単一ハンドルを備えるマルチアプリケータパッケージ
浸漬タイプマルチアプリケータシステムは、単一容器及び単一ハンドルを備える。容器は、二つ以上の隣接する開口部を有し、各開口部は、それ自体のアプリケータを受け取ることができる。ハンドルを、唯一のアプリケータと接合する選択機構も設けられている。選択機構を、回転式カムシステム、回転式磁石セレクタシステム、摺動カムシステムなどとすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品及びパーソナルケアアプリケータの分野である。より具体的には、本発明は、マルチアプリケータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品アプリケータは、塗布表面からターゲット表面へ多量の製品を供給するように設計されている。「塗布表面」とは、皮膚又は毛髪のようなターゲット表面へ転移する製品を搭載するように設計されたアプリケータの部分を意味する。最低でも、製品アプリケータは、塗布表面と、アプリケータを把持し操作するのに使用されるハンドルに塗布表面を接続する構造体とを備える。明細書全体を通じて、アプリケータの「近位端」とは、ハンドル付近の部分を意味し、「遠位端」とは、塗布表面が位置する部分を意味する。明細書全体を通じて、「マルチアプリケータ」、「マルチアプリケータシステム」又は「マルチアプリケータパッケージ」などとは、(単一製品アプリケータ上で時々見掛けるような二つだけの別個の塗布表面ではなく)少なくとも二つの別個の製品アプリケータを有する消費者製品パッケージを意味する。そのようなシステムは、本明細書に説明されているシステムよりも劣っているが、既知である。
【0003】
例えば、細長い容器を備えるシステムがあり、容器は、二つの開口部を有し、一つは、容器のどちらか一方の端にある。別個のアプリケータは、各開口部内に配置されている。例えば、米国特許第4972858号を参照されたい。容器を分割することができ、その結果、各アプリケータが、別個のリザーバに入っており、又は、(第4972858号特許のような)各ブラシが両側から入り、リザーバが一つしかない場合がある。各アプリケータは、それぞれの開口部の閉鎖具として作用するハンドルを備える。複数のアプリケータと、容器の異なる部分から異なる方向に突出するハンドルとを備える場合、アプリケータシステムは、同等の製品体積を有する単一アプリケータシステムよりも著しく大きい。従って、本発明とは異なり、この種のマルチアプリケータシステムは、二つ以上のアプリケータハンドル及び特大パッケージを特徴とする。更に、両口容器を充填しキャップすることは、単一開口部を備える容器を充填し、本発明によるマルチアプリケータを用いてキャップすることよりも複雑であり、高価である。
【0004】
劣ったマルチアプリケータシステムの別の例として、中央に位置する細長い両口アプリケータが挙げられる。別個の容器は、各アプリケータに関連付けられている。両口アプリケータの中央部分は、容器ごとに片方ずつ、二つの閉鎖具として作用する。この設計は、米国特許第4972858号の欠点と同じ欠点の幾つかで苦しんでおり、すなわち、アプリケータシステムは、同等の製品体積を有する単一アプリケータシステムよりも著しく大きい。また、このシステムは、特注の両口アプリケータと二つの別個の容器の使用とを必要とする。従って、本発明とは異なり、この種のマルチアプリケータシステムは、二つ以上の容器、特注の両口アプリケータ及び特大パッケージが存在することを特徴とする。更に、両口アプリケータ/閉鎖具を二つの容器に固定することは、本発明のマルチアプリケータを単一容器に固定することよりも複雑であり、高価である。
【0005】
更なる別のタイプの劣ったマルチアプリケータシステムは、端と端で取り付けられた実質的に二つの完全な単一アプリケータシステムであるマルチアプリケータシステムを備える。例えば、米国特許第5509742号は、第1のアプリケータ及びハンドルに関連する第1のリザーバ、並びに、第2のアプリケータ及びハンドルに関連する第2のリザーバを含む。二つのサブユニットは、端と端で接合されている。この場合も、化粧製品ユーザが精通している、より一般的な単一アプリケータシステムに類似しない二つの別個のリザーバ、二つのハンドル構造体及びパッケージが存在する。
【0006】
本発明は、製品を塗布することができる前に製品のリザーバに浸漬される必要がある表面を備えるタイプのアプリケータに焦点を合わせる。これらを「浸漬タイプアプリケータ」と称する。使用中、浸漬タイプアプリケータは、製品のリザーバに浸漬され、その後、製品を供給するためにリザーバから物理的に分離される。異なるタイプのアプリケータは、アプリケータの内側に製品のリザーバを有する。このタイプの「リザーバアプリケータ」を用いて製品を塗布する前に、製品は、リザーバから、アプリケータの外部表面に面している出口オリフィスへ運搬される必要がある。アプリケータ表面は、リザーバから決して物理的に分離されない。マルチアプリケータシステムにおけるこのタイプのアプリケータの一例として、多色ボールペンが挙げられる。ペンは、複数のインクリザーバを収納し、各インクリザーバは、塗布表面、すなわち、ボールに取り付けられている。典型的には、ユーザは、幾つかのボタンの一つを押し下げることにより色インクを選択する必要があり、これにより、選択された色のボールをペンから延長させる。本発明とは異なり、ボールは、リザーバに決して浸漬されず、リザーバから決して分離されない。パーソナルケア及び化粧品分野において、リザーバアプリケータは、分離可能な「浸漬タイプアプリケータ」の利点のすべてを持っているとは限らない。一例として、リザーバアプリケータは、多量の製品を延長表面積へ塗布するのに一般的に非効率であり、リザーバアプリケータは、所定サイズのパッケージに対して一般的にわずかな製品しか保持せず、リザーバアプリケータを、容易に流れない、より粘着性のある製品と共に使用することができないなどが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、パーソナルケア分野において、単一ハンドル及び単一容器の浸漬タイプマルチアプリケータパッケージが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来技術の問題の幾つかを解決する本発明の特徴の一つは、アプリケータを互いに近接して置き、アプリケータを互いに並列させるように開口部を容器内に配置することである。「並列アプリケータ」とは、遠位端のすべてが並んでおり、かつ、近位端のすべてが並んでおり、近位端が単一ハンドルと接合することができることを意味する。米国特許第4972858号では、遠位端は並んでいるが、近位端は並んでいない並列アプリケータが示されている。‘858号特許のアプリケータの配置を、非並列であると称することができ、本発明は、このタイプの配置と区別する。
【0009】
本発明は、単一容器及び単一ハンドルを備える浸漬タイプマルチアプリケータパッケージである。容器は、二つ以上の隣接する開口部を有する。各開口部は、それ自体の化粧品アプリケータを受け取ることができる。各アプリケータが容器内に配置されると、アプリケータの一部分は、開口部から突出する。ハンドルを、唯一のアプリケータの突出する部分と接合する選択機構も設けられている。また、ハンドルは、容器の閉鎖具として作用する。選択機構を、回転式カムシステム、回転式磁石セレクタシステム、摺動カムシステムなどとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態によるマルチアプリケータパッケージの分解図である。
【図2】単一部品として成形された本発明のマルチアプリケータパッケージの容器を示す図である。
【図3】二つの部品として成形された本発明のマルチアプリケータパッケージの容器を示す図である。
【図4】二つのリザーバに内部分割された本発明のマルチアプリケータパッケージの容器を示す図である。
【図5】三つのリザーバに内部分割された本発明のマルチアプリケータパッケージの容器を示す図である。
【図6】図1の実施形態の組み立てられたマルチアプリケータパッケージの断面図である。
【図7】ハンドル及びアプリケータステムの接合を示す断面図である。
【図8】回転式内側及び外側セレクタカムを示し、いかなるアプリケータステムも選択されていないことを示す破断図である。
【図9】回転式内側及び外側セレクタカムを示し、アプリケータステムの一つが選択されていることを示す破断図である。
【図10】回転式内側及び外側セレクタカムを示し、アプリケータステムの一つが選択されていることを示す破断図である。
【図11】本発明の第2の実施形態によるマルチアプリケータパッケージ、すなわち、回転式磁石セレクタの分解図である。
【図12】本発明の第3の実施形態において使用することができるハンドル、すなわち、摺動カムセレクタを示す図である。
