説明

化粧料見本品

【課題】本発明は、化粧料の外観、色、質感の再現に優れた化粧料見本品を提供することを課題とする。
【解決手段】化粧料バルク(容器に充填する前の実際の化粧料)と、付加タイプシリコーンRTVゴムを(必要に応じて更に希釈剤を加えて)均一に混合して硬化、成型することにより、化粧料の外観、色、質感の再現に優れた化粧料見本品を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のシリコーンゴムにより成型される化粧料見本品の改良に関する。

【背景技術】
【0002】
従来より、口紅やファンデーション等の化粧料の色見本品としては、プラスチック等に着色して化粧料の形状に成型したものや、プラスチック板や紙等に着色したもの等があった。しかし、一般に使用されているプラスチック成型による化粧料見本品は、耐久性や取扱いの容易さに優れているが、一方で、樹脂で成型するものであるため、化粧料の色を再現する調色が面倒であり、質感が異なる、コスト的に高価である等の欠点を有していた。
【0003】
また、プラスチック板や紙等に着色したものは、色の見本として簡便な方法ではあるが、プラスチック成型品と同様に化粧料の色を再現する調色が面倒であり、実際の化粧料とは外観、質感が異なるものであった。
【0004】
特許文献1(特許第3568604号公報)には、付加タイプシリコーンRTVゴムと化粧料用着色剤を混合して成型してなることを特徴とする化粧料見本品が開示されている。
【特許文献1】特許第3568604号公報
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された化粧料見本品は、つや(光沢)、質感等において実際の化粧料と差があり、更に優れた見本品の提供が期待されている。

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、化粧料の外観、色、質感の再現に優れた化粧料見本品を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0007】
化粧料バルク(容器に充填する前の実際の化粧料)と、付加タイプシリコーンRTVゴムを(必要に応じて更に希釈剤を加えて)均一に混合して硬化、成型することにより、化粧料の外観、色、質感の再現に優れた化粧料見本品を得られることを見出し、本発明を完成させた。

【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧料見本品は、化粧料の外観、色、質感の再現に優れたものであり、調色の必要が無く、見本品の製造工程の簡略化を図ることができる。目的に合せていろいろな形状に成型が可能であり、特に、実際の化粧料の成型型を使用して同形状のものを作成できるので、実際の化粧料容器が使用でき、より実際の化粧料に近い見本品とすることができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に使用される付加タイプシリコーンRTVゴムは、ゴム主剤と硬化剤からなる、2液型の室温で硬化するシリコーンゴムであり、一般に型取り用RTVゴムとして市販されているものを使用することができるが、シリコーンゴム成型品が透明もしくは半透明の外観を有するものが化粧料の色を再現するのに好ましい。
【0010】
シリコーンゴム成型品が透明もしくは半透明の外観を有するゴム主剤と硬化剤の組合せとしては、例えば、KE−1300TとCAT−1300またはCLA−4(半透明)、KE−1310STとCAT−1310S(半透明)、KE−1314とCAT−1314S(半透明)、KE−1606とCAT−RG(透明)(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。ゴム主剤に対する硬化剤の量は、一般的には10%程度が好ましい。
【0011】
本発明の化粧料見本品の成型は、ゴム主剤、硬化剤及び化粧料バルクの所定量を計量し、均一に混合した後、脱泡して、成型型に流し込んで行われる。
【0012】
化粧料の成型方法としては、例えば、スティック状化粧料の場合、金型成型法、カプセル成型法、直接充填成型法等の通常の化粧料の溶融成型方法と同様の方法で、本発明の着色シリコーンRTVゴムを流し込み成型することができる。成型品はスティック状化粧料の実際の容器に装着することができる。また、リキッドアイシャドウやリキッドファンデーション等は実際の化粧料容器に直接本発明の着色シリコーンRTVゴムを流し込み成型することができ、固形ファンデーション等は、本発明の着色シリコーンRTVゴムを容器金皿に流し込みプレス成型した後実際の容器に装着することができる。
【0013】
付加タイプシリコーンRTVゴムは、室温において硬化するが、加熱(50〜150℃)により急速に硬化するので、加熱条件により成型速度をコントロールすることができる。なお、加熱条件の他に、硬化促進剤(例えば、信越化学工業社製;X−93−405等)、硬化遅延剤(例えば、信越化学工業社製;制御剤No.6−10等)を使用して成型時間をコントロールすることができる。
【0014】
また、粘性が高い場合は、シリコーン希釈剤(例えば、信越化学工業社製;RTVシンナー等)を加えて流動性を高めて充填を容易にしたり、精密な成型品を得ることができる。希釈剤の添加量は状況にもよるが、一般的に、ゴム主剤量の10%以内が好ましく、粉体系以外の化粧料バルク(液体状、ペースト状:熱や力をかけて液状、ペースト状にしたものも含む)を配合した成型品の場合、希釈剤の添加量によっては、成型品の外観安定性の低下(油剤の染み出し)や成型品の強度低下など不具合を生じる場合があるので、希釈剤の添加量は可能な限り少なくするのが望ましい。
【0015】
スティック状口紅見本品の外観安定性、特に油剤の染み出しの防止には、無水ケイ酸を化粧料バルクに対して重量比で5〜10%程度添加すると効果的がある。
【0016】
本発明の成型品は、実際の化粧料容器に充填して見本品として利用できるが、成型する型を変更することにより、色や質感の再現性が良い任意の形の見本品を容易に調製することが可能である。
本発明の化粧料見本品は、口紅、ファンデーション、アイシャドウ、マスカラ等の化粧料に使用することができる。

