説明

単分子磁石

【課題】金属錯体のコンフォーメーションが安定であり、ナノマテリアルとして応用可能な、残留磁化を有する単分子磁石単分子磁石を提供すること。
【解決手段】式(1)


(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子等を示す。)で表される化合物と、式(6)


(式中、R10はそれぞれ独立にメチル基等を、R11及びR12はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子等を、MはSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au又はHgを、Xはハロゲン原子等を、nは1〜3を示す。)で表される有機金属錯体と、溶媒とを混合してなる溶液に、光照射して得られる単分子磁石。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単分子磁石に関し、更に詳しくは、光照射によって生成する有機ラジカル(カルベン)に由来する不対電子を強磁性相互作用によって配列させて得られる光応答型単分子磁石に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ラジカルに強磁性的相互作用を持たせることによって、電子スピンを平行にそろえ、分子強磁性体を構築する試みが活発に行われている。分子磁性体は、無機磁性体に比較して成形が極めて容易であること、目的によって容易に物性の修飾ができることなどから、様々な分野で新しい材料としての期待が集まっている。これまでの研究から、有機物で磁石を創るためには、(1)出来る限り多くのスピンを、(2)強い相互作用で平行に揃えて、(3)多次元的にメソスコピックな広がりを持って集積化する、ことが必要であると考えられてきた。
【0003】
本発明者らは、有機スピン源として、磁気的相互作用が強い三重項カルベンを用い、金属との配位結合を介して一次元にスピンを集積することに既に成功している(非特許文献1参照。)。
これらのカルベンは、230Kまで安定であり(通常のカルベンは100K程度で化学反応し消滅する。)、室温においても安定な分子強磁性体の可能性を示唆するものである。
しかしながら、得られたカルベンを含む金属錯体は、超高スピン常磁性体であり、残留磁化を有していない。
また、本発明者らは、金属イオンの3dスピンと配位子カルベンの2pスピンとを三次元に高度集積し、残留磁化を有する分子磁性体の合成にも成功している(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、特許文献1及び特許文献2参照。)。
しかし、これらはスピングラス様磁性材料であり、ナノマテリアルとしての応用が難しいという課題がある。
【0004】
単分子磁性体構築のためには、ある程度大きなスピン量子数と負のゼロ磁場分裂パラメータ(D)が必要である。従来の単分子磁性体は、マンガン原子を代表とする金属原子同士をオキソ架橋でつないだオリゴ及びポリ閉環金属錯体であり、スピン源は全て金属原子から供給されている(非特許文献5参照。)。
本発明者らは、金属とジアゾ−ピリジン化合物とに光照射して発生させるカルベンをスピン源として用いたヘテロスピン系で構築した、金属原子を一つしか用いない残留磁化を有する単分子磁石の合成に成功している(特許文献3参照。)。
しかし、これらは用いるジアゾ−ピリジン化合物の金属錯体又は金属塩に対するモル比が多く、得られる金属錯体のコンフォーメーションが安定ではないといった課題がある。
【0005】
【非特許文献1】「ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサエテイ(J. Am. Chem. Soc.)」、(米国)、1997年、第119巻、p.8246−8252
【非特許文献2】「アプライド・マグネテイク・レゾナンス(Appl. Magn. Reson.)」、(オーストリア)、2003年、第23巻、p.507
【非特許文献3】「ポリヘドロン(Polyhedron)」、(オランダ)、2001年、第20巻、p.1387−1389
【非特許文献4】「ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソサエテイ(J. Am. Chem. Soc.)」、(米国)、2001年、第123巻、p.9685−9686
【非特許文献5】「ネイチャー(Nature)」、(英国)、1993年、第365巻、p.141−143
【特許文献1】特開2002−093606号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2002−260907号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2005−012147号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、金属錯体のコンフォーメーションが安定であり、ナノマテリアルとして応用可能な、残留磁化を有する単分子磁石を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ジアゾ−ピリジン化合物と安定な三座配位子を有する有機金属錯体を含む溶液に光照射することにより、金属錯体のコンフォーメーションが安定であり、残留磁化を有する単分子磁石が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
1. 式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)
【化1】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、イソブトキシ基、セカンダリーブトキシ基又はターシャーリーブトキシ基を示す。)
で表される化合物と、式(6)
【化2】

