説明

医療処置のための磁気コア

【課題】あらゆる状況下で同等に適切に機能することのできるコア構造を提供すること。
【解決手段】本発明の技術は、患者を治療するためのシステム、方法、および装置を含む。本発明のシステムは、強磁性粉末を用いて生成される磁場生成装置を含む。このシステムは、さらに、磁気コアと電気的に連通している回路と、当該回路と電気的に連通している電源とを含む。前記強磁性粉末コアは、機械加工、プレス加工、成形、接着、および押出加工のうちの少なくとも1つによって製造することができる。また、前記強磁性粉末コアは分散された空隙構造を有し、この空隙構造の作用によって前記磁気装置の磁極面間に磁場が集束される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年7月27日付で出願された米国特許出願第11/191,106号明細書(代理人整理番号第NNI−0066号)に対し、合衆国法典第35巻第120条に基づく優先権を主張するものであり、前記明細書の全文は参照によりここに組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
数多くの病気は、患部に磁場を印加することによって治療され、若しくは治療可能であり、および/または診断される。神経細胞および筋肉細胞は電気信号を伝達し、電磁的刺激に反応する生体回路である。通常の導線ループを磁場に通過させる、若しくは通常の導線ループを変動磁場の存在下に置くと、前記導線に電流が誘導される。
【0003】
これと同じ原則が伝導性の生体組織にも適用される。変動磁場を身体の一部に印加すると、神経細胞が脱分極し、刺激される。この刺激を受けた神経細胞に関連する筋肉は、あたかも通常の要因によって前記神経細胞が発火しているときと同じように収縮する。
【0004】
神経細胞すなわちニューロンを様々な方法で刺激することが可能であり、例えば経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation:TMS)により経皮的にそれを行うことができる。TMSは急速に変動する磁場を用いることにより、皮膚を切開または貫通することなく神経細胞に電流を誘導する。神経は、神経のタイプおよび周辺組織の局所pHに依るが、前記神経内の膜電位が通常の負の環境レベルである約−90ミリボルトより高まると「発火」すると言われる。
【0005】
磁気刺激の使用は、負傷または麻痺した筋肉群のリハビリテーションに非常に効果的である。大腿または腹部のような大筋肉群の刺激のほかに、心臓の刺激も実験的に行われてきた。CPRまたは電気的刺激は心臓全体に一度に激しい刺激を与える点で望ましくないため、心臓の磁気刺激はそれらの方法に勝るものとして実証される可能性がある。
【0006】
磁気刺激の効果が実証されつつあるもう1つの分野は、脊椎の治療である。脊髄は、椎骨に囲まれているため到達するのが困難である。背中の神経(例えば腰部疼痛の原因となる神経)を通じて伝わる痛みの伝達を阻止するために、磁気刺激を用いることができる。
【0007】
また、磁気刺激は、主に神経組織から成る脳の部位の刺激にも効果的であることが実証済みである。特に関心が持たれている分野は、うつ病の治療である。アメリカ合衆国だけでも、2,800万人を超す人々が何らかの神経精神病を患っていると言われる。このような神経精神病には、うつ病、統合失調症、躁病、強迫性障害、パニック障害、およびその他の状態が含まれる。うつ病は一般によくある精神病であり、アメリカ合衆国に1,900万人、世界には3億4,000万人のうつ病患者がいる可能性があると考えられている。
【0008】
現代医学によってうつ病患者には数多くの治療選択肢があり、これらには、いくつかに分類される坑うつ薬(例えばSSRI、MAOI、および三環系抗うつ薬)、リチウム、および電気痙攣療法(electroconvulsive therapy:ECT)が含まれる。しかし、多くの患者がうつ病の症状から十分に解放されていない。現在に至るまで、ECTは治療に対する抵抗性の高いうつ病に有効な治療法であるが、激しい副作用のためこの処置を受けない患者が多い。
【0009】
最近、反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)は、従来の方法に反応しない患者に有意な坑うつ効果があることが示された。基本的にrTMSは、前頭前皮質に繰り返し無痙攣性刺激(subconvulsive stimulation)を適用することにより皮質の神経細胞膜を脱分極させるものである。前記膜は、非侵襲的に印加される急速変動磁場の結果として得られる、1V/cmを超過する小電場の誘導によって脱分極される。
【0010】
磁場は様々な方法で生成されてきた。必要な磁場を生成するためにコイルを用いる技術もあれば、バナジウムパーメンジュールのような高飽和レベルの磁気コア材を用いる技術もある。コイルまたはいわゆる「空芯」法に比べ、磁気コア材の使用はTMS工程の効率を増すことが示されている。例えば、米国特許第5,725,471号明細書を参照して述べると、コイルのみではなく磁気コアを使用する場合、同一若しくはより少ない入力電力でより大きな、より集束した磁場が生成されるため、TMS工程の効率が高まる。
【0011】
