単純放射状免疫拡散アッセイのデジタル画像
対象とする抗原または抗体について単純放射状免疫拡散(SRID)アッセイを実施するための方法が、開示される。この方法は、(a)1つ以上の試験サンプルをゲルに適用する工程であって、上記ゲルは、(i)対象とする抗原に特異的な抗体および/または(ii)対象とする抗体により認識される抗原を含む、工程;(b)上記サンプルを、その適用点から放射状に拡散させる工程;(c)拡散が生じた後に、上記ゲルのデジタル画像を調製する工程;(d)上記デジタル画像内の沈殿ハロの外径を決定する工程;(e)上記決定した径を、既知濃度の対象とする抗原または抗体を含む1つ以上の標準サンプルから得られる外径と比較する工程;ならびに、必要に応じて、(f)工程(e)からの結果を使用して、上記試験サンプル中の対象とする抗原または抗体の濃度を決定する工程;を包含する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中で引用されるすべての書類は、その全体が参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、放射状免疫拡散アッセイの分野にある。
【背景技術】
【0003】
インフルエンザウイルスワクチンの効力試験のための単純放射状免疫拡散(SRID)アッセイ[参考文献1および2]が、最初にWoodらによって開発され、赤血球の凝集に基づく試験の代わりになるように1978年にWHOによって推奨された。
【0004】
このアッセイは、特異的抗赤血球凝集素(抗HA)血清を含むアガロースゲル中への全粒子ウイルスまたは精製ウイルス抗原の拡散に基づく。生じる抗原/抗体反応またはゾーンは、その調製物中のHA抗原の量と正比例する。未知調製物により生成されるゾーンを、既知HA含量(μgHA/ml)を含む参照物のゾーンと比較することによって、上記未知調製物に対して、値が割り当てられ得る。各反応ゾーンは、同心円状の輪または円の形態を呈する。各円は、その中心、直径、および厚み(円形拡散ストリップ)によって特徴付けられる。
【0005】
SRIDアッセイはまた、抗HAではなく、測定される抗原に対して特異的な抗体を使用して、不活化ポリオワクチンおよび不活化狂犬病ワクチンの効力を決定するために使用されている[1、2]。より一般的には、SRIDアッセイは、任意の抗原の濃度を決定するために使用され得る。臨床試験目的のために、この濃度は、効力に関連する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
歴史的には、半自動装置[3]が、2つの直交方向にゾーン直径を測定するために使用されており、0.1mmまで近似される。この方法は、遅く、誤りやすく、完全には正確ではない。従って、SRIDアッセイを実施するために改良された方法の必要性が、依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の開示)
本発明は、対象とする抗原または抗体についての単純放射状免疫拡散(SRID)アッセイを実施するための方法を提供する。この方法は、
(a)1つ以上の試験サンプルをゲルに適用する工程であって、上記ゲルは、(i)対象とする抗原に特異的な抗体および/または(ii)対象とする抗体により認識される抗原を含む、工程;
(b)上記サンプルを、その適用点から放射状に拡散させる工程;
(c)拡散が生じた後に、上記ゲルのデジタル画像を調製する工程;
(d)上記デジタル画像内の沈殿ハロの外径を決定する工程;
(e)上記決定した径を、既知濃度の対象とする抗原または抗体を含む1つ以上の標準サンプルから得られる外径と比較する工程;ならびに、必要に応じて、
(f)工程(e)からの結果を使用して、上記試験サンプル中の対象とする抗原または抗体の濃度を決定する工程;
を包含する。
【0008】
本発明の方法は、免疫複合体輪の明確な光学的提示を可能にし、人の介入を必要とせず、操作者の影響を受けず、そして将来参照するために画像を記憶するのを可能にする。
【0009】
(試験サンプル、対象とする抗原または抗体、およびゲル)
本発明は、対象とする抗原または抗体の濃度を決定するために使用される。
【0010】
抗原は、対象とする抗原に特異的な抗体をゲル中に含めることによって、検出される。逆に、抗体は、対象とする抗体により認識される抗体をゲル中に含めることによって、検出される。あるいは、抗体は、抗−抗体抗体を使用することによって、抗原として検出され得る。しかし、すべての場合において、検出は、抗原と、その抗原に特異的な抗体との間の相互作用に依存する。
【0011】
抗体は、モノクローナル抗体であっても、ポリクローナル抗体であってもよい。ポリクローナル抗体を含む抗血清の使用が、代表的である。抗体がゲル中に存在する場合、その抗体は、均一濃度で存在する。その濃度は、既知であっても、既知ではなくてもよい。
【0012】
好ましい構成は、抗体を含むゲルを含む。この抗体を含むゲルは、試験サンプル中の対象とする抗原の濃度を決定するために使用される。対象とする好ましい抗原は、インフルエンザウイルス由来の赤血球凝集素(HA)である。従って、好ましいゲルは、抗HA抗体に含浸される。好ましい試験サンプルは、インフルエンザウイルスワクチンである。他の試験サンプルは、H.influenzae抗原、破傷風抗原、または小児ワクチンにおいて見出される他の抗原を含み得る。
【0013】
上記ゲルは、好ましくは、寒天またはアガロースゲルであるが、他の適切な材料が利用可能であり、そしてそれが抗原または抗体の放射状拡散を支持する能力に基づいて、およびそれが抗原/抗体複合体の沈殿を支持する能力に基づいて、当業者によって選択され得る。
【0014】
(放射状拡散)
SRIDアッセイにおいて使用されるゲルは、一般的には、試験サンプルがロードされる所定のウェルを含む。その後、そのウェルの内容物が、上記ゲル中に放射状に拡散する。抗原/抗体は、外向きに拡散するので、抗原/抗体は、同族の抗原/抗体と出会い、最初に、上記ウェルの周囲にハロとして可視的沈殿物を形成する。拡散が続くと、その濃度は、過剰な物質に向って移動し、上記沈殿物は溶解する。拡散は、上記物質の濃度が低下して再度の沈殿を可能にするまで、さらに継続する。さらなる拡散によって、上記物質が低すぎて上記沈殿物の縁を再溶解できなくなるまで、沈殿、再溶解、および再沈殿を可能にする。その後、上記ハロは、直径の増加が止まる。
【0015】
