説明

医療情報処理装置、医療情報処理方法、および医療情報処理プログラム

【課題】ユーザに大きな負担をかけることなく一連の業務プロセスを処理すること。
【解決手段】一連の業務プロセスを処理する医療情報処理装置110は、表示部300と、一覧表示部301と、選択部302と、表示制御部303とを備える。一覧表示部301は、一連の業務プロセスの進捗状況を含むオーダ情報の一覧を表示部300に表示させる。選択部302は、一覧の中から、任意のオーダ情報の選択を受け付ける。表示制御部303は、任意のオーダ情報が選択されたことに応じて、選択されたオーダ情報によって特定されるオーダの進捗状況に応じた業務プロセスの処理画面を、表示部300に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医療情報を処理する、医療情報処理装置、医療情報処理方法、および医療情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象ごとの一連の業務プロセスの進捗状況を一覧表示する臨床検査システムが考案されている(たとえば下記特許文献1および特許文献2参照。)。このような臨床検査システムによれば、一連の業務プロセスの進捗状況管理を容易におこなうことができる、一連の業務プロセスにおける遅延や障害を早期発見することができる、などの効果を奏するとされている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−51942号公報
【特許文献2】特開平3−148067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、ユーザは、検査対象ごとに、当該検査対象の進捗状況に応じて、処理すべき業務プロセスを特定したうえで、特定された業務プロセスの処理画面をメニューなどから選択して表示させる必要がある。また、業務プロセスの処理画面においては、オーダNo.などのオーダ情報を改めて入力する必要がある。このように、従来技術では、一連の業務プロセスを処理するにあたり、ユーザに大きな負担がかかっていた。
【0005】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、ユーザに大きな負担をかけることなく一連の業務プロセスを処理することができる医療情報処理装置、医療情報処理方法、および医療情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる医療情報処理装置は、一連の業務プロセスを処理する医療情報処理装置であって、一連の業務プロセスの進捗状況を含むオーダ情報の一覧を表示部に表示させる一覧表示手段と、一覧の中から、任意のオーダ情報の選択を受け付ける選択手段と、任意のオーダ情報が選択されたことに応じて、選択されたオーダ情報によって特定されるオーダの進捗状況に応じた業務プロセスの処理画面を、表示部に表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この請求項1の発明によれば、オーダ情報の一覧が表示されている状態から、選択されたオーダに対し処理すべき業務プロセスの処理画面をダイレクトに表示することができる。
【0008】
また、請求項2の発明にかかる医療情報処理装置は、請求項1に記載の発明において、表示制御手段は、進捗状況が簡易的に示されている一覧を表示部に表示させることを特徴とする。
【0009】
この請求項2の発明によれば、一覧としての視認性が高く、個別のオーダの進捗状況および処理すべきオーダ全体としての進捗状況を、ユーザに視覚的、直感的に把握させることができるオーダ情報の一覧を表示することができる。
【0010】
また、請求項3の発明にかかる医療情報処理装置は、請求項2に記載の発明において、表示制御手段は、任意のオーダ情報が選択されたことに応じて、選択されたオーダ情報によって特定されるオーダの進捗状況の詳細情報を、表示部にさらに表示させることを特徴とする。
【0011】
この請求項3の発明によれば、オーダ情報の一覧が表示されている状態から、選択されたオーダの進捗状況をより具体的にユーザに把握させることができる該オーダの進捗状況の詳細情報を視覚的、直感的に表示することができる。
【0012】
また、請求項4の発明にかかる医療情報処理装置は、請求項3に記載の発明において、表示制御手段は、任意のオーダ情報が選択されたことに応じて、選択されたオーダ情報によって特定されるオーダの進捗状況が一連の業務プロセスの構造を模した複数のボタンで示されている詳細情報を表示部にさらに表示させ、詳細情報に示されている複数のボタンのいずれかが押下されたことに応じて、押下されたボタンに対応付けられている業務プロセスの処理画面であって、選択されたオーダ情報によって特定されるオーダの進捗状況に応じた業務プロセスの処理画面を、表示部に表示させることを特徴とする。