この技術的進歩により、複雑で費用のかかる電力供給を使用することなく既存の120ボルトの電力を用いる、より費用効果の高い解決策が可能となった。また、前記磁気コアは同一若しくはより少ない入力電力を必要とするため、前記コイル法に伴なった、患者にとって危険因子となる望ましくない加熱を大幅に削減する。例えば、コイルのみを用いた装置に比べ、磁気コア装置は磁気抵抗経路を半減する。この磁気抵抗の低減により、同一の因子で同一の磁場を生成するために必要な電流が減少し、結果的に要求電力が4分の1に低減される。
【0012】
代替的な強磁性コアは、通常、ケイ素鋼または同様の強磁性金属を積層してコア構造を作ることによって製造される。それらの層は、切り抜き型を積層するか、材料のリボンをマンドレルに巻回した後に機械加工および加工処理することによって構築され、その結果望ましいコア形状が作製される。
【0013】
これら強磁性コアを用いて作られたものは、コイルのみを用いるものよりはるかに優れているが、構造が複雑で形状が限定されるという欠点も伴う。具体的には、前記積層構造法は金属結晶構造と磁束線との最適な整合を提供するものではない上、渦電流損を確実に最小限に抑えるために積層工程を制御することが必要となる。巻回リボン構造法では、通常、一定の半径およびスパンを有する弧状またはC形構造のコアが作製される。これら強磁性コアの寸法および形状は、患者の生体構造内の特定の位置で望ましい浸透の深さ、磁場形状、および適切な磁場の大きさを確保するよう選択される。
【0014】
前記強磁性コアの構築法は複雑で細かい構築工程を伴うため、前記コアの複雑さおよび費用の両方が増す。例えば、強磁性体は導電性であるため、急速変動磁場に曝されると渦電流が発生する。これら渦電流は抵抗加熱によって前記コア材を加熱するだけでなく、主磁場を減少させる逆磁場も生成する。このような損失を防ぐために、電気的に互いに絶縁された強磁性体の非常に薄い層またはシートを用いて前記コアを製造することにより、渦電流経路を断絶する。
【0015】
通常、これらのシートの1枚1枚にニス塗りまたは何らかの被覆をすることにより、前記シート間を絶縁し、シート間の通電を防ぎ、渦電流損を減少する。また、前記シートを磁場と平行な向きにすることにより、磁気抵抗の低減を確実にする。
【0016】
巻回コアの製作工程は、バナジウムパーメンジュールまたはケイ素鋼のような可飽和性の強磁性材料で作られた長く薄いリボンをマンドレルに巻回し、望ましい半径、厚さ、および奥行きのコアを作製する工程から始まる。通常、前記リボンを電気的に絶縁するために、その両面を絶縁薄膜で被覆する。望ましいサイズになるまで前記リボンを前記マンドレルに巻回した後、前記リボンを前記マンドレルから取外し、エポキシに浸漬して位置を固定する。前記エポキシが硬化した後、トロイダル(環状)コアの一部を帯鋸で切断し、望ましい弧形を形成する。この切断工程によって、隣接する積層の電気的絶縁が弱まる可能性があるため、各切断面を細かに研磨して滑らかにした後、酸によるディープエッチングを施す。このディープエッチングは、各切断面の端部を酸浴槽に浸漬することによって行われる。これにより、前記積層間の短絡の原因となる可能性のある強磁性体が除去される。前記ディープエッチングの後、酸化防止、さらに前記コアの形状および構造上の完全性を維持するために、前記切断面に被覆を施す。このように層を切断、被覆、整合、付着、および積層する工程は、複雑で費用のかかる製造工程である。また、これらの点を鑑み、前記コア構造の形を変更またはカスタマイズすることは難しい。
【0017】
絶縁線でできたコイルを前記強磁性コアに巻回し、前記磁場の生成に必要な電流を供給する工程も、複雑で詳細手順を必要とする工程である。このタイプのコアの通常のインダクタンスは約15〜20マイクロヘンリーである。前記コアへの巻回は、前記コア構造上に正確な等間隔で行う必要がある。最も単純な構成では各コアに1周のみ巻回が行われるが、通常は、前記コアへの巻回は複数回行われる。
【0018】
現在の強磁性コアの形状および構成は適切に機能するものであり、コイルのみを用いる方法に勝ることは確かであるが、他の状況下においてはその他のコア構成およびコア形状も同等に適切に機能すると考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の技術には、患者を治療するためのシステム、方法、および装置が含まれる。本発明のシステムは、強磁性粉末を用いて製造された磁場生成装置を含む。このシステムは、さらに、磁気コアと電気的に連通している回路と、この回路と電気的に連通している電源とを含む。前記強磁性粉末コアは、機械加工、プレス加工、成形、接着、および押出加工のうちの少なくとも1つによって製造することができる。また、前記強磁性粉末コアは分散された空隙構造を有し、前記空隙構造の働きによって磁気装置の磁極面間に磁場が集束される。前記強磁性粉末コアは隈取コイルを備えた磁極面を有する。すなわち、前記磁極面は当該磁極面に切り込むことによりできた溝を有し、この溝には短絡巻線が挿入されている。前記強磁性粉末コアは、例えば鉄などの強磁性導電材料、または銅、黄銅、および/またはアルミニウムなどの非強磁性体を有することができる。また、前記システムは、前記コア構造から導線を絶縁する働きをするボビン構造周囲に巻回された導線または導体を含むことができる。
【0020】
