説明

半透過反射型カラー液晶表示装置

【課題】 透過モード時の表示の明るさが良好で、しかも反射モード時の表示が明るく、鮮明にできる半透過反射型カラー液晶表示装置の提供。
【解決手段】 赤用フィルタ13r,緑用フィルタ13g,青用フィルタ13bが各画素に設けられた液晶表示パネル9と、液晶表示パネル9を裏面側から照明する照明装置5と、液晶表示パネル9の内側に形成され、液晶表示パネル9の各画素に対応する位置に光を透過させる開口32が3つ形成された半透過反射膜12とを備えたカラー液晶表示装置であって、上記各画素に設けられたフィルタ13r,13g,13bはそれぞれ上記3つの開口32上に形成され、該開口32の周囲の反射膜上に上記フィルタは実質的に形成されていない反射部露出部45が形成されたことを特徴とする半透過反射型カラー液晶表示装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半透過反射膜を備えたカラー液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や携帯用ゲーム機などの携帯電子機器では、そのバッテリ駆動時間が使い勝手に大きく影響するために、消費電力を抑えることができる半透過反射型液晶表示装置を表示部として備えている。半透過反射型液晶表示装置には、例えば、その前面から入射する外光を反射させるとともに裏面側のバックライト光を透過させる開口が形成された半透過反射膜などが備えられている。
こうした半透過反射型の液晶表示装置のうち、カラー表示に対応したものは、赤,緑,青の三原色を発色させるカラーフィルタと、これら各々のカラーフィルタに対応する位置にバックライト光を透過させる開口を形成した半透過反射膜を備えている(例えば、特許文献1)。このような従来の半透過反射型カラー液晶表示装置では、上記半透過反射膜の開口の周囲の反射部上にはカラーフィルタが存在している。
モバイル用途の機器では、外光を利用した反射時の見栄えの点で拡散性光源下での反射率は5%以上あることが好ましく、また透過率は搭載する光源の明るさにも依存するが、室内や十分な視認性を得る為には、一般的に透過率は3%以上であることが好ましいとされている。
【特許文献1】特開平11−183892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが従来の半透過反射型カラー液晶表示装置においては、上記開口の各画素毎の開口率が20%〜25%であるために、半透過反射膜の画素対応領域における反射領域(反射部)の割合が大きく、このためバックライト光を使用しない反射モード時は明るい表示が得られるが、バックライト光を使用する透過モード時は表示が暗くなってしまう。例えば、上記開口率が20%〜25%の場合、反射のNTSC(National Television Standards Committee)比は拡散性光源の場合約15%程度,平行光光源の場合約30%程度であり、反射明るさは拡散光源の場合5%程度である。 また透過NTSC比は25〜35%であるが、透過率は1.5%程度になってしまい透過モードでは十分な明るさを得られない。
そこで、透過モード時に明るく、鮮明な表示を得るために上記開口率を40%〜約60%にしたものが考えられている。このようにすると、透過率は3〜5%程度得られるが、反射領域の割合が小さくなるために、反射モード時の表示が暗くなってしまうという問題があった。例えば、上記開口率が40%〜約60%の場合、透過のNTSC比は25〜35%であり透過率は3〜5%程度であるが、反射の明るさは拡散光源で3.5%以下 はなはだしくは1%程度になってしまう。