従って、SRIDアッセイの結果(図1)は、上記ウェルの周囲にあるハロであり、そのハロは、外径および内径を有する。その外径は、上記ウェル中の試験物質の濃度に比例する。この径を、既知濃度の物質を使用して得られるハロの径と比較することによって、そのSRIDアッセイは、定量的結果を提供する。
【0016】
(デジタル画像化)
拡散が生じた後に、本発明の方法の工程(c)は、コンピュータメモリにおける上記ゲルのデジタル画像の調製を含む。このデジタル画像は、上記ゲル自体から得られる必要はないが、そのゲルのコピーから得られ得る。例えば、上記ゲルの写真が撮られ得、生じる写真紙から上記画像が調製され得る。
【0017】
上記デジタル画像は、スキャニングによってか、またはデジタル写真によって、得られ得る。その結果は、ビットマップ(bitmap)である。これは、工程(d)において画像処理技術に供され得る。上記画像は、(勾配分析およびエッジ検出を容易にするために)グレースケール画像(例えば、256レベルグレースケール画像)であり得る。上記画像は、画像処理(例えば、エッジ増強など)に供されており得る。
【0018】
上記プロセスの工程(d)は、上記デジタル画像を分析して、上記SRIDアッセイの結果から特徴を決定する(locate)工程を包含する。これらの特徴は、特定の順序で同定されても、そうではなくてもよい。同定する第一の特徴の組は、免疫沈澱により形成されるハロの外径である。これらの径は、濃度を決定するために重要である。同定され得る第二の特徴の組は、上記ハロの内径であり、それによって、輪が規定される。同定され得る第三の特徴の組は、拡散の中心(例えば、上記ゲル中のウェルの位置)である。
【0019】
直径は、直接的または間接的に測定され得、例えば、その直径は、半径または面積を測定した後に計算され得ることが、認識される。
【0020】
SRIDハロが、幾何的に完全な円であることは、稀である。本発明の利点は、限定数の測定を使用するのではなく、ハロ全体として、平均直径が計算され得ることである。全体的面積は、同じ面積を有する円の直径へと変換され得る。内径および/または拡散中心を決定(locate)すると、そのような計算が助けられる。拡散が、ウェルの一方においてもう一方よりも多く生じる場合、ハロの内側の開放部分は、そのハロの外側範囲内の中心ではないかもしれない(すなわち、内側円と外側円とは、同心円状ではない)が、内輪および/または拡散中心を決定(locate)すると、すべての放射方向における平均拡散を評価することが可能になる。円形近似関数が、使用され得る。
【0021】
画像内のハロを決定(locate)することは、そのデジタル画像中の特徴によって誘導され得る。上記SRIDアッセイが、例えば、既知の位置にあるウェルを備えた標準サイズのゲルを使用し、かつその画像が、標準的認識特徴を含む場合、そのウェルの位置は、推測され得、画像処理は、これらの位置から外側に向って作用してハロを見出し得る。
【0022】
一旦、デジタル画像内にハロが同定されると、上記プロセスのさらなる工程が、画像全体から調製された部分画像に対して実施され得る。その部分画像各々は、少数のハロ(代表的には、部分画像1つ当たり1つのハロ)を含む。
【0023】
輪またはハロの直径を同定および測定するための画像処理技術は、当業者が精通している。例えば、アイリス(iris)の認識および特徴付けのための画像処理は、周知であり、免疫沈澱したハロは、アイリス(iris)よりもずっと複雑ではない。バックグラウンドに対してハロのエッジを検出するために、本発明は、好ましくは、グレースケール画像における2次元空間勾配測定のためのアルゴリズム(例えば、Sobelエッジ検出、Prewittエッジ検出、Frei−Chenマスクなど)を利用する。
【0024】
(直径の比較および濃度の決定)
ハロの直径が測定された後、その直径は、既知濃度の対象物質を使用して形成されたハロの直径と比較される。ハロの直径は、物質の濃度と比例するので、この比較によって、試験サンプル中の物質の濃度を決定することが可能になる。
【0025】
上記方法は、好ましくは、1つよりも多くのそのような既知直径との比較を含む。好ましいSRID方法は、種々の既知濃度を使用してデータを得る。これらの濃度から形成されるハロの直径が、評価され、その後、上下の最も近い2つの標準的ハロ直径が、試験サンプル中の濃度を補間するために使用される。試験ハロが、最小標準ハロ/最大標準ハロよりも小さいかまたは大きく、2つの近隣値が得られない場合、少なくとも2つの最も近い直径が、上記濃度を補外するために使用される。しかし、濃度0は、ハロを生じないので、0値は、常に、計算目的のために暗示的に利用可能である。
【0026】
従って、本発明の方法は、標準曲線の計算を含み得、その標準曲線から、試験サンプル中の物質の濃度が、補間または補外され得る。
【0027】
これらの工程は、一般的には、コンピュータを使用して実施される。
【0028】
既知濃度に対応するハロの直径は、一般的には、試験ハロと同じゲルから得られる。すなわち、本発明の方法は、既知濃度の対象とする抗原/抗体を含む1つ以上の標準サンプルを、試験サンプルと同じゲルに適用する工程を包含する。
【0029】
1つの画像において、どのハロが既知濃度から生じたのか、そしてどれが未知濃度から生じたのかを知ることが、重要である。使用者は、どのハロが特定の標準濃度に対応するかを選択しなければならないものであり得る。あるいは、上記方法は、ゲル中の特定のウェル配置を、特定のウェル中の特定の濃度配置とともに使用し得る。
【0030】
標準的濃度は、μg/ml範囲である。例えば、少なくとも1つの標準濃度は、1μg/mlと500μg/mlとの間にある。
【0031】
(将来参照するための画像の記憶)
本発明の方法は、将来参照するために画像を記憶するというさらなる工程を含み得る。この画像は、好ましくは、試験サンプルに関する情報(例えば、ワクチンのバッチ番号またはロット番号、日付など)とともに、記憶される。従って、何らかの特定のバッチに関して品質制御の問題が生じた場合には、このSRIDデータが、容易に検索され得る。データは、リレーショナルデータベース中に記憶され得る。
【0032】
SRID全画像および/または部分画像(例えば、個別のハロの)が、記憶され得る。部分画像が記憶される場合、同じゲルからの部分画像を相互参照することが好ましい。
【0033】
サンプルおよび画像のバーコード化によって、上記方法およびその後の記憶の実行が容易になり得る。