【0013】
この請求項4の発明によれば、オーダ情報の一覧が表示されている状態から、選択されたオーダの進捗状況をより具体的にユーザに把握させることができる詳細情報であって、選択されたオーダに対し処理すべき業務プロセスの処理画面へのダイレクトな遷移を可能とする詳細情報を、視覚的、直感的に表示することができる。
【0014】
また、請求項5の発明にかかる医療情報処理装置は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、表示制御手段は、一連の業務プロセスに用いられる複数の種類の資材のそれぞれの在庫状況と、一覧に表示されている全てのオーダに必要な資材およびその必要量とを、表示部にさらに表示させることを特徴とする。
【0015】
この請求項5の発明によれば、全オーダを処理するために必要な資材の必要量と在庫量との照合を容易におこなうことを可能とする情報をさらに表示することができる。
【0016】
また、請求項6の発明にかかる医療情報処理装置は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、表示制御手段は、一連の業務プロセスに用いられる複数の種類の資材のそれぞれの在庫状況と、選択されたオーダ情報によって特定される一または複数のオーダに必要な資材およびその必要量とを、表示部にさらに表示させることを特徴とする。
【0017】
この請求項6の発明によれば、選択された複数のオーダを処理するために必要な資材の必要量と在庫量との照合を容易におこなうことを可能とする情報をさらに表示することができる。
【0018】
また、請求項7の発明にかかる医療情報処理方法は、一連の業務プロセスを処理する医療情報処理方法であって、一連の業務プロセスの進捗状況を含むオーダ情報の一覧を表示部に表示させる一覧表示工程と、一覧の中から、任意のオーダ情報の選択を受け付ける選択工程と、任意のオーダ情報が選択されたことに応じて、選択されたオーダ情報によって特定されるオーダの進捗状況に応じた業務プロセスの処理画面を、表示部に表示させる表示制御工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
この請求項7の発明によれば、オーダ情報の一覧が表示されている状態から、選択されたオーダに対し処理すべき業務プロセスの処理画面をダイレクトに表示することができる。
【0020】
また、請求項8の発明にかかる医療情報処理プログラムは、一連の業務プロセスを処理する医療情報処理プログラムであって、一連の業務プロセスの進捗状況を含むオーダ情報の一覧を表示部に表示させる一覧表示工程と、一覧の中から、任意のオーダ情報の選択を受け付ける選択工程と、任意のオーダ情報が選択されたことに応じて、選択されたオーダ情報によって特定されるオーダの進捗状況に応じた業務プロセスの処理画面を、表示部に表示させる表示制御工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0021】
この請求項8の発明によれば、オーダ情報の一覧が表示されている状態から、選択されたオーダに対し処理すべき業務プロセスの処理画面をダイレクトにコンピュータに表示させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ユーザに大きな負担をかけることなく一連の業務プロセスを処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる医療情報処理装置、医療情報処理方法、および医療情報処理プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。以降、一連の業務プロセスの一例として、処理順に、「交差血液型検査」、「製剤割当」、「交差適合試験」、「製剤払出」、および「製剤使用返納」を業務プロセスとして含む、輸血業務プロセスを用いて説明する。
【0024】
(システム構成)
まず、本実施の形態にかかる医療情報処理システムのシステム構成について説明する。図1は、本実施の形態にかかる医療情報処理システムのシステム構成の一例を示す説明図である。図1において、医療情報処理システム100は、医療情報処理装置110と、サーバ120と、検査装置130と、を備えて構成されている。
【0025】
医療情報処理装置110とサーバ120とは、ネットワーク150を介して、互いに接続されている。医療情報処理装置110およびサーバ120は、ネットワーク150を介して、HIS(医療情報システム)などの上位システム140に接続されている。サーバ120には、検査装置130が接続されている。
