説明

医療器具包装材、検査システム、及び医療用プローブ

【課題】医療用プローブ等、使用時に外部装置に接続される医療器具の使用準備を簡便化すること。
【解決手段】プローブ包装材は、プローブ本体20を収容する収容凹部11が形成されたプローブトレイ10を有する。プローブ本体20は、プローブ基端部20aに、ベースユニットと接続可能なコネクタ部21を有する。プローブトレイ10は、側面開口部12と収容凹部11とを連通させる切欠部13と、コネクタ部21を側面開口部12からプローブトレイ10の外側に向けた状態でプローブ基端部20aを切欠部13に保持する保持部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具包装材、検査システム、及び医療用プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
医療器具を包装するための医療器具包装材として、従来から様々なものが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1記載の医療器具包装材は、可撓性を有する長尺の医療器具を収納するための容器を有する。この容器は、長方形状の底部とこの底部の外周を囲む壁部とを有するトレイ形に形成されている。また、この容器は、容器内で環状に巻かれて保持されている医療器具と壁部の四つ角の部分とが離間するように形成されており、これにより医療器具を容器から容易に取り出し可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−297084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、医療器具包装材に収納される医療器具として、診断等のために先端部を体腔内に導入される医療用プローブのように、その基端部が外部装置に接続された状態で使用されるものがある。
【0006】
このような医療器具を例えば特許文献1記載の容器に収納した場合、通常は、医療器具を容器から鉗子で把持して取り出し、基端部を手で外部装置に接続した後、鉗子で把持している医療器具を別の場所に載置すると、医療器具の使用準備が完了する。
【0007】
しかしながら、上記のような医療器具の使用準備方法では、基端部の接続前に医療器具を容器から鉗子で取り出す手間、及び基端部の接続後に医療器具を別の場所に載置する手間が必要であるため、準備をする者(通常は看護師)にとっては不便である。
【0008】
本発明の目的は、使用時に外部装置に接続される医療器具の使用準備を簡便化することができる医療器具包装材、及びその医療器具を使用する検査システムを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、使用準備を簡便化することができる医療用プローブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る医療器具包装材は、
医療器具を収容する収容部が形成された包装体を有する医療器具包装材であって、
前記医療器具は、その端部に、外部装置と接続可能な接続部を有し、
前記包装体は、
前記包装体の所定部分に形成された開口部と前記収容部とを連通させる切欠部と、
前記医療器具の前記接続部を前記開口部から前記包装体の外側に向けた状態で前記医療器具の前記端部を前記切欠部に保持する保持部と、
を有する。
【0011】
本発明に係る検査システムは、
医療器具と、
前記医療器具が接続されるベースユニットと、
前記医療器具を収容する収容部が形成された包装体と、を有し、
前記医療器具は、その端部に、前記ベースユニットと接続可能な接続部を有し、
前記包装体は、
前記包装体の所定部分に形成された開口部と前記収容部とを連通させる切欠部と、
前記医療器具の前記接続部を前記開口部から前記包装体の外側に向けた状態で前記医療器具の前記端部を前記切欠部に保持する保持部と、を有し、
前記ベースユニットは、
前記包装体が差し込まれる第1の差込部と、
前記医療器具の前記接続部が差し込まれる第2の差込部と、を有し、
前記包装体が前記第1の差込部に差し込まれたときに前記医療器具の前記接続部が前記第2の差込部に差し込まれるように、前記第2の差込部は前記第1の差込部の内部に配置されている。
【0012】
本発明に係る医療用プローブは、
使用時に基端部がベースユニットに接続され且つ先端部が体腔内に導入される、医療用プローブであって、
前記ベースユニットと接続可能な接続部を前記基端部に有するプローブ本体と、
前記プローブ本体を収容する収容部が形成された包装体と、を有し、
前記包装体は、
前記包装体の所定部分に形成された開口部と前記収容部とを連通させる切欠部と、
