説明

化粧用具

【課題】 目的とする塗布箇所以外の部分にマスカラ液が付着することを防止し、使用者が安定した状態でかつ快適にマスカラ液を塗布することができるマスカラ容器を提供すること。
【解決手段】 2本の棒状化粧用具21、22を、一時的固定手段を備えた回転部を有する連結部材23で連結する。一時的固定手段はクリックストップ機構でもよいし、摩擦等により回転がやや硬くなっており、任意の角度でそのまま固定されるような機構でもよい。両棒状化粧用具21、22をL字状に開いた状態で一時固定することにより、微妙な化粧操作が容易となる。棒状化粧用具としてはマスカラの他、アイライナー、アイシャドウ等でもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスカラやアイライナー、アイシャドウ等の棒状の化粧用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマスカラ容器10は、図1に示すように、ブラシ11が設けられた蓋体12とマスカラ液を収容する容器本体13とから成り、概して棒状の形態を有する。蓋体12には、先端にブラシ11が植設された細いブラシ軸14が固定され、蓋体12を容器本体13に被せる(通常、ねじにより締め込んでゆく)と、ブラシ11は容器本体13内に深く収納され、マスカラ液15中に浸漬される。容器本体13の口には、内部に向けて突出するブーツ16が設けられており、蓋体12を持ってブラシ11を引き出す際には、このブーツ16がブラシ11から過剰なマスカラ液を除去し、適度な量のマスカラ液がブラシ11に付着するようになっている。
【0003】
このような従来のマスカラ容器10により使用者がマスカラ液を睫毛(まつげ)に塗布する際には、蓋体12を指で掴んで容器本体13から抜き出し、適度のマスカラ液が付着したブラシ11を目的とする箇所に当て、蓋体12を動かすことにより、ブラシ11が当該塗布目的箇所に沿って上下・左右するようにしていた。
【0004】
【特許文献1】実開昭60−44713号公報
【特許文献2】実開昭60−44714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来のマスカラ容器10では、ブラシ11を使用しない時にはブラシ11及びブラシ軸14はマスカラ液15が収容された容器本体13内に収納されている。このため、ブラシ11を容器本体13から抜き出す際には、ブラシ軸14にはブラシ11と同様にマスカラ液が付着しており、このブラシ軸14に付着したマスカラ液は、ブラシ11のようにはブーツ16によって除去されることなく、ブラシ軸14に厚く付着したまま引き出される。従って、使用者がブラシ11を利き手側の塗布箇所へ当てる際にはブラシ軸14に付着したマスカラ液が髪の毛に付着したり、その反対側へ塗布する際には鼻に付着する等の不具合が発生していた。
【0006】
また、使用者は、通常、利き手にマスカラのブラシ(蓋体)を持ち、他方の手に鏡を持ってマスカラ液を塗布するが、利き手の反対側の目の睫毛にマスカラ液を塗布する場合には、利き手側の目の視界が蓋体を持つ手により遮られて鏡が見えにくいという問題がある。
【0007】
使用者によっては、これらの場合、ブラシ(蓋体)を利き手でない方の手に持ち替える等して、塗布目的箇所以外にマスカラ液が付着することを防止したり、持ち手が視界を遮らないようにしていた。しかし、利き手ではない側の手を使うため、微妙なブラシ操作が困難であった。
【0008】
さらに、通常、睫毛へのマスカラ液の塗布は、ブラシ及びブラシ軸が水平になるようにして行うが、従来のマスカラ容器ではブラシ軸が蓋体から真っ直ぐに突出していたため、このような場合、蓋体を持つ手の肘を上げざるを得ない。しかし、このような肘を上げた腕の姿勢は不安定であり、やはり微妙にブラシを動かすことが難しく、所期通りのマスカラ液塗布が困難であった。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、塗布箇所以外の部分へマスカラ液が付着することを防止し、使用者が安定した状態でかつ快適にマスカラ液を塗布することができるマスカラ容器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明に係る化粧用具は、2本の棒状化粧用具を、一時的固定手段を備えた回転部を有する連結部材で連結したことを特徴とする。
【0011】
ここで言う一時的固定手段とは、両棒状化粧用具を所定の回転角度において一時的に固定することができるようにするための手段であり、例えば、いわゆるクリックストップと呼ばれる機構でもよいし、或いは、摩擦等により回転がやや硬くなっており、任意の角度でそのまま固定されるような機構でもよい。
【0012】
棒状化粧用具としては、上記のようなマスカラの他、アイライナー、アイシャドウ等の化粧用具でもよい。これらの同種のもの(例えば、硬さの異なるマスカラ、或いは色違いのアイシャドー等)を組み合わせてもよいし、異種のもの(例えば、マスカラとアイライナー、或いはアイライナーとアイシャドウ等)を組み合わせてもよい。
【0013】
棒状の化粧用具と連結部材は完全に固定しておいてもよいが、取り付け・取り外し可能としておいてもよい。後者の場合には、使用者が任意の2本の化粧用具を組み合わせて連結することができる。
【0014】
クリックストップにより一時固定する機構を用いる場合、ストップ角度としては、ゼロ、すなわち両棒状化粧用具を完全に折り畳んだ状態の他に、90°から135°の間の角度、すなわち略「L」字形にする状態を含めておくことが望ましい。これにより、使用者が利き手側の箇所に化粧用具を使用する際、肘を上げることなく脇を締めた状態で操作を行うことができるようになり、微妙な化粧が可能となる。また、例えばマスカラの場合には、マスカラ液が余計な箇所に付着する等の不具合が防止される。