【0026】
医療情報処理装置110は、クライアント端末として機能する。サーバ120は、患者情報や検査情報などの各種データを管理する。サーバ120は、医療情報処理装置110からの要求に応じて、上記各種データを、医療情報処理装置110へ提供する。
【0027】
(医療情報処理装置110のハードウェア構成)
つぎに、医療情報処理装置110のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施の形態にかかる医療情報処理装置110のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。サーバ120のハードウェア構成は医療情報処理装置110のハードウェア構成と同様のため、説明を省略する。
【0028】
図2に示すように、医療情報処理装置110は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、HDD(ハードディスクドライブ)204と、HD(ハードディスク)205と、ディスプレイ206と、ネットワークI/F(インターフェイス)207と、キーボード208と、マウス209とを備える。各構成部201〜209のそれぞれは、バス200に接続される。
【0029】
CPU201は、医療情報処理装置110の全体の制御を司る。ROM202は、医療情報処理装置110を起動させるブートプログラムや、医療情報処理プログラムなどの各種データを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。
【0030】
HDD204は、HD205に対するデータの読み込みおよび書き込みを制御する。HD205は、各種データを記憶する。ディスプレイ206は、各種データを表示する。ネットワークI/F207は、医療情報処理装置110と他の情報処理装置とのデータ通信を制御する。キーボード208およびマウス209は、医療情報処理装置110へ情報を入力するための入力手段として機能する。
【0031】
(医療情報処理装置110の機能構成)
つぎに、医療情報処理装置110の機能構成について説明する。図3は、本実施の形態にかかる医療情報処理装置110の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0032】
図3に示すように、医療情報処理装置110は、表示部300と、一覧表示部301と、選択部302と、表示制御部303とを備える。
【0033】
一覧表示部301は、一連の業務プロセスの進捗状況を含むオーダ情報の一覧を表示部300に表示させる。一覧表示部301は、進捗状況が簡易的に示されている一覧を表示部300に表示させてもよい。
【0034】
選択部302は、表示部300に表示されているオーダ情報の一覧の中から、任意のオーダ情報を選択する。たとえば、選択部302は、ユーザによるマウス、キーボードなどの入力デバイスの操作により、任意のオーダ情報を選択する。
【0035】
表示制御部303は、任意のオーダ情報が選択されたことに応じて、選択されたオーダ情報によって特定されるオーダの進捗状況に応じた業務プロセスの処理画面を、表示部300に表示させる。ここで、表示制御部303は、オーダ情報の一覧の表示画面から、上記業務プロセスの処理画面へ切り替えさせてもよく、オーダ情報の一覧の表示画面を表示させたまま、上記業務プロセスの処理画面をさらに表示させてもよい。
【0036】
表示制御部303は、任意のオーダ情報が選択されたことに応じて、選択されたオーダ情報によって特定されるオーダの進捗状況の詳細情報を、表示部300にさらに表示させてもよい。この場合、表示制御部303は、上記詳細情報をユーザが確認したことに応じて、上記業務プロセスの処理画面をさらに表示させてもよい。
【0037】
表示制御部303は、一連の業務プロセスに用いられる複数の種類の資材のそれぞれの在庫状況と、一覧に表示されている全てのオーダに必要な資材(たとえば製剤や試薬)およびその必要量とを、表示部300にさらに表示させてもよい。これにより、ユーザは、全オーダを処理するために必要な資材の必要量と在庫量との照合を容易におこなうことができる。
【0038】
表示制御部303は、一連の業務プロセスに用いられる複数の種類の資材のそれぞれの在庫状況と、選択されたオーダ情報によって特定される一または複数のオーダに必要な資材およびその必要量とを、表示部300にさらに表示させてもよい。これにより、ユーザは、選択された複数のオーダを処理するために必要な資材の必要量と在庫量との照合を容易におこなうことができる。
【0039】
