説明

単独運転検出方法、分散型電源の単独運転検出用制御装置、単独運転検出装置および分散型電源

【課題】フリッカー問題を発生させる程度に電力変動が過大とならないよう電力変動のレベルを制御してフリッカーを無くすか小さく抑制処理すること。
【解決手段】分散型電源が電力系統から切り離されて単独運転しているか否かを電力系統に注入した電力変動に基づいて検出する方法において、電力系統に電力変動を注入する第1ステップと、電力系統の電力状態を検出する第2ステップと、上記検出に従い電力変動のレベルを一定の上限以下に抑制する第3ステップとを備える方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散型電源が電力系統から切り離され単独運転しているか否かを電力系統に注入した無効電力等の各種の電力変動に基づいて検出する単独運転検出方法、分散型電源の単独運転検出用制御装置、単独運転検出装置および分散型電源に関する。
【背景技術】
【0002】
単独運転は、電力系統に事故等が発生して停止したとき、局所的な系統負荷に分散型電源が電力を供給している状態である。分散型電源の単独運転が継続すると、人身や設備の安全に多大な影響がある。
【0003】
分散型電源とは、需要地あるいはその近辺に電源を設置して発電するものである。このような分散型電源は、現在、ガスタービン、ガスエンジン、太陽光、等を用いたコージェネレーションシステムが主流となっている。今後は、それらシステムに加えて、風力、小規模水力、バイオマス、等の再生可能なエネルギあるいは廃棄物等を利用した発電システムや技術的に開発途上にあるマイクロガスタービンや燃料電池の普及が期待されている。それらの中で、燃料電池は分散型電源の主流と期待も高いものであり、工場等の大規模施設だけでなく、一般住宅等の小規模施設への導入も進められるものと考えられる。
【0004】
代表的な小型の分散型電源としてはガスエンジン、ガスタービン、マイクロガスタービン、太陽光、燃料電池等を例示することができる。これまで電力会社は需要地から離れた場所に膨大な設備投資を行って発電所を建設し、需要地まで送電してきたために、送電損失等があり、発電効率は30%前後にとどまっている。
【0005】
以上説明した分散型電源に対してその単独運転を検出する単独運転検出装置においてその単独運転の検出方式としては、詳しい説明は略するが、電力変動の注入方式により、無効電力変動方式、有効電力変動方式、高調波注入方式、等の各種方式(電力変動方式)が既に提案されている。
【0006】
このような電力変動方式での単独運転検出において、多数台の単独運転検出装置が電力変動を不定期に電力系統に注入すると、電力系統内でそれら電力変動が相互に打ち消し合うことがあり、単独運転検出に影響が生じる。そのため、多数台の単独運転検出装置において、標準時刻電波信号等に同期させて一斉に電力変動を電力系統に注入した際には、それら電力変動が注入されている電力系統に接続されている負荷、例えば、蛍光灯のちらつき、マイクロコンピュータの誤動作、モータの回転制御不能を発生させる原因となるフリッカー(電圧の周期的変動)問題を発生するおそれがある。もちろん、単独運転検出装置が多数台ではなく、1台ないし数台でも、電力変動のレベルが過大であれば、多数台と同様なフリッカー問題が発生する。なお、単独運転に関する技術は多数有り、以下にその特許文献の代表を挙げる。
【特許文献1】特開平08−98411号公報
【特許文献2】特許3397912号公報
【特許文献3】特許3424443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明により解決すべき課題は、フリッカー問題を発生させる程度に電力変動が過大とならないよう電力変動のレベルを制御してフリッカーを無くすか小さく抑制処理することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明による単独運転検出方法は、分散型電源が電力系統から切り離され単独運転しているか否かを電力系統に注入した電力変動に基づいて検出する方法において、電力系統に電力変動を注入する第1ステップと、電力系統の電力状態を検出する第2ステップと、上記検出に従い電力変動のレベルを一定の上限以下に抑制する第3ステップとを備えることを特徴とするものである。