本発明の患者治療法は、非直線形の強磁性粉末コアを有する磁気装置を用いて磁場を生成する工程と、前記磁場を患者に印加し、この磁場の働きにより前記患者の治療を行う工程とを含む。本発明の方法では、さらに、分散された空隙構造を有する強磁性粉末コアを用いる場合があり、この空隙構造によって磁場が前記磁気装置の磁極面の間に集束されるものである。前記強磁性粉末コアは、例えば鉄などの強磁性導電材料、および/または銅、黄銅、およびアルミニウムなどの非強磁性体を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図1B】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図2A】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図2B】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図3A】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図3B】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図4】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図5】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図6】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図7】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図8】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図9】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図10】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図11】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図12】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図13】本発明に従った例示的なコアの形状および構成を図示する。
【図14】患者を治療するための方法のフロー図である。
【図15】患者を治療するためのシステムのブロック図である。
【図16】患者を治療するための磁気コアを製造する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の1実施形態において、例えば空隙コア構造のような分散された空隙を有するコア構造が考えられる。前記空隙コアは磁気コアの内部構造を指すものであり、「背景技術」の項目で述べた「空芯」はいかなる磁気コアも備えていない巻線を指すものであることを理解すべきである。分散された空隙を有するコア構造の1つのタイプは、絶縁材の基盤内に強磁性粉末粒子を分散させることによって作製される。本発明は強磁性粉末コアに限定されるものではなく、様々な実施形態において任意の空隙コア構造を含むことができると理解すべきである。前記空隙コア構造とは、1若しくはそれ以上の伝導性粒子が互いに絶縁(若しくはほぼ絶縁)されている任意の構造であってよい。
【0023】
強磁性粉末コア材料のような分散された空隙構造の使用によって、積層構造に元来伴う複雑な製造工程およびそれに伴う費用負担が軽減される。さらに、前記コア材料の強磁性粒子を分離する絶縁材により前記コアの導電性が低減される結果、渦電流損が最小限になる。より具体的には、この非導電性の空隙により強磁性粒子間に電流が流れるのが阻止されるため、前記コアを流れる総電流を低減することができる。渦電流は、前記コアのような磁性材料を流れる電流によって生じるため、この電流を低減することにより渦電流も低減される。このように渦電流が低減される結果、上述した強磁性コア構造と比べると、分散された空隙構造においてはより少ない熱が生成されることになる。
【0024】
したがって、分散された空隙を有するコアを用いて製造されたコイルであれば、治療中の患者に過度の熱を与える懸念なく、より高い電力および電流レベルを用いることができる。さらに、「空芯」法で通常用いられる高度な冷却システムを必要とせずに、より高い電力レベルを達成することができる。加えて、このようなより高い電流駆動レベルにより、分散された空隙を有するコアは飽和により近いレベルに達し、望ましくない加熱を懸念する必要なしに、より高い磁場強度を得ることができる。実際、いくつかの実施形態においては、巻線の抵抗損失によって生じる加熱が、分散された空隙のコア材内に生成される熱より大きい場合がある。言い換えれば、患者に使用した場合に実質的に懸念される熱は、前記巻線の加熱特性によってのみ提供されるものである。
【0025】
渦電流損の低減およびそれに伴って起こる熱生成の低減により、比例的に高いデューティサイクルで磁気コアを動作させることが可能になる。医療用途という観点からは、一部の適用に有益となり得る比較的強度の、より集中的な治療が実現される。前記コアは本質的に低温であるが、それに加え、前記コアの熱性能をさらに高める構造内に包囲することが可能である。例えば、外郭構造の中に前記コアを入れることにより、望ましい表面へ熱を方向付け、その周囲の大気に放熱することができる。そのような表面は、例えば、患者または操作者に接触する表面から離れた位置にある。
【0026】
前記巻線または他の発熱材の間に空隙および熱絶縁体を加えることにより、例えば、患者に接触する可能性のある表面を当該巻線または他の発熱材から断熱することができる。当業者によく知られているように、医療装置規格に準拠するには、通常、これらの表面を41.5℃以下に維持する必要がある。
【0027】