表示制御部303は、任意のオーダ情報が選択されたことに応じて、選択されたオーダ情報によって特定されるオーダの進捗状況が一連の業務プロセスの構造を模した複数のボタンで示されている詳細情報を表示部300にさらに表示させてもよい。この場合、表示制御部303は、詳細情報に示されている複数のボタンのいずれかが押下されたことに応じて、押下されたボタンに対応付けられている業務プロセスの処理画面であって、選択されたオーダ情報によって特定されるオーダの進捗状況に応じた業務プロセスの処理画面を、表示部300に表示させてもよい。これにより、ユーザは、選択したオーダの進捗状況をより具体的に把握することができるうえ、選択したオーダに対し処理すべき業務プロセスの処理画面を容易に表示させることができる。
【0040】
医療情報処理装置110は、ROM202、RAM203、またはHD205に格納されている医療処理プログラムをCPU201が実行することにより、図3に示した各機能部として機能する。
【0041】
(医療情報処理の手順)
つぎに、医療情報処理装置110による医療情報処理の手順について説明する。図4は、一覧表示部301によるオーダ情報の一覧を表示する処理の手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、輸血業務プロセスのオーダ情報の一覧を表示する処理の手順の一例を説明する。
【0042】
まず、画面表示項目、判定ロジック、パラメタ設定情報をサーバ120から取得する(ステップS401)。
【0043】
つぎに、情報リスト[n]をサーバ120から取得する(ステップS402)。nはオーダ数を示す。情報リストには、オーダごとに、基本情報および簡易ステータスが示されている。
【0044】
つぎに、情報リストに示されている全てのオーダについて、情報リストの基本情報(情報リストの基本情報に対して、ステップS401で取得した画面表示項目、判定ロジック、パラメタ設定情報を用いて処理をおこなった結果出力された情報)を、オーダ情報の一覧の基本情報欄に表示させる。(ステップS403)。
【0045】
つぎに、製剤の在庫情報をサーバ120から取得して(ステップS404)、ステップS404で取得した製剤の在庫情報を表示部300に表示させる(ステップS405)。
【0046】
つぎに、条件式n==0を満たすか否かを判断する(ステップS406)。ステップS406において、満たすと判断した場合(ステップS406:Yes)は、一連の処理を終了する。ステップS406において、満たさないと判断した場合(ステップS406:No)は、ステップS407へ進む。
【0047】
つぎに、情報リスト[n]の簡易ステータスに「中止」が設定されているか否かを判断する(ステップS407)。ステップS407において、設定されていると判断した場合(ステップS407:Yes)は、オーダ情報の一覧[n]のステータス欄に中止ボタンを表示させて(ステップS408)、ステップS414へ進む。一方、ステップS407において、設定されていないと判断した場合(ステップS407:No)は、ステップS409へ進む。
【0048】
つぎに、情報リスト[n]の簡易ステータスに「使用」が設定されているか否かを判断する(ステップS409)。ステップS409において、設定されていると判断した場合(ステップS409:Yes)は、オーダ情報の一覧[n]のステータス欄に使用ボタンを表示させて(ステップS410)、ステップS414へ進む。一方、ステップS409において、設定されていないと判断した場合(ステップS409:No)は、ステップS411へ進む。
【0049】
つぎに、情報リスト[n]の簡易ステータスに「返納」が設定されているか否かを判断する(ステップS411)。ステップS411において、設定されていると判断した場合(ステップS411:Yes)は、オーダ情報の一覧[n]のステータス欄に返納ボタンを表示させて(ステップS412)、ステップS414へ進む。一方、ステップS411において、設定されていないと判断した場合(ステップS411:No)は、ステップS413へ進む。
【0050】
ステップS413では、オーダ情報の一覧[n]のステータス欄に各業務プロセス(「交差血液型検査」、「製剤割当」、「交差適合試験」、「製剤払出」、および「製剤使用返納」)のそれぞれのステータスを簡易的に示すアイコンを表示させて(ステップS413)、ステップS414へ進む。ステップS414では、演算処理n=n−1を実行する(ステップS414)。そして、ステップS414を実行した後、ステップS406へ戻る。
【0051】
つぎに、表示部300に表示されたオーダ情報の一覧の一例について説明する。図5は、表示部300に表示されたオーダ情報の一覧の一例を示す図である。図5において、画面500は、表示部300に表示された画面である。画面500には、オーダ情報の一覧の一例である、輸血オーダ一覧510が表示されている。
【0052】
