文献2)等が提案されている。しかしながら、これらの方法では、緩衝材の設置により部品数や工程数が増加するという問題があり、容器の厚みが増加する等の問題もある。
【0005】
また、固形化粧料を収容した充填皿の底面側にパフを配置することにより、外部からの衝撃により化粧料容器のパフ収容部には破損や変形が生じるが、固形化粧料の充填皿には破損や変形が生じないようにすることが提案されている(特許文献3)。しかしながら、この化粧料容器では、充填皿を弾性的に保持していないため、パフ収容部を充填皿の底面側に配置しても充填皿に対する緩衝効果は得られない。
【0006】
化粧料粉末の通過孔を有する中皿を充填皿上に設け、蓋面に設置したバネを利用してパフを中皿上面に圧着させる化粧料容器が提案されている(特許文献4)。この化粧料容器は、化粧料粉末の漏れを防止する効果はあるが、充填皿内の固形化粧料の割れを防ぐ効果はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5-56010号公報
【特許文献2】特開2006-167286号公報
【特許文献3】実開平6-13711号公報
【特許文献4】特開2006-333923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、固形化粧料を収容する化粧料容器であって、落下や振動等により衝撃力が加わっても、固形化粧料にひび割れや欠けが生じにくく、しかも小型軽量で、経済性に優れた化粧料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明は、化粧料容器であって、
(A)固形化粧料が充填された充填皿、
(B)充填皿を収容する充填皿収容室、
(C)固形化粧料を塗布するパフ、及び
(D)パフを収容するパフ収容室
を備え、
充填皿収容室は、充填皿収容室内で充填皿が上下可動となるように、充填皿を充填皿収容室に載置した状態で充填皿上に可動スペースを有し、
化粧料容器を閉じた状態で、充填皿収容室とパフ収容室が上下に重なり、充填皿がパフで押圧されるように、充填皿収容室とパフ収容室を連通させる開口が形成されている化粧料容器を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の化粧料容器によれば、充填皿に充填された固形化粧料に対し、パフを利用して衝撃に対する緩衝効果を得るので、緩衝材を低減ないし不要とすることができる。
【0011】
したがって、専ら緩衝材により緩衝効果を得ていた従来の化粧料容器に対し、低コストに製造することが可能となる。また、緩衝材の厚みが不要となりあるいは低減されるので化粧料容器を薄型化することが可能となる。さらに、充填皿がパフで押圧されるように充填皿とパフを収容することから、充填皿とパフの間の仕切りを不要とし、化粧料容器全体の小型化を実現することができる。加えて、本発明の化粧料容器によれば、充填皿収容部とパフ収容部に開口が形成されていることから、化粧料容器の製造に必要な樹脂量が低減し、化粧料容器を軽量化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1Aは実施例の化粧料容器1Aの斜視図及び断面図である。
【図1B】図1Bは実施例の化粧料容器1Aの斜視図である。
【図2】図2は実施例の化粧料容器1Aにおいて充填皿とパフを取り外した状態の斜視図である。
【図3A】図3Aは充填皿とパフを取り外した化粧料容器1A’の斜視図である。
【図3B】図3Bは、化粧料容器1A’の断面図である。
【図4】図4は実施例の化粧料容器1Bの斜視図及び断面図である。
【図5】図5は実施例の化粧料容器1Cの斜視図及び断面図である。
【図6】図6は実施例の化粧料容器1Dの断面図及び部分斜視図である。
【図7】図7は実施例の化粧料容器1Eの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0014】
図1A、図1Bは、本発明の一実施例の化粧料容器1Aの閉じた状態、開き途中の状態、又は大きく開いた状態の斜視図及び断面図であり、図2は、化粧料容器1Aから充填皿11とパフ20を取り外した状態の斜視図である。
【0015】