【0034】
(コンピュータ)
本発明の方法の工程(c)〜(f)は、一般的には、コンピュータによって実施される。好ましくは、これらの工程は、同じコンピュータを使用して実施され、別個の工程が、1つの統合ソフトウェアパッケージによって実施される。
【0035】
従って、本発明は、コンピュータを提供する。このコンピュータにおいて、拡散が生じた後に単純放射状免疫拡散(SRID)ゲルのデジタル画像をプログラムが分析して、そのデジタル画像内の沈殿ハロの外径を決定(locate)し、そして必要に応じて、(i)拡散の中心および/または(ii)上記ハロの内径を決定(locate)し、このコンピュータは、上記径を、既知濃度の試験物質を含む1つ以上の標準サンプルを使用して得られる径と比較し、それによって、上記ハロを生じた物質の濃度を計算し得る。
【0036】
本発明はまた、そのようなコンピュータプログラムを含む記憶媒体(例えば、ディスケット、CD−ROM、メモリなど)を提供する。
【0037】
上記コンピュータは、決定(locate)されたハロの位置を重層し、そして重層せずに、デジタル画像の可視化を可能にし得る。
【0038】
本発明はまた、上記のコンピュータと、単純放射状免疫拡散(SRID)ゲルのデジタル画像を得るためのスキャナとを備える、システムを提供する。上記システムはまた、SRID分析の準備ができたサンプルを希釈し分配するための手段を備え得る。このシステムは、SRIDゲルの調製の間にどのサンプルをどのウェルに配置するかを指示する視覚的表示器を使用者に提供し得る。
【0039】
本発明はまた、上記方法の工程(c)〜(f)を実施するようにプログラムされたコンピュータを提供する。
【0040】
(試験されるワクチン)
本発明は、医師により使用されるワクチンを放出するための方法であって、上記方法は、
(1)対象とする抗原を含むワクチンを製造する工程;
(2)上記ワクチンの試験サンプルに対する単純放射状免疫拡散(SRID)アッセイを、上記抗原に対する抗体を含むゲルを使用して実施する工程;
(3)上記SRIDアッセイゲルのデジタル画像を調製する工程;
(4)上記デジタル画像内の沈殿ハロの外径を決定(locate)する工程;
(5)上記径を、既知濃度の対象とする抗原を含む1つ以上の標準サンプルを使用して得られる径と比較する工程;
(6)工程(5)からの結果を使用して、上記試験サンプル中の対象とする抗原の濃度を決定する工程;および工程(6)からの結果が、臨床的使用のために許容可能な効力を示す場合には、
(7)医師により使用されるワクチンを放出する工程;
を包含する。
【0041】
上記ワクチンは、好ましくは、インフルエンザワクチンである。これは、不活化全粒子ウイルス、スプリット(split)ウイルス、またはウイルス抗原(特に、表面抗原)を含み得る。
【0042】
本発明は、本発明に従うSRID試験の後に放出された、ワクチン(特に、インフルエンザワクチン)を提供する。
【0043】
(概要)
用語「含む、包含する(comprising)」とは、「含む」ならびに「からなる」を意味する。例えば、Xを「含む」組成物とは、Xのみからなってもよいし、さらなる何かを含んでもよい(例えば、X+Y)。
【0044】
数値xに関する用語「約」とは、例えば、x±10%を意味する。
【実施例】
【0045】
(発明を実施するための様式)
(実施例1−インフルエンザウイルス)
インフルエンザ赤血球凝集素についての標準的SRIDアッセイを、プレート中の4×4のウェルマトリックスを使用して実施した。標準物質を、通常濃度、2/3希釈、1/2希釈、および1/4希釈(左から右へ)にて一番上の行中にロードした。未知物質を、同じ希釈にて行2〜行4中にロードした。
【0046】
上記アッセイの結果を、Java(登録商標)ベースのソフトウェアパッケージを使用して分析した。このパッケージは、スキャニング、画像操作、およびOracleTMデータベースエントリを組み込んでいた。
【0047】
上記プレートのデジタル画像を、図2において示されるように、スキャナを使用してキャプチャーした。上記ゲル中の対象領域を、ソフトウェアによって自動選択した(図3)。この領域中のハロを、画像処理アルゴリズムを使用してソフトウェアによって検出した。計算した内径および外径を、使用者に対して示される視覚表示上に重層した(図4)。
【0048】
円の外径を、2つの直交方向において自由単位で測定した。結果を以下に示す:
【0049】
【表1】
標準曲線を、行1における値から計算した。その傾きは、18.64であり、その切片は、15.90であり、r2=0.9988である。この標準曲線を使用して、行2〜行4のために使用したサンプルのHA濃度を、計算した:(2)16.78μg/ml;(3)23.34μg/ml;(4)21.38μg/ml。
【0050】
(実施例2−代替的インフルエンザウイルス分析)
4×4形式を使用するのではなく、4×7形式を使用した(図5)。画像のフィルタリングもまた使用して、バックグラウンドを除去した(左と右を比較する)。いくらかの手動調整が可能であった。
【0051】
(実施例3−H.influenzae b型抗原)
図6および図7は、抗H.influenzae b型(Hib)ゲルにおいて結合体化H.influenzae b型(Hib)抗原を使用する、生SRIDアッセイおよび対象となる自動選択領域を示す。
【0052】
図8Aは、エッジ、自動内輪検出、内輪サイズ決定、および中間輪位置を増強するための画像フィルタリングの使用を示す。対照的に、図8Bは、自動外輪検出およびサイズ決定を示す。
【0053】
(実施例4−破傷風トキソイド)
中間輪を使用する破傷風トキソイド(TT)SRIDの最終結果を、図9に示す。その結果のグラフ分析を、図10に示す(y=70.044x+37.517、r2=0.9866)。試験サンプルが、12.4Lf/mlを含むことを計算した。
【0054】
本発明は、例としてのみ記載されており、本発明の範囲および趣旨の範囲内に留まりつつ改変がなされ得ることが、理解される。
【0055】
(参考文献(その内容は、全体が本明細書中に援用される))
[1]Williams(1993)Vet Microbiol 37:253〜262
[2]FitzgeraldおよびNeedy(1986)Dev Biol Stand 64:73〜79
[3]米国特許第4,099,881号
