説明

医療用装置

本明細書では医療用装置が記載される。より詳細には、本明細書では、患者の身体の非平坦面に適合および/または追従可能である医療用装置が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療用装置に関する。より詳細には、本発明は、患者の身体の非平坦面に適合および/または追従することができる医療用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光源は通常、剛性構造であり可撓性ではない。その上、これらの種類の従来の光源は、それらの剛性をさらに高める電子機器を収容している。したがって、面状光源が隣接する表面に追従する必要がある用途では、この可撓性の欠如によって追従する程度が制限される。可撓性のある従来の光源は、或る特定の角度を超えて折り曲げられると破損(または電子機器から分離)しやすいことが分かっている。
【0003】
光を用いて、多種多様な疾患を処置することができる。光を単独で用いて疾患を処置する場合、この処置は光線療法と称される。光は薬剤と併用することができ、この場合、この処置は光線力学的療法と呼ばれる。
【0004】
光線療法および光線力学的療法を用いて、様々な皮膚疾患および内部疾患を処置することができる。光線力学的療法では、光薬剤として知られる感光性治療剤が、身体の被処置領域に外部からまたは内部から供給される。次いで、この領域が、光薬剤を活性化させるのに好適な周波数および強度の光に晒される。現在、様々な光薬剤が利用可能である。例えば、5−アミノレブリン酸塩酸塩(Crawford Pharmaceuticals)、メチルアミノレブリン酸(Metfix(商標)、Photocure)のような局所投与剤が挙げられる。多くの場合、薬物は、感光性光薬剤に変化する非活性形態で適用される。
【0005】
光線力学的療法では、光を光薬剤に供給する主な技法は、レーザーまたはフィルター処理されるアークランプのような独立型の光源から、好適な波長の光を投射することである。これらの光源は、煩雑かつ高価であるため、病院において用いられる場合にのみ適している。これは、患者にとって不便であり、また処置のコストが高くなる。(処置をコスト効率よくする目的で)、1日当たりに許容可能な人数の患者を処置するために、かつ必要以上に患者を拘束するのを避けるために、高照度の光照射が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題の少なくとも1つまたは複数をなくすかまたは軽減することが、本発明の少なくとも1つの態様の目的である。
【0007】
治療処置および/または美容処置を行うことができる装置であって、患者の身体の非平坦面に適合および/または追従可能な装置を提供することが本発明の少なくとも1つの態様のさらなる目的である。
【0008】
光源および電子機器を備える医療用装置であって、患者の身体の非平坦面に適合および/または追従可能な医療用装置を提供することが本発明の少なくとも1つの態様のまたさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によると、治療処置および/または美容処置において用いる装置であって、
筐体(casing:ケース)と、
前記筐体内に位置するかまたは該筐体に取り付けられている電子機器と、
を備え、前記筐体および前記電子機器は、非平坦面に適合および/または追従可能である、装置が提供される。
【0010】
前記筐体は、前記電子機器の追従の量(amount:度合い)を制限することができる。
【0011】
したがって、前記装置は、様々な治療処置および/または美容処置に用いることができる医療用装置とすることができる。
【0012】
前記筐体は、患者の被処置領域にわたって光を分散させることができる光源も含むか、収容するかまたは該光源に取り付けられることができる。
【0013】
通常、前記筐体は、前記電子機器および/または前記光源の少なくとも一部または好ましくは全体を包囲することができる。
【0014】
したがって、本発明の装置は、例えば患者の足、脚、胴、肩、腕、手、頭または顔の領域等の、ヒトまたは哺乳類の身体の任意の部分の非平坦面、実質的に平坦ではない面または湾曲している面に適合および/または追従可能な光源を提供することができる。
【0015】
前記筐体を非平坦面または湾曲している面に適合および/または追従させることができることによって、前記光源が患者の皮膚の均一なまたは実質的に均一な照射を提供することが可能になり、このことは有効な治療にとって重要である。したがって本発明は、半剛性の光源を患者の非平坦面および/または湾曲している面に適合および/または追従させることを可能にする。
