説明

印刷ショップ管理システムにおけるユーザ判断基準に基づく印刷ジョブ依頼承認ポリシー

【課題】複数のプリンタを管理する印刷ショップ管理装置において実行される印刷ジョブの依頼を処理するための方法を提供する。
【解決手段】印刷ショップ管理システムにおいて、特定のユーザにより行われた印刷ジョブの依頼が承認されるかまたは禁止されるかを判断するために、印刷ジョブ依頼承認ポリシーが提供される。ポリシーは、ジョブ依頼時に実施されるジョブ制限判断基準の複数のポリシー設定を含む。制限は、ジョブ価格、特定の制限された機能、資源の使用量などに基づくことができる。ジョブの依頼が禁止される場合、メッセージがユーザに表示されるが、印刷ジョブはプリンタに依頼されない。各ポリシー設定は、ユーザの役割またはユーザ名に基づいてユーザに適用され得る。各ポリシー設定は、管理者によって作成される。ポリシー設定の値を入力するためのユーザインタフェースが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
技術分野
本発明は、印刷ジョブ処理方法および装置に関し、より詳しくは、複数のプリンタおよびフィニッシング装置を使用している印刷ショップのための印刷ジョブ処理方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
複数のプリンタで多数の印刷ジョブを処理する環境では、組織化された方法で印刷ジョブを効率的に管理する必要がある。そのような環境の例は、専門の印刷ショップおよび大きな組織の印刷/複写部門であり、そこでは、大量の複写および大きな書類の印刷などの様々な印刷要求が、複数のプリンタを利用することにより短い所要時間の範囲内で処理されて完成される必要がある。これらの環境は、本出願において、まとめて「印刷ショップ」と称される。一般的に、各印刷ジョブは、印刷ジョブの依頼者の要求に応じて、印刷される文書、文書が印刷されるべき用紙のサイズ、色、および種類、印刷解像度、両面または片面印刷、ならびに、製本、ステープル、部単位印刷などの特定の仕上げ条件を電気的に含むソースファイルを特定する。これらのジョブパラメータの観点からそれぞれ異なる大量の印刷ジョブを処理するために、印刷ショップは、モノクロおよびカラープリンタを含む複数の業務用プリンタを利用する。これらのプリンタのそれぞれは、用紙サイズ、用紙種、解像度設定などの利用可能なプリンタ設定に関して制限を有する。加えて、印刷ショップは、コレータ、ステープラ、穴あけパンチ、折り機、綴じ機などの様々なフィニッシング装置を使用する。複数のプリンタに接続され、印刷ジョブを実現するために一つ以上のプリンタおよびフィニッシング装置に各印刷ジョブを依頼する(すなわち、割り当てる)制御コンピュータのような印刷ショップ管理装置に、一般的に、印刷ショップ管理システムは実装される。ジョブの依頼は、印刷ショップ管理システムによって自動的に、ある程度のオペレータ介入をともなって半自動的に、あるいは、適切なプリンタまたはフィニッシング装置に印刷ジョブをどのように依頼するかについての決定がオペレータによりなされるところにおいて手動で実施されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特定の環境下において、印刷ショップの経営者(manager)または所有者は、印刷装置(プリンタ)にジョブを依頼する従業員の資格についてのより細かい制御を望むかもしれない。
【0004】
したがって、本発明は、印刷ジョブの設定、依頼を行う従業員の経験、利用可能なプリンタ資源などに基づいて、システム管理者(administrator)が複数組の判断基準を定めて、プリンタへの印刷ジョブの依頼を制限することを可能にする印刷ショップ管理システムを提供する。
【0005】
本発明の目的は、従業員の経験不足に起因する(「再印刷」ジョブの要求のような)生産間違い、物理資源の浪費、「資源集約的」ジョブからの印刷資源の排出などを低減するのに役立つ印刷ショップ管理システムを提供することである。
【0006】