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、SRID分析の原理を示す。
【図2】図2〜4は、ゲルから処理済み画像までのSRID分析を示す。
【図3】図2〜4は、ゲルから処理済み画像までのSRID分析を示す。
【図4】図2〜4は、ゲルから処理済み画像までのSRID分析を示す。
【図5】図5は、SRIDゲルの処理済み画像を示す。
【図6】図6〜8は、ゲルから処理済み画像までのSRID分析を示す。
【図7】図6〜8は、ゲルから処理済み画像までのSRID分析を示す。
【図8A】図6〜8は、ゲルから処理済み画像までのSRID分析を示す。
【図8B】図6〜8は、ゲルから処理済み画像までのSRID分析を示す。
【図9】図9は、処理済みのSRIDゲル画像を示す。
【図10】図10は、対応する標準曲線を示す。
【技術分野】
【0001】
本明細書中で引用されるすべての書類は、その全体が参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、放射状免疫拡散アッセイの分野にある。
【背景技術】
【0003】
インフルエンザウイルスワクチンの効力試験のための単純放射状免疫拡散(SRID)アッセイ[参考文献1および2]が、最初にWoodらによって開発され、赤血球の凝集に基づく試験の代わりになるように1978年にWHOによって推奨された。
【0004】
このアッセイは、特異的抗赤血球凝集素(抗HA)血清を含むアガロースゲル中への全粒子ウイルスまたは精製ウイルス抗原の拡散に基づく。生じる抗原/抗体反応またはゾーンは、その調製物中のHA抗原の量と正比例する。未知調製物により生成されるゾーンを、既知HA含量(μgHA/ml)を含む参照物のゾーンと比較することによって、上記未知調製物に対して、値が割り当てられ得る。各反応ゾーンは、同心円状の輪または円の形態を呈する。各円は、その中心、直径、および厚み(円形拡散ストリップ)によって特徴付けられる。
【0005】
SRIDアッセイはまた、抗HAではなく、測定される抗原に対して特異的な抗体を使用して、不活化ポリオワクチンおよび不活化狂犬病ワクチンの効力を決定するために使用されている[1、2]。より一般的には、SRIDアッセイは、任意の抗原の濃度を決定するために使用され得る。臨床試験目的のために、この濃度は、効力に関連する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
歴史的には、半自動装置[3]が、2つの直交方向にゾーン直径を測定するために使用されており、0.1mmまで近似される。この方法は、遅く、誤りやすく、完全には正確ではない。従って、SRIDアッセイを実施するために改良された方法の必要性が、依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の開示)
本発明は、対象とする抗原または抗体についての単純放射状免疫拡散(SRID)アッセイを実施するための方法を提供する。この方法は、
(a)1つ以上の試験サンプルをゲルに適用する工程であって、上記ゲルは、(i)対象とする抗原に特異的な抗体および/または(ii)対象とする抗体により認識される抗原を含む、工程;
(b)上記サンプルを、その適用点から放射状に拡散させる工程;
(c)拡散が生じた後に、上記ゲルのデジタル画像を調製する工程;
(d)上記デジタル画像内の沈殿ハロの外径を決定する工程;
(e)上記決定した径を、既知濃度の対象とする抗原または抗体を含む1つ以上の標準サンプルから得られる外径と比較する工程;ならびに、必要に応じて、
(f)工程(e)からの結果を使用して、上記試験サンプル中の対象とする抗原または抗体の濃度を決定する工程;
を包含する。
【0008】
本発明の方法は、免疫複合体輪の明確な光学的提示を可能にし、人の介入を必要とせず、操作者の影響を受けず、そして将来参照するために画像を記憶するのを可能にする。
【0009】
(試験サンプル、対象とする抗原または抗体、およびゲル)
本発明は、対象とする抗原または抗体の濃度を決定するために使用される。
【0010】
抗原は、対象とする抗原に特異的な抗体をゲル中に含めることによって、検出される。逆に、抗体は、対象とする抗体により認識される抗体をゲル中に含めることによって、検出される。あるいは、抗体は、抗−抗体抗体を使用することによって、抗原として検出され得る。しかし、すべての場合において、検出は、抗原と、その抗原に特異的な抗体との間の相互作用に依存する。
【0011】
抗体は、モノクローナル抗体であっても、ポリクローナル抗体であってもよい。ポリクローナル抗体を含む抗血清の使用が、代表的である。抗体がゲル中に存在する場合、その抗体は、均一濃度で存在する。その濃度は、既知であっても、既知ではなくてもよい。
【0012】
好ましい構成は、抗体を含むゲルを含む。この抗体を含むゲルは、試験サンプル中の対象とする抗原の濃度を決定するために使用される。対象とする好ましい抗原は、インフルエンザウイルス由来の赤血球凝集素(HA)である。従って、好ましいゲルは、抗HA抗体に含浸される。好ましい試験サンプルは、インフルエンザウイルスワクチンである。他の試験サンプルは、H.influenzae抗原、破傷風抗原、または小児ワクチンにおいて見出される他の抗原を含み得る。
【0013】
上記ゲルは、好ましくは、寒天またはアガロースゲルであるが、他の適切な材料が利用可能であり、そしてそれが抗原または抗体の放射状拡散を支持する能力に基づいて、およびそれが抗原/抗体複合体の沈殿を支持する能力に基づいて、当業者によって選択され得る。
【0014】
(放射状拡散)
SRIDアッセイにおいて使用されるゲルは、一般的には、試験サンプルがロードされる所定のウェルを含む。その後、そのウェルの内容物が、上記ゲル中に放射状に拡散する。抗原/抗体は、外向きに拡散するので、抗原/抗体は、同族の抗原/抗体と出会い、最初に、上記ウェルの周囲にハロとして可視的沈殿物を形成する。拡散が続くと、その濃度は、過剰な物質に向って移動し、上記沈殿物は溶解する。拡散は、上記物質の濃度が低下して再度の沈殿を可能にするまで、さらに継続する。さらなる拡散によって、上記物質が低すぎて上記沈殿物の縁を再溶解できなくなるまで、沈殿、再溶解、および再沈殿を可能にする。その後、上記ハロは、直径の増加が止まる。
【0015】