【図13】本発明の第3の実施形態において使用することができるハンドル、すなわち、摺動カムセレクタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、本発明によるマルチアプリケータシステムは、塗布すべき一つ以上の製品を保持し、二つ以上のアプリケータ(3)を保持する容器(1)を備える。容器は、容器が載置する下端(1a)と、上端(1b)とを有し、上端(1b)には、二つ以上の開口部(1c)が位置し、その上には、ハンドル(4)が載置する。開口部は、一つ以上のリザーバ(1d)を収納する容器の内部にアクセスできるようにする。容器の上端を、容器の主要部分と共に一体的に成形することができる。一部品型の容器は、図2に示され、ブロー成形又は任意の適切な既知の方法により作られることができる。或いはまた、容器の内部が、複数のリザーバに分割されている場合、主要な容器に後で取り付けられる別個の部分として上端を形成しておく必要がある。二部品型の容器は、図3に示され、射出成形又は任意の適切な既知の方法により作られることができる。容器が、内部分割されていなくても、(例えば、特定の形状を取得するため、)容器を二つの部品で実施することは、依然として望ましい。スナップ嵌合、溶接、接着、挿通などを含む任意の適切な方法により、上部品を主要な容器に連結することができる。リザーバ(1d)が一つしかない場合、二つ以上のアプリケータ(3)は、同じ製品に浸漬されている。リザーバが複数ある場合、すべてのアプリケータが、同じ製品に浸漬されているとは限らない。容器の内部を別個のリザーバに分割する方法は、プラスチック部品製造の技術分野において既知である。例えば、複数の区画を備えるプラスチック容器を、容器の下端から上端へ延在する内壁を備える容器を射出成形することにより形成することができる。図4は、二つのリザーバを備える容器を示し、図5は、三つのリザーバを備える容器を示す。
【0012】
開口部(1c)は、関連の化粧品アプリケータ(3)を収容するように寸法設定されている。開口部の形状及び大きさは、同じである必要はないが、実際には、開口部の形状及び大きさが同じであることは、一般的である。化粧品及びパーソナルケアアプリケータの場合、開口部は、通常、約1インチ(約2.54cm)を超えない。その理由は、開口部を貫通するアプリケータが、この程度である傾向にあるためである。リザーバが一つしかない場合、容器は、開口部を一つ有するだけで足りるように思えるが、この場合、そうではない。二つ以上の開口部(1c)の各々は、(一つ又はそれ以上の)リザーバにアクセスできるようにするだけでなく、また、開口部内に配置されたアプリケータステム及びアプリケータ表面を支援する。従って、本発明のマルチアプリケータパッケージは、二つ以上の開口部を備える容器を必要とする。任意選択的に、しかし、一般的には、開口部の一つ以上は、当該技術分野において周知のタイプのワイパ(又はオリフィスレデューサ)(2)を受け取ることができる。ワイパは、製品を塗布表面上に均等に分配し、余分な製品をアプリケータから除去する。典型的には、ワイパは、特定のアプリケータ及び特定の塗布効果に関して寸法決めされている。従って、各開口部は、同じタイプ又は異なるタイプのワイパを有することができる。
【0013】
図6を参照すると、各アプリケータ(3)は、ステム(3a)及び塗布表面(3b)を備える。ステムの遠位端(3c)は、塗布表面を直接的に又は中間部材を介して支援する。本発明の主要な実施形態では、ステム及び塗布表面の両方は、開口部(1c)又はワイパ(2)(図1参照)を通り抜けられるように寸法設定されている。塗布表面が、リザーバに完全に挿入された時、容器(1)の底又は底付近に載置するように、ステムを寸法設定するのが好ましい。ステム及び塗布表面を、任意の既知の方法に従って連結することができる。
【0014】
塗布表面(3b)を、身体の任意の部分へ塗布するために化粧品及びパーソナルケアで一般的に使用される任意のタイプとすることができる。例えば、塗布表面を、マスカラ、ファンデーション、毛髪着色剤、リップ製品、粉おしろい製品又はスキントリートメント製品に適するタイプとすることができる。局所製剤を塗布するのに使用されているか、又は、使用される事実上いかなるタイプのアプリケータ表面も、本発明において利用することができる。使用することができるもう一つのタイプのアプリケータは、液体ドロッパである。液体ドロッパは、これまで述べてきた意味では、塗布表面を持たなくてもよいが、それにもかかわらず、本発明において、液体ドロッパを収容することができる。
【0015】
各ステム(3a)が、容器(1)内に完全に着座すると、ステム(3a)の近位端(3d)は、容器の上端(1b)から突出する。ステムの近位端は、ハンドル(4)の選択手段と整合し整合解除するように設計されている。ステム及びハンドルの整合の一例は、ハンドルの機構に対して相補的な形状をステムの近位端(3d)に与えることである。別の例は、磁石、又は、磁界に応答する機構をステムの近位端に与えることである。一般には、ステム及びハンドルの相対方位は、ステム及びハンドルが接合を形成するか否かを決定する。ハンドルは、一度に一つだけのステムと接合するのが好ましい。ハンドル及びステムに関し、明細書全体を通じて、「接合する」及び「接合」などとは、容器からハンドルを持ち上げると、接合されたステム及び塗布表面が容器から持ち上げられ、その一方で、他のすべてのアプリケータ(3)は、容器に残ったままであるように、ハンドル及びステムが物理的に連結され、単一の作業ユニットを形成することを意味する。
【0016】
ハンドル(4)は、製品を塗布する時に、ユーザが通常、把持する装置の部分である。ハンドルは、手にフィットし、パーソナルケア及び化粧用製品の塗布のために操作されるように設計されている。前述したように、ハンドルは、各ステム(3a)の近位端(3d)と一度に一つだけ整合し、整合解除するように設計されている。従って、容器内の開口部(1c)の配置は、単一ハンドルが開口部(1c)のすべてと相互作用することができるように構成される必要がある。このことは、従来技術において上述されたような、アプリケータを容器の両側に有する設計を排除する。
【0017】
ハンドル(4)には、選択機構が設けられている。「選択機構」とは、ユーザがハンドルを、いずれか一つの唯一のアプリケータステム(3a)と整合させることができ、異なるアプリケータステムを選択するため、又は、場合によって、いかなるステムも選択しないため、ユーザが好きなだけ整合を変更することができる機構を意味する。そのような選択機構が設けられたハンドルは、「アプリケータ選択ハンドル」と称することができる。本明細書に説明されている幾つかの実施形態では、選択機構は、回転に関連する。すなわち、ハンドルを回転させることにより、各ステムは、連続して選択され選択解除される。従って、アプリケータが、容器(1)に依然として浸漬されながら、ハンドルは、360°の少なくともある部分まで容器上を自由に回転する必要がある。ハンドルは、各アプリケータを連続的に係合する程度まで回転すればよく、又は、ハンドルは、停止することなく、自由に回転することができる。ハンドルは、両方向に又は一方向のみに自由に回転することができるが、一方向のみの場合、ハンドルは、停止することなく、その方向に自由に回転する必要がある。ハンドルが、アプリケータステムと整合した各位置では、使用する消費者が、容器からハンドル及びアプリケータを完全に持ち上げることが可能である必要がある。
【0018】
第1の実施形態
アプリケータ選択ハンドル(4)の第1の実施形態は、図1の分解図に示されている。この実施形態では、ハンドルは、開口部(1c)を被覆し、閉鎖位置では、ハンドルは、容器(1)上に載置する。好適な実施形態では、ハンドル及び容器は、同心である。ハンドルを容器に対して依然として自由に回転させることができるが、ハンドル及び容器は、ハンドルを容器上で保持する協働機構によって、ユーザにより克服されない限り接触状態にしておかれる。例えば、ハンドルの内壁は、容器の外側上の円周突起を受ける円周溝を有することができる。容器に取り付けられている間、容器に対して回転するハンドルの機構は、本明細書に開示されている第1及び第2の実施形態に関連する。
【0019】
ハンドルは、内側セレクタカム(4b)及び外側セレクタカム(4c)を備え、これら両方は、ハンドルハウジング(4a)内に同心的に収納される。内側及び外側セレクタカムは、ハンドルハウジングの内側に取り付けられ、その結果、ハンドルが回転する時、内側及び外側セレクタカムも回転する。この配置の更なる詳細は、図7に示されており、この断面図において、ハンドルの最下部分を除いたすべてのハンドルは、削除されている。内側セレクタカムは、ハンドルの内部から、かつ中央に垂下し、第1の接合部分(4d)を有する。外側セレクタカムは、ハンドル内部と嵌合するスリーブとして形成され、第2の接合部分(4e)を有する。図8では、第2の接合部分は、外側セレクタカムの壁に隆起部として形成されている。第1及び第2の接合部分は、互いに対向して配置されている。従って、ハンドルが、容器(1)上に着座しながら、ユーザが、ハンドルを回転させると、第1及び第2の接合部分も回転する。
【0020】
この実施形態では、ステム(3d)の近位端には、内側セレクタカム(4b)及び外側セレクタカム(4c)の第1の接合部分(4d)及び第2の接合部分(4e)に相補的な形状が設けられている。ワイパより上に突出する各ステムの近位端(3d)は、下側フランジ(3e)及び上側フランジ(3f)(図1参照)を有する。図示されているように、下側フランジは、上側フランジよりも大きく、ワイパの開口部を完全に被覆するように寸法設定され、その結果、下側フランジは、ワイパを密閉できる場合がある。上側フランジと下側フランジとの間の空間は、内側セレクタカムの第1の接合部分及び外側セレクタカムの第2接合部分が上側フランジと下側フランジとの間に入ることができるだけで充分である。接合部分がステムに対してぴったりと嵌合し、ステムと頑丈な接合を形成するように、空間を構成すべきである。その時点で、ステム及びハンドルは、事実上一つのユニットである。この配置は、図9及び図10に示されている。この時点で、ハンドルが、容器から持ち上げられる場合、接合されたステムも、容器から上昇し、その一方で、接合されていないステムは、容器に残ったままである。アプリケータが、容器に戻されると、ユーザは、ハンドルを自由に回転させることができ、第1及び第2の接合部分をステムのフランジの下から移動させることにより、ハンドルとステムとの間の接合を遮断する。更なる回転は、ハンドルを他のステムと接合させる。