【0016】
したがって前記装置は、該装置を、患者との接触が意図される該装置の表面(複数可)が平坦であるかまたは実質的に平坦である第1の形態(configuration)から、患者との接触が意図される該装置の表面(複数可)が平坦ではない、実質的に平坦ではない、かつ/または湾曲している第2の形態に動かすことが可能である手段を備えることができる。その場合に、前記筐体は、第1の形態から、平坦ではない、実質的に平坦ではない、かつ/または湾曲しているものとすることができる第2の形態に適合可能および/または追従可能であることができる。したがって、前記装置は、該装置を、非平坦面、実質的に非平坦面および/または湾曲している面の周りに屈曲、撓曲および/または追従させることができる手段を備えることができる。したがって、前記装置および/または前記筐体は、屈曲、撓曲および/または追従可能であるものとすることができる。
【0017】
前記筐体は、達成することができる追従度の量を制限する手段を有することができる。これによって、前記電子機器が破損するかまたは故障するような程度まで撓曲するのが防止される。
【0018】
前記筐体は、患者と接触することが意図される表面(すなわち接触面)を有することができる。該接触面は、例えば患者の非平坦面、実質的に平坦ではない面または湾曲している面の周りに屈曲、撓曲および/または追従可能である。
【0019】
前記筐体は、約5度未満、約10度未満、約15度未満、約20度未満、約25度未満、約30度未満、約35度未満、約40度未満、約45度未満、約50度未満、約55度未満、約60度未満、約65度未満、約70度未満、約75度未満、約85度未満、または約90度未満だけ平坦な位置から離れる(away from:それる)ように屈曲、撓曲および/または追従可能である。代替的には、前記筐体は、約0度〜5度、約0度〜10度、約0度〜15度、約0度〜20度、約0度〜25度、約0度〜30度、約0度〜35度、約0度〜40度、約0度〜45度、約0度〜50度、約0度〜55度、約0度〜65度、約0度〜70度、約0度〜75度、約0度〜80度、約0度〜85度、または約0度〜90度だけ平坦な位置から離れるように屈曲、撓曲および/または追従可能である。上述のように、前記筐体は、患者と接触することが意図される表面(すなわち接触面)を有することができ、平坦な位置から離れるように屈曲、撓曲および/または追従可能であるのは、この表面とすることができる。
【0020】
前記筐体はまた、該筐体が(例えば平坦な)最初の形態から屈曲、撓曲および/または追従すると、例えばばね式構成によって該筐体を付勢して前記最初の形態に戻す手段も備えることができる。
【0021】
特定の一実施の形態では、前記筐体は2つの部分、例えば上側部分および下側部分を含むことができる。代替的に、複数の部分があるものともすることができる。通常、前記筐体は、ディスク状形態のような任意の適切な形状であることができる。前記筐体の2つの部分は、使用時に任意の好適な機械的手段および/または接着手段を用いて互いに取り付けることができる。例えば、前記筐体の2つの部分は、スナップ嵌め構成、クリップ、フック、面ファスナ等の取り付け手段を用いて互いに取り付けることができる。前記筐体の2つの部分の少なくとも一方または両方には、該筐体を屈曲、撓曲および/または追従させることができる手段があるものとすることができる。通常、前記筐体の2つの部分の少なくとも一方または両方には少なくとも1つまたは2つの可撓性部分があるものとすることができる。前記筐体の2つの部分のそれぞれに2つの可撓性部分があるものとすることができる実施の形態では、この可撓性部分は、筐体の2つの部分のそれぞれに互いに実質的に対向して位置することができる。好ましくは、2つの部分はそれぞれ2つの可撓性部分を含み、この場合、前記上側部分および前記下側部分にある2つの可撓性部分のそれぞれは、前記筐体において互いに実質的に隣接して位置する。複数の可撓性部分があるものともすることができる。通常、可撓性部分はヒンジとすることができる。特に好ましい実施の形態では、前記筐体の2つの部分のそれぞれには少なくとも2つまたは複数のヒンジがあるものとすることができる。
【0022】
通常、前記筐体は、患者と接触することが意図される該筐体または表面が平坦な形態から離れるように屈曲、撓曲および/または追従する量を制限することができる手段も備えることができる。したがって前記筐体は、可能となる動きの量を制限することができる形式の停止手段を備えることができる。例えば棒、ロッド、パイプのような管状部材の形態の細長部材が、前記筐体を屈曲、撓曲および/または追従させる手段の少なくとも1つまたは2つを貫通することができ、それによって曲がる、撓む、かつ/または追従する量を制限できる。例えば、これは、例えば前記筐体の内面の一部に対して当接し、かつ/または突き当たることによりさらなる屈曲、撓曲および/または追従を一切防止する前記細長部材によって達成することができる。屈曲、撓曲および/または追従する量を制限することによって、前記筐体内に位置する電子機器および光源へのいかなる生じ得る損傷も低減される。