本発明の付加的な特徴および利点は、後続する説明において示され、部分的には、説明から明らかであり、あるいは、発明の実施によって知ることができる。本発明の目的および他の利点は、添付の図面と同様、とりわけ明細書および特許請求の範囲において指摘される構成によって実現され、達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的および/または他の目的を達成するために、具体化されて広く記載されるように、本発明は、複数のプリンタを管理する印刷ショップ管理装置において実行される印刷ジョブの依頼を処理するための方法を提供し、その方法は、一つ以上のジョブ制限判断基準を各々が規定しており、さらに、適用されるユーザを特定するための一つ以上のユーザ判断基準を各々が規定している複数のポリシー設定を含む印刷ジョブ依頼承認ポリシーを、前記印刷ショップ管理装置に記憶するステップ(a)と、プリンタへの印刷ジョブの依頼をユーザが要求するとき、各々のポリシー設定について、ポリシー設定がユーザに適用されるかどうかを前記ユーザ判断基準に基づいて判断するステップ(b)と、一つ以上のポリシー設定が前記ユーザに適用される場合、前記適用されるポリシー設定の前記ジョブ制限判断基準を、依頼されている前記印刷ジョブの対応する設定と比較することによって、前記依頼が承認されるかどうかを判断するステップ(c)と、前記依頼が承認されない場合、前記プリンタに前記印刷ジョブを依頼することを控えるステップ(d)と、ポリシー設定が前記ユーザに適用されない場合、または、前記依頼が承認される場合、印刷のために前記プリンタに前記印刷ジョブを依頼するステップ(e)と、を有する。前記ユーザ判断基準は、ユーザの役割またはユーザ名または両方を含むことができる。
【0008】
別の態様において、本発明は、複数のプリンタを管理する印刷ショップ管理装置において実行される印刷ジョブの依頼を処理のための方法を提供し、その方法は、プリンタへの印刷ジョブの依頼の要求を受け付けるステップ(a)と、前記印刷ジョブの設定に基づいて前記印刷ジョブに必要とされる資源の量を推定するステップ(b)と、依頼時に前記プリンタで利用可能な資源の量を判断するステップ(c)と、前記必要とされる資源の量が前記利用可能な資源の量を上回る場合、前記印刷ジョブを前記プリンタに依頼することを控えるステップ(d)と、前記必要とされる資源の量が前記利用可能な資源の量を超えない場合、印刷のために前記プリンタに前記印刷ジョブを依頼するステップ(e)と、を有する。
【0009】
別の態様において、本発明は、印刷ショップ管理装置に上記の方法を実行させるコンピュータプログラムを提供する。
【0010】
上述の概要および以下の詳細な説明は、ともに模範的かつ説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明のさらなる説明を提供することを目的としていることは理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による印刷ジョブ依頼承認ポリシー作成処理および依頼時のポリシー実施処理を例示する。
【図2A】本発明の一実施形態による印刷ジョブ依頼承認ポリシーを作成するために用いられるユーザインタフェースを例示する。
【図2B】本発明の一実施形態による印刷ジョブ依頼承認ポリシーを作成するために用いられるユーザインタフェースを例示する。
【図3】本発明の一実施形態による印刷ショップシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明の実施形態は、特定のオペレータにより要求された印刷ジョブの依頼が承認されるか、または禁止されるかを判断するための印刷ジョブ依頼承認ポリシー(便宜上、「依頼ポリシー」と称される)を提供する。図3に典型的に示されるように、LAN(ローカルエリアネットワーク)などのデータ通信回線を介して、印刷ショップのプリンタ2および他の装置に接続されている印刷ショップ管理装置1の記憶装置(たとえば、ハードディスクドライブ)に格納され、印刷ショップ管理装置1(たとえば、制御コンピュータ)によって実行される印刷ショップ管理システムソフトウエアにより依頼ポリシーは実施される。
【0013】
具体的には、印刷ショップ管理システムにおける依頼ポリシーは、ジョブの依頼時に実施される制限判断基準に関する名前を付けられた設定であり、複合的に定義される。各ポリシー設定は、印刷ショップ管理システムの管理者によって作成される。各ポリシー設定は、一組の判断基準を有する。オペレータ(ユーザ)がプリンタへのジョブの依頼を要求するとき(「ジョブの依頼時」と称される)、これらの判断基準は、依頼が禁止されるか、または承認されるかを判断するために用いられる。
【0014】