(式中、R10は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、又はセカンダリーブチル基を示し、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、イソブトキシ基、セカンダリーブトキシ基又はターシャーリーブトキシ基を示し、Mは、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au又はHgを示し、Xは、ハロゲン原子、イソシアネート基、チオシアネート基、パークロレート基、シアネート基又はナイトレート基を示し、nは1〜3を示す。)
で表される有機金属錯体と、溶媒とを混合してなる溶液に、光照射することで得られることを特徴とする単分子磁石、
2. 前記式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)において、前記R1、R2、R3、R5、R6及びR7が、全て水素原子であり、R4及びR8が、それぞれ独立に水素原子、塩素原子、又は臭素原子である1の単分子磁石、
3. 前記式(6)において、前記R10がメチル基、前記R11及びR12が全て水素原子、前記MがNi、Co、Cu、Mn、Fe、Cr又はZnであり、前記Xが塩素原子、イソシアネート基、チオシアネート基、又はパークロレート基である1又は2の単分子磁石、
4. 前記式(6)において、前記MがCoであり、前記Xがイソシアネート基であり、前記nが2である1、2又は3の単分子磁石、
5. 前記式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物と、前記式(6)で表される有機金属錯体とのモル比が、2:1〜1:2の範囲である1の単分子磁石、
6. 前記溶媒が、塩化メチレンと2−メチルテトラヒドロフランとの混合溶媒である1又は5の単分子磁石、
7. 光照射するときの温度が、20K以下である1、5又は6の単分子磁石、
8. 式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)
【化3】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、イソブトキシ基、セカンダリーブトキシ基又はターシャーリーブトキシ基を示す。)
で表される化合物と、式(6)
【化4】