【0009】
上記において第1ステップの電力変動の注入は周期的に限定されるものではなく不定期等の任意でもよい。
【0010】
電力状態とは、系統周波数、系統電圧、系統電流、その他であり、これらを用いて得られる周波数偏差、電圧偏差、電流偏差等も含むものであり、特に限定されない。
【0011】
電力変動は、無効電力変動、有効電力変動、高調波電力変動、等であり、特に限定されない。
【0012】
電力変動のレベルは例えば、電流値等であるが、特に限定されない。
【0013】
一定の上限以下とは、フリッカー抑制に必要な上限以下のことであり、適宜、実験等により定まるものであり、特に限定されない。
【0014】
本発明によると、第1ステップで電力変動を電力系統に注入し、第2ステップで電力系統の電力状態を検出し、第3ステップで上記検出に従い電力変動のレベルを一定の上限以下に抑制するから、例えば、多数台の単独運転検出装置が例えば標準時刻電波信号等に同期させて一斉に電力変動を電力系統に注入したとしても、その電力変動はフリッカーが問題とならない一定の上限以下に抑制される結果、上記したフリッカー問題を発生するおそれがなくなる。
【0015】
本発明の好適な一態様は、第2ステップでは、その検出に用いる電力状態が、周期的な間隔における系統周波数の偏差(周波数偏差)であり、第3ステップでは、周波数偏差が一定値を超えるまでは電力変動を一定の上限に抑制し周波数偏差が一定値を超えた後は周波数偏差の増減に対して電力変動のレベルをヒステリシスを持つサイクル制御をすることである。
【0016】
この態様では、電力状態の検出に周波数偏差を用いるので、電力ラインのインピーダンスが大きいときに電力系統の電圧と分散型電源の電圧に周期的もしくは不定期な位相差が生じたことを検出するという好ましく、また、電力変動を一定の上限以下でヒステリシス制御を持って制御するので、安定な出力を継続するという点で好ましい。
【0017】
本発明の好適な一態様は、第2ステップの検出に用いる電力状態が、周期的な間隔における系統電圧の偏差(電圧偏差)であり、第3ステップでは、電圧偏差が一定値を超えるまでは電力変動を一定の上限に抑制し電圧偏差が一定値を超えた後は電圧偏差の増減に対して電力変動のレベルをヒステリシス制御することである。
【0018】
この態様では、電力状態の検出に電圧偏差を用いるので、フリッカー問題となる電圧変化を直接検出するという点で好ましい。
【0019】
本発明の好適な一態様は、第1ステップが、電波時計等の標準時刻に同期して電力系統に電力変動を注入することである。
【0020】
なお、第3ステップでは、上記ヒステリシス制御に限定されず、例えば、周波数偏差または電圧偏差が一定値となるように、周波数偏差または電圧偏差の増減に対して電力変動のレベルを高次の関数で決定してもよく、あるいはPID制御等のフィードバック制御で制御してもよい。
【0021】
(2)本発明による制御装置は、分散型電源が電力系統から切り離されて単独運転しているか否かを検出する単独運転検出装置に対してその検出動作を制御する制御装置において、電力系統に電力変動を注入する第1手段と、電力系統の電力状態を検出する第2手段と、上記検出に従い電力変動のレベルを一定の上限以下に抑制する第3手段と、を具備したことを特徴とするものである。
【0022】
本発明の制御装置によれば、上記(1)と同様のステップを実行する手段を備えるのでフリッカー防止に有効な制御装置を提供することができる。
【0023】
(3)本発明による制御装置は、分散型電源が電力系統から切り離されて単独運転しているか否かを検出する単独運転検出装置に対してその検出動作を制御する制御装置において、当該制御装置は、マイクロコンピュータを内蔵しており、上記(1)に記載の方法を実行するソフトウエアプログラムを備えたマイクロコンピュータにより構成されていることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の制御装置によれば、(1)に記載の方法を実行するものであるから、フリッカー防止に有効な制御装置を提供することができる。
【0025】