【0021】
今説明した実施形態を汎用化することができる。第1及び第2の接合部分並びにステムのフランジの厳密な機構は、変形の余地がある。しかしながら、回転カムタイプの配置を介して複数のアプリケータステムと連続的に接合する回転アプリケータ選択ハンドルの機構は、今までにない。
【0022】
第2の実施形態
本発明の別の実施形態は、図11に示されている。この実施形態の主要な部品は、容器(101)及びハンドル(104)である。容器は、リザーバ(101d)及び上端(101b)を備える。図11では、容器の上端は、容器の残りの部分から分離して作られているが、これは、選択できる問題である。別々に作られる場合、上端及びリザーバは、一つのユニットを形成するために後で連結される。一般には、容器の上端は、アプリケータステム(103a)が貫通する二つ以上の開口部(101c)と、ハンドルのピボット(104f)(詳細については下記参照)を受けるスロット(101f)とを有する。図11では、スロットは、円筒空間を画成する二つの湾曲した垂直壁として実装されている。単一の円筒壁、又は、任意数の他の設計により、円筒空間を画成することができる。各ステムが、容器内に完全に着座すると、ステムの近位端(103d)は、容器の上端から突出する。各ステムの近位端には、下側磁石材料(103g)が搭載されている。図11では、各ステムの上端は、平坦な円柱磁石又は磁石材料が配置される円形カップとして形成されている。
【0023】
ハンドル(104)は、ピボット(104f)及び上側磁石材料(104g)を備える。ピボットは、ハンドルの内部から垂下し、容器の上端(101b)のスロット(101f)内に配置できるほどの長さを有する。ピボットの形状は、スロットの形状に相補的であり、すなわち、図11において、円筒形状であり、ピボットは、スロットの内側に、ぴったりと、しかし、着脱可能に嵌合するように寸法設定されている。上側磁石材料も、ハンドルの内部から垂下する。
【0024】
上側及び下側磁石材料は、二つが近接していると、二つの材料が互いに引き付け合うという点では、相補的である必要がある。例えば、下側磁石材料を永久磁石とすることができ、上側磁石材料を常磁性体とすることができ、その逆も同様である。或いはまた、上側材料及び下側材料の両方を永久磁石とすることができるが、この場合、引力が、ハンドル(104)とステム(103a)との間で生成されるように、反対極を整列させるように注意する必要がある。
【0025】
ハンドル(104)は、ピボット(104f)をスロット(101f)に挿入することにより容器に取り付けられる。ハンドルは、容器の上端(101b)上に載置し、ハンドルを容器の上端に対して回転させることができる。ハンドルが、回転するにつれて、上側磁石材料(104g)は、各下側磁石材料(103g)を連続的に通過していく。上側磁石材料と下側磁石材料との間の隙間は、最小限である。使用中、ハンドルは、上側磁石材料が下側磁石材料の一つの上に載置するようになるまで回転する。磁界の影響下で、下側磁石材料(及びそのステム)は、上昇して上側磁石材料と接触し、ハンドル及びステムは、単一ユニットとして接合されるようになる。ハンドルを容器(101)から持ち上げることにより、接合されたステムをリザーバから取り出すことができ、消費者によって使用することができる。アプリケータが、容器に戻されると、ユーザは、ハンドルを自由に回転させることができ、上側磁石材料と下側磁石材料とを分離することにより、ハンドルとステムとの間の接合を遮断する。更なる回転は、ハンドルを他のステムと接合させる。確かに、ステムが、容器から引っ張り出され、使用され、容器内に戻される間、上側磁石材料と下側磁石材料との間の引力を、ハンドルとステムとの間の接続を維持するのに充分強くする必要がある。しかしながら、この力は、ユーザにとってハンドルを回転させるのが困難になるほど強くするべきではない。
【0026】
今説明した実施形態を汎用化することができる。ピボット(104f)及びスロット(101f)並びに上側磁石材料(104g)及び下側磁石材料(103g)の厳密な機構は、変形の余地がある。例えば、スロットをハンドル上に位置することができ、ピボットを容器上に位置することができる。しかしながら、磁気を介して複数のアプリケータステムと連続的に接合する回転アプリケータ選択ハンドルの機構は、今までにない。
【0027】
第3の実施形態
図12及び図13は、本発明の第3の実施形態において使用することができるハンドル、すなわち、摺動カムセレクタを示す。この実施形態は、三つ以上のアプリケータに適し得るが、二つのアプリケータにとって都合が良い。
【0028】
ハンドル(204)は、ハンドルの側面を貫通する平坦な摺動部材(204h)を備える。ユーザが、部材を把持することができ、部材をハンドルから滑り出し入れすることができるように、摺動部材の一部分は、ハンドルから突出する。図13は、上から摺動部材を示し、ハンドルの上部分は、切り取られている。摺動部材は、摺動部材を貫通する二つの孔(204i)を有する。各孔は、二つの部分、すなわち、狭い部分及び広い部分を備える。上述された第1の実施形態のように、各ステムの近位端は、ワイパより上に突出する。この場合、二つのアプリケータステムの先端は、ステムが摺動部材の二つの孔を貫通すると現れる。この場合も、各ステムは、下側フランジ(図示せず)及び上側フランジ(203f)を有する。上側フランジ及び下側フランジのこの配置は、図1(3e及び3f)の場合と同じである。下側フランジは、上側フランジよりも大きく、下側フランジが、摺動部材の孔の広い部分及び狭い部分を通り抜けることができないように寸法設定されている。上述のように、下側フランジは、ワイパを密閉するために使用することができる。上側フランジは、摺動部材内の孔の広い部分を通り抜けることができるが、狭い部分を通り抜けることができないように寸法設定されている。
【0029】
上側フランジと下側フランジとの間の空間は、摺動部材が下側フランジと上側フランジとの間に入ることができるだけで充分である。摺動部材がステムに対してぴったりと嵌合し、ステムと頑丈な接合を形成するように、空間を構成すべきである。(図13の左側の)一方の孔の狭い部分が、一方のアプリケータステムの上側フランジと下側フランジとの間に配置される場合、(図13の右側の)他方のアプリケータステムの上側フランジが、他方の孔の広い部分上に位置決めされるように、摺動部材(204h)内の孔(204i)の位置決めが構成されている。図13に示されるように、左側のステム及びハンドル(204)は、接合されており、事実上一つのユニットである。右側のステムは、ハンドルから分離されており、すなわち、ハンドルと接合されていない。
【0030】
この時点で、ハンドル(204)が、容器から持ち上げられる場合、接合されたステムも、容器から上昇し、その一方で、接合されていないステムは、容器に残ったままである。アプリケータが、容器に戻されると、ユーザは、摺動部材を自由に摺動させることができ、摺動部材をステムのフランジの下から移動させることにより、ハンドルとステムとの間の接合を遮断する。更なる摺動は、ハンドルを他のステムと接合させる。
【0031】
任意選択的に、摺動部材は、左右に摺動するように、ハンドルの一側面のみから突出することができ、又は、両側から突出することができる。摺動部材がハンドルの両側から突出する場合、どのアプリケータが現在選択されているかをより明確にユーザに示すことができる。
【0032】
更なる特徴
前述のすべてにおいて、アプリケータは、製品を塗布できる前に、製品のリザーバに浸漬されている必要がある表面を備えると示されている。しかしながら、原則として、塗布表面を製品自体とすることができる。例えば、ロッドの遠位端から垂下する固体又は半固体のスティック製品を容器内に配置することができる。ロッドの近位端は、上述されたアプリケータステムの近位端とほぼ同じである。例えば、口紅保持体カップをロッドの遠位端に取り付けることができ、口紅を保持体カップ内に配置することができる。幾つかのそのような口紅を単一容器内に配置することができ、本明細書に説明されているように、選択機構を備える単一ハンドルは、容器から一つの口紅を持ち上げるため、唯一選択されたロッドと接合することができる。この時点で、自由な又は固定しない製品で充填されたリザーバと、ロッドの端に取り付けられた製品を収納するリザーバとを区別する。前者は、製品をリザーバに入れ、リザーバから取り出す浸漬タイプアプリケータを必要とする。後者は、それを必要としない。
【0033】
任意選択的に、アプリケータの一つ以上をアプリケータ自体としなくてもよく、むしろ、製品を塗布しない化粧品ツール又はグルーミングツールとすることができる。そのようなツールをロッドの遠位端に取り付けることができ、空のリザーバ内に配置することができる。ロッドの近位端は、上述されたアプリケータステムの近位端とほぼ同じである。例えば、ツールを櫛(髪、まつげ、眉毛など)、ブラシ(髪、歯)、やすり、ピンセット、はさみなどとすることができる。有用であると判断することができる他の多くの補助道具又は装置が、適切なアプリケータの一つ以上の代わりになり得ることは明らかである。