ここでNTSC比とは、カラー表示素子の色再現性を表す指標のひとつで、色度図上で赤・緑・青の3原色の点を結んでできる3角形の面積に対するその表示素子(本発明では液晶表示素子)が示す3原色の点が作る3角形の面積の比で定義される。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、透過モード時の表示の明るさが良好であり、しかも反射モード時の表示が明るく、鮮明にできる半透過反射型カラー液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、赤,緑,青の3原色光をそれぞれ発色させる赤用フィルタ,緑用フィルタ,青用フィルタのうち、少なくともいずれか1つ以上のカラーフィルタが各画素に設けられた液晶表示パネルと、上記液晶表示パネルを裏面側から照明する照明装置と、上記液晶表示パネルの外側または内側に形成され、上記液晶表示パネルの各画素に対応する位置に光を透過させる開口が各画素に設けるカラーフィルタの数に応じて形成された半透過反射膜とを備えたカラー液晶表示装置であって、
上記各画素に設けられた上記フィルタは、該フィルタが設けられた画素に対応する半透過反射膜の画素対応領域に形成された上記開口上に形成され、該開口の周囲の反射膜上に上記フィルタが実質的に形成されていない反射部露出部が形成されたことを特徴とする半透過反射型カラー液晶表示装置が提供される。
【0006】
上記の構成の本発明の半透過反射型カラー液晶表示装置においては、上記液晶表示パネルの内に上記半透過反射膜が内蔵され、該半透過反射膜上に上記赤用フィルタ,緑用フィルタ,青用フィルタが直接設けられていてもよい。
上記のいずれかの構成の本発明の半透過型カラー液晶表示装置を平面視したとき、前記半透過反射膜の開口上に形成されたカラーフィルタと、該開口の周囲の反射膜との重複幅が目視で視認されない幅にされていることが好ましい。
このような重複幅としては、10μm以下であれば良く、またアライメント精度を考慮して5μm以下とされていることが好ましい。
【0007】
また、本発明の半透過反射型カラー液晶表示装置においては 上記各画素に設けられたカラーフィルタは、該カラーフィルタが設けられた画素に対応する半透過反射膜の画素対応領域に形成された上記開口上のみに形成されていることが好ましい。
また、上記のいずれかの構成の本発明の半透過反射型カラー液晶表示装置においては、上記開口の各画素毎の開口率が30%〜70%であることが好ましく、より好ましくは40%〜60%とされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の半透過反射型カラー液晶表示装置においては、上記開口の周囲の反射膜上には上記フィルタが形成されていない反射部露出部が設けられたことにより、開口の周囲の反射膜上にカラーフィルタが形成された従来タイプに比べて反射効率を向上できるので、透過モード時の表示の明るさが良好で、しかも反射モード時の表示を極めて明るく、鮮明にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態の半透過反射型カラー液晶表示装置の概略を示す拡大断面図である。図2は、図1のカラー液晶表示装置の各画素に備えられた3つのドットの各ドット(サブピクセル)に形成されたカラーフィルタと、各ドットに対応する半透過反射膜のドット対応領域に形成された開口部の配置を示す平面図である。
本実施形態のカラー液晶表示装置1は、液晶層30を挟持して対向する透明なガラスなどからなる第1の基板(下基板)10と、第2の基板(上基板)20とをこれら2枚の基板10、20の周縁部に環状に設けられたシール材40で接着一体化した液晶表示パネル9と、照明装置であるバックライト5とから構成されている。
【0010】
第1の基板10の液晶層30側には順に、半透過反射膜12に後述する凹部(ディンプル)31を形成するための有機膜11と、カラー液晶表示装置1に入射した光を反射させ、またバックライト5からの光を透過させる半透過反射膜12と、カラー表示を行うためのカラーフィルタ13と、有機膜11と半透過反射膜12を被覆して保護するとともに有機膜11やカラーフィルタ13による凹凸を平坦化するための透明なオーバーコート膜14と、液晶層30を駆動するための電極層15と、液晶層30を構成する液晶分子の配向を制御するための配向膜16とが積層形成されている。また、第2の基板20の液晶層30側には順に、液晶層30を駆動するための電極層25、電極層25による凹凸を平坦化するための透明なオーバーコート膜24、液晶層30を構成する液晶分子の配向を制御するための配向膜26が積層形成されている。