(4)本発明による単独運転検出装置は、分散型電源が電力系統から切り離されて単独運転しているか否かを検出する単独運転検出装置において、上記制御装置を備えることを特徴とするものである。
【0026】
(5)本発明による分散型電源は、電力系統から切り離されて単独運転しているか否かを検出する単独運転検出装置を内蔵する分散型電源において、この単独運転検出装置が上記制御装置を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、フリッカーを検出して処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る単独運転検出方法、その制御装置、単独運転検出装置および分散型電源を説明する。
【0029】
図1は分散型電源と単独運転検出装置とを備えた電力制御システムの構成を示す。図1を参照して、10は太陽光、風力、マイクロガスタービン、燃料電池等の分散型電源、20は単独運転検出装置、30は電力系統である。これらは概略で示したものであり、分散型電源10は内部に電源電力を交流に変換するインバータやこのインバータを制御するインバータ制御部等を備える。電力系統30の詳細は本実施の形態では特に説明を要しないので略する。また、負荷の図示等は略している。単独運転検出装置20は、連系リレー21,25と、制御装置22と、インバータ制御部23と、インバータ24と、電流検出器26とを備える。
【0030】
制御装置22は、マイクロコンピュータを内蔵しそのマイクロコンピュータのソフトウエアプログラムにより制御動作を実行することができるようになっている。この場合、制御装置22をマイクロコンピュータ以外のハードウエアで構成することもできる。
【0031】
図2に制御装置22の実施の形態に関わる主要な機能をブロック構成で示す。図2において、29は標準時刻電波信号で作動する電波時計、31は電波時計29に同期して定期的に電力系統30の電力を微小に変動(電力変動)制御するための電力変動制御信号S3´を出力する定期変動部、32は電力系統30における電力変動のフリッカーを検出処理するフリッカー検出処理部、33は定期変動部31からの電力変動制御信号S3´とフリッカー検出処理部32からのフリッカー検出信号を乗算係数S3´´として乗算しその乗算結果を電力変動制御信号S3(無効電流そのものではなくインバータ制御部への制御信号として)としてインバータ制御部23に出力する乗算器、34は電力ライン27の電力変動を信号S5に基づいて監視する電力変動監視部、35は電力変動監視部34からの監視信号に基づいて分散型電源10が電力系統30から切り離されて単独運転しているか否かを判定し、その判定に対応して制御信号S1,S2,S6を連系リレー21,25とインバータ制御部23に出力する単独運転判定部である。
【0032】
電波時計29と定期変動部31は、乗算器33に電力変動制御信号S3´を出力し、乗算器33から電力変動制御信号S3を出力させ、この電力変動制御信号S3に応答して、インバータ制御部23およびインバータ24を通じて、電力系統30に電力変動を注入する第1ステップを実行する手段を構成することができる。
【0033】
フリッカー検出処理部32において、32aは系統からの信号S5により系統周波数の変動を検出する周波数変動検出部、32bは系統からの信号S5により系統電圧の変動を検出する電圧変動検出部、32cは周波数変動検出部32aの検出出力から後述する周波数偏差Δfaveを演算しかつ内部に持つ関数に従い第1演算出力を出力する第1演算部、32dは電圧変動検出部32bの検出出力から後述する電圧偏差Δvaveを演算しかつ内部に持つ関数に従い第2演算出力を出力する第2演算部、32eは第1演算部32cと第2演算部32dそれぞれからの両第1、第2演算出力を比較し小さい方の演算出力を出力する比較部、32fは比較部32eから出力される一方の演算出力に低域フィルタ通過処理しその処理した演算出力を上記乗算係数S3´´として乗算器33に出力するローパスフィルタである。
【0034】