【0023】
したがって、前記筐体は、実質的に「n」字状とすることができると共に可撓性材料(例えば材料ウェブ)から作製することができるヒンジを備えることができる。例えば可撓性材料から作製される前記「n」字状のヒンジは、屈曲、撓曲および/または追従の量を制限するように設計することができ、この制限は、さらなる曲げを可能にすることができないように伸長されること(straightening)または実質的に真っ直ぐになることによって行うことができる。代替的には、前記ヒンジは、真っ直ぐにされるかまたは実質的に真っ直ぐにされ、それによって該ヒンジの直線長さを伸ばすことができる任意の非線形(すなわち直線ではない形状)、かつ/または、平坦でない形状から形成することができる。非線形かつ/または非平坦形状が真っ直ぐになることによって、前記筐体を屈曲、撓曲および/または追従させることができる。非線形かつ/または非平坦形状が一旦完全に真っ直ぐになると、さらなる屈曲、撓曲および/または追従は不可能になる。例えば、ジグザグ状、螺旋状および/またはコイルの構成を用いることができる。
【0024】
代替的に、前記ヒンジは、任意の非線形(すなわち直線ではない形状)、かつ/または非平坦形状をなす弾性材料から形成することもでき、それにより、前記ヒンジは、前記筐体が屈曲、撓曲および/または追従した形態から、前記筐体を真っ直ぐにしてその平坦な形態に戻すように作用することができる。
【0025】
前記筐体は、前記装置を動作させる電子機器および光源を含むことができる。前記筐体はまた、前記光源からの光が該筐体を出て、治療処置および/または美容処置のような医療用途において用いられることを可能にするように設計することができる。したがって前記筐体は、患者の被処置領域に光を分散させることができる。
【0026】
通常、前記筐体は、前記電子機器および前記光源を該筐体内に保持することができる突出部材、フィンガー、歯、留め具部材等のような手段も備えることができる。
【0027】
典型的に、前記筐体は環状部材を備え、該環状部材は、例えば、前記上側部分および前記下側部分から形成される。前記筐体は、環状部材の外周内に屈曲、撓曲および/または追従を容易にする開口を有しても良い。好適には、前記筐体の中心に、屈曲、撓曲および/または追従をさらに容易にする開放構造を備えることができる。
【0028】
患者との接触が意図される前記筐体の表面は、約0.1cm〜500cm、約0.1cm〜250cm、約0.1cm〜100cm、約1cm〜100cmまたは約5cm〜50cmの表面積を有することができる。代替的には、患者との接触が意図される前記筐体の表面は、約0.01cm超、約0.1cm超、約1cm超、約5cm超、約10cm超、約50cm超または約100cm超の表面積を有することができる。
【0029】
好都合には、前記筐体は、任意の好適なプラスチック材料、複合材料および/または金属ベースの材料のような任意の好適な材料から作製することができる。前記筐体を形成する材料は、柔軟であるものとすることができ、屈曲、撓曲および/または追従可能である。
【0030】
前記筐体はまた、該筐体の少なくとも一部または全周にわたる貼着シートを備えることができる。該貼着シートは、前記装置を患者に取り付けるための貼着面を提供することができる。非平坦面および/または湾曲面に適合することができる筐体と、可撓性の接着性の外周との組み合わせによって、前記装置を取り付けることができる部位の数が増える。
【0031】
前記装置は、薬物および/または化学物質を患者の被処置領域に送達することができる薬物および/または化学物質の供給源も備えることができる。したがって本発明の装置は、治療処置および/または美容処置を行うことができる。
【0032】
したがって本発明は、光線力学的療法または光線療法を用いてヒトまたは動物の患者に治療処置および/または美容処置を行うことができる発光装置に関するものとすることができる。状況によっては、処置は、治療的性質を有する(例えば皮膚ガン、深刻な座瘡)と言うことができ、一方で他の状況では、美容的性質を有する(例えば軽度の座瘡、皺の処置等の老化防止処置)と言うことができる。
【0033】
前記光源は、所望の波長にわたって発光することができる任意の好適な光源とすることができる。前記光源は発光層として設けることができる。