【0015】
更に、180°、すなわち2本の棒状化粧用具が一直線状になるような状態を含めておいてもよい。バッグや引き出し等の収納先によっては、このような状態の方が都合が良い場合があるためである。
【0016】
なお、特許文献1及び特許文献2には、2本の棒状の化粧用具を連結したものが記載されているが、これらはいずれも0°か180°のいずれかの状態しか取り得ないようになっており、本発明とは、その目的、構造及び効果において全く異なるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の一実施例として、タイプの異なる2種のマスカラ(例えば、透明タイプとカールタイプ)を連結したダブルマスカラを図2〜図5により説明する。図2に示すように、本実施例のダブルマスカラ20は、第1のタイプのマスカラ21と第2のタイプのマスカラ22を連結部材23により連結したものである。各マスカラ21、22は同一の容器を使用しており、容器自体は図1に示した従来のものと同様の構造を有している。各マスカラ容器21、22と連結部材23との固定は、外すことができない完全固定としてもよいし、図3に示すようにネジ等により取り付け・取り外し可能な固定としてもよい。
【0018】
連結部材23は図4に示すように、2枚の側板31、32と、両側板31、32の間に固定された2つの連結具33、34から構成される。本実施例では、一方の連結具33は両側板31、32に固定され、他方の連結具34は両側板31、32に対して軸35により回転可能となっている。この回転可能な方の連結具34は、その回転途中の所定位置においてクリックストップするように、側板31、32の内側に突起36が、連結具側にそれに対応する凹部37が設けられている。もちろん、これら突起・凹部起の取り付け側は逆でも構わない。また、連結部材23の機構は図4に示すようなものに限られず、例えば双方の連結具33、34を回転可能且つクリックストップ可能としてもよいし、側板が折れ曲がるようにしてもよい。
【0019】
本実施例のダブルマスカラは、ハンドバッグ等に収納しておくときには図2(a)に示すように両マスカラ容器21、22は0°に折り畳まれ、コンパクトになる。
【0020】
これを使用する際には、図5に示すように両マスカラ容器21、22を開き、クリックストップの位置で両者21、22の角度を固定する。そして、使用したい方のマスカラの容器本体21bを連結部材23に固定された蓋体21aから取り外す。これにより、図6に示すようにブラシ21cが現れ、他方のマスカラ容器22が把手となって全体としてL字形のマスカラユニットが形成される。使用者はこの他方のマスカラ容器22を指で持ち、脇を締めた状態で確実にブラシ21cを操作することができる。具体的には、例えば目尻と目頭の方を塗るときには、ブラシ21cの先端で塗るのが好ましいが、本実施例により構成されるL字形マスカラユニットでは、指で回すことによりそのままの状態でブラシ先端を微妙に動かすことができる。
【0021】
また、他者(被適用者)に化粧を施す例えばメークアーティスト等の使用者が本L字形マスカラユニットを使用する場合も、使用者は真正面から手をさしのべることができるため、本人が使用する場合と同様、肘を上げることなく脇を締めた状態で操作を行うことができ、安定した状態でかつ快適にマスカラ液を塗布することができる。また、被適用者にとっても、使用者の手が自分の顔に近づきすぎることがないため、リラックスして施術を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来のマスカラ容器の構造を示す一部断面図。
【図2】本発明の一実施例であるダブルマスカラ容器の正面図(a)及び平面図(b)。
【図3】実施例のダブルマスカラ容器を構成する一つのマスカラ容器と連結部材の構造を示す分解図。
【図4】実施例のダブルマスカラ容器の連結部材の構造を示す平面図。
【図5】実施例のダブルマスカラ容器の開脚状態を示す正面図。
【図6】実施例のダブルマスカラ容器の使用状態を示す正面図。
【符号の説明】
【0023】
10…マスカラ容器
11…ブラシ
12…蓋体
13…容器本体
14…ブラシ軸
15…マスカラ液
16…ブーツ
20…ダブルマスカラ容器
21、22…マスカラ容器
21a…蓋体
21b…容器本体
21c…ブラシ
23…連結部材
31、32…側板
33、34…連結具
35…回転軸
36…突起
37…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の棒状化粧用具を、一時的固定手段を備えた回転部を有する連結部材で連結したことを特徴とする化粧用具。
【請求項2】
上記連結部材がクリックストップ機構を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の化粧用具。
【請求項3】
上記クリックストップ機構が、両棒状化粧用具が90°から135°の間の所定角度でストップするようになっていることを特徴とする請求項2に記載の化粧用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−306(P2006−306A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178711(P2004−178711)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(504232583)