図1は、依頼ポリシー作成処理(ステップS11〜S12)および依頼時のポリシー実施処理(ステップS13〜S17)を例示する。上述したとおり、印刷ショップ管理装置1の記憶装置に格納され、印刷ショップ管理装置1のCPU(中央処理装置)によって実行される印刷ショップ管理システムソフトウエアによって、処理は実行される。まず、管理者は、印刷ショップ管理システムの適切なユーザインタフェースを通じて、依頼ポリシー設定を作成する(ステップS11)。依頼ポリシー設定は、印刷ショップ管理装置1の記憶装置に記憶される(ステップS12)。ステップS11およびS12は、時を選ばす実行され、付加的なポリシー設定を入力するために要望通りに繰り返されることができる。
【0015】
図2Aおよび図2Bを参照すれば、依頼ポリシーを作成するためにステップS11において使用される典型的なユーザインタフェースが例示される。図2Aは、印刷ショップ管理システムソフトウエアの「動作設定」ダイアログボックス20を示す。「詳細なジョブポリシー」ボタン21は、依頼ポリシーを閲覧かつ作成するために提供される。好ましくは、ユーザが管理者としてログオンする場合にのみ、このボタンは表示され、または選択可能である。ボタン21が選択されるとき、現在のジョブポリシー設定の一覧22が表示される。各一覧項目は、設定の名称(「設定名称」)、設定が適用されるユーザの役割またはユーザ名(「適用」)、および設定の終了日時(「終了」)を表示する。新規なポリシー設定を追加するために追加ボタン23が提供され、(一覧22内の所望の設定を最初に選択することによって)既存のポリシー設定を編集するために編集ボタン24が提供され、(一覧22内の削除される設定を最初に選択することによって)既存のポリシー設定を削除するために削除ボタン25が提供される。
【0016】
「追加」ボタンまたは「編集」ボタンを選択すると、図2Bに示される「詳細なジョブポリシー」ダイアログボックス30が開かれ、一組の判断基準の選択肢を表示する。それが、編集される既存のポリシー設定の場合、様々な入力フィールドには既存の値が入力されており、編集される既存のポリシー設定でない場合、それらは、初期的に空欄またはデフォルト値が入力されている。ダイアログボックス30は、ポリシー設定の名称を管理者が指定または変更することを可能にする入力フィールド31を含む。ポリシー設定の値は、下記のように適当な入力機構を使用して選択されることができる。
【0017】
「適用」:現在のポリシー設定がどのユーザに適用できるかを管理者が指定することができるように入力手段が提供される。たとえば、ユーザの役割(経営者、正規のオペレータ、研修員、上記の組合せなど)に応じて、ユーザ名に応じて、ユーザが所属する組織単位などに応じて、ポリシーがユーザに適用されることができる。ポリシー設定がどのユーザに適用されるかに関するこれらの記述は、便宜上、まとめてユーザ判断基準と称される。ポリシー設定が適用可能なユーザは、便宜上、「影響を受けるユーザ」と称される。
【0018】
例示された実施形態において、入力手段は、ユーザの役割またはユーザ名または両方に応じて、ポリシー設定が適用されるかどうかを指定するための2つのチェックボックス32aを含む。ドロップダウンリスト32bは、ユーザの役割の入力値を選択するために使用され、入力フィールド32cは、ユーザ名を入力するために使用される。依頼時に、印刷ショップ管理システムは、依頼しているユーザの役割および名称を確認する。依頼の禁止は、依頼しているユーザの役割または名称と合致するすべてのジョブポリシー設定のすべての判断基準と、依頼されているジョブのジョブ設定とを比較することによって判断される。
【0019】
「最大ジョブ価格」:影響を受けるユーザが印刷することができる任意のジョブの最大費用を設定するために入力手段が提供される。例示された実施形態において、入力手段は、この判断基準を選択するためのチェックボックス33aと、値を入力するための入力フィールド33bとを含む。依頼時に、印刷ショップ管理システムは、ジョブを依頼したアプリケーションからジョブの推定費用の問い合わせを行う。それから、印刷ショップ管理システムは、推定されたジョブ費用を、ポリシー設定に関する「最大ジョブ価格」の値と比較する。ジョブの推定費用が「最大ジョブ価格」を上回る場合、依頼は禁止される。
【0020】