【0034】
本発明の実施形態のいずれでも、どのアプリケータが現在選択されているか、又は、いかなるアプリケータも選択されていないかをユーザに通知する手段を設けることができる。そのような手段は、単に印をハンドルの外部上に備えるにすぎない。例えば、ハンドルが、アプリケータからアプリケータへ回転するにつれて、ハンドル上の矢印は、容器上の文字列の一部分を連続的に指し示していくことができる。また、戻り止めを使用して、触覚及び/又は聴覚による手掛かりをユーザに与えることができる。
【0035】
前述の実施形態のいずれでも、ハンドルを容器のキャップ又は閉鎖具として設計することができる。ハンドルには、使用中でない時に容器を密閉するため、容器に取り付ける手段を設けることができる。例えば、ハンドルは、容器の肩部上に摩擦嵌めすることができる。任意の周知の方法を、ハンドルの選択及び整合手段と干渉しない限り用いることができる。或いはまた、ハンドルから分離するオーバーキャップ又は閉鎖具を設けることができる。
【0036】
本発明は、単一容器及び単一ハンドルを備える浸漬タイプマルチアプリケータパッケージである。選択機構は、単一ハンドルに関連付けられており、選択機構により、ユーザは、ハンドルをいずれかの唯一のアプリケータと接合することができ、ユーザは、接合を好きなように変更することができる。本明細書に説明されているマルチアプリケータパッケージは、従来技術の欠点の多くで苦しまない。例えば、高さに関して、本発明のアプリケータシステムは、同等の製品体積を有する単一アプリケータシステムよりも著しく大きくはない。このことは、容器の異なる部分から、異なる方向に突出する複数のアプリケータ及び複数のハンドルを有する容器(米国特許第4972858号)とは異なっており、アプリケータの各端から突出する別個の容器を有する両口アプリケータとは異なっており、端と端で取り付けられた実質的に二つの完全な単一アプリケータシステムであるそれらマルチアプリケータシステム(米国特許第5509742号)とは異なっている。
【0037】
また、米国特許第4972858号のパッケージとは異なり、かつ、充填及びキャッピングが、より複雑で、より高価である両口アプリケータシステムとは異なり、本発明のマルチアプリケータパッケージを従来通りに充填することができキャップすることができる。例えば、これらパッケージの一つを充填するため、最初の開口部を、充填ノズルと整列させる必要があり、パッケージは、逆さに又は部分的に逆さにされることになるので、充填後、この開口部をキャップする必要があり、キャップした後、次の開口部を充填ノズルと整列させるため、間隙を介してパッケージを再方向付けする必要がある。本発明では、すべての開口部は、隣接し、パッケージの先端に位置する。パッケージは、充填のため、間隙を介して再方向付けされる必要がなく、キャップする前に、すべてのリザーバを充填することができる。更に、本発明は、特注の両口アプリケータを必要とすることも、端と端で互いに結合(すなわち、螺合)することができる二つの特注の容器の使用を必要とすることもなく、そのようなパッケージを充填しキャップする更なるコスト及び複雑性のすべてを必要としない。本発明は、従来技術とは異なり、一つの容器及び一つのハンドルしか必要としない。従来技術とは異なり、本発明は、ユーザが精通している単一アプリケータシステムに類似する。
【0038】
本明細書に説明されているように、アプリケータ選択ハンドルは、パーソナルケア及び化粧品消費財の分野において一意的である。従来技術に関する多くの問題は、本発明により同時に解決される。予期しなかったことは、単一設計が、特大パッケージ、高価な充填及びキャッピング、特注の部品の高価な要件及び消費者の熟知不足の問題に対処できることである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品及びパーソナルケアアプリケータの分野である。より具体的には、本発明は、マルチアプリケータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品アプリケータは、塗布表面からターゲット表面へ多量の製品を供給するように設計されている。「塗布表面」とは、皮膚又は毛髪のようなターゲット表面へ転移する製品を搭載するように設計されたアプリケータの部分を意味する。最低でも、製品アプリケータは、塗布表面と、アプリケータを把持し操作するのに使用されるハンドルに塗布表面を接続する構造体とを備える。明細書全体を通じて、アプリケータの「近位端」とは、ハンドル付近の部分を意味し、「遠位端」とは、塗布表面が位置する部分を意味する。明細書全体を通じて、「マルチアプリケータ」、「マルチアプリケータシステム」又は「マルチアプリケータパッケージ」などとは、(単一製品アプリケータ上で時々見掛けるような二つだけの別個の塗布表面ではなく)少なくとも二つの別個の製品アプリケータを有する消費者製品パッケージを意味する。そのようなシステムは、本明細書に説明されているシステムよりも劣っているが、既知である。
【0003】
例えば、細長い容器を備えるシステムがあり、容器は、二つの開口部を有し、一つは、容器のどちらか一方の端にある。別個のアプリケータは、各開口部内に配置されている。例えば、米国特許第4972858号を参照されたい。容器を分割することができ、その結果、各アプリケータが、別個のリザーバに入っており、又は、(第4972858号特許のような)各ブラシが両側から入り、リザーバが一つしかない場合がある。各アプリケータは、それぞれの開口部の閉鎖具として作用するハンドルを備える。複数のアプリケータと、容器の異なる部分から異なる方向に突出するハンドルとを備える場合、アプリケータシステムは、同等の製品体積を有する単一アプリケータシステムよりも著しく大きい。従って、本発明とは異なり、この種のマルチアプリケータシステムは、二つ以上のアプリケータハンドル及び特大パッケージを特徴とする。更に、両口容器を充填しキャップすることは、単一開口部を備える容器を充填し、本発明によるマルチアプリケータを用いてキャップすることよりも複雑であり、高価である。
【0004】
劣ったマルチアプリケータシステムの別の例として、中央に位置する細長い両口アプリケータが挙げられる。別個の容器は、各アプリケータに関連付けられている。両口アプリケータの中央部分は、容器ごとに片方ずつ、二つの閉鎖具として作用する。この設計は、米国特許第4972858号の欠点と同じ欠点の幾つかで苦しんでおり、すなわち、アプリケータシステムは、同等の製品体積を有する単一アプリケータシステムよりも著しく大きい。また、このシステムは、特注の両口アプリケータと二つの別個の容器の使用とを必要とする。従って、本発明とは異なり、この種のマルチアプリケータシステムは、二つ以上の容器、特注の両口アプリケータ及び特大パッケージが存在することを特徴とする。更に、両口アプリケータ/閉鎖具を二つの容器に固定することは、本発明のマルチアプリケータを単一容器に固定することよりも複雑であり、高価である。
【0005】
更なる別のタイプの劣ったマルチアプリケータシステムは、端と端で取り付けられた実質的に二つの完全な単一アプリケータシステムであるマルチアプリケータシステムを備える。例えば、米国特許第5509742号は、第1のアプリケータ及びハンドルに関連する第1のリザーバ、並びに、第2のアプリケータ及びハンドルに関連する第2のリザーバを含む。二つのサブユニットは、端と端で接合されている。この場合も、化粧製品ユーザが精通している、より一般的な単一アプリケータシステムに類似しない二つの別個のリザーバ、二つのハンドル構造体及びパッケージが存在する。
【0006】
本発明は、製品を塗布することができる前に製品のリザーバに浸漬される必要がある表面を備えるタイプのアプリケータに焦点を合わせる。これらを「浸漬タイプアプリケータ」と称する。使用中、浸漬タイプアプリケータは、製品のリザーバに浸漬され、その後、製品を供給するためにリザーバから物理的に分離される。異なるタイプのアプリケータは、アプリケータの内側に製品のリザーバを有する。このタイプの「リザーバアプリケータ」を用いて製品を塗布する前に、製品は、リザーバから、アプリケータの外部表面に面している出口オリフィスへ運搬される必要がある。アプリケータ表面は、リザーバから決して物理的に分離されない。マルチアプリケータシステムにおけるこのタイプのアプリケータの一例として、多色ボールペンが挙げられる。ペンは、複数のインクリザーバを収納し、各インクリザーバは、塗布表面、すなわち、ボールに取り付けられている。典型的には、ユーザは、幾つかのボタンの一つを押し下げることにより色インクを選択する必要があり、これにより、選択された色のボールをペンから延長させる。本発明とは異なり、ボールは、リザーバに決して浸漬されず、リザーバから決して分離されない。パーソナルケア及び化粧品分野において、リザーバアプリケータは、分離可能な「浸漬タイプアプリケータ」の利点のすべてを持っているとは限らない。一例として、リザーバアプリケータは、多量の製品を延長表面積へ塗布するのに一般的に非効率であり、リザーバアプリケータは、所定サイズのパッケージに対して一般的にわずかな製品しか保持せず、リザーバアプリケータを、容易に流れない、より粘着性のある製品と共に使用することができないなどが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、パーソナルケア分野において、単一ハンドル及び単一容器の浸漬タイプマルチアプリケータパッケージが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来技術の問題の幾つかを解決する本発明の特徴の一つは、アプリケータを互いに近接して置き、アプリケータを互いに並列させるように開口部を容器内に配置することである。「並列アプリケータ」とは、遠位端のすべてが並んでおり、かつ、近位端のすべてが並んでおり、近位端が単一ハンドルと接合することができることを意味する。米国特許第4972858号では、遠位端は並んでいるが、近位端は並んでいない並列アプリケータが示されている。‘858号特許のアプリケータの配置を、非並列であると称することができ、本発明は、このタイプの配置と区別する。
