説明

医療機関評価装置及び医療機関評価プログラム

【課題】DPC方式の請求情報に基づく各種の指標を算定し、複数の医療機関の指標を相互に比較することを可能とする、医療機関評価装置及び医療機関評価プログラムを提供すること。
【解決手段】医療機関評価装置1は、医療機関特定情報と、患者数特定情報と、在院日数特定情報と、病名特定情報とを、相互に関連付けて構成された医療機関評価情報を格納する医療機関評価情報DB11と、患者数特定情報、在院日数特定情報、又は病名特定情報に基づいて、各医療機関の評価を行うための医療機関評価値を算定する医療機関評価値算定部22と、医療機関評価値を、選択された2つ以上の医療機関の相互間で対比可能となるように、所定の出力手段を介して出力するように制御する出力制御部23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関を評価するための医療機関評価装置及び医療機関評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や診療所等の医療機関の経営状態やサービス品質を客観的に把握するためには、医療機関に関する様々な指標を正確に把握することが必要になる。特に、医療機関の経営状態やサービス品質の優劣を判断するためには、判断対象となっている医療機関の指標のみでなく、他の医療機関の指標についても把握し、これら各医療機関の指標を相対的に比較することが必要になる。例えば、特定の医療機関の経営状態を把握する場合、当該特定の医療機関における病床稼働率を絶対的数値として把握するだけではなく、当該特定の医療機関が所在する県における他の医療機関の病床稼働率との大小関係を把握することで、当該特定の医療機関の病床稼働率の優劣を判断することが可能となる。
【0003】
このような複数の医療機関の各々に関して各種の指標を算定するためには、複数の医療機関に関するデータを相互に比較可能な内容で取得する必要がある。しかしながら、従来は、このようなデータを取得するシステムが構築されていなかったことから、結果として、医療機関の経営状態やサービス品質を客観的に把握することが困難であった。
【0004】
例えば、従来、病院や診療所等の医療機関が、健康保険組合等の保険者に請求する診療報酬を算定するための算定方式としては、いわゆる出来高方式が採用されていた。出来高方式とは、診療を行った検査や投薬等の内容に応じて診療報酬が加算される方式であり、各医療機関が診療報酬明細書(レセプト)を保険者に提示することによって診療報酬の請求が行われるものである。この診療報酬明細書には、疾患名、薬剤名、検査名等の情報が含まれているため、この診療報酬明細書の情報を使用して、各医療機関に関する様々な指標を算定することも考えられるが、疾患名と薬剤名が相互に対応付けられていない等、指標を正確に算定する上では問題が多かった。そこで、このような問題点を補うため、統計解析手法を使用して診療行為別費用を算定する分析システムも提案されていたが(例えば、特許文献1参照)、依然として算定の正確性を保証できるものではなく、複数の医療機関を相互に比較することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−175725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上述の出来高方式によって診療報酬を算定する場合には、無駄な検査や投薬等を行うことで診療報酬が増大する可能性があることが指摘されていたため、近年では、診療報酬の算定方式として、出来高方式に変えて、DPC(診断群分類別包括評価:Diagnosis Procedure Combination)方式が導入されつつある。DPC方式とは、病名毎及び治療方法毎に定められた費用に基づいて診療報酬を算定する方式であり、同一の病気を同じ方法で治療する場合には、検査や投薬の回数や量に関わらず同額の診療報酬しか請求できないため、少ない検査や投薬で治療する程、医療機関の利益が増えることになり、医療行為の効率化が促進されることが期待されている。
【0007】
そして、本願発明者は、DPC方式が普及することに伴い、医療機関に関する様々な指標を正確に把握することができるようになる可能性を見出した。すなわち、DPC方式においては、各医療機関が、DPC方式のための所定のフォーマットに合致した請求情報を保険者に提示することになっており、この請求情報には、各医療機関に関する様々な指標を算定するために使用可能な基礎的なデータが含まれているので、複数の医療機関に関するデータを相互に比較可能な内容で取得することが可能になることを見出した。しかしながら、DPC方式の請求情報に基づく各種の指標の算定を行うシステム自体はこれまでに提案されておらず、特に、複数の医療機関の指標を相互に比較するためのシステムは存在しなかった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、DPC方式の請求情報に基づく各種の指標を算定し、複数の医療機関の指標を相互に比較することを可能とする、医療機関評価装置及び医療機関評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の医療機関評価装置は、複数の医療機関の各々を特定するための医療機関特定情報と、前記複数の医療機関の各々における入院患者の患者数を特定するための患者数特定情報と、前記複数の医療機関の各々における入院患者の在院日数を特定するための在院日数特定情報と、前記複数の医療機関の各々における入院患者の病名を特定するための病名特定情報とを、相互に関連付けて構成された医療機関評価情報を格納する医療機関評価情報格納手段と、前記複数の医療機関の中で評価対象とする2つ以上の医療機関が所定方法で選択された場合に、当該選択された各医療機関の医療機関特定情報に対応する前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、又は前記病名特定情報の少なくとも一つを前記医療機関評価情報格納手段から取得し、当該取得した前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、又は前記病名特定情報に基づいて、前記選択された各医療機関の評価を行うための医療機関評価値を算定する医療機関評価値算定手段と、前記医療機関評価値算定手段にて算定された各医療機関の前記医療機関評価値を、前記選択された2つ以上の医療機関の相互間で対比可能となるように、所定の出力手段を介して出力するように制御する出力制御手段とを備える。
【0010】
請求項2に記載の医療機関評価装置は、請求項1に記載の医療機関評価装置において、前記医療機関評価値算定手段は、前記選択された各医療機関の医療機関特定情報に対応する前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、及び前記病名特定情報を前記医療機関評価情報格納手段から取得し、当該取得した前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、及び前記病名特定情報に基づいて、当該選択された各医療機関における平均在院日数とベッド当たり患者数とを算定し、前記出力制御手段は、平均在院日数又はベッド当たり患者数の一方を縦軸にすると共に、平均在院日数又はベッド当たり患者数の他方を横軸にするグラフであって、ベッド当たり患者数に関連付けて表示された病床稼働率を含むグラフに、前記選択された各医療機関における平均在院日数とベッド当たり患者数であって、前記医療機関評価値算定手段にて算定された平均在院日数とベッド当たり患者数を表示するように制御を行う。
【0011】
請求項3に記載の医療機関評価装置は、請求項2に記載の医療機関評価装置において、前記医療機関評価情報格納手段に格納されている前記医療機関評価情報は、前記複数の医療機関の各々における入院患者の在院タイミングを特定するための在院タイミング特定情報を、前記医療機関特定情報、前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、及び前記病名特定情報に関連付けて構成され、前記医療機関評価値算定手段は、前記複数の医療機関の中で評価対象とする2つ以上の医療機関が所定方法で選択されると共に、評価対象とする在院タイミングが所定方法で選択された場合に、当該選択された各医療機関の医療機関特定情報及び当該選択された在院タイミングに対応する前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、及び前記病名特定情報を前記医療機関評価情報格納手段から取得し、当該取得した前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、及び前記病名特定情報に基づいて、当該選択された各医療機関における平均在院日数とベッド当たり患者数とを算定し、前記出力制御手段は、前記選択された各医療機関及び前記選択された在院タイミングにおける平均在院日数とベッド当たり患者数であって、前記医療機関評価値算定手段にて算定された平均在院日数とベッド当たり患者数を前記グラフに表示する際、前記医療機関評価値算定手段にて以前に算定された平均在院日数とベッド当たり患者数であって、当該選択された在院タイミングとは異なる在院タイミングにおける平均在院日数とベッド当たり患者数が当該グラフに表示されている場合には、当該以前に算定された平均在院日数とベッド当たり患者数から、当該算定された平均在院日数とベッド当たり患者数に至る軌跡が視認可能となるように、当該算定された平均在院日数とベッド当たり患者数を表示するように制御を行う。