以上の構成において、定期変動部31からは電波時計29に同期したタイミングで電力変動制御信号S3´が出力される。定期変動部31からの電力変動制御信号S3´の出力タイミングを電波時計29に同期させるのは、電力変動制御信号S3´が他の単独運転検出装置が出力する電力変動制御信号S3´と非同期に出力された場合、これら電力変動制御信号S3´に基づいて電力系統30に注入された電力変動同士が相互に打ち消し合い、相互が単独運転検出に悪影響することを避けるためである。しかしながら、電力変動制御信号S3´により多数の単独運転検出装置から同期したタイミングで電力変動が一斉に電力系統に注入された場合、電力変動が過大となってフリッカ−の問題が発生するおそれがある。フリッカーは周知されるごとく、負荷である照明灯のちらつき、その他の不具合を発生させてしまう要因となる。
【0035】
フリッカー検出処理部32は、そのフリッカーを検出して処理するものである。
【0036】
フリッカー検出処理部32は、電力系統の電力状態を検出する第2ステップを実行する手段として周波数変動検出部32a、電圧変動検出部32bを備え、また、上記検出に従い電力変動レベルを一定の上限以下に抑制する第3ステップとして第1、第2演算部32c,32d、比較部32e、ローパスフィルタ32fを備える。
【0037】
以下、図3を参照してフリッカー検出処理部32によるフリッカー検出処理について説明する。図3(a)は横軸に周波数偏差Δfave(Hz)、縦軸に無効電流W(A)をとり、図3(b)は横軸に電圧偏差Δvave(V)、縦軸に無効電流W(A)をとっている。この無効電流Wは電力変動に対応する。
【0038】
周波数変動検出部32aにおいては、系統周波数の変動を0.5秒間隔で検出する。
【0039】
第1演算部32cにおいては周波数変動検出部32aが検出した系統周波数に対して0.5秒間の系統周波数の最大値と最小値との偏差Δf0を求め、その偏差のデータΔfi(i=0〜9)を過去10個分(5秒間のデータ)保持する。この過去10個分のデータの中から最大と最小とを除いた8個分のデータの平均を図3(a)の横軸の周波数偏差Δfaveとして求める。そして、第1演算部32cは、この周波数偏差Δfaveの変動に対して図3(a)の関数曲線に従い電力系統に注入すべき電力変動(図3(a)では無効電流で表現)を演算する。以下の説明では電力変動を無効電流W(A)で説明する。
【0040】
フリッカー検出処理部32からは乗算器33で定期変動部31からの電力変動制御信号S3´´と乗算したときに電力系統に注入する無効電流Wが0.2A以下となるように乗算係数S3´´を出力する。
【0041】
図3(a)において一定鎖線で示すヒステリシス曲線W1では周波数偏差Δfaveが0〜0.10Hzの間で増減しても無効電流Wを0.2Aの上限に維持し、周波数偏差Δfaveが0.10〜0.20Hzの間で増減するときは無効電流Wを0.2〜0Aの範囲で増減に変動することにより、現在の無効電流Wが、W1を上回るとW1にクリップさせる。そして、周波数偏差Δfaveが一旦0.20Hzになると、周波数偏差Δfaveが低下するときは、無効電流を0Aに維持する。そして、周波数偏差Δfaveが0.15Hzになると、周波数偏差Δfaveが増減するときは無効電力を0〜0.2Aで増減させる。すなわち、現在の無効電流Wが、点線で示すヒステリシス曲線W2を下回るとW2にクリップするというヒステリシス動作で制御する。
【0042】
上記においては、第1演算部32cではその演算出力が比較部32eおよびローパスフィルタ32fを経て乗算器33に乗算係数S3´´として出力されるので、無効電流Wを図3(a)で示す関数に従って0.2A以下に抑制することができるように、周波数偏差Δfaveに対して演算を行う。以上により、乗算器33からインバータ制御部23には電力変動を無効電流Wで0.2A以下に抑制する電力変動制御信号S3がインバータ制御部23に出力されるので、フリッカーが抑制される。
【0043】
電圧変動検出部32bおよび第2演算部32dにおいても、周波数変動検出部32aおよび第1演算部32cと同様である。
【0044】
すなわち、電圧変動検出部32bにおいては、系統電圧の変動を0.5秒間隔で検出する。第2演算部32dにおいては電圧変動検出部32bが検出した系統電圧に対して0.5秒間の系統電圧の最大値と最小値との偏差Δv0を求め、その偏差のデータΔvi(i=0〜9)を過去10個分(5秒間のデータ)保持する。この過去10個分のデータの中から最大と最小とを除いた8個分のデータの平均を図3(b)の横軸の電圧偏差Δvaveとして求める。そして、第2演算部32dは、この電圧偏差Δvaveの変動に対して図3(b)の関数曲線に従い電力系統に注入すべき電力変動(図3(b)では無効電流で表現)に対応した乗算係数S3´´を演算する。