(式中、R10は、それぞれ独立にメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、又はセカンダリーブチル基を示し、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、イソブトキシ基、セカンダリーブトキシ基又はターシャーリーブトキシ基を示し、Mは、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au又はHgを示し、Xは、ハロゲン原子、イソシアネート基、チオシアネート基、パークロレート基、シアネート基又はナイトレート基を示し、nは1〜3を示す。)
で表される有機金属錯体と、溶媒とを混合して溶液を調製し、この溶液に光照射する工程を含むことを特徴とする単分子磁石の製造方法、
9. 前記式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)において、前記R1、R2、R3、R5、R6及びR7が全て水素原子であり、前記R4及びR8がそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、又は臭素原子である8の単分子磁石の製造方法、
10. 前記式(6)において、前記R10がメチル基、前記R11及びR12が全て水素原子、前記MがNi、Co、Cu、Mn、Fe、Cr又はZnであり、前記Xが塩素原子、イソシアネート基、チオシアネート基、又はパークロレート基である8又は9の単分子磁石の製造方法、
11. 前記式(6)において、前記MがCoであり、前記Xがイソシアネート基であり、前記nが2である8、9又は10の単分子磁石の製造方法、
12. 前記式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物と、前記式(6)で表される有機金属錯体とのモル比が、2:1〜1:2の範囲である8の単分子磁石の製造方法、
13. 前記溶媒が、塩化メチレンと2−メチルテトラヒドロフランとの混合溶媒である8又は12の単分子磁石の製造方法、
14. 前記光照射するときの温度が20K以下である8、12又は13の単分子磁石の製造方法
を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安定な三座配位子を有するためコンフォーメーションが安定しており、磁化率の再現性が高い、光応答型単分子磁石を得ることができる。
この単分子磁石の製造時に、金属錯体とジアゾ−ピリジン化合物の比率を1:1に調整することも可能であり、これにより、これまでで最も小さい磁気量子数(3/2)を有する単分子磁石を作製することができる。この分子磁石は量子効果が現れやすく、磁性保持時間が短いという特徴を有している。
さらに、三座配位子に置換基を導入することで、膜やナノ粒子中に単分子磁石を埋め込むことが可能となる。熱的安定性を克服できれば、単分子磁石は透明な磁性体であるため、広範囲な応用が可能となる。例えば、磁性インクとして利用すると、情報の記録が可能な印刷物を容易に製造でき、磁性トナーとして利用すると、定着性の向上、解像度の向上、色彩の向上、印刷スピードの向上等が期待される。また、有機溶媒に溶かして、薄膜を形成できるため、リソグラフィーにより、光照射した部分に磁気回路を書き込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
まず、式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)の各置換基を具体的に説明する。
式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物の置換基R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8としては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、イソブトキシ基、セカンダリーブトキシ基又はターシャーリーブトキシ基等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
好ましいR1、R2、R3、R5、R6及びR7としては、水素原子が挙げられ、好ましいR4及びR8としては、水素原子、塩素原子、又は臭素原子が挙げられる。
【0011】
次に、式(6)の各置換基を具体的に説明する。
10としては、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、又はセカンダリーブチル基が挙げられ、好ましくはメチル基である。
11及びR12としては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子)、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、イソブトキシ基、セカンダリーブトキシ基又はターシャーリーブトキシ基が挙げられ、好ましくは水素原子である。
【0012】
Mとしては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au又はHgが挙げられ、好ましくは、Ni、Co、Cu、Mn、Fe、Cr又はZnであり、さらに好ましくは、Coである。
Xとしては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子)、イソシアネート基、チオシアネート基、パークロレート基、シアネート基又はナイトレート基が挙げられ、好ましくは塩素原子、イソシアネート基、チオシアネート基、又はパークロレート基であり、さらに好ましくはイソシアネート基である。
nは1〜3を示し、Mに用いる金属イオンの価数とnの数が対応する。
【0013】
次に、単分子磁石の製造法について説明する。
式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物と、式(6)で表される金属錯体又は金属塩と、溶媒とを混合してなる溶液に、光照射することにより、単分子磁石を製造することができる。
この場合、式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物と式(6)で表される金属錯体とのモル比([式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物]:[金属錯体]モル比)は、通常4:1〜1:4の範囲を使用することができ、好ましくは、2:1〜1:2の範囲である。
式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物と、式(6)で表される金属錯体との混合は、固体状態(溶剤を加えない状態)、それぞれ適当な溶媒に溶解した溶液状態、又は高分子などにドーピングした状態で行うことができるが、適当な溶媒にそれぞれ溶解した溶液状態で混合することが好ましい。
【0014】
使用可能な溶媒は、式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物、及び式(6)で表される金属錯体を必要濃度以上の濃度で溶解し得、かつ磁性が得られる溶媒であれば特に限定されるものではなく、具体的には、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒;並びにこれらの溶媒の混合溶媒などが挙げられる。
これらの中でも、好ましくは、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ニトリル系溶媒、環状エーテル系溶媒、及びハロゲン化炭化水素系溶媒と環状エーテル系溶媒との混合溶媒が挙げられ、より好ましくは、塩化メチレン、ブチロニトリル、2−メチルテトラヒドロフラン、及び塩化メチレンと2−メチルテトラヒドロフランとの混合溶媒が挙げられ、更に好ましくは、塩化メチレンと2−メチルテトラヒドロフランとの混合溶媒が挙げられる。
なお、ハロゲン化炭化水素系溶媒と環状エーテル系溶媒との混合比率(v/v)は任意であるが、5:95〜25:75程度が好適である。
【0015】
式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物、及び式(6)で表される金属錯体を混合する温度は、通常−30〜30℃の範囲を使用することができ、好ましくは、0〜20℃の範囲である。
式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物、及び式(6)で表される金属錯体を混合する時間は、混合する温度により変化するため、一概に決定できないが、例えば、20℃の場合、0.1〜10分間の範囲である。
式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物、及び式(6)で表される金属錯体を混合することにより、式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物を配位子とする有機金属錯体が生成する。
光照射は、上記各成分を混合して得られる有機金属錯体を含む溶液に対して行うことが好適であるが、この有機金属錯体を一度単離した後に光照射することもできる(固体状態、適当な溶剤に溶解した溶液状態又は高分子などにドーピングした状態等)。
【0016】
光照射の光源としては、ジアゾ基の吸収波長である500nm付近を含む光源であれば特に限定されないが、アルゴンイオンレーザ(514nm)、ヘリウムカドミウム(He−Cd)レーザ(442nm)、キセノンランプ、高圧水銀ランプ及びYAGレーザの2倍波(532nm)等が挙げられ、好ましくは、アルゴンイオンレーザ(514nm)が挙げられる。
光照射の波長としては、ジアゾ基の吸収波長である500nm付近を含む光源であれば特に限定されないが、通常400nm以上の波長を使用することができ、好ましくは、400〜550nmの範囲である。
光照射時の温度は、生成したカルベンが安定であれば特に限定されないが、通常20K以下の温度を用いることができ、好ましくは15K以下である。なお、その下限は通常0.04K程度である。
光照射の時間は、光照射時の温度、用いる波長、出力、サンプル濃度などにより変化するため、一概に決定できないが、例えば、15Kの場合、アルゴンイオンレーザ(150mW)で5時間以上照射すれば充分である。
【0017】
次に、式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物の製造法について説明する。
式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物は、それぞれ反応式1〜5に示す方法により製造することができる。
すなわち、反応式1〜5において、化合物(7)〜(10)を、それぞれDMSO(ジメチルスルホキシド)中、N24(ヒドラジン)及びN24・HCl(塩酸ヒドラジン)でヒドラゾン化し、更にCH2Cl2(塩化メチレン)中、MnO2(二酸化マンガン)で酸化することにより、対応する式(1)〜(5)で表される化合物を製造することができる。
【化5】