【0012】
請求項4に記載の医療機関評価装置は、請求項1から3のいずれか一項に記載の医療機関評価装置において、前記医療機関評価値算定手段は、前記選択された各医療機関の医療機関特定情報に対応する前記患者数特定情報及び前記病名特定情報を前記医療機関評価情報格納手段から取得し、当該取得した前記患者数特定情報及び前記病名特定情報に基づいて、当該選択された各医療機関における病名毎の患者数を算定し、前記出力制御手段は、前記医療機関評価値算定手段にて算定された各医療機関における病名毎の患者数を表示するように制御を行う。
【0013】
請求項5に記載の医療機関評価装置は、請求項4に記載の医療機関評価装置において、前記医療機関評価情報格納手段に格納されている前記医療機関評価情報は、前記複数の医療機関の各々において入院患者に対して行った手術の術式を特定するための術式特定情報を、前記医療機関特定情報、前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、及び前記病名特定情報に関連付けて構成され、前記医療機関評価値算定手段は、前記選択された各医療機関の医療機関特定情報に対応する前記患者数特定情報、前記病名特定情報、及び前記術式特定情報を前記医療機関評価情報格納手段から取得し、当該取得した前記患者数特定情報、前記病名特定情報、及び前記術式特定情報に基づいて、当該選択された各医療機関における病名毎及び術式毎の患者数を算定し、前記出力制御手段は、前記医療機関評価値算定手段にて算定された各医療機関における病名毎及び術式毎の患者数を表示するように制御を行う。
【0014】
請求項6に記載の医療機関評価プログラムは、複数の医療機関の各々を特定するための医療機関特定情報と、前記複数の医療機関の各々における入院患者の患者数を特定するための患者数特定情報と、前記複数の医療機関の各々における入院患者の在院日数を特定するための在院日数特定情報と、前記複数の医療機関の各々における入院患者の病名を特定するための病名特定情報とを、相互に関連付けて構成された医療機関評価情報を格納する医療機関評価情報格納手段、を備えるコンピュータに実行させるプログラムであって、前記コンピュータを、前記複数の医療機関の中で評価対象とする2つ以上の医療機関が所定方法で選択された場合に、当該選択された各医療機関の医療機関特定情報に対応する前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、又は前記病名特定情報の少なくとも一つを前記医療機関評価情報格納手段から取得し、当該取得した前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、又は前記病名特定情報に基づいて、前記選択された各医療機関の評価を行うための医療機関評価値を算定する医療機関評価値算定手段と、前記医療機関評価値算定手段にて算定された各医療機関の前記医療機関評価値を、前記選択された2つ以上の医療機関の相互間で対比可能となるように、所定の出力手段を介して出力するように制御する出力制御手段ととして機能させる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の医療機関評価装置又は請求項6に記載の医療機関評価プログラムによれば、各医療機関の医療機関評価値を、2つ以上の医療機関の相互間で対比可能となるように、所定の出力手段を介して出力させるので、複数の医療機関の指標を相互に比較することが可能となり、特にDPC方式の請求情報に基づく各種の指標を算定して有効に活用することが可能となる。
【0016】
また、請求項2に記載の医療機関評価装置によれば、平均在院日数又はベッド当たり患者数の一方を縦軸にすると共に、平均在院日数又はベッド当たり患者数の他方を横軸にするグラフであって、ベッド当たり患者数に関連付けて表示された病床稼働率を含むグラフに、選択された各医療機関における平均在院日数とベッド当たり患者数を表示させるので、医療機関の経営状態を評価するための重要な指標である平均在院日数、ベッド当たり患者数、及び病床稼働率を、一つのグラフ内において、複数の医療機関の相互間で比較することができるので、複数の医療機関の経営状態の優劣を、容易かつ正確に、しかも視覚により直感的に、把握することが可能となり、医療機関の経営状態を一層簡易かつ正確に評価することが可能となる。
【0017】
また、請求項3に記載の医療機関評価装置によれば、以前に算定された平均在院日数とベッド当たり患者数から、新しく算定された平均在院日数とベッド当たり患者数に至る軌跡が視認可能となるように、当該新しく算定された平均在院日数とベッド当たり患者数が表示されるので、単に、新しく算定された平均在院日数とベッド当たり患者数のみを表示する場合に比べて、平均在院日数と1ベッド当たりの患者数の変化状態を正確かつ容易に把握することが可能となる。
【0018】
また、請求項4に記載の医療機関評価装置によれば、各医療機関における病名毎の患者数が表示されるので、医療機関のサービス品質(より具体的には、病名毎の治療等の経験数に起因する品質)を評価するための重要な指標である患者数を、一つのグラフ内において、複数の医療機関の相互間で比較することができるので、複数の医療機関のサービス品質の優劣を、容易かつ正確に、しかも視覚により直感的に、把握することが可能となり、医療機関のサービス品質を一層簡易かつ正確に評価することが可能となる。
【0019】
また、請求項5に記載の医療機関評価装置によれば、各医療機関における病名毎及び術式毎の患者数が表示されるので、医療機関のサービス品質(より具体的には、病名毎及び術式毎の治療等の経験数に起因する品質)を評価するための重要な指標である患者数を、一つのグラフ内において、複数の医療機関の相互間で比較することができるので、複数の医療機関のサービス品質の優劣を、容易かつ正確に、しかも視覚により直感的に、把握することが可能となり、医療機関のサービス品質を一層簡易かつ正確に評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る医療機関評価装置の全体構成を概念的に示す説明図である。
【図2】医療機関評価情報の構成例を示す図である。
【図3】医療機関情報の構成例を示す図である。
【図4】MDC疾患分類情報の構成例を示す図である。
【図5】DPC疾患分類情報の構成例を示す図である。
【図6】術式情報の構成例を示す図である。
【図7】経営状態評価処理のフローチャートである。
【図8】医療機関評価画面の表示例を示す図であり、平均在院日数と1ベッド当たりの患者数を病床稼働率に関連付けて表示する表示例を示す図である。
【図9】表示記号の軌跡の表示例を示す図である。
【図10】サービス品質評価処理のフローチャートである。
【図11】医療機関評価画面の表示例を示す図であり、MDC疾患分類毎の手術の件数を表示する表示例を示す図である。
【図12】医療機関評価画面の表示例を示す図であり、DPC疾患分類毎の手術の件数を表示する表示例を示す図である。
【図13】医療機関評価画面の表示例を示す図であり、術式毎の手術の件数を表示する表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る医療機関評価装置及び医療機関評価プログラムの実施の形態について詳細に説明する。最初に、医療機関評価装置の概要について説明し、次に、医療機関評価装置の構成を説明し、この医療機関評価装置によって実行される処理(医療機関評価プログラム及び医療機関評価方法の内容)について説明し、最後に、変形例を説明する。
【0022】
〔概要〕