輸血オーダ一覧510は、基本情報欄およびステータス欄を含む。基本情報欄には、一覧表示部301の制御により、オーダごとの、「オーダNo.」、「患者ID」、「氏名」、「ABO(血液型)」、「Rh」、「抗体」、「製剤名」、「単位」、「術式」、「使用場所」、および「使用予定日時」が表示される。ステータス欄には、一覧表示部301の制御により、オーダの進捗状況を簡易的に示すアイコンが表示される。
【0053】
具体的には、ステータス欄には、各業務プロセスのそれぞれのステータスを示す5個のアイコンが並べて表示される。5個のアイコンのそれぞれには、「完了」を示すアイコン、「処理すべき」を示すアイコン、「未完了または実施中(仕掛中)」を示すアイコンのいずれかが用いられる。これにより、オーダごとの各業務プロセスのそれぞれのステータスを、ユーザに視覚的、直感的に把握させることができる。
【0054】
たとえば、輸血オーダ一覧510において、「オーダNo.」が「00000001」のオーダのステータス欄では、左から2番目のアイコンに「処理すべき」を示すアイコンが表示されている。これにより、当該オーダに対して、2番目の業務プロセスを処理すべきであることを、ユーザに視覚的、直感的に把握させることができる。
【0055】
なお、一覧表示部301は、上記以外の表示形態により、ステータス欄に、一連の業務プロセスの進捗状況を表示させることができる。たとえば、図5に示すように、ステータス欄には、業務プロセス「製剤使用返納」において製剤が使用されたことを示す「使用」、製剤が返納されたことを示す「返納」、オーダが中止されたことを示す「中止」を、ボタン形式で表示させることができる。これらのボタンをユーザが押下した場合、医療情報処理装置110は、該オーダの状況をユーザが確認したことをシステムに通知してもよく、該オーダ行をオーダ一覧表から削除してもよい。
【0056】
画面500には、詳細ステータス欄520が設けられている。詳細ステータス欄520には、表示制御部303の制御により、輸血オーダ一覧510に表示されているオーダのうち、選択されたオーダの進捗状況の詳細情報が表示される。
【0057】
具体的には、詳細ステータス欄520には、一連の業務プロセスを模した5個のボタンが処理順に並べて表示される。各ボタンは、業務プロセス名が記載されている点で、輸血オーダ一覧510のステータス欄に表示されるアイコンと異なる。詳細ステータス欄520においては、処理すべき業務プロセスのボタンと、他の業務プロセスのボタンとが異なる色で表示される。また、それぞれのボタンは、業務プロセスの処理画面へのリンクが設定されており、ボタンが押下されることにより、押下されたアイコンに対応付けられている業務プロセスの処理画面が表示部300に表示される。
【0058】
たとえば、図5に示す例では、輸血オーダ一覧510において、「オーダNo.」が「00000001」のオーダが選択されている。これにより、詳細ステータス欄520には、選択されたオーダに対して処理すべき業務プロセスである「製剤割当」のボタンが、他の業務プロセスのボタンとは異なる色で表示されている。ユーザは、「製剤割当」のボタンを押下することにより、業務プロセス「製剤割当」の処理画面を表示部300に表示させることができる。
【0059】
また、画面500には、製剤在庫欄530が設けられている。製剤在庫欄530には、表示制御部303の制御により、サーバ120から取得した製剤の在庫情報が表示される。輸血オーダ一覧510においては、ステータス、血液型、または製剤名による、ソートが可能である。これにより、ユーザは、製剤の必要量と在庫量とを容易に対比することができるので、当日の業務での準備作業の効率化が図れ、発注作業の予測が容易となる。
【0060】
つぎに、表示部300に表示された業務プロセスの処理画面の一例について説明する。図6は、表示部300に表示された業務プロセスの処理画面の一例を示す図である。図6において、画面600は、表示部300に表示された画面であって、「オーダNo.」が「00000001」のオーダに対する、業務プロセス「製剤割当」の処理画面である。
【0061】
たとえば、画面600は、図5に示した画面500において、「オーダNo.」が「00000001」のオーダが選択されている状態から、「製剤割当」のアイコンが選択されることにより、表示制御部303の制御によって表示部300に表示される。このとき、画面600には、該オーダに関する情報が、図5に示した画面500から自動的に継承される。これにより、ユーザの入力操作を軽減させることができるので、ユーザの入力ミスを回避することができる。
【0062】