従って、SRIDアッセイの結果(図1)は、上記ウェルの周囲にあるハロであり、そのハロは、外径および内径を有する。その外径は、上記ウェル中の試験物質の濃度に比例する。この径を、既知濃度の物質を使用して得られるハロの径と比較することによって、そのSRIDアッセイは、定量的結果を提供する。
【0016】
(デジタル画像化)
拡散が生じた後に、本発明の方法の工程(c)は、コンピュータメモリにおける上記ゲルのデジタル画像の調製を含む。このデジタル画像は、上記ゲル自体から得られる必要はないが、そのゲルのコピーから得られ得る。例えば、上記ゲルの写真が撮られ得、生じる写真紙から上記画像が調製され得る。
【0017】
上記デジタル画像は、スキャニングによってか、またはデジタル写真によって、得られ得る。その結果は、ビットマップ(bitmap)である。これは、工程(d)において画像処理技術に供され得る。上記画像は、(勾配分析およびエッジ検出を容易にするために)グレースケール画像(例えば、256レベルグレースケール画像)であり得る。上記画像は、画像処理(例えば、エッジ増強など)に供されており得る。
【0018】
上記プロセスの工程(d)は、上記デジタル画像を分析して、上記SRIDアッセイの結果から特徴を決定する(locate)工程を包含する。これらの特徴は、特定の順序で同定されても、そうではなくてもよい。同定する第一の特徴の組は、免疫沈澱により形成されるハロの外径である。これらの径は、濃度を決定するために重要である。同定され得る第二の特徴の組は、上記ハロの内径であり、それによって、輪が規定される。同定され得る第三の特徴の組は、拡散の中心(例えば、上記ゲル中のウェルの位置)である。
【0019】
直径は、直接的または間接的に測定され得、例えば、その直径は、半径または面積を測定した後に計算され得ることが、認識される。
【0020】
SRIDハロが、幾何的に完全な円であることは、稀である。本発明の利点は、限定数の測定を使用するのではなく、ハロ全体として、平均直径が計算され得ることである。全体的面積は、同じ面積を有する円の直径へと変換され得る。内径および/または拡散中心を決定(locate)すると、そのような計算が助けられる。拡散が、ウェルの一方においてもう一方よりも多く生じる場合、ハロの内側の開放部分は、そのハロの外側範囲内の中心ではないかもしれない(すなわち、内側円と外側円とは、同心円状ではない)が、内輪および/または拡散中心を決定(locate)すると、すべての放射方向における平均拡散を評価することが可能になる。円形近似関数が、使用され得る。
【0021】
画像内のハロを決定(locate)することは、そのデジタル画像中の特徴によって誘導され得る。上記SRIDアッセイが、例えば、既知の位置にあるウェルを備えた標準サイズのゲルを使用し、かつその画像が、標準的認識特徴を含む場合、そのウェルの位置は、推測され得、画像処理は、これらの位置から外側に向って作用してハロを見出し得る。
【0022】
一旦、デジタル画像内にハロが同定されると、上記プロセスのさらなる工程が、画像全体から調製された部分画像に対して実施され得る。その部分画像各々は、少数のハロ(代表的には、部分画像1つ当たり1つのハロ)を含む。
【0023】
輪またはハロの直径を同定および測定するための画像処理技術は、当業者が精通している。例えば、アイリス(iris)の認識および特徴付けのための画像処理は、周知であり、免疫沈澱したハロは、アイリス(iris)よりもずっと複雑ではない。バックグラウンドに対してハロのエッジを検出するために、本発明は、好ましくは、グレースケール画像における2次元空間勾配測定のためのアルゴリズム(例えば、Sobelエッジ検出、Prewittエッジ検出、Frei−Chenマスクなど)を利用する。
【0024】
(直径の比較および濃度の決定)
ハロの直径が測定された後、その直径は、既知濃度の対象物質を使用して形成されたハロの直径と比較される。ハロの直径は、物質の濃度と比例するので、この比較によって、試験サンプル中の物質の濃度を決定することが可能になる。
【0025】
上記方法は、好ましくは、1つよりも多くのそのような既知直径との比較を含む。好ましいSRID方法は、種々の既知濃度を使用してデータを得る。これらの濃度から形成されるハロの直径が、評価され、その後、上下の最も近い2つの標準的ハロ直径が、試験サンプル中の濃度を補間するために使用される。試験ハロが、最小標準ハロ/最大標準ハロよりも小さいかまたは大きく、2つの近隣値が得られない場合、少なくとも2つの最も近い直径が、上記濃度を補外するために使用される。しかし、濃度0は、ハロを生じないので、0値は、常に、計算目的のために暗示的に利用可能である。
【0026】
従って、本発明の方法は、標準曲線の計算を含み得、その標準曲線から、試験サンプル中の物質の濃度が、補間または補外され得る。
【0027】
これらの工程は、一般的には、コンピュータを使用して実施される。
【0028】
既知濃度に対応するハロの直径は、一般的には、試験ハロと同じゲルから得られる。すなわち、本発明の方法は、既知濃度の対象とする抗原/抗体を含む1つ以上の標準サンプルを、試験サンプルと同じゲルに適用する工程を包含する。
【0029】
1つの画像において、どのハロが既知濃度から生じたのか、そしてどれが未知濃度から生じたのかを知ることが、重要である。使用者は、どのハロが特定の標準濃度に対応するかを選択しなければならないものであり得る。あるいは、上記方法は、ゲル中の特定のウェル配置を、特定のウェル中の特定の濃度配置とともに使用し得る。
【0030】
標準的濃度は、μg/ml範囲である。例えば、少なくとも1つの標準濃度は、1μg/mlと500μg/mlとの間にある。
【0031】
(将来参照するための画像の記憶)
本発明の方法は、将来参照するために画像を記憶するというさらなる工程を含み得る。この画像は、好ましくは、試験サンプルに関する情報(例えば、ワクチンのバッチ番号またはロット番号、日付など)とともに、記憶される。従って、何らかの特定のバッチに関して品質制御の問題が生じた場合には、このSRIDデータが、容易に検索され得る。データは、リレーショナルデータベース中に記憶され得る。
【0032】
SRID全画像および/または部分画像(例えば、個別のハロの)が、記憶され得る。部分画像が記憶される場合、同じゲルからの部分画像を相互参照することが好ましい。
【0033】
サンプルおよび画像のバーコード化によって、上記方法およびその後の記憶の実行が容易になり得る。
【0034】
(コンピュータ)