【0009】
本発明は、単一容器及び単一ハンドルを備える浸漬タイプマルチアプリケータパッケージである。容器は、二つ以上の隣接する開口部を有する。各開口部は、それ自体の化粧品アプリケータを受け取ることができる。各アプリケータが容器内に配置されると、アプリケータの一部分は、開口部から突出する。ハンドルを、唯一のアプリケータの突出する部分と接合する選択機構も設けられている。また、ハンドルは、容器の閉鎖具として作用する。選択機構を、回転式カムシステム、回転式磁石セレクタシステム、摺動カムシステムなどとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態によるマルチアプリケータパッケージの分解図である。
【図2】単一部品として成形された本発明のマルチアプリケータパッケージの容器を示す図である。
【図3】二つの部品として成形された本発明のマルチアプリケータパッケージの容器を示す図である。
【図4】二つのリザーバに内部分割された本発明のマルチアプリケータパッケージの容器を示す図である。
【図5】三つのリザーバに内部分割された本発明のマルチアプリケータパッケージの容器を示す図である。
【図6】図1の実施形態の組み立てられたマルチアプリケータパッケージの断面図である。
【図7】ハンドル及びアプリケータステムの接合を示す断面図である。
【図8】回転式内側及び外側セレクタカムを示し、いかなるアプリケータステムも選択されていないことを示す破断図である。
【図9】回転式内側及び外側セレクタカムを示し、アプリケータステムの一つが選択されていることを示す破断図である。
【図10】回転式内側及び外側セレクタカムを示し、アプリケータステムの一つが選択されていることを示す破断図である。
【図11】本発明の第2の実施形態によるマルチアプリケータパッケージ、すなわち、回転式磁石セレクタの分解図である。
【図12】本発明の第3の実施形態において使用することができるハンドル、すなわち、摺動カムセレクタを示す図である。
【図13】本発明の第3の実施形態において使用することができるハンドル、すなわち、摺動カムセレクタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、本発明によるマルチアプリケータシステムは、塗布すべき一つ以上の製品を保持し、二つ以上のアプリケータ(3)を保持する容器(1)を備える。容器は、容器が載置する下端(1a)と、上端(1b)とを有し、上端(1b)には、二つ以上の開口部(1c)が位置し、その上には、ハンドル(4)が載置する。開口部は、一つ以上のリザーバ(1d)を収納する容器の内部にアクセスできるようにする。容器の上端を、容器の主要部分と共に一体的に成形することができる。一部品型の容器は、図2に示され、ブロー成形又は任意の適切な既知の方法により作られることができる。或いはまた、容器の内部が、複数のリザーバに分割されている場合、主要な容器に後で取り付けられる別個の部分として上端を形成しておく必要がある。二部品型の容器は、図3に示され、射出成形又は任意の適切な既知の方法により作られることができる。容器が、内部分割されていなくても、(例えば、特定の形状を取得するため、)容器を二つの部品で実施することは、依然として望ましい。スナップ嵌合、溶接、接着、挿通などを含む任意の適切な方法により、上部品を主要な容器に連結することができる。リザーバ(1d)が一つしかない場合、二つ以上のアプリケータ(3)は、同じ製品に浸漬されている。リザーバが複数ある場合、すべてのアプリケータが、同じ製品に浸漬されているとは限らない。容器の内部を別個のリザーバに分割する方法は、プラスチック部品製造の技術分野において既知である。例えば、複数の区画を備えるプラスチック容器を、容器の下端から上端へ延在する内壁を備える容器を射出成形することにより形成することができる。図4は、二つのリザーバを備える容器を示し、図5は、三つのリザーバを備える容器を示す。
【0012】
開口部(1c)は、関連の化粧品アプリケータ(3)を収容するように寸法設定されている。開口部の形状及び大きさは、同じである必要はないが、実際には、開口部の形状及び大きさが同じであることは、一般的である。化粧品及びパーソナルケアアプリケータの場合、開口部は、通常、約1インチ(約2.54cm)を超えない。その理由は、開口部を貫通するアプリケータが、この程度である傾向にあるためである。リザーバが一つしかない場合、容器は、開口部を一つ有するだけで足りるように思えるが、この場合、そうではない。二つ以上の開口部(1c)の各々は、(一つ又はそれ以上の)リザーバにアクセスできるようにするだけでなく、また、開口部内に配置されたアプリケータステム及びアプリケータ表面を支援する。従って、本発明のマルチアプリケータパッケージは、二つ以上の開口部を備える容器を必要とする。任意選択的に、しかし、一般的には、開口部の一つ以上は、当該技術分野において周知のタイプのワイパ(又はオリフィスレデューサ)(2)を受け取ることができる。ワイパは、製品を塗布表面上に均等に分配し、余分な製品をアプリケータから除去する。典型的には、ワイパは、特定のアプリケータ及び特定の塗布効果に関して寸法決めされている。従って、各開口部は、同じタイプ又は異なるタイプのワイパを有することができる。
【0013】
図6を参照すると、各アプリケータ(3)は、ステム(3a)及び塗布表面(3b)を備える。ステムの遠位端(3c)は、塗布表面を直接的に又は中間部材を介して支援する。本発明の主要な実施形態では、ステム及び塗布表面の両方は、開口部(1c)又はワイパ(2)(図1参照)を通り抜けられるように寸法設定されている。塗布表面が、リザーバに完全に挿入された時、容器(1)の底又は底付近に載置するように、ステムを寸法設定するのが好ましい。ステム及び塗布表面を、任意の既知の方法に従って連結することができる。
【0014】
塗布表面(3b)を、身体の任意の部分へ塗布するために化粧品及びパーソナルケアで一般的に使用される任意のタイプとすることができる。例えば、塗布表面を、マスカラ、ファンデーション、毛髪着色剤、リップ製品、粉おしろい製品又はスキントリートメント製品に適するタイプとすることができる。局所製剤を塗布するのに使用されているか、又は、使用される事実上いかなるタイプのアプリケータ表面も、本発明において利用することができる。使用することができるもう一つのタイプのアプリケータは、液体ドロッパである。液体ドロッパは、これまで述べてきた意味では、塗布表面を持たなくてもよいが、それにもかかわらず、本発明において、液体ドロッパを収容することができる。
【0015】
各ステム(3a)が、容器(1)内に完全に着座すると、ステム(3a)の近位端(3d)は、容器の上端(1b)から突出する。ステムの近位端は、ハンドル(4)の選択手段と整合し整合解除するように設計されている。ステム及びハンドルの整合の一例は、ハンドルの機構に対して相補的な形状をステムの近位端(3d)に与えることである。別の例は、磁石、又は、磁界に応答する機構をステムの近位端に与えることである。一般には、ステム及びハンドルの相対方位は、ステム及びハンドルが接合を形成するか否かを決定する。ハンドルは、一度に一つだけのステムと接合するのが好ましい。ハンドル及びステムに関し、明細書全体を通じて、「接合する」及び「接合」などとは、容器からハンドルを持ち上げると、接合されたステム及び塗布表面が容器から持ち上げられ、その一方で、他のすべてのアプリケータ(3)は、容器に残ったままであるように、ハンドル及びステムが物理的に連結され、単一の作業ユニットを形成することを意味する。
【0016】
ハンドル(4)は、製品を塗布する時に、ユーザが通常、把持する装置の部分である。ハンドルは、手にフィットし、パーソナルケア及び化粧用製品の塗布のために操作されるように設計されている。前述したように、ハンドルは、各ステム(3a)の近位端(3d)と一度に一つだけ整合し、整合解除するように設計されている。従って、容器内の開口部(1c)の配置は、単一ハンドルが開口部(1c)のすべてと相互作用することができるように構成される必要がある。このことは、従来技術において上述されたような、アプリケータを容器の両側に有する設計を排除する。
【0017】