(式中、R1〜R7は、上記と同じ意味を表す。)
【0018】
【化6】

(式中、R1〜R5は、上記と同じ意味を表す。)
【0019】
【化7】

(式中、R1〜R5は、上記と同じ意味を表す。)
【0020】
【化8】

(式中、R1〜R5は、上記と同じ意味を表す。)
【0021】
【化9】

(式中、R1、R2及びR6〜R8は、上記と同じ意味を表す。)
【0022】
また、式(6)で表される化合物は、下記式に示す方法により製造することができる。
すなわち、化合物(12)をCH2Cl2(塩化メチレン)に溶解させ、金属イオン(M)と対アニオン(X)とのエタノール水溶液中で混合することで、対応する式(6)で表される化合物を製造することができる。
【0023】
【化10】

(式中、R10〜R12は、上記と同じ意味を表す。)
【実施例】
【0024】
以下、合成例および実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[合成例1]化合物(13)(R1=R2=R3=R4=R5=H)の合成
【化11】

【0025】
アルゴン雰囲気下、ジケトン体(化合物(8)のR1=R2=R3=R4=R5=H)1.5g(5.2mmol)を5mlのDMSOに溶かし、塩酸ヒドラジン3.6g(52mmol)、無水ヒドラジン1.5mlの順で加えて90℃で撹拌した。5時間撹拌後、反応溶液を氷水に注いで30分間撹拌した。析出した乳白色固体を吸引濾過し、充分の水及びジエチルエーテルで洗浄し、化合物(13)1.4g(4.4mmol)を得た。難溶解固体のため未精製のまま次の反応を行った。
【0026】
[合成例2]化合物(14)(R1=R2=R3=R4=R5=H)の合成
【化12】

【0027】
アルゴン雰囲気下、化合物(13)1.1g(3.5mmol)の10ml塩化メチレン溶液中に活性二酸化マンガン2g(23.0mmol)を加え、室温で遮光しながら撹拌した。2時間後、反応溶液を吸引濾過して無機物を除き、溶媒を減圧留去し、オイル状固体を得た。短いアルミナカラムクロマトグラフィーにより、濾過で除去できなかった無機物を除き、溶媒を減圧留去し、赤色固体1.0g(3.2mmol)得た。この固体を塩化メチレン−ジエチルエーテル混合溶媒に溶かし、−15℃で静置して化合物(14)の赤色結晶を得た。
1H-NMR(270MHz,CDCl3)δ: 8.43 (dd, J = 4.6 and 1.7 Hz, 2H), 7.51-7.10 (m, 9 H), 7.06 (dd, J = 4.6 and 1.7 Hz, 2H).
IR(KBr): 2038 cm-1
m.p. (℃) (decomp.): 108-110 ℃
Anal. Cacld for C19H13N5: C, 73.30; H, 4.21; N, 22.49. Found: C, 73.16; H, 4.19; N, 22.44
【0028】
[合成例3]化合物(15)(R1=R2=R3=R4=R5=H)の合成
【化13】