この実施の形態に係る医療機関評価装置及び医療機関評価プログラムは、DPC方式の請求情報に基づく各種の指標を算定し、複数の医療機関の指標を相互に比較することを可能にするものである。ここで、指標とは、評価対象として選択された各医療機関の評価(経営状態の評価や、サービス品質の評価を含む)を行うための医療機関評価値であるものとする。医療機関評価値としては、例えば、病床稼働率、平均在院日数、1ベッド当たりの患者数、手術件数、月末病床利用率、1日平均患者数、外来入院比率、入退院患者数、入院患者単価、入院延患者数、あるいは、診療行為別収入を挙げることができる。本実施の形態では、各医療機関の経営状態の評価を行うための医療機関評価値として、三大経営指標と称される病床稼働率(病床利用率)、平均在院日数、及び1ベッド当たりの患者数のうち、平均在院日数及び1ベッド当たりの患者数を算定し、当該平均在院日数及び1ベッド当たりの患者数を、病床稼働率に関連付けて出力する。また、本実施の形態では、各医療機関のサービスの品質(特に、手術の技術品質)の評価を行うための医療機関評価値として、手術の件数を算定等するものとする。
【0023】
〔構成〕
図1は、医療機関評価装置1の全体構成を概念的に示す説明図である。医療機関評価装置1は、医療機関を評価するための装置であって、機能概念的に、記憶部10、制御部20、入力部30、出力部40、及び入出力インターフェース(以下、インターフェースは「IF」)50を、バスにて相互に通信可能に接続して構成されている。
【0024】
記憶部10は、各種処理に必要な情報やパラメータを不揮発的に格納する格納手段であり、例えば、HD(Hard Disk)にて構成される。具体的には、この記憶部10は、機能概念的に、医療機関評価情報データベース(以下、データベースは「DB」)11、医療機関情報DB12、MDC疾患分類情報DB13、DPC疾患分類情報DB14、及び術式情報DB15を備える。これら各DBに格納される情報については後述する。
【0025】
制御部20は、医療機関評価装置1の各部を制御する制御手段であり、機能概念的に、医療機関評価情報取得部21と、医療機関評価値算定部22と、出力制御部23とを備える。医療機関評価情報取得部21は、医療機関評価情報を取得する医療機関評価情報取得手段である。医療機関評価値算定部22は、各医療機関の評価を行うための医療機関評価値を算定する医療機関評価値算定手段である。出力制御部23は、医療機関評価値算定部22にて算定された各医療機関の医療機関評価値を出力するように制御する出力制御手段である。この制御部20は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)や、このCPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの制御プログラムや、各種の処理手順などを規定したプログラム)、及び、所要プログラムや所要データを格納するためのキャッシュメモリを備えて構成される。このCPU上で解釈実行される各種のプログラムには医療機関評価プログラムが含まれ、この医療機関評価プログラムは、例えば、CD−ROMやDVDを含む任意の記憶媒体に記憶された後、インストールされて記憶部10に不揮発的に記憶され、CPUにて解釈実行されることで制御部20の実質的機能を構成する。
【0026】
入力部30は、医療機関評価装置1に対する各種の情報の入力を受け付ける入力手段であり、ここでは、図示しないキーボード及びマウスを含んで構成されている。
【0027】
出力部40は、医療機関評価装置1から各種の情報を出力する出力手段であり、ここでは、図示しないモニタを含んで構成されている。
【0028】
入出力IF50は、インターネットの如き図示しないネットワークを介した通信を行うための通信手段であり、例えばネットワークボードとして構成される。この入出力IF50を介して所定のサーバからの情報入力の受け付けが行われることから、当該入出力IF50は、入力部30と同様に、入力手段を構成する。また、この入出力IF50を介して各種の情報の出力が行われることから、当該入出力IF50は、出力部40と同様に、出力手段を構成する。
【0029】
次に、医療機関評価装置1の各DBに格納される情報の具体的内容について説明する。ただし、以下の構成例では本実施の形態に係る情報のみを格納する例を示し、実際には以下に説明する情報以外の任意の情報を各DBに格納することができ、あるいは一部の情報については適宜省略することもある。また、各DBに格納される情報のうち、同一名称の情報については、特記する場合を除いて相互に同一の内容であるものとし、重複説明は行わないものとする。
【0030】
医療機関評価情報DB11は、医療機関評価情報を格納する医療機関評価情報格納手段である。医療機関評価情報とは、複数の医療機関を評価するための情報であり、例えば、複数の医療機関の各々の経営状態を把握するための指標を算定するために必要な基礎情報である。この医療機関評価情報は、図2に例示するように、項目「年度」、項目「医療機関ID」、項目「MDC疾患分類コード」、項目「DPC疾患分類コード」、項目「術式コード」、項目「患者数」、及び項目「在院日数」と、これら各項目に対応する情報を相互に関連付けて構成されている。
【0031】
項目「年度」に対応する情報は、複数の医療機関の各々における入院患者の在院タイミングを特定するための在院タイミング特定情報であり、ここでは年度(各年の4月1日から翌年の3月31日まで)を示す数値情報である。ここで、在院タイミングとは、入院患者が医療機関を退院した日を意味しており、例えば、2007年3月20日に入院し、2007年4月2日に退院した場合には、在院タイミングは2007年(年度)となる。項目「医療機関ID」に対応する情報は、複数の医療機関の各々を特定するための医療機関特定情報であり、ここでは、各医療機関を一意に特定するために付与された医療機関IDである。項目「MDC疾患分類コード」に対応する情報と、項目「DPC疾患分類コード」に対応する情報とは、複数の医療機関の各々における入院患者の病名を特定するための病名特定情報を構成する。このうち、項目「MDC疾患分類コード」に対応する情報は、所定のMDC疾患分類により定められたコード(MDC疾患分類コード)であり、具体的には、所定の1〜18分類のいずれかとなる。項目「DPC疾患分類コード」に対応する情報は、所定のDPC疾患分類により定められたコード(DPC疾患分類コード)であり、具体的には、各MDC疾患分類コードに対して設定された約200種類のコードである。これらMDC疾患分類コードとDPC疾患分類コードの組み合わせにより、入院患者の病名が一意に特定される。項目「術式コード」に対応する情報は、複数の医療機関の各々において入院患者に対して行った手術の術式を特定するための術式特定情報であり、ここでは、手術の術式を一意に特定するためのコード(術式コード)であるが、手術が行われなかった場合には他の所定のコードが含まれる。項目「患者数」に対応する情報は、複数の医療機関の各々における入院患者の患者数を特定するための患者数特定情報であり、ここでは、患者数を示す数値情報である。項目「在院日数」に対応する情報は、複数の医療機関の各々における入院患者の在院日数を特定するための在院日数特定情報であり、ここでは、在院日数を示す数値情報である。
【0032】
このような医療機関評価情報は、医療機関評価装置1のユーザが入力部30を介して医療機関評価情報DB11に入力することもできるが、ここでは、後述する医療機関評価情報取得処理において、図示しない公的機関のサーバのDBに格納された医療機関評価情報を、入出力IF50を介してネットワーク経由にて任意のタイミングで取得し、医療機関評価情報DB11に格納するものとする。
【0033】
医療機関情報DB12は、医療機関情報を格納する医療機関情報格納手段である。医療機関情報とは、医療機関の属性情報であり、図3に例示するように、項目「医療機関ID」、項目「医療機関名」、項目「住所」、及び項目「ベッド数」と、これら各項目に対応する情報を相互に関連付けて構成されている。項目「医療機関ID」に対応する情報は、図2の同一項目名に対応する情報と同じである。項目「医療機関名」に対応する情報は、医療機関の名称である。項目「住所」に対応する情報は、医療機関の住所である。項目「ベッド数」に対応する情報は、医療機関において患者が入院した際に使用可能なベッドの総数(病床数)である。
【0034】
MDC疾患分類情報DB13は、MDC疾患分類情報を格納するMDC疾患分類情報格納手段である。MDC疾患分類情報とは、所定のMDC疾患分類に関する情報であり、図4に例示するように、項目「MDC疾患分類コード」及び項目「MDC疾患分類名」と、これら各項目に対応する情報を相互に関連付けて構成されている。項目「MDC疾患分類コード」に対応する情報は、図2の同一項目名に対応する情報と同じである。項目「MDC疾患分類名」に対応する情報は、所定のMDC疾患分類における分類名である。