ハンドル(4)には、選択機構が設けられている。「選択機構」とは、ユーザがハンドルを、いずれか一つの唯一のアプリケータステム(3a)と整合させることができ、異なるアプリケータステムを選択するため、又は、場合によって、いかなるステムも選択しないため、ユーザが好きなだけ整合を変更することができる機構を意味する。そのような選択機構が設けられたハンドルは、「アプリケータ選択ハンドル」と称することができる。本明細書に説明されている幾つかの実施形態では、選択機構は、回転に関連する。すなわち、ハンドルを回転させることにより、各ステムは、連続して選択され選択解除される。従って、アプリケータが、容器(1)に依然として浸漬されながら、ハンドルは、360°の少なくともある部分まで容器上を自由に回転する必要がある。ハンドルは、各アプリケータを連続的に係合する程度まで回転すればよく、又は、ハンドルは、停止することなく、自由に回転することができる。ハンドルは、両方向に又は一方向のみに自由に回転することができるが、一方向のみの場合、ハンドルは、停止することなく、その方向に自由に回転する必要がある。ハンドルが、アプリケータステムと整合した各位置では、使用する消費者が、容器からハンドル及びアプリケータを完全に持ち上げることが可能である必要がある。
【0018】
第1の実施形態
アプリケータ選択ハンドル(4)の第1の実施形態は、図1の分解図に示されている。この実施形態では、ハンドルは、開口部(1c)を被覆し、閉鎖位置では、ハンドルは、容器(1)上に載置する。好適な実施形態では、ハンドル及び容器は、同心である。ハンドルを容器に対して依然として自由に回転させることができるが、ハンドル及び容器は、ハンドルを容器上で保持する協働機構によって、ユーザにより克服されない限り接触状態にしておかれる。例えば、ハンドルの内壁は、容器の外側上の円周突起を受ける円周溝を有することができる。容器に取り付けられている間、容器に対して回転するハンドルの機構は、本明細書に開示されている第1及び第2の実施形態に関連する。
【0019】
ハンドルは、内側セレクタカム(4b)及び外側セレクタカム(4c)を備え、これら両方は、ハンドルハウジング(4a)内に同心的に収納される。内側及び外側セレクタカムは、ハンドルハウジングの内側に取り付けられ、その結果、ハンドルが回転する時、内側及び外側セレクタカムも回転する。この配置の更なる詳細は、図7に示されており、この断面図において、ハンドルの最下部分を除いたすべてのハンドルは、削除されている。内側セレクタカムは、ハンドルの内部から、かつ中央に垂下し、第1の接合部分(4d)を有する。外側セレクタカムは、ハンドル内部と嵌合するスリーブとして形成され、第2の接合部分(4e)を有する。図8では、第2の接合部分は、外側セレクタカムの壁に隆起部として形成されている。第1及び第2の接合部分は、互いに対向して配置されている。従って、ハンドルが、容器(1)上に着座しながら、ユーザが、ハンドルを回転させると、第1及び第2の接合部分も回転する。
【0020】
この実施形態では、ステム(3d)の近位端には、内側セレクタカム(4b)及び外側セレクタカム(4c)の第1の接合部分(4d)及び第2の接合部分(4e)に相補的な形状が設けられている。ワイパより上に突出する各ステムの近位端(3d)は、下側フランジ(3e)及び上側フランジ(3f)(図1参照)を有する。図示されているように、下側フランジは、上側フランジよりも大きく、ワイパの開口部を完全に被覆するように寸法設定され、その結果、下側フランジは、ワイパを密閉できる場合がある。上側フランジと下側フランジとの間の空間は、内側セレクタカムの第1の接合部分及び外側セレクタカムの第2接合部分が上側フランジと下側フランジとの間に入ることができるだけで充分である。接合部分がステムに対してぴったりと嵌合し、ステムと頑丈な接合を形成するように、空間を構成すべきである。その時点で、ステム及びハンドルは、事実上一つのユニットである。この配置は、図9及び図10に示されている。この時点で、ハンドルが、容器から持ち上げられる場合、接合されたステムも、容器から上昇し、その一方で、接合されていないステムは、容器に残ったままである。アプリケータが、容器に戻されると、ユーザは、ハンドルを自由に回転させることができ、第1及び第2の接合部分をステムのフランジの下から移動させることにより、ハンドルとステムとの間の接合を遮断する。更なる回転は、ハンドルを他のステムと接合させる。
【0021】
今説明した実施形態を汎用化することができる。第1及び第2の接合部分並びにステムのフランジの厳密な機構は、変形の余地がある。しかしながら、回転カムタイプの配置を介して複数のアプリケータステムと連続的に接合する回転アプリケータ選択ハンドルの機構は、今までにない。
【0022】
第2の実施形態
本発明の別の実施形態は、図11に示されている。この実施形態の主要な部品は、容器(101)及びハンドル(104)である。容器は、リザーバ(101d)及び上端(101b)を備える。図11では、容器の上端は、容器の残りの部分から分離して作られているが、これは、選択できる問題である。別々に作られる場合、上端及びリザーバは、一つのユニットを形成するために後で連結される。一般には、容器の上端は、アプリケータステム(103a)が貫通する二つ以上の開口部(101c)と、ハンドルのピボット(104f)(詳細については下記参照)を受けるスロット(101f)とを有する。図11では、スロットは、円筒空間を画成する二つの湾曲した垂直壁として実装されている。単一の円筒壁、又は、任意数の他の設計により、円筒空間を画成することができる。各ステムが、容器内に完全に着座すると、ステムの近位端(103d)は、容器の上端から突出する。各ステムの近位端には、下側磁石材料(103g)が搭載されている。図11では、各ステムの上端は、平坦な円柱磁石又は磁石材料が配置される円形カップとして形成されている。
【0023】
ハンドル(104)は、ピボット(104f)及び上側磁石材料(104g)を備える。ピボットは、ハンドルの内部から垂下し、容器の上端(101b)のスロット(101f)内に配置できるほどの長さを有する。ピボットの形状は、スロットの形状に相補的であり、すなわち、図11において、円筒形状であり、ピボットは、スロットの内側に、ぴったりと、しかし、着脱可能に嵌合するように寸法設定されている。上側磁石材料も、ハンドルの内部から垂下する。
【0024】
上側及び下側磁石材料は、二つが近接していると、二つの材料が互いに引き付け合うという点では、相補的である必要がある。例えば、下側磁石材料を永久磁石とすることができ、上側磁石材料を常磁性体とすることができ、その逆も同様である。或いはまた、上側材料及び下側材料の両方を永久磁石とすることができるが、この場合、引力が、ハンドル(104)とステム(103a)との間で生成されるように、反対極を整列させるように注意する必要がある。
【0025】
ハンドル(104)は、ピボット(104f)をスロット(101f)に挿入することにより容器に取り付けられる。ハンドルは、容器の上端(101b)上に載置し、ハンドルを容器の上端に対して回転させることができる。ハンドルが、回転するにつれて、上側磁石材料(104g)は、各下側磁石材料(103g)を連続的に通過していく。上側磁石材料と下側磁石材料との間の隙間は、最小限である。使用中、ハンドルは、上側磁石材料が下側磁石材料の一つの上に載置するようになるまで回転する。磁界の影響下で、下側磁石材料(及びそのステム)は、上昇して上側磁石材料と接触し、ハンドル及びステムは、単一ユニットとして接合されるようになる。ハンドルを容器(101)から持ち上げることにより、接合されたステムをリザーバから取り出すことができ、消費者によって使用することができる。アプリケータが、容器に戻されると、ユーザは、ハンドルを自由に回転させることができ、上側磁石材料と下側磁石材料とを分離することにより、ハンドルとステムとの間の接合を遮断する。更なる回転は、ハンドルを他のステムと接合させる。確かに、ステムが、容器から引っ張り出され、使用され、容器内に戻される間、上側磁石材料と下側磁石材料との間の引力を、ハンドルとステムとの間の接続を維持するのに充分強くする必要がある。しかしながら、この力は、ユーザにとってハンドルを回転させるのが困難になるほど強くするべきではない。
【0026】
今説明した実施形態を汎用化することができる。ピボット(104f)及びスロット(101f)並びに上側磁石材料(104g)及び下側磁石材料(103g)の厳密な機構は、変形の余地がある。例えば、スロットをハンドル上に位置することができ、ピボットを容器上に位置することができる。しかしながら、磁気を介して複数のアプリケータステムと連続的に接合する回転アプリケータ選択ハンドルの機構は、今までにない。
【0027】
第3の実施形態
図12及び図13は、本発明の第3の実施形態において使用することができるハンドル、すなわち、摺動カムセレクタを示す。この実施形態は、三つ以上のアプリケータに適し得るが、二つのアプリケータにとって都合が良い。
【0028】
ハンドル(204)は、ハンドルの側面を貫通する平坦な摺動部材(204h)を備える。ユーザが、部材を把持することができ、部材をハンドルから滑り出し入れすることができるように、摺動部材の一部分は、ハンドルから突出する。図13は、上から摺動部材を示し、ハンドルの上部分は、切り取られている。摺動部材は、摺動部材を貫通する二つの孔(204i)を有する。各孔は、二つの部分、すなわち、狭い部分及び広い部分を備える。上述された第1の実施形態のように、各ステムの近位端は、ワイパより上に突出する。この場合、二つのアプリケータステムの先端は、ステムが摺動部材の二つの孔を貫通すると現れる。この場合も、各ステムは、下側フランジ(図示せず)及び上側フランジ(203f)を有する。上側フランジ及び下側フランジのこの配置は、図1(3e及び3f)の場合と同じである。下側フランジは、上側フランジよりも大きく、下側フランジが、摺動部材の孔の広い部分及び狭い部分を通り抜けることができないように寸法設定されている。上述のように、下側フランジは、ワイパを密閉するために使用することができる。上側フランジは、摺動部材内の孔の広い部分を通り抜けることができるが、狭い部分を通り抜けることができないように寸法設定されている。