「制限された機能」:1つ以上の禁止されたジョブ設定(機能)を指定するために入力手段が提供される。例示された実施形態において、入力手段は、選択される機能の一覧を含むドロップダウンリスト34を含む。現在、制限されている機能の一覧は、ドロップダウンリスト34に隣り合って表示され得る。影響を受けるユーザは、これらの設定(機能)を含むジョブを依頼することを禁じられる。禁止され得る機能の例は、小冊子、パンチ、ステープル、無線とじ、ジョブ優先順位(高い)、ユーザボックスへの保存、ユーザボックスへの保存および印刷、前表紙、裏表紙、用紙挿入前表紙、用紙挿入裏表紙、トリミング、折り畳み、章分け、ページ毎の設定(ページプロパティ)、濃度/明度、スムージング、トナーセーブ(オフ)、トナーセーブ(オン)などを含む。依頼時、印刷ショップ管理システムは、依頼されている印刷ジョブに含まれている設定と、禁止されたジョブ設定の一覧とを比較する。同一の設定が見つけられる場合、依頼は禁止される。
【0021】
「トナー使用量」、「用紙使用量」、「ステープル使用量」、「記憶装置使用量」:印刷ジョブが消費することを許可されるトナー、用紙、ステープル、および記憶装置(たとえば、ハードディスクドライブ)などの特定の資源の最大量を指定するために入力手段が提供される。例示された実施形態において、入力手段は、複数のドロップダウンリスト35,36,37,38および追加的な入力フィールド(不図示)を含む。各資源について、管理者は、許可された消費量の具体的な最大量、または、最大許容量が依頼時に目標装置で利用可能な資源の量であることを意味する「目標装置未満」のいずれかを指定することができる。依頼時、依頼されているジョブによって消費される資源(トナー、用紙、ステープル、記憶装置など)の量は、ジョブ設定(たとえば、文書のページ数、より多くのトナーを必要とする画像をそれが含むかどうか、印刷される部数、ステープルが要求されているかどうか)に基づいて推定される。任意の資源の推定量が、その資源に対して設定された最大値を上回る場合、印刷は禁止される。「目標装置未満」設定の使用は、印刷中に補充または他の介入が必要となるように目標プリンタの資源をジョブが完全に消費する場合に、ジョブの依頼を禁止する。
【0022】
実施期間または終了:ポリシーがいつ実施されるか、または、それがいつ終了するかを指定するために入力手段が提供される。たとえば、ポリシーは、一日の(通常の業務時間のあとのような)特定の時間の間のみ実施されるように設定され、または、特定の時間後に終了するように設定され得る。例示された実施形態において、入力手段は、設定がそもそも終了するかどうかを指定するための入力フィールド39aと、終了時間を入力するためのチェックボックス39bとを含む。
【0023】
注意すべきことは、図2Aおよび図2Bは、ポリシー設定の判断基準の具体例を示しているけれども、他の望ましい判断基準が実施され得るということである。さらに、入力手段21〜25および31〜39bの具体例が記載されて示されているが、本発明は、ユーザインタフェースディスプレイの特定のものには限定されない。様々な設定をユーザが指定することを可能にする入力手段をユーザインタフェースディスプレイが含む限り、本発明は、ユーザインタフェースディスプレイの任意の形態を使用して実現され得る。入力手段は、ボタン、チェックボックス、ラジオボタン、文章入力フィールド、ドロップダウンメニュー、ポップアップメニュー、アイコン、異なるシートを表示するためのタブ、別ウインドウなど、もしくはこれらの組み合わせ、または、ユーザがコンピュータに情報を入力することを可能にするいかなる適切な構成であってもよい。入力手段の適切な構成のためのコンピュータソフトウエア設計は、明らかであり、この分野における通常の技術者によく知られている。したがって、これらの構成のための詳細な説明は、この場から省略される。用語「ユーザインタフェースディスプレイ」は、一般的に、ユーザに情報を表示し、かつ/または、ユーザが命令および他の情報を入力することを可能にする任意の適切な画面表示を意味するために用いられ、ディスプレイのいかなる特定の形態にも限定されず、一連の連続的なディスプレイを含むことができる。
【0024】
図1を再び参照して、前述のように、ステップS11およびS12は、要望通り繰り返されることができる。図1の残りのステップであるステップS13〜S17は、依頼時に実行される。実施において、ステップS11〜S12およびステップS13〜S17は、異なるプログラムモジュールによって実行されることができる。
【0025】