【0011】
第1の電極15と第2の電極25は、いずれも短冊状の平面形状であり、平面視ストライプ状に配列されている。第1の電極15と第2の電極25は、光透過性を有する透明電極材料から構成されている。第1の電極15は図示左右方向に延在している。そして、第1の電極15の延在方向と第2の電極25とは平面視において互いに直交するように配置されている。従って、一つの第1の電極15と一つの第2の電極25とが交差する位置にそれぞれ液晶表示パネル9の1ドットが形成され、それぞれのドットに対応して後述する3色のカラーフィルタのうち1色のカラーフィルタが配置されるようになっている。
そして、赤(R)、緑(G)、青(B)に発色する3ドットが、図2に示すように液晶表示パネル9の1画素13cを構成している。この液晶表示パネル9には、その平面視においては矩形状の表示領域内に多数の画素13cがマトリックス状に配置された構成とされている。
【0012】
有機膜11は、その上に形成されている半透過反射膜12に凹部31を与えて反射光を効率よく散乱させるために設けられているものである。このように半透過反射膜12に凹部31を形成することにより、カラー液晶表示装置1に入射する外光を効率よく反射することができるため、外光反射による照明時における明るい表示を実現することができる。
【0013】
半透過反射膜12は、例えば、アルミニウム又は銀又はこれらの合金など高反射率の金属薄膜などで形成されている。半透過反射膜12には、液晶表示パネル9の各画素に対応する領域(画素対応領域)に開口32が形成されている。こうした開口32は、バックライト(照明装置)5から照射された光が金属薄膜などで形成された半透過反射膜12を透過できるようにするためのものである。各画素対応領域に形成される開口32の数は、各画素に設ける上記フィルタの数に応じて設けられている。本実施形態では液晶表示パネル9の各画素毎にカラーフィルタ13r、13g、13bが設けられているので、上記画素対応領域は開口32が3つ設けられている。開口32の各画素毎の開口率(画素対応領域に形成された開口の面積の合計/画素の面積)が30%〜70%が好ましく、より好ましくは40%〜60%とされている。
この半透過反射膜12の開口32は透過領域として作用し、開口32の周囲の反射膜(金属薄膜)は反射領域33として作用する。
この半透過反射膜12の上には、カラーフィルタ13が形成されている。
【0014】
カラーフィルタ13は、例えば光の三原色である赤(R),緑(G),青(B)の3原色をそれぞれ発色させるRのカラーフィルタ(赤用フィルタ)13r,Gのカラーフィルタ(緑用フィルタ)13g,Bのカラーフィルタ(青用フィルタ)13bからなり、これら3色のカラーフィルタが繰り返しパターンで形成されればよい。各カラーフィルタは、それぞれ対応する第2の電極25と第1の電極15の交差する位置の下側に形成され、各画素13c毎にカラーフィルタ13r、13g、13bの組が配置されている。そして、それぞれのカラーフィルタ13r、13g、13bと対応する電極を駆動制御することで、画素13cの表示色が制御されるようになっている。
図1と図2に示すようにカラーフィルタ13r、13g、13bは、それぞれ、3つの開口32上に形成されており、すなわち、本実施形態では3つのカラーフィルタと3つの開口32は一対一対応になっている。ここでの3つの開口32は、カラーフィルタ13r、13g、13bが設けられた画素に対応する半透過反射膜の画素対応領域に形成されたものである。
また、各開口32の周囲の反射膜(金属薄膜)上はカラーフィルタが形成されていないため、反射膜が露出した反射部露出部45とされている。
開口32上に形成されたカラーフィルタと、該開口32の周囲の反射膜の重複幅Wは,目視で視認されない幅にされていることが好ましく、例えば10μm以下であれば良く、アライメント精度を考慮して5μm以下とされていることが好ましい。
【0015】
なお、カラーフィルタ間は隙間が開いているが、この隙間は上記透明なオーバーコート膜14で埋められているので、液晶層側から視たときにカラーフィルタ間に反射膜が認められる。
