説明

印刷システム、印刷システムの制御方法、印刷システムの制御プログラム及び印刷装置

【課題】インク消費量を節約するためには入力解像度や記録解像度を低く抑えて濃度補正を実行することになり、結果として印刷品位の低下につながってしまう。
【解決手段】LUT32を参照して色変換処理を行なうコンピューター10は、各色の印刷面に対応したLUT32を記憶するハードディスク30と、印刷対象となる画像データ31及び記憶されたLUT32に基づいて、画像データ31を各色の印刷面に印刷した場合におけるインク消費量に関するインク消費情報を、各色の印刷面毎に生成するインク消費情報生成部22と、生成したインク消費情報を報知する報知部24と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、印刷システムの制御方法、印刷システムの制御プログラム及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷材料を印刷媒体の印刷面に付着させて印刷を行う印刷装置において、印刷材料の消費量を低減させる様々な方法が取り入れられている。例えば、特許文献1では、印刷データの入力解像度及び記録解像度を低く設定しつつ濃度補正を実行する第1のインク節約モードと、通常の印刷モードと同様に印刷データの入力解像度を高く設定しつつ所望する変換率で記録解像度に変換処理し、且つ濃度補正のみを実行する第2のインク節約モードとを提供している。
また、特許文献2では、印刷媒体の材質や下地色の種別に応じて、印刷対象となる画像の配色を忠実に再現する通常画像形成モードと、各トナーの使用頻度に応じてトナーを選択することでトナー消費量を節約する節約画像形成モードとの自動的な切り替えを可能にしている。更に、この節約画像形成モードでは、印刷対象となる画像と印刷媒体の下地色とが同系色となった場合における視認性の低下の問題に対処するため、印刷媒体の下地色に応じて適切なトナーを選択するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−321109号公報
【特許文献2】特開2005−352029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているような印刷装置の場合、インク消費量を節約するためには入力解像度や記録解像度を低く抑えて濃度補正を実行することになり、結果として印刷品位の低下につながってしまう。また、特許文献2に記載されているような印刷装置の場合、印刷媒体が例えば普通紙のときは通常画像形成モードとし、一方、白色度の低い例えば再生紙や裏紙等のときは節約画像形成モードが選択されるようにしている。したがって、普通紙の場合は、印刷対象となる画像の配色を忠実に印刷媒体に再現することができたとしても、トナーの消費量を節約することができない。また、再生紙や裏紙等の場合は、トナーの消費量を節約することができ且つ視認性の低下の問題にも対処することができたとしても、印刷対象となる画像の配色を印刷媒体に忠実に再現するまでには至らない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]ルックアップテーブルを参照して色変換処理を行なう情報処理装置と、印刷材料を印刷媒体の印刷面に付着させて印刷を行う印刷装置とを有する印刷システムであって、前記情報処理装置は、各色の前記印刷面に対応した前記ルックアップテーブルを記憶する記憶部と、印刷対象となる画像データ及び前記記憶されたルックアップテーブルに基づいて、前記画像データを前記各色の印刷面に印刷した場合における前記印刷材料の消費量に関する印刷材料消費情報を、前記各色の印刷面毎に生成する印刷材料消費情報生成部と、前記生成した印刷材料消費情報を報知する報知部と、を有することを特徴とする印刷システム。
【0007】
上記した印刷システムによれば、印刷材料消費情報生成部が、印刷対象となる画像データ及び各色の印刷面に対応したルックアップテーブルを参照して、この画像データを各色の印刷面に印刷した場合における印刷材料の消費量に関する印刷材料消費情報を生成する。そして、報知部が、この印刷材料消費情報を報知する。
これにより、画像データを印刷する前に、印刷材料の消費量が少ない印刷面の色の情報を報知することができる。この結果、印刷材料の消費量が少ない印刷面の色の印刷媒体を使用することにより、画像データを印刷したときにおける印刷材料の消費量を低減させることができる。更に、画像データの印刷品位を低下させたり、画像データの配色を変更したりすることなく、画像データを忠実に印刷媒体に再現することができる。