また、分散された空隙を有するコア構造によって得られる電流および渦電流損の低減は、焼結工程によって製造されるコアでは見られないことも理解すべきである。この理由の一部は、焼結工程は絶縁された鉄の粉末粒子を互いに導電性のある状態に戻す作用があり、これによって電流および渦電流損の増加が促されるためである。
【0028】
この絶縁材は、強磁性粒子と異なるレベルの透磁率およびインダクタンスを提供する任意の材料でよい。絶縁空隙を導入することにより磁路が長くなり、これによりコア材料の透磁率およびインダクタンスが低下する。1より大きい透磁率を有するコアにすることが望ましい。さらに、分散された空隙により渦電流が低減されるので、磁束の歪みはより少なくなる。この比較的大きい等方性構造により、より均一に分散された磁束が提供され、より複雑で高度なコア構造が可能になる。
【0029】
このコアを製造するために用いられる強磁性粉末は、直径0.05インチ未満の粒子でできている場合がある。ここで意図する実施形態において、任意の粒径の粒子が可能なものと理解されるべきだが、特定の粒径は前記コアが動作する周波数に関連することを理解すべきである。例えば、より高い周波数で前記コアにパルスを印加する場合、より小さい粒径の粒子を用いることが望ましい場合がある。強磁性粒子は様々なサイズである場合があり、球形ではなく不規則な形である場合がある。いずれにせよ、特定の粒子サイズが選択されて、渦電流損および個別粒子内のヒステリシス損失が低減されるものと理解すべきである。
【0030】
また、本発明はいかなる特定の構成に限定されるものではないが、鉄、鉄合金、および他の伝導性または部分的に伝導性の物質からなるアマルガムを配合して個々の強磁性粒子を形成することができるものと理解すべきである。また、前記粒子の物質組成には銅、黄銅、アルミニウムなどの非鉄金属、および炭素、ケイ素、ニッケル、クロムなどの合金化元素が含まれ、これらは望ましい結晶構造および望ましい磁気特性を生成するよう配合されている。選択される配合によって、飽和性、透磁率、およびBH曲線は異なる。加えて、コア製造工程で前記被覆粒子が望ましい構造に形成される前の保管中に起きる酸化を防止するなどの目的で、前記強磁性粒子を非伝導性樹脂で被覆することができる。
【0031】
意図される実施形態は、例えば強磁性粉末コア装置などの磁気コア装置を製造するための方法を含む。この方法は、特定の強磁性粉末材料を選択する工程を含む。前記材料を混合および圧縮して前記コアを形成する。前記粉末を、前記コアの最終形状を有する金型に入れてプレス加工することができる。あるいは、圧縮材ブロックを製造し、それを機械加工して望ましい形状にすることができる。また、成形または機械加工された別個の部品を機械的に組み立て、セメント、加熱、または他の機械的手段による結合を用いて、コアの最終形状を製造することができる。前記強磁性粉末コアは、いくつかの工程のうちの任意の工程で製造することができる。例えば、高圧水噴射により溶融鉄を噴霧することができる。
【0032】
この強磁性粒子は、任意の適切な物質で被覆することができる。例えば、前記強磁性粒子をアルカリ金属ケイ酸塩のような絶縁物質で被覆することができる。前記絶縁物質は、コア内の各粒子間を絶縁することにより、分散された空隙を有するコアを作り出す。1実施形態においては、KOおよびSiOの固体を最高39重量%、およびNaOおよびSiOの固体を最高54重量%含有するアルカリ金属ケイ酸塩水溶液が用いられる。例えばアルキルフェノキシルポリエトキシエタノールのような湿潤剤または界面活性剤を添加することにより、前記粒子を均一に被覆することができる。
【0033】
適切な物質を混合し、同時に表面乾燥することができる。前記強磁性粒子に付着樹脂の薄膜被覆を適用することができる。そのような樹脂としては、ポリイミド、フッ化炭素、およびアクリルが含まれる。この樹脂により前記粒子の柔軟性が維持されるため、高温下で分解して伝導性残留物になることがない。
【0034】
この粉末を圧縮し、前記コアを形成する。この圧縮は、約25〜100トン/平方インチの範囲である。望ましい形状を作り出すためのひな型を使用してもよい。プレス加工された構成材を、例えば摂氏500〜600度で焼きなましすることにより、応力を軽減し、ヒステリシス損失を低減することができる。
【0035】
そのような適用において前記磁気コアに強磁性粉末を用いる場合、例えば粒子間に1%〜3%の間隔で各粒子を互いに絶縁することができる。ただし、これは1例に過ぎない。強磁性粉末原料を最高100トン/平方インチまで圧縮し、焼結を行わない場合、残った隙間または割れ目は空洞のまま維持されるか、またはより低い密度の樹脂で満たされるため、その密度は固体鉄の真の密度より1%または2%下に維持される。結果として、前記強磁性粉末は理論密度の約90%以上に圧縮することが可能となり、絶縁材を含む分散された空隙は3つの直交方向(うち1つは磁路である)の各々において3%未満となる。前記実施形態のいずれにおいても、前記磁気コアは、例えば0.5テスラ以上でコアが飽和可能となる組成物である。
【0036】
製造工程中に、前記粉末中の個別強磁性粒子は、例えばフェノール樹脂またはエポキシなど結合材料と混合される。次に、前記強磁性粉末は、その最終形状にプレス加工される。次に、焼成工程または加熱工程によってコア材料は硬化される。前記コアが硬化した後、前記強磁性粒子は、空気または絶縁結合材で分離され、効果的に分散された空隙が生成される。その結果、前記空隙は前記コア全体に分散される。
【0037】