【0034】
通常、前記光源は、約300nm〜3000nm、約300nm〜1500nm、約300nm〜800nmまたは約370nm〜700nmの範囲内で動作することができる。特定の実施の形態では、前記光源は、電磁スペクトルの可視領域で動作することができる。代替的には、前記光源は、電磁スペクトルの紫外線波長域または赤外線波長域で動作することもできる。動作中の前記光源は、実質的に一定の、かつ/若しくは均一な波長で動作することができるか、または代替的には或る波長範囲にわたって走査されることができる。特定の実施の形態では、2つ以上の波長の光を同時に若しくは様々な時点で放出し、かつ/パルス状にすることができる。これは座瘡の処置に好適であることができる。
【0035】
前記光源は、約0.1cm〜500cm、約0.1cm〜250cm、約0.1cm〜100cm、約1cm〜100cmまたは約5cm〜50cmの広範な発光表面積を有することができる。代替的には、前記光源は、約0.01cm超、約0.1cm超、約1cm超、約5cm超、約10cm超、約50cm超または約100cm超の発光表面を有することができる。
【0036】
前記光源は、実質的に正方形または実質的に矩形とすることができ、約0.5cm×0.5cm、約1cm×1cm、約2cm×2cm、約5cm×5cm、約10cm×10cmまたは約20cm×10cmの寸法を有することができる。代替的には、前記光源は実質的に円形とすることができ、約0.5cm、約1cm、約2cm、約5cm、約10cmまたは約20cmの直径を有することができる。
【0037】
前記光源は、所定の時間期間にわたって実質的に連続的に発光することができるか、または例えばパルス状に不連続的に発光することができる。特定の実施の形態では、前記光源からの光は、少なくとも約10ミリ秒、少なくとも約100ミリ秒、少なくとも約1秒、少なくとも約10秒、少なくとも約100秒、少なくとも約1000秒または少なくとも約10000秒の周期でパルス状にすることができる。
【0038】
特定の実施の形態では、前記光源は例えば、例えば拡散器に組み込まれた有機発光ダイオードまたは無機発光ダイオード等の任意の好適な形態のダイオードとすることができる。代替的には、前記光源は、蛍光灯のような蛍光光源とすることもできる。該蛍光光源はコンパクトな形状とすることができる。例えば、蛍光光源は、バックリットディスプレイ技術、LEDおよび導波管並びに拡散器から発展した技術を含む。
【0039】
前記光源は、約0.1mW/cm〜500mW/cm、約1mW/cm〜200mW/cmまたは約5mW/cm〜50mW/cmの光出力密度を有することができる。動作中の前記光源は、実質的に一定の出力で動作することができるか、または代替的には或る出力範囲にわたって可変とすることができる。
【0040】
前記装置は、例えば層の形態の薬物中および/または化学物質供給源中に光化学調剤および/または光薬物調剤を含むことができる。
【0041】
前記光化学調剤および/または光薬物調剤は、適切な所定の時点で患者の被処置領域に送達することができ、かつ/または制御ユニットによって制御することができる。前記光化学調剤および/または光薬物調剤は、例えばゲル、軟膏、クリーム、または光線力学的療法液に浸したガーゼの形態で存在することができる。代替的にまたは付加的に、発光デバイスには、光化学調剤および/または光薬物調剤で含浸された薄膜を設けることができる。前記光化学調剤および/または光薬物調剤は、それを必要とする者に適用することができる、患者を処置することができる薬物および/または消毒剤を含むことができる。通常、前記光化学調剤および/または光薬物調剤は、透明若しくは実質的に透明とすることができ、または、使用時および発光時に透明若しくは実質的に透明になることができる。
【0042】
前記光化学調剤および/または光薬物調剤が照射光の波長に対して透明または半透明であるものとすることができる実施の形態では、その結果、デバイスを、光化学調剤および/または光薬物調剤を患者に適用する別個のステップの必要なく容易に適用することができる。特定の実施の形態では、前記光化学調剤および/または光薬物調剤は可剥性剥離媒体で覆うことができる。光化学調剤および/または光薬物調剤は、in vivoで活性化合物に変化することができる非活性化合物を含むことができる。使用時に、好適な量の前記光化学調剤および/または光薬物調剤を患者の被処置領域に適用することができる。
【0043】
本発明において用いられる典型的な薬物および/または化学物質としては、ALA若しくはMetfixのような前駆体薬または他の光線力学的療法剤が挙げられるがこれらに限定されない。
【0044】