【0045】
図3(b)において一定鎖線で示すヒステリシス曲線W3では電圧偏差Δvaveが0〜0.30Vの間で増減しても無効電流Wを0.2Aの上限に維持し、電圧偏差Δvaveが0.30〜0.40Vの間で増減するときは無効電流Wを0.2〜0Aの範囲で増減に変動することにより、現在の無効電流Wが、W3を上回るとW3にクリップさせる。そして、電圧偏差Δvaveが一旦0.40Hzになると、電圧偏差Δvaveが低下するときは、無効電流を0Aに維持する。そして、電圧偏差Δvaveが0.35Vになると、電圧偏差Δvaveが増減するときは無効電力を0〜0.2Aで増減させる。すなわち、現在の無効電流Wが、点線で示すヒステリシス曲線W4を下回るとW4にクリップするというヒステリシス動作で制御する。
【0046】
上記においては、第2演算部32dではその演算出力が比較部32eおよびローパスフィルタ32fを経て乗算器33に乗算係数S3´´として出力されるので、無効電流Wを図3(b)で示す関数に従って0.2A以下に抑制することができるように、電圧偏差Δvaveに対して演算を行う。以上により、乗算器33からインバータ制御部23には電力変動を無効電流Wで0.2A以下に抑制する電力変動制御信号S3がインバータ制御部23に出力されるので、フリッカーが抑制される。
【0047】
比較部32eでは第1演算部32cと第2演算部32dとの演算出力のうち、小さい方の演算出力を選択する。この選択した演算出力は8秒の時定数を持つローパスフィルタ32fで処理されたうえで乗算係数S3´´として乗算器33に与えられる。そして、乗算器33では、定期変動部31からの電力変動制御信号S3´とフリッカー検出処理部32からの検出出力である乗算係数S3´´とが乗算されて、電力変動を0.2A以下の無効電流Wに抑制するための電力変動制御信号S3がインバータ制御部23に出力され、これによって、電力系統の電力変動は無効電流Wで0.2A以下に抑制される。
【0048】
以上により実施の形態の単独運転検出装置20では、制御装置22から電力系統に0.2A以下の無効電流Wを持つ電力変動が注入される結果、多数台の単独運転検出装置が一斉に電力変動を電力系統に注入したとしても、その電力変動はフリッカーの問題を起こさない程度の一定の上限以下に抑制され、上記したフリッカー問題を発生するおそれがなくなる。
【0049】
図1に戻って、分散型電源10に外付けされている単独運転検出装置20においては、制御装置22からインバータ制御部23に電力系統に周期的に電力変動を注入するための制御指令S3が入力される。これにより、インバータ制御部23は制御信号S4をインバータ24に出力してインバータ24を駆動させて電力ライン27に電力変動を注入する。なお、制御装置22により連系リレー21、25は閉じている。また、分散型電源10内部にも図示略のインバータが内蔵されており、単独運転検出装置20のインバータ24は電力変動注入専用である。
【0050】
制御装置22は、電力ライン27からの電力変動を系統からの信号S5により電力変動監視部34で監視している。電力変動監視部34は電力変動の監視データを単独運転判定部35に入力している。単独運転判定部35においてはその監視データから単独運転であると判定すると、連系リレー21,25をオフ駆動する制御信号S1,S2とインバータ制御部23にインバータ24の動作を停止させる制御信号S6とを出力する。これにより単独運転が停止される。
【0051】
一方、制御装置22のフリッカー検出処理部32では単独運転判定のための電力変動レベルが一定値以上にならないよう系統の電圧と周波数とを検出し、電力変動をレベル制御し、フリッカーの発生を抑制する。
【0052】
図4は単独運転検出装置を内蔵した分散型電源を示す。この分散型電源は太陽電池や燃料電池等の電源本体50と、単独運転検出装置60とから構成されている。単独運転検出装置60は、インバータ61と、電流検出器62と、連系リレー63と、インバータ制御部64と、実施の形態の制御装置65とを備える。