この新規な装置および技術は、病状を伴う患者の治療を含む多くの目的に利用することができる。より深い理解のために、この適用性について、経頭蓋磁気刺激(TMS:transcranial magnetic stimulation)を例として説明する。ただし、本発明はこれらの技術をTMS以外に適用することも意図するものと理解されるべきである。
【0038】
1実施形態のみにおいて、非直線形コアを有する磁気装置を用いて磁場を生成することにより患者を治療する方法が考えられる。図1〜13を参照して説明するように、このコアは多くの様々な異なる形状およびサイズを有することが可能である。これらの形状およびサイズは、治療を必要とする患者の生体構造の特定領域によっても、磁石が配置される患者の外面領域によっても異なる場合がある。例えば、1実施形態において、前記コアは、うつ病治療のためのパルス磁場で患者の脳を治療するために患者の頭部に近接して前記コアを配置することを容易にするU型構造を有する場合がある。この治療は、例えば、皮膚表面および治療領域に比較的近接した領域から組織(例えば脳組織)、神経、および/または筋肉を刺激することによって達成することができる。
【0039】
また、前記患者の治療に用いられるコアは分散された空隙を有するコア、より具体的には強磁性粉末コアとしてもよい。上述のように、これら実施形態は任意の組成物に限定されないが、分散された空隙を有するコア構造を効果的に生成する任意の物質組成が考えられる。また、これら実施形態においては、コア構造が弧状構造ではない場合は任意のタイプのコア構造が考えられ、これには強磁性コアも含まれる。例えば、これら実施形態では、非焼結コア材料が考えられる。また、他の実施形態においては非直線形の強磁性粉末コアが考えられる。
【0040】
このコアを通過する磁場は、治療または診断を目的として患者に適用される。これら実施形態は特定のレベルまたは強度の磁場に限定されるものではなく、望ましい患者の治療または診断に必要な任意の磁場強度、集束、および持続時間が考えられる。
【0041】
新規システムは、強磁性粉末コアを用いる磁場生成装置と、前記磁気コアと電気的に連通している回路とを含み、この回路は当該回路と電気的に連通している電源によって駆動される。
【0042】
必要な磁場を前記コアに生成するために電源が提供される。この電源は前記コアの一部に巻回された巻線と電気的に連通している。実質的に一定の電力または実質的に一定の電流源を提供するように前記電源は製造されている。例えば、前記電源は、実質的に一定の電力または実質的に一定の電流源をコンデンサに提供し、次にコンデンサが前記コアに放電することにより磁場が生成される。
【0043】
前記電源は、85ボルト〜264ボルトの交流入力電圧で動作することができる。このように、本発明の装置は住宅および商業施設に通常利用可能な電力で動作することが可能である。
【0044】
さらに、これら実施形態はうつ病の治療のための方法を意図している。この方法の一部として、うつ病性障害のある患者が選択される。次に、この患者の脳に、磁気コアを有する経頭蓋磁気刺激装置を用いて磁気刺激を与える。このコアは、U型構造を有する強磁性コアおよび/または任意のコア形状および構造を有する分散された空隙を有するコア構造である。
【0045】
強磁性粉末コアを使用することにより、様々なコア形状を成形することが可能であることを理解すべきである。実際、分散された空隙を有するコア(例えば強磁性粉末コア)の製造工程は、様々な形状のコアを可能にするものである。前記コアの形状の正確な形状およびサイズは、様々な要因によって変化するようにすることができる。例えば、前記コアのサイズおよび形状を決定する上においては、例えば、前記コアの用途、利用可能な取り付け領域および容積、許容される放射エネルギー、巻線の制限、動作温度、および前記コアの取り付け方法などが考慮される(ただし、これらに限定されるものではない)。したがって、コアの形状は任意の形状が可能であり、これには、円筒形、ボビン、トロイダル、非トロイダル、または他のいくつかの可能な形状が含まれる。
【0046】
加えて、強磁性粉末による製造工程によって、前記コアを複数の構成要素または部品から構築するのが容易になることも理解すべきである。各部品が類似磁性材料または異なる磁性材料で製造された、複数の部品からなる強磁性粉末コアを用いて、極めて複雑な形状またはより大型のコア構造を作製することができる。これら異なる透磁率または類似した透磁率を有する個別部品は、接着および/または当業者に既知の他の任意の接着技術で合体することができる。この合体の工程は、部分的には、前記粉末コアの工程によって製造およびコア成形が容易になるため、円滑化されるものである。
【0047】
さらに、前記粉末コア製造工程においては、前記コア構造によって提供される磁場をその他の材料を用いて形成することも容易になる。例えば、生成磁場の特定の部分を、生体構造の特定の部分から離れるように逸らす若しくは方向変換することが望ましい場合がある。例えば、脳を刺激する場合、三叉神経を刺激から保護し、患者を不快にすることがないようにすることが望ましい場合がある。これは、様々な技術を用いて実現することができる。
【0048】
その1例は、伝導体を保護領域に対して治療領域に位置決めする技術である。前記伝導体は前記患者の皮膚に近接する領域の刺激を低減するよう作用する。これは、経皮刺激によって生成される電場または磁場を調整することによって達成される。また、前記経皮刺激によって生成された磁束の調整によって電場を調整して刺激の低減を達成することもできる。
【0049】