【0029】
上側フランジと下側フランジとの間の空間は、摺動部材が下側フランジと上側フランジとの間に入ることができるだけで充分である。摺動部材がステムに対してぴったりと嵌合し、ステムと頑丈な接合を形成するように、空間を構成すべきである。(図13の左側の)一方の孔の狭い部分が、一方のアプリケータステムの上側フランジと下側フランジとの間に配置される場合、(図13の右側の)他方のアプリケータステムの上側フランジが、他方の孔の広い部分上に位置決めされるように、摺動部材(204h)内の孔(204i)の位置決めが構成されている。図13に示されるように、左側のステム及びハンドル(204)は、接合されており、事実上一つのユニットである。右側のステムは、ハンドルから分離されており、すなわち、ハンドルと接合されていない。
【0030】
この時点で、ハンドル(204)が、容器から持ち上げられる場合、接合されたステムも、容器から上昇し、その一方で、接合されていないステムは、容器に残ったままである。アプリケータが、容器に戻されると、ユーザは、摺動部材を自由に摺動させることができ、摺動部材をステムのフランジの下から移動させることにより、ハンドルとステムとの間の接合を遮断する。更なる摺動は、ハンドルを他のステムと接合させる。
【0031】
任意選択的に、摺動部材は、左右に摺動するように、ハンドルの一側面のみから突出することができ、又は、両側から突出することができる。摺動部材がハンドルの両側から突出する場合、どのアプリケータが現在選択されているかをより明確にユーザに示すことができる。
【0032】
更なる特徴
前述のすべてにおいて、アプリケータは、製品を塗布できる前に、製品のリザーバに浸漬されている必要がある表面を備えると示されている。しかしながら、原則として、塗布表面を製品自体とすることができる。例えば、ロッドの遠位端から垂下する固体又は半固体のスティック製品を容器内に配置することができる。ロッドの近位端は、上述されたアプリケータステムの近位端とほぼ同じである。例えば、口紅保持体カップをロッドの遠位端に取り付けることができ、口紅を保持体カップ内に配置することができる。幾つかのそのような口紅を単一容器内に配置することができ、本明細書に説明されているように、選択機構を備える単一ハンドルは、容器から一つの口紅を持ち上げるため、唯一選択されたロッドと接合することができる。この時点で、自由な又は固定しない製品で充填されたリザーバと、ロッドの端に取り付けられた製品を収納するリザーバとを区別する。前者は、製品をリザーバに入れ、リザーバから取り出す浸漬タイプアプリケータを必要とする。後者は、それを必要としない。
【0033】
任意選択的に、アプリケータの一つ以上をアプリケータ自体としなくてもよく、むしろ、製品を塗布しない化粧品ツール又はグルーミングツールとすることができる。そのようなツールをロッドの遠位端に取り付けることができ、空のリザーバ内に配置することができる。ロッドの近位端は、上述されたアプリケータステムの近位端とほぼ同じである。例えば、ツールを櫛(髪、まつげ、眉毛など)、ブラシ(髪、歯)、やすり、ピンセット、はさみなどとすることができる。有用であると判断することができる他の多くの補助道具又は装置が、適切なアプリケータの一つ以上の代わりになり得ることは明らかである。
【0034】
本発明の実施形態のいずれでも、どのアプリケータが現在選択されているか、又は、いかなるアプリケータも選択されていないかをユーザに通知する手段を設けることができる。そのような手段は、単に印をハンドルの外部上に備えるにすぎない。例えば、ハンドルが、アプリケータからアプリケータへ回転するにつれて、ハンドル上の矢印は、容器上の文字列の一部分を連続的に指し示していくことができる。また、戻り止めを使用して、触覚及び/又は聴覚による手掛かりをユーザに与えることができる。
【0035】
前述の実施形態のいずれでも、ハンドルを容器のキャップ又は閉鎖具として設計することができる。ハンドルには、使用中でない時に容器を密閉するため、容器に取り付ける手段を設けることができる。例えば、ハンドルは、容器の肩部上に摩擦嵌めすることができる。任意の周知の方法を、ハンドルの選択及び整合手段と干渉しない限り用いることができる。或いはまた、ハンドルから分離するオーバーキャップ又は閉鎖具を設けることができる。
【0036】
本発明は、単一容器及び単一ハンドルを備える浸漬タイプマルチアプリケータパッケージである。選択機構は、単一ハンドルに関連付けられており、選択機構により、ユーザは、ハンドルをいずれかの唯一のアプリケータと接合することができ、ユーザは、接合を好きなように変更することができる。本明細書に説明されているマルチアプリケータパッケージは、従来技術の欠点の多くで苦しまない。例えば、高さに関して、本発明のアプリケータシステムは、同等の製品体積を有する単一アプリケータシステムよりも著しく大きくはない。このことは、容器の異なる部分から、異なる方向に突出する複数のアプリケータ及び複数のハンドルを有する容器(米国特許第4972858号)とは異なっており、アプリケータの各端から突出する別個の容器を有する両口アプリケータとは異なっており、端と端で取り付けられた実質的に二つの完全な単一アプリケータシステムであるそれらマルチアプリケータシステム(米国特許第5509742号)とは異なっている。
【0037】
また、米国特許第4972858号のパッケージとは異なり、かつ、充填及びキャッピングが、より複雑で、より高価である両口アプリケータシステムとは異なり、本発明のマルチアプリケータパッケージを従来通りに充填することができキャップすることができる。例えば、これらパッケージの一つを充填するため、最初の開口部を、充填ノズルと整列させる必要があり、パッケージは、逆さに又は部分的に逆さにされることになるので、充填後、この開口部をキャップする必要があり、キャップした後、次の開口部を充填ノズルと整列させるため、間隙を介してパッケージを再方向付けする必要がある。本発明では、すべての開口部は、隣接し、パッケージの先端に位置する。パッケージは、充填のため、間隙を介して再方向付けされる必要がなく、キャップする前に、すべてのリザーバを充填することができる。更に、本発明は、特注の両口アプリケータを必要とすることも、端と端で互いに結合(すなわち、螺合)することができる二つの特注の容器の使用を必要とすることもなく、そのようなパッケージを充填しキャップする更なるコスト及び複雑性のすべてを必要としない。本発明は、従来技術とは異なり、一つの容器及び一つのハンドルしか必要としない。従来技術とは異なり、本発明は、ユーザが精通している単一アプリケータシステムに類似する。
【0038】
本明細書に説明されているように、アプリケータ選択ハンドルは、パーソナルケア及び化粧品消費財の分野において一意的である。従来技術に関する多くの問題は、本発明により同時に解決される。予期しなかったことは、単一設計が、特大パッケージ、高価な充填及びキャッピング、特注の部品の高価な要件及び消費者の熟知不足の問題に対処できることである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ以上の開口部を有する容器と、
前記二つ以上の開口部内に配置された少なくとも二つのアプリケータであって、各アプリケータが、ステム及び塗布表面を備え、これによって、前記アプリケータが配置された前記開口部から各ステムの一部分が突出するアプリケータと、
前記容器に取り付けられたハンドルであって、ユーザが、前記ハンドルを、前記突出する部分のいずれかの唯一の部分と接合することができ、前記ユーザが、前記容器に対して前記ハンドルを回転させることにより前記接合を好きなように変更することができる選択機構を備えるハンドルと
を備える浸漬タイプマルチアプリケータパッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載のパッケージにおいて、各ステムの前記突出する部分は、離間したフランジを備え、前記ハンドルは、前記離間したフランジ間で嵌合して前記ハンドルと前記アプリケータとの間で接合を生成する第1及び第2の接合部分を備えるパッケージ。
【請求項3】
請求項1に記載のパッケージにおいて、各ステムの前記突出する部分は、下側磁石材料を備え、前記ハンドルは、前記下側磁石材料を引き付けて前記ハンドルと前記アプリケータとの間で接合を生成する上側磁石材料を備えるパッケージ。
【請求項4】
請求項1に記載のパッケージにおいて、前記容器の前記二つ以上の開口部は、前記容器の内側の一つ以上のリザーバにアクセスできるようにするパッケージ。
【請求項5】
請求項4に記載のパッケージにおいて、前記リザーバの一つ以上は、固定しない化粧品又はパーソナルケア製品を含むパッケージ。
【請求項6】
請求項1に記載のパッケージにおいて、前記容器は、固体又は半固体の化粧品又はパーソナルケア製品に取り付けられたロッドが配置された少なくとも一つの開口部を備え、これによって、前記ロッドの一部分は、前記ロッドが配置された前記開口部から突出するパッケージ。