使用時には、薬物層および/または化学物質層を、患者の被処置領域の上部を覆うように配置することができる。処置を容易にするために、塩化ナトリウム溶液のような電解質溶液を皮膚に塗布(placed)して電気的接触を高めることができる。
【0045】
前記筐体内の前記光源および/または前記電子機器に給電する電源を配備することができる。前記電源は、小さくコンパクトであることができ、装置全体に一体化することができるため、前記装置を着装携行式処置に好適なものとすることができる。したがって、本発明の装置は装着可能であり、患者の足、脚、胴、肩、腕、手、頭または顔の領域に取り付けることができる。
【0046】
前記装置は、該デバイスをヒトまたは動物の身体の部分(複数可)に取り付けるための取り付け手段を備えることができる。例えば、前記装置は、該デバイスをヒトまたは動物の身体の部分に取り付けるための機械的手段および/または貼着手段を備えることができる。特定の実施の形態では、前記装置はしたがって、該装置を患者に取り付けるための固定手段および/または面ファスナ(Velcro、商標)および/または接着面を任意選択的に備えることができるストラップ機構を備えることができる。
【0047】
前記装置は軽量で携帯式とすることができる。特定の実施の形態では、前記装置は、完全に自給式の携帯用ユニットであり、自給式電源を備えている。該電源は、前記デバイス内の電子機器および前記光源を動作させることができる。前記装置は、着装携行式処置を可能にするほど十分に携帯可能であることができるため、患者が動き回っている間の処置を可能にする。したがって、処置は家庭や職場で行うことができ、前記装置は必要に応じて患者が取り外すことができる。これによって、患者の通院または入院が回避され、処置の費用負担を軽減できる。この処置は、照射をより長い時間期間にわたって行うことができるため、より低い光レベルを用いることができるという重要な利点を提供する。これによって、病院において用いられる従来の光源からの高照度の照射によって一部の患者に誘発される苦痛の問題が克服される。その上、より長い時間期間にわたる低照度の照射は、酸素が被処置領域に拡散する時間をより多く与え、かつ光薬剤の光退色を低減するため、光線誘導治療(photoinduced therapy)においてより効果的となりうる。
【0048】
前記光源はまた、透明な基材層または少なくとも実質的に透明な基材層のような基材層を備えることができる。代替的には、前記光源は、半透明な基材層または少なくとも実質的に半透明な基材層も備えることができる。前記基材層は、前記光源の支持層として機能することができ、光を透過させることができる。前記基材層は、バリア層としても機能することができ、酸素および/または水分が前記光源を透過しないように選択することができる。前記基材層は、ガラス、プラスチックまたはポリマーのような好適な材料のいずれか1つまたはこれらの材料の組み合わせから作製することができ、あるいは、これらの材料のいずれか1つまたはこれらの材料の組み合わせを含むことができる。さらなる層も存在することができる。
【0049】
本発明による装置は、光線療法および光線力学的療法の範囲において用いることができる。例えば、本発明による装置は、ガン(例えば皮膚ガン)、座瘡、皺、創傷治癒、老化防止の処置、および美容用途において見られるような皮膚レーザー後の処置において用いることができる。創傷とは、任意の形態の開放創または閉鎖創を意味する。開放創としては、切開部または切創、裂傷、擦り傷、刺創、貫通創、銃創および潰瘍(糖尿病に由来する潰瘍を含む)が挙げられるがこれらに限定されない。閉鎖創としては、挫傷、血腫および圧挫損傷が挙げられるがこれらに限定されない。
【0050】
本発明の第2の態様によると、治療処置および/または美容処置を行う方法であって、患者の被処置領域にわたって光を分散させることができる光源を準備すること、および前記光源の少なくとも一部を包囲する筐体を準備すること、を含み、前記筐体および電子機器が、非平坦面に適合および/または追従可能である、方法が提供される。
【0051】
本方法は、第1の態様において規定された装置によって行うことができる。
【0052】
前記筐体は、前記電子機器の追従度を制限することができる。
【0053】
本発明の第3の態様によると、第1の態様による装置の、医療処置における使用が提供される。
【0054】
通常、医療処置は光線力学的療法または光線療法とすることができる。
【0055】
したがって本発明は、ガン(例えば皮膚ガン)、座瘡、皺、創傷治癒、老化防止の処置および皮膚レーザー後の処置(例えば美容用途)に関するものとすることができる。
【0056】
本発明の第4の態様によると、第1の態様による装置を用いる医療処置方法が提供される。