【0008】
[適用例2]前記情報処理装置は、ユーザーからの操作を受け付ける操作部を更に備え、前記操作部において選択された前記印刷面の色に対応する前記ルックアップテーブルに基づいて、前記印刷対象となる画像データに対して色変換を行って印刷データを生成することを特徴とする上記印刷システム。
【0009】
上記した印刷システムによれば、操作部において選択された印刷面の色に対応するルックアップテーブルに基づいて、印刷対象となる画像データに対して色変換を行って印刷データを生成する。これにより、ユーザーは、操作部を介して、印刷材料の消費量が少ない印刷面の色を選択することができる。そして、この印刷面の色に対応した印刷データが生成されて、ユーザーが選択した印刷面の色を有する印刷媒体に印刷することができる。
【0010】
[適用例3]前記印刷装置は、前記印刷媒体を給紙する複数の給紙装置を更に備え、前記情報処理装置の前記印刷材料消費情報生成部において生成された前記印刷材料消費情報に基づいて、前記印刷材料の消費量が最も少ない前記印刷面の色に対応する前記給紙装置から、前記印刷媒体を自動的に給紙することを特徴とする上記印刷システム。
【0011】
上記した印刷システムによれば、生成された印刷材料消費情報に基づいて、印刷材料の消費量が最も少ない印刷面の色に対応する給紙装置から印刷媒体を自動的に給紙する。これにより、複数の給紙装置のそれぞれに印刷面の色が異なる印刷媒体がセットされていた場合、印刷対象となる画像データに応じて、印刷材料の消費量が最も少ない印刷媒体が給紙装置から自動的に給紙される。この結果、印刷材料の消費量を低減させることができ、且つ給紙装置からの給紙に関するユーザーの手間を軽減させることができる。
【0012】
[適用例4]ルックアップテーブルを参照して色変換処理を行なう情報処理装置と、印刷材料を印刷媒体の印刷面に付着させて印刷を行う印刷装置とを有する印刷システムの制御方法であって、前記情報処理装置は、各色の前記印刷面に対応した前記ルックアップテーブルを記憶する記憶工程と、印刷対象となる画像データ及び前記記憶されたルックアップテーブルに基づいて、前記画像データを前記各色の印刷面に印刷した場合における前記印刷材料の消費量に関する印刷材料消費情報を、前記各色の印刷面毎に生成する印刷材料消費情報生成工程と、前記生成した印刷材料消費情報を報知する報知工程と、を有することを特徴とする印刷システムの制御方法。
【0013】
上記した印刷システムの制御方法によれば、印刷材料消費情報生成工程において、印刷対象となる画像データ及び各色の印刷面に対応したルックアップテーブルを参照して、この画像データを各色の印刷面に印刷した場合における印刷材料の消費量に関する印刷材料消費情報を生成する。そして、報知工程において、この印刷材料消費情報を報知する。
これにより、画像データを印刷する前に、印刷材料の消費量が少ない印刷面の色の情報を報知することができる。この結果、印刷材料の消費量が少ない印刷面の色の印刷媒体を使用することにより、画像データを印刷したときにおける印刷材料の消費量を低減させることができる。更に、画像データの印刷品位を低下させたり、画像データの配色を変更したりすることなく、画像データを忠実に印刷媒体に再現することができる。
【0014】
[適用例5]ルックアップテーブルを参照して色変換処理を行なう情報処理装置と、印刷材料を印刷媒体の印刷面に付着させて印刷を行う印刷装置とを有する印刷システムの制御プログラムであって、前記情報処理装置は、各色の前記印刷面に対応した前記ルックアップテーブルを記憶する記憶機能と、印刷対象となる画像データ及び前記記憶されたルックアップテーブルに基づいて、前記画像データを前記各色の印刷面に印刷した場合における前記印刷材料の消費量に関する印刷材料消費情報を、前記各色の印刷面毎に生成する印刷材料消費情報生成機能と、前記生成した印刷材料消費情報を報知する報知機能と、をコンピューターに実行させることを特徴とする印刷システムの制御プログラム。
【0015】
上記した印刷システムの制御プログラムによれば、印刷材料消費情報生成機能において、印刷対象となる画像データ及び各色の印刷面に対応したルックアップテーブルを参照して、この画像データを各色の印刷面に印刷した場合における印刷材料の消費量に関する印刷材料消費情報を生成する。そして、報知機能において、この印刷材料消費情報を報知する。