依頼時、すなわち、ユーザが印刷ジョブをプリンタ(「目標プリンタ」)に依頼することを要求するとき(ステップS13)、印刷ショップ管理システムは、任意の依頼ポリシー設定が、ユーザの役割またはユーザ名に適用されるかどうかを判断する(ステップS14)。依頼ポリシー設定がオペレータの役割または名称に適用されない場合(ステップS14で「N」)、印刷ショップ管理システムは、続けて目標プリンタに印刷ジョブを依頼し(ステップS15)、処理が継続する(印刷ショップ管理システムは、次の印刷ジョブを処理できる状態にある)。一方、一つ以上の依頼ポリシー設定がユーザの役割またはユーザ名に適用される場合(ステップS14で「Y」)、システムは、さらに、適用可能な設定が提供している任意のジョブ制限判断基準がジョブの依頼を禁止するかどうかを判断する(ステップS16)。これらのジョブ制限判断基準は、最大ジョブ価格、制限された機能、(トナー、用紙、ステープル、記憶装置の使用などの)資源の使用量、終了(すなわち、依頼時にポリシー設定が適用されるべきかどうかを判断すること)などを含むことができる。印刷ジョブについてのこれらのパラメータに関する値は、印刷ジョブの設定を分析することにより得られる。ポリシー設定の様々なジョブ制限判断基準をシステムが適用する方法の例は、図2Bに関連して前述されている。ジョブの依頼が禁止される、または、承認されないと判断される場合(ステップS16で「Y」)、ジョブは依頼されず、エラー通知がユーザに表示される(ステップS17)。ジョブの依頼が禁止されない、または承認される場合(ステップS16で「N」)、印刷ショップ管理システムは、続けて目標プリンタに印刷ジョブを依頼し(ステップS15)、処理が継続する。
【0026】
上記の説明から分かるように、ポリシー設定方法は、従業員の経験、適当な日付/時間、装置の資源および状態、印刷ジョブの費用、ジョブによって使用される資源の推定などに基づくアクセス制御を、印刷ショップの経営者または所有者が実施することを可能にするプリンタアクセスの制御を提供する。ポリシーは、ジョブの依頼の間にのみポリシーが実施されることを意味する「ジョブの依頼の範囲(scope)」を有する。オペレーションまたはワークフローの他の領域への影響はない。アクセス制御は、終了時間を設定することによって、一時的あるいは永続的であることができる。
【0027】
本発明の実施形態によるジョブ依頼承認ポリシーを使用して、印刷ショップの経営者/所有者は、特定のジョブ設定によって、経験が浅い従業員による生産間違い(すなわち、「やり直し」または「再印刷」ジョブの必要)を減少させることができる。これは、仕事の時間および費用を節約する。印刷ショップの経営者/所有者は、特定のジョブ設定によって、経験の浅い従業員による物理資源の浪費を減少させることができる。彼らは、「資源消費型」ジョブからのプリンタ資源の排出を制御および/または減少させることができる。彼らは、印刷中にジョブが資源を完全に消費してしまうこと(たとえば、トナーなしで印刷すること、または、ハードディスクを満杯にすること)を防止することができる。これは、ハードウエアサービスコールを減少させ(その結果、コストを低減させる)、オペレーション「動作可能時間」を増加させるのに役立つことができる。各ポリシー設定は、一時的または永続的に設定され得る。彼らは、制限判断基準の複数の組み合わせを柔軟に識別、作成、および編集するために、(指定された名称を有する)複数のポリシー設定を作成することができる。これは、経営者/所有者が複数のジョブの問題点および目的に対処することを可能にする。
【0028】
さらに、ユーザによって依頼された印刷ジョブが、ポリシー設定の種々のジョブ制限判断基準のいずれか一つに抵触するとき、エラー通知がユーザに表示されるけれども、印刷ジョブは、たとえば、管理者、経営者、または所有者などの権限保持者による検査を受けることができ、それから、権限保持者が印刷ジョブの依頼を一旦承認すれば、印刷ジョブは、目標プリンタへと転送される。この点において、印刷ジョブの禁止は、継続的な禁止と一時的な禁止を含むことができる。
