説明

印判スタンド

【課題】印判スタンドの構造を改良することにより、印面サイズや印面形状などが異なる印判に対応する印判スタンドの主要部品を共通部品化し、その分だけ印判スタンドの製造コストを削減する。
【解決手段】スタンド台1と、スタンド本体2と、マットホルダー3などで印判スタンドを構成する。マットホルダー3は、スタンド本体2の上収容穴12に連続する下収容穴25を有し、下収容穴25の内底にインクマット20が配置してある。マットホルダー3の下収容穴25を、印面サイズなどが異なる印判Sの捺印部分の外形形状に対応して形成し、インクマット20は、対応する印判Sの印面サイズおよび印面形状に適合して形成する。印面サイズなどが異なる印判Sに対応するマットホルダー3を、スタンド本体2とスタンド台1との間に組み込んで、スタンド本体2およびスタンド台1を共通部品化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日付印や回転印などの印判を起立した状態で収納する印判スタンド、なかでも印判収容部の内底にインクマットが配置してある形態の印判スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の印判スタンドの基本構造は特許文献1、2、3に公知である。いずれも収容部の内底にインクマットが配置してある点で共通している。印判スタンドにおいて、収容部の外側面に補充用のインク容器を収容するポケットを設けることは、特許文献4に公知である。
【0003】
【特許文献1】実公平7−36773号公報(第2頁右上欄、第1図)
【特許文献2】特開2001−353942号公報(段落番号0012、図1)
【特許文献3】特許第3061803号公報(段落番号0064、図1)
【特許文献4】特許第3642408号公報(段落番号0021、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印判スタンドの収容穴は、収納対象となる印判の印面部分の大きさに対応して形成する。例えば、印面部分の外直径寸法を基準にして、収容穴の内底の直径寸法を先の基準寸法より僅かに大きく設定する。そのため、印判スタンドは、印面サイズや印面形状の違いに応じて専用品として用意する必要がある。例えば、印面サイズが異なる4種類の印判を商品化する場合には、サイズの違いに応じて3ないし4種類の印判スタンドを用意しなければならず、個々の印判スタンドのコストが高く付く。
【0005】
もちろん、大サイズの印判スタンドに印面サイズの小さな印判を収納することは可能であるが、その場合には、印面がインクマットの外にはみ出た状態で収納され、あるいは印判全体が斜めに傾いだ状態で収納されるおそれがある。このように印判の収納姿勢が不適切であると、印面の周りを囲む周囲壁にインクが付着して、捺印時に紙面を汚してしまうことがある。
【0006】
日付印には、印判スタンドに起立収納した状態で使用する定置使用型の日付印と、携行型の日付印とがある。携行型の日付印は、印面部分を覆うキャップの内底に配置したインクマットで印面にインクを補充する。このような携行型の日付印は、例えば客先などで使用するのが本来的であるが、使用者によっては、客先から職場へ帰ったときに、机上に置いた状態で定置使用型の日付印と同様に使用することがある。こうした場合には、キャップを着脱して捺印を行わねばならないため、捺印作業が煩雑になるのを避けられない。
【0007】
本発明の目的は、印判スタンドがスタンド台と、スタンド本体と、これら両者の間に組み込まれるマットホルダーの三者で構成されていて、印面サイズや印面形状が異なる印判に対応するマットホルダーを用意しておくことにより、スタンド本体およびスタンド台などを共通部品化して製造コストを削減できる印判スタンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の印判スタンドは、スタンド台1と、スタンド台1に組み付けられるスタンド本体2と、これら両者1・2の間に組み込まれるマットホルダー3とを含む。マットホルダー3は、スタンド本体2に形成した上収容穴12に連続する下収容穴25を有し、下収容穴25の内底にインクマット20が配置してある。マットホルダー3の下収容穴25は、印面サイズおよび印面形状が異なる印判Sの捺印部分の外形形状に対応して形成され、前記インクマット20が、対応する印判Sの印面サイズおよび印面形状に適合して形成されている。印面サイズおよび印面形状が異なる印判Sに対応するマットホルダー3を、スタンド本体2とスタンド台1との間に組み込んで、スタンド本体2およびスタンド台1が共通部品化してあることを特徴とする。