【0035】
DPC疾患分類情報DB14は、DPC疾患分類情報を格納するDPC疾患分類情報格納手段である。DPC疾患分類情報とは、所定のDPC疾患分類に関する情報であり、図5に例示するように、項目「MDC疾患分類コード」、項目「DPC疾患分類コード」、及び項目「DPC疾患分類名」と、これら各項目に対応する情報を相互に関連付けて構成されている。項目「MDC疾患分類コード」と項目「DPC疾患分類コード」に対応する情報は、図2の同一項目名に対応する情報と同じである。項目「DPC疾患分類名」に対応する情報は、所定のDPC疾患分類における分類名である。
【0036】
術式情報DB15は、術式情報を格納する術式情報格納手段である。術式情報とは、手術の術式に関する情報であり、図6に例示するように、項目「DPC疾患分類コード」、項目「術式コード」、及び項目「術式名」と、これら各項目に対応する情報を相互に関連付けて構成されている。項目「DPC疾患分類コード」及び項目「術式コード」に対応する情報は、図2の同一項目名に対応する情報と同じである。項目「術式名」に対応する情報は、手術の術式の名称である。
【0037】
〔処理〕
次に、医療機関評価装置1において医療機関評価プログラムを実行すること等によって行われる医療機関評価処理について説明する。この医療機関評価処理は、医療機関評価情報取得処理と、経営状態評価処理と、サービス品質評価処理とに大別される。以下、これら各処理を順次説明する。なお、ステップは「S」と略記する。
【0038】
以下の本処理の説明において、制御主体を特記しない処理については、医療機関評価装置1の制御部20にて実行されるものとし、情報の取得元や取得経路を特記しない場合については、公知のタイミング及び公知の方法にて、医療機関評価装置1の記憶部10に予め格納されており、あるいは、入力部30を介して医療機関評価装置1のユーザによって入力されるものとする。
【0039】
(処理−医療機関評価情報取得処理)
最初に、医療機関評価情報取得処理について説明する。この医療機関評価情報取得処理は、医療機関評価情報を取得するための処理であり、具体的には、図示しない公的機関の医療機関評価情報提供サーバに格納された医療機関評価情報を、入出力IF50を介してネットワーク経由にて任意のタイミングで取得し、医療機関評価情報DB11に格納する処理である。すなわち、ここでは、全国の各医療機関から保険者に提出されたDPC方式の請求情報が、公的機関の医療機関評価情報提供サーバのDBに所定フォーマットで一元的に格納され公開されていることを前提としている。
【0040】
このような前提において、ユーザが医療機関評価情報提供サーバの入力部30を介して所定方法で医療機関評価情報提供サーバにアクセスし、請求情報のダウンロードを公知のプロトコルにて要求すると、医療機関評価情報提供サーバから請求情報が医療機関評価装置1に送信される。医療機関評価情報取得部21は、このように送信された請求情報を、医療機関評価情報DB11に格納する。この際、医療機関評価情報取得部21は、請求情報の所定フォーマットに基づいて、当該請求情報の中から医療機関評価情報のみを抽出して、医療機関評価情報DB11に格納する。あるいは、医療機関評価情報取得部21は、単に、全ての請求情報を医療機関評価情報として医療機関評価情報DB11に格納してもよい。これにて医療機関評価情報取得処理が終了する。
【0041】
(処理−経営状態評価処理)
次に、経営状態評価処理について説明する。この経営状態評価処理は、各医療機関の経営状態の評価を行うための医療機関評価値として、三大経営指標と称される病床稼働率、平均在院日数、及び1ベッド当たりの患者数を算定して出力するための処理(病床稼働率等出力処理)である。図7は、経営状態評価処理のフローチャートである。
【0042】
ユーザが入力部30を介して所定方法で医療機関評価画面の表示を指示すると、制御部20は、医療機関評価画面を生成してモニタに表示させる。図8には、この医療機関評価画面の表示例を示す。この医療機関評価画面は、「医療機関選択タブ」M1、「疾患選択タブ」M2、及び「情報表示エリア」M3を含んで構成されている。医療機関選択タブM1は、評価対象とする医療機関を選択するためのタブであり、疾患選択タブM2は、評価対象とする疾患を選択するためのタブであり、情報表示エリアM3は、評価情報を表示するためのエリアであり、医療機関選択タブM1が選択されている場合と、疾患選択タブM2が選択されている場合とで、異なる情報を表示する。
【0043】
この経営状態評価処理においては、ユーザは、医療機関選択タブM1を入力部30を介して選択する。この医療機関選択タブM1は、「地域選択エリア」M4と、「医療機関選択エリア」M5を含んで構成されている。地域選択エリアM4は、評価対象とする医療機関の所在地域を選択するためのエリアであり、地方を選択するための地方選択エリアM6、県名を選択するための県名選択エリアM7、及び市区町村を選択するための市区町村選択エリアM8を含んで構成されている。これら「地方選択エリア」M6、「県名選択エリア」M7、及び「市区町村選択エリア」M8には、全国の全ての地方、県名、及び市区町村が予めそれぞれ表示されているが、その時点において医療機関評価情報DB11に含まれている医療機関評価情報から医療機関IDを抽出し、当該抽出した医療機関IDに対応する住所を医療機関情報DB12から抽出して、当該抽出した住所に対応する地方、県名、及び市区町村のみを表示するようにしてもよい。医療機関選択エリアM5には、地域選択エリアM4で選択された地方、県名、及び市区町村に該当する場所に所在する医療機関名が表示される。
【0044】
また、このように医療機関選択タブM1が選択されている場合においては、情報表示エリアM3は、図8に示すように、「凡例表示エリア」M9、「年度選択ボタン」M10、「病院選択ボタン」M11、「評価開始ボタン」M12、及び「グラフ表示エリア」M13を含んで構成される。凡例表示エリアM9は、グラフ表示エリアM13に表示された情報の凡例を表示するエリアである。年度選択ボタンM10は、評価対象とする年度を選択するボタンであり、ここでは、2007年度又は2008年度の各々を示すボタンが設けられている。病院選択ボタンM11は、評価対象とする病院選択を確定するためのボタンである。評価開始ボタンM12は、評価の開始を指示するためのボタンである。グラフ表示エリアM13は、グラフを表示するエリアであり、医療機関評価値としての平均在院日数、1ベッド当たりの患者数、及び病床稼働率を、評価対象として選択された2つ以上の医療機関の相互間で対比可能となるように表示するエリアである。
【0045】
そして、ユーザは、地方選択エリアM6にドロップダウンリスト形式で表示されている地方の中から一つの地方を入力部30を介して選択する。この選択が行われると、制御部20は、当該選択された地方に含まれる県を公知の方法で特定して県名選択エリアM7に表示し、以降同様に、ユーザは、県名と市区町村を入力部30を介して順次選択する。この選択が行われると、制御部20は、このように地方、県、あるいは市区町村が選択される毎に、当該選択された地方、県、あるいは市区町村に含まれる医療機関の医療機関名を医療機関選択エリアM5に表示する。すなわち、制御部20は、医療機関評価情報DB11から全ての医療機関IDを取得し、当該取得した医療機関IDに対応する全ての住所を医療機関情報DB12から取得し、当該住所に基づいて、ユーザによって選択された地方、県、あるいは市区町村に含まれる医療機関を特定し、当該特定した医療機関の医療機関名を医療機関情報DB12から取得して医療機関選択エリアM5にドロップダウンリスト形式で表示する。
【0046】
次いで、ユーザは、医療機関選択エリアM5に表示されている医療機関名の中から、評価対象としたい少なくとも2つ以上の医療機関名を入力部30を介して選択した後、病院選択ボタンM11を入力部30を介して選択する。この操作により、評価対象とする医療機関が固定される。次いで、ユーザは、年度選択ボタンM10を介して、評価対象としたい年度を選択する。そして、ユーザは、入力部30を介して評価開始ボタンM12を選択することで、評価の開始を指示する。
【0047】
このように評価の開始が指示されると(SA1、Yes)、医療機関評価値算定部22は、ユーザによって選択された各医療機関及び年度を対象として、医療機関評価値(ここでは、平均在院日数及び1ベッド当たりの患者数)を算定する。具体的には、医療機関評価値算定部22は、ユーザによって選択された医療機関名に対応する医療機関IDを医療機関情報DB12から取得し、当該取得した医療機関IDと、ユーザによって選択された年度とに対応する医療機関評価情報を医療機関評価情報DB11から取得する。そして、当該取得した医療機関評価情報に基づいて、選択された年度における各医療機関の平均在院日数を算定し(SA2)、1ベッド当たりの患者数を算定する(SA3)。