【0029】
アルゴン雰囲気下、トリケトン体(化合物(9)のR1=R2=R3=R4=R5=H)2.2g(5.6mmol)を3mlのDMSOに溶かし、塩酸ヒドラジン5.4g(80mmol)、無水ヒドラジン3mlの順で加えて90℃で撹拌した。3時間撹拌後、反応溶液を氷水に注いで30分間撹拌した。析出した乳白色固体を吸引濾過し、充分の水及びジエチルエーテルで洗浄し、化合物(15)2.1g(4.8mmol)を得た。難溶解固体のため未精製のまま次の反応を行った。
【0030】
[合成例4]化合物(16)(R1=R2=R3=R4=R5=H)の合成
【化14】

【0031】
アルゴン雰囲気下、化合物(15)500mg(1.2mmol)の15ml塩化メチレン溶液中に活性二酸化マンガン3.1g(36.0mmol)を加え、室温で遮光しながら撹拌した。3時間後、反応溶液を吸引濾過して無機物を除き、溶媒を減圧留去し、オイル状固体を得た。短いアルミナカラムクロマトグラフィーにより、濾過で除去できなかった無機物を除き、溶媒を減圧留去し、赤色固体を400mg(0.94mmol)得た。この固体を塩化メチレン−ジエチルエーテル混合溶媒に溶かし、−15℃で静置して化合物(16)の赤色結晶を得た。
1H-NMR(270MHz,CDCl3)δ:8.48 (d, J = 4.9 Hz, 2H), 7.50-7.10 (m, 13 H), 7.07 (dd, J = 4.6 and 1.7 Hz, 2H).
IR(KBr): 2039 cm-1
m.p. (℃) (decomp.) : 74-75 ℃
Anal. Cacld for C26H17N7: C, 73.05; H, 4.01; N, 22.94. Found: C, 73.09; H, 4.01; N, 22.78
【0032】
[合成例5]化合物(17)(R1=R2=R3=R4=R5=H)の合成
【化15】

【0033】
アルゴン雰囲気下、テトラケトン体(化合物(10)のR1=R2=R3=R4=R5=H)0.794g(1.60mmol)をDMSO20mlに溶かし、60℃に加熱して攪拌した後、ヒドラジン塩酸塩4.38g(64mmol)、無水ヒドラジン2.0ml(64mmol)を加え、1.5時間攪拌した。この溶液を室温に戻し、氷水に注いで吸引濾過後、減圧下で乾燥し白色固体として化合物(17)を825mg(1.50mmol)得た。
【0034】
[合成例6]化合物(18)(R1=R2=R3=R4=R5=H)の合成
【化16】

【0035】
アルゴン雰囲気下、化合物(17)825mg(1.50mmol)を塩化メチレン15mlに溶かし、遮光して氷浴上で攪拌した。二酸化マンガン5.22g(60mmol)を加え、1時間攪拌した。吸引濾過により、二酸化マンガンを取り除き、ろ液の塩化メチレンを減圧留去し、得られた赤色溶液をアルミナカラムクロマトグラフィーで精製した。これにより赤色粉末として化合物(18)を770mg(1.42mmol)得た。この固体を塩化メチレン/ジエチルエーテル中で再沈殿を行い、化合物(18)0.794g(1.60mmol)の赤色固体を得た。
1H-NMR(270MHz,CDCl3)δ:8.47(dd,2H), 7.48-7.04(m,19H).
IR(KBr): 2037 cm-1
Anal.Calcd for C33H21N9: C, 72.92; H, 3.89; N, 23.19
Found: C, 72.85; H, 3.90; N, 23.02
【0036】
[合成例7]化合物(19)(R1=R2=R6=R7=H、R8=Br)の合成
【化17】

【0037】
アルゴン雰囲気下、ペンタケトン体(化合物(11)のR1=R2=R3=R4=R5=H)102mg(0.14mmol)を1mlのDMSOに溶かし、塩酸ヒドラジン550mg(8.1mmol)、無水ヒドラジン0.3mlの順で加えて90℃で撹拌した。4.5時間撹拌後、反応溶液を氷水に注ぎ、析出した乳白色固体を吸引濾過し、充分の水及びジエチルエーテルで洗浄し、化合物(19)110mg(0.13mmol)を得た。難溶解固体のため未精製のまま次の反応を行った。
IR(KBr): 3398, 3290, 3209 cm-1
【0038】
[合成例8]化合物(20)(R1=R2=R6=R7=H、R8=Br)の合成
【化18】