図1〜13は、意図される実施形態によって可能となるコアの形状および形態の様々な例を提供する。ただし、図1〜13は、本発明が意図するすべての可能な形状および構成の詳細を表すために提供されているのではない。むしろ、これらの図は特定の実施例のみを提供して、本発明が意図する実施形態のあくまでも一部の理解を補助するものである。
【0050】
図1〜13の磁気コアは基本的に3つの部分を有する。そのような3つの別個の部分で前記コアを構築する必要はないが、そのような形状で説明することにより、コアの形状についてさらに詳しく説明することが容易になる。したがって、前記形状は限定を意図するものではない。
【0051】
図1を用い、前記コアの特徴について説明する。図1が示すように、コア100は第1の部分101、第2の部分102、および第3の部分103を含む。角張ったU型である図1の場合、第2の部分102は、前記U型の柱部または磁極である第1の部分101と第3の部分103とを連結する連結部として機能する。第1の部分101は、第2の部分102に直角に接合する。第1の部分101は、第2の部分103に直角に接合する。これらの部分は1つの完全なプレス加工部品として製造してもよく、また、個別にプレス加工した後にU型に組み立てることも可能なものと理解すべきである。
【0052】
図2〜13においては、図1の形状および構成の変更形態または一部代替形態である様々な他の形状および構成を示す。例えば、図2が示すように、第1、第2、および/または第3の部分のいずれかの端部を角面取りまたは面取りをすることができる。そのような角面取りまたは面取りは任意値の角度で行うことができ、例えば45度の角度が可能である。このような磁極面の形状の変更は当業者によって使用されており、これにより、意図する用途おいて磁場の空間分布の方向転換が行われ、最適化される。また、角面取り部分を図3のように弧状にすることもできる。
【0053】
この角面取りは、図2が示すようにコアの両角端部に施してもよいし、または図13が示すようにコアの一方の角端部のみに施してもよい。同様に、図5が示すように、前記角端部に対向する端部を角面取りしてもよい。あるいは、図5が示す角面取りを、図4および6が示すように弧状または滑らかにしてもよい。また、第1および第3の部分を、図7が示すような直線形の第2の部分を有するL型、あるいは図8が示すような弧状の第2の部分を有するL型にしてもよい。
【0054】
図9が示すように、前記磁気コアは、その軸の任意の部分に巻線を有する弧状のコアでもよい。あるいは、図10および11が示すように、前記コアは、その主軸に対し垂直または角面取りされた端部を有する直線形構造でもよい。いずれの場合も、前記軸の任意の部分に導線を巻回することができる。この巻線を単一のより線および/または並列の多重より線とすることが可能である。前記巻線は、絶縁または絶縁されていない金属板の導電材料および/または押出加工によって製造された磁気導線(絶縁されている場合と絶縁されていない場合がある)を含むことができる。また、図12が示すように、前記コアは、1若しくはそれ以上の極に巻線が巻回された3つ以上の磁極を有する場合がある。
【0055】
前記コアの構造、サイズ、および形状は、前記コア構成材への前記巻線の取り付け方法に依存するものと理解されるべきである。例えば、一部の実施形態では、前記コア周囲および/または前記コア上に巻線を巻回することが考えられる。また、他の実施形態では、前記コアの一部を覆うスリーブまたはボビン上に巻回される巻線、またはマンドレル上に巻回され、つぼ状にして取り除き、後に前記コアに取り付けられる巻線を含む場合がある。一部の実施形態はこれらの方法の組み合わせを含む場合があるものと理解すべきである。巻線または導線を取り付けるために、磁極面に溝を切り込むことができる。例えば、短絡巻線を前記溝に挿入し、前記溝の外部で接続することができる。
【0056】
緊密に巻回された隣接する導線の短絡を防ぐために、前記巻線に使用される導線を絶縁する場合がある。直接巻回される巻線の場合、前記導線は、例えば鋭い表面または端部によって前記コアが絶縁体を貫通するのを防ぐような内径とすることができる。したがって、そのような直接的に巻回された巻線コアに適応するために、前記コアは滑らかな巻線表面を有し、場合によっては導線に適応するための角の丸みを提供する場合がある。
【0057】
ボビンは、単一ボビンまたは複数のボビンを含む構造が可能である。前記ボビンは、コアの残りの部分に対する絶縁性を提供すると共に、動作および安全性を提供する。前記導線は前記コアの磁極面に巻回される。導線を2若しくはそれ以上の磁極に巻回する場合、巻線の巻回数は両磁極間で同一である。また、前記導線をコアの磁極面に巻回する代わりに、またはそれに加えて、コアの中心点周囲に巻回することも可能である。両方に巻回する場合、磁極面への巻回数は前記コアの中心点への巻回数の比とすることができる。
【0058】
この場合も、強磁性粉末を金型にプレス加工してコアを製造することにより、多様なコアの形状が可能となり、様々な巻回方法が可能となることを理解すべきである。例えば、分散された空隙を有するコアの1実施形態において、前記巻線を予め作製して前記コアに正確に配置する使用用途において、ボビンはより適している。
【0059】