【0048】
平均在院日数の算定は、例えば、以下の式(1)により行う。ここで、Aiは、医療機関iにおける平均在院日数、Nidは、各医療機関iのDPC病名(DPC疾患分類コードにより特定される病名)dにおける患者数、Aidは、各医療機関iのDPC病名dにおける在院日数、nはDPC病名の数で整数である。すなわち、各医療機関の平均在院日数を、各医療機関のDPC病名毎の患者数と在位日数との積の総和を、各医療機関のDPC病名毎の患者数にて除算することで、算定する。より具体的には、医療機関評価情報DB11から取得した医療機関評価情報の中から、最初の(例えば、数字が最も小さい)医療機関IDに対応する情報を抽出し、当該抽出した情報に含まれる患者数と在院日数の積を、当該抽出した情報に含まれるDPC疾患分類コード毎に算定して、当該算定した患者数と在院日数の積の総和を算定する。また、当該抽出した情報に含まれる患者数の総和を算定する。そして、当該算定した患者数と在院日数の積の総和を、算定した患者数の総和で除算して、当該最初の医療機関IDに対応する医療機関の平均在院日数を算定する。次いで、2番目の(例えば、数字が2番目に小さい)医療機関IDに対応する情報を抽出し、当該抽出した情報に基づいて、最初の場合と同様に、当該2番目の医療機関IDに対応する医療機関の平均在院日数を算定する。以降同様に、最後の(例えば、数字が最も大きい)医療機関IDに対応する情報を抽出し、当該抽出した情報に基づいて、当該最後の医療機関IDに対応する医療機関の平均在院日数を算定して、平均在院日数の算定を終了する。
【0049】
【数1】

【0050】
また、1ベッド当たりの患者数の算定は、例えば、以下の式(2)により行う。ここで、Nbiは、医療機関iにおける1ベッド当たりの患者数、Nidは、各医療機関におけるDPC病名における患者数、Biは、医療機関iにおけるベッド数、nはDPC病名の数で整数である。すなわち、各医療機関の1ベッド当たりの患者数を、各医療機関のDPC病名毎の患者数の総和を、各医療機関のベッド数にて除算することで、算定する。より具体的には、医療機関評価情報DB11から取得した医療機関評価情報の中から、最初の(例えば、数字が最も小さい)医療機関IDに対応する情報を抽出し、当該抽出した情報に含まれるDPC疾患分類コード毎の患者数の総和を算定する。また、当該最初の医療機関IDに対応するベッド数を医療機関情報DB12から取得する。そして、当該算定した患者数の総和を当該取得したベッド数で除算して、当該最初の医療機関IDに対応する医療機関の1ベッド当たりの患者数を算定する。次いで、2番目の(例えば、数字が2番目に小さい)医療機関IDに対応する情報を抽出し、当該抽出した情報に基づいて、最初の場合と同様に、当該2番目の医療機関IDに対応する医療機関の1ベッド当たりの患者数を算定する。以降同様に、最後の(例えば、数字が最も大きい)医療機関IDに対応する情報を抽出し、当該抽出した情報に基づいて、当該最後の医療機関IDに対応する医療機関の1ベッド当たりの患者数を算定して、1ベッド当たりの患者数の算定を終了する。
【0051】
【数2】

【0052】
次いで、出力制御部23は、このように算定された平均在院日数と1ベッド当たりの患者数を、評価対象として選択された2つ以上の医療機関の相互間で対比可能となるように、所定の出力手段(ここでは、出力部40のモニタ)を介して出力する(SA4)。具体的には、出力制御部23は、図8の医療機関評価画面のグラフ表示エリアM13において、横軸を平均在院日数(単位=日)、縦軸を1ベッド当たりの患者数(単位=人)とするグラフを生成し、このグラフ内における、上記算定した平均在院日数と1ベッド当たりの患者数が交差する位置に、評価対象として選択された医療機関を示す情報(ここでは、凡例表示エリアM9に表示された各記号。以下、表示記号)を出力する。例えば、医療機関Xに関して、平均在院日数=10日、1ベッド当たりの患者数=6人であった場合には、横軸における平均在院日数=10日と、縦軸における1ベッド当たりの患者数=6人が交差する位置に、医療機関Xを示す記号を出力する。また、この表示記号の凡例を生成して、凡例表示エリアM9に表示する。このように、評価対象として選択された2つ以上の医療機関の各々の平均在院日数と1ベッド当たりの患者数を示す記号が、同一のグラフに同時に表示されることで、これら2つ以上の医療機関の平均在院日数と1ベッド当たりの患者数の大小関係(優劣関係)を、容易かつ正確に把握することが可能となる。
【0053】
また、出力制御部23は、このグラフにおいて各医療機関の平均在院日数及び1ベッド当たりの患者数を出力する際には、これら平均在院日数及び1ベッド当たりの患者数を、当該各医療機関の病床稼働率に関連付けて出力する。すなわち、グラフには、複数の代表的な病床稼働率(ここでは、20%、40%、60%、80%)を示す曲線(病床稼働率曲線)が、平均在院日数及び1ベッド当たりの患者数に関連付けて描画されているので、これら各病床稼働率曲線に対する表示記号の位置に基づいて、各医療機関の病床稼働率を把握することができる。
【0054】
ここで、出力制御部23は、各病床稼働率曲線を、以下の各式(3)〜(6)により描画する。
病床稼働率が100%の病床稼働率曲線:Nbi=365/Ai ・・式(3)
病床稼働率が80%の病床稼働率曲線 :Nbi=0.8×365/Ai・・式(4)
病床稼働率が60%の病床稼働率曲線 :Nbi=0.6×365/Ai・・式(5)
病床稼働率が40%の病床稼働率曲線 :Nbi=0.4×365/Ai・・式(6)
【0055】
例えば、医療機関Xの表示記号は、病床稼働率=20%を示す病床稼働率曲線と病床稼働率=40%を示す病床稼働率曲線の間に配置されていることから、医療機関Xの病床稼働率は、20%と40%の間であることが分かる。特に、病床稼働率が、各病床稼働率曲線と表示記号との相対的な距離に比例するように、表示記号が描画されているので、これら各病床稼働率曲線に対する表示記号の位置に基づいて、各医療機関の病床稼働率をより詳細に把握することができる。例えば、医療機関Xの表示記号は、病床稼働率=40%を示す病床稼働率曲線の近傍に配置されていることから、医療機関Xの病床稼働率は、20%と40%の間であって、40%の近傍(例えば35〜40%の間)であることが分かる。なお、病床稼働率曲線としては、上記に示した各病床稼働率以外の病床稼働率を示す曲線を描画してもよい。
【0056】
また、出力制御部23は、このように平均在院日数と1ベッド当たりの患者数を出力する際、同一の医療機関に関する平均在院日数と1ベッド当たりの患者数であって、それ以前に算定された平均在院日数と1ベッド当たりの患者数がグラフに表示されているか否かを判定する。例えば、年度選択ボタンにより2007年度が選択され、平均在院日数と1ベッド当たりの患者数が出力されている状態において、次いで、年度選択ボタンにより2008年度が選択され、評価開始ボタンが選択された場合には、それ以前に算定された平均在院日数と1ベッド当たりの患者数がグラフに表示されてものと判定される。そして、表示されている場合には、当該以前に算定された平均在院日数とベッド当たり患者数から、今回算定された平均在院日数とベッド当たり患者数に至る軌跡が視認可能となるように、今回算定された平均在院日数とベッド当たり患者数を表示するように制御を行う。
【0057】
具体的には、出力制御部23は、それ以前に算定された平均在院日数と1ベッド当たりの患者数に対応する表示記号(前回表示記号)の表示位置から、今回算定された平均在院日数とベッド当たり患者数に対応する表示記号(今回表示記号)の表示位置に至る軌跡を算定する。この算定は、例えば、前回表示記号の表示位置と今回表示記号の表示位置とを結ぶ直線として算定する。そして、今回表示記号を、前回表示記号の表示位置からスタートし、当該算定した軌跡を通って、今回表示記号の表示位置に移動するように、表示させる。このような表示の概念を図9に示す(この図9には、説明の便宜上、一つの表示記号の軌跡のみを示しているが、実際には、評価対象として選択されている各医療機関毎の表示記号が同時に移動し、これら各表示記号の軌跡が同時に表示される)。このような表示によれば、ユーザは、今回表示記号の移動開始点(すなわち、前回表示記号の表示位置)と、その推移経路(すなわち、軌跡)と、今回表示記号の移動終了点(すなわち、今回表示記号の表示位置)を、視覚的に正確かつ容易に把握することができ、単に、前回表示記号に代えて今回表示記号を表示する場合に比べて、平均在院日数と1ベッド当たりの患者数の変化状態を正確かつ容易に把握することが可能となる。これにて経営状態評価処理が終了する。