これにより、画像データを印刷する前に、印刷材料の消費量が少ない印刷面の色の情報を報知することができる。この結果、印刷材料の消費量が少ない印刷面の色の印刷媒体を使用することにより、画像データを印刷したときにおける印刷材料の消費量を低減させることができる。更に、画像データの印刷品位を低下させたり、画像データの配色を変更したりすることなく、画像データを忠実に印刷媒体に再現することができる。
【0016】
[適用例6]ルックアップテーブルを参照して色変換処理を行なう印刷制御部を有し、印刷材料を印刷媒体の印刷面に付着させて印刷を行う印刷装置であって、前記印刷制御部は、各色の前記印刷面に対応した前記ルックアップテーブルを記憶する記憶部と、印刷対象となる画像データ及び前記記憶されたルックアップテーブルに基づいて、前記画像データを前記各色の印刷面に印刷した場合における前記印刷材料の消費量に関する印刷材料消費情報を、前記各色の印刷面毎に生成する印刷材料消費情報生成部と、前記生成した印刷材料消費情報を報知する報知部と、を有することを特徴とする印刷装置。
【0017】
上記した印刷装置によれば、印刷材料消費情報生成部が、印刷対象となる画像データ及び各色の印刷面に対応したルックアップテーブルを参照して、この画像データを各色の印刷面に印刷した場合における印刷材料の消費量に関する印刷材料消費情報を生成する。そして、報知部が、この印刷材料消費情報を報知する。
これにより、画像データを印刷する前に、印刷材料の消費量が少ない印刷面の色の情報を報知することができる。この結果、印刷材料の消費量が少ない印刷面の色の印刷媒体を使用することにより、画像データを印刷したときにおける印刷材料の消費量を低減させることができる。更に、画像データの印刷品位を低下させたり、画像データの配色を変更したりすることなく、画像データを忠実に印刷媒体に再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る印刷システムの機能構成を示すブロック図。
【図2】第1実施形態における印刷設定画面の例を示す図。
【図3】第1実施形態に係るプリンタードライバーの動作を示すフローチャート。
【図4】第2実施形態における印刷設定画面の例を示す図。
【図5】第2実施形態に係るプリンタードライバー及びプリンターの動作を示すフローチャート。
【図6】第3実施形態に係る印刷装置の機能構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る印刷システムについて、図面を参照して説明する。
【0020】
<印刷システムの機能構成>
最初に、本実施形態に係る印刷システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る印刷システムの機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、印刷システム1は、情報処理装置としてのコンピューター10と、印刷装置としてのプリンター50とにより構成される。コンピューター10は、図示しない、CPU、ROM、RAM等を備えた一般的な計算機である。また、プリンター50は、印刷材料としてのインクを印刷媒体としての用紙の印刷面に付着させて印刷を行うインクジェットプリンターである。プリンター50は、無線又は図示しないプリンターケーブル等を介してコンピューター10に接続されている。
【0021】
コンピューター10は、図示しないオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム11、プリンタードライバー20、ハードディスク30等を備えている。また、コンピューター10には、キーボードやマウス等の操作部41や、CRT、液晶ディスプレイ及びプロジェクター等の表示部42が図示しないUSBポート等を介して接続されている。
【0022】
コンピューター10は、オペレーティングシステムの制御下で、各種のアプリケーションプログラム11を実行する。アプリケーションプログラム11において生成された印刷対象となる画像データ31は、ハードディスク30に保存される。また、ハードディスク30には、プリンタードライバー20における色変換処理に用いるルックアップテーブル(LUT)32が保存されている。
【0023】