この化粧料容器1Aは、固形化粧料10として、ファンデーション等のプレスドパウダーが充填されている充填皿11、充填皿11を収容する充填皿収容室12が形成された充填皿収容部材13、固形化粧料10を塗布するパフ20、パフ20を収容するパフ収容室21が形成されたパフ収容部材22、充填皿収容室12を覆う蓋30を備えている。パフ収容部材22と蓋30は、それぞれ充填皿収容部材13の一端縁側でヒンジ40、41により充填皿収容部材13と回動可能に連結しており、充填皿収容室12とパフ収容室21の開閉がヒンジにより行われるヒンジ型の容器となっている。化粧料容器1Aが閉じられた状態では、図1A(a)に示すように、パフ収容部材22、充填皿収容部材13及び蓋30がこの順で互いに重なり合う。パフ収容部材22のヒンジ40と反対側の縁部底面には、化粧料容器1Aが閉じられた状態を保持させる開閉ロック部材50が回動可能に取り付けられている。
【0016】
充填皿収容室12は、そこに充填皿11を載置した状態(即ち、図1A(c)に示すように、充填皿11に格別外力が加えられることなく、充填皿収容室12の底部に充填皿11を載置した状態)で、充填皿11上に可動スペース14ができる深さに形成されている。また、充填皿収容部材13は、充填皿収容室12を囲む周壁上部のヒンジ41とは反対の側に充填皿ロック部材15を回動可能に有する。充填皿ロック部材15は、図1A(c)に示すように、その先端部15aが充填皿収容室12上に突出した状態(ロック状態)と、図2に示すように、充填皿収容室12を囲む周壁上に上がっている状態(アンロック状態)をとる。したがって、充填皿ロック部材15をロック状態としておくことにより、充填皿11は充填皿収容室12内に拘束される。一方、充填皿収容室12内で充填皿11上には可動スペース14があるので、充填皿11は充填皿収容室12内で上下方向(即ち、充填皿11の厚み方向)に可動となる。
【0017】
充填皿収容室12の底部は、図2に示すように、底板17が底部周縁にフランジ状に形成され、中央部が大きな開口16となっている。この開口16の大きさは、そこから充填皿11が抜け落ちない限り、大きくすることが好ましい。これにより、化粧料容器1Aの軽量化を図れると共に、後述するように、化粧料容器1Aを閉じた状態でパフ20を充填皿11の緩衝材として作用させることが可能となる。
【0018】
ここで、図3Aに示す化粧料容器1A’のように、充填皿ロック部材15の先端部15aであって、充填皿収容室12に載置した充填皿11との対向面側に、弾性を有する緩衝材15Xを貼ると共に、充填皿収容部材13の充填皿収容室12を囲む周壁上部のヒンジ41側であって、充填皿収容室12に載置した充填皿11との対向面側に弾性を有する緩衝材13Xを貼り、図3Bに示すように充填皿11を充填皿収容室12に嵌めた状態で充填皿11が底板17の側に付勢されるようにすることが好ましい。これにより、パフ20の緩衝材としての作用がより確実になる。
【0019】
パフ収容部材22は皿状である。したがって、化粧料容器1Aを閉じた状態で、前述の開口16が充填皿収容室12とパフ収容室21とを連通させる開口となる。また、パフ収容室21の高さd2(d2 は、充填皿収容室12に充填皿11は載置するが、パフ収容室21にパフ20は収容せずに化粧料容器1Aを閉じた状態での充填皿11の皿底とパフ収容室21の底との距離)は、そこに収容されるパフ20本来の厚さd3 よりも薄い(図1A(a),(c))。したがって、化粧料容器1Aを閉じた状態では、図1A(a)に示すように、充填皿11がパフ20で上方に押圧される。よって、化粧料容器1A内での充填皿11のがたつきをなくすことができ、また、落下や振動等により化粧料容器1Aに衝撃力が加わっても、パフ20が充填皿11に対する緩衝材として作用するので、固形化粧料10にひび割れや欠けが生じにくくなる。
【0020】
このようなパフ20の緩衝材としての作用を高めるため、可動スペース14の上下方向の距離d1 とパフ収容室21の高さd2 との合計に対して、パフ20の厚みd3 を1倍よりも大きく2倍以下にすることが好ましい。また、パフ20の材質としては、軟質で衝撃吸収能に優れたものが好ましく、具体的には、弾性率が10Mpa以下のものが好ましく、100Pa〜1MPaのポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォーム等の発泡成型品がより好ましい。
【0021】