【0009】
図4に示すようにマットホルダー3は、下収容穴25、およびインクマット用の装填凹部24を備えたホルダー本体18と、ホルダー本体18の下部に装着されて装填凹部24の下面を覆うマット押え19とで構成する。マット押え19の底壁にインク補充口33を開口する。
【0010】
スタンド台1の底壁内面に形成した組付座8と、スタンド本体2の上収容穴12を区画する収容筒14とでマットホルダー3を上下に挟持する。マットホルダー3の下収容穴25の上端に、前記収容筒14の下端面を受け止める筒受座22を設ける。スタンド台1とスタンド本体2とマットホルダー3との三者を組み立てた状態において、下収容穴25の上端を上収容穴12の下端に連続させる。
【0011】
スタンド台1の底にキャップ凹部7を上凹み状に形成し、キャップ凹部7の上部に前記組付座8を形成する。キャップ凹部7の下面開口を開閉するためのキャップ4を、キャップ凹部7に配置する。キャップ4の内面に、インク補充口33から滴り落ちる余剰インクを受け止めるインク受部38を形成する。
【0012】
キャップ4の対向周縁の一方に揺動腕36を、他方にキャップ4を閉じ状態に保持する弾性係合爪37をそれぞれ設ける。揺動腕36は、キャップ凹部7に設けたブラケット41で揺動軸39を介して揺動可能に軸支する。キャップ4をスタンド台1から起立開放した状態において、キャップ4が閉止する向きに倒れこむのを規制する規制構造を、揺動腕36とブラケット41との間に設ける。
【0013】
図8に示すように、マットホルダー3の下収容穴25の内面下半部に印判Sの傾動を規制する規制リブ54を形成する。
【0014】
スタンド本体2の上面を、スタンド台1の載置底面とほぼ平行な平坦面で形成する。
【0015】
インクマット20は、マット開口27から露出する第1マット20aと、第1マット20aの下面側に密着配置される第2マット20bとで構成する。
【0016】
スタンド本体2の一側に、補充用インクを収容するインク容器56や小形印判57を収容するポケット13を形成する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の印判スタンドにおいては、スタンド台1と、スタンド本体2と、これら両者1・2の間に組み込まれるマットホルダー3などで印判スタンドを構成し、スタンド本体2の上収容穴12に連続する下収容穴25をマットホルダー3に設け、下収容穴25の内底にインクマット20を配置した。そのうえで、下収容穴25を、印面サイズおよび印面形状が異なる複数種の印判Sの捺印部分の外形形状に対応して形成し、さらに、前記インクマット20を、対応する印判Sの印面サイズおよび印面形状に適合して形成するようにした。
【0018】
以上のように構成した印判スタンドによれば、収容対象となる複数種の印判Sに応じて用意したマットホルダー3をスタンド本体2とスタンド台1との間に組み込むだけで、個々の印判Sに適合した印判スタンドを構成でき、従来のこの種の印判とは異なり、スタンド本体2およびスタンド台1を共通部品化して、その分だけ印判スタンドの製造コストを削減できる。
【0019】
マットホルダー3に設けた下収容穴25の形状を、収容対象となる印判Sの捺印部分の外形形状に対応して形成するので、印面サイズが異なる印判Sを共通して収容できるにもかかわらず、個々の印判Sを常に適正な姿勢で起立保持でき、さらに個々の印判Sの印面形状やサイズに合致するインクマット20でインク補充を適正に行える。マットホルダー3の下収容穴25を、スタンド本体2の上収容穴12に連続させるので、印判Sを印判スタンドに収容するとき、印面が下収容穴25に引っ掛かるのを良く防止できる。
【0020】
下収容穴25、および装填凹部24を備えたホルダー本体18と、ホルダー本体18の下部に装着されるマット押え19とで構成したマットホルダー3によれば、装填凹部24に組み込んだインクマット20を、ホルダー本体18とマット押え19とで確りと固定保持できるうえ、必要時には、マット押え19の底壁に開口したインク補充口33から、補充インクをインクマット20に補充することができる。マットホルダー3を、ホルダー本体18とマット押え19とで構成することにより、マット押え19の形状、および寸法を共通化することが可能となり、先のスタンド台1およびスタンド本体2に加えてマット押え19も共通部品化して、印判スタンドの製造コストをさらに削減することができる。
【0021】