本発明の方法の工程(c)〜(f)は、一般的には、コンピュータによって実施される。好ましくは、これらの工程は、同じコンピュータを使用して実施され、別個の工程が、1つの統合ソフトウェアパッケージによって実施される。
【0035】
従って、本発明は、コンピュータを提供する。このコンピュータにおいて、拡散が生じた後に単純放射状免疫拡散(SRID)ゲルのデジタル画像をプログラムが分析して、そのデジタル画像内の沈殿ハロの外径を決定(locate)し、そして必要に応じて、(i)拡散の中心および/または(ii)上記ハロの内径を決定(locate)し、このコンピュータは、上記径を、既知濃度の試験物質を含む1つ以上の標準サンプルを使用して得られる径と比較し、それによって、上記ハロを生じた物質の濃度を計算し得る。
【0036】
本発明はまた、そのようなコンピュータプログラムを含む記憶媒体(例えば、ディスケット、CD−ROM、メモリなど)を提供する。
【0037】
上記コンピュータは、決定(locate)されたハロの位置を重層し、そして重層せずに、デジタル画像の可視化を可能にし得る。
【0038】
本発明はまた、上記のコンピュータと、単純放射状免疫拡散(SRID)ゲルのデジタル画像を得るためのスキャナとを備える、システムを提供する。上記システムはまた、SRID分析の準備ができたサンプルを希釈し分配するための手段を備え得る。このシステムは、SRIDゲルの調製の間にどのサンプルをどのウェルに配置するかを指示する視覚的表示器を使用者に提供し得る。
【0039】
本発明はまた、上記方法の工程(c)〜(f)を実施するようにプログラムされたコンピュータを提供する。
【0040】
(試験されるワクチン)
本発明は、医師により使用されるワクチンを放出するための方法であって、上記方法は、
(1)対象とする抗原を含むワクチンを製造する工程;
(2)上記ワクチンの試験サンプルに対する単純放射状免疫拡散(SRID)アッセイを、上記抗原に対する抗体を含むゲルを使用して実施する工程;
(3)上記SRIDアッセイゲルのデジタル画像を調製する工程;
(4)上記デジタル画像内の沈殿ハロの外径を決定(locate)する工程;
(5)上記径を、既知濃度の対象とする抗原を含む1つ以上の標準サンプルを使用して得られる径と比較する工程;
(6)工程(5)からの結果を使用して、上記試験サンプル中の対象とする抗原の濃度を決定する工程;および工程(6)からの結果が、臨床的使用のために許容可能な効力を示す場合には、
(7)医師により使用されるワクチンを放出する工程;
を包含する。
【0041】
上記ワクチンは、好ましくは、インフルエンザワクチンである。これは、不活化全粒子ウイルス、スプリット(split)ウイルス、またはウイルス抗原(特に、表面抗原)を含み得る。
【0042】
本発明は、本発明に従うSRID試験の後に放出された、ワクチン(特に、インフルエンザワクチン)を提供する。
【0043】
(概要)
用語「含む、包含する(comprising)」とは、「含む」ならびに「からなる」を意味する。例えば、Xを「含む」組成物とは、Xのみからなってもよいし、さらなる何かを含んでもよい(例えば、X+Y)。
【0044】
数値xに関する用語「約」とは、例えば、x±10%を意味する。
【実施例】
【0045】
(発明を実施するための様式)
(実施例1−インフルエンザウイルス)
インフルエンザ赤血球凝集素についての標準的SRIDアッセイを、プレート中の4×4のウェルマトリックスを使用して実施した。標準物質を、通常濃度、2/3希釈、1/2希釈、および1/4希釈(左から右へ)にて一番上の行中にロードした。未知物質を、同じ希釈にて行2〜行4中にロードした。
【0046】
上記アッセイの結果を、Java(登録商標)ベースのソフトウェアパッケージを使用して分析した。このパッケージは、スキャニング、画像操作、およびOracleTMデータベースエントリを組み込んでいた。
【0047】
上記プレートのデジタル画像を、図2において示されるように、スキャナを使用してキャプチャーした。上記ゲル中の対象領域を、ソフトウェアによって自動選択した(図3)。この領域中のハロを、画像処理アルゴリズムを使用してソフトウェアによって検出した。計算した内径および外径を、使用者に対して示される視覚表示上に重層した(図4)。
【0048】
円の外径を、2つの直交方向において自由単位で測定した。結果を以下に示す:
【0049】
【表1】
標準曲線を、行1における値から計算した。その傾きは、18.64であり、その切片は、15.90であり、r2=0.9988である。この標準曲線を使用して、行2〜行4のために使用したサンプルのHA濃度を、計算した:(2)16.78μg/ml;(3)23.34μg/ml;(4)21.38μg/ml。
【0050】
(実施例2−代替的インフルエンザウイルス分析)
4×4形式を使用するのではなく、4×7形式を使用した(図5)。画像のフィルタリングもまた使用して、バックグラウンドを除去した(左と右を比較する)。いくらかの手動調整が可能であった。
【0051】
(実施例3−H.influenzae b型抗原)
図6および図7は、抗H.influenzae b型(Hib)ゲルにおいて結合体化H.influenzae b型(Hib)抗原を使用する、生SRIDアッセイおよび対象となる自動選択領域を示す。
【0052】
図8Aは、エッジ、自動内輪検出、内輪サイズ決定、および中間輪位置を増強するための画像フィルタリングの使用を示す。対照的に、図8Bは、自動外輪検出およびサイズ決定を示す。
【0053】
(実施例4−破傷風トキソイド)
中間輪を使用する破傷風トキソイド(TT)SRIDの最終結果を、図9に示す。その結果のグラフ分析を、図10に示す(y=70.044x+37.517、r2=0.9866)。試験サンプルが、12.4Lf/mlを含むことを計算した。
【0054】
本発明は、例としてのみ記載されており、本発明の範囲および趣旨の範囲内に留まりつつ改変がなされ得ることが、理解される。
【0055】
(参考文献(その内容は、全体が本明細書中に援用される))
[1]Williams(1993)Vet Microbiol 37:253〜262
[2]FitzgeraldおよびNeedy(1986)Dev Biol Stand 64:73〜79
[3]米国特許第4,099,881号
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、SRID分析の原理を示す。