【0039】
アルゴン雰囲気下、化合物(19)110mg(0.13mmol)の15ml塩化メチレン溶液中に活性二酸化マンガン2.0g(23.2mmol)を加え、室温で遮光しながら撹拌した。1時間後、反応溶液を吸引濾過し無機物を除き、溶媒を減圧留去し、オイル状固体を得た。短いアルミナカラムクロマトグラフィーにより、濾過で除去できなかった無機物を除き、溶媒を減圧留去し、赤色固体109mg(0.13mmol)得た。この固体を塩化メチレン−ジエチルエーテル混合溶媒に溶かし、−15℃で静置して化合物(20)の赤色結晶を得た。
1H-NMR(270MHz,CDCl3)δ: 8.51 (m, 2H), 7.13 (d, 6 H), 7.07 (m, 2H), 6.99 (d, 3H), 6.95 (s, 2H).
IR(KBr): 2043 cm-1
m.p. (℃) (decomp.): 114-117 ℃
【0040】
[合成例9]化合物(21)(R1=R2=R6=R7=R8=H)の合成
【化19】

【0041】
ビス(N−ジメチルメチル)ピリジン555mg(0.13mmol)の15ml塩化メチレン溶液中に硝酸コバルト2水和物(0.13mmol)とイソシアン酸カリウム(0.33mmol)のエタノール水溶液20mlとを加えた。析出した固体をひだ折り濾過し、ろ液を減圧留去により10mlとした後、室温で静置した。2日後、化合物(21)の紫針状結晶を得た。
【0042】
[実施例1]コバルト錯体を用いる単分子磁石の製造
化合物(1)の20mmol/Lとなる2−メチルテトラヒドロフラン溶液を調製した。化合物(21)の20mmol/Lとなる2−メチルテトラヒドロフランと塩化メチレン2:1(v/v)混合溶液を調製した。これら2種類の溶液を1:1(v/v)で混合した。この溶液50μLをマイクロシリンジにとり、磁化測定装置〔superconducting quantum interference device (SQUID) MPMS-7S,Quantum Design社製〕用の透明なカプセルに移した。試料が入ったカプセルをSQUIDのプローブに挿入し、プローブの中を5−10K以下に保ちながら、アルゴンイオンレーザ(514nm)で試料を照射した。直流磁化率の温度依存性の測定から、3個のスピンが平行に揃っていることが認められた。また交流磁化率の測定において、4K以下で遅い磁気緩和現象が認められた。これらの結果を図1〜3に示す。
【0043】
[比較例1]銅錯体を用いる分子磁性体の製造
化合物(1)の濃度が8mmol/Lとなるエタノールの溶液を調製した。Cu(NO32(硝酸銅)の濃度が4mmol/Lとなるエタノール溶液を調製し、2種類の溶液を1:1(v/v)で混合した。この溶液50μLをマイクロシリンジにとり、磁化測定装置(SQUID)用の透明なカプセルに移した。試料が入ったカプセルをSQUIDのプローブに挿入し、プローブの中を5−10K以下に保ちながら、アルゴンイオンレーザ(514nm)で試料を照射した。実施例1と同様の操作により、9個のスピンが平行に揃った常磁性体が観測されたが、交流磁化率において遅い磁気緩和は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例1の化合物(1)及びコバルト錯体の混合物における、光照射前(黒塗り)と光照射後(白抜き)の、5000 Oeでの磁化の温度依存性を示す。図中、縦軸は磁化率{χmolT (emu K mol-1)}を表し、横軸は温度{T (K)}を表す。
【図2】実施例1における、光照射(アルゴンイオンレーザ(514nm))の照射時間(分)経過における、化合物(1)及びコバルト錯体の混合物の5000 Oeでの磁化の変化を示す。図中、縦軸は磁化{Magnetization (emu Oe)}を表し、横軸は光照射(アルゴンイオンレーザ(514nm))の照射時間(分){Irradiation Time (min.)}を表す。
【図3】光照射後の、化合物(1)及びコバルト錯体の混合物における交流磁化率の温度依存性(1Hz、10Hz、100Hz、500Hz、1000Hzでそれぞれ測定)を示す。図中、縦軸は交流磁化率{χ”(emu/mol)}を表し、横軸は温度{T (K)}を表す。ここで○:1Hz、□:10Hz、△:100Hz、▽:500Hz、◆:1000Hzでのそれぞれ測定曲線を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)
【化1】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、イソブトキシ基、セカンダリーブトキシ基又はターシャーリーブトキシ基を示す。)
で表される化合物と、式(6)
【化2】