【0029】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の印刷ジョブ依頼承認ポリシーの作成および実施方法において様々な修正および変更がなされることができることは、当業者にとって明らかである。したがって、本発明が、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に入る修正および変更に及ぶことは意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプリンタを管理する印刷ショップ管理装置において実行される印刷ジョブの依頼を処理するための方法であって、
一つ以上のジョブ制限判断基準を各々が規定しており、さらに、適用されるユーザを特定するための一つ以上のユーザ判断基準を各々が規定している複数のポリシー設定を含む印刷ジョブ依頼承認ポリシーを、前記印刷ショップ管理装置に記憶するステップ(a)と、
プリンタへの印刷ジョブの依頼をユーザが要求するとき、各々のポリシー設定について、ポリシー設定が前記ユーザに適用されるかどうかを前記ユーザ判断基準に基づいて判断するステップ(b)と、
一つ以上のポリシー設定が前記ユーザに適用される場合、前記適用されるポリシー設定の前記ジョブ制限判断基準を、依頼されている前記印刷ジョブの対応する設定と比較することによって、前記依頼が承認されるかどうかを判断するステップ(c)と、
前記依頼が承認されない場合、前記プリンタに前記印刷ジョブを依頼することを控えるステップ(d)と、
ポリシー設定が前記ユーザに適用されない場合、または、前記依頼が承認される場合、印刷のために前記プリンタに前記印刷ジョブを依頼するステップ(e)と、
を有する方法。
【請求項2】
前記ステップ(d)は、ユーザに非承認を通知するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザ判断基準は、ユーザの役割またはユーザ名または両方を含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ジョブ制限判断基準は、最大ジョブ価格、一つ以上の制限された機能、および一つ以上の資源についての最大資源使用量のうち、一つ以上を含む請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記資源は、トナー、用紙、ステープル、および記憶装置を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(c)は、前記印刷ジョブの設定に基づいて前記印刷ジョブに必要とされる資源の量を推定するステップと、前記推定された必要とされる資源の量を、前記ポリシー設定において指定された前記最大資源使用量と比較するステップと、を含む請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(c)は、前記印刷ジョブの設定に基づいて前記印刷ジョブに必要とされる資源の量を推定するステップと、前記推定された必要とされる資源の量を、依頼時に前記プリンタで利用可能な資源の量と比較するステップと、を含む請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
各ポリシー設定は、ポリシー設定がいつ実施されるかを特定する実施期間を含む請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ(a)の前に、
管理者により前記印刷ショップ管理装置に一つ以上のポリシー設定を入力するステップ(f)をさらに有する請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
複数のプリンタを管理する印刷ショップ管理装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、印刷ジョブの依頼についての処理を前記印刷ショップ管理装置に実行させるように構成されており、
前記処理は、
一つ以上のジョブ制限判断基準を各々が規定しており、さらに、適用されるユーザを特定するための一つ以上のユーザ判断基準を各々が規定している複数のポリシー設定を含む印刷ジョブ依頼承認ポリシーを、前記印刷ショップ管理装置に記憶するステップ(a)と、
プリンタへの印刷ジョブの依頼のユーザ要求を受けて、各々のポリシー設定について、ポリシー設定がユーザに適用されるかどうかを前記ユーザ判断基準に基づいて判断するステップ(b)と、
一つ以上のポリシー設定が前記ユーザに適用される場合、前記適用されるポリシー設定の前記ジョブ制限判断基準を、依頼されている前記印刷ジョブの対応する設定と比較することによって、前記依頼が承認されるかどうかを判断するステップ(c)と、