本実施例において、蓋30の充填皿11と対向する面には、鏡31が貼着されているが、落下や振動等による衝撃力に対して固形化粧料10をより効果的に保護するため、鏡31に代えて不織布、ウレタン樹脂発泡シート等の衝撃吸収シート60を貼着してもよく、鏡31と充填皿11との間に衝撃吸収シート60をおいてもよい。
【0022】
この化粧料容器1Aの使用方法としては、まず、化粧料容器1Aを閉じるときには、充填皿収容室12に充填皿11を収容し、パフ収容室21にパフ20を収容し、これらを重ね合わせることにより閉じ、これらの一端に開閉ロック部材50を掛止させてこれらが開くことを防止する(図1A(a))。このように化粧料容器1Aが閉じた状態で、パフ20を利用して固形化粧料10のがたつきを防止すると共に、固形化粧料10に対する衝撃の緩衝効果を得ることができる。
【0023】
次に、化粧料容器1Aを開くときには、開閉ロック部材50の掛止を外して蓋30、充填皿収容部材13及びパフ収容部材22を回動可能とし(図1A(b))、次にパフ収容部材22を回動させてパフ収容室21を開く(図1A(c))。これにより、化粧料容器1Aが閉じていた状態では充填皿11を蓋30側に押し上げていたパフ20が充填皿11から離れ、充填皿11が充填皿収容室12の底部に載置される。さらに蓋30を回動させて充填皿収容室12を開き(図1B(d)、(e))、パフ20を取り出して固形化粧料10の塗布に使用する。なお、こうして充填皿収容室12を開いた状態では、充填皿ロック部材15がロック状態にあることにより、充填皿11は充填皿収容室12内に拘束されるので、充填皿11が充填皿収容室12から外れて落ちることはない。
【0024】
固形化粧料10を消費し、充填皿11を取り替えるときには、充填皿ロック部材15をアンロック状態にし(図2)、充填皿11を充填皿収容室12から取り出す。
【0025】
本発明の化粧料容器は種々の態様をとることができる。例えば、上述のヒンジ型の容器に替え、図4に示すように、スクリュー型の容器1Bとしてもよく、図5に示すようにスライド型の容器1Cとしてもよい。
【0026】
即ち、図4は、化粧料容器1Bの閉じた状態、開き途中の状態、又は開いた状態の斜視図及び断面図である。この化粧料容器1Bも、パフ20、パフ収容室21が形成されているパフ収容部材22、充填皿11、充填皿収容室12が形成されている充填皿収容部材13、及び蓋30を備え(図4(c))、パフ収容部材22と充填皿収容部材13とを螺合し、充填皿収容部材13と蓋30とを螺合することにより、それらが上下に重って閉じた状態となる(図4(a))。可動スペース14や、充填皿収容部材13の底部の開口16等は前述の化粧料容器1Aと同様に形成される(図4(b))。また、可動スペース14の上下方向の距離d1 、パフ収容室21の高さd2及びパフ20の厚みd3 は前述の化粧料容器1Aと同様に、d1とd2の合計に対してd3を1倍より大きく2倍以下にすることが好ましい。
【0027】
したがって、充填皿収容室12内では充填皿11が上下可動となる。また、化粧料容器1Bを閉じた状態で、充填皿収容室12とパフ収容室21とが連通し、充填皿11がパフ20で押圧される。このため、この化粧料容器1Bにおいても、パフ20を利用して固形化粧料10のがたつきを防止すると共に、固形化粧料10に対する衝撃の緩衝効果を得ることができる。
【0028】
図5は、化粧料容器1Cの閉じた状態、開き途中の状態、又は開いた状態の斜視図及び断面図である。この化粧料容器1Cでは、充填皿収容部材13の側壁内側にリブ18が形成され、パフ収容部材22の側壁外側に溝23が形成され、このリブ18と溝23とを嵌合させて充填皿収容部材13とパフ収容部材22とをスライドさせることによりパフ収容室21が開閉するようにしたものである。充填皿収容部材13の前面には、充填皿収容部材13とパフ収容部材22とをスライドさせてパフ収容室21を閉じるときに、パフ収容室21の高さd2 に対して厚みd3の大きいパフ20が支えないようにテーパー面19aが形成され、その裏側には、パフ収容室21を開くときにパフ20が使えないようにテーパー面19bが形成されている。充填皿収容室12を覆う蓋30は、ヒンジ41で回動可能に充填皿収容部材13の上端部に取り付けられている。
【0029】
また、パフ収容部材22のヒンジ41と反対側の下端部には開閉ロック部材50が回動可能に取り付けられている。パフ収容部材22、充填皿収容部材13及び蓋30を重ね合わせることにより化粧料容器1Cを閉じた状態は、これらの一端に開閉ロック部材50を掛止することで保持可能となっている。