【0053】
以上の構成において、単独運転検出装置60においては、制御装置65からインバータ制御部64に電力系統に周期的に電力変動を注入するための制御指令が入力される。これにより、インバータ制御部64はインバータ61を駆動して電力ライン66に電力変動を注入する。なお、制御装置65により連系リレー63は閉じている。
【0054】
制御装置65は、電力ライン66からの電力変動を電力変動監視部34で監視している。電力変動監視部34は電力変動の監視データを単独運転判定部35に入力している。単独運転判定部35においてはその監視データから単独運転であると判定すると、連系リレー63をオフ駆動する制御信号とインバータ制御部64にインバータ64の動作を停止させる制御信号とを出力する。これにより単独運転が停止される。
【0055】
一方、制御装置65のフリッカー検出処理部32では単独運転判定のための電力変動のレベルが一定値以上にならないよう系統の電圧と周波数とを検出し、電力変動のレベルを制御し、フリッカーの発生を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る単独運転検出方法が適用される分散型電源と単独運転検出装置とからなる電力制御システムの構成を示す図である。
【図2】図2は図1の制御装置のブロック図である。
【図3】図3(a)は図1の制御装置の動作説明に供するもので周波数偏差Δfaveと無効電流との関係を示す図、図3(b)は図1の制御装置の動作説明に供するもので電圧偏差Δvaveと無効電流との関係を示す図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態に係る単独運転検出方法が適用される分散型電源と単独運転検出装置とからなる他の電力制御システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
10 分散型電源
20 単独運転検出装置
30 電力系統


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型電源が電力系統から切り離されて単独運転しているか否かを電力系統に注入した電力変動に基づいて検出する方法において、
電力系統に電力変動を注入する第1ステップと、
電力系統の電力状態を検出する第2ステップと、
上記検出に従い電力変動のレベルを一定の上限以下に抑制する第3ステップと、
を備えることを特徴とする単独運転検出方法。
【請求項2】
分散型電源が電力系統から切り離されて単独運転しているか否かを検出する単独運転検出装置に対してその検出動作を制御する制御装置において、
電力系統に電力変動を注入する第1手段と、
電力系統の電力状態を検出する第2手段と、
上記検出に従い電力変動のレベルを一定の上限以下に抑制する第3手段と、
を具備したことを特徴とする制御装置。
【請求項3】
分散型電源が電力系統から切り離されて単独運転しているか否かを検出する単独運転検出装置に対してその検出動作を制御する制御装置において、当該制御装置は、マイクロコンピュータを内蔵しており、請求項1に記載の方法を実行するソフトウエアプログラムを備えたマイクロコンピュータにより構成されている、ことを特徴とする制御装置。
【請求項4】
分散型電源が電力系統から切り離されて単独運転しているか否かを検出する単独運転検出装置において、請求項2または3に記載の制御装置を備える、ことを特徴とする単独運転検出装置。
【請求項5】
電力系統から切り離されて単独運転しているか否かを検出する単独運転検出装置を内蔵する分散型電源において、この単独運転検出装置が請求項2または3に記載の制御装置を備える、ことを特徴とする分散型電源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−202266(P2007−202266A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16296(P2006−16296)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】