画面600において必要な処理がおこなわれた後、登録ボタン602が押下されることにより、医療情報処理装置110は、サーバ120に該オーダの処理内容を送信する。これにより、サーバ120は、該オーダのステータス情報を「製剤払出」から「製剤使用返納」へ更新する。医療情報処理装置110は、画面500を表示する都度、ステータス情報をサーバ120から取得することにより、常に最新のステータス情報を表示することができる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の医療情報処理装置110によれば、オーダ情報の一覧が表示されている状態から、選択されたオーダに対し処理すべき業務プロセスの処理画面をダイレクトに表示することができる。これにより、ユーザに、オーダの進捗状況に応じて、処理すべき業務プロセスを特定させたり、処理すべき業務プロセスの処理画面をメニューなどから選択して表示させたりすることなく、処理すべき業務プロセスの処理画面を表示することができる。したがって、ユーザに大きな負担をかけることなく一連の業務プロセスを処理することができる。
【0064】
また、本実施形態の医療情報処理装置110によれば、オーダの進捗状況が簡易的に表示されているオーダ情報の一覧を表示しているので、個別のオーダの進捗状況および処理すべきオーダ全体としての進捗状況をユーザに視覚的、直感的に把握させることができる。
【0065】
また、本実施形態の医療情報処理装置110によれば、オーダ情報の一覧が表示されている状態から、選択されたオーダの進捗状況の詳細情報を視覚的、直感的に表示することができるので、ユーザに大きな負担をかけることなく、選択されたオーダの進捗状況をより具体的にユーザに把握させることができる。
【0066】
また、本実施形態の医療情報処理装置110によれば、オーダ情報の一覧が表示されている状態から、選択されたオーダに必要な資材およびその在庫状況をダイレクトに表示することができるので、ユーザに大きな負担をかけることなく、選択されたオーダに必要な製剤や試薬の調達計画の立案や準備に有用な情報をユーザに提供することができる。
【0067】
また、本実施形態の医療情報処理装置110によれば、複数のオーダを並列で処理しているとき、個別オーダで実施すべき業務プロセスの処理画面へのナビゲーション支援を提供することで、一連の業務プロセスを処理できる。また、処理すべき業務プロセスの全容を容易に把握することができるので、計画的に一連の業務プロセスを処理することができる。さらに、全オーダを処理するために必要な製剤や試薬の必要量と在庫量との照合を容易におこなうことができるため、あらかじめ追加発注などの前準備をしておくことができるので、効率よく一連の業務プロセスを処理することができる。この発明は、例えば、血液製剤を利用する採血施設等に適用することができる。
【0068】
なお、本実施の形態で説明した医療情報処理方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、RAM、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録され、コンピュータによって記憶媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明にかかる医療情報処理装置、医療情報処理方法、および医療情報処理プログラムは、医療情報を処理する医療情報処理システムにおいて有用であり、特に、一連の業務プロセスのオーダの進捗状況を一覧表示する医療情報処理システムへの利用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施の形態にかかる医療情報処理システムのシステム構成の一例を示す説明図である。
【図2】本実施の形態にかかる医療情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態にかかる医療情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図4】一覧表示部によるオーダ情報の一覧を表示する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】表示部に表示されたオーダ情報の一覧の一例を示す図である。
【図6】表示部に表示された業務プロセスの処理画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
100 医療情報処理システム
110 医療情報処理装置
120 サーバ
130 検査装置
140 上位システム
150 ネットワーク
200 バス
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 HDD
205 HD
206 ディスプレイ
207 ネットワークI/F
208 キーボード
209 マウス
300 表示部
301 一覧表示部