前記プローブ本体の前記接続部を前記開口部から前記包装体の外側に向けた状態で前記プローブ本体の前記基端部を前記切欠部に保持する保持部と、
を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、医療用プローブ等、使用時に外部装置に接続される医療器具の使用準備を簡便化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係るプローブ包装材の構成を示す図
【図2】図1に示すプローブ包装材にプローブ本体が保持されていない状態を示す図
【図3】(a)本発明の一実施の形態に係るプローブ包装材において固定部材により固定されたプローブ基端部を示す図、(b)本発明の一実施の形態に係るプローブ包装材においてプローブトレイと一体化されているプローブ基端部を示す図
【図4】(a)本発明の一実施の形態に係る上カバーを示す図、(b)上カバーをプローブトレイに被せた状態を示す図
【図5】本発明の一実施の形態に係る上カバーの変形例を示す図
【図6】本発明の一実施の形態に係る検査システムの構成を示す図
【図7】本発明の一実施の形態に係る検査システムのプローブトレイとベースユニットとを接続した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。下記実施の形態では、トレイ形の容器を医療器具包装材の本体(包装体)として使用し、その内部に、使い捨てタイプのプローブを収納する場合を例にとって説明する。このプローブは、使用時に基端部がベースユニット(外部装置)に接続され且つ先端部が内視鏡等の管状体を介して体腔(消化器系の場合、食道及び胃等)内に導入されるものである。
【0016】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る医療器具包装材としてのプローブ包装材は、プローブトレイ(包装体)10を有する。プローブトレイ10は、プローブ本体20を収納する容器であり(図2参照)、所定の剛性を有する材料から形成されている。
【0017】
プローブトレイ10に収納されるプローブ本体20は、基端部20aと、先端部20bと、基端部20aから先端部20bまで延伸する長尺の可撓性部材からなる延伸部20cと、を有する。延伸部20cには、光ファイバー等の光伝送媒体(図示せず)が内蔵されている。基端部(以下「プローブ基端部」という)20aには、ベースユニット(外部装置)30(図6参照)に対し着脱自在に構成されたコネクタ部(接続部)21が設けられている。
【0018】
コネクタ部21は、3つの端子21a、21b、21cと、端子21a〜21cを収容するハウジング21dと、を有し、端子21a〜21cは、ハウジング21dから突設されている。端子21aは、先端部(以下「プローブ先端部」という)20bから出射させる測定用の光をベースユニット30から受光するための端子である。また、端子21bは、プローブ先端部20bにて受光された、体腔内の測定対象部位からの反射光を、ベースユニット30に伝送するための端子である。端子21cは、内視鏡に装備された照明部に代わってプローブ先端部20bから出射させる照明用の光をベースユニット30から受光するための端子である。
【0019】
プローブトレイ10の上面部10aには、プローブ本体20を収容するための収容凹部(収容部)11が、形成されている。収容凹部11は、プローブ先端部20b及び延伸部20cを収容可能な形状に形成されている。より具体的には、収容凹部11は、延伸部20cを環状に巻いた状態で収容し且つプローブ先端部20bを延伸部20cから離間させた状態で収容するように、b字状に形成されている。これにより、使用時にプローブ先端部20bを容易に取り出すことができる。
【0020】
プローブトレイ10には、その側面部10bに形成された側面開口部(開口部)12と収容凹部11とが互いに連通するように、切欠部13が形成されている。切欠部13は、プローブ基端部20aを収容可能な形状に形成されている。より具体的には、切欠部13は、プローブ基端部20aを、側面開口部12からプローブトレイ10の外側に向けたときの形態に適合した形状を有している。これにより、切欠部13には、プローブ基端部20aを、側面開口部12からプローブトレイ10の外側に向けた状態で収容することができる。
【0021】
よって、図1に示すように、プローブトレイ10は、収容凹部11と切欠部13との組合せによりプローブ本体20を完全に収容することができる。
【0022】
プローブ基端部20aは、側面開口部12からプローブトレイ10の外側に向いた状態で、切欠部13に収容され保持されている。
【0023】