マットホルダー3の下収容穴25の上端に、収容筒14の下端面を受け止める筒受座22を設け、スタンド台1とスタンド本体2とマットホルダー3との三者を組み立てた状態において、スタンド台1の底壁内面に形成した組付座8と、スタンド本体2の収容筒14とでマットホルダー3を上下に挟持した印判スタンドによれば、スタンド台1とスタンド本体2とマットホルダー3の三者のそれぞれが、互いに補強し合って印判スタンドの全体の構造強度を向上でき、その分だけ印判スタンドの堅牢さと壊れにくさとを向上して、耐久性を高めることができる。スタンド本体2とマットホルダー3との接合部分において、下収容穴25の上端を上収容穴12の下端に連続させるので、上収容穴12に差し込まれた印判Sを円滑に下収容穴25へ移行案内し、さらに下収容穴25で最終的な位置決めを行って、印面をインクマット20に対して適正な状態で接合できる。
【0022】
スタンド台1の底のキャップ凹部7の内部に開閉可能なキャップ4を設け、キャップ4の内面にインク受部38を形成した印判スタンドによれば、誤ってインクマット20にインクを過剰に補充した場合に、インク補充口33から滴り落ちる余剰インクを、インク受部38で受け止めて一時的に保留できるので、印判スタンドの載置場所の周辺部分が余剰インクによって汚されるのを防止できる。常態において、インク補充口33の下方空間をキャップ4で閉止できるので、インク補充口33に露出するインクマット20に塵埃などが付着するのを良く防止できる。キャップ4は共通部品化することができ、その場合には、印判スタンドの製造コストをさらに削減することができる。上凹み状に形成したキャップ凹部7の上部に組付座8が形成してあると、マットホルダー3に加えられる外力を、組付座8とキャップ凹部7とで受け止めて分散させ、外部荷重が組付座8に集中するのを防止できる。
【0023】
キャップ4の対向周縁の一方に揺動腕36を、他方に弾性係合爪37をそれぞれ設けた印判スタンドによれば、弾性係合爪37を係脱操作するだけでキャップ4を閉じ状態に保持し、あるいは揺動軸39を中心にして開放操作できるので、いたずらにキャップ4が開放揺動するのを規制できる。さらに、揺動腕36とブラケット41との間に規制構造を設けることにより、起立開放したキャップ4の倒れこみを規制できるので、印判スタンドを反転し、キャップ4を開放した状態で行うインク補充作業をより簡便に行うことができる。
【0024】
下収容穴25の内面下半部に規制リブ54が形成してあるマットホルダー3によれば、規制リブ54で印判Sの捺印部分の周面を受け止めて、印判Sが傾動するのを規制できるので、印面をインクマット20に対して適正な状態で接合できる。
【0025】
スタンド本体2の上面が、スタンド台1の載置底面とほぼ平行な平坦面で形成してあると、印判スタンドを安定した状態で反転載置し、そのインク補充口33を概ね水平にできるので、印判スタンドを片手で支え持つ必要もなくインクを容易に補充できる。
【0026】
インクマット20を第1マット20aと第2マット20bとで構成すると、両マット20a・20bの形成素材を適宜選定することにより、インクの含浸を迅速に行いながら、印面に過剰なインクが供給されるのを防止できる。とくに、第2マット20bが硬質マットで形成してある場合には、印判Sの重量を受けた第1マット20aを第2マット20bで水平に支えて、第1マット20aの姿勢が内凹み状になるのを規制して、印面に対するインク補充を常に適正に行える。
【0027】
スタンド本体2の一側にポケット13を形成し、このポケット13に補充用インクを収容するインク容器56や小形印判57を収容できる印判スタンドによれば、印判スタンドに収容される印判Sと、インク容器56と、小形印判57とをすっきりとまとめて保管でき、インク容器56や小形印判57の紛れ込みや紛失をよく防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(実施例) 図1ないし図10は本発明に係る印判スタンドの実施例を示す。図1および図2において印判スタンドは、スタンド台1と、スタンド台1に組み付けられるスタンド本体2と、これら両者1・2の間に組み込まれるマットホルダー3と、スタンド台1の下面側に組み込まれるキャップ4などで構成する。
【0029】