302 選択部
303 表示制御部
500 画面
510 輸血オーダ一覧
520 詳細ステータス欄
600 画面
602 登録ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の業務プロセスを処理する医療情報処理装置であって、
前記一連の業務プロセスの進捗状況を含むオーダ情報の一覧を表示部に表示させる一覧表示手段と、
前記一覧の中から、任意の前記オーダ情報の選択を受け付ける選択手段と、
任意の前記オーダ情報が選択されたことに応じて、選択された前記オーダ情報によって特定されるオーダの前記進捗状況に応じた業務プロセスの処理画面を、前記表示部に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする医療情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、
前記進捗状況が簡易的に示されている前記一覧を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の医療情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
任意の前記オーダ情報が選択されたことに応じて、選択された前記オーダ情報によって特定されるオーダの前記進捗状況の詳細情報を、前記表示部にさらに表示させることを特徴とする請求項2に記載の医療情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、
任意の前記オーダ情報が選択されたことに応じて、選択された前記オーダ情報によって特定されるオーダの前記進捗状況が前記一連の業務プロセスの構造を模した複数のボタンで示されている前記詳細情報を前記表示部にさらに表示させ、
前記詳細情報に示されている前記複数のボタンのいずれかが押下されたことに応じて、押下された前記ボタンに対応付けられている業務プロセスの処理画面であって、選択された前記オーダ情報によって特定されるオーダの前記進捗状況に応じた業務プロセスの処理画面を、前記表示部に表示させることを特徴とする請求項3に記載の医療情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、
前記一連の業務プロセスに用いられる複数の種類の資材のそれぞれの在庫状況と、前記一覧に表示されている全てのオーダに必要な資材およびその必要量とを、前記表示部にさらに表示させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医療情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、
前記一連の業務プロセスに用いられる複数の種類の資材のそれぞれの在庫状況と、選択された前記オーダ情報によって特定される一または複数のオーダに必要な資材およびその必要量とを、前記表示部にさらに表示させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の医療情報処理装置。
【請求項7】
一連の業務プロセスを処理する医療情報処理方法であって、
前記一連の業務プロセスの進捗状況を含む前記オーダ情報の一覧を表示部に表示させる一覧表示工程と、
前記一覧の中から、任意の前記オーダ情報の選択を受け付ける選択工程と、
任意の前記オーダ情報が選択されたことに応じて、選択された前記オーダ情報によって特定されるオーダの前記進捗状況に応じた業務プロセスの処理画面を、前記表示部に表示させる表示制御工程と、
を含むことを特徴とする医療情報処理方法。
【請求項8】
一連の業務プロセスを処理する医療情報処理プログラムであって、
前記一連の業務プロセスの進捗状況を含む前記オーダ情報の一覧を表示部に表示させる一覧表示工程と、
前記一覧の中から、任意の前記オーダ情報の選択を受け付ける選択工程と、
任意の前記オーダ情報が選択されたことに応じて、選択された前記オーダ情報によって特定されるオーダの前記進捗状況に応じた業務プロセスの処理画面を、前記表示部に表示させる表示制御工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする医療情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−92213(P2010−92213A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260668(P2008−260668)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(591258484)株式会社エイアンドティー (23)