プローブ基端部20aを切欠部13に保持する方法としては、例えば、接着剤でプローブ基端部20aを切欠部13の底面に接着する方法がある。この場合、プローブ基端部20aを切欠部13に保持する保持部は、プローブ基端部20aと切欠部13との間の接着剤層(図示せず)により構成される。
【0024】
別の方法としては、例えば図3(a)に示すように、テープ状の固定部材14をプローブ基端部20aに被せるようにプローブトレイ10に貼付して、プローブ基端部20aを切欠部13の底面に押さえつける方法がある。この場合、プローブ基端部20aを切欠部13に保持する保持部は、固定部材14により構成される。
【0025】
さらに別の方法としては、例えば図3(b)に示すように、切欠部13においてプローブ基端部20aとプローブトレイ10とを一体に形成する方法がある。この場合、プローブ基端部20aを切欠部13に保持する保持部は、一体化されたプローブ基端部20aとプローブトレイ10との間の接合部15により構成される。
【0026】
すなわち、プローブ本体20と、プローブ基端部20aを切欠部13に保持するプローブトレイ10と、の組合せは、本発明の医療用プローブを構成する。
【0027】
未使用のプローブ本体20をプローブトレイ10に収納して保管する場合は、衛生上の観点から、プローブ本体20を収納したプローブトレイ10ごと滅菌袋(図示せず)に封入することが好ましい。さらに、未使用のプローブ本体20を外部からの衝撃から確実に保護するために、保管時にはプローブトレイ10の収容凹部11及び側面開口部12を閉蓋することが好ましい。
【0028】
例えば、プローブトレイ10の上面部10a及び側面部10bを覆う上カバー16(図4(a)参照)をプローブトレイ10と同様の剛性材料で形成し、これを上面部10a及び側面部10bに被せれば(図4(b)参照)、プローブ本体20の確実な保護が可能である。
【0029】
上カバー16は、折り返し部16aを有する形状であるため、側面部10b側からプローブトレイ10に嵌合させることで簡単にプローブトレイ10に装着することができる。
【0030】
なお、図5に示すように、折り返し部16a(図4(a)参照)を有しない形状の上カバー17を用いてもよい。
【0031】
図6に示すように、本実施の形態に係る検査システムは、プローブトレイ10、プローブ本体20、及びベースユニット30を有する。
【0032】
ベースユニット30は、プローブ本体20から受光した光を基に生体パラメータの測定を行う装置であり、このプローブを使用する部屋(処置室や手術室等)に設置されて使用される。
【0033】
ベースユニット30の前面部30aには、プローブトレイ10を差し込むことが可能な形状に形成されたレセプタクル(第1の差込部)31が設けられている。これにより、プローブトレイ10にプローブ本体20を収容した状態でプローブトレイ10をベースユニット30に接続することができる。
【0034】
レセプタクル31の内部には、プローブ本体20のコネクタ部21を差し込むことが可能な形状に形成されたレセプタクル(第2の差込部)32が設けられている。レセプタクル32の位置は、より具体的には、コネクタ部21をベースユニット30に向けた状態でプローブトレイ10をレセプタクル31に差し込むときにコネクタ部21に対向する位置である。これにより、プローブトレイ10をレセプタクル31に差し込むと同時にコネクタ部21をレセプタクル32に差し込むことができる(図7参照)。
【0035】
ベースユニット30は、レセプタクル31から前方に延在する平面部をトレイ台33として有しており、これにより、ベースユニット30に接続されたプローブトレイ10を安定的に支持することができる。
【0036】
また、レセプタクル32は、切欠部13(図1等参照)に挿入可能に突設されている。したがって、プローブトレイ10がレセプタクル31に差し込まれたときには、レセプタクル32が切欠部13に差し込まれてコネクタ部21がレセプタクル32に差し込まれる。これにより、切欠部13に収容されているコネクタ部21の端子21a〜21cを確実にレセプタクル32に挿入させることができる。そのため、端子21a〜21cを側面開口部12から突き出るほど長く形成する必要性をなくすことができる。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態によれば、プローブ本体20においてコネクタ部21が設けられているプローブ基端部20aが、プローブトレイ10の切欠部13に保持されている。一方、ベースユニット30は、プローブトレイ10のレセプタクル31を有し、さらにレセプタクル31内にコネクタ部21のレセプタクル32を有している。そのため、プローブトレイ10をベースユニット30に差し込んだときにコネクタ部21をベースユニット30に接続することができる。したがって、処置室等においてプローブ本体20の使用準備をする場合に、プローブ本体20に一切触れることなくプローブトレイ10ごとベースユニット30に差し込むだけで、使用準備を完了することができる。すなわち、医療用プローブの使用準備を簡便化することができる。