スタンド台1は、上向きに開口するプラスチック成形品からなり、図2に示すように平面視における外形形状が、一端は半円状で、他端は隅が丸められた四角形状に形成してある。スタンド台1の底面には、鍵穴形のキャップ凹部7が上凹み状に形成され、キャップ凹部7の上部に丸筒状の組付座8が形成してある。スタンド台1の開口周縁には、スタンド本体2の開口内面壁を受け止める連結壁9が、半円状の周縁部と四角形状の周縁部の両隅とに張り出し形成してある。スタンド台1の底壁には、部分球面状の6個の突起10が所定間隔おきに突設してある。
【0030】
スタンド本体2は、下向きに開口するプラスチック成形品からなり、平面視における外形形状がスタンド台1と同形に形成してある。スタンド本体2は、正面視において階段状に形成してあり、上段側の外郭線内に印判Sを収容する上収容穴12が半円状の周壁と同心状に形成され、下段側の外郭線内にポケット13が形成してある。図3に示すように、上収容穴12は、スタンド本体2の上面壁から下向きに突設される収容筒14で区画してあって、ベルマウス状の上穴12aと、上穴12aに連続する下すぼまりテーパー状の下穴12bとで構成してある。
【0031】
ポケット13の周壁の前後中央には一対の区画壁15が張り出してあり、図1に示すように区画壁15で区分された各区画に補充用のインク容器56や小形印判57を収容することができる。スタンド本体2の上面、つまり上収容穴12の上面開口を囲む周囲壁は、スタンド台1の載置底面とほぼ平行な平坦面で形成してある。その意味は後述する。
【0032】
マットホルダー3は、その殆どを占めるホルダー本体18と、ホルダー本体18の下部に係合装着されるマット押え19とからなり、両者18・19の間にインクマット20が組み込んである。図4に示すようにホルダー本体18は、上下面が開口する丸筒状のプラスチック成形品からなり、印判Sの捺印部分を収容する筒壁21と、筒壁21の上端に連続する筒受座22および連結ボス23と、筒壁21の内底下面に設けられるインクマット用の装填凹部24とを一体に備えている。
【0033】
筒壁21の内面にはスタンド本体2の上収容穴12に連続する下収容穴25が形成され、筒壁21の周面には4個の規制リブ26が張り出し形成してある。連結ボス23の内面6箇所には、連結筒壁16との嵌係合力を増強するためのリブ23aが形成してある。このようにリブ23aを設けることにより、スタンド本体2をスタンド台1から取り外すとき、マットホルダー3がスタンド本体2から分離するのを確実に防止できる。下収容穴25は断面円形に形成してあり、その上端がベルマウス状に形成してある。
【0034】
筒壁21の内底には装填凹部24に連通するマット開口27が形成してある。マット開口27は筒壁21の内底から下向きに突設される筒状の規制壁28で区画する。装填凹部24は規制壁28の周囲を囲む上凹部24aと、上凹部24aより大径の下凹部24bとで構成してあり、下凹部24bの周壁外面に一対の係合爪29が形成してある。
【0035】
インクマット20は、上凹部24aに装填されてマット開口27の上面に露出する第1マット20aと、下凹部24bに収容される第2マット20bとで構成する。第1マット20aはNBRや天然ゴムなどの連続気泡性多孔体で形成してあり、その上面に溝32が周回状に形成してある。この溝32を先の規制壁28に嵌め込むことにより、第1マット20aを遊動不能に固定保持して、その上面をマット開口27から露出させることができる。第2マット20bは酢酸ビニールの連続気泡性多孔体で形成した円盤状のマットからなり、第1マット20aに比べて硬質であり、さらに気孔径が大きいのでインク吸蔵速度が充分に速い。第2マット20bは第1マット20aの垂れ下がりを防ぐ支持板を兼ねており、第1マット20aに吸蔵されたインクを印判Sの印面へ確実に転写させることに役立つ。
【0036】
マット押え19は、丸皿状のプラスチック成形品からなり、その底壁の中央にインク補充口33が開口してある。マット押え19の周壁の2箇所には、先の係合爪29に対応する係合溝34が形成してある。インク補充を迅速に行うために、インク補充口33は大きく開口してある。具体的には、第2マット20bの直径寸法が26mmであるとき、インク補充口33の直径寸法を15mmとして、第2マット20bの底壁の30%以上をインク補充口33に露出させるようにした。
【0037】
図1、図5ないし図7に示すように、キャップ4は、下面周縁にフランジが張り出してある円形のキャップ本体35と、キャップ本体35の対向周縁の一方に設けられる一対の揺動腕36と、対向周縁の他方に設けられる弾性係合爪37とを一体に備えたプラスチック成形品からなる。キャップ本体35の内面には部分球殻状のインク受部38が形成してある。各揺動腕36には揺動軸39と規制突起40とが一体に形成してあり、揺動軸39をキャップ凹部7に設けたブラケット41の軸受溝42で軸支することにより、キャップ4の全体を図5に示す閉じ姿勢と、図6に示す起立開放姿勢とに揺動開閉できる。