このLUT32は、予め作成された色変換テーブルであり、コンピューター10が画像データ31の取り扱いに採用するRGB系色座標値と、プリンター50に備える各インク色に対応する色空間上の色座標値との対応関係が規定されている。ハードディスク30には、各用紙の印刷面の色(以下、用紙色と記す)に応じた各種LUT32a〜32eが保存されている。ここで、LUT32aは白色の用紙色に用いられ、LUT32bはシアンの用紙色に用いられ、LUT32cはイエローの用紙色に用いられ、LUT32dはマゼンタの用紙色に用いられ、LUT32eは肌色の用紙色に用いられる。
【0024】
プリンタードライバー20は、ハードディスク30に保存されている印刷対象となる画像データ31を取得する。そして、この画像データ31を印刷可能な形式の印刷データに変換してプリンター50に送信する。プリンタードライバー20は、色変換部21、インク消費情報生成部(印刷材料消費情報生成部)22、報知部24を含む印刷設定部23、印刷データ生成部25等を備えている。
【0025】
色変換部21は、取得した画像データ31に対して色変換処理を行う。このとき、色変換部21は、ハードディスク30に保存されている各用紙色用のLUT32a〜32eを用いることにより、各用紙色に応じて、RGB系色座標値によって表現された画像データ31をプリンター50の各インク色に対応した画像データに色変換する。
【0026】
インク消費情報生成部22は、プリンター50において画像データを各用紙色に印刷するときのインク消費量の目安となるインク消費情報(印刷材料消費情報)を用紙色毎に生成する。インク消費情報生成部22は、色変換部21において各用紙色用のLUT32a〜32eを用いて色変換を行った画像データに基づいて、各用紙色についてプリンター50における各インク色のインク消費情報を生成することができる。
【0027】
印刷設定部23は、プリンター50における各種の印刷条件を指定する印刷設定画面を表示部42に表示し、ユーザーから操作部41を介して印刷条件の設定を受け付ける。報知部24は、インク消費情報生成部22において生成した用紙色毎のインク消費情報を印刷設定画面に表示することにより、印刷対象となる画像データ31を各用紙色に印刷した場合におけるそれぞれのインク消費情報をユーザーに報知する。ユーザーは、印刷設定画面に表示された各用紙色のインク消費情報を参照して、例えば最もインク消費量の少ない用紙色を指定するなど、使用する用紙色を指定することができる。
【0028】
図2は、印刷設定画面の例を示す図である。同図に示す印刷設定画面は、印刷に関する基本的な条件を指定するための画面であり、「給紙装置」、「用紙種類」、及び「用紙色」の指定を受け付けることができる。また、図示しない、「用紙サイズ」、「印刷方向」等の指定を受け付けることもできる。「給紙装置」は、例えば、自動選択、手差しトレイ、用紙カセットの種類等をメニューから選択することができる。ここで、自動選択を選択した場合、指定した用紙サイズの用紙が入っている給紙装置から自動的に給紙することができる。「用紙種類」は、例えば、普通紙、再生紙等をメニューから選択することができる。
【0029】
また、「用紙色」は、本実施形態では、図2に示すように、白色、シアン、イエロー、マゼンタ、肌色等をメニューから選択することができる。この「用紙色」のメニュー画面には、「インク消費量(1〜10)」として、インク消費量に関するインク消費情報が併せて表示されている。このインク消費情報は、前記したインク消費情報生成部22において生成されたインク消費情報に基づいて表示される。このインク消費情報は、数値が小さい程インク消費量が少なく、数値が大きい程インク消費量が多くなることを示している。つまり、図2の例では、数値「2」が表示されているシアンの用紙色を使用して画像データ31を印刷した場合に、最も少ないインク消費量となる。
【0030】
印刷データ生成部25は、印刷設定部23において指定された用紙色のLUT32を用いて色変換を行った画像データに対して、ハーフトーン処理等を行って印刷データを生成する。
【0031】
プリンター50は、印刷機構制御部51及び印刷機構52を備えている。また、プリンター50には、印刷に用いる各種用紙を収容する給紙装置53が備えられており、本実施形態では、給紙装置53として、トレイ53a、カセットA53b及びカセットB53cの給紙装置が装着されている。
【0032】