【実施例】
【0017】
以下に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。(実施例記載の化粧料バルクの組成は、薬事日報社刊「最新化粧品科学-改訂増補版-」に基づく)
【0018】
実施例1:スティック状口紅見本品
<A>スティック状口紅バルクの製造;
(組成) (重量%)
(1) オゾケライト 5.0
(2) セレシン 5.0
(3) 固形パラフィン 10.0
(4) トリオクタン酸グリセリン 20.0
(5) リンゴ酸ジイソステアリル 40.0
(6) ミリスチン酸オクチルドデシル 10.0
(7) 防腐剤 適量
(8) 酸化防止剤 適量
(9) 酸化チタン 1.0
(10)赤色201号 1.0
(11)赤色202号 1.0
(12)青色1号アルミニウムレーキ 0.5
(13)雲母チタン 6・5
(14)香料 適量
【0019】
(製法)
1.(1)〜(8)を均一に加熱溶解する。
2.同上に(9)〜(13)を手混合後、ロールミルにて均一分散調色する。
3.同上に(14)を添加し、均一混合する。
4.同上を脱泡し、室温保管する。
【0020】
<B>シリコーンゴム成型品の製造;
(組成) (重量%)
(1)スティック状口紅バルク(注1) 45.0
(2)無水ケイ酸 4.5
(3)シリコーンゴム主剤KE1310(注2) 45.5
(4)硬化剤CAT−1310(注2) 5.0
【0021】
(製法)
1.成分(1)、(2)を手混合し、ロールミルにて均一分散する。
2.同上1.と成分(3)、(4)を均一に混合し、室温下脱泡して成型型に流し込む。
3.更に60℃で2時間保温して成型硬化させ、成型型より取り出してシリコーンゴム成型品を得る。
4.シリコーンゴム成型品をスティック状口紅容器に装填し、見本品とする。
(注1)<A>で製造したもの。
(注2)信越化学工業社製
【0022】
実施例2:固形ファンデーション見本品
<C>固形ファンデーションバルクの製造;
(組成) (重量%)
(1) ベンガラ 3.0
(2) 黄酸化鉄 2.5
(3) 黒酸化鉄 0.5
(4) ナイロンパウダー 10.0
(5) 酸化チタン 10.0
(6) マイカ 20.0
(7) タルク 44.0
(8) 流動パラフィン 5.0
(9) ミリスチン酸オクチルドデシル 2.5
(10)ワセリン 2.5
(11)防腐剤 適量
(12)香料 適量
【0023】
(製法)
1.(1)〜(7)を混合し、粉砕機にて粉砕する。
2.同上を高速ブレンダーに移し、これに(8)〜(12)を添加して均一に混合する。
3.同上を粉砕機にて粉砕処理し、ふるいを通し粒度をそろえ室温保管する。
【0024】
<D>シリコーンゴム成型品の製造;
(組成) (重量%)
(1)固形ファンデーションバルク(注3) 30.0
(2)シリコーンゴム主剤KE1310(注2) 60.0
(3)硬化剤CAT−1310(注2) 6.0
(4)RTVシンナー (注4) 4.0
【0025】
(製法)
1.成分(1)〜(4)を均一に混合、脱泡して金皿に流し込む。
2.同上1.の金皿の上部より、メッシュをあてがい平板でプレスする。
3.同上を60℃で2時間保温して成型硬化させ、シリコーンゴム成型品を得る。
4.金皿よりメッシュを剥がし、シリコーンゴム成型品の入った金皿を固形ファンデーション容器に装填して見本品とする。
(注3)<C>で製造したもの。
(注4)信越化学工業社製
【0026】
実施例3:リキッドアイシャドウ見本品
<E>リッキドアイシャドウバルクの製造;
(組成) (重量%)
(1) ステアリン酸 8.0
(2) 白色ワセリン 15.0
(3) パルミチン酸イソプロピル 5.0
(4) ラノリン 5.0
(5) 精製水 42.5
(6) ブチレングリコール 5.0
(7) トリエタノールアミン 2.0
(8) 防腐剤 適量
(9) 酸化チタン 5.0
(10)カオリン 2.5
(11)タルク 10.0
(12)着色顔料 適量
【0027】
(製法)
1.(9)〜(12)を混合後、粉砕機にて粉砕する。
2.同上を(5)〜(8)に混合分散し、コロイドミルを通す。その後、この水相を70℃に調製する。
3.(1)〜(4)を均一溶解し、この油相を70℃に調製する。
4.同上2の水相に同上3油相を攪拌しながら加えて乳化し、室温まで冷却する。
5. 室温下同上を、脱泡して室温保管する。
【0028】
<F>シリコーンゴム成型品の製造;
(組成) (重量%)
(1)リッキドアイシャドウバルク(注4) 48.0
(2)シリコーンゴム主剤KE1310(注2) 48.0
(3)硬化剤CAT−1310(注2) 4.0
【0029】
(製法)
1.成分(1)〜(3)を均一に混合し、室温下脱泡してリッキドアイシャドウ容器に流し込む。
2.更に60℃で2時間保温して成型硬化させ、見本品とする。
(注4)<E>で製造したもの。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料バルクと、付加タイプシリコーンRTVゴムを均一に混合して硬化、成型することを特徴とする化粧料見本品。
【請求項2】
付加タイプシリコーンRTVゴムは、ゴム主剤と硬化剤からなる2液型の室温で硬化するシリコーンゴムであり、この成型品が透明もしくは半透明の外観を有するものである請求項1記載の化粧料見本品。

【公開番号】特開2010−282004(P2010−282004A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135002(P2009−135002)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(592042750)株式会社アルビオン (20)