【0057】
医療処置は光線力学的療法または光線療法の処置とすることができる。
【0058】
さらに、処置は、ガン(例えば皮膚ガン)、座瘡、皺、創傷治癒、老化防止の処置および皮膚レーザー後の処置(例えば美容用途)とすることができる。
【0059】
ここで、添付の図面を参照して本発明の実施形態を単に例示として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態による装置の図である。
【図2】図1に示される装置の一部の拡大図である。
【図3】本発明のさらなる実施形態による装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
したがって、本発明は、患者または動物に対して治療処置および/または美容処置を行うことができる装置に関する。本装置は、任意のタイプの医療処置に用いることができ、例えば光線療法または光線力学的療法において用いることができる。
【0062】
図1は、全体的に100で示される本発明による装置の図である。装置100は、例えばプラスチック材料から作製される筐体108を備える。筐体108は実質的にディスク形であり、下側部分110および上側部分112を含む。図1に示されるように、上側部分112は、電子機器124および光源(図示せず)を筐体108内に保持または保護するために用いることができる一連の部材114を含む。下側部分110および上側部分112はそれぞれ環状部材110a、112aを含む。図1はまた、デバイス108が、環状部材110a、112a内に、屈曲、撓曲および/または追従を容易にする一連の間隙を部材114間に含むことを示す。筐体108の中心にも、屈曲、撓曲および/または追従をさらに容易にする開放構造が含まれる。
【0063】
下側部分110および上側部分112は、下側部分110から上側部分112の上側部分まで延びるクリップ120のようなスナップ嵌め構成によって互いに接続されている。
【0064】
上側部分112には、筐体108におけるいくらかの可撓性を可能にする2つのヒンジ部材116、118がある。したがって筐体は患者の身体の一部に対して屈曲、撓曲および/または追従可能である。ヒンジは、実質的に「n」字状であり、可撓性材料(例えば材料ウェブ)から作製することができる。可撓性材料は、屈曲、撓曲および/または追従の度合いを制限するように設計することができ、この制限は、さらなる曲げが不可能になるまで伸長されること(straightening)によってなされる。
【0065】
さらに、図1に示されるように、管状部材122がヒンジ部材116を貫通することができる。
【0066】
図2は、ヒンジ116およびそれを貫通している管状部材122の拡大図である。図2はまた、筐体108の下側部分110にあるヒンジ128を示す。同様のヒンジ130が図1の下側部分110にも示されている。ヒンジ128、130は可撓性であり、筐体108を患者の身体の一部に対して曲げること、撓ませることおよび/または追従させることができる。ヒンジ116、118およびヒンジ128、130は、筐体108において直接的または実質的に直接的に互いに対向している。筐体108がヒンジ130および128にて撓むと、折り畳まれていたヒンジ116および118が真っ直ぐになる。ヒンジ116および118が真っ直ぐになると、筐体はさらに曲がることがない。
【0067】
管状部材122は、管状部材122の残りの部分から離れる方向に曲がっている区間122aを含む。この曲がった管状の区間122aは、筐体108が屈曲、撓曲および/または追従可能な量を制限することができる。使用時に、曲がった区間122aは、電子機器を定位置に保持するために用いられる部材114のうちの1つの裏面部分に対して当接および/または突き当たる。
【0068】
図2に示されるような管状部材122は、筐体108内に位置する電子機器124へ接続するワイヤー126を収容するために用いられる。
【0069】
図3は、全体的に200で示される、本発明によるさらなる装置の図である。装置200は、多くの点で図1および図2に示される装置100と同様であるが、装置200の外周に可撓性の貼着シート250を有する。この可撓性シート250は、装置200を患者に取り付けるための貼着面を提供する。ヒンジ付きの装置200と可撓性の外周との組み合わせによって、可撓性の装置200単独の場合と比較して、取り付けることができる部位の数が増す。
【0070】