印刷機構制御部51は、図示しない、CPU、ROM、RAM等を備え、印刷機構52を始めとするプリンター50全体を制御する。印刷機構52は、図示しない、印刷ヘッド、キャリッジ、紙送り装置、ヘッドメンテナンス装置等を備える。印刷機構52には、交換可能な図示しない各色のインクカートリッジが着脱自在に装着される。印刷機構52は、印刷機構制御部51の制御により、コンピューター10から送信された印刷データに基づいて、トレイ53a、カセットA53b及びカセットB53cのいずれかの給紙装置から給紙された用紙に対して印刷を行う。
【0033】
<プリンタードライバーの動作>
次に、第1実施形態に係るコンピューター10におけるプリンタードライバー20の動作について説明する。
図3は、第1実施形態に係るプリンタードライバー20の動作を示すフローチャートである。同図に示すフローチャートは、プリンタードライバー20がアプリケーションプログラム11等から印刷の指示を受け付けたときに動作を開始する。
【0034】
最初に、プリンタードライバー20は、ハードディスク30に保存されている印刷対象となる画像データ31を取得する(ステップS110)。そして、プリンタードライバー20は、ステップS110において取得した画像データ31に対して、各用紙色用のLUT32a〜32eを用いて色変換処理を行う(ステップS120)。
【0035】
次に、プリンタードライバー20は、ステップS120において色変換処理を行った画像データに基づいて、各用紙色に印刷するときのインク消費情報を用紙色毎に生成する(ステップS130)。そして、プリンタードライバー20は、ステップS130において生成した用紙色毎のインク消費情報を例えば図2に示すような印刷設定画面に表示し、ユーザーから操作部41を介して、使用する用紙色の指定等を受け付ける(ステップS140)。
【0036】
次に、プリンタードライバー20は、ステップS140において指定された用紙色のLUT32を用いて色変換を行った画像データに対して、ハーフトーン処理等を行って印刷データを生成する(ステップS150)。そして、プリンタードライバー20は、ステップS150において生成された印刷データをプリンター50に送信する(ステップS160)。
【0037】
なお、記憶工程及び記憶機能は、LUT32をハードディスク30に保存する工程及び機能に相当する。また、印刷材料消費情報生成工程及び印刷材料消費情報生成機能は、上記ステップS130に相当する。また、報知工程及び報知機能は、上記ステップS140に相当する。
【0038】
上述したように、本実施形態に係る印刷システムは、印刷対象となる画像データ31に対して、各用紙色用のLUT32a〜32eを用いて色変換処理を行い、各用紙色に印刷するときのインク消費情報を用紙色毎に生成する。そして、このインク消費情報を印刷設定画面に表示して、ユーザーから、使用する用紙色の指定を受け付ける。ユーザーは、印刷設定画面に表示されたインク消費情報を参照することにより、例えばインク消費量の最も少ない用紙色の用紙を指定して、プリンター50からこの用紙に印刷することができる。これにより、プリンター50におけるインク消費量を低減させることができる。更に、インク消費量が少ないことから、印刷速度を速くすることができる。また、カラーの用紙色にカラー画像を印刷する場合は、白色の用紙色に印刷する場合よりも必要部分のガマットを広くすることができ、更にハイライト側の粒状性を向上させることができ、この結果、高画質の印刷画像を得ることができる。
【0039】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係る印刷システムについて、図面を参照して説明する。
【0040】
第2実施形態に係る印刷システムの機能構成は、図1に示す第1実施形態に係る印刷システムの機能構成を示すブロック図と同様であるが、プリンタードライバー20における印刷設定部23及び印刷データ生成部25の機能内容が異なっている。また、プリンタードライバー20及びプリンター50の動作についても第1実施形態における動作とは異なっている。
【0041】
第2実施形態における印刷設定部23は、印刷設定画面において、第1実施形態とは異なり、使用する用紙色の指定を受け付けるのではなく、各給紙装置にセットする用紙色の指定を受け付ける。