前記依頼が承認されない場合、前記プリンタに前記印刷ジョブを依頼することを控えるステップ(d)と、
ポリシー設定が前記ユーザに適用されない場合、または、前記依頼が承認される場合、印刷のために前記プリンタに前記印刷ジョブを依頼するステップ(e)と、
を有するコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記ステップ(d)は、ユーザに非承認を通知するステップを含む請求項10に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記ユーザ判断基準は、ユーザの役割またはユーザ名または両方を含む請求項10または11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記ジョブ制限判断基準は、最大ジョブ価格、一つ以上の制限された機能、および一つ以上の資源についての最大資源使用量のうち、一つ以上を含む請求項10〜12のいずれか一つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記資源は、トナー、用紙、ステープル、および記憶装置を含む請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記ステップ(c)は、前記印刷ジョブの設定に基づいて前記印刷ジョブに必要とされる資源の量を推定するステップと、前記推定された必要とされる資源の量を、前記ポリシー設定において指定された前記最大資源使用量と比較するステップと、を含む請求項13または14に記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記ステップ(c)は、前記印刷ジョブの設定に基づいて前記印刷ジョブに必要とされる資源の量を推定するステップと、前記推定された必要とされる資源の量を、依頼時にプリンタで利用可能な資源の量と比較するステップと、を含む請求項13または14に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記ジョブ制限判断基準は、ポリシー設定がいつ実施されるかを特定する実施期間を含む請求項10〜16のいずれか一つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記ステップ(a)の前に、
ポリシー設定の値を入力するためのユーザインタフェースを表示するステップ(f)と、
ポリシー設定の値の入力を受け付けるステップ(g)と、をさらに有する請求項10〜17のいずれか一つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項10〜18のいずれか一つに記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項20】
複数のプリンタを管理する印刷ショップ管理装置において実行される印刷ジョブの依頼を処理するための方法であって、
プリンタへの印刷ジョブの依頼の要求を受け付けるステップ(a)と、
前記印刷ジョブの設定に基づいて、前記印刷ジョブに必要とされる資源の量を推定するステップ(b)と、
依頼時に前記プリンタで利用可能な資源の量を判断するステップ(c)と、
前記必要とされる資源の量が前記利用可能な資源の量を上回る場合、前記印刷ジョブを前記プリンタに依頼することを控えるステップ(d)と、
前記必要とされる資源の量が前記利用可能な資源の量を上回らない場合、印刷のために前記プリンタに前記印刷ジョブを依頼するステップ(e)と、
を有する方法。
【請求項21】
前記資源は、トナー、用紙、ステープル、および記憶装置を含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ステップ(d)は、ユーザに非承認を通知するステップを含む請求項20または21に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−40036(P2010−40036A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−151499(P2009−151499)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ システムズ ラボラトリー, インコーポレイテッド (157)