図1B、2B、および3Bは、1若しくはそれ以上の導線を前記磁気コアの少なくとも一部に巻回する方法を図示する。図1B、2B、および3Bが示すように、前記巻線を前記コアの第1および第3の部分に巻回することができる。当該巻線は、前記第1および第3の部分に巻回される単一巻線、または前記第1および第3の部分をそれぞれ巻回される2若しくはそれ以上の個別巻線が可能である。あるいは、図1A、2A、および3Aが示すように、前記コアの第2の部分に前記巻線を巻回することができる。この場合も、コア巻線は単一巻線または多重巻線が可能である。
【0060】
図14は、患者を治療する方法のフロー図である。図14が示すように、1401において、分散された空隙を有するコアを有する磁気装置を用いて磁場が生成される。1402において、例えば患者の頭部の近接部など患者の皮膚の近接部に前記磁気装置を配置する。1403において、治療が望まれる患者の生体構造の一部(例えば脳)を刺激する。1404において、前記磁場を前記患者に印加する。1405において、前記患者は、前記磁場による、例えばうつ病、失禁、および体重抑制の治療を受ける。これらの技術を用いて他のタイプの病気を治療することも可能である。これらには、末梢神経系の治療や患者の筋肉のリハビリテーションが含まれる(これに限定されるものではない)。
【0061】
さらに、患者の病状を直接診断するために前述の技術を使用することも可能であると理解すべきである。また、前記技術を、薬物または他の治療に対する反応の診断、および/またはそのような治療の効果の定量化に使用することもできる。多くの可能な例うちの1つとして、医薬品は中枢神経系の機能に(直接または間接的な)影響を与える可能性がある。刺激(例えばTMS)を提供し、誘発電位、運動反応、伝導速度、または他の反応を観察することによって、これらの影響を観察することができる(観察可能な影響はこの他にも数多くある)。反応における変化を用いて作用を定量化すること、あるいは例えば、最適な投薬量を決定することができる。
【0062】
加えて、神経の反応を観察するための調査ツールとして上述の技術を用い、多くの病状を診断することができる。そのような病状としては、変性疾患、様々な外傷、病気の進行、全身欠損症、先天異常(例えば耳鳴)が含まれる(これに限定されるものではない)。さらに理解を深めることを目的として、当該病状の部分的な一覧を本明細書において提供するが、上述の実施形態の範囲はこの一覧に限定されるものではない。これらの実施形態には医薬品の効果を評価および測定する工程が含まれ、これらの医薬品には抗痙攣剤、アルツハイマー病治療薬、抗精神病薬、鎮痛薬、抗不安薬、睡眠薬(鎮静剤)、中枢性鎮痛剤、ADHD(注意欠陥多動性障害)治療薬、および麻酔剤が含まれる。意図される診断用途のあくまで一部としては、運動機能低下、変性疾患(例えばアルツハイマー病、パーキンソン氏病、筋萎縮性側索硬化症など)、多発性硬化症、糖尿病性神経障害、慢性脱髄性神経障害、急性脱髄性神経障害、てんかん、ビタミンB12欠乏症(例えば悪性貧血)、ビタミンE欠乏症、神経サルコイドーシス、耳鳴、および脳卒中後リハビリテーションが含まれる。
【0063】
上述の技術を用いてその他の障害を治療することも可能であり、これらの治療には、重度うつ病性障害、てんかん、統合失調症、パーキンソン氏病、トゥレット症候群、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)、多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)、アルツハイマー病、注意欠陥/多動性障害、肥満、双極性障害/躁病、不安障害(広場恐怖症を伴う、または伴わないパニック障害、対人恐怖症(別名:社会不安障害)、急性ストレス障害、全般性不安障害)、心的外傷後ストレス障害(DSMの不安障害の1つ)、強迫性障害(DSMの不安障害の1つ)、疼痛(偏頭痛、三叉神経痛)(および神経因性疼痛を含む慢性疼痛障害(例えば糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、特発性疼痛疾患(例えば線維筋痛症、局所性筋筋膜性疼痛症候群))、卒中後リハビリテーション(神経可塑性誘導)、耳鳴、融合を促進するための移植神経の刺激、物質関連障害(アルコール、コカイン、アンフェタミン、カフェイン、ニコチン、大麻などに関する依存症、乱用、離脱(禁断症状))、脊髄損傷および脊髄再生/リハビリテーション、頭部損傷、睡眠遮断逆転、原発性睡眠障害(原発性不眠症、原発性睡眠過剰、概日リズム睡眠障害)、認識強化、認知症、月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder:PMS)、薬物送達システム(薬物の細胞膜浸透性の変化)、タンパク質合成の誘導(転写と翻訳の誘導)、吃音症、失語症、嚥下障害、本態性振戦、または摂食障害(過食症、拒食症、むちゃ食い)の患者の治療が含まれる。
【0064】
この方法は、さらに、患者のいわゆる「運動閾値」を決定する工程を含むことができる。より具体的には、位置決めの何らかの指標が提供されるまで、前記磁気装置を特定の領域上で移動することができる。例えば、脳に磁気刺激を与える場合、運動閾値点の指標である患者の親指の動きまたは痙攣が得られるまで前記磁気装置を患者の頭部上で移動することができる。この運動閾値決定は、例えば1Hzという刺激周波数レートを用いて、同様の周波数または異なる周波数で行うことができる。
【0065】
この点から、前記磁気装置を望ましい治療位置まで移動する。例えば、脳のTMS治療の場合、運動閾値点から約5センチメートル前に前記磁気装置を位置づけることができる。TMS治療が行われる間、いくつかの実施形態では、おそらく約10Hzの反復レートで、弛緩時の運動閾値の約110%に刺激装置の出力を設定することができる。