図4は、第2実施形態における印刷設定画面の例を示す図である。同図に示す印刷設定画面は、「給紙装置」及び「用紙種類」の指定を受け付けることができる。「給紙装置」は、自動選択、手差しトレイ、用紙カセットの種類等を選択することができる。ここで、自動選択を選択した場合、第1実施形態における印刷設定画面と異なり、各給紙装置にセットする用紙色の種類の指定を受け付けることができる。そして、プリンター50において印刷動作を実行するときに、自動選択が選択されている場合は、最もインク消費量が少ない用紙色の用紙がセットされている給紙装置から自動的に給紙される。例えば、画像データ31を印刷するときにシアンの用紙色を使用した方が最もインク消費量が少ない場合、図4の例では、カセットBにシアンが指定されており、シアンの用紙色の用紙がセットされているカセットB53cから自動的に給紙される。
【0042】
第2実施形態における印刷データ生成部25は、最もインク消費量が少ない用紙色のLUT32を用いて色変換を行った画像データに対して、ハーフトーン処理等を行って印刷データを生成する。
【0043】
<プリンタードライバーの動作>
次に、第2実施形態に係るコンピューター10におけるプリンタードライバー20及びプリンター50の動作について説明する。
図5は、第2実施形態に係るプリンタードライバー20及びプリンター50の動作を示すフローチャートである。同図に示すコンピューター10におけるフローチャートは、第1実施形態の場合と同様に、プリンタードライバー20がアプリケーションプログラム11等から印刷の指示を受け付けたときに動作を開始する。
【0044】
図5に示すコンピューター10におけるフローチャートのステップS210〜S230の動作は、図3に示す第1実施形態におけるフローチャートのステップS110〜S130の動作と同様である。即ち、プリンタードライバー20は、取得した画像データ31に対して、各用紙色用のLUT32a〜32eを用いて色変換処理を行う。そして、色変換処理を行った画像データに基づいて、各用紙色に印刷するときのインク消費情報を用紙色毎に生成する。
【0045】
次に、プリンタードライバー20は、ステップS230において生成した各用紙色のインク消費情報に基づいて、最もインク消費量が少ない用紙色のLUT32を用いて色変換を行った画像データに対して、ハーフトーン処理等を行って印刷データを生成する(ステップS240)。そして、プリンタードライバー20は、ステップS240において生成された印刷データをプリンター50に送信する(ステップS250)。この印刷データには、給紙装置の自動選択を行う場合に、最もインク消費量が少ない用紙色に対応する給紙装置の情報が含まれている。
【0046】
一方、プリンター50は、図5のプリンター50におけるフローチャートに示すように、コンピューター10のステップS250において送信された印刷データを受信する(ステップS310)。そして、プリンター50は、給紙装置の自動選択を行う場合に、受信した印刷データに含まれる給紙装置の情報に基づいて、最もインク消費量が少ない用紙色の用紙がセットされている給紙装置から自動的に給紙する(ステップS320)。そして、給紙した用紙に対して画像データの印刷を実行する(ステップS330)。
【0047】
上述したように、本実施形態に係る印刷システムは、印刷設定画面において給紙装置にセットする用紙色の種類を指定することにより、最もインク消費量が少ない用紙色の用紙がセットされている給紙装置から自動的に給紙して印刷することができる。これにより、例えば、印刷設定画面において、カセットAに白色の用紙、カセットBにシアンの用紙をセットするように指定した場合、白色の用紙に印刷するときに最もインク消費量が少ない画像のときは、カセットA53bから自動給紙される。また、シアンの用紙に印刷するときに最もインク消費量が少ない画像のときは、カセットB53cから自動給紙される。このように、印刷対象となる画像に応じて、印刷毎に給紙装置に用紙をセットしたり、カセットを入れ換えたりする必要がなくなり、ユーザーの手間を軽減させることができる。
【0048】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態に係る印刷装置について、図面を参照して説明する。
【0049】
図6は、印刷装置の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、印刷装置としてのプリンター50Aは、図1に示す第1実施形態に係るプリンター50と同様に、印刷機構制御部51及び印刷機構52を備えており、トレイ53a、カセットA53b及びカセットB53cの給紙装置53が装着されている。