【0030】
可動スペース14等は前述の化粧料容器1Aと同様に形成され、可動スペース14の上下方向の距離d1 、パフ収容室21の高さd2及びパフ20の厚みd3 は前述の化粧料容器1Aと同様に、d1とd2の合計に対してd3を1倍より大きく2倍以下とすることが好ましい。
【0031】
したがって、この化粧料容器1Cにおいても充填皿収容室12内では充填皿11が上下可動となる。また、化粧料容器1Cを閉じた状態で、充填皿収容室12とパフ収容室21とが開口16により連通し、充填皿11がパフ20で押圧される。このため、パフ20を利用して固形化粧料10のがたつきを防止すると共に、固形化粧料10に対する衝撃の緩衝効果を得ることができる。
【0032】
化粧料容器1Cの使用方法としては、開閉ロック部材50の掛止を外し(図5(b))、充填皿収容部材13とパフ収容部材22をスライドさせてパフ収容室21を開き(図5(c))、蓋30を開け、必要に応じて配設されている衝撃吸収シート60を取り出し(図5(d))、パフ20で固形化粧料10を塗布する。
【0033】
図6の化粧料容器1Dは、上述の化粧料容器1Cにおいて開閉ロック部材50を省略し、充填皿収容部材13とパフ収容部材22とのスライド機構にロック機能をもたせたものである。即ち、この充填皿収容部材13は、後方の側面に外向に楕円柱状の突起51を有する。この突起51は、その楕円の長径がパフ収容部材22の底面に対して斜めになる向きに設けられている。一方、パフ収容部材22の側面内側には、突起51の楕円の短径に対応した溝幅d4 のスライド溝52が、パフ収容部材22の底面に平行に形成され、その後方端部は、突起51の楕円の長径を直径とする円よりも若干大きい円形の凹部53が形成されている。そして、充填皿収容部材13とパフ収容部材22とが重なり合って化粧料容器1Dが閉じている状態では、図6(a)に示すように、パフ収容部材22の突起51が、充填皿収容部材13の凹部53に嵌入する。この状態で突起51がスライド溝52をスライドすることは、例えば楕円形状の突起51と円形の凹部53の摩擦力により抑制され、化粧料容器1Dは閉じた状態を維持する。
【0034】
一方、図6(b)に示すようにパフ収容部材22を回動させて充填皿収容部材13のスライド溝52の形成方向にパフ収容部材22の突起51の楕円の長径の向きを合わせると、スライド溝52に沿って突起51がスライド可能となり、パフ収容室21が開く。そして、パフ収容室21が十分に開いたところで、スライド溝52の形成方向に対してにさらに突起51の楕円の長径の向きが傾くように、パフ収容部材22を回動させると、充填皿収容部材13とパフ収容部材22との開きが固定される。パフ収容室21を閉じるときには、パフ収容部材22の開きを戻してパフ収容部材22の突起51をスライド可能とすればよい。
【0035】
このように、この化粧料容器1Dによれば、別個に開閉ロック部材50を設けなくても、化粧料容器の開閉をロックすることができる。本発明において化粧料容器の開閉のロック機構に制限はなく、種々の構成をとることができる。
【0036】
図7はさらに異なる実施例の化粧料容器1Eの閉じた状態、開き途中の状態、又は大きく開いた状態の断面図である。この化粧料容器1Eは、前述のヒンジ型の化粧料容器1Aにおいて充填皿収容部材13とパフ収容部材22との重なり順序を上下逆にし、パフ収容室21の底板24をフランジ状にしてパフ収容室21の底部中央部に開口25を設け、充填皿収容部材13と蓋30をそれぞれヒンジ41、40でパフ収容部材22と回動可能に連結し、充填皿収容部材13のヒンジ40と反対側の端部に開閉ロック部材50を回動可能に取り付けたものである。
【0037】
可動スペース14等は前述の化粧料容器1Aと同様に形成され、可動スペース14の上下方向の距離d1 、パフ収容室21の高さd2(この場合、d2は、蓋30を閉じて充填皿収容室12に充填皿11を静置した状態での底板24の下面と蓋30の内面との距離)及びパフの厚みd3 は、前述の化粧料容器1Aと同様にd1とd2の合計に対してd3を1倍より大きく2倍以下にすることが好ましい。
【0038】