【0038】
弾性係合爪37は、U字状のばね腕45と、ばね腕45の突端から横向きに連出される指掛片46とで構成してある。図6に想像線で示すように、ばね腕45の突端寄りに切り欠かれた係合段部47をキャップ凹部7の係合爪48に係合させることにより、キャップ4を閉じ姿勢に保持できる。指掛片46に指先を掛けてばね腕45を弾性変形させると、係合段部47と係合爪48との係合が解除されるので、キャップ4を起立開放操作できる。
【0039】
起立開放したキャップ4が閉止する向きに倒れこむのを規制して、インク補充作業を容易化するために、各揺動腕36とブラケット41との対向面に規制構造を設けている。規制構造は、各揺動腕36の側に設けられる規制突起40と、ブラケット41の側に設けられるリブ49とからなる。規制突起40は、キャップ4が閉じ姿勢から垂直姿勢に起立する直前に、揺動腕36を弾性変形させながらリブ49を下向きに乗り越えて、図6に示すようにリブ49の下面で受け止められる。キャップ4を閉じ操作するとき、規制突起40はリブ49を上向きに乗り越えて、リブ49から開放される。
【0040】
上記の各部材は以下の手順で組み立てる。まず、スタンド台1にキャップ4を組み付ける。次にマットホルダー3の装填凹部24に第1マット20aと第2マット20bを装填し、マット押え19をマットホルダー3の下端に係合固定したのち、マット押え19をスタンド台1の組付座8に内嵌装着して、マットホルダー3をスタンド台1と一体化する。この状態のマット押え19は組付座8に対して隙間のない状態で密嵌しているので、マットホルダー3がぐらつくことはなく、たとえば図6に示すようにスタンド台1を反転したとしても、マットホルダー3が組付座8から抜け落ちることはない。最後にスタンド本体2をスタンド台1に組み付けて、両者1・2を一体化する。図3に示すように、連結壁9とスタンド本体2とは、互いに係合する係合リブ51・52によって連結状態を保持しているが、両リブ51・52の係合力に抗してスタンド台1とスタンド本体2を分離操作すると、両者1・2を分解してマットホルダー3の交換を行うことができる。
【0041】
上記のように、スタンド台1とスタンド本体2とマットホルダー3との三者を組み立てた状態においては、収容筒14の下端がマットホルダー3の筒受座22で受け止められ、収容筒14の下端周面の連結筒壁16がマットホルダー3の連結ボス23の内面に嵌り込み、スタンド本体2の上収容穴12の下端がマットホルダー3の下収容穴25の上端に隙間のない状態で連続する。これにより、マットホルダー3はスタンド台1の組付座8と、スタンド本体2の収容筒14とで上下に挟持固定される。
【0042】
以上のように構成した印判スタンドは、収容対象となる印判Sに対応するマットホルダー3を用意しておくことにより、スタンド台1、スタンド本体2、キャップ4、およびマット押え19を共通部品とすることができ、その分だけ印判スタンドの製造コストを削減できる。例えば、図8に示すように、印面サイズおよび捺印部分の外形形状が異なる4種類の印判S1〜S4を収納対象とする場合には、マットホルダー3の下収容穴25を、各印判S1〜S4の捺印部分の外形形状に対応して形成し、マット開口27およびインクマット20の大きさを、対応する印判S1〜S4の印面サイズおよび印面形状に適合して形成する。なお、印判S1〜S4の印面は、いずれも○年○月○日を捺印する複数の日付ベルトと、受付、領収、会社名、担当者名などを捺印する固定表示部とで構成してある。場合によっては、印面の全体を固定表示部のみで構成することがある。
【0043】
印判S1〜S3は、それぞれの印面サイズ(印面直径)が12mm、15mm、18mmと僅かずつ異なる主として携帯用の印判であり、図示していない印面保護用のキャップを備えていて、キャップの内底にインクマットが組み込んである。各印判S1〜S3と対応するマットホルダー3のマット開口27は、それぞれ印面サイズに対応した直径寸法に設定してある。また、印面サイズが12mmと15mmの印判S1・S2に対応するマットホルダー3においては、下収容穴25の内面下半部に、捺印部分の外形形状に沿う規制リブ54を形成する。
【0044】