【図2】図2〜4は、ゲルから処理済み画像までのSRID分析を示す。
【図3】図2〜4は、ゲルから処理済み画像までのSRID分析を示す。
【図4】図2〜4は、ゲルから処理済み画像までのSRID分析を示す。
【図5】図5は、SRIDゲルの処理済み画像を示す。
【図6】図6〜8は、ゲルから処理済み画像までのSRID分析を示す。
【図7】図6〜8は、ゲルから処理済み画像までのSRID分析を示す。
【図8A】図6〜8は、ゲルから処理済み画像までのSRID分析を示す。
【図8B】図6〜8は、ゲルから処理済み画像までのSRID分析を示す。
【図9】図9は、処理済みのSRIDゲル画像を示す。
【図10】図10は、対応する標準曲線を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象とする抗原または抗体についての単純放射状免疫拡散(SRID)アッセイを実施するための方法であって、該方法は、
(a)1つ以上の試験サンプルをゲルに適用する工程であって、該ゲルは、(i)対象とする抗原に特異的な抗体および/または(ii)対象とする抗体により認識される抗原を含む、工程;
(b)該サンプルを、その適用点から放射状に拡散させる工程;
(c)拡散が生じた後に、該ゲルのデジタル画像を調製する工程;
(d)該デジタル画像内の沈殿ハロの外径を決定する工程;
(e)該決定した径を、既知濃度の対象とする抗原または抗体を含む1つ以上の標準サンプルから得られる外径と比較する工程;ならびに、必要に応じて、
(f)工程(e)からの結果を使用して、該試験サンプル中の対象とする抗原または抗体の濃度を決定する工程;
を包含する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記アッセイは、前記対象とする抗原についてのアッセイであり、前記ゲルは、抗体を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記対象とする抗原は、インフルエンザウイルス由来の赤血球凝集素である、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記ゲルは、抗赤血球凝集素抗体を含浸される、方法。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の方法であって、前記試験サンプルは、インフルエンザウイルスワクチンである、方法。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記ゲルは、寒天またはアガロースゲルである、方法。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記ゲルは、ウェルを含む、方法。
【請求項8】
請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記デジタル画像は、スキャニングによってか、またはデジタル写真によって、得られる、方法。
【請求項9】
請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記画像は、グレースケール画像である、方法。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記デジタル画像は、2次元空間勾配測定に供される、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記勾配測定は、Sobelエッジ検出、Prewittエッジ検出、またはFrei−Chenマスクである、方法。
【請求項12】
請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記ゲルは、前記試験サンプルに加えて、抗原または抗体を種々の既知濃度にて含む、方法。
【請求項13】
請求項1〜12のうちのいずれか1項に記載の方法であって、さらなる参照物についての画像を記憶するさらなる工程を包含する、方法。
【請求項14】
拡散が生じた後に単純放射状免疫拡散(SRID)ゲルのデジタル画像を分析して、該デジタル画像内の沈殿ハロの外径を決定し、そして必要に応じて、(i)拡散の中心および/または(ii)該ハロの内径を決定するためにプログラムされたコンピュータであって、
該コンピュータは、該径を、既知濃度の試験物質を含む1つ以上の標準サンプルを使用して得られる径と比較し、それによって、該ハロを生じた物質の濃度を計算し得る、コンピュータ。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータと、単純放射状免疫拡散(SRID)ゲルのデジタル画像を得るためのスキャナとを備える、システム。
【請求項16】
医師により使用されるワクチンを放出するための方法であって、該方法は、
(i)対象とする抗原を含むワクチンを製造する工程;
(ii)該ワクチンの試験サンプルに対する単純放射状免疫拡散(SRID)アッセイを、該抗原に対する抗体を含むゲルを使用して実施する工程;
(iii)該SRIDアッセイゲルのデジタル画像を調製する工程;
(iv)該デジタル画像内の沈殿ハロの外径を決定する工程;
(v)該径を、既知濃度の対象とする抗原を含む1つ以上の標準サンプルを使用して得られる径と比較する工程;
(vi)工程(v)からの結果を使用して、該試験サンプル中の対象とする抗原の濃度を決定する工程;および工程(vi)からの結果が、臨床的使用のために許容可能な効力を示す場合には、
(vii)医師により使用されるワクチンを放出する工程;
を包含する、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記ワクチンは、インフルエンザワクチンである、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記ワクチンは、不活化全粒子ウイルス、スプリットウイルス、またはウイルス抗原を含む、方法。
【請求項19】
請求項16〜請求項18のうちのいずれか1項に従う単純放射状免疫拡散(SRID)試験の後で放出された、ワクチン。
【請求項1】
対象とする抗原または抗体についての単純放射状免疫拡散(SRID)アッセイを実施するための方法であって、該方法は、
(a)1つ以上の試験サンプルをゲルに適用する工程であって、該ゲルは、(i)対象とする抗原に特異的な抗体および/または(ii)対象とする抗体により認識される抗原を含む、工程;