本実施形態の液晶表示装置では、半透過反射膜の開口部周囲が透過状態で色の混色を防止する機能を果たすため、従来から知られているブラックマトリクスが不要で、かつ、反射型ではブラックマトリクスの黒パターンが存在しないため、表示画面の明るさを損なうことがない。
本実施形態では各ドット36に対応する半透過反射膜の各ドット対応領域に開口32が一つづつ形成されている。開口32の各ドット毎の開口率(開口の面積/ドットの面積)が30%〜70%、好ましくは40%〜60%とされている。
【0016】
第1の基板10の液晶層30側と反対側(第1の基板10の外面側)に、位相差板及び偏光板からなる積層フィルム18が設けられており、第2の基板20の液晶層30側と反対側(第2の基板20の外面側)には、位相差板27と、偏光板28がこの順で積層されている。
また、第1の基板10の積層フィルム18の外側には、カラー液晶表示装置1において透過表示を行うための照明装置としてのバックライト5が配設されている。
【0017】
図3を用いて有機膜11と半透過反射膜12について詳しく説明する。
図3は有機膜11と、その上に形成された半透過反射膜12を含む部分を示す斜視図である。この図に示すように、有機膜11の表面には、その内面が球面等の曲面の一部をなす多数の凹部11aが左右に重なり合うようにして連続して形成されており、その面上に半透過反射膜12が積層されている。こうした有機膜11の表面に形成された凹部11aによって、半透過反射膜12に凹部31が形成される。また、半透過反射膜12の一部には矩形の開口32が形成されている。こうした開口32は、例えば、エッチングによって形成されればよい。
【0018】
凹部31は、例えば深さを0.1μm〜3μmの範囲でランダムに形成し、隣接する凹部31のピッチを5μm〜50μmの範囲でランダムに配置し、凹部31内面の傾斜角を−30度〜+30度の範囲に設定することが望ましい。特に、凹部31の内面の傾斜角分布を−30度〜+30度の範囲に設定する点、および隣接する凹部31のピッチを平面全方向に対してランダムに配置する点が特に重要である。なぜならば、仮に隣接する凹部31のピッチに規則性があると、光の干渉色が出て反射光が色付いてしまうという不具合があるからである。
【0019】
また、凹部31の内面の傾斜角分布が−30度〜30度の範囲を超えると、反射光の拡散角が広がりすぎて反射強度が低下し、明るい表示が得られない(反射光の拡散角が空気中で36度以上になり、液晶表示装置内部の反射強度ピークが低下し、全反射ロスが大きくなるからである。)からである。さらに、凹部31の深さが3μmを超えると、後工程で凹部31を平坦化する場合に凸部の頂上が平坦化膜(オーバーコート膜14)で埋めきれず、所望の平坦性が得られなくなり、表示ムラの原因となる。
【0020】
隣接する凹部31のピッチが5μm未満の場合、有機膜11の凹凸形状を形成する加工型の製作上の制約があり、加工時間が極めて長くなる、所望の反射特性が得られるだけの形状が形成できない、干渉光が発生する等の問題が生じる。また、実用上、上記加工型の製作に使用しうる30μm〜100μm径の加工ツールを用いる場合、隣接する凹部31のピッチを5μm〜50μmとすることが望ましい。
このような構成によって、半透過反射膜12はバックライト5からの照明光Perを開口32で透過させるとともに、凹部31が多数形成された反射領域33で外光Nを効率よく反射させることができる。
【0021】
図4は、図3に示す半透過反射膜を上面から見た時の1ドット領域分の詳細な様子を示した拡大平面図である。開口32は、例えば図4に示したように矩形のドット対応領域36aのエッジ36bに寄せられるように形成されていてもよい。
図5に示すように、半透過反射膜12に形成される凹部31の特定縦断面Xにおける内面形状は、凹部31の一の周辺部S1から最深点Dに至る第1曲線Aと、この第1曲線Aに連続して凹部31の最深点Dから他の周辺部S2に至る第2曲線B1とからなる曲線形状である。これらの曲線A,B1は、凹部31の最深点Dにおいて、ともに平坦面Sに対する傾斜角がゼロとなり、互いに接続されている。