【0050】
また、プリンター50Aは、図1に示す第1実施形態に係るコンピューター10におけるプリンタードライバー20及びハードディスク30を印刷制御部として備えている。ハードディスク30には、色変換処理に用いる各用紙色用のLUT32a〜32eが保存されている。更に、プリンター50Aには、外部記憶媒体の例としてUSBメモリー62が装着されている。USBメモリー62には、印刷対象となる画像データ63が保存されている。プリンター50Aは、第1実施形態に係るプリンター50と異なり、コンピューター10を必要としないで、USBメモリー62に保存されている画像データ63を直接印刷することができる。
【0051】
プリンター50Aにおけるプリンタードライバー20は、USBメモリー62から画像データ63を取り込む。そして、第1実施形態におけるプリンタードライバー20と同様に、取得した画像データ63に対して、各用紙色用のLUT32a〜32eを用いて色変換処理を行ってインク消費情報を生成する。
【0052】
次に、用紙色毎のインク消費情報を操作パネル61の印刷設定画面に表示して、ユーザーから使用する用紙色の指定等を受け付ける。そして、指定された用紙色のLUT32を用いて色変換を行った画像データに対して、ハーフトーン処理等を行って印刷データを生成し、指定された用紙色の用紙に印刷を行う。
【0053】
上述したように、本実施形態に係るプリンター50Aでは、USBメモリー62の画像データ63に対して、各用紙色に印刷するときのインク消費情報を用紙色毎に生成して、第1実施形態に係る印刷システムと同様の効果を得ることができる。即ち、プリンター50Aにおいてインク消費量を低減させることができ、更に印刷速度を速くすること等ができる。
【0054】
なお、第2実施形態におけるプリンタードライバー20と同様に、印刷設定画面において給紙装置にセットする用紙色の指定を受け付けて、最もインク消費量が少ない用紙色のLUT32を用いて色変換等を行って印刷データを生成しても良い。そして、最もインク消費量が少ない用紙色の用紙がセットされている給紙装置から自動的に給紙して、その用紙に印刷を行うようにしても良い。これにより、プリンター50A単独で、第2実施形態に係る印刷システムと同様の効果を得ることができる。
【0055】
(変形例)
上述した第2実施形態では、コンピューター10において、色変換処理を行った画像データに基づいてインク消費情報を用紙色毎に生成した。そして、プリンター50において、最もインク消費量が少ない用紙色の用紙がセットされている給紙装置から自動的に給紙するようにした。しかし、インク消費量のみに基づいて給紙する用紙を判断するのではなく、プリンター50に備えたインクカートリッジのインク残量を加味して判断するようにしても良い。例えば、図2に示す印刷設定画面の場合、インク消費量が最も少ない用紙色はシアンとなっている。しかし、プリンター50においてシアンのインク残量が少ない場合は、次にインク消費量が少ない白色の用紙色の用紙がセットされている給紙装置から給紙するようにしても良い。これにより、インク残量を加味して木目細かくインク消費量を低減させることができ、インク切れによる印刷中断の発生等にも対処することができる。
【0056】
また、インク消費量のみに基づいて自動的に給紙する用紙を判断するのではなく、画像データの画像内容を加味して判断するようにしても良い。例えば、画像全体から人物の顔領域を検出して、この顔領域の面積の総和が大きい場合は、肌色の用紙色の用紙がセットされている給紙装置から給紙するようにしても良い。これにより、印刷対象となる画像の配色を忠実に再現して高画質の印刷画像を得ることができる。
【0057】
なお、上述した実施形態では、印刷材料を収容するカートリッジとしてインクカートリッジ、及び印刷装置としてインクジェットプリンターの例を示したが、これには限られない。例えば、トナーを収容するトナーカートリッジ、及びレーザプリンターにも適用することができる。また、インクジェット方式のファクシミリ、インクジェット方式の複合機、電子写真方式の複写機、電子写真方式のファクシミリ及び電子写真方式の複合機などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…印刷システム、10…コンピューター、11…アプリケーションプログラム、20…プリンタードライバー、21…色変換部、22…インク消費情報生成部、23…印刷設定部、24…報知部、25…印刷データ生成部、30…ハードディスク、31,63…画像データ、32,32a〜32e…LUT、41…操作部、42…表示部、50,50A…プリンター、51…印刷機構制御部、52…印刷機構、53…給紙装置、53a…トレイ、53b…カセットA、53c…カセットB、61…操作パネル、62…USBメモリー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルックアップテーブルを参照して色変換処理を行なう情報処理装置と、印刷材料を印刷媒体の印刷面に付着させて印刷を行う印刷装置とを有する印刷システムであって、