【0058】
(処理−サービス品質評価処理)
最後に、サービス品質評価処理について説明する。このサービス品質評価処理は、各医療機関のサービスの品質(特に、手術の技術品質)の評価を行うための医療機関評価値として、手術件数を算定して出力するための処理である。図10は、サービス品質評価処理のフローチャートである。
【0059】
ユーザが入力部30を介して所定方法で医療機関評価画面の表示を指示すると、制御部20は、図8の医療機関評価画面を生成してモニタに表示させる。この手術件数出力処理においては、ユーザは、医療機関選択タブM1を入力部30を介して選択し、経営状態評価処理の場合と同様に、評価対象とする2つ以上の医療機関を選択する。この状態の医療機関評価画面を図11に示す。
【0060】
次いで、ユーザは、疾患選択タブM2を入力部30を介して選択する。この疾患選択タブM2は、「MDC疾患選択エリア」M14、「DPC疾患選択エリア」M15、及び「術式表示エリア」M16を含んで構成されている。MDC疾患選択エリアM14は、MDC疾患分類に基づいて、疾患を選択するためのエリアであり、DPC疾患選択エリアM15は、MDC疾患選択エリアM14で選択されたMDC疾患分類に対応するDPC疾患分類に基づいて、疾患を選択するためのエリアである。術式表示エリアM16は、DPC疾患選択エリアM15で選択された術式に対応する術式コード及び術式名を表示するエリアである。MDC疾患選択エリアM14には、全てのMDC疾患分類コードとMDC疾患分類名が予め表示され、DPC疾患選択エリアM15には、全てのDPC疾患分類コードとDPC疾患分類名が予め表示されているが、その時点において医療機関評価情報DB11に含まれている医療機関評価情報からMDC疾患分類コード及びDPC疾患分類コードを抽出し、当該抽出したMDC疾患分類コードに対応するMDC疾患分類名をMDC疾患分類情報DB13から抽出し、当該抽出したDPC疾患分類コードに対応するDPC疾患分類名をDPC疾患分類情報DB14から抽出し、これら抽出したMDC疾患分類コード、MDC疾患分類名、DPC疾患分類コード、及びDPC疾患分類名のみを表示するようにしてもよい。
【0061】
また、このように疾患選択タブM2が選択されている場合においては、情報表示エリアM3は、図12に示すように、「凡例表示エリア」M17、「表示方法選択ボタン」M18、「年度選択ボタン」M19、「病院選択ボタン」M20、「評価開始ボタン」M21、及び「グラフ表示エリア」M22を含んで構成される。凡例表示エリアM17、年度選択ボタンM19、病院選択ボタンM20、及び評価開始ボタンM21の機能は、図8の場合における同一名のエリア又はボタンと同様である。表示方法選択ボタンM18は、医療機関評価値の表示方法を選択するためのボタンであり、ここでは、患者数とシェアのいずれかを選択することが可能となっている。グラフ表示エリアM22は、グラフを表示するエリアであり、医療機関評価値としての手術の件数を、評価対象として選択された2つ以上の医療機関の相互間で対比可能となるように表示するエリアである。
【0062】
次いで、ユーザは、MDC疾患選択エリアM14にドロップダウンリスト形式で表示されているMDC疾患分類コード及びMDC疾患分類名の中から一つのMDC疾患分類コード及びMDC疾患分類名を入力部30を介して選択する。この選択が行われると、制御部20は、当該選択されたMDC疾患分類コードに対応するDPC疾患分類名をDPC疾患分類情報DB14から抽出し、当該抽出したDPC疾患分類名をDPC疾患選択エリアM15に表示する。また、ユーザは、必要に応じて医療機関選択タブM1において、経営状態評価処理の場合と同様に評価対象とする2つ以上の医療機関を選択した後、疾患選択タブM2の病院選択ボタンM20を入力部30を介して選択する。この操作により、評価対象とする医療機関が固定される。次いで、ユーザは、表示方法選択ボタンM18を介して表示方法を選択し、年度選択ボタンM19を介して、評価対象としたい年度を選択する。そして、ユーザは、入力部30を介して評価開始ボタンM21を選択することで、評価の開始を指示する。
【0063】
このように評価の開始が指示されると(SB1、Yes)、医療機関評価値算定部22は、ユーザによって選択された各医療機関、年度、及びMDC疾患分類コードを対象として、医療機関評価値(ここでは、手術の件数)を算定する(SB2)。具体的には、医療機関評価値算定部22は、ユーザによって選択された医療機関名に対応する医療機関IDを医療機関情報DB12から取得し、当該取得した医療機関IDと、ユーザによって選択されたMDC疾患分類コード及び年度とに対応する医療機関評価情報を医療機関評価情報DB11から取得する。そして、当該取得した医療機関評価情報に基づいて、選択された年度における各医療機関の手術の件数を算定する。具体的には、各医療機関ID毎に、各MDC疾患分類コードに対応付けられた患者数の総和を算定する。ただし、各MDC疾患分類コードに対応付けられた術式コードが、所定の「手術なし」を示すコードである場合には、当該術式コードに対応付けられた患者数は除外して、患者数の総和を算定する。そして、当該算定した患者数の総和を、当該各MDC疾患分類コードに対応する手術の件数とする。また、医療機関評価値算定部22は、表示方法選択ボタンM18によってシェアの表示が選択されている場合には、各MDC疾患分類コード毎に患者数の総和を算定し、当該患者数の総和に対する、各医療機関ID毎の患者数の総和の比率を算定することで、当該各MDC疾患分類コード毎における各医療機関のシェアを算定する。
【0064】
次いで、出力制御部23は、このように算定された手術の件数(表示方法選択ボタンM18によって患者数の表示が選択されている場合には患者数の総和、表示方法選択ボタンM18によってシェアの表示が選択されている場合にはシェア。以下、本処理において同じ。)を、評価対象として選択された2つ以上の医療機関の相互間で対比可能となるように、所定の出力手段(ここでは、出力部40のモニタ)を介して出力する(同じく、SB2)。具体的には、出力制御部23は、図12の医療機関評価画面のグラフ表示エリアM22において、横軸をMDC疾患分類コード、縦軸を手術の件数とするグラフを生成し、このグラフ内に、各MDC疾患分類コードに対する手術の件数を棒グラフ形式で表示する。この際、異なる医療機関における同一のMDC疾患分類コードの手術の件数は、同一のMDC疾患分類コードに対応する位置に色分けして表示する。例えば、医療機関Xに関して、MDC疾患分類コード01の手術の件数が2件であり、医療機関Yに関して、MDC疾患分類コード01の手術の件数が4件であった場合、MDC疾患分類コード01に対応する6件分の高さの棒グラフを生成し、この棒グラフの内部を、4件分と2件分の各々の件数に応じた高さで色分けする。また、このように色分けした表示の凡例を生成して、凡例表示エリアM17に表示する。このように、評価対象として選択された2つ以上の医療機関の各々の各MDC疾患分類毎の手術の件数が、同一のグラフに同時に表示されることで、これら2つ以上の医療機関の手術の件数であって、MDC疾患分類レベルでの手術の件数の大小関係(優劣関係)を、容易かつ正確に把握することが可能となる。
【0065】
次いで、ユーザは、DPC疾患分類による手術の件数を把握したい場合には、図11のグラフに表示されている棒グラフの中で、把握したいDPC疾患分類に対応する(把握したいDPC疾患分類の上位の)MDC疾患分類の棒グラフを入力部30を介して選択する。あるいは、ユーザは、DPC疾患選択エリアM15にドロップダウンリスト形式で表示されているDPC疾患分類名の中から、把握したい一つのDPC疾患分類コード及びDPC疾患分類名を入力部30を介して選択する。この選択が行われると(SB3、Yes)、制御部20は、当該選択されたDPC疾患分類コードに対応する術式コード及び術式名を術式情報DB15から抽出し、当該抽出した術式コード及び術式名を術式表示エリアに表示する。
【0066】
次いで、医療機関評価値算定部22は、ユーザによって既に選択されている各医療機関及び年度と、ユーザによって選択されたDPC疾患分類コードを対象として、医療機関評価値(ここでは、手術の件数)を算定する(SB4)。具体的には、医療機関評価値算定部22は、ユーザによって選択された医療機関名に対応する医療機関IDを医療機関情報DB12から取得し、当該取得した医療機関IDと、ユーザによって選択されたDPC疾患分類コード及び年度とに対応する医療機関評価情報を医療機関評価情報DB11から取得する。そして、当該取得した医療機関評価情報に基づいて、選択された年度における各医療機関の手術の件数を算定する。具体的には、各医療機関ID毎に、各DPC疾患分類コードに対応付けられた患者数の総和を算定する。ただし、各DPC疾患分類コードに対応付けられた術式コードが、所定の「手術なし」を示すコードである場合には、当該術式コードに対応付けられた患者数は除外して、患者数の総和を算定する。そして、当該算定した患者数の総和を、当該各DPC疾患分類コードに対応する手術の件数とする。また、医療機関評価値算定部22は、表示方法選択ボタン18によってシェアの表示が選択されている場合には、各DPC疾患分類コード毎に患者数の総和を算定し、当該患者数の総和に対する、各医療機関ID毎の患者数の総和の比率を算定することで、当該各DPC疾患分類コード毎における各医療機関のシェアを算定する。