【0022】
第1曲線Aの平坦面Sに対する傾斜角は、第2曲線B1の傾斜角よりも急であって、最深点Dは、凹部31の中心Oからx方向にずれた位置にある。すなわち、第1曲線Aの平坦面Sに対する傾斜角の絶対値の平均値は、第2曲線B1の平坦面Sに対する傾斜角の絶対値の平均値より大きくなっている。本実施形態においても、複数形成された各々の凹部31を構成する第1曲線Aの傾斜角の絶対値の平均値は、1〜89°の範囲で互いに不規則にばらついていることが好ましい。また、各々の凹部31の第2曲線B1の傾斜角の絶対値の平均値も、0.5〜88°の範囲で互いに不規則にばらついていることが好ましい。
【0023】
上記両曲線A,B1の傾斜角は、凹部31の周辺部から最深点Dに至るまでなだらかに変化しているので、図5,6に示す第1曲線Aの最大傾斜角δaは(絶対値)は、第2曲線B1の最大傾斜角δbよりも大きくなっている。また、第1曲線Aと、第2曲線B1とが接する最深点Dの平坦面Sに対する傾斜角はゼロとなっており、この最深点Dにおいて傾斜角の正負が異なる両曲線A,B1がなだらかに連続している。
【0024】
例えば、各々の凹部31の最大傾斜角δaは、2〜90°の範囲内で不規則にばらついている。しかし、多くの凹部31は最大傾斜角δaが4〜35°の範囲内で不規則にばらついている。また、図5,6に示す凹部31は、その凹面が単一の極小点(傾斜角がゼロとなる曲面上の点)Dを有している。そしてこの極小点Dと平坦面Sとの距離が凹部31の深さdを形成し、この深さdは、多数形成された凹部31についてそれぞれ0.1〜3μmの範囲内で不規則にばらついている。
【0025】
複数の凹部31の第1曲線Aは、単一の方向に配向されていることが好ましい。このような構成とすることで、半透過反射膜12で反射された反射光の方向を、正反射の方向から特定の方向へずらすこともできる。その結果、特定縦断面の総合的な反射特性としては、第2曲線B1周辺の面によって反射される方向の反射率が増加したものとなり、特定の方向に反射光を集中させた反射特性とすることもできる。図7に、上記凹部31の第1曲線Aを単一の方向に配向させた半透過反射膜に入射角30°で外光を照射し、受光角を平坦面Sに対する正反射の方向である30°を中心として半透過反射膜の垂線位置(0°)から60°まで振った時の受光角(θ°)と明るさ(反射率)との関係を示す。
【0026】
図7から明らかなように、上記第1曲線Aが単一方向に配向された半透過反射膜では、反射特性が20°〜50°と広い範囲で高く、しかも平坦面Sに対する正反射の角度である30°より小さい受光角における反射率の積分値が、正反射の角度より大きい受光角における反射率の積分値より大きくなっている。すなわち、受光角20°付近においてより大きな反射強度を得ることができる。
【0027】
以上のような構成により、カラー液晶表示装置1では、例えば連続的に使用していない待ち受け時や時刻を確認する等の特には精細な表示を必要としない用途では、反射モードで動作させて使用している。
また日中の屋外などの外部環境が明るい場所で使用する場合は、ディスプレイの表面輝度が100nit(cd/m)程度と小さい場合には透過モード単独では見ずらいが、反射モードで動作させれば、外光が液晶表示パネル9に入射すると、金属薄膜などで形成された半透過反射膜12の開口32以外の反射領域(反射膜)33で反射され、液晶表示パネル9を明るく照らし出す。ここで開口32以外の反射領域上にはカラーフィルタが形成されていない反射部露出部45とされているので、反射膜上にカラーフィルタが形成された場合よりも反射効率を向上できる。従って、反射モード時では、反射領域33による明るい白黒の表示を実現できる。また日中の屋外などの外部環境が明るい場所で、視認性及び色再現性のよい精細な表示で見たい場合には、バックライトも併用すれば、(一般的に機器を使用している時には透過動作モードとなりバックライトが点灯する機器仕様が多い)透過モードの機器では視認性が悪い場合であっても反射による明るさと透過モードによる色を合わせた特性が実現できて視認性が一段と向上する。