この化粧料容器1Eでは、パフ収容室21内のパフ20は、蓋30を開いている状態(図7(b))で、パフ収容室21のフランジ状の底板24の上に載置されているが、蓋30を閉じ、パフ収容部材22、充填皿収容部材13及び蓋30を重ね合わせると、充填皿収容室12と、その上に位置するパフ収容室21とが連通し、充填皿11内の固形化粧料10の上面がパフ20で押圧される(図7(a))。このため、パフ20を利用して固形化粧料10のがたつきを防止すると共に、固形化粧料10に対する衝撃の緩衝効果を得ることができる。
【0039】
なお、パフ収容部材22を省略し、パフ20が固形化粧料10の上に直接載置されるようにした場合でも、パフ20の厚みを厚くし、充填皿収容室12を相応に深く形成すると、化粧料容器を閉じた状態で固形化粧料10に対する衝撃の緩衝作用をパフ20に持たせることができるが、固形化粧料10の上面が充填皿収容室12の周壁の上端縁に対して奥まった位置になるため使用しにくくなる。これに対して図7の化粧料容器1Eによれば、固形化粧料10の上面が充填皿収容室12の周壁の上端縁に対して略面一となるため、固形化粧料10の使いやすさの点においても優れている。
【0040】
化粧料容器1Eにおいて、落下や振動等による衝撃力に対して固形化粧料10をより効果的に保護するため、衝撃吸収シート60を使用する場合には、充填皿11の底部と充填皿収容部材13との間に配設することが好ましい。この場合には、衝撃吸収シート60を配設した状態で可動スペース14が形成されるようにし、その状態での上下方向の距離d1 とパフ収容室21の高さd2との合計に対して、パフ20の厚みd3 を1倍よりも大きく2倍以下にすることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の化粧料容器は、パフを用いて塗布する粉末又はペースト状のファンデーション、頬紅、アイシャドウ等の容器として有用である。
【符号の説明】
【0042】
1A、1A’、1B、1C、1D、1E 化粧料容器
10 固形化粧料
11 充填皿
12 充填皿収容室
13 充填皿収容部材
14 可動スペース
15 充填皿ロック部材
16 開口
17 底板
18 リブ
19a、19b テーパー面
20 パフ
21 パフ収容室
22 パフ収容部材
23 溝
24 底板
25 開口
30 蓋
31 鏡
40 ヒンジ
41 ヒンジ
50 開閉ロック部材
51 突起
52 スライド溝
53 凹部
60 衝撃吸収シート
d1 可動スペースの上下方向の距離
d2 パフ収容室の高さ
d3 パフの厚み
d4 溝幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料容器であって、
(A)固形化粧料が充填された充填皿、
(B)充填皿を収容する充填皿収容室、
(C)固形化粧料を塗布するパフ、及び
(D)パフを収容するパフ収容室
を備え、
充填皿収容室は、充填皿収容室内で充填皿が上下可動となるように、充填皿を充填皿収容室に載置した状態で充填皿上に可動スペースを有し、
化粧料容器を閉じた状態で、充填皿収容室とパフ収容室が上下に重なり、充填皿がパフで押圧されるように、充填皿収容室とパフ収容室を連通させる開口が形成されている化粧料容器。
【請求項2】
パフ収容室の上に充填皿収容室が重なり、パフ収容室の底面に開口が設けられている請求項1記載の化粧料容器。
【請求項3】
充填皿収容室のパフ収容室と反対側に緩衝材が配設される請求項1又は2記載の化粧料容器。
【請求項4】
前記可動スペースの上下方向の距離とパフ収容室の高さとの合計に対して、パフの厚みが1倍より大きく2倍以下である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料容器。
【請求項5】
パフの弾性率が100Pa〜1MPaである請求項1〜4のいずれかに記載の化粧料容器。
【請求項6】
充填皿収容室内に充填皿を拘束するロック部材を有する請求項1〜5のいずれかに記載の化粧料容器。

【図4】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−252984(P2010−252984A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105542(P2009−105542)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)