【請求項7】
請求項1に記載のパッケージにおいて、前記容器は、櫛、髪ブラシ、歯ブラシ、やすり、ピンセット及びはさみから成る群から選択されたグルーミングツールに取り付けられたロッドが配置された少なくとも一つの開口部を備えるパッケージ。
【請求項8】
浸漬タイプマルチアプリケータパッケージを使用する方法であって、
請求項1に記載のマルチアプリケータパッケージを準備するステップと、
前記アプリケータの一つが前記ハンドルと接合されるまで、前記容器に対して前記ハンドルを回転させるステップと、
前記ハンドルを前記容器から遠ざけ、その結果、前記接合されたアプリケータが前記容器のその開口部から取り出されるステップと、
前記接合されたアプリケータを前記容器に戻すステップと、
前記容器に対して前記ハンドルを回転させて、前記ハンドル及び接合されたアプリケータの前記接合を遮断するステップと
を含む方法。
【請求項9】
二つの開口部を有する容器と、
前記二つの開口部内に配置された二つのアプリケータであって、各アプリケータが、ステム及び塗布表面を備え、これによって、前記アプリケータが配置された前記開口部から各ステムの一部分が突出するアプリケータと、
前記容器に取り付けられたハンドルであって、ユーザが、前記ハンドルを、前記二つの突出する部分の唯一の部分と接合することができ、前記ユーザが、前記容器に対して前記ハンドルの一部分を摺動させることにより前記接合を好きなように変更することができる選択機構を備えるハンドルと
を備える浸漬タイプマルチアプリケータパッケージ。
【請求項10】
請求項9に記載のパッケージにおいて、前記ハンドルは、前記ハンドルの側面から突出し、前記ハンドルから滑り出し入れすることができる摺動部材を備えるパッケージ。
【請求項11】
請求項10に記載のパッケージにおいて、
前記摺動部材は、アプリケータごとに一つの孔を備え、各孔は、狭い部分及び広い部分を有し、
各ステムの前記突出する部分は、離間した上側フランジ及び下側フランジを備え、その結果、
ステムごとに、一つのフランジは、前記摺動部材の片側に配置され、
前記下側フランジは、前記摺動部材の前記孔を通り抜けることができず、
前記上側フランジは、前記摺動部材内の前記孔の前記広い部分を通り抜けることができるが、前記狭い部分を通り抜けることができず、
一方の孔の前記狭い部分が、一方のアプリケータステムの前記上側フランジと前記下側フランジとの間に配置される場合、他方のアプリケータステムの前記上側フランジが、前記摺動部材内の他方の孔の前記広い部分上に位置決めされるように、前記摺動部材内の前記孔の位置決めが構成されているパッケージ。
【請求項12】
浸漬タイプマルチアプリケータパッケージを使用する方法であって、
請求項10に記載のマルチアプリケータパッケージを準備するステップと、
前記アプリケータの一方が前記ハンドルと接合されるまで、前記容器に対して前記摺動部材を摺動させるステップと、
前記ハンドルを前記容器から遠ざけ、その結果、前記接合されたアプリケータが前記容器のその開口部から取り出されるステップと、
前記接合されたアプリケータを前記容器に戻すステップと、
前記容器に対して前記摺動部材を摺動させて、前記ハンドル及び接合されたアプリケータの前記接合を遮断するステップと
を含む方法。
【請求項1】
二つ以上の開口部を有する容器と、
前記二つ以上の開口部内に配置された少なくとも二つのアプリケータであって、各アプリケータが、ステム及び塗布表面を備え、これによって、前記アプリケータが配置された前記開口部から各ステムの一部分が突出するアプリケータと、
前記容器に取り付けられたハンドルであって、ユーザが、前記ハンドルを、前記突出する部分のいずれかの唯一の部分と接合することができ、前記ユーザが、前記容器に対して前記ハンドルを回転させることにより前記接合を好きなように変更することができる選択機構を備えるハンドルと
を備える浸漬タイプマルチアプリケータパッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載のパッケージにおいて、各ステムの前記突出する部分は、離間したフランジを備え、前記ハンドルは、前記離間したフランジ間で嵌合して前記ハンドルと前記アプリケータとの間で接合を生成する第1及び第2の接合部分を備えるパッケージ。
【請求項3】
請求項1に記載のパッケージにおいて、各ステムの前記突出する部分は、下側磁石材料を備え、前記ハンドルは、前記下側磁石材料を引き付けて前記ハンドルと前記アプリケータとの間で接合を生成する上側磁石材料を備えるパッケージ。
【請求項4】
請求項1に記載のパッケージにおいて、前記容器の前記二つ以上の開口部は、前記容器の内側の一つ以上のリザーバにアクセスできるようにするパッケージ。
【請求項5】
請求項4に記載のパッケージにおいて、前記リザーバの一つ以上は、固定しない化粧品又はパーソナルケア製品を含むパッケージ。
【請求項6】
請求項1に記載のパッケージにおいて、前記容器は、固体又は半固体の化粧品又はパーソナルケア製品に取り付けられたロッドが配置された少なくとも一つの開口部を備え、これによって、前記ロッドの一部分は、前記ロッドが配置された前記開口部から突出するパッケージ。
【請求項7】
請求項1に記載のパッケージにおいて、前記容器は、櫛、髪ブラシ、歯ブラシ、やすり、ピンセット及びはさみから成る群から選択されたグルーミングツールに取り付けられたロッドが配置された少なくとも一つの開口部を備えるパッケージ。
【請求項8】
浸漬タイプマルチアプリケータパッケージを使用する方法であって、
請求項1に記載のマルチアプリケータパッケージを準備するステップと、
前記アプリケータの一つが前記ハンドルと接合されるまで、前記容器に対して前記ハンドルを回転させるステップと、
前記ハンドルを前記容器から遠ざけ、その結果、前記接合されたアプリケータが前記容器のその開口部から取り出されるステップと、
前記接合されたアプリケータを前記容器に戻すステップと、
前記容器に対して前記ハンドルを回転させて、前記ハンドル及び接合されたアプリケータの前記接合を遮断するステップと
を含む方法。
【請求項9】
二つの開口部を有する容器と、
前記二つの開口部内に配置された二つのアプリケータであって、各アプリケータが、ステム及び塗布表面を備え、これによって、前記アプリケータが配置された前記開口部から各ステムの一部分が突出するアプリケータと、
前記容器に取り付けられたハンドルであって、ユーザが、前記ハンドルを、前記二つの突出する部分の唯一の部分と接合することができ、前記ユーザが、前記容器に対して前記ハンドルの一部分を摺動させることにより前記接合を好きなように変更することができる選択機構を備えるハンドルと
を備える浸漬タイプマルチアプリケータパッケージ。
【請求項10】
請求項9に記載のパッケージにおいて、前記ハンドルは、前記ハンドルの側面から突出し、前記ハンドルから滑り出し入れすることができる摺動部材を備えるパッケージ。
【請求項11】
請求項10に記載のパッケージにおいて、
前記摺動部材は、アプリケータごとに一つの孔を備え、各孔は、狭い部分及び広い部分を有し、
各ステムの前記突出する部分は、離間した上側フランジ及び下側フランジを備え、その結果、
ステムごとに、一つのフランジは、前記摺動部材の片側に配置され、
前記下側フランジは、前記摺動部材の前記孔を通り抜けることができず、
前記上側フランジは、前記摺動部材内の前記孔の前記広い部分を通り抜けることができるが、前記狭い部分を通り抜けることができず、
一方の孔の前記狭い部分が、一方のアプリケータステムの前記上側フランジと前記下側フランジとの間に配置される場合、他方のアプリケータステムの前記上側フランジが、前記摺動部材内の他方の孔の前記広い部分上に位置決めされるように、前記摺動部材内の前記孔の位置決めが構成されているパッケージ。
【請求項12】
浸漬タイプマルチアプリケータパッケージを使用する方法であって、
請求項10に記載のマルチアプリケータパッケージを準備するステップと、
前記アプリケータの一方が前記ハンドルと接合されるまで、前記容器に対して前記摺動部材を摺動させるステップと、
前記ハンドルを前記容器から遠ざけ、その結果、前記接合されたアプリケータが前記容器のその開口部から取り出されるステップと、
前記接合されたアプリケータを前記容器に戻すステップと、
前記容器に対して前記摺動部材を摺動させて、前記ハンドル及び接合されたアプリケータの前記接合を遮断するステップと
を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2012−522582(P2012−522582A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503641(P2012−503641)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/029315
【国際公開番号】WO2010/117832
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/029315
【国際公開番号】WO2010/117832
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
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