一方、夜間や暗い室内など外部環境が暗い場所で使用する場合はバックライト5を点灯させて透過モードにするので、バックライト5から照射された照明光Perが半透過反射膜12の開口(透過領域)32を透過して液晶表示パネル9を明るく照らし出す。従って、透過モード時では、実質的に透過領域による明るいカラー表示を視ることになる。
【0028】
本実施形態のカラー液晶表示装置にあっては、開口32の周囲の反射膜(反射領域)上には上記フィルタが形成されていない反射部露出部45が設けられたことにより、開口32の周囲の反射膜上にカラーフィルタが形成された従来タイプに比べて反射効率を向上できるので、透過モード時の表示の明るさが良好で、しかも反射モード時の表示を明るく、鮮明にできる。
また、上記開口の各画素毎の開口率が40%〜60%と大きくしても、反射領域はカラーフィルタで覆われず、外部から入射した光の反射強度を大きくできるので、透過モード時の表示を鮮明にできるとともに、反射モード時の表示を明るくできる。
【0029】
具体例を挙げると、ドット毎のアクティブ率が75〜80%、開口32の各ドット毎の開口率が40%〜60%、反射領域33は全て露出(カラーフィルタで覆われていない)した場合の各ドット毎の割合(反射部率)が15%〜40%、の実施例の半透過反射型カラー液晶表示装置では、透過のNTSC比は25〜35%,透過率は3〜5%程度であり、反射NTSC比はほぼ0%であるが、反射の明るさは拡散性光源下で10〜5%と良好であった。加えるにバックライトが併用される場合には、透過モードで外部光源下で用いる場合に近い透過NTSC比と、反射モード時の明るい表示を合わせた特性が得られる。
一方、ドット毎のアクティブ率が75〜80%、開口32の各ドット毎の開口率が40%〜60%、反射領域33の各ドット毎の割合(反射部率)が15%〜40%、各ドット毎の反射領域33の露出割合が0%とした以外は上記実施例と同様にした比較例の半透過反射型カラー液晶表示装置では、透過のNTSC比は25〜35%であり、拡散性光源時の反射の明るさは1〜3.5%程度であり実用性に大きな問題があった。
【0030】
なお、上述した実施形態では、半透過反射膜12の各ドット対応領域36aに開口32を一つづつ設け、この開口32の上に一つのカラーフィルタ(カラーフィルタ13r又は13g又は13b)を設けた場合について説明したが、図8のや図9に示す様に、半透過反射膜12の各ドット対応領域36aに複数(図8では2づつ)の開口32を設け、これら複数の開口32の上にそれぞれカラーフィルタを設ける(同じドット内に設ける複数のカラーフィルタの色は同じ色とされる)ようにしてもよい。なお、図8は、開口32の面積がいずれのドット領域36aにおいても同じ大きさにされている(カラーフィルタの色がR、G、Bのいずれの色であっても、カラーフィルタの下に形成された開口部の面積は同じ大きさにされている)が、カラーフィルタの色に応じて開口32の面積が変えられたものであってもよく、例えば図9に示すようにRのカラーフィルタ13rの下に形成された開口32の面積S、Gのカラーフィルタ13gの下に形成された開口32の面積S、Bのカラーフィルタ13bの下に形成された開口32の面積Sとしたとき、S<S≦Sとされていてもよい。
また、上述した実施形態では、半透過反射膜に凹部を形成しているが、これ以外にも、半透過反射膜の表面に微細な凸部を多数形成したものにも、全く同様に適用可能である。 また、上述した実施形態では半透過反射型カラー液晶表示装置が、パッシブマトリックス型液晶表示装置である場合について説明したが、本発明に係わる半透過反射型カラー液晶表示装置はTFT素子やTFD等をスイッチング素子に用いたアクティブマトリックス型液晶表示装置に適用することも可能で、この場合においても本発明の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態の半透過反射型カラー液晶表示装置を示す断面図。
【図2】図1のカラー液晶表示装置の各画素に備えられた3つのドットの各ドットに形成されたカラーフィルタと、各ドットに対応する半透過反射膜のドット対応領域に形成された開口部の配置を示す平面図。