【0038】
また、使用準備中、プローブ本体20に触れる必要性を一切なくすことができるので、プローブ本体20の衛生状態を確実に保ったまま使用準備を完了することができる。
【0039】
さらに、プローブトレイ10をベースユニット30に接続したままプローブ本体20の使用が可能となるので、施術中にプローブ本体20を一時的に仮置きする場合に、プローブトレイ10をプローブ本体20の仮置き台として使用することができる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について説明した。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0041】
10 プローブトレイ(包装体)
10a 上面部
10b 側面部
11 収容凹部(収容部)
12 側面開口部(開口部)
13 切欠部
14 固定部材
15 接合部
16、17 上カバー
16a 折り返し部
20 プローブ本体(医療器具)
20a 基端部(端部)
20b 先端部
20c 延伸部
21 コネクタ部(接続部)
21a、21b、21c 端子
21d ハウジング
30 ベースユニット(外部装置)
30a 前面部
31 レセプタクル(第1の差込部)
32 レセプタクル(第2の差込部)
33 トレイ台


【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具を収容する収容部が形成された包装体を有する医療器具包装材であって、
前記医療器具は、その端部に、外部装置と接続可能な接続部を有し、
前記包装体は、
前記包装体の所定部分に形成された開口部と前記収容部とを連通させる切欠部と、
前記医療器具の前記接続部を前記開口部から前記包装体の外側に向けた状態で前記医療器具の前記端部を前記切欠部に保持する保持部と、
を有する医療器具包装材。
【請求項2】
前記保持部は、前記医療器具の前記端部を前記切欠部に固定する固定部を有する、
請求項1に記載の医療器具包装材。
【請求項3】
前記医療器具の前記端部は、前記切欠部において前記包装体と一体に形成され、
前記保持部は、前記医療器具の前記端部と前記包装体との間の接合部を有する、
請求項1に記載の医療器具包装材。
【請求項4】
医療器具と、
前記医療器具が接続されるベースユニットと、
前記医療器具を収容する収容部が形成された包装体と、を有し、
前記医療器具は、その端部に、前記ベースユニットと接続可能な接続部を有し、
前記包装体は、
前記包装体の所定部分に形成された開口部と前記収容部とを連通させる切欠部と、
前記医療器具の前記接続部を前記開口部から前記包装体の外側に向けた状態で前記医療器具の前記端部を前記切欠部に保持する保持部と、を有し、
前記ベースユニットは、
前記包装体が差し込まれる第1の差込部と、
前記医療器具の前記接続部が差し込まれる第2の差込部と、を有し、
前記包装体が前記第1の差込部に差し込まれたときに前記医療器具の前記接続部が前記第2の差込部に差し込まれるように、前記第2の差込部は前記第1の差込部の内部に配置されている、
検査システム。
【請求項5】
前記包装体が前記第1の差込部に差し込まれたときに前記第2の差込部が前記包装体の前記切欠部に差し込まれて前記医療器具の前記接続部が前記第2の差込部に差し込まれるように、前記第2の差込部は、前記切欠部に対応する位置に突設されている、
請求項4に記載の検査システム。
【請求項6】
使用時に基端部がベースユニットに接続され且つ先端部が体腔内に導入される、医療用プローブであって、
前記ベースユニットと接続可能な接続部を前記基端部に有するプローブ本体と、
前記プローブ本体を収容する収容部が形成された包装体と、を有し、
前記包装体は、
前記包装体の所定部分に形成された開口部と前記収容部とを連通させる切欠部と、
前記プローブ本体の前記接続部を前記開口部から前記包装体の外側に向けた状態で前記プローブ本体の前記基端部を前記切欠部に保持する保持部と、
を有する医療用プローブ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−254195(P2012−254195A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128960(P2011−128960)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】