本発明の特定の実施形態を上述したが、記載の実施形態からの逸脱も依然として本発明の範囲内に入ることができることが理解されるであろう。例えば、任意の好適なタイプのヒンジ機構を用いて筐体を患者の身体の一部に対して屈曲、撓曲および/または追従させることができる。その上、任意の好適なタイプの光源を用いることができる。さらに、本発明による装置を用いて任意の好適なタイプの薬物および/または消毒剤を送達することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療処置および/または美容処置において用いる装置であって、
筐体と、
前記筐体内に位置するかまたは前記筐体に取り付けられた電子機器と、
を備え、前記筐体および前記電子機器は、非平坦面に適合および/または追従可能である、装置。
【請求項2】
前記筐体は、患者の被処置領域に光を分散させることができる光源を備えるか、収容するかまたは該光源に取り付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記電子機器および/または前記光源の少なくとも一部または全体を包囲する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
患者の足、脚、胴、肩、腕、手、頭または顔の領域に適合および/または追従可能である、請求項1〜3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記筐体を非平坦面に適合させることができることによって、前記光源が患者の皮膚の均一なまたは実質的に均一な照射を提供することが可能になる、請求項1〜4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記筐体は、第1の形態から、非平坦、実質的に非平坦かつ/または湾曲している第2の形態に適合可能および/または追従可能である、請求項1〜5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
患者との接触が意図される表面が平坦または実質的に平坦である第1の形態から、患者との接触が意図される表面が非平坦、実質的に非平坦かつ/または湾曲した第2の形態に動かすことを可能にする手段を備える、請求項1〜6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
非平坦面、実質的な非平坦面および/または湾曲面の周りに屈曲、撓曲および/または追従させることを可能にする手段を備える、請求項1〜7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記筐体は、患者との接触が意図される表面を有し、該表面は、患者の非平坦面、実質的に非平坦面または湾曲面の周りに屈曲、撓曲および/または追従可能である、請求項1〜8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記筐体は、約5度未満、約10度未満、約15度未満、約20度未満、約25度未満、約30度未満、約35度未満、約40度未満、約45度未満、約50度未満、約55度未満、約60度未満、約65度未満、約70度未満、約75度未満、約85度未満、または約90度未満だけ平坦な位置から離れるように屈曲、撓曲および/または追従可能である、請求項1〜9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記筐体は、約0度〜5度、約0度〜10度、約0度〜15度、約0度〜20度、約0度〜25度、約0度〜30度、約0度〜35度、約0度〜40度、約0度〜45度、約0度〜50度、約0度〜55度、約0度〜65度、約0度〜70度、約0度〜75度、約0度〜80度、約0度〜85度、または約0度〜90度だけ平坦な位置から離れるように屈曲、撓曲および/または追従可能である、請求項1〜10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記筐体は、平坦なまたは最初の形態に対して屈曲、撓曲および/または追従した形態から、該筐体を付勢して前記最初の形態に戻す手段を備えている、請求項1〜11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記筐体は、上側部分および下側部分を含む、請求項1〜12の何れか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記上側部分および前記下側部分は、機械的手段および/または接着手段を用いて互いに組み合わされている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記筐体の前記2つの部分は共に、前記筐体を屈曲、撓曲および/または追従可能にする手段を備えている、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