【図3】図1に示す半透過反射膜の一部分の拡大斜視図。
【図4】図1に示す半透過反射膜の1画素分の拡大平面図。
【図5】図1に示す半透過反射膜に形成された凹部を模式的に示す斜視図。
【図6】図5に示す凹部の縦断面Xにおける内面形状を示す断面図。
【図7】図1に示す半透過反射膜の反射特性例を示すグラフ。
【図8】本実施形態のカラー液晶表示装置の各画素に備えられた3つのドットの各ドットに形成されたカラーフィルタと、各ドットに対応する半透過反射膜のドット対応領域に形成された開口部の配置の他の例を示す平面図。
【図9】本実施形態のカラー液晶表示装置の各画素に備えられた3つのドットの各ドットに形成されたカラーフィルタと、各ドットに対応する半透過反射膜のドット対応領域に形成された開口部の配置の他の例を示す平面図。
【符号の説明】
【0032】
1・・・半透過反射型カラー液晶表示装置、5・・・バックライト(照明装置)、9・・・液晶表示パネル、12・・・半透過反射膜、13・・・カラーフィルタ、13c・・・画素、13r,13g,13b・・・カラーフィルタ(フィルタ)、31・・・凹部(ディンプル)、32・・・開口(透過領域)、33・・・反射領域、36・・・ドット、36a・・・ドット対応領域、45・・・反射部露出部、W・・・重複幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤,緑,青の3原色光をそれぞれ発色させる赤用フィルタ,緑用フィルタ,青用フィルタのうち、少なくともいずれか1つ以上のカラーフィルタが各画素に設けられた液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルを裏面側から照明する照明装置と、前記液晶表示パネルの外側または内側に形成され、前記液晶表示パネルの各画素に対応する位置に光を透過させる開口が各画素に設けるカラーフィルタの数に応じて形成された半透過反射膜とを備えたカラー液晶表示装置であって、
前記各画素に設けられた前記カラーフィルタは、該カラーフィルタが設けられた画素に対応する半透過反射膜の画素対応領域に形成された前記開口上に形成され、該開口の周囲の反射膜上は前記カラーフィルタが実質的に形成されていない反射部露出部とされたことを特徴とする半透過反射型カラー液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶表示パネル内に前記半透過反射膜が内蔵され、該半透過反射膜上に前記赤用フィルタ,緑用フィルタ,青用フィルタが直接設けられたことを特徴とする請求項1に記載の半透過反射型カラー液晶表示装置。
【請求項3】
前記半透過型カラー液晶表示装置を平面視したとき、前記半透過反射膜の開口上に形成されたカラーフィルタと、該開口の周囲の反射膜との重複幅が目視で視認されない幅にされていることを特徴とする請求項1又は2記載の半透過反射型カラー液晶表示装置。
【請求項4】
前記半透過反射膜の開口上に形成されたカラーフィルタと前記開口の周囲の反射膜反射膜との重複幅が10μm以下である請求項1、2又は3記載の半透過反射型カラー液晶表示素子。
【請求項5】
前記各画素に設けられたカラーフィルタは、該カラーフィルタが設けられた画素に対応する半透過反射膜の画素対応領域に形成された前記開口上のみに形成されたことを特徴とする請求項1記載の半透過反射型カラー液晶表示装置。
【請求項6】
前記開口の各画素毎の開口率が40%〜60%であることを特徴する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半透過反射型カラー液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−30255(P2006−30255A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204462(P2004−204462)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】