【0067】
次いで、出力制御部23は、このように算定された手術の件数を、評価対象として選択された2つ以上の医療機関の相互間で対比可能となるように、所定の出力手段(ここでは、出力部40のモニタ)を介して出力する(同じく、SB4)。具体的には、出力制御部23は、図12の医療機関評価画面のグラフ表示エリアM22において、横軸をDPC疾患分類コード、縦軸を手術の件数とするグラフを生成し、このグラフ内に、各DPC疾患分類コードに対する手術の件数を棒グラフ形式で表示する。この具体的な表示方法は、図11における手術の件数と同様である。このように、評価対象として選択された2つ以上の医療機関の各々の各DPC疾患分類毎の手術の件数が、同一のグラフに同時に表示されることで、これら2つ以上の医療機関の手術の件数であって、DPC疾患分類レベルでの手術の件数の大小関係(優劣関係)を、容易かつ正確に把握することが可能となる。
【0068】
さらに、ユーザは、術式分類による手術の件数を把握したい場合には、図12のグラフに表示されている棒グラフの中で、把握したい術式分類に対応する(把握したい術式分類の上位の)DPC疾患分類の棒グラフを入力部30を介して選択する。あるいは、ユーザは、術式表示エリアM16にドロップダウンリスト形式で表示されている術式コード及び術式名の中から、把握したい一つの術式コード及び術式名を入力部30を介して選択する。
【0069】
この選択が行われると(SB5、Yes)、医療機関評価値算定部22は、ユーザによって既に選択されている各医療機関及び年度と、ユーザによって選択された術式コードを対象として、医療機関評価値(ここでは、手術の件数)を算定する(SB6)。具体的には、医療機関評価値算定部22は、ユーザによって選択された医療機関名に対応する医療機関IDを医療機関情報DB12から取得し、当該取得した医療機関IDと、ユーザによって選択されたDPC疾患分類コード及び年度とに対応する医療機関評価情報を医療機関評価情報DB11から取得する。そして、当該取得した医療機関評価情報に基づいて、選択された年度における各医療機関の手術の件数を算定する。具体的には、各医療機関ID毎に、各術式コードに対応付けられた患者数の総和を算定する。ただし、術式コードが、所定の「手術なし」を示すコードである場合には、当該術式コードに対応付けられた患者数は除外して、患者数の総和を算定する。そして、当該算定した患者数の総和を、当該各術式コードに対応する手術の件数とする。
【0070】
次いで、出力制御部23は、このように算定された手術の件数を、評価対象として選択された2つ以上の医療機関の相互間で対比可能となるように、所定の出力手段(ここでは、出力部40のモニタ)を介して出力する(同じく、SB6)。具体的には、出力制御部23は、図13の医療機関評価画面のグラフ表示エリアM22において、横軸を術式コード、縦軸を手術の件数とするグラフを生成し、このグラフ内に、各術式コードに対する手術の件数を棒グラフ形式で表示する。この具体的な表示方法は、図11における手術の件数と同様である。このように、評価対象として選択された2つ以上の医療機関の各々の各術式コード毎の手術の件数が、同一のグラフに同時に表示されることで、これら2つ以上の医療機関の手術の件数であって、術式分類レベルでの手術の件数の大小関係(優劣関係)を、容易かつ正確に把握することが可能となる。これにてサービス品質評価処理が終了する。
【0071】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、各医療機関の医療機関評価値を、2つ以上の医療機関の相互間で対比可能となるように、所定の出力手段を介して出力させるので、複数の医療機関の指標を相互に比較することが可能となり、特にDPC方式の請求情報に基づく各種の指標を算定して有効に活用することが可能となる。
【0072】
また、平均在院日数又はベッド当たり患者数の一方を縦軸にすると共に、平均在院日数又はベッド当たり患者数の他方を横軸にするグラフであって、ベッド当たり患者数に関連付けて表示された病床稼働率を含むグラフに、選択された各医療機関における平均在院日数とベッド当たり患者数を表示させるので、医療機関の経営状態を評価するための重要な指標である平均在院日数、ベッド当たり患者数、及び病床稼働率を、一つのグラフ内において、複数の医療機関の相互間で比較することができるので、複数の医療機関の経営状態の優劣を、容易かつ正確に、しかも視覚により直感的に、把握することが可能となり、医療機関の経営状態を一層簡易かつ正確に評価することが可能となる。
【0073】
また、以前に算定された平均在院日数とベッド当たり患者数から、新しく算定された平均在院日数とベッド当たり患者数に至る軌跡が視認可能となるように、当該新しく算定された平均在院日数とベッド当たり患者数が表示されるので、単に、新しく算定された平均在院日数とベッド当たり患者数のみを表示する場合に比べて、平均在院日数と1ベッド当たりの患者数の変化状態を正確かつ容易に把握することが可能となる。
【0074】
また、各医療機関における病名毎の患者数が表示されるので、医療機関のサービス品質(より具体的には、病名毎の治療等の経験数に起因する品質)を評価するための重要な指標である患者数を、一つのグラフ内において、複数の医療機関の相互間で比較することができるので、複数の医療機関のサービス品質の優劣を、容易かつ正確に、しかも視覚により直感的に、把握することが可能となり、医療機関のサービス品質を一層簡易かつ正確に評価することが可能となる。
【0075】
また、各医療機関における病名毎及び術式毎の患者数が表示されるので、医療機関のサービス品質(より具体的には、病名毎及び術式毎の治療等の経験数に起因する品質)を評価するための重要な指標である患者数を、一つのグラフ内において、複数の医療機関の相互間で比較することができるので、複数の医療機関のサービス品質の優劣を、容易かつ正確に、しかも視覚により直感的に、把握することが可能となり、医療機関のサービス品質を一層簡易かつ正確に評価することが可能となる。
【0076】
〔変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良できる。以下、このような変形例について説明する。
【0077】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0078】
(構成及び制御について)
また、上記実施の形態で自動的に行われるものとして説明した制御の全部または任意の一部を手動で行っても良く、逆に、手動で行われるものとして説明した制御の全部または任意の一部を公知技術または上述した思想に基づいて自動化しても良い。また、上記実施の形態において示した各構成要素の各機能ブロックの一部又は全部を、ハードワイヤードロジックにて構成しても良い。
【0079】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、医療機関評価装置1を、複数のサーバ装置や端末装置に分散して構成してもよい。
【0080】
(医療機関評価値の出力形態について)
医療機関評価値の出力形態は、上記説明した形態に限られない。例えば、平均在院日数、1ベッド当たりの患者数、及び病床稼働率を、相互に直交する3軸によりプロットして3次元グラフとして表示してもよい。また、手術の件数を、選択された分類や術式毎の円グラフとして表示してもよい。
【0081】
(軌跡の出力形態について)
また、今回算定された平均在院日数とベッド当たり患者数に至る軌跡を視認可能とするための出力形態も、上記説明した形態に限られない。例えば、各医療機関毎の表示記号が同時に移動する場合には、個々の表示記号の軌跡を眼で追うことが困難になる可能性があるため、各表示記号を順次移動させることで、個々の表示記号の軌跡を眼で追うことを容易にしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 医療機関評価装置
10 記憶部
11 医療機関評価情報DB
12 医療機関情報DB
13 MDC疾患分類情報DB