【0066】
図15は、患者を治療するシステムのブロック図である。図15が示すように、患者を治療するシステム1500は磁場生成装置1501を含む。磁場生成装置1501は分散された空隙を有するコア構造を有することができる。また、回路1502は前記磁場生成装置と電気的に連通している。
【0067】
前記回路は、治療が望まれる状態を治療するために前記磁場生成装置にパルスを印加するスイッチとしての働きをする。これにより、前記磁場を断続的に患者に印加することができる。正確な刺激周波数、または磁石へのパルス印加周波数は、具体的な適用(例えば磁石のサイズおよび刺激領域)によって異なる場合がある。例えば、一部の実施形態において、5秒間の刺激の後5秒間休憩し、再び5秒間の刺激を与えることを連続的に繰り返すことが望ましい場合がある。それらの刺激が行われる間、筋肉群を連続的に興奮させることが望ましい。この要求に応えるには、15Hzの反復レートでコアにパルスを印加し続ける必要がある。前記コアの発火中は常に大量の電流が関わるため、前記コアをできる限り効率的にする必要がある。周囲の部位を刺激しないよう、標的部位に磁場を集束することが望ましい。本発明が提供する特別に設計されたコアは、その集束能力を実現するものである。
【0068】
加えて、電源1503は回路と電気的に連通している。前記電源は、直流(DC)または交流(AC)電力を提供することができる。また、住宅および商業用施設において利用可能なものと同じ電力レベルが可能である。
【0069】
図16は、患者を治療するための磁気コアを製造する方法のフロー図である。図16が示すように、1601において、絶縁被覆された強磁性粒子を選択する。1601において、前記強磁性粒子を混合し、1602において、前記強磁性粒子をコア構造に形成する。1604において、導線(例えばワイヤ線)を前記コア構造に巻回する。1605において、電源を前記コア構造に接続する。
【0070】
簡略化のため図では割愛されているが、図に例示されているもの、およびそうでないものも含め、任意の可能なコア形状に同様の巻回形態を適用できるものと理解すべきである。前記コアの形状および巻回に関する本明細書の説明は、本発明が意図する実施形態の範囲内の数多くの可能な形状および構成の説明および理解を可能にするために提供されている。同様に、これらの形状および構成は、患者の治療および/または診断に用いられる任意のタイプの磁気コアに同等に適用可能であり、粉末のプレス加工、焼結、テープ巻回、および「コイルのみ」構造または「空芯」構造を含む(限定せず)。
【0071】
例示した前述の実施形態は、単に説明を目的として提供されているものであって、本発明を限定するものと解釈されるべきではないことを理解すべきである。本明細書に用いられている用語は、説明および例示の用語であり、限定的な用語ではない。加えて、本明細書で述べた利点および目的は、本発明を実行する各々すべての実施形態によって実現されるとは限らない。さらに、本明細書において、特定の構造、材料、および/または実施形態を参照して本発明について説明したが、本明細書に開示される特定の実施形態に本発明を限定することを意図するものではない。むしろ、本発明は、添付の請求項の範囲に含まれるようなすべての機能的に均等な構造、方法、および用途に適用されるものである。
【0072】
例えば、上述の説明の多くはプレス加工された粉末を用いた分散された空隙を有するコア構造の使用に基づくものであるが、本発明が意図する実施形態は、例えば「空芯」、非焼結、および他の強磁性コア構造を含む任意のコア構造の使用を含むものと理解すべきである。さらに、特定のコアの形状および構成について本明細書で説明してきたが、それらの形状は単に前記実施形態が意図する数多くのコアの形状の理解のために提供されているものと理解すべきである。
【0073】
加えて、前記開示は患者の治療を扱うものであるが、本明細書で述べた技術は患者の診断も意図するものと理解すべきである。実際、特定の状態の患者の治療に関する開示の場合、前記技術は同一または類似の状態の患者のモニタリングおよび診断にも均等に適用される。
【0074】
この明細の教示を理解する当業者は、当該教示に様々な修正を加えることが可能であり、本発明の範囲および要旨から逸脱せずに変更を加えることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を治療するためのシステムであって、
経頭蓋磁気刺激に関連する分散された空隙コア構造であって、非導電性の空隙の基盤を有する空隙コア構造を有する磁場生成装置と、
前記磁場生成装置と電気的に連通している回路と、
前記回路と電気的に連通している電源と
を有するシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−78700(P2013−78700A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−22564(P2013−22564)
【出願日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【分割の表示】特願2008−524159(P2008−524159)の分割
【原出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(510244798)ニューロネティクス インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】