前記情報処理装置は、
各色の前記印刷面に対応した前記ルックアップテーブルを記憶する記憶部と、
印刷対象となる画像データ及び前記記憶されたルックアップテーブルに基づいて、前記画像データを前記各色の印刷面に印刷した場合における前記印刷材料の消費量に関する印刷材料消費情報を、前記各色の印刷面毎に生成する印刷材料消費情報生成部と、
前記生成した印刷材料消費情報を報知する報知部と、を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、ユーザーからの操作を受け付ける操作部を更に備え、
前記操作部において選択された前記印刷面の色に対応する前記ルックアップテーブルに基づいて、前記印刷対象となる画像データに対して色変換を行って印刷データを生成することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷装置は、前記印刷媒体を給紙する複数の給紙装置を更に備え、
前記情報処理装置の前記印刷材料消費情報生成部において生成された前記印刷材料消費情報に基づいて、前記印刷材料の消費量が最も少ない前記印刷面の色に対応する前記給紙装置から、前記印刷媒体を自動的に給紙することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項4】
ルックアップテーブルを参照して色変換処理を行なう情報処理装置と、印刷材料を印刷媒体の印刷面に付着させて印刷を行う印刷装置とを有する印刷システムの制御方法であって、
前記情報処理装置は、
各色の前記印刷面に対応した前記ルックアップテーブルを記憶する記憶工程と、
印刷対象となる画像データ及び前記記憶されたルックアップテーブルに基づいて、前記画像データを前記各色の印刷面に印刷した場合における前記印刷材料の消費量に関する印刷材料消費情報を、前記各色の印刷面毎に生成する印刷材料消費情報生成工程と、
前記生成した印刷材料消費情報を報知する報知工程と、を有することを特徴とする印刷システムの制御方法。
【請求項5】
ルックアップテーブルを参照して色変換処理を行なう情報処理装置と、印刷材料を印刷媒体の印刷面に付着させて印刷を行う印刷装置とを有する印刷システムの制御プログラムであって、
前記情報処理装置は、
各色の前記印刷面に対応した前記ルックアップテーブルを記憶する記憶機能と、
印刷対象となる画像データ及び前記記憶されたルックアップテーブルに基づいて、前記画像データを前記各色の印刷面に印刷した場合における前記印刷材料の消費量に関する印刷材料消費情報を、前記各色の印刷面毎に生成する印刷材料消費情報生成機能と、
前記生成した印刷材料消費情報を報知する報知機能と、をコンピューターに実行させることを特徴とする印刷システムの制御プログラム。
【請求項6】
ルックアップテーブルを参照して色変換処理を行なう印刷制御部を有し、印刷材料を印刷媒体の印刷面に付着させて印刷を行う印刷装置であって、
前記印刷制御部は、
各色の前記印刷面に対応した前記ルックアップテーブルを記憶する記憶部と、
印刷対象となる画像データ及び前記記憶されたルックアップテーブルに基づいて、前記画像データを前記各色の印刷面に印刷した場合における前記印刷材料の消費量に関する印刷材料消費情報を、前記各色の印刷面毎に生成する印刷材料消費情報生成部と、
前記生成した印刷材料消費情報を報知する報知部と、を有することを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−103939(P2012−103939A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252561(P2010−252561)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】