14 DPC疾患分類情報DB
15 術式情報DB
20 制御部
21 医療機関評価情報取得部
22 医療機関評価値算定部
23 出力制御部
30 入力部
40 出力部
50 入出力インターフェース(入出力IF)
M1 医療機関選択タブ
M2 疾患選択タブ
M3 情報表示エリア
M4 地域選択エリア
M5 医療機関選択エリア
M6 地方選択エリア
M7 県名選択エリア
M8 市区町村選択エリア
M9、M17 凡例表示エリア
M10、M19 年度選択ボタン
M11、M20 病院選択ボタン
M12、M21 評価開始ボタン
M13、M22 グラフ表示エリア
M14 MDC疾患選択エリア
M15 DPC疾患選択エリア
M16 術式表示エリア
M18 表示方法選択ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医療機関の各々を特定するための医療機関特定情報と、前記複数の医療機関の各々における入院患者の患者数を特定するための患者数特定情報と、前記複数の医療機関の各々における入院患者の在院日数を特定するための在院日数特定情報と、前記複数の医療機関の各々における入院患者の病名を特定するための病名特定情報とを、相互に関連付けて構成された医療機関評価情報を格納する医療機関評価情報格納手段と、
前記複数の医療機関の中で評価対象とする2つ以上の医療機関が所定方法で選択された場合に、当該選択された各医療機関の医療機関特定情報に対応する前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、又は前記病名特定情報の少なくとも一つを前記医療機関評価情報格納手段から取得し、当該取得した前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、又は前記病名特定情報に基づいて、前記選択された各医療機関の評価を行うための医療機関評価値を算定する医療機関評価値算定手段と、
前記医療機関評価値算定手段にて算定された各医療機関の前記医療機関評価値を、前記選択された2つ以上の医療機関の相互間で対比可能となるように、所定の出力手段を介して出力するように制御する出力制御手段と、
を備える医療機関評価装置。
【請求項2】
前記医療機関評価値算定手段は、前記選択された各医療機関の医療機関特定情報に対応する前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、及び前記病名特定情報を前記医療機関評価情報格納手段から取得し、当該取得した前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、及び前記病名特定情報に基づいて、当該選択された各医療機関における平均在院日数とベッド当たり患者数とを算定し、
前記出力制御手段は、平均在院日数又はベッド当たり患者数の一方を縦軸にすると共に、平均在院日数又はベッド当たり患者数の他方を横軸にするグラフであって、ベッド当たり患者数に関連付けて表示された病床稼働率を含むグラフに、前記選択された各医療機関における平均在院日数とベッド当たり患者数であって、前記医療機関評価値算定手段にて算定された平均在院日数とベッド当たり患者数を表示するように制御を行う、
請求項1に記載の医療機関評価装置。
【請求項3】
前記医療機関評価情報格納手段に格納されている前記医療機関評価情報は、前記複数の医療機関の各々における入院患者の在院タイミングを特定するための在院タイミング特定情報を、前記医療機関特定情報、前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、及び前記病名特定情報に関連付けて構成され、
前記医療機関評価値算定手段は、前記複数の医療機関の中で評価対象とする2つ以上の医療機関が所定方法で選択されると共に、評価対象とする在院タイミングが所定方法で選択された場合に、当該選択された各医療機関の医療機関特定情報及び当該選択された在院タイミングに対応する前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、及び前記病名特定情報を前記医療機関評価情報格納手段から取得し、当該取得した前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、及び前記病名特定情報に基づいて、当該選択された各医療機関における平均在院日数とベッド当たり患者数とを算定し、
前記出力制御手段は、
前記選択された各医療機関及び前記選択された在院タイミングにおける平均在院日数とベッド当たり患者数であって、前記医療機関評価値算定手段にて算定された平均在院日数とベッド当たり患者数を前記グラフに表示する際、前記医療機関評価値算定手段にて以前に算定された平均在院日数とベッド当たり患者数であって、当該選択された在院タイミングとは異なる在院タイミングにおける平均在院日数とベッド当たり患者数が当該グラフに表示されている場合には、当該以前に算定された平均在院日数とベッド当たり患者数から、当該算定された平均在院日数とベッド当たり患者数に至る軌跡が視認可能となるように、当該算定された平均在院日数とベッド当たり患者数を表示するように制御を行う、
請求項2に記載の医療機関評価装置。
【請求項4】
前記医療機関評価値算定手段は、前記選択された各医療機関の医療機関特定情報に対応する前記患者数特定情報及び前記病名特定情報を前記医療機関評価情報格納手段から取得し、当該取得した前記患者数特定情報及び前記病名特定情報に基づいて、当該選択された各医療機関における病名毎の患者数を算定し、
前記出力制御手段は、前記医療機関評価値算定手段にて算定された各医療機関における病名毎の患者数を表示するように制御を行う、
請求項1から3のいずれか一項に記載の医療機関評価装置。
【請求項5】
前記医療機関評価情報格納手段に格納されている前記医療機関評価情報は、前記複数の医療機関の各々において入院患者に対して行った手術の術式を特定するための術式特定情報を、前記医療機関特定情報、前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、及び前記病名特定情報に関連付けて構成され、
前記医療機関評価値算定手段は、前記選択された各医療機関の医療機関特定情報に対応する前記患者数特定情報、前記病名特定情報、及び前記術式特定情報を前記医療機関評価情報格納手段から取得し、当該取得した前記患者数特定情報、前記病名特定情報、及び前記術式特定情報に基づいて、当該選択された各医療機関における病名毎及び術式毎の患者数を算定し、
前記出力制御手段は、前記医療機関評価値算定手段にて算定された各医療機関における病名毎及び術式毎の患者数を表示するように制御を行う、
請求項4に記載の医療機関評価装置。
【請求項6】
複数の医療機関の各々を特定するための医療機関特定情報と、前記複数の医療機関の各々における入院患者の患者数を特定するための患者数特定情報と、前記複数の医療機関の各々における入院患者の在院日数を特定するための在院日数特定情報と、前記複数の医療機関の各々における入院患者の病名を特定するための病名特定情報とを、相互に関連付けて構成された医療機関評価情報を格納する医療機関評価情報格納手段、を備えるコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記複数の医療機関の中で評価対象とする2つ以上の医療機関が所定方法で選択された場合に、当該選択された各医療機関の医療機関特定情報に対応する前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、又は前記病名特定情報の少なくとも一つを前記医療機関評価情報格納手段から取得し、当該取得した前記患者数特定情報、前記在院日数特定情報、又は前記病名特定情報に基づいて、前記選択された各医療機関の評価を行うための医療機関評価値を算定する医療機関評価値算定手段と、
前記医療機関評価値算定手段にて算定された各医療機関の前記医療機関評価値を、前記選択された2つ以上の医療機関の相互間で対比可能となるように、所定の出力手段を介して出力するように制御する出力制御手段と、
として機能させる医療機関評価プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−32920(P2012−32920A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170430(P2010−170430)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(301018603)株式会社サイバー・ラボ (11)
【出願人】(510207391)ペイシェント・ジャーニー合同会社 (1)