記筐体は、ヒンジまたは複数のヒンジを用いて非平坦面に適合および/または追従可能である、請求項1〜15の何れか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記ヒンジまたは前記複数のヒンジは、可撓性材料からなるかまたは可撓性材料を含む略n字状の部材から形成され、前記可撓性材料は、屈曲、撓曲および/または追従の度合いを制限するように設計されており、該制限は、さらなる曲げを不可能にするような伸長によってなされる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記筐体は、患者と接触することが意図される該筐体または表面が、屈曲、撓曲および/または追従する量を制限する手段を備える、請求項1〜17の何れか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記筐体は、移動可能な量を制限することができる停止手段を備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記停止手段は、前記筐体を屈曲、撓曲および/または追従可能にする少なくとも1つの手段または複数の手段を貫通する細長部材の形態であり、前記筐体の一部に対して当接および/または突き当たることにより屈曲、撓曲および/または追従量が制限されるように構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
患者との接触が意図される前記筐体の表面は、約0.1cm〜500cm、約0.1cm〜250cm、約0.1cm〜100cm、約1cm〜100cmまたは約5cm〜50cmの表面積を有する、請求項1〜20の何れか一項に記載の装置。
【請求項22】
患者との接触が意図される前記筐体の表面は、約0.01cm超、約0.1cm超、約1cm超、約5cm超、約10cm超、約50cm超または約100cm超の表面積を有する、請求項1〜21の何れか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記筐体は、プラスチック材料、複合材料および/または金属ベースの材料から作製されるか、またはプラスチック材料、複合材料および/または金属ベースの材料を含む、請求項1〜22の何れか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記筐体は、その少なくとも一部または全周にわたる貼着シートを含む、請求項1〜23の何れか一項に記載の装置。
【請求項25】
薬物および/または化学物質を患者の被処置領域に送達することができる薬物および/または化学物質の供給源も備える、請求項1〜24の何れか一項に記載の装置。
【請求項26】
約300nm〜3000nm、約300nm〜1500nm、約300nm〜800nmまたは約370nm〜700nmの範囲内で動作することができる光源を備える、請求項1〜25の何れか一項に記載の装置。
【請求項27】
完全自給式の携帯用ユニットである、請求項1〜26の何れか一項に記載の装置。
【請求項28】
治療処置および/または美容処置を行う方法であって、
患者の被処置領域に光を分散させることができる光源を準備すること、および
前記光源の少なくとも一部を包囲する筐体を準備すること、を含み、
前記筐体および電子機器が、非平坦面に適合および/または追従可能である、方法。
【請求項29】
前記処置は光線力学的療法または光線療法である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ガン(例えば皮膚ガン)、座瘡、皺、創傷治癒、老化防止の処置および美容用途において見られるような皮膚レーザー後の処置における、請求項1〜27の何れか一項に記載の装置の使用。
【請求項31】
上述の、かつ/または図1、図2および図3に示されるような装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−510308(P2012−510308A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538059(P2011−538059)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051629
【国際公開番号】WO2010/064036
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511132155)アンビケア・ヘルス・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】