(b)該サンプルを、その適用点から放射状に拡散させる工程;
(c)拡散が生じた後に、該ゲルのデジタル画像を調製する工程;
(d)該デジタル画像内の沈殿ハロの外径を決定する工程;
(e)該決定した径を、既知濃度の対象とする抗原または抗体を含む1つ以上の標準サンプルから得られる外径と比較する工程;ならびに、必要に応じて、
(f)工程(e)からの結果を使用して、該試験サンプル中の対象とする抗原または抗体の濃度を決定する工程;
を包含する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記アッセイは、前記対象とする抗原についてのアッセイであり、前記ゲルは、抗体を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記対象とする抗原は、インフルエンザウイルス由来の赤血球凝集素である、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記ゲルは、抗赤血球凝集素抗体を含浸される、方法。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の方法であって、前記試験サンプルは、インフルエンザウイルスワクチンである、方法。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記ゲルは、寒天またはアガロースゲルである、方法。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記ゲルは、ウェルを含む、方法。
【請求項8】
請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記デジタル画像は、スキャニングによってか、またはデジタル写真によって、得られる、方法。
【請求項9】
請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記画像は、グレースケール画像である、方法。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記デジタル画像は、2次元空間勾配測定に供される、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記勾配測定は、Sobelエッジ検出、Prewittエッジ検出、またはFrei−Chenマスクである、方法。
【請求項12】
請求項1〜11のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記ゲルは、前記試験サンプルに加えて、抗原または抗体を種々の既知濃度にて含む、方法。
【請求項13】
請求項1〜12のうちのいずれか1項に記載の方法であって、さらなる参照物についての画像を記憶するさらなる工程を包含する、方法。
【請求項14】
拡散が生じた後に単純放射状免疫拡散(SRID)ゲルのデジタル画像を分析して、該デジタル画像内の沈殿ハロの外径を決定し、そして必要に応じて、(i)拡散の中心および/または(ii)該ハロの内径を決定するためにプログラムされたコンピュータであって、
該コンピュータは、該径を、既知濃度の試験物質を含む1つ以上の標準サンプルを使用して得られる径と比較し、それによって、該ハロを生じた物質の濃度を計算し得る、コンピュータ。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータと、単純放射状免疫拡散(SRID)ゲルのデジタル画像を得るためのスキャナとを備える、システム。
【請求項16】
医師により使用されるワクチンを放出するための方法であって、該方法は、
(i)対象とする抗原を含むワクチンを製造する工程;
(ii)該ワクチンの試験サンプルに対する単純放射状免疫拡散(SRID)アッセイを、該抗原に対する抗体を含むゲルを使用して実施する工程;
(iii)該SRIDアッセイゲルのデジタル画像を調製する工程;
(iv)該デジタル画像内の沈殿ハロの外径を決定する工程;
(v)該径を、既知濃度の対象とする抗原を含む1つ以上の標準サンプルを使用して得られる径と比較する工程;
(vi)工程(v)からの結果を使用して、該試験サンプル中の対象とする抗原の濃度を決定する工程;および工程(vi)からの結果が、臨床的使用のために許容可能な効力を示す場合には、
(vii)医師により使用されるワクチンを放出する工程;
を包含する、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記ワクチンは、インフルエンザワクチンである、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記ワクチンは、不活化全粒子ウイルス、スプリットウイルス、またはウイルス抗原を含む、方法。
【請求項19】
請求項16〜請求項18のうちのいずれか1項に従う単純放射状免疫拡散(SRID)試験の後で放出された、ワクチン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2007−507706(P2007−507706A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530761(P2006−530761)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003369
【国際公開番号】WO2005/033695
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(592243793)カイロン ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (107)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003369
【国際公開番号】WO2005/033695
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(592243793)カイロン ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (107)
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