上記のように規制リブ54を設けると、収容した印判S1・S2が下収容穴25の内部で傾動するのを規制できる。印判S4は、印判S1〜S3とは異なり定置使用する形態の印判であり、その印面サイズは印判S3とほぼ同じである。印判S4用のマットホルダー3における下収容穴25は、下すぼまりテーパー状のストレート穴で形成してある点が、印判S1〜S3用のマットホルダー3と異なる。印判S4を、印判スタンドに収容した状態を図9に示している。印判S3・S4に対応するマットホルダー3は、筒壁21の直径が大きいので規制リブ26が省略してある。なお、図8〜図10においてはマットホルダー3に主な符号のみを付して、図面が煩雑化するのを避けるようにしたが、詳細構造は先に説明したとおりである。
【0045】
図10に示す印判S5・S6は、先の印判S1〜S4より印面サイズが大きく、いずれも約24mmである。この場合にも、対応するマットホルダー3を組み換えることにより、スタンド台1やスタンド本体2などを共通部品化して、各印判S5・S6に適合した印判スタンドを低コストで製造できる。当然、この場合のスタンド台1およびスタンド本体2は、印判S5・S6に適合した大きさに形成してある。さらに印面サイズが大きな印判においても、同様にして各印判に適合した印判スタンドを低コストで製造できる。このように、本発明の印判スタンドによれば、スタンド台1、スタンド本体2、キャップ4、マット押え19などの共通部品を、例えば大サイズ、中サイズ、小サイズの3種用意し、さらに各サイズごとに複数種のマットホルダー3を用意することにより、印判Sに適合した印判スタンドを構成できる。
【0046】
インクを補充するときは、図6に示すように印判スタンドの上下を反転した状態で、キャップ4を起立開放する。このとき、スタンド本体2の上面が、スタンド台1の載置底面とほぼ平行な平坦面で形成してあるので、反転載置した印判スタンドのインク補充口33を概ね水平にでき、印判スタンドを片手で支え持つ必要もなくインクを容易に補充できる。また、インク補充口33の開口径が大きい分だけ、インクの滴下と第2マット20bへの含浸を迅速に、しかも簡便に行うことができる。インクが過剰に補充された場合には、第2マット20bで含浸仕切れない余剰インクがインク補充口33から滴り落ちるおそれがあるが、このような余剰インクを受け止めるために、キャップ4の内面にインク受部38を形成している。
【0047】
インク補充口33の開口径は第2マット20bの直径寸法の25〜50%の範囲内に設定することができる。インク補充口33の開口径が25%未満であると、第2マット20bの露出面積が小さい分だけインクを迅速に含浸させることができず、そのため、インクを何回かに分けて補充する必要があって、インク補充に手間が掛かる。また、インク補充口33の開口径が50%を越えると、印判Sを印判スタンド内で上下操作して、印面でインクマット20を叩くとき、インクマット20の一部がインク補充口33から下向きにはみ出るおそれがあり、インクマット20が早期に劣化しやすい。
【0048】
上記の実施例以外に、インクマット20は2層構造とする必要はなく単層構造であってもよい。とくに印面サイズが大きな印判用のマットホルダー3においては、インクマット20の下面を受け止めるリブをインク補充口33に設けることができる。また、インクを含浸する素材は発泡ゴムである必要はなく、インクの種類によっては発泡ゴム以外の含浸材を使用することができる。印判Sの印面は、インクを吸蔵するいわゆる浸透印と、印面に付着したインクを紙面に転写する非浸透印のいずれであってもよい。
【0049】
上記の実施例では、マットホルダー3をスタンド台1に組み付けた後、スタンド本体2をスタンド台1に組み付けたがその必要はなく、マットホルダー3をスタンド本体2に組み付けた後、これら両者2・3をスタンド台1に組み付けることができる。スタンド台1およびスタンド本体2は、ポケット13を備えていない構造であってもよい。マットホルダー3のインク補充口33は、印判Sの印面形状に対応して四角形や楕円形などに形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】印判スタンドの縦断正面図である。
【図2】印判スタンドの分解斜視図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図である。
【図4】マットホルダーの分解断面図である。
【図5】印判スタンドの底面図である。
【図6】キャップを起立開放した状態の図5におけるB−B線断面図である。
【図7】図6におけるC−C線断面図である。
【図8】印判とマットホルダーの対応例を示す断面図である。
【図9】印判の使用状態を示す断面図である。