(式中、R10は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、又はセカンダリーブチル基を示し、
11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、イソブトキシ基、セカンダリーブトキシ基又はターシャーリーブトキシ基を示し、
Mは、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au又はHgを示し、
Xは、ハロゲン原子、イソシアネート基、チオシアネート基、パークロレート基、シアネート基又はナイトレート基を示し、nは1〜3を示す。)
で表される有機金属錯体と、溶媒とを混合してなる溶液に、光照射することで得られることを特徴とする単分子磁石。
【請求項2】
前記式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)において、前記R1、R2、R3、R5、R6及びR7が全て水素原子であり、R4及びR8がそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、又は臭素原子である請求項1記載の単分子磁石。
【請求項3】
前記式(6)において、前記R10がメチル基、前記R11及びR12が全て水素原子、前記MがNi、Co、Cu、Mn、Fe、Cr又はZnであり、前記Xが塩素原子、イソシアネート基、チオシアネート基、又はパークロレート基である請求項1又は2記載の単分子磁石。
【請求項4】
前記式(6)において、前記MがCoであり、前記Xがイソシアネート基であり、前記nが2である請求項1、2又は3記載の単分子磁石。
【請求項5】
前記式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物と、前記式(6)で表される有機金属錯体とのモル比が、2:1〜1:2の範囲である請求項1記載の単分子磁石。
【請求項6】
前記溶媒が、塩化メチレンと2−メチルテトラヒドロフランとの混合溶媒である請求項1又は5記載の単分子磁石。
【請求項7】
光照射するときの温度が、20K以下である請求項1、5又は6記載の単分子磁石。
【請求項8】
式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)
【化3】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、イソブトキシ基、セカンダリーブトキシ基又はターシャーリーブトキシ基を示す。)
で表される化合物と、式(6)
【化4】

(式中、R10は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、又はセカンダリーブチル基を示し、
11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、イソブトキシ基、セカンダリーブトキシ基又はターシャーリーブトキシ基を示し、
Mは、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au又はHgを示し、
Xは、ハロゲン原子、イソシアネート基、チオシアネート基、パークロレート基、シアネート基又はナイトレート基を示し、nは1〜3を示す。)
で表される有機金属錯体と、溶媒とを混合して溶液を調製し、この溶液に光照射する工程を含むことを特徴とする単分子磁石の製造方法。
【請求項9】
前記式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)において、前記R1、R2、R3、R5、R6及びR7が全て水素原子であり、前記R4及びR8がそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、又は臭素原子である請求項8記載の単分子磁石の製造方法。
【請求項10】
前記式(6)において、前記R10がメチル基、前記R11及びR12が全て水素原子、前記MがNi、Co、Cu、Mn、Fe、Cr又はZnであり、前記Xが塩素原子、イソシアネート基、チオシアネート基、又はパークロレート基である請求項8又は9記載の単分子磁石の製造方法。
【請求項11】
前記式(6)において、前記MがCoであり、前記Xがイソシアネート基であり、前記nが2である請求項8、9又は10記載の単分子磁石の製造方法。
【請求項12】
前記式(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)で表される化合物と、前記式(6)で表される有機金属錯体とのモル比が、2:1〜1:2の範囲である請求項8記載の単分子磁石の製造方法。
【請求項13】
前記溶媒が、塩化メチレンと2−メチルテトラヒドロフランとの混合溶媒である請求項8又は12記載の単分子磁石の製造方法。
【請求項14】
前記光照射するときの温度が20K以下である請求項8、12又は13記載の単分子磁石の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−242934(P2007−242934A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64098(P2006−64098)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】