【図10】印判とマットホルダーのさらに別の対応例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 スタンド台
2 スタンド本体
3 マットホルダー
4 キャップ
12 上収容穴
18 ホルダー本体
19 マット押え
20 インクマット
25 下収容穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンド台(1)と、スタンド台(1)に組み付けられるスタンド本体(2)と、これら両者(1・2)の間に組み込まれるマットホルダー(3)とを含み、
マットホルダー(3)は、スタンド本体(2)に形成した上収容穴(12)に連続する下収容穴(25)を有し、下収容穴(25)の内底にインクマット(20)が配置されており、
マットホルダー(3)の下収容穴(25)が、印面サイズおよび印面形状が異なる印判(S)の捺印部分の外形形状に対応して形成され、前記インクマット(20)が、対応する印判(S)の印面サイズおよび印面形状に適合して形成されており、
印面サイズおよび印面形状が異なる印判(S)に対応するマットホルダー(3)を、スタンド本体(2)とスタンド台(1)との間に組み込んで、スタンド本体(2)およびスタンド台(1)が共通部品化してあることを特徴とする印判スタンド。
【請求項2】
マットホルダー(3)が、下収容穴(25)、およびインクマット用の装填凹部(24)を備えたホルダー本体(18)と、ホルダー本体(18)の下部に装着されて装填凹部(24)の下面を覆うマット押え(19)とで構成されており、
マット押え(19)の底壁にインク補充口(33)が開口してある請求項1記載の印判スタンド。
【請求項3】
スタンド台(1)の底壁内面に形成した組付座(8)と、スタンド本体(2)の上収容穴(12)を区画する収容筒(14)とでマットホルダー(3)が上下に挟持されており、
マットホルダー(3)の下収容穴(25)の上端に、前記収容筒(14)の下端面を受け止める筒受座(22)が設けられており、
スタンド台(1)とスタンド本体(2)とマットホルダー(3)との三者を組み立てた状態において、下収容穴(25)の上端が上収容穴(12)の下端に連続している請求項1または2記載の印判スタンド。
【請求項4】
スタンド台(1)の底にキャップ凹部(7)が上凹み状に形成され、キャップ凹部(7)の上部に前記組付座(8)が形成されており、
キャップ凹部(7)の下面開口を開閉するキャップ(4)が、キャップ凹部(7)に配置されており、
キャップ(4)の内面に、インク補充口(33)から滴り落ちる余剰インクを受け止めるインク受部(38)が形成してある請求項1から3のいずれかに記載の印判スタンド。
【請求項5】
キャップ(4)の対向周縁の一方に揺動腕(36)が、他方にキャップ(4)を閉じ状態に保持する弾性係合爪(37)がそれぞれ設けられており、
揺動腕(36)は、キャップ凹部(7)に設けたブラケット(41)で揺動軸(39)を介して揺動可能に軸支されており、
キャップ(4)をスタンド台(1)から起立開放した状態において、キャップ(4)が閉止する向きに倒れこむのを規制する規制構造が、揺動腕(36)とブラケット(41)との間に設けてある請求項1から4のいずれかに記載の印判スタンド。
【請求項6】
マットホルダー(3)の下収容穴(25)の内面下半部に印判(S)の傾動を規制する規制リブ(54)が形成してある請求項3、4または5記載の印判スタンド。
【請求項7】
スタンド本体(2)の上面が、スタンド台(1)の載置底面とほぼ平行な平坦面で形成してある請求項3、4、5または6記載の印判スタンド。
【請求項8】
インクマット(20)が、マット開口(27)から露出する第1マット(20a)と、第1マット(20a)の下面側に密着配置される第2マット(20b)とで構成してある請求項3から7のいずれかに記載の印判スタンド。
【請求項9】
スタンド本体(2)の一側に、補充用インクを収容するインク容器(56)や小形印判(57)を収容するポケット(13)が形成してある請求項1から8のいずれかに記載の印判スタンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−44114(P2008−44114A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218880(P2006−218880)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